説明

室内用壁パネル

【課題】タイルの目地におけるカビの発生を防ぎ、接着剤の硬化時間を短縮して作業性よく、かつ、反りが発生することのない室内用壁パネルを提供する。
【解決手段】複数個の平面視方形の表面化粧材1を基板3に格子状に貼り合わせてなる壁パネルAであって、接着剤2として可塑剤を含まない不透明の不飽和ポリエステル樹脂を用いて上記表面化粧材1を基板3に貼り合わせ、フレーム4でバッキングしてなる室内用壁パネルA。好ましくは、基板3がガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂の積層板からなるとともに、この不飽和ポリエステル樹脂と接着剤2を構成する不飽和ポリエステル樹脂とが同一とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスルーム等、水回りで用いられる室内用壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤によって基板にタイルを貼り合せた外壁材が知られている。例えば、下記特許文献1には繊維質補強セメント板等の表面に陶磁器質タイルを有機系接着剤を用いて貼り合せた戸建用外壁材が開示され、立体感があって意匠性と耐候性のよいタイル貼り外壁材が得られると記載されている。
【特許文献1】特開平9−324515号公報(第1〜4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、室内用、とくにバスルーム等、水回りで用いられる壁パネルについても基板にタイルを貼り合せた室内用壁パネルが知られており、通常タイルを貼り合わせる接着剤としてはシリコン系接着剤が用いられる。しかしながら、シリコン系接着剤は硬化するのに時間がかかり、硬化後はタイルとタイルの間のシリコンの目地が多孔質となるため、カビが発生し易いという問題がある。さらに、基板とタイルとは素材が異なるため、線膨張率の相違により壁パネルが反ってタイルの脱落や割れが発生するという問題もある。本発明はこのような問題を解決して、接着剤の硬化時間を短縮できるとともに、タイルの目地におけるカビの発生を防ぎ、得られた壁パネルの反りを防ぐことのできる室内用壁パネルを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、本発明によれば、複数個の平面視方形の表面化粧材を基板に格子状に貼り合わせてなる壁パネルであって、接着剤として可塑剤を含まない不透明の不飽和ポリエステル樹脂を用いて上記表面化粧材を基板に貼り合わせ、フレームでバッキングしてなる室内用壁パネルが提供される。上記表面化粧材としては、陶磁器質タイル等のタイル、大理石等の天然石などがあげられるが、好ましくはタイルが用いられる。
【0005】
上記基板はガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂の積層板からなるとともに、この不飽和ポリエステル樹脂と、接着剤を構成する不飽和ポリエステル樹脂とが同一であることが好ましい。また、上記接着剤としての可塑剤を含まない不透明の不飽和ポリエステル樹脂が白色不透明であることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明にかかる室内用壁パネルは上記のとおりであり、複数個の平面視方形の表面化粧材を、接着剤として可塑剤を含まない不透明の不飽和ポリエステル樹脂を用いて基板に貼り合わせ、この基板をフレームでバッキングしてなり、上記不飽和ポリエステル樹脂には可塑剤が含まれていないため短時間で硬化し、作業性が向上するとともに、硬化後は結晶性樹脂となる。その結果、タイルとタイルとの間の目地にカビが根を張ることが困難となり、カビの発生を防ぐことができる。また、基板がフレームでバッキングされているため、基板とタイルとの線膨張率の相違により壁パネルが反ってタイルが脱落したり割れたりすることを防ぐ。
【0007】
上記基板がガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂の積層板からなるため上記基板がガラス繊維で補強され、強度の向上したものとなる。また、基板を構成する不飽和ポリエステル樹脂と接着剤を構成する不飽和ポリエステル樹脂とが同一とされているため、基板と接着剤とが一体的に結合して優れた接着力が得られ、層間剥離を防ぐことができる。その結果、タイルを基板にしっかりと接着することができる。
【0008】
上記接着剤としての可塑剤を含まない不透明の不飽和ポリエステル樹脂が白色不透明とされているため、タイルとタイルとの間の接着部分が白色の目地部分となり、白色に縁取りされたタイルが格子状に貼り合わされた清潔感のある室内用壁パネルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して、詳細に説明する。図1は、本発明にかかる室内用壁パネルAの構成を示す分解説明図である。図2は、上記室内用壁パネルAを示す平断面図である。以下、図1、図2を用いて説明する。図1からよくわかるように、上記室内用壁パネルAは表面化粧材1として用いたタイル、このタイルと基板3とを接着する接着剤2、上記基板3をバッキングするフレーム4からなり、これらを積層、複合化して壁パネルとされる。
【0010】
本実施形態においては、上記接着剤2として白色顔料により白色不透明に着色され、可塑剤が添加されていない不飽和ポリエステル樹脂が用いられる。また、ガラス繊維で補強された不飽和ポリエステル樹脂からなるシート状のコンパウンドを積層、成形して基板3とし、基板3を構成する不飽和ポリエステル樹脂と接着剤2を構成する不飽和ポリエステル樹脂とを同一とする。このようにすることによって、基板3と接着剤2とが一体的に結合して優れた接着力が得られ、層間剥離を防ぐことができる。このとき、タイルとタイルとの間の接着部分が白色の清潔感のある目地21として表面に現れ、意匠性のよい室内用壁パネルAを得ることができる。
【0011】
さらに、上記シート状のコンパウンドを積層、成形する際にフレーム4を同時に成形することにより、基板3がフレーム4によりしっかりとバッキングされ、反りの発生を防ぐことができる。なお、本実施形態においては基板3とフレーム4とを同時に成形しているが、基板3を成形後に既製のフレーム4を接着等の手段により固定し、バッキングしてもよい。また、基板3として、上記の積層板に限られず、セメント板等他の材料を用いても、本発明の特許請求の範囲を逸脱しない限り本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明にかかる室内用壁パネルの構成を示す分解説明図である。
【図2】 本発明にかかる室内用壁パネルを示す平断面図である。
【符号の説明】
【0013】
A 本発明にかかる室内用壁パネル
1 表面化粧材
2 接着剤
21 目地
3 基板
4 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の平面視方形の表面化粧材を基板に格子状に貼り合わせてなる壁パネルであって、接着剤として可塑剤を含まない不透明の不飽和ポリエステル樹脂を用いて上記表面化粧材を基板に貼り合わせ、フレームでバッキングしてなる室内用壁パネル。
【請求項2】
上記基板がガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂の積層板からなるとともに、この不飽和ポリエステル樹脂と接着剤を構成する不飽和ポリエステル樹脂とが同一である請求項1に記載の室内用壁パネル。
【請求項3】
上記接着剤としての可塑剤を含まない不透明の不飽和ポリエステル樹脂が白色不透明である請求項1に記載の室内用壁パネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−299777(P2006−299777A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153035(P2005−153035)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(505154956)松下電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】