室外機
【課題】防音材の巻き付け作業の個人差による吸音性能の低下を防止する。
【解決手段】室外機10は、冷媒回路中の冷媒を圧縮する圧縮機22と、圧縮機22の側面を覆う第1防音材3Aとを備える。第1防音材3Aは、吸音材41及び遮音材42からなり、吸音材41を内側にした状態で圧縮機22に巻き付けられる防音材本体40と、巻き付け終端部Eが巻き付け始端部Sを越えて外側から重なるように防音材本体40が圧縮機22に巻き付けられた状態で、当該防音材本体40の巻き付け状態を保つための固定具45と、圧縮機22に巻き付けられた防音材本体40を固定具45により固定する際に、防音材本体40の巻き付け方向について巻き付け終端部Eの位置を決めるための目印46とを備える。
【解決手段】室外機10は、冷媒回路中の冷媒を圧縮する圧縮機22と、圧縮機22の側面を覆う第1防音材3Aとを備える。第1防音材3Aは、吸音材41及び遮音材42からなり、吸音材41を内側にした状態で圧縮機22に巻き付けられる防音材本体40と、巻き付け終端部Eが巻き付け始端部Sを越えて外側から重なるように防音材本体40が圧縮機22に巻き付けられた状態で、当該防音材本体40の巻き付け状態を保つための固定具45と、圧縮機22に巻き付けられた防音材本体40を固定具45により固定する際に、防音材本体40の巻き付け方向について巻き付け終端部Eの位置を決めるための目印46とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機などの冷凍装置に適用される室外機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気調和機、冷蔵機、冷凍機およびヒートポンプ給湯器など、冷媒回路を備えた冷凍装置が知られている。この冷凍装置の室外機は、圧縮機と、この圧縮機の運転時に生じる騒音を低減するために圧縮機を覆う防音材と、これらを収容するケースとを備えている。防音材は、例えばゴムなどの遮音性に優れた材料により形成された遮音材と、吸音性に優れた材料により形成された吸音材とが積層されたシート状の構造を有しており、圧縮機に巻き付けられた状態で当該圧縮機に固定される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
吸音材の材料としては、内部に連続した空隙が形成されているもの、例えばフェルトが用いられる。吸音材に音波が入射すると、空隙に存在する空気が振動し、この空気の振動が繊維の摩擦により熱エネルギーに変換され、結果として吸音現象が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−8363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防音材は、その両端部が適度に重なるように圧縮機に巻き付けられ、その状態で当該両端部同士が固定されることで圧縮機に装着される。固定手段としては、作業性が良いことから、巻き付け量に自由度を持たせながら両端部同士を固定することが可能な文化鋲や面ファスナーなどの固定手段が備えられている。そのため、実際の巻き付け量は作業者毎に差があり、必要以上に防音材が圧縮機に強く巻き付けられてしまう場合がある。このような場合には、吸音材が圧縮されて内部の空隙が潰れ、設計上予定される吸音性能が享受できない場合が発生し得る。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、圧縮機の側面を覆う防音材を備えた室外機において、防音材の巻き付け作業の個人差による吸音性能の低下を防止することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の室外機は、冷媒回路中の冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機の側面を覆う防音材とを備え、前記防音材は、互いに積層される吸音材及び遮音材を含みかつ前記吸音材を内側にした状態で前記圧縮機に巻き付けられる防音材本体と、前記防音材本体の一端である巻き付け終端部が他端である巻き付け始端部を越えて外側から重なるように当該防音材本体が前記圧縮機に巻き付けられた状態で、当該防音材本体の巻き付け状態を保つための固定手段と、前記圧縮機に巻き付けられた前記防音材本体を前記固定手段により固定する際に、前記防音材本体の巻き付け方向について前記巻き付け始端部に対する前記巻き付け終端部の相対位置を決めるための位置決め手段と、を備えているものである。
【0008】
この構成では、防音材は、圧縮機に防音材本体が巻き付けられた状態でその巻き付け状態が固定手段により保持されることで圧縮機に取り付けられる。防音材には、巻き付け始端部に対する前記巻き付け終端部の位置を決めるための位置決め手段が備えられているため、防音材を圧縮機に取り付ける際には、作業者に左右されることなく、一定の巻き付け量で防音材を圧縮機に巻き付けさせることが可能であり、その結果、個人差によって防音材が圧縮機に強く巻き付けられることが防止される。
【0009】
上記のような構成は、前記吸音材が、ガラス繊維製吸音材である場合に特に有用なものとなる。すなわち、ガラス繊維製吸音材は高い吸音性能を有する一方で、他の材質の吸音材に比べて圧縮率が大きく内部の空隙が潰れ易い。そのため、強く圧迫されると内部空隙が潰れた状態が保持されて吸音性能が著しく低下することが考えられる。従って、このようなガラス繊維製の吸音材を含む防音材が圧縮機に取り付けられる圧縮機について上記のような構成を適用すれば、吸音性能の低下を効果的に抑制することが可能となる。
【0010】
前記位置決め手段は、前記巻き付け終端部のうち上下両端をそれぞれ位置決めすることが可能なものであるのが好ましい。
【0011】
この構成によれば、圧縮機の上下で防音材の巻き付け量に差が出たり、圧縮機に対して防音材が斜めに巻き付けられることが防止される。そのため、これらの巻き付け不良に起因する防音効果の低下を未然に防止することが可能となる。
【0012】
また、前記防音材本体は、前記圧縮機として互いに径が異なる複数種類の圧縮機に巻き付けることが可能な形状を有し、前記防音材は、前記圧縮機の各種類にそれぞれ対応する複数の前記位置決め手段を備えているものであってもよい。
【0013】
この構成では、複数種類の圧縮機について防音材の共通化が図られる。特に、各種類の圧縮機にそれぞれ対応する位置決め手段が備えられているため、何れの圧縮機に対しても、定められた所定の巻き付け量で防音材を適切に巻き付けることが可能となる。
【0014】
なお、前記位置決め手段は、防音材本体の巻き付け始端部に対して巻き付け終端部の相対位置を決めることが可能なものであればよく、例えば、位置決め手段は、前記遮音材に形成される目印とすることができる。
【0015】
この構成によれば、簡易な構成で位置決め手段が具現化される。つまり、防音材本体の巻き付け終端部の位置を目印に合わせ、この状態で防音材本体の巻き付け状態を固定手段により保持することで、一定の巻き付け量で防音材(防音材本体)を適切に巻き付けることが可能となる。この場合、目印としては、文字、ライン、切欠き、孔等が例示できる。
【0016】
また、前記位置決め手段は、前記遮音材の表面に突設され、前記防音材本体の前記巻き付け終端部を突き当てることが可能な形状を有する凸部であってもよい。
【0017】
この構成によれば、防音材本体の巻き付け終端部を凸部に突き当てて位置決めするため、位置決めの精度が高く、また、当該突き当てにより直感的に巻き付け終端部を位置決めできるため、位置決めの作業性もよいものとなる。
【0018】
また、前記位置決め手段は、前記防音材本体のうち前記巻き付け始端部を含む一定の領域において前記遮音材がその厚み方向に切り欠かれることにより当該遮音材に形成された段差部からなり、この段差部は、前記巻き付け終端部を突き当てることが可能な形状を有するものであってもよい。
【0019】
この構成によれば、防音材本体の巻き付け終端部を遮音材に突き当てて位置決めすることを可能としつつ、巻き付け始端部と終端部との当該重ね合わせ部分の厚みがそれらの重ね合わせ方向に拡大することを抑えることが可能となる。
【0020】
さらに、前記位置決め手段は、前記巻き付け終端部側における前記遮音材の末端が前記吸音材の末端よりも前記巻き付け方向に突出するように前記防音材本体が形成されたものであり、前記吸音材のうち前記巻き付け終端部側の末端部分が前記巻き付け始端部に突き当てられることで前記巻き付け終端部を位置決めするものであってもよい。
【0021】
この構成の場合も、巻き付け始端部と終端部との当該重ね合わせ部分の厚みがそれらの重ね合わせ方向に拡大することを抑えながら位置決めを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、圧縮機に取り付ける防音材の巻き付け量を、作業者に左右されることなく一定にすることが可能であり、これによって防音材が必要以上に圧縮機に強く巻き付けられることが防止される。従って、防音材の巻き付け作業の個人差による吸音性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明が適用される空気調和装置の構成を示す配管系統図である。
【図2】底板とこれに設置された圧縮機とを示す室外機の断面略図である。
【図3】圧縮機とこれに取り付けられる防音材を示す斜視概略図である。
【図4】巻き付け終端部の近傍を示す防音材の展開状態の平面図である。
【図5】防音材が取り付けられた状態の圧縮機を示す斜視図である。
【図6】(a)は変形例にかかる防音材を示す展開状態の平面図、(b)は同防音材の側面図である。
【図7】圧縮機に巻き付けられた防音材の巻き付け始端部及び巻き付け終端部を示す断面略図である。
【図8】(a)は変形例にかかる防音材を示す展開状態の平面図、(b)は同防音材の側面図である。
【図9】圧縮機に巻き付けられた防音材の巻き付け始端部及び巻き付け終端部を示す断面略図である。
【図10】(a)は変形例にかかる防音材を示す展開状態の平面図、(b)は同防音材の側面図である。
【図11】圧縮機に巻き付けられた防音材の巻き付け始端部及び巻き付け終端部を示す断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0025】
図1は、本発明が適用される空気調和装置を配管系統図で示している。この図に示す空気調和装置1は、室外に設置される室外機10と、室内に設定される室内機12とを備えており、これらの間で冷媒を循環させながら冷房運転と暖房運転とを行う。
【0026】
前記室外機10は、圧縮機22、アキュムレータ24、四方切替弁26、室外熱交換器28、膨張弁30及びこれら圧縮機22等が収容されるケーシング11を備える。一方、室内機12は、室内熱交換器32及びこれが収容されるケーシング13を備える。
【0027】
前記圧縮機22、アキュムレータ24、四方切替弁26、室外熱交換器28、膨張弁30及び室内熱交換器32は配管で接続されており、これにより冷媒を循環させながら冷凍サイクルを実効するための冷媒回路20が構成されている。
【0028】
具体的に説明すると、前記圧縮機22は冷媒の吸入ポート及び吐出ポートを備える。吐出ポートは吐出管2aを介して四方切替弁26の第1ポート27aに接続され、吸入ポートは吸入管2bを介して四方切替弁26の第3ポート27cに接続されている。これにより圧縮機22は、吸入管2bを通じて冷媒を吸入、圧縮しながら当該圧縮された冷媒を吐出管2aに吐出する。この圧縮機22としては、例えば全密閉型の高圧ドーム型スクロール圧縮機やスイング圧縮機が適用される。
【0029】
前記アキュムレータ24は、前記吸入管2bの途中に介設されており、圧縮機22に吸入される冷媒中から液体成分を分離する。このアキュムレータ24は、圧縮機22に形成された取付部に固定されることで圧縮機22に一体に組み付けられている(図3参照)。この圧縮機22には、防音対策として防音部材3が取付けられている。この防音部材3については後に詳述する。
【0030】
前記室外熱交換器28は、二つの入出力ポートを備える。一方側の入出力ポートはガス管2cを介して四方切替弁26の第2ポート27bに接続され、他方側の入出力ポートは液管2dを介して膨張弁30に接続されている。この室外熱交換器28には室外ファン29が付設されており、当該室外熱交換器28は、入出力ポートから導入される冷媒と前記室外ファン29により取り込まれる室外空気とを熱交換させる。前記室内熱交換器32も室外熱交換器28と同様に二つの入出力ポートを備える。一方側の入出力ポートはガス管2eを介して四方切替弁26の第4ポート27dに接続され、他方側の入出力ポートは液管2fを介して膨張弁30に接続されている。この室内熱交換器32には室内ファン33が付設されており、当該室内熱交換器32は、入出力ポートから導入される冷媒を、前記室内ファン33により取り込まれる室内空気と熱交換させる。これら室外熱交換器28及び室内熱交換器32としては、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ型熱交換器が適用される。
【0031】
前記膨張弁30は、室外熱交換器28から液管2dを通じて、又は室内熱交換器32から液管2fを通じて流入する冷媒を膨張させることで、当該冷媒を所定圧力に減圧させる。この膨張弁30としては、例えば開度可変の電子膨張弁が適用される。
【0032】
前記四方切替弁26は、第1ポート27aと第2ポート27bとが連通しかつ第3ポート27cと第4ポート27dが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポート27aと第4ポート27dとが連通しかつ第2ポート27bと第3ポート27cとが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り替え可能に構成され、図外の制御装置により切り替え制御される。
【0033】
以上のように冷媒回路20が構成されることで、冷房運転時には、四方切替弁26が第1状態に制御されることで、冷媒が図1に実線矢印で示す方向に循環し、その結果、室外熱交換器28が凝縮器(放熱器)として、室内熱交換器32が蒸発器としてそれぞれ機能する。すなわち、冷房運転では、圧縮機22から吐出された高温高圧の冷媒は、室外熱交換器28へ流れ、室外空気へ放熱することにより凝縮する。この凝縮した冷媒は、膨張弁30で減圧された後、室内熱交換器32へ流れ、室内空気から吸熱して蒸発する。そして、この蒸発した冷媒がアキュムレータ24を通って圧縮機22へ吸入される。
【0034】
一方、暖房運転時には、四方切替弁26が第2状態に制御されることで、冷媒が図1に破線矢印で示す方向に循環し、その結果、室外熱交換器28が蒸発器として、室内熱交換器32が凝縮器(放熱器)としてそれぞれ機能する。すなわち、暖房運転では、圧縮機22から吐出された高温高圧の冷媒は、室内熱交換器32へ流れ、室内空気へ放熱することにより凝縮する。この凝縮した冷媒は、膨張弁30で減圧された後、室外熱交換器28へ流れ、室外空気から吸熱して蒸発する。そして、この蒸発した冷媒が、アキュムレータ24を通って圧縮機22へ吸入されることになる。
【0035】
次に、圧縮機22とこれに取付けられる防音部材3について図2〜図4を用いて説明する。
【0036】
前記圧縮機22は、略円柱状の縦長の本体部22aとその下端部に繋がる複数の脚部22bとを備えており、前記ケーシング11の底板16上に載置された状態で前記室外機10内に収容されている。なお、アキュムレータ24は、圧縮機22の本体部22aよりも小径かつ短寸の略円柱状をなし、本体部22aの側面部分に固定されている。
【0037】
圧縮機22には、上記の通り、防音対策として防音部材3が取り付けられている。この防音部材3は、圧縮機22及びアキュムレータ24の側面を一体に覆う第1防音材3A(本発明にかかる防音材に相当する)と、圧縮機22及びアキュムレータ24の上面を覆う第2防音材3Bとを含む。
【0038】
第1防音材3Aは、長方形のシート状をなす防音材本体40と、圧縮機22及びアキュムレータ24(以下、圧縮機22等と略す)に巻き付けられた当該防音材本体40をその巻き付け状態に保つための固定具45(本発明の固定手段に相当する)と、防音材本体40の圧縮機22への巻き付けに際して、後記巻き付け始端部Sに対する巻き付け終端部Eの相対的な位置を決めるための位置決め手段とを備える。
【0039】
防音材本体40は、巻き付け方向における一端部が巻き付け始端部S、他端部が巻き付け終端部Eとされ、当該巻き付け終端部Eを巻き付け始端部Sに重ね合わせた状態で圧縮機22等に巻き付けることが可能となるように、巻き付け方向の長さ寸法が設定されている。また、上下方向(巻き付け方向と直交する方向)については、前記圧縮機22の全体を覆うことが可能な長さ寸法を有する。具体的には、防音材本体40の下端部を前記底板16の上面に当接させた状態で、圧縮機22の脚部22bの下端から本体部22aのほぼ上端までを覆うことが可能な長さ寸法を有する。
【0040】
防音材本体40は、吸音材41および遮音材42が互いに厚み方向に積層、接着された構造を有しており、図2及び図3に示すように、圧縮機22等の側面に吸音材41が接触し、かつ、下端部が底板16の上面に当接するように、前記吸音材41を内側にした状態で圧縮機22等に巻き付けられている。詳しくは、巻き付け終端部Eが巻き付け始端部Sを越えて外側から重なるように圧縮機22等に防音材本体40が巻き付けられている。そして、このように防音材本体40が圧縮機22等に巻き付けられた状態で、当該防音材本体40の両端が固定具45により繋ぎ止められることで、第1防音材3Aが圧縮機22等に取り付けられている。
【0041】
第1防音材3Aは、前記固定具45として文化鋲を備えている。文化鋲は、防音材本体40の巻き付け始端部Sの近傍であって遮音材42に固定される円盤状の係止ボタン45aと、巻き付け終端部Eの近傍に設けられる係止紐45bとからなり、図5に示すように、係止紐45bが係止ボタン45aに巻き付けられることで防音材本体40の両端部を互いに繋ぎ止める。当実施形態では、係止ボタン45a及び係止紐45bは、防音材本体40の上下両端の近傍位置にそれぞれ設けられている。
【0042】
防音材本体40のうち吸音材41は、内部に多数の連続した空隙を有する繊維質の吸音材からなり、当実施形態では、略0.4〜3.5μmのガラス繊維が絡み合ったガラス繊維製のシート状の吸音材が適用されている。一方、遮音材42は、遮音性を有する材料、当実施形態ではゴムから形成されたシート状の遮音材が適用されている。
【0043】
ここで、防音材本体40の外側面、つまり圧縮機22に巻き付けられた状態での遮音材42の外側面には、前記位置決め手段である目印46が設けられている。この目印46は、圧縮機22等への防音材本体40の巻き付けに際して巻き付け始端部Sに対する巻き付け終端部Eの相対位置を決めるためのもの、換言すれば圧縮機22に対する防音材本体40の巻き付け量を決めるためのものである。当実施形態では、目印46として、図4に示すように、防音材本体40の巻き付け始端部Sの近傍であって防音材本体40の上下両端部に、それぞれ圧縮機22の種類に対応した複数の目印46a〜46cが設けられている。すなわち、防音材本体40は、径が互いに異なる複数種類の圧縮機22(アキュムレータ24の径は一定)に巻き付けることが可能となるように巻き付け方向の寸法が設定されており、従って、防音材本体40の外側面には、圧縮機22の種類(径)毎に定められた巻き付け終端部Eの位置を示す複数の目印46a〜46cが設けられている。
【0044】
各目印46a〜46cはそれぞれ、圧縮機22の径寸法表示(φ90、φ100、φ120)と巻き付け終端部Eの位置合わせ用のラインとを含んでいる。第1防音材3Aは、図5に示すように、目印46a〜46cのうち圧縮機22の種類(径)に対応した目印46a〜46c(ライン)に巻き付け終端部Eが位置するように圧縮機22等に巻き付けられ、この状態で防音材本体40の両端が前記固定具45により繋ぎ止められることで、当該圧縮機22の種類(径)に応じた適切な巻き付け量で圧縮機22に巻き付けられている。当実施形態では、圧縮機22はφ100(mm)であり、従って、第1防音材3Aは、図3に示すように、巻き付け終端部Eがφ100の径寸法表示を含む目印46bに位置決めされた状態で圧縮機22に巻き付けられている。
【0045】
なお、防音材本体40は、ガラス繊維製の吸音材41を含むため、圧縮機22に対して必要以上に強く巻き付けられると、遮音材42と圧縮機22との間で吸音材41が圧縮されて内部空隙が潰れるそれがある。従って、上記の目印46(46a〜46c)は、例えば、巻き付け前の吸音材41の厚み寸法をほぼ保った状態で防音材本体40が圧縮機22(本体部22a)の側面に接触するようにそれらの位置が定められている。
【0046】
一方、前記第2防音材3Bは、圧縮機22等の上面を一体的に覆うことが可能な形状、例えば卵形のシート状を有する。この第2防音材3Bも、図2に示すように、吸音材43と遮音材44とが互いに厚み方向に積層、接着された構造を有する。吸音材43及び遮音材44は、それぞれ第1防音材3Aのものと同等の材料ならなり、具体的には、吸音材43はガラス繊維製のシート状の吸音材からなり、遮音材44はゴムから形成されたシート状の遮音材からなる。
【0047】
この第2防音材3Bは、吸音材43が下側(圧縮機22等の側)に位置するように圧縮機22等の上面に被せられている。なお、第2防音材3Bは、同図及び図3に示すように、その厚み方向に貫通する一対の貫通孔50、52と、これら貫通孔50、52と第2防音材3Bの周縁とをそれぞれ結ぶスリット状の切込み部51、53とを備えており、これら切込み部51、53を通じて貫通孔50、52内に吐出管2a及び吸入管2bが挿入された状態で圧縮機22等の上面に被せられている。
【0048】
このように、上記空気調和装置1の室外機10では、防音部材3が圧縮機22等に取り付けられることで、圧縮機22等の側面が第1防音材3Aにより覆われるとともに、圧縮機22等の上面が第2防音材3Bにより覆われ、これら防音材3A,3Bによる遮音及び吸音の各作用により圧縮機22の防音効果が発揮される。
【0049】
その場合、第1防音材3Aについては、圧縮機22等に巻き付けられた状態で当該圧縮機22等に取り付けられるが、この第1防音材3Aによれば、防音材本体40に目印46が設けられ、防音材本体40の巻き付け終端部Eが目印46に位置決めされることで、一定の巻き付け量で圧縮機22に巻き付けられる。つまり、第1防音材3Aの巻き付け作業に個人差を伴い難い。従って、第1防音材3Aが必要以上に圧縮機22等に強く巻き付けられて内部空隙が潰れ、その結果、吸音性能が低下することが効果的に抑制される。すなわち、この第1防音材3Aは、上記の通り吸音材41がガラス繊維製の吸音材からなり、このようなガラス繊維製の吸音材は、連続する超微細な空隙が多数内部に存在するため高い吸音効果を発揮する反面、圧縮率が1/8〜1/10程度であり、他の防音材に比べて圧縮率が大きく内部の空隙が潰れ易い。そのため、圧縮機22等に強く巻き付けられると内部空隙が潰れてその状態が保持され、吸音性能が著しく低下するおそれがある。しかし、上記の第1防音材3Aによれば、巻き付け前の吸音材41の厚み寸法をほぼ保った状態で防音材本体40が圧縮機22の側面に接触するように目印46が設けられているため、巻き付け始端部Sの位置をこの目印46に合わせた状態で第1防音材3Aが圧縮機22に巻き付けられることで内部空隙が潰れることが防止される。従って、巻き付け作業の個人差によって吸音性能が低下することが効果的に抑制され、ガラス繊維を素材とする吸音材41が有する高い吸音効果を良好に享受することができる。
【0050】
しかも、目印46は、防音材本体40の上下両端にそれぞれ設けされているため、巻き付け始端部Sの上下両端がそれぞれ目印46に位置決めされることで、圧縮機22の上下で巻き付け量に差が出たり、第1防音材3Aが圧縮機22等に対して斜めに巻き付けられること等が防止される。従って、不適切な状態で第1防音材3Aが圧縮機22等に巻き付けられることによって防音効果が低下するという不都合が未然に防止される。
【0051】
加えて、この第1防音材3Aは、互いに径が異なる複数種類の圧縮機22(アキュムレータ24の径は一定)に巻き付け可能となるように防音材本体40が形成された上で、目印46として、当該各圧縮機22の種類(径)に対応した複数の目印46a〜46cが備えられている。従って、複数種類の圧縮機22について共通の第1防音材3Aを使用しつつ、何れの種類の圧縮機22についても上記の作用効果を享受できるという利点がある。
【0052】
なお、この第1防音材3Aは、防音材本体40の上下両端に目印46を備えているが、目印46の数や位置はこれに限定されるものではなく、防音材本体40の上下方向の寸法などに応じて適宜選定すればよい。また、第1防音材3Aは、目印46として圧縮機22の径寸法表示(φ90、φ100、φ120)と位置合わせ用のラインとを含むが、目印46の具体的な形態もこれに限定されるものではない。目印46は、文字、ライン、切欠き、孔等からなり、巻き付け終端部Eの位置を決めることができるものであればよい。また、第1防音材3Aは、必ずしも複数種類の圧縮機22に対応する目印46a〜46cを備えている必要はなく、最低一種類の圧縮機22に対応する目印46を備えていればよい。
【0053】
ところで、上述した室外機10は、本発明に係る室外機の実施形態の例示であって、室外機10の具体的な構成や、圧縮機22に取付けられる防音部材3の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0054】
例えば、第1防音材3Aは、以下の(1)〜(3)に記載されるような構成でもよい。
【0055】
(1)図6は、第1防音材3Aの変形例の一つを示しており、(a)は展開した状態の平面図で、(b)は、展開した状態の側面図で第1防音材3Aをそれぞれ示している。
【0056】
この第1防音材3Aは、図2、図3等に示した第1防音材3Aにおいて、巻き付け終端部Eの位置を決めるための位置決め手段として、前記目印46の代わりに複数の突条47(本発明の凸部に相当する)が設けられたものである。図示の例では、上下方向に断続的に並ぶ3つの突条47が設けられている。これら突条47は、防音材本体40の巻き付け終端部Eを突き当てることが可能な形状、具体的には、上下方向に細長い断面四角形の直方体状をなし、前記遮音材42の表面から突出するように当該遮音材42に一体に成形されている。
【0057】
この第1防音材3Aでは、防音材本体40を圧縮機22に巻き付け、図7に示すように、その巻き付け終端部Eを突条47に突き当てることにより当該巻き付け終端部Eを位置決めする。このような第1防音材3Aによれば、巻き付け終端部Eを突条47に突き当てた状態で防音材本体40の両端部を固定具45により繋ぎ止めることができるため、位置決めの精度が向上する。また、巻き付け終端部Eを突条47に突き当てるため、直感的に、かつ、確実に巻き付け終端部Eを位置決めできる。そのため、第1防音材3Aの巻き付け作業の作業性が向上するという利点がある。
【0058】
なお、突条47の数、位置及び形状は同図に示すものに限定されるものではく、防音材本体40の巻き付け終端部Eを突き当てて位置決めできるように適宜選定されていればよい。但し、圧縮機22の上下で巻き付け量に差が出たり、第1防音材3Aが圧縮機22等に対して斜めに巻き付けられることを防止する上で、突条47は、少なくも防音材本体40の上下両端に設けられているのが好ましい。
【0059】
(2)図8は、第1防音材3Aの他の変形例を示しており、(a)は展開した状態の平面図で、(b)は、展開した状態の側面図で第1防音材3Aをそれぞれ示している。
【0060】
この第1防音材3Aは、図2、図3等に示した第1防音材3Aにおいて、巻き付け終端部Eの位置を決めるための位置決め手段として、前記目印46の代わりに防音材本体40に段差部49が設けられたものである。この段差部49は、防音材本体40の巻き付け始端部Sを含む一定の領域において、遮音材42が上下方向全域に亘って厚み方向に切り欠かれることにより当該遮音材42に形成されたものである。
【0061】
この第1防音材3Aでは、防音材本体40を圧縮機22に巻き付け、図9に示すように、その巻き付け終端部Eを段差部49の壁面に突き当てることにより当該巻き付け終端部Eを位置決めする。このような第1防音材3Aによっても、上記(1)で説明した第1防音材3Aと同等の作用効果を奏することができる。加えて、この図8に示す第1防音材3Aによれば、遮音材42が厚み方向に切り欠かれている分、防音材本体40の重ね合わせ部分の厚みがそれらの重ね合わせ方向に拡大することを抑えながら巻き付け終端部Eを位置決めすることができる。
【0062】
(3)図10は、第1防音材3Aの他の変形例を示しており、(a)は展開した状態の平面図で、(b)は、展開した状態の側面図で第1防音材3Aをそれぞれ示している。
【0063】
この第1防音材3Aは、図2、図3等に示した第1防音材3Aにおいて、巻き付け終端部Eの位置を決めるための位置決め手段として、巻き付け終端部E側の遮音材42の末端が吸音材41の末端よりも巻き付け方向に突出するように防音材本体40が形成されたものである。なお、前記目印46は備えていない。
【0064】
この第1防音材3Aでは、防音材本体40を圧縮機22に巻き付け、図11に示すように、その巻き付け終端部E側の吸音材41を巻き付け始端部Sに突き当てることにより巻き付け終端部Eを位置決めする。このような第1防音材3Aよっても上記(1)で説明した第1防音材3Aと同等の作用効果を奏することができる。
【0065】
(4)なお、上記実施形態では、圧縮機22(本体部22a)の側面にアキュムレータ24が固定されているため、第1防音材3Aは、圧縮機22及びアキュムレータ24に一体的に巻き付けられている。しかし、圧縮機22とアキュムレータ24とが離れている場合には、第1防音材3Aは、圧縮機22にのみ巻き付けられるものであればよい。
【0066】
(5)上記実施形態では、第1防音材3Aは、固定具45として文化鋲を備えるが、文化鋲の代わりに面ファスナーを適用したものであってもよい。要は、防音材本体40の巻き付け量に自由度を持たせながらその両端部分同士を固定可能なものであればよい。
【0067】
(6)上記実施形態では、防音材本体40の吸音材41は、ガラス繊維製の吸音材からなるが、吸音材41は、フェルト等、ガラス繊維以外の材質からなる吸音材であってもよい。フェルト等の吸音材も圧縮されて内部の空隙が潰れると、設計上予定される吸音性能が享受できない場合が発生し得るため、上記第1防音材3Aのような構成は有用である。
【0068】
(7)上記実施形態では、本発明を空気調和装置に適用した例について説明したが、本発明は、勿論、冷蔵機、冷凍機およびヒートポンプ給湯器など、空気調和装置以外の冷凍装置についても適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
3 防音部材
3A 第1防音材
3B 第2防音材
16 底板
22 圧縮機
22a 本体部
22b 脚部
40 防音材本体
41 吸音材
42 遮音材
45 固定具(固定手段)
46 目印(位置決め手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機などの冷凍装置に適用される室外機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気調和機、冷蔵機、冷凍機およびヒートポンプ給湯器など、冷媒回路を備えた冷凍装置が知られている。この冷凍装置の室外機は、圧縮機と、この圧縮機の運転時に生じる騒音を低減するために圧縮機を覆う防音材と、これらを収容するケースとを備えている。防音材は、例えばゴムなどの遮音性に優れた材料により形成された遮音材と、吸音性に優れた材料により形成された吸音材とが積層されたシート状の構造を有しており、圧縮機に巻き付けられた状態で当該圧縮機に固定される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
吸音材の材料としては、内部に連続した空隙が形成されているもの、例えばフェルトが用いられる。吸音材に音波が入射すると、空隙に存在する空気が振動し、この空気の振動が繊維の摩擦により熱エネルギーに変換され、結果として吸音現象が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−8363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防音材は、その両端部が適度に重なるように圧縮機に巻き付けられ、その状態で当該両端部同士が固定されることで圧縮機に装着される。固定手段としては、作業性が良いことから、巻き付け量に自由度を持たせながら両端部同士を固定することが可能な文化鋲や面ファスナーなどの固定手段が備えられている。そのため、実際の巻き付け量は作業者毎に差があり、必要以上に防音材が圧縮機に強く巻き付けられてしまう場合がある。このような場合には、吸音材が圧縮されて内部の空隙が潰れ、設計上予定される吸音性能が享受できない場合が発生し得る。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、圧縮機の側面を覆う防音材を備えた室外機において、防音材の巻き付け作業の個人差による吸音性能の低下を防止することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の室外機は、冷媒回路中の冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機の側面を覆う防音材とを備え、前記防音材は、互いに積層される吸音材及び遮音材を含みかつ前記吸音材を内側にした状態で前記圧縮機に巻き付けられる防音材本体と、前記防音材本体の一端である巻き付け終端部が他端である巻き付け始端部を越えて外側から重なるように当該防音材本体が前記圧縮機に巻き付けられた状態で、当該防音材本体の巻き付け状態を保つための固定手段と、前記圧縮機に巻き付けられた前記防音材本体を前記固定手段により固定する際に、前記防音材本体の巻き付け方向について前記巻き付け始端部に対する前記巻き付け終端部の相対位置を決めるための位置決め手段と、を備えているものである。
【0008】
この構成では、防音材は、圧縮機に防音材本体が巻き付けられた状態でその巻き付け状態が固定手段により保持されることで圧縮機に取り付けられる。防音材には、巻き付け始端部に対する前記巻き付け終端部の位置を決めるための位置決め手段が備えられているため、防音材を圧縮機に取り付ける際には、作業者に左右されることなく、一定の巻き付け量で防音材を圧縮機に巻き付けさせることが可能であり、その結果、個人差によって防音材が圧縮機に強く巻き付けられることが防止される。
【0009】
上記のような構成は、前記吸音材が、ガラス繊維製吸音材である場合に特に有用なものとなる。すなわち、ガラス繊維製吸音材は高い吸音性能を有する一方で、他の材質の吸音材に比べて圧縮率が大きく内部の空隙が潰れ易い。そのため、強く圧迫されると内部空隙が潰れた状態が保持されて吸音性能が著しく低下することが考えられる。従って、このようなガラス繊維製の吸音材を含む防音材が圧縮機に取り付けられる圧縮機について上記のような構成を適用すれば、吸音性能の低下を効果的に抑制することが可能となる。
【0010】
前記位置決め手段は、前記巻き付け終端部のうち上下両端をそれぞれ位置決めすることが可能なものであるのが好ましい。
【0011】
この構成によれば、圧縮機の上下で防音材の巻き付け量に差が出たり、圧縮機に対して防音材が斜めに巻き付けられることが防止される。そのため、これらの巻き付け不良に起因する防音効果の低下を未然に防止することが可能となる。
【0012】
また、前記防音材本体は、前記圧縮機として互いに径が異なる複数種類の圧縮機に巻き付けることが可能な形状を有し、前記防音材は、前記圧縮機の各種類にそれぞれ対応する複数の前記位置決め手段を備えているものであってもよい。
【0013】
この構成では、複数種類の圧縮機について防音材の共通化が図られる。特に、各種類の圧縮機にそれぞれ対応する位置決め手段が備えられているため、何れの圧縮機に対しても、定められた所定の巻き付け量で防音材を適切に巻き付けることが可能となる。
【0014】
なお、前記位置決め手段は、防音材本体の巻き付け始端部に対して巻き付け終端部の相対位置を決めることが可能なものであればよく、例えば、位置決め手段は、前記遮音材に形成される目印とすることができる。
【0015】
この構成によれば、簡易な構成で位置決め手段が具現化される。つまり、防音材本体の巻き付け終端部の位置を目印に合わせ、この状態で防音材本体の巻き付け状態を固定手段により保持することで、一定の巻き付け量で防音材(防音材本体)を適切に巻き付けることが可能となる。この場合、目印としては、文字、ライン、切欠き、孔等が例示できる。
【0016】
また、前記位置決め手段は、前記遮音材の表面に突設され、前記防音材本体の前記巻き付け終端部を突き当てることが可能な形状を有する凸部であってもよい。
【0017】
この構成によれば、防音材本体の巻き付け終端部を凸部に突き当てて位置決めするため、位置決めの精度が高く、また、当該突き当てにより直感的に巻き付け終端部を位置決めできるため、位置決めの作業性もよいものとなる。
【0018】
また、前記位置決め手段は、前記防音材本体のうち前記巻き付け始端部を含む一定の領域において前記遮音材がその厚み方向に切り欠かれることにより当該遮音材に形成された段差部からなり、この段差部は、前記巻き付け終端部を突き当てることが可能な形状を有するものであってもよい。
【0019】
この構成によれば、防音材本体の巻き付け終端部を遮音材に突き当てて位置決めすることを可能としつつ、巻き付け始端部と終端部との当該重ね合わせ部分の厚みがそれらの重ね合わせ方向に拡大することを抑えることが可能となる。
【0020】
さらに、前記位置決め手段は、前記巻き付け終端部側における前記遮音材の末端が前記吸音材の末端よりも前記巻き付け方向に突出するように前記防音材本体が形成されたものであり、前記吸音材のうち前記巻き付け終端部側の末端部分が前記巻き付け始端部に突き当てられることで前記巻き付け終端部を位置決めするものであってもよい。
【0021】
この構成の場合も、巻き付け始端部と終端部との当該重ね合わせ部分の厚みがそれらの重ね合わせ方向に拡大することを抑えながら位置決めを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、圧縮機に取り付ける防音材の巻き付け量を、作業者に左右されることなく一定にすることが可能であり、これによって防音材が必要以上に圧縮機に強く巻き付けられることが防止される。従って、防音材の巻き付け作業の個人差による吸音性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明が適用される空気調和装置の構成を示す配管系統図である。
【図2】底板とこれに設置された圧縮機とを示す室外機の断面略図である。
【図3】圧縮機とこれに取り付けられる防音材を示す斜視概略図である。
【図4】巻き付け終端部の近傍を示す防音材の展開状態の平面図である。
【図5】防音材が取り付けられた状態の圧縮機を示す斜視図である。
【図6】(a)は変形例にかかる防音材を示す展開状態の平面図、(b)は同防音材の側面図である。
【図7】圧縮機に巻き付けられた防音材の巻き付け始端部及び巻き付け終端部を示す断面略図である。
【図8】(a)は変形例にかかる防音材を示す展開状態の平面図、(b)は同防音材の側面図である。
【図9】圧縮機に巻き付けられた防音材の巻き付け始端部及び巻き付け終端部を示す断面略図である。
【図10】(a)は変形例にかかる防音材を示す展開状態の平面図、(b)は同防音材の側面図である。
【図11】圧縮機に巻き付けられた防音材の巻き付け始端部及び巻き付け終端部を示す断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0025】
図1は、本発明が適用される空気調和装置を配管系統図で示している。この図に示す空気調和装置1は、室外に設置される室外機10と、室内に設定される室内機12とを備えており、これらの間で冷媒を循環させながら冷房運転と暖房運転とを行う。
【0026】
前記室外機10は、圧縮機22、アキュムレータ24、四方切替弁26、室外熱交換器28、膨張弁30及びこれら圧縮機22等が収容されるケーシング11を備える。一方、室内機12は、室内熱交換器32及びこれが収容されるケーシング13を備える。
【0027】
前記圧縮機22、アキュムレータ24、四方切替弁26、室外熱交換器28、膨張弁30及び室内熱交換器32は配管で接続されており、これにより冷媒を循環させながら冷凍サイクルを実効するための冷媒回路20が構成されている。
【0028】
具体的に説明すると、前記圧縮機22は冷媒の吸入ポート及び吐出ポートを備える。吐出ポートは吐出管2aを介して四方切替弁26の第1ポート27aに接続され、吸入ポートは吸入管2bを介して四方切替弁26の第3ポート27cに接続されている。これにより圧縮機22は、吸入管2bを通じて冷媒を吸入、圧縮しながら当該圧縮された冷媒を吐出管2aに吐出する。この圧縮機22としては、例えば全密閉型の高圧ドーム型スクロール圧縮機やスイング圧縮機が適用される。
【0029】
前記アキュムレータ24は、前記吸入管2bの途中に介設されており、圧縮機22に吸入される冷媒中から液体成分を分離する。このアキュムレータ24は、圧縮機22に形成された取付部に固定されることで圧縮機22に一体に組み付けられている(図3参照)。この圧縮機22には、防音対策として防音部材3が取付けられている。この防音部材3については後に詳述する。
【0030】
前記室外熱交換器28は、二つの入出力ポートを備える。一方側の入出力ポートはガス管2cを介して四方切替弁26の第2ポート27bに接続され、他方側の入出力ポートは液管2dを介して膨張弁30に接続されている。この室外熱交換器28には室外ファン29が付設されており、当該室外熱交換器28は、入出力ポートから導入される冷媒と前記室外ファン29により取り込まれる室外空気とを熱交換させる。前記室内熱交換器32も室外熱交換器28と同様に二つの入出力ポートを備える。一方側の入出力ポートはガス管2eを介して四方切替弁26の第4ポート27dに接続され、他方側の入出力ポートは液管2fを介して膨張弁30に接続されている。この室内熱交換器32には室内ファン33が付設されており、当該室内熱交換器32は、入出力ポートから導入される冷媒を、前記室内ファン33により取り込まれる室内空気と熱交換させる。これら室外熱交換器28及び室内熱交換器32としては、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ型熱交換器が適用される。
【0031】
前記膨張弁30は、室外熱交換器28から液管2dを通じて、又は室内熱交換器32から液管2fを通じて流入する冷媒を膨張させることで、当該冷媒を所定圧力に減圧させる。この膨張弁30としては、例えば開度可変の電子膨張弁が適用される。
【0032】
前記四方切替弁26は、第1ポート27aと第2ポート27bとが連通しかつ第3ポート27cと第4ポート27dが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポート27aと第4ポート27dとが連通しかつ第2ポート27bと第3ポート27cとが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り替え可能に構成され、図外の制御装置により切り替え制御される。
【0033】
以上のように冷媒回路20が構成されることで、冷房運転時には、四方切替弁26が第1状態に制御されることで、冷媒が図1に実線矢印で示す方向に循環し、その結果、室外熱交換器28が凝縮器(放熱器)として、室内熱交換器32が蒸発器としてそれぞれ機能する。すなわち、冷房運転では、圧縮機22から吐出された高温高圧の冷媒は、室外熱交換器28へ流れ、室外空気へ放熱することにより凝縮する。この凝縮した冷媒は、膨張弁30で減圧された後、室内熱交換器32へ流れ、室内空気から吸熱して蒸発する。そして、この蒸発した冷媒がアキュムレータ24を通って圧縮機22へ吸入される。
【0034】
一方、暖房運転時には、四方切替弁26が第2状態に制御されることで、冷媒が図1に破線矢印で示す方向に循環し、その結果、室外熱交換器28が蒸発器として、室内熱交換器32が凝縮器(放熱器)としてそれぞれ機能する。すなわち、暖房運転では、圧縮機22から吐出された高温高圧の冷媒は、室内熱交換器32へ流れ、室内空気へ放熱することにより凝縮する。この凝縮した冷媒は、膨張弁30で減圧された後、室外熱交換器28へ流れ、室外空気から吸熱して蒸発する。そして、この蒸発した冷媒が、アキュムレータ24を通って圧縮機22へ吸入されることになる。
【0035】
次に、圧縮機22とこれに取付けられる防音部材3について図2〜図4を用いて説明する。
【0036】
前記圧縮機22は、略円柱状の縦長の本体部22aとその下端部に繋がる複数の脚部22bとを備えており、前記ケーシング11の底板16上に載置された状態で前記室外機10内に収容されている。なお、アキュムレータ24は、圧縮機22の本体部22aよりも小径かつ短寸の略円柱状をなし、本体部22aの側面部分に固定されている。
【0037】
圧縮機22には、上記の通り、防音対策として防音部材3が取り付けられている。この防音部材3は、圧縮機22及びアキュムレータ24の側面を一体に覆う第1防音材3A(本発明にかかる防音材に相当する)と、圧縮機22及びアキュムレータ24の上面を覆う第2防音材3Bとを含む。
【0038】
第1防音材3Aは、長方形のシート状をなす防音材本体40と、圧縮機22及びアキュムレータ24(以下、圧縮機22等と略す)に巻き付けられた当該防音材本体40をその巻き付け状態に保つための固定具45(本発明の固定手段に相当する)と、防音材本体40の圧縮機22への巻き付けに際して、後記巻き付け始端部Sに対する巻き付け終端部Eの相対的な位置を決めるための位置決め手段とを備える。
【0039】
防音材本体40は、巻き付け方向における一端部が巻き付け始端部S、他端部が巻き付け終端部Eとされ、当該巻き付け終端部Eを巻き付け始端部Sに重ね合わせた状態で圧縮機22等に巻き付けることが可能となるように、巻き付け方向の長さ寸法が設定されている。また、上下方向(巻き付け方向と直交する方向)については、前記圧縮機22の全体を覆うことが可能な長さ寸法を有する。具体的には、防音材本体40の下端部を前記底板16の上面に当接させた状態で、圧縮機22の脚部22bの下端から本体部22aのほぼ上端までを覆うことが可能な長さ寸法を有する。
【0040】
防音材本体40は、吸音材41および遮音材42が互いに厚み方向に積層、接着された構造を有しており、図2及び図3に示すように、圧縮機22等の側面に吸音材41が接触し、かつ、下端部が底板16の上面に当接するように、前記吸音材41を内側にした状態で圧縮機22等に巻き付けられている。詳しくは、巻き付け終端部Eが巻き付け始端部Sを越えて外側から重なるように圧縮機22等に防音材本体40が巻き付けられている。そして、このように防音材本体40が圧縮機22等に巻き付けられた状態で、当該防音材本体40の両端が固定具45により繋ぎ止められることで、第1防音材3Aが圧縮機22等に取り付けられている。
【0041】
第1防音材3Aは、前記固定具45として文化鋲を備えている。文化鋲は、防音材本体40の巻き付け始端部Sの近傍であって遮音材42に固定される円盤状の係止ボタン45aと、巻き付け終端部Eの近傍に設けられる係止紐45bとからなり、図5に示すように、係止紐45bが係止ボタン45aに巻き付けられることで防音材本体40の両端部を互いに繋ぎ止める。当実施形態では、係止ボタン45a及び係止紐45bは、防音材本体40の上下両端の近傍位置にそれぞれ設けられている。
【0042】
防音材本体40のうち吸音材41は、内部に多数の連続した空隙を有する繊維質の吸音材からなり、当実施形態では、略0.4〜3.5μmのガラス繊維が絡み合ったガラス繊維製のシート状の吸音材が適用されている。一方、遮音材42は、遮音性を有する材料、当実施形態ではゴムから形成されたシート状の遮音材が適用されている。
【0043】
ここで、防音材本体40の外側面、つまり圧縮機22に巻き付けられた状態での遮音材42の外側面には、前記位置決め手段である目印46が設けられている。この目印46は、圧縮機22等への防音材本体40の巻き付けに際して巻き付け始端部Sに対する巻き付け終端部Eの相対位置を決めるためのもの、換言すれば圧縮機22に対する防音材本体40の巻き付け量を決めるためのものである。当実施形態では、目印46として、図4に示すように、防音材本体40の巻き付け始端部Sの近傍であって防音材本体40の上下両端部に、それぞれ圧縮機22の種類に対応した複数の目印46a〜46cが設けられている。すなわち、防音材本体40は、径が互いに異なる複数種類の圧縮機22(アキュムレータ24の径は一定)に巻き付けることが可能となるように巻き付け方向の寸法が設定されており、従って、防音材本体40の外側面には、圧縮機22の種類(径)毎に定められた巻き付け終端部Eの位置を示す複数の目印46a〜46cが設けられている。
【0044】
各目印46a〜46cはそれぞれ、圧縮機22の径寸法表示(φ90、φ100、φ120)と巻き付け終端部Eの位置合わせ用のラインとを含んでいる。第1防音材3Aは、図5に示すように、目印46a〜46cのうち圧縮機22の種類(径)に対応した目印46a〜46c(ライン)に巻き付け終端部Eが位置するように圧縮機22等に巻き付けられ、この状態で防音材本体40の両端が前記固定具45により繋ぎ止められることで、当該圧縮機22の種類(径)に応じた適切な巻き付け量で圧縮機22に巻き付けられている。当実施形態では、圧縮機22はφ100(mm)であり、従って、第1防音材3Aは、図3に示すように、巻き付け終端部Eがφ100の径寸法表示を含む目印46bに位置決めされた状態で圧縮機22に巻き付けられている。
【0045】
なお、防音材本体40は、ガラス繊維製の吸音材41を含むため、圧縮機22に対して必要以上に強く巻き付けられると、遮音材42と圧縮機22との間で吸音材41が圧縮されて内部空隙が潰れるそれがある。従って、上記の目印46(46a〜46c)は、例えば、巻き付け前の吸音材41の厚み寸法をほぼ保った状態で防音材本体40が圧縮機22(本体部22a)の側面に接触するようにそれらの位置が定められている。
【0046】
一方、前記第2防音材3Bは、圧縮機22等の上面を一体的に覆うことが可能な形状、例えば卵形のシート状を有する。この第2防音材3Bも、図2に示すように、吸音材43と遮音材44とが互いに厚み方向に積層、接着された構造を有する。吸音材43及び遮音材44は、それぞれ第1防音材3Aのものと同等の材料ならなり、具体的には、吸音材43はガラス繊維製のシート状の吸音材からなり、遮音材44はゴムから形成されたシート状の遮音材からなる。
【0047】
この第2防音材3Bは、吸音材43が下側(圧縮機22等の側)に位置するように圧縮機22等の上面に被せられている。なお、第2防音材3Bは、同図及び図3に示すように、その厚み方向に貫通する一対の貫通孔50、52と、これら貫通孔50、52と第2防音材3Bの周縁とをそれぞれ結ぶスリット状の切込み部51、53とを備えており、これら切込み部51、53を通じて貫通孔50、52内に吐出管2a及び吸入管2bが挿入された状態で圧縮機22等の上面に被せられている。
【0048】
このように、上記空気調和装置1の室外機10では、防音部材3が圧縮機22等に取り付けられることで、圧縮機22等の側面が第1防音材3Aにより覆われるとともに、圧縮機22等の上面が第2防音材3Bにより覆われ、これら防音材3A,3Bによる遮音及び吸音の各作用により圧縮機22の防音効果が発揮される。
【0049】
その場合、第1防音材3Aについては、圧縮機22等に巻き付けられた状態で当該圧縮機22等に取り付けられるが、この第1防音材3Aによれば、防音材本体40に目印46が設けられ、防音材本体40の巻き付け終端部Eが目印46に位置決めされることで、一定の巻き付け量で圧縮機22に巻き付けられる。つまり、第1防音材3Aの巻き付け作業に個人差を伴い難い。従って、第1防音材3Aが必要以上に圧縮機22等に強く巻き付けられて内部空隙が潰れ、その結果、吸音性能が低下することが効果的に抑制される。すなわち、この第1防音材3Aは、上記の通り吸音材41がガラス繊維製の吸音材からなり、このようなガラス繊維製の吸音材は、連続する超微細な空隙が多数内部に存在するため高い吸音効果を発揮する反面、圧縮率が1/8〜1/10程度であり、他の防音材に比べて圧縮率が大きく内部の空隙が潰れ易い。そのため、圧縮機22等に強く巻き付けられると内部空隙が潰れてその状態が保持され、吸音性能が著しく低下するおそれがある。しかし、上記の第1防音材3Aによれば、巻き付け前の吸音材41の厚み寸法をほぼ保った状態で防音材本体40が圧縮機22の側面に接触するように目印46が設けられているため、巻き付け始端部Sの位置をこの目印46に合わせた状態で第1防音材3Aが圧縮機22に巻き付けられることで内部空隙が潰れることが防止される。従って、巻き付け作業の個人差によって吸音性能が低下することが効果的に抑制され、ガラス繊維を素材とする吸音材41が有する高い吸音効果を良好に享受することができる。
【0050】
しかも、目印46は、防音材本体40の上下両端にそれぞれ設けされているため、巻き付け始端部Sの上下両端がそれぞれ目印46に位置決めされることで、圧縮機22の上下で巻き付け量に差が出たり、第1防音材3Aが圧縮機22等に対して斜めに巻き付けられること等が防止される。従って、不適切な状態で第1防音材3Aが圧縮機22等に巻き付けられることによって防音効果が低下するという不都合が未然に防止される。
【0051】
加えて、この第1防音材3Aは、互いに径が異なる複数種類の圧縮機22(アキュムレータ24の径は一定)に巻き付け可能となるように防音材本体40が形成された上で、目印46として、当該各圧縮機22の種類(径)に対応した複数の目印46a〜46cが備えられている。従って、複数種類の圧縮機22について共通の第1防音材3Aを使用しつつ、何れの種類の圧縮機22についても上記の作用効果を享受できるという利点がある。
【0052】
なお、この第1防音材3Aは、防音材本体40の上下両端に目印46を備えているが、目印46の数や位置はこれに限定されるものではなく、防音材本体40の上下方向の寸法などに応じて適宜選定すればよい。また、第1防音材3Aは、目印46として圧縮機22の径寸法表示(φ90、φ100、φ120)と位置合わせ用のラインとを含むが、目印46の具体的な形態もこれに限定されるものではない。目印46は、文字、ライン、切欠き、孔等からなり、巻き付け終端部Eの位置を決めることができるものであればよい。また、第1防音材3Aは、必ずしも複数種類の圧縮機22に対応する目印46a〜46cを備えている必要はなく、最低一種類の圧縮機22に対応する目印46を備えていればよい。
【0053】
ところで、上述した室外機10は、本発明に係る室外機の実施形態の例示であって、室外機10の具体的な構成や、圧縮機22に取付けられる防音部材3の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0054】
例えば、第1防音材3Aは、以下の(1)〜(3)に記載されるような構成でもよい。
【0055】
(1)図6は、第1防音材3Aの変形例の一つを示しており、(a)は展開した状態の平面図で、(b)は、展開した状態の側面図で第1防音材3Aをそれぞれ示している。
【0056】
この第1防音材3Aは、図2、図3等に示した第1防音材3Aにおいて、巻き付け終端部Eの位置を決めるための位置決め手段として、前記目印46の代わりに複数の突条47(本発明の凸部に相当する)が設けられたものである。図示の例では、上下方向に断続的に並ぶ3つの突条47が設けられている。これら突条47は、防音材本体40の巻き付け終端部Eを突き当てることが可能な形状、具体的には、上下方向に細長い断面四角形の直方体状をなし、前記遮音材42の表面から突出するように当該遮音材42に一体に成形されている。
【0057】
この第1防音材3Aでは、防音材本体40を圧縮機22に巻き付け、図7に示すように、その巻き付け終端部Eを突条47に突き当てることにより当該巻き付け終端部Eを位置決めする。このような第1防音材3Aによれば、巻き付け終端部Eを突条47に突き当てた状態で防音材本体40の両端部を固定具45により繋ぎ止めることができるため、位置決めの精度が向上する。また、巻き付け終端部Eを突条47に突き当てるため、直感的に、かつ、確実に巻き付け終端部Eを位置決めできる。そのため、第1防音材3Aの巻き付け作業の作業性が向上するという利点がある。
【0058】
なお、突条47の数、位置及び形状は同図に示すものに限定されるものではく、防音材本体40の巻き付け終端部Eを突き当てて位置決めできるように適宜選定されていればよい。但し、圧縮機22の上下で巻き付け量に差が出たり、第1防音材3Aが圧縮機22等に対して斜めに巻き付けられることを防止する上で、突条47は、少なくも防音材本体40の上下両端に設けられているのが好ましい。
【0059】
(2)図8は、第1防音材3Aの他の変形例を示しており、(a)は展開した状態の平面図で、(b)は、展開した状態の側面図で第1防音材3Aをそれぞれ示している。
【0060】
この第1防音材3Aは、図2、図3等に示した第1防音材3Aにおいて、巻き付け終端部Eの位置を決めるための位置決め手段として、前記目印46の代わりに防音材本体40に段差部49が設けられたものである。この段差部49は、防音材本体40の巻き付け始端部Sを含む一定の領域において、遮音材42が上下方向全域に亘って厚み方向に切り欠かれることにより当該遮音材42に形成されたものである。
【0061】
この第1防音材3Aでは、防音材本体40を圧縮機22に巻き付け、図9に示すように、その巻き付け終端部Eを段差部49の壁面に突き当てることにより当該巻き付け終端部Eを位置決めする。このような第1防音材3Aによっても、上記(1)で説明した第1防音材3Aと同等の作用効果を奏することができる。加えて、この図8に示す第1防音材3Aによれば、遮音材42が厚み方向に切り欠かれている分、防音材本体40の重ね合わせ部分の厚みがそれらの重ね合わせ方向に拡大することを抑えながら巻き付け終端部Eを位置決めすることができる。
【0062】
(3)図10は、第1防音材3Aの他の変形例を示しており、(a)は展開した状態の平面図で、(b)は、展開した状態の側面図で第1防音材3Aをそれぞれ示している。
【0063】
この第1防音材3Aは、図2、図3等に示した第1防音材3Aにおいて、巻き付け終端部Eの位置を決めるための位置決め手段として、巻き付け終端部E側の遮音材42の末端が吸音材41の末端よりも巻き付け方向に突出するように防音材本体40が形成されたものである。なお、前記目印46は備えていない。
【0064】
この第1防音材3Aでは、防音材本体40を圧縮機22に巻き付け、図11に示すように、その巻き付け終端部E側の吸音材41を巻き付け始端部Sに突き当てることにより巻き付け終端部Eを位置決めする。このような第1防音材3Aよっても上記(1)で説明した第1防音材3Aと同等の作用効果を奏することができる。
【0065】
(4)なお、上記実施形態では、圧縮機22(本体部22a)の側面にアキュムレータ24が固定されているため、第1防音材3Aは、圧縮機22及びアキュムレータ24に一体的に巻き付けられている。しかし、圧縮機22とアキュムレータ24とが離れている場合には、第1防音材3Aは、圧縮機22にのみ巻き付けられるものであればよい。
【0066】
(5)上記実施形態では、第1防音材3Aは、固定具45として文化鋲を備えるが、文化鋲の代わりに面ファスナーを適用したものであってもよい。要は、防音材本体40の巻き付け量に自由度を持たせながらその両端部分同士を固定可能なものであればよい。
【0067】
(6)上記実施形態では、防音材本体40の吸音材41は、ガラス繊維製の吸音材からなるが、吸音材41は、フェルト等、ガラス繊維以外の材質からなる吸音材であってもよい。フェルト等の吸音材も圧縮されて内部の空隙が潰れると、設計上予定される吸音性能が享受できない場合が発生し得るため、上記第1防音材3Aのような構成は有用である。
【0068】
(7)上記実施形態では、本発明を空気調和装置に適用した例について説明したが、本発明は、勿論、冷蔵機、冷凍機およびヒートポンプ給湯器など、空気調和装置以外の冷凍装置についても適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
3 防音部材
3A 第1防音材
3B 第2防音材
16 底板
22 圧縮機
22a 本体部
22b 脚部
40 防音材本体
41 吸音材
42 遮音材
45 固定具(固定手段)
46 目印(位置決め手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路(20)中の冷媒を圧縮する圧縮機(22)と、この圧縮機(22)の側面を覆う防音材(3A)と、を備え、
前記防音材(3A)は、互いに積層される吸音材(41)及び遮音材(42)を含みかつ前記吸音材(41)を内側にした状態で前記圧縮機(22)に巻き付けられる防音材本体(40)と、前記防音材本体(40)の一端である巻き付け終端部(E)が他端である巻き付け始端部(S)を越えて外側から重なるように当該防音材本体(40)が前記圧縮機(22)に巻き付けられた状態で、当該防音材本体(40)の巻き付け状態を保つための固定手段(45)と、前記圧縮機(22)に巻き付けられた前記防音材本体(40)を前記固定手段(45)により固定する際に、前記防音材本体(40)の巻き付け方向について前記巻き付け始端部(S)に対する前記巻き付け終端部(E)の相対位置を決めるための位置決め手段と、を備えていることを特徴とする室外機(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の室外機において、
前記吸音材(41)は、ガラス繊維製吸音材であることを特徴とする室外機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の室外機において、
前記位置決め手段は、前記巻き付け終端部(E)のうち上下両端をそれぞれ位置決めすることが可能であることを特徴とする室外機。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の室外機において、
前記防音材本体(40)は、前記圧縮機(22)として互いに径が異なる複数種類の圧縮機(22)に巻き付けることが可能な形状を有し、前記防音材(3A)は、前記圧縮機(22)の各種類にそれぞれ対応する複数の前記位置決め手段を備えていることを特徴とする室外機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の室外機において、
前記位置決め手段は、前記遮音材(42)に形成される目印(46)であることを特徴とする室外機。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の室外機において、
前記位置決め手段は、前記遮音材(42)の表面に突設され、前記防音材本体(40)の前記巻き付け終端部(E)を突き当てることが可能な形状を有する凸部(47)であることを特徴とする室外機。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の室外機において、
前記位置決め手段は、前記防音材本体(40)のうち前記巻き付け始端部(E)を含む一定の領域において前記遮音材(42)がその厚み方向に切り欠かれることにより当該遮音材(42)に形成された段差部(48)からなり、この段差部(48)は、前記巻き付け終端部(E)を突き当てることが可能な形状を有することを特徴とする室外機。
【請求項8】
請求項1乃至4の何れ一項に記載の室外機において、
前記位置決め手段は、前記巻き付け終端部(E)側における前記遮音材(42)の末端が前記吸音材(41)の末端よりも前記巻き付け方向に突出するように前記防音材本体(40)が形成されたものであり、前記吸音材(41)のうち前記巻き付け終端部(E)側の末端部分が前記巻き付け始端部(S)に突き当てられることで前記巻き付け終端部(E)を位置決めすることを特徴とする室外機。
【請求項1】
冷媒回路(20)中の冷媒を圧縮する圧縮機(22)と、この圧縮機(22)の側面を覆う防音材(3A)と、を備え、
前記防音材(3A)は、互いに積層される吸音材(41)及び遮音材(42)を含みかつ前記吸音材(41)を内側にした状態で前記圧縮機(22)に巻き付けられる防音材本体(40)と、前記防音材本体(40)の一端である巻き付け終端部(E)が他端である巻き付け始端部(S)を越えて外側から重なるように当該防音材本体(40)が前記圧縮機(22)に巻き付けられた状態で、当該防音材本体(40)の巻き付け状態を保つための固定手段(45)と、前記圧縮機(22)に巻き付けられた前記防音材本体(40)を前記固定手段(45)により固定する際に、前記防音材本体(40)の巻き付け方向について前記巻き付け始端部(S)に対する前記巻き付け終端部(E)の相対位置を決めるための位置決め手段と、を備えていることを特徴とする室外機(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の室外機において、
前記吸音材(41)は、ガラス繊維製吸音材であることを特徴とする室外機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の室外機において、
前記位置決め手段は、前記巻き付け終端部(E)のうち上下両端をそれぞれ位置決めすることが可能であることを特徴とする室外機。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の室外機において、
前記防音材本体(40)は、前記圧縮機(22)として互いに径が異なる複数種類の圧縮機(22)に巻き付けることが可能な形状を有し、前記防音材(3A)は、前記圧縮機(22)の各種類にそれぞれ対応する複数の前記位置決め手段を備えていることを特徴とする室外機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の室外機において、
前記位置決め手段は、前記遮音材(42)に形成される目印(46)であることを特徴とする室外機。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の室外機において、
前記位置決め手段は、前記遮音材(42)の表面に突設され、前記防音材本体(40)の前記巻き付け終端部(E)を突き当てることが可能な形状を有する凸部(47)であることを特徴とする室外機。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の室外機において、
前記位置決め手段は、前記防音材本体(40)のうち前記巻き付け始端部(E)を含む一定の領域において前記遮音材(42)がその厚み方向に切り欠かれることにより当該遮音材(42)に形成された段差部(48)からなり、この段差部(48)は、前記巻き付け終端部(E)を突き当てることが可能な形状を有することを特徴とする室外機。
【請求項8】
請求項1乃至4の何れ一項に記載の室外機において、
前記位置決め手段は、前記巻き付け終端部(E)側における前記遮音材(42)の末端が前記吸音材(41)の末端よりも前記巻き付け方向に突出するように前記防音材本体(40)が形成されたものであり、前記吸音材(41)のうち前記巻き付け終端部(E)側の末端部分が前記巻き付け始端部(S)に突き当てられることで前記巻き付け終端部(E)を位置決めすることを特徴とする室外機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−72559(P2013−72559A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209544(P2011−209544)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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