説明

定量吐出スクイズ容器

【課題】容器本体の形状を工夫し、繰り返しスクイズ操作した際のスクイズ変形量にバラツキが生じないようにして、内容液を一定量ずつ吐出できると共に、異なる複数の吐出量で内容液を一定量ずつ吐出できる定量吐出スクイズ容器を提供する。
【解決手段】スクイズ変形可能な容器本体11を備え、容器本体11をスクイズ変形させて吐出口から内容液を所定量吐出させるスクイズ容器である。容器本体11には、スクイズ操作を行うスクイズ操作部14,14’が少なくとも2箇所設けられている。スクイズ操作部14,14’は、各々、鈍角の交差角度θで交差する2面に沿って配置される一対の斜面部15,15’を含む山形状断面を有する圧搾面部16,16’と、この圧搾面部16,16’の山形状断面の裾部19b,19b’と稜線部17,17’を介して一体として接合される、円弧断面形状部分を含む圧搾支持部18,18’とからなる横断面形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量吐出スクイズ容器に関し、特に、容器本体をスクイズ変形させて吐出口から内容液を吐出させる定量吐出スクイズ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スクイズ容器は、例えばスクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の胴部を手で把持してスクイズ(圧搾)することにより、容器本体をスクイズ変形させて、内容液を吐出口から吐出箇所に向けて所定量吐出させるものである。また、容器本体の胴部をスクイズした際に、容器の変形量にバラツキが生じず、繰り返し行われるスクイズ操作毎に一定量又は略一定量の内容液が各々吐出されるように工夫した、いわゆる定量吐出スクイズ容器も開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
ここで、特許文献1の定量吐出スクイズ容器は、容器本体の内部に容器本体の押し込み巾を規制する当接部材を設け、容器本体をスクイズ変形させる際に押圧操作部を当接部材に当接させることで、容器本体のスクイズ変形量を一定範囲に規制して、内容液を一定量ずつ吐出させる。また、特許文献2の定量吐出スクイズ容器は、容器本体の外周壁を筒状カバー体で覆うと共に、この筒状カバー体に、容器本体の外周壁に向けて反転可能なブリッジ部を形成し、このブリッジ部を反転させることで容器本体の外周壁を所定の変形量でスクイズ変形させて、内容液を一定量ずつ吐出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−24950号公報
【特許文献2】特許第4074227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の定量吐出スクイズ容器は、容器本体の内部に当接部材を取り付けたり、ブリッジ部が形成された筒状カバー体を容器本体の外周壁を覆って取り付けたりする必要がある。そのため、構造が複雑になると共に、製造コストも増大する。
【0006】
これに対して、本願出願人は、当接部材や筒状カバー体を用いることなく、容器本体の形状を工夫することで、繰り返しスクイズ操作した際の容器本体のスクイズ変形量にバラツキが生じないように規制して、内容液を一定量ずつ吐出できるようにしたスクイズ容器を開発し、出願しているが(特願2009−279285)、例えば異なる複数の吐出量で、内容液を各々一定量ずつ吐出できるようにする新たな技術の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、容器本体の形状を工夫し、繰り返しスクイズ操作した際の容器本体のスクイズ変形量にバラツキが生じないように規制して、内容液を一定量ずつ吐出できると共に、異なる複数の吐出量で、内容液を各々一定量ずつ吐出させることのできる定量吐出スクイズ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体を備え、該容器本体をスクイズ変形させて吐出口から内容液を所定量吐出させる定量吐出スクイズ容器であって、前記容器本体に、スクイズ操作を行うスクイズ操作部が少なくとも2箇所に設けられており、前記スクイズ操作部は、各々、鈍角の交差角度で交差する2面に沿って配置される一対の斜面部を含む山形状断面を有する圧搾面部と、該圧搾面部の山形状断面の裾部と稜線部を介して一体として接合される、円弧断面形状部分を含む圧搾支持部とからなる横断面形状を有しており、前記スクイズ操作部は、各々、前記圧搾面部の山形状断面の頂部における所定の位置に指を押し当てて圧搾した際に、前記一対の斜面部が前記交差角度を拡げるように変形しながら、両側の山形状断面の裾部の間隔を前記圧搾支持部との前記稜線部において押し拡げると共に、押し拡げる力が無くなるまで前記斜面部が変形した後、前記圧搾面部は谷形状に反転しないように規制されて、前記所定の位置に指を押し当てて繰り返し行われるスクイズ操作による前記容器本体のスクイズ変形量にバラツキが生じないようになっており、且つ少なくとも2箇所の前記スクイズ操作部における前記スクイズ操作による前記容器本体のスクイズ変形量が、異なる変形量となっている定量吐出スクイズ容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の定量吐出スクイズ容器によれば、容器本体の形状を工夫し、繰り返しスクイズ操作した際の容器本体のスクイズ変形量にバラツキが生じないように規制して、内容液を一定量ずつ吐出できると共に、異なる複数の吐出量で、内容液を各々一定量ずつ吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の好ましい第1実施形態に係る定量吐出スクイズ容器の容器本体の、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明の好ましい第1実施形態に係る定量吐出スクイズ容器において、スクイズ操作時に容器本体のスクイズ変形量を規制する状況を説明する、図1(a)のA−A又はB−Bに沿った模式断面図である。
【図3】本発明の好ましい第2実施形態に係る定量吐出スクイズ容器の容器本体の、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図4】本発明の好ましい第3実施形態に係る定量吐出スクイズ容器の容器本体の、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図5】本発明の好ましい第4実施形態に係る定量吐出スクイズ容器の容器本体の正面図である。
【図6】図5のC−Cに沿った模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。図1(a)〜(c)に示す本発明の好ましい第1実施形態に係る定量吐出スクイズ容器10は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体11と、容器本体11の口首部12に着脱可能に装着されるキャップ部材(図示省略)とからなる。スクイズ容器10には、内容液として、例えば衣料用液体洗剤、柔軟剤、漂白剤、食器用洗剤、入浴剤等を収容することができる。スクイズ容器10は、容器本体11の胴部13を把持して傾倒又は倒立させた状態で、把持した胴部13をスクイズ方向X(図2参照)にスクイズ(圧搾)することで容器本体11を変形させることにより、例えばキャップ部材に設けられた吐出口から、内容液を吐出箇所に向けて所定量吐出させることができる。スクイズ容器10は、容器本体11の形状のみを工夫することによって、例えば胴部13の所定の位置を指で圧搾して繰り返しスクイズ操作した際に、容器本体11のスクイズ変形量にバラツキが生じないように規制して、内容液を一定量ずつ吐出させることができる機能を備える。また、スクイズ容器10は、例えば胴部13を圧搾する所定の位置を複数の箇所から選択することで、異なる複数の吐出量で、内容液を各々一定量ずつ吐出させることができる機能を備える。
【0012】
すなわち、本第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体11を備え、容器本体11をスクイズ変形させて吐出口から内容液を所定量吐出させるスクイズ容器である。図1(a)〜(c)に示すように、容器本体11には、スクイズ操作を行うスクイズ操作部14,14’が少なくとも2箇所(本第1実施形態では2箇所)設けられている。スクイズ操作部14,14’は、各々、鈍角の交差角度θ(図2(a)参照)で交差する2面に沿って配置される一対の斜面部15,15’を含む山形状断面を有する圧搾面部16,16’と、この圧搾面部16,16’の山形状断面の裾部19b,19b’と稜線部17,17’を介して一体として接合される、円弧断面形状部分を含む圧搾支持部18,18’とからなる横断面形状を有している。
【0013】
そして、スクイズ操作部14,14’は、各々、圧搾面部16,16’の山形状断面の頂部19a,19a’における所定の位置に指を押し当ててスクイズ方向Xに圧搾した際に、図2(a)〜(c)に示すように、一対の斜面部15,15’が交差角度θを拡げるように変形しながら、両側の山形状断面の裾部19b,19b’の間隔を円弧状断面の圧搾支持部18,18’との稜線部17,17’において押し拡げる。両側の裾部19b,19b’の間隔を押し拡げる力が無くなるまで斜面部15,15’が変形した後(図2(c)参照)、圧搾面部16,16’は谷形状に反転しないように規制される。これによって、所定の位置に指を押し当てて繰り返し行われるスクイズ操作による容器本体11のスクイズ変形量にバラツキが生じなくなって、内容液を一定量ずつ吐出させることが可能になる。
【0014】
また、本第1実施形態では、2箇所のスクイズ操作部14,14’は、高さ方向に2段に配置されると共に、容器本体11の中心軸を中心とする同じ放射方向に圧搾面部16,16’を向けることにより、当該圧搾面部16,16’を容器本体11の周方向の同じ位置に配置して設けられており、これらの2箇所のスクイズ操作部14,14’におけるスクイズ操作による容器本体11のスクイズ変形量は、異なる変形量となっている。
【0015】
さらに、本第1実施形態では、スクイズ操作部14,14’の圧搾面部16,16’の山形状断面の頂部19a,19a’は、一対の斜面部15,15’の間に介在する平坦なスクイズ面部20,20’となっている
【0016】
本第1実施形態では、容器本体11は、例えばポリエチレンテレフタレ−ト、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、塩化ビニル等の、スクイズ変形可能なプラスチック容器を形成するのに適した公知の各種の合成樹脂を用いて、例えばブロー成形することにより、底部22と、胴部13と、肩部23と、口首部12とを備える中空のボトル形状に形成される。また、容器本体11は、上端部分の肩部23及び口首部12と、下端部分の底部22とが胴部13よりも厚肉に形成されると共に、肩部23と底部22は、円形の平面形状を備えるように形成される。
【0017】
そして、本第1実施形態では、肩部23と底部22との間に挟まれる胴部13は、上下2段の上段スクイズ操作部14及び下段スクイズ操作部14’と、上段スクイズ操作部14と下段スクイズ操作部14’との間に介在して設けられた中間リング部24と、下段スクイズ操作部14’と底部22との間に介在して設けられた底部リング部25とを含んで形成されている。また胴部13は、肩部23や底部22よりも薄肉に形成されており、これによってスクイズ操作部14,14’の圧搾面部16,16’は、後述するように、胴部13を把持した手や指の力によって容易にスクイズ変形することが可能な可撓性を備える構造となっている。
【0018】
本第1実施形態では、上段スクイズ操作部14は、胴部13の周方向に延設する上下それぞれの環状境界溝リブ26a,26bによって、上方の円形状断面の肩部23や下方の円形状断面の中間リング部24から区画される。下段スクイズ操作部14’は、胴部13の周方向に延設する上下それぞれの環状境界溝リブ27a,27bによって、上方の円形状断面の中間リング部24や下方の円形状断面の底部リング部25から区画される。上段スクイズ操作部14及び下段スクイズ操作部14’は、各々、山形状断面を有する圧搾面部16,16’と円弧状断面を有する圧搾支持部18,18’とが稜線部17,17’を介して一体として成形された形状を備えている(図2(a)参照)。
【0019】
圧搾面部16,16’は、鈍角で交差する2面に沿って配置される一対の斜面部15,15’からなり、これらの斜面部15,15’が交差する接合部分には、縦方向に延設するスクイズ面部20,20’が、圧搾面部16,16’の中央部分に配置されて山形状断面の頂部19a,19a’として設けられている。また、本第1実施形態では、スクイズ面部20,20’は、例えば33〜100mm程度の横方向の幅で上下方向に延設する帯状の平坦な面として設けられており、これの縦方向中央部分には、指を押し当ててスクイズ操作を行うべき所定の位置を案内するスクイズ位置ガイド部21,21’が、例えばスクイズ面部20,20’から球面状に突出する凸部として設けられている。一対の斜面部15,15’のスクイズ面部20,20’とは反対側の裾部19b,19b’は、スクイズ面部20,20’と平行に配置されて縦方向に延設する稜線部17,17’を介して圧搾支持部18,18’と接合している。
【0020】
さらに、本第1実施形態では、圧搾面部16,16’の山形状断面の頂部19a,19a’を挟んだ両側の斜面部15,15’の高さ方向中央部分に、スクイズ変形誘導溝リブ29,29’が、スクイズ面部20,20’と直行する横リブとして各々1箇所に形成されている。すなわち、各一対のスクイズ変形誘導溝リブ29,29’は、スクイズ面部20,20’を跨いでこれと直交する方向にほぼ一直線状に配置されて設けられている。各スクイズ面部20,20’に直交して一対のスクイズ変形誘導溝リブ29,29’が各々設けられていることにより、各一対の斜面部15,15’が常に安定した形状で変形するため、吐出量のバラツキを低減し、安定化させる効果を奏する。また、使用者が押圧した際に感じる一定の変形感触(クリック感)を高める効果も奏する。
【0021】
圧搾支持部18,18’は、圧搾面部16,16’と対向してスクイズ操作部14,14’の背面側に配置される部分である。圧搾支持部18,18’は、相当の保形剛性を備えていることにより、スクイズ操作時に圧搾面部16,16’に加えられる圧搾力を安定した状態で支持させる。本第1実施形態では、圧搾支持部18,18’は、半円弧形状を僅かに超える円弧状断面を有しており、保形剛性の大きなその円弧形状によって、例えば胴部13を把持した手の平に、圧搾支持部18,18’を変形させることなく圧搾力の反力を効率良く支持させることができる。
【0022】
また、本第1実施形態では、円弧状断面を有する圧搾支持部18,18’に、当該圧搾支持部18の保形剛性を向上させる剛性補強溝リブ28,28’が、周方向に延設して上下方向に間隔をおいて複数設けられている。これらの剛性補強溝リブ28,28’によって、圧搾面部16,16’に圧搾力を負荷した際の反力をさらに効率良く支持させることができる。
【0023】
そして、本第1実施形態では、上段スクイズ操作部14と下段スクイズ操作部14’とは、これらの圧搾面部16,16’のスクイズ位置ガイド部21,21’に指を押し当てて、各々スクイズ操作を行った際の容器本体11のスクイズ変形量が、異なる変形量となるようにその形状が設計されている。
【0024】
すなわち、本第1実施形態では、例えば上段スクイズ操作部14よりも下段スクイズ操作部14’の方が上下方向の幅(高さ)が大きくなっており、また上段スクイズ操作部14の一対の斜面部15の交差角度θよりも、下段スクイズ操作部14’の一対の斜面部15’の交差角度θの方が小さくなっている。これらによって、上段スクイズ操作部14のスクイズ変形量よりも、下段スクイズ操作部14’のスクイズ変形量の方が大きくなるように設計されている。
【0025】
上述の構成を有する本第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10によれば、容器本体11をスクイズ変形させて内容液を定量吐出させるには、容器本体11の胴部13を把持して容器10を傾倒又は倒立させた後に、吐出口を吐出箇所に向けた状態で、例えば親指を上段スクイズ操作部14のスクイズ位置ガイド部21に押し付けて、圧搾面部16の頂部19aのスクイズ面部20に圧搾力を付加する。これによって、図2(a)〜(c)に示すように、圧搾支持部18に圧搾力を支持させつつ、スクイズ位置ガイド部21に近接する部分のスクイズ面部20がスクイズ方向Xに押し込まれると共に、スクイズ位置ガイド部21に近接する部分の一対の斜面部15が、これらの交差角度θを拡げるように変形しながら、圧搾支持部18との接合部分である、両側の裾部19bの稜線部17間の間隔を押し拡げていく。これに伴なって、圧搾面部16の山形状断面が平坦になるように押し潰されて、容器本体11の容量が減少するので、この容量の減少によって内容液を吐出させることが可能になる。
【0026】
図2(c)に示すように、スクイズ位置ガイド部21に近接する部分の一対の斜面部15が、スクイズ面部20を挟んで直線状に連設するまで変形すると、圧搾面部16の山形状断面がほぼ平坦に伸びきった状態となって、一対の斜面部15は、これ以上稜線部17間の間隔を押し拡げることができなくなる。この状態から、圧搾面部16のスクイズ面部20をスクイズ方向Xにさらに押し込んで一対の斜面部15をスクイズ方向X側に反転させようとしても、圧搾力を負荷されたスクイズ位置ガイド部21から離れた位置では、未だ一対の斜面部15が直線状になるまで変形していないことから、このスクイズ位置ガイド部21から離れた部分の一対の斜面部15による山形状断面の作用によって、指を押し当てたスクイズ位置ガイド部21に近接する部分の一対の斜面部15は、スクイズ方向X側に反転しないように規制される。これによって、例えば親指を上段スクイズ操作部14のスクイズ位置ガイド部21に押し付けて圧搾力を加えた際には、常に一定の変形量で容器本体11がスクイズ変形する、すなわち繰り返し行われるスクイズ操作による容器本体11のスクイズ変形量にバラツキが生じなくなるので、所定量の内容液として、例えば3mlの内溶液を容易に定量吐出させることが可能になる。
【0027】
また、本第1実施形態では、例えば親指を下段スクイズ操作部14’のスクイズ位置ガイド部21’に押し付けて、圧搾面部16’の頂部19a’のスクイズ面部20’に圧搾力を付加すれば、上段スクイズ操作部14の場合と同様に、スクイズ位置ガイド部21’に近接する部分のスクイズ面部20’がスクイズ方向Xに押し込まれると共に、スクイズ位置ガイド部21’に近接する部分の一対の斜面部15’が、これらの交差角度θを拡げるように変形しながら、両側の裾部19b’の稜線部17’間の間隔を押し拡げていく。図2(c)に示すように、一対の斜面部15’が、スクイズ面部20を挟んで直線状に連設するまで変形すると、一対の斜面部15’は、これ以上稜線部17間の間隔を押し拡げることができなくなると共に、スクイズ方向X側に反転しないように規制される。これによって、例えば親指を下段スクイズ操作部14’のスクイズ位置ガイド部21’に押し付けて圧搾力を加えた際には、所定量の内容液として、例えば5mlの内溶液をを容易に定量吐出させることが可能になる。
【0028】
したがって、本第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10によれば、容器本体11の形状のみを工夫することによって、繰り返しスクイズ操作した際の容器本体11のスクイズ変形量にバラツキが生じないように規制して、内容液を一定量ずつ吐出させることが可能になる。また、スクイズ操作を行うべきスクイズ操作部14,14’を適宜選択することによって、異なる複数の吐出量で、内容液を各々一定量ずつ吐出させることが可能になる。例えば、3mlずつ又は5mlずつ内容液を吐出させることが可能になると共に、これらの倍数や、これらを組み合わせた例えば8mlの吐出量で、内容液を吐出させることも可能になる。
【0029】
図3(a)〜(c)は、本発明の好ましい第2実施形態に係る定量吐出スクイズ容器30の容器本体31を示すものである。本第2実施形態によれば、容器本体31は、上記第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10の容器本体11と略同様の構成を備えている。一方、容器本体31は、スクイズ操作を行うスクイズ操作部14,14’を、圧搾面部16,16’を周方向にずれた位置に配置することで異なる放射方向に向けて容器本体31の胴部33に設けたことが、上記第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10の容器本体11と相違している。
【0030】
すなわち、本第2実施形態によれば、下段スクイズ操作部14’の圧搾面部16’は、上段スクイズ操作部14の圧搾面部16とは周方向に180°ずれた背面側に配置されて、圧搾面部16と背向する放射方向を向くように設けられている。また、これに伴って、下段スクイズ操作部14’の圧搾支持部18’は、上段スクイズ操作部14の圧搾支持部18とは周方向に180°ずれた正面側に配置されて設けられている。
【0031】
本第2実施形態の定量吐出スクイズ容器30によっても、例えば圧搾支持部18,18’を介して圧搾力を支持させながら、上段スクイズ操作部14の圧搾面部16や、下段スクイズ操作部14’の圧搾面部16’をスクイズ操作することで、各々一定の変形量で容器本体31の胴部33をスクイズ変形させることにより、上記第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10と同様の作用効果が奏される。
【0032】
図4(a)〜(c)は、本発明の好ましい第3実施形態に係る定量吐出スクイズ容器40の容器本体41を示すものである。本第2実施形態によれば、容器本体41は、上記第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10の容器本体11と略同様の構成を備えている。一方、容器本体41は、スクイズ操作を行うスクイズ操作部44,44’,44”を、圧搾面部46,46’,46”を周方向の同じ位置に配置することで同じ放射方向に向けて容器本体41に上下に3段に設けたことが、上記第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10の容器本体11と相違している。
【0033】
すなわち、本第3実施形態によれば、容器本体41の肩部23と底部22との間に挟まれる胴部43に、上段スクイズ操作部44と中段スクイズ操作部44’と下段スクイズ操作部44”とが、環状境界溝リブ47a,47b,47c,47dによって上下方向に区画されて設けらている。また、上段スクイズ操作部44と中段スクイズ操作部44’と下段スクイズ操作部44”は、例えばこれらの上下方向の幅(高さ)や、一対の斜面部45,45’,45”の交差角度θを調整することにより、スクイズ操作時のスクイズ変形量が各々異なるように設計されている。例えば、上段スクイズ操作部44のスクイズ変形量を2ml、中段スクイズ操作部44’のスクイズ変形量を3ml、下段スクイズ操作部44”のスクイズ変形量を5mlとなるように設計することができる。
【0034】
本第3実施形態の定量吐出スクイズ容器40によっても、例えば圧搾支持部48,48’,48”を介して圧搾力を支持させながら、上段スクイズ操作部44の圧搾面部46や、中段スクイズ操作部44’の圧搾面部46’や、下段スクイズ操作部44”の圧搾面部46”をスクイズ操作することで、各々一定の変形量で容器本体41をスクイズ変形させることにより、上記第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10と同様の作用効果が奏される。
【0035】
図5は、本発明の好ましい第4実施形態に係る定量吐出スクイズ容器50の容器本体51を示すものである。本第4実施形態によれば、容器本体51は、上記第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10の容器本体11と略同様の構成を備えている。一方、容器本体51は、2箇所のスクイズ操作部54,54’を、同じ高さ位置において圧搾面部56,56’を周方向にずれた位置に配置することで異なる放射方向に向けて容器本体51に設けると共に、同じ高さ位置に配置された圧搾支持部58,58’(図6参照)を共用可能に設けたことが、上記第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10の容器本体11と相違している。
【0036】
すなわち、本第4実施形態によれば、容器本体51の肩部23と底部22との間に挟まれる胴部53は、上部円筒部53aと、下部円筒部53bと、中間操作部59とからなる。中間操作部59は、環状境界溝リブ57a,57bを介在させて、上部円筒部53aや下部円筒部53bから区画されている。中間操作部59は、図6にも示すように、圧搾支持部58,58’を共用する2箇所の第1スクイズ操作部54及び第2スクイズ操作部54’を備えている。
【0037】
また、圧搾支持部58,58’は、中間操作部59において、第1圧搾面部56及び第2圧搾面部56’の周方向背面側の裾部61,61’を連結するようにして、略半円の断面形状を備えるように設けられている。さらに、第1圧搾面部56及び第2圧搾面部56’の周方向正面側の裾部61,61’を連結するようにして、円弧断面形状の補助圧搾支持部60,60’が設けられている。
【0038】
さらにまた、2箇所の第1スクイズ操作部54及び第2スクイズ操作部54’は、例えば第1圧搾面部56や第2圧搾面部56’の各一対の斜面部55,55’の交差角度θや横幅を調整することにより、スクイズ操作時のスクイズ変形量が各々異なるように設計されている。
【0039】
本第4実施形態の定量吐出スクイズ容器50によっても、例えば圧搾支持部58,58’や補助圧搾支持部60,60’を介して圧搾力を支持させながら、第1スクイズ操作部54及び第2スクイズ操作部54’を異なるスクイズ方向Xからスクイズ操作することで、各々一定の変形量で容器本体51をスクイズ変形させることにより、上記第1実施形態の定量吐出スクイズ容器10と同様の作用効果が奏される。
【0040】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、圧搾面部の山形状断面の頂部は、一対の斜面部の間に介在する平坦なスクイズ面部とする必要は必ずしもなく、頂部を滑らかな湾曲面となるように面取したスクイズ稜線部等とすることもできる。また、スクイズ位置ガイド部は、凹形状にしたり、金型表面の粗さを部分的に変えて容器表面を粗くしたり、ラベル印刷等によりスクイズ操作を指で行う位置を明示することによって設けることもできる。さらに、スクイズ位置ガイド部を設ける位置や、スクイズ操作を行う位置は、圧搾面部の頂部の中央部分でなくても良い。
【符号の説明】
【0041】
10,30,40,50 スクイズ容器
11,31,41,51 容器本体
13,33,43,53 胴部
14,14’,44,44’,44”,54,54’ スクイズ操作部
15,15’,45,45’,45” 斜面部
16,16’,46,46’,46”,56,56’ 圧搾面部
17,17’ 稜線部
18,18’,48,48’,48”,58,58’ 圧搾支持部
19a,19a’ 圧搾面部の頂部
19b,19b’,61,61’ 圧搾面部の裾部
20,20’ スクイズ面部
21,21’ スクイズ位置ガイド部
28,28’ 剛性補強溝リブ
29,29’ スクイズ変形誘導溝リブ
59 中間操作部
X スクイズ方向
θ 鈍角の交差角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体を備え、該容器本体をスクイズ変形させて吐出口から内容液を所定量吐出させる定量吐出スクイズ容器であって、
前記容器本体に、スクイズ操作を行うスクイズ操作部が少なくとも2箇所に設けられており、
前記スクイズ操作部は、各々、鈍角の交差角度で交差する2面に沿って配置される一対の斜面部を含む山形状断面を有する圧搾面部と、該圧搾面部の山形状断面の裾部と稜線部を介して一体として接合される、円弧断面形状部分を含む圧搾支持部とからなる横断面形状を有しており、
前記スクイズ操作部は、各々、前記圧搾面部の山形状断面の頂部における所定の位置に指を押し当てて圧搾した際に、前記一対の斜面部が前記交差角度を拡げるように変形しながら、両側の山形状断面の裾部の間隔を前記圧搾支持部との前記稜線部において押し拡げると共に、押し拡げる力が無くなるまで前記斜面部が変形した後、前記圧搾面部は谷形状に反転しないように規制されて、前記所定の位置に指を押し当てて繰り返し行われるスクイズ操作による前記容器本体のスクイズ変形量にバラツキが生じないようになっており、
且つ少なくとも2箇所の前記スクイズ操作部における前記スクイズ操作による前記容器本体のスクイズ変形量が、異なる変形量となっている定量吐出スクイズ容器。
【請求項2】
少なくとも2箇所の前記スクイズ操作部は、高さ方向に少なくとも2段に配置されて前記容器本体に設けられている請求項1記載の定量吐出スクイズ容器。
【請求項3】
少なくとも2箇所の前記スクイズ操作部は、前記圧搾面部を周方向にずれた位置に配置して前記容器本体に設けられている請求項2記載の定量吐出スクイズ容器。
【請求項4】
少なくとも2箇所の前記スクイズ操作部は、同じ高さ位置において前記圧搾面部を周方向にずれた位置に配置して前記容器本体に設けられている請求項1記載の定量吐出スクイズ容器。
【請求項5】
前記圧搾面部の山形状断面の頂部は、前記一対の斜面部の間に介在する平坦なスクイズ面部となっている請求項1〜4のいずれかに記載の定量吐出スクイズ容器。
【請求項6】
前記圧搾支持部には、該圧搾支持部の保形剛性を向上させる剛性補強溝リブが、周方向に延設して上下方向に間隔をおいて複数設けられている請求項1〜5のいずれかに記載の定量吐出スクイズ容器。
【請求項7】
前記圧搾面部には、前記山形状断面の頂部を挟んだ両側に、スクイズ変形誘導溝リブが設けられている請求項1〜7のいずれかに記載の定量吐出スクイズ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−62061(P2012−62061A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205071(P2010−205071)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】