説明

室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物

【課題】特に組成物においても組成物を硬化させた硬化物においても変色が少なく、安価な白色系室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
【解決手段】室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に、特定の表面未処理重質炭酸カルシウムとシランカップリング剤を組み合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関し、特に組成物においても組成物を硬化させた硬化物においても変色が少なく、安価な白色系室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
湿気により架橋する室温硬化性(RTV)シリコーンゴム組成物は、その取り扱いが容易な上、耐候性、電気特性に優れているため、建材用のシーリング材、電気電子分野での接着剤など様々な分野で応用されている。その中でも特に一般工業用及び建築用としては、各種の被着体に良好に接着する上に耐候性にも優れる脱オキシムタイプRTVシリコーンゴム組成物が幅広く使用されている。
【0003】
しかし、これら組成物は未硬化状態において長期保管したり、硬化した後に長期間経つと黄色化する現象が確認されることが周知である。そのため意匠性が損なわれたり、一定期間経過後に再施工する手間がかかる問題を生じていた。
【0004】
この改善法としては、チオカルボン酸のエステル、有機ホスファイド等を添加する方法(特開昭58−71951号公報:特許文献1)や、有機メルカプタンあるいはメルカプト官能性シラン化合物等のメルカプト化合物を添加する方法(米国特許第4962076号明細書:特許文献2)が知られているが、この方法を脱オキシムタイプRTVシリコーンゴム組成物に適応すると、硬化遅延が起きてしまったり、臭気が悪化してしまうため適応不可能であった。
【0005】
また、キレートジルコニウム化合物やキレートチタニウム化合物を添加し、変色を抑制する方法(特許第4400983号公報、特許第4614499号公報、特許第4618843号公報、特開2001−302931号公報:特許文献3〜6)が知られているが、これらの方法は脱アルコールタイプRTVシリコーンゴム組成物には有効であるものの、脱オキシムタイプRTVシリコーンゴム組成物には適応不可能であり、かつ上記化合物を添加することでコスト的に不利となるほか、接着性、硬化性等が変化してしまう問題もあった。
【0006】
更に近年、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)非鉄金属塩を微量添加する方法(特開2005−187599号公報、特開2011−52232号公報:特許文献7,8)が知られているが、とても微量な配合量のため製造しにくいことや、期待した鉄イオンの発生が行われず変色を抑制することができないこと、また鉄イオンが発生したとしても変色の程度が大きく、それを補うだけの抑制ができないといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭58−71951号公報
【特許文献2】米国特許第4962076号明細書
【特許文献3】特許第4400983号公報
【特許文献4】特許第4614499号公報
【特許文献5】特許第4618843号公報
【特許文献6】特開2001−302931号公報
【特許文献7】特開2005−187599号公報
【特許文献8】特開2011−52232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、特に組成物においても組成物を硬化させた硬化物においても変色が少なく、安価な白色系室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に、特定の表面未処理重質炭酸カルシウムとシランカップリング剤を組み合わせることで、上記問題を解決し、これにより変色を抑制した室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が安価に得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は、下記に示す室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
〔請求項1〕
(A)下記一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサン 100質量部
HO(SiR12O)nH (1)
(式中、R1は炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R1は互いに同一の基であっても異種の基であってもよい。nは10以上の整数である。)
(B)下記一般式(2)で示されるケトオキシム基を1分子中に2個以上有するシラン化合物又はその部分加水分解物 0.1〜30質量部
3aSi(ON=CR224-a (2)
(式中、R2は独立に炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R3は独立に炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基であり、aは0、1又は2である。)
(C)平均粒子径が1.2μm以下で、かつ空気透過法で測定された比表面積が18,000cm2/g以上、白色度が90以上96以下である表面が未処理の重質炭酸カルシウム 30〜500質量部
(D)表面が疎水化処理された煙霧質シリカ 1〜50質量部
(E)下記一般式(3)で示されるシランカップリング剤 0.01〜5質量部
(R4O)3-bSi(R5bm2mNH2 (3)
(式中、R4、R5は炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R4、R5はそれぞれ同一の基であっても異種の基であってもよい。またmは1〜10の整数であり、bは0又は1である。)
を含有してなることを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔請求項2〕
煙霧質シリカを疎水化処理する処理剤がジメチルジクロロシランである請求項1記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔請求項3〕
組成物における初期と70℃で7日放置後の色彩変化(ΔE)、及び組成物を硬化させた硬化物の初期と150℃で1,000時間放置後の色彩変化(ΔE)が、それぞれ4.0以下である請求項1又は2記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特に組成物においても組成物を硬化させた硬化物においても変色が少なく、安価な白色系室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得ることが可能である。この組成物は、意匠性が重要とされる建材用シーリング材や長期間屋外に曝される太陽電池用の接着剤等に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の(A)成分は、下記一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンである。
HO(SiR12O)nH (1)
【0013】
上記式(1)中、R1は炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、あるいはこれらの基の水素原子が部分的に塩素、フッ素、臭素といったハロゲン原子等で置換された基、例えばトリフルオロプロピル基などが挙げられ、メチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。このR1は同一の基であっても異種の基であってもよい。
【0014】
また、式(1)中のnは10以上の整数であり、このオルガノポリシロキサンの23℃における粘度が25〜500,000mPa・sの範囲、特に500〜100,000mPa・sの範囲となる値であることが好ましい。なお、粘度は、回転粘度計により測定することができる(以下、同じ)。
【0015】
次に、(B)成分は、下記一般式(2)で示されるケトオキシム基を1分子中に2個以上有するシラン化合物又はその部分加水分解物である。
3aSi(ON=CR224-a (2)
(式中、R2は独立に炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R3は独立に炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基であり、aは0、1又は2である。)
【0016】
ここで、R2としては、上記R1で挙げたものと同様のものを例示することができ、中でもメチル基、エチル基、イソブチル基が好ましい。R3としては、R1で挙げたもののうち、非置換一価炭化水素基として挙げたものが例示され、中でもメチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基が好ましい。なお、R2、R3は、R2、R3のそれぞれが同一の基であっても異種の基であってもよく、またR2とR3が同一の基であっても異種の基であってもよい。aは0、1又は2であり、1が好ましい。
【0017】
(B)成分の加水分解性シラン化合物の具体例としては、メチルトリス(ジメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、エチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(ジメチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、フェニルトリス(ジメチルケトオキシム)シラン、テトラキス(メチルエチルケトオキシム)シラン、テトラキス(ジメチルケトオキシム)シラン、テトラキス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン等の式(2)で示されるケトオキシムシランが例示され、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0018】
上記シラン化合物又はその部分加水分解物は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜30質量部、好ましくは1〜15質量部の範囲で使用されるものであり、配合量が少なすぎると十分な架橋が得られず、目的とするゴム弾性を有する硬化物を与える組成物とならないことがあり、配合量が多すぎると得られる硬化物の機械特性に劣ることがある。
【0019】
(C)成分の平均粒子径が1.2μm以下で、かつ空気透過法で測定された比表面積が18,000cm2/g以上、白色度が90以上96以下である表面が未処理の重質炭酸カルシウムは、本発明において最も重要な構成要素で、組成物及び硬化物状態における変色を抑制したり、硬化物の機械特性を付与するために添加するものである。
【0020】
本発明において、重質炭酸カルシウムの白色度が90以上96以下であることにより組成物製造初期の白色度が良好で、平均粒子径が1.2μm以下かつ比表面積が18,000cm2/g以上であることから組成物の硬化及び未硬化状態における経時黄色化が少なくなる。更に表面が未処理のため、遊離し、変色の原因となり得る表面処理剤を含まないことから、硬化及び未硬化状態における経時黄色化が起きづらく、更に重質炭酸カルシウムであるため低コスト化となる。
【0021】
重質炭酸カルシウムの平均粒子径は1.2μm以下であり、好ましくは0.1〜1.2μmである。平均粒子径が1.2μmより大きいと経時での変色が起こり易くなる。なお、本発明において、平均粒子径はレーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均値D50(又はメジアン径)等として測定することができ、例えばマイクロトラック粒度分析計で測定することができる。
【0022】
重質炭酸カルシウムの空気透過法による比表面積は18,000cm2/g以上であり、好ましくは18,000〜100,000cm2/g、より好ましくは19,000〜50,000cm2/gである。比表面積が18,000cm2/gより小さいと経時での変色が起こり易くなる。
【0023】
重質炭酸カルシウムの白色度は、90以上96以下である。白色度が90未満であると組成物の白色性が不十分となり、96を超えると初期の白色性には優れるが、経時での変色が大きくなる。なお、本発明において、白色度は色差計により測定することができ、例えば色彩色差計(コニカミノルタ社製CR−400)を使用することができる。
(C)成分は、市販の重質炭酸カルシウムの中から選択すればよく、例えば、ソフトン2600(白石カルシウム製商品名)、NS#1000(日東粉化製商品名)等を用いることができる。
【0024】
上記(C)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して30〜500質量部、好ましくは50〜300質量部、特に好ましくは80〜150質量部である。30質量部未満では得られる組成物及び硬化物の初期の白色度が十分に得られなかったり、機械特性が不十分となったりする。また、500質量部より多く添加すると、得られる組成物の粘度が高すぎて塗布性が悪化したり、施工性が悪くなったりする。
【0025】
(D)成分の表面が疎水化処理された煙霧質シリカは、得られる硬化物に適度な補強性、ゴム特性を与えるための必須成分であり、表面を反応性シランや、シロキサン、シラザン等で疎水化処理した煙霧質シリカが好ましい。その中でもジメチルジクロロシランで処理された煙霧質シリカが最も好ましい。この場合、メチルトリクロロシランやトリメチルモノクロロシラン等が50質量%以内で混合されていてもよい。これを配合することにより得られる硬化物の機械特性や耐候性等の物性が著しく向上すると共に組成物の形状保持性が向上し、良好な施工性を得ることが可能となる。
【0026】
(D)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜50質量部であり、特に5〜30質量部であることが好ましい。1質量部未満では得られるゴムの機械特性が不十分となり、50質量部を超える量では、得られる組成物の粘度が高すぎて吐出性等の作業性が悪くなる。
【0027】
次に、(E)成分である下記一般式(3)で示されるシランカップリング剤は、本組成物に接着性を付与させるための必須成分であり、一般式(3)の構造の化合物を選択することで、組成物の硬化及び未硬化状態での経時黄色化が抑制可能となる。
(R4O)3-bSi(R5bm2mNH2 (3)
(式中、R4、R5は炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R4、R5はそれぞれ同一の基であっても異種の基であってもよい。またmは1〜10の整数であり、bは0又は1である。)
【0028】
ここで、R4、R5はそれぞれ炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、上記R1で挙げたものと同様のものを例示することができ、中でもR4としては、メチル基、エチル基等のアルキル基が好ましく、R5としては、メチル基、エチル基等のアルキル基が好ましい。なお、R4、R5は、R4、R5のそれぞれが同一の基であっても異種の基であってもよく、またR4とR5が同一の基であっても異種の基であってもよい。
また、mは好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくは3である。bは、0又は1であり、好ましくは0である。
【0029】
(E)成分のシランカップリング剤の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノヘキシルトリメトキシシラン、3−アミノヘキシルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノプロピルジメトキシエチルシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルジエトキシエチルシラン等が例示され、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
(E)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01〜5質量部であり、特に0.1〜3質量部であることが好ましい。0.01質量部未満では接着性向上効果が不十分となり、5質量部を超える量では組成物の硬化及び未硬化状態での経時黄色化が起き易くなる。
【0031】
また、本発明の組成物は、縮合触媒を添加せずとも良好な硬化性を得ることが可能であるが、組成物の硬化性をより促進するために縮合触媒を使用してもよい。縮合触媒としては、例えば、この種の組成物の硬化促進剤として従来から一般的に使用されている有機スズ化合物や有機チタン化合物、また、近年、スズ触媒代替として期待されるビスマス化合物も好適に用いることができる。
【0032】
このような縮合触媒として、例えば、ジメチルジメトキシスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジベンジルマレート、ジオクチルスズジアセテート等の有機スズ化合物や、チタン酸エステル、チタンキレート化合物等の有機チタン化合物、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)又はビスマストリス(ネオデカノエート)などのビスマスネオデカノエート等のビスマス化合物などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
縮合触媒の使用量は、触媒量でよいが、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して10質量部以下、特に0.0001〜5質量部、とりわけ0.001〜2質量部が好ましい。縮合触媒の使用量が多すぎると、初期のタックフリーが短くなることや保存性が低下したりすることがある。
【0034】
本発明の組成物には、上記成分以外に、必要に応じて任意成分として一般に知られている充填剤、添加剤などを本発明の目的を損なわない範囲で使用しても差し支えない。充填剤としては白色である充填剤が添加可能であり、例えば、沈降性シリカ、石英粉、酸化チタン、炭酸亜鉛、タルク、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。添加剤としては、チクソ性向上剤としてのポリエーテル、無機系や有機系の防かび剤、抗菌剤などが挙げられ、トリオルガノシロキシ単位及びSiO2単位よりなる網状ポリシロキサンなどの液状補強剤や両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルシリコーンオイル、ヘキサメチルジシラザン、グリセリン等が挙げられる。
【0035】
本発明の組成物は、上記(A)〜(E)成分及び必要に応じてその他の添加剤を乾燥雰囲気中で均一に混合することにより得ることができる。また、上記組成物を湿気のある大気中に放置することにより、硬化させることができる。なお、本発明組成物の硬化条件等は、この種の公知の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の場合と同様である。
【0036】
本発明の組成物は、組成物においてもその硬化物においても白色は黄変し難いものであり、特に組成物における初期と70℃で7日放置後という厳しい試験条件においても色彩変化(ΔE)が4.0以下であるものが好ましく、また、組成物を硬化させた硬化物の初期と150℃で1,000時間放置後という厳しい試験条件においても色彩変化(ΔE)が4.0以下であるものが好ましい。なお、色彩変化は色差計により測定することができ、例えば色彩色差計(コニカミノルタ社製CR−400)を使用することができる。
【0037】
本発明の組成物は、シーリング用接着剤、特に建築用や太陽電池用接着剤として好適に使用されるものである。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0039】
[実施例1]
23℃における粘度が20,000mPa・sの末端がシラノール基で封鎖されたポリジメチルシロキサン100質量部に、平均粒子径0.85μm、空気透過法比表面積26,000cm2/g、白色度95である表面未処理の重質炭酸カルシウム(商品名;ソフトン2600、白石カルシウム製)100質量部、表面をジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ12質量部を加え、混合機で混合した後、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン5.5質量部、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン2.5質量部を加えて、減圧下で完全に混合し、更に3−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を加え、減圧下で完全に混合し、サンプル1を得た。
【0040】
[実施例2]
23℃における粘度が20,000mPa・sの末端がシラノール基で封鎖されたポリジメチルシロキサン100質量部に、平均粒子径0.85μm、空気透過法比表面積26,000cm2/g、白色度95である表面未処理の重質炭酸カルシウム(商品名;ソフトン2600、白石カルシウム製)100質量部、表面をジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ12質量部を加え、混合機で混合した後、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン5.5質量部、ビニルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン2.5質量部を加えて、減圧下で完全に混合し、更に3−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を加え、減圧下で完全に混合し、サンプル2を得た。
【0041】
[実施例3]
実施例1において、上記重質炭酸カルシウムの代わりに、平均粒子径1.20μm、比表面積20,000cm2/g、白色度94である表面未処理の重質炭酸カルシウム(商品名;NS#1000、日東粉化製)100質量部を配合した以外は実施例1と同様に調製して、サンプル3を得た。
【0042】
[実施例4]
実施例2において、上記重質炭酸カルシウムの代わりに、平均粒子径1.20μm、比表面積20,000cm2/g、白色度94である表面未処理の重質炭酸カルシウム(商品名;NS#1000、日東粉化製)100質量部を配合した以外は実施例2と同様に調製して、サンプル4を得た。
【0043】
[比較例1]
実施例1において、上記重質炭酸カルシウムの代わりに、平均粒子径1.25μm、比表面積18,000cm2/g、白色度95である表面未処理の重質炭酸カルシウム(商品名;ホワイトンSSB赤、白石カルシウム製)100質量部を配合した以外は実施例1と同様に調製して、サンプル5を得た。
【0044】
[比較例2]
実施例1において、上記重質炭酸カルシウムの代わりに、平均粒子径2.70μm、比表面積8,000cm2/g、白色度94である表面未処理の重質炭酸カルシウム(商品名;スーパーS、丸尾カルシウム製)100質量部を配合した以外は実施例1と同様に調製して、サンプル6を得た。
【0045】
[比較例3]
実施例1において、上記重質炭酸カルシウムの代わりに、平均粒子径0.20μm、比表面積112,000cm2/g、白色度98である表面未処理の重質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアント−15、白石カルシウム製)60質量部を配合した以外は実施例1と同様に調製して、サンプル7を得た。
【0046】
[比較例4]
実施例1において、上記重質炭酸カルシウムの代わりに、平均粒子径0.12μm、比表面積180,000cm2/g、白色度93である表面未処理のコロイダル炭酸カルシウム(商品名;白艶華CC−R、白石カルシウム製)60質量部を配合した以外は実施例1と同様に調製して、サンプル8を得た。
【0047】
[比較例5]
実施例1において、3−アミノプロピルトリメトキシシランの代わりに、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を配合した以外は実施例1と同様に調製して、サンプル9を得た。
【0048】
上記実施例及び比較例におけるサンプルについて、下記方法により測定した試験結果を表1に示した。
【0049】
試験方法
<一般特性確認試験>
各項目測定方法:
2mm厚のシートを成型し、23℃,50%RH×7日間養生後、下記の要領で物性を評価した。
指触乾燥時間:
JIS A 5758に規定する方法に準じて測定した。
硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引張りせん断接着力:
JIS K 6249に規定する方法に準じて測定した。
なお、引張りせん断接着力は25×100×2mm厚のガラス被着体にサンプルを塗布し、サンプル厚みが約2mmになるよう調節した。23℃,50%RH×7日間養生後、上記方法により試験を行い、接着している面積を凝集破壊率とした。
【0050】
<硬化速度試験>
内径が10mmのガラスシャーレにサンプルを充填し、23℃,50%RH×1日後に空気に触れた部分から硬化した厚さを測定した。
【0051】
<保存安定性確認試験>
各サンプルを密封下で70℃,7日間乾燥機で加熱保存後、上記一般特性確認試験及び硬化速度試験と同じ要領で測定した。
【0052】
<耐久性試験>
一般特性試験にて得られたダンベル及び引張りせん断接着力試験のサンプルを85℃,85%RHで1,000時間及び150℃で1,000時間劣化させた後、再度JIS K 6249に規定する方法に準じて測定し、物性変化を確認した。
【0053】
<耐変色性確認試験>
上記劣化前(常態)と保存後及び劣化後において色彩の変化を色彩色差計(コニカミノルタ社製CR−400)にて確認し、ΔEを測定した。
【0054】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサン 100質量部
HO(SiR12O)nH (1)
(式中、R1は炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R1は互いに同一の基であっても異種の基であってもよい。nは10以上の整数である。)
(B)下記一般式(2)で示されるケトオキシム基を1分子中に2個以上有するシラン化合物又はその部分加水分解物 0.1〜30質量部
3aSi(ON=CR224-a (2)
(式中、R2は独立に炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R3は独立に炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基であり、aは0、1又は2である。)
(C)平均粒子径が1.2μm以下で、かつ空気透過法で測定された比表面積が18,000cm2/g以上、白色度が90以上96以下である表面が未処理の重質炭酸カルシウム 30〜500質量部
(D)表面が疎水化処理された煙霧質シリカ 1〜50質量部
(E)下記一般式(3)で示されるシランカップリング剤 0.01〜5質量部
(R4O)3-bSi(R5bm2mNH2 (3)
(式中、R4、R5は炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R4、R5はそれぞれ同一の基であっても異種の基であってもよい。またmは1〜10の整数であり、bは0又は1である。)
を含有してなることを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
煙霧質シリカを疎水化処理する処理剤がジメチルジクロロシランである請求項1記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
組成物における初期と70℃で7日放置後の色彩変化(ΔE)、及び組成物を硬化させた硬化物の初期と150℃で1,000時間放置後の色彩変化(ΔE)が、それぞれ4.0以下である請求項1又は2記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。

【公開番号】特開2013−87168(P2013−87168A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227639(P2011−227639)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】