説明

室内環境改善システム

【課題】室内の内装材に設けた導電部位を確実に負帯電させて、負帯電粒子で満たされた室内環境を安定的に実現することができる室内環境改善システムを提供する。
【解決手段】この室内環境改善システムは、室内の内装材5、22に導電部位14を設けて、この導電部位14を負帯電させることで、室内の正帯電粒子40・・を吸着させるようにしたものであって、内装材5、22とその下地材4、21とに跨る導電性部材11・・を介しての導電部材14から下地材4、21への漏電を規制する漏電規制手段13を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の内装材に設けられた導電部位を負帯電させて、室内の正帯電粒子を導電部位に吸着させることで、室内を負帯電粒子が豊富に存在する環境とする室内環境改善システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の室内環境改善システムとしては、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。すなわち、室内の壁面に、木炭粉末を含有した塗料を塗布したり、このような塗料を塗布した成形体を配設することで、室内の壁面に導電部位を設けて、この導電部位を負帯電させて室内の正帯電粒子(プラスイオン)を吸着させることで、室内を負帯電粒子(マイナスイオン)で満たすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−170117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、通常、室内の壁面を構成する内装材は、導電性部材であるビスやボルト等の固定具によって下地材に固定されているため、室内の壁面すなわち内装材の表面に単に導電部位を設けた場合、この導電部位と下地材とが固定具を介して電気的に接続された状態となり、導電部位から下地材への漏電が生じ易くなって、導電部位を安定して負帯電させることができず、正帯電粒子の吸着効率が低下するといった不具合があった。この漏電は、下地材が金属製の場合だけに限らず、下地材が木製の場合であっても、湿度の高い環境下においては生じることがある。
【0005】
なお、特許文献1に開示されたシステムにおいては、室内の床面に絶縁体を配設して、床面からの負帯電粒子の漏脱を防止しているものの、導電部位から下地材への漏電を防ぐ対策が採られておらず、依然として上記のような不具合が生じる可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の不具合を解消して、室内の内装材に設けた導電部位を確実に負帯電させて、負帯電粒子で満たされた室内環境を安定的に実現することができる室内環境改善システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の室内環境改善システムは、室内の内装材5、22に導電部位14を設けて、この導電部位14を負帯電させることで、室内の正帯電粒子40・・を吸着させるようにしたものであって、前記内装材5、22とその下地材4、21とに跨る導電性部材11・・を介しての前記導電部位14から前記下地材4、21への漏電を規制する漏電規制手段13を設けたことを特徴としている。
【0008】
具体的に、前記漏電規制手段13は、前記導電部位14と前記下地材4、21との間の抵抗値を1MΩ以上として漏電を規制している。
【0009】
さらに、前記導電性部材11・・は、前記内装材5、22を前記下地材4、21に止め付けるためのビスやボルト等の固定具からなり、前記漏電規制手段13は、前記固定具11・・の頭部11a・・を覆うようにして、前記内装材5、22と導電部位14との間に介在された絶縁体からなっている。さらにまた、前記導電部位14は、木炭粉末を含む塗膜層からなっている。
【0010】
また、前記導電部位14に負電圧を印加する電源ユニット30を備え、この電源ユニット30の正極側を地中に埋設した接地電極31に接続するとともに、負極側を前記導電部位14に接続している。
【発明の効果】
【0011】
この発明の室内環境改善システムにおいては、内装材に設けた導電部位から下地材への漏電を規制しているので、導電部位を確実に負帯電させて、導電部位における正帯電粒子の吸着効率を良好に維持することができ、負帯電粒子で満たされた室内環境を安定的に実現することができる。
【0012】
特に、導電部位と下地材との間の抵抗値を1MΩ以上とすることで、導電部位をより確実に負帯電させることができる。また、導電部位として木炭粉末を含む塗膜層を用いることで、悪臭や揮発性化学物質等も吸着させることができ、より快適で健康的な室内環境を提供することができる。さらに、電源ユニットを使用して、導電部位に負電圧を印加することで、導電部位における正帯電粒子の吸着作用を安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態に係る室内環境改善システムの構成を示した模式図である。
【図2】天井部の斜視図である。
【図3】天井部の縦断面図である。
【図4】内壁部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の室内環境改善システムを図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る室内環境改善システムは、図1に示すように、室内の内装材5、22に導電部位14を夫々設けて、これら導電部位14、14を負帯電させることで、室内の正帯電粒子(プラスイオン)40・・を吸着させて、室内を負帯電粒子(マイナスイオン)41・・が豊富に存在する環境とするようになっている。
【0015】
図2は、天井部1の構造を示しており、H形鋼からなる梁2に吊り下げ具3を介して天井下地材4を吊り下げ支持して、その天井下地材4に内装材としての天井板5を張り付けることによって構成されている。吊り下げ具3は、梁2の下部フランジに係合する係合金具6と、この係合金具6から垂下した吊りボルト7からなる。天井下地材4は、互いに平行に配された複数の野縁受け8・・と、これら野縁受け8・・に対して直交するようにして互いに平行に配された野縁9・・とを、野縁支持具10・・を介して格子状に組み付けてなる。
【0016】
天井板5は、例えば石膏ボード等からなり、図3に示すように、ビス11・・によって、天井下地材4の野縁9・・に跨って止め付けられている。ビス11・・は、天井板5の表面から天井板5を貫通して野縁9・・にねじ込まれており、天井板5と天井下地材4とに跨る導電性部材を構成している。なお、ビス11・・止めによって生じた天井板5の表面凹部には、ビス11・・の頭部11a・・を隠すようにして、パテ材12・・が充填されている。
【0017】
天井板5の表面には、ビス11・・の頭部11a・・を覆うようにして、漏電規制手段としての絶縁体13が配設されている。この絶縁体13は、例えば塩化ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、又はセメント系等の塗料を、天井板5の表面に塗布してなる絶縁性の塗膜層である。なお、絶縁体13としては、このような塗膜層に限らず、例えば合成樹脂製板材のような絶縁性の成形体であっても良い。
【0018】
絶縁体13の表面には、導電部位14が配設されている。すなわち、天井板5の表面に、絶縁体13を介して導電部位14が設けられている。この導電部位14は、絶縁体13の表面に木炭粉末を含む塗料を塗布することで形成された塗膜層である。なお、導電部位14としては、このような塗膜層に限らず、例えば木炭粉末を含む塗料を塗布した板材や金属製板材のような導電性の成形体であっても良い。また、導電部位14の表面には、クロス等の仕上げ材15が張り付けられている。
【0019】
図4は、内壁部20の構造を示しており、例えば鉄骨軸組からなる内壁下地材21に、内装材としての内壁板22を張り付けることによって構成されている。
【0020】
内壁板22は、例えば石膏ボードなどからなり、ビス11・・によって、内壁下地材21に止め付けられている。ビス11・・は、内壁板22の表面から内壁板22を貫通して内壁下地材21にねじ込まれており、内壁板22と内壁下地材21とに跨る導電性部材を構成している。そして、天井部1の場合と同様に、ビス11・・止めによって生じた内壁板22の表面凹部にパテ材12・・が充填され、内壁板22の表面には、絶縁体13を介して導電部位14が設けられ、導電部位14の表面には、クロス等の仕上げ材15が張り付けられている。なお、絶縁体13や導電部位14の材質等については、天井部1のものと同様であるため説明を省略する。
【0021】
図1において、30は、負電圧発生回路を有する電源ユニットであって、その正極側が地中に埋設した接地電極31に接続され、負極側が天井部1や内壁部20の導電部位14に接続されて、導電部位14に負電圧を印加するようになっている。この電源ユニット30は、例えば内壁部20の内部に配設されている。なお、電源ユニット30としては、電池等を用いるようにしても良い。
【0022】
上記構成の室内環境改善システムにおいて、電源ユニット30、30によって天井部位1及び内壁部20の導電部位14、14に負電圧を印加すると、これら導電部位14、14が負帯電する。
【0023】
このとき、天井部1においては、天井板5と導電部位14との間に、ビス11・・の頭部11a・・を覆うようにして絶縁体13が介在していて、導電部位14と天井下地材4との間の絶縁抵抗値が十分に高められている(少なくとも1MΩ以上、好ましくは10MΩ以上となっている)ことから、ビス11・・を介しての導電部位14から天井下地材4への漏電が規制されて、導電部位14を確実に負帯電させることができるとともに、その状態を安定的に維持することができる。また、内壁部20においては、内壁板22と導電部位14との間に、ビス11・・の頭部11a・・を覆うようにして絶縁体13が介在していて、導電部位14と内壁下地材21との間の絶縁抵抗値が十分に高められている(少なくとも1MΩ以上、好ましくは10MΩ以上となっている)ことから、ビス11・・を介しての導電部位14から内壁下地材21への漏電が規制されて、導電部位14を確実に負帯電させることができるとともに、その状態を安定的に維持することができる。なお、ビス11・・の頭部11a・・は、パテ材12・・によっても覆われているが、これらパテ材12・・だけでは、導電部位14と下地材4、21との間の絶縁抵抗値を十分に高めることができず、上記の漏電が生じることになって、導電部位14を確実に負帯電させることはできない。
【0024】
このようにして、天井部1及び内壁部20の導電部位14、14が負帯電することで、室内の正帯電粒子40・・が導電部位14、14に効率良く吸着され、室内の負帯電粒子41・・は吸着されることなく残留する。これにより、室内を負帯電粒子41・・が豊富に存在する環境とすることができる。しかも、天井部1及び内壁部20の導電部位14、14には、その木炭粉末の作用により、悪臭や揮発性化学物質等も吸着されるため、より快適で健康的な室内環境とすることができる。
【0025】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施例においては、天井部1及び内壁部20の双方に導電部位14を設けていたが、天井部1又は内壁部20のうちのいずれか一方に導電部位14を設けて、室内の正帯電粒子40・・を吸着させるようにしても良い。なお、内壁部20に導電部位14を設ける場合には、特に大空間の室内において、その中央付近に滞留する正帯電粒子の吸着効率が悪くなって、室内全体を一様に環境改善することが困難となったり、また、内壁部20に沿って並べられた家具等が邪魔になって、吸着効果が薄れてしまうといった不具合が生じ易くなるが、天井部1に導電部位14を設ける場合には、このような不具合が生じ難い。このため、基本的には天井部1に導電部位14を設けて、補助的に内壁部20に導電部位14を設けるようにするのが望ましい。また、導電部位を設ける内装材としては、天井板5や内壁板22に限らず、床部の床板、その他下地材に導電性部材を介して固定される各種内装材であっても良い。
【0026】
また、天井部1や内壁部20において、ビス11・・以外に、照明器具や空調器具等の導電性部材が下地材4、21に支持されるようにして配設される場合には、それら導電性部材と導電部位14との間に、漏電規制手段としてのゴムパッキン等の絶縁体を介在させて、導電性部材を介しての導電部位14から下地材4、21への漏電を規制するようにしても良い。
【符号の説明】
【0027】
1・・天井部、4、21・・下地材、5、22・・内装材、11・・導電性部材(ビス)、11a・・ビスの頭部、13・・漏電規制手段(絶縁体)、14・・導電部位、20・・内壁部、30・・電源ユニット、31・・接地電極、40・・正帯電粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の内装材(5)(22)に導電部位(14)を設けて、この導電部位(14)を負帯電させることで、室内の正帯電粒子(40)・・を吸着させるようにした室内環境改善システムにおいて、前記内装材(5)(22)とその下地材(4)(21)とに跨る導電性部材(11)・・を介しての前記導電部位(14)から前記下地材(4)(21)への漏電を規制する漏電規制手段(13)を設けたことを特徴とする室内環境改善システム。
【請求項2】
前記漏電規制手段(13)は、前記導電部位(14)と前記下地材(4)(21)との間の抵抗値を1MΩ以上とする請求項1に記載の室内環境改善システム。
【請求項3】
前記導電性部材(11)・・は、前記内装材(5)(22)を前記下地材(4)(21)に止め付けるためのビスやボルト等の固定具からなり、前記漏電規制手段(13)は、前記固定具(11)・・の頭部(11a)・・を覆うようにして、前記内装材(5)(22)と導電部位(14)との間に介在された絶縁体からなる請求項1又は2に記載の室内環境改善システム。
【請求項4】
前記導電部位(14)は、木炭粉末を含む塗膜層からなる請求項1乃至3のいずれかに記載の室内環境改善システム。
【請求項5】
前記導電部位(14)に負電圧を印加する電源ユニット(30)を備え、この電源ユニット(30)の正極側を地中に埋設した接地電極(31)に接続するとともに、負極側を前記導電部位(14)に接続した請求項1乃至4のいずれかに記載の室内環境改善システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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