説明

室温硬化性反応系

本発明は、新規なブロックトポリウレタンプレポリマー、その製造方法、及び該方法から製造される室温硬化性反応系、及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なブロックトポリウレタンプレポリマー、その製造方法、及び該方法から製造される室温硬化性反応系及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において既知のポリアミン/エポキシド樹脂系は、例えば、金属に対する優れた接着性、非常に良好な化学的抵抗性および際立った防錆性により特徴付けられる。溶剤含有配合物および粉末塗料系の場合、硬化剤として高分子量エポキシド樹脂および/またはポリアミノアミド、例えばダイマー脂肪酸をベースとするものを使用することにより、高柔軟性架橋フィルムを得ることができる。低分子量のエポキシド樹脂およびそれにより生ずる高網状組織密度の故に、無溶剤液状樹脂および無溶剤アミン型硬化剤をベースとする塗膜は非常にもろい。そのため、無溶剤配合物において、例えばクマロン樹脂のようなタール代用品が可塑化の目的で使用される。しかしながら、比較的多量の炭化水素樹脂を使用する際は特に、そのような塗膜は非官能性成分が移動する結果として長期脆化を被る傾向がある。
【0003】
エポキシド樹脂の良好で耐久性のある弾性化は、ポリウレタンと組合せることにより達成することができる。即ち、例えば DE-A 23 38 256 に記載されたように、高分子量アミン末端化ポリエーテルウレタン-尿素を、遊離イソシアネート基を有するプレポリマーとアミンとを高希釈溶液中で反応させ、次いでエポキシド樹脂を用いて硬化させることにより製造した。しかしながら、この目的のために必要な溶媒、特に芳香族溶媒の使用は、実際上、工業的および生理学的理由の両方から不都合である。他方で DE-A 23 38 256 に従い特別に製造されるような無溶剤反応生成物の粘度は、実用化のためには高すぎる。
【0004】
DE-A 24 18 041 には弾性化成形品およびシート材料の製造方法が記載され、そこではエポキシド化合物を、プレポリマーケチミンまたはエナミンの加水分解により得られるアミン化合物と反応させている。良好に接着し、向上した特性を有する耐薬品性で熱接着性の熱硬化性材料をこの方法により製造し得る。記載された方法の不都合は、製造技術の費用が高いことである。
【0005】
DE-A 21 52 606 は、任意にまたエポキシド樹脂と組合せて硬化し得るアルキルフェノールブロック化ポリイソシアネートおよびポリアミンをベースとする反応系を記載する。これらの反応系も、適用技術に関して不都合を被る。例えば該反応系は比較的高い粘度を有し、また遊離した該ブロック剤は比較的低分子量であって、このことは経時的に塗膜から移動し、機材への塗膜の接着はもはや十分ではないことを意味する。
【0006】
ポリイソシアネートプレポリマーと過剰量のジアミンとの目的とする反応を行わせるため、例えば CA-A 1 219 986、EP-A 293 110 または EP-A 082 983 に記載されているように、ブロック化形態のポリイソシアネートを使用することが過去にしばしば提案された。これらの文献には、フェノールまたは置換フェノールが好ましいブロック剤として使用されている。ポリアミンとの反応後、これらの物質を反応混合物から蒸留により除去することは、それらが高沸点であるが故に、不可能であるか、またはほんの不完全にだけ可能である。しかしながら、混合物中またはプラスチック組成物中に残留する場合により置換されたフェノールは、既に述べた不都合につながる。
【0007】
他方、 EP-A 0 457 089 では、ブロック剤として第2級アミン、好ましくは低沸点の第2級アミンを使用する。これらのアミンが脱ブロック後に反応混合物中に残る場合、これは容易に悪臭を引き起こす。エポキシド系に使用後の第2級アミンは、原則的に系中に取り込まれ得るが、特に低温(例えば室温)ではこの反応は比較的ゆっくりと起こり、その結果、一部のアミンが塗膜から漏れ出る。1つの特に好ましい適用では、アミン型ブロック剤を、脱ブロック後反応混合物から留去する。この手順は悪臭を引き起こさない生成物を生ずるが、非常に込み入っており、それゆえ費用がかかる。
【0008】
更に、 US-A 6,060,574 から、可逆的にブロック化された有機ポリイソシアネート及び少なくとも二つの第一級アミノ基を有する少なくとも一つのポリアミンからなり、場合により更にまたオキシラン基含有化合物を含有する反応性組成物が既知である。フェノール性OH基を有する炭化水素樹脂は、有機ポリイソシアネート用のブロッキング剤として用いられる。そのようなブロックトポリイソシアネートは、アルキルフェノール-ブロックトポリイソシアネートと比較して著しく低減されたポリアミンへの反応性によって特徴付けられる。ポリヒドロキシ化合物と過剰のジイソシアネート又はポリイソシアネートを反応させて得られるプレポリマーは、有機ポリイソシアネートとして使用し得る。例えば、適切な始動分子(例えば単量体ポリオール)のアルコキシル化によって得ることのできるポリエーテルポリオールを、ポリヒドロキシ化合物として使用し得る。しかしながら、前記ポリエーテルポリオールは、製造方法が原因となり生成物が塩基性又は酸性(例えばKOHによるアルコキシル化の開始、その後の酸の添加)である不都合を有することが多い。これは前記反応系への不都合な作用を有し得、また例えば保存安定性を著しく低減させ得る。更に、塩基によって開始されたポリエーテルポリオールは、通例、多量の不飽和末端基を含み、広い分子量分布を有する。プロピレンオキシドのアリルアルコールへの塩基触媒異性化によって生じる不飽和末端基は、連鎖停止とOH官能価の低減をもたらす。不飽和末端基によって低減されたOH官能価は、機械的特性並びに反応系における適合性の両方にとって著しく不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、いかなる問題もなく加工され、無溶剤で室温にて硬化される反応系を生じ得る新規なブロックトポリウレタンプレポリマーを提供することであった。このような反応系から製造される塗料は、柔軟性及び弾性と同時に相まって、良好な接着性(特に湿潤接着性)、化学薬品耐性、衝撃及びショックへの耐性を有すべきものである。この点に関し、ブロックトポリウレタンプレポリマーは、反応系の他の成分との特に高い適合性を有すべきである。
【0010】
今般、とりわけ、DMC触媒法によって製造される特別なポリエーテルポリオールをベースとするブロックトポリウレタンプレポリマーが、ポリアミン及び任意にオキシラン基含有化合物を含む反応系を生成させるために、特に良好に加工され得ることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、ブロックトポリウレタンプレポリマーの製造方法であって、
a)一以上のジイソシアネート又はポリイソシアネートを
b)不飽和末端基含有量が0.02ミリグラム当量/ポリオール1g以下(測定法はASTM D2849-69に準じる)、多分散性(PD=Mw/Mn)が1.01〜1.5、及び/又はOH官能価が1.9以上である一以上のポリエーテルポリオール
と反応させて、NCO-官能性ポリウレタンプレポリマーを生成させ、次いで、該NCO基を
c)フェノール性OH基及び/又は任意に置換されたフェノールを有する少なくとも一種の炭化水素樹脂
でブロックすることによる方法を提供する。
【0012】
また本発明は、本発明の方法によって得られうるブロックトポリウレタンプレポリマーをも提供する。
【0013】
更に本発明は、
A)請求項2に記載のポリウレタンプレポリマー、
B)少なくとも二つの第一級アミノ基を有する少なくとも一種の有機アミン、
C)任意に、一分子当たり平均一個より多いオキシラン基を含むオキシラン基含有化合物、並びに、
D)任意に、触媒及び/又は添加剤
を含む反応系を提供する。
【0014】
また本発明は、添加剤、封止用組成物、注型用組成物、複合材料(繊維複合材料)、成形品及び塗料を製造するための、本発明によるポリウレタンプレポリマーの使用を提供する。可能な適用分野には、とりわけ、鉄泉水建設、造船(例えばバラストタンク)における、及びパイプライン用の防錆塗料、並びに床用塗料が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
適当なジイソシアネート及びポリイソシアネート(a)は、少なくとも二つのイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式の有機ジイソシアネート及びポリイソシアネート、並びにそれらの混合物である。適当な脂肪族イソシアネートの例は、例えばブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(トリイソシアナトノナン、TIN)のようなジイソシアネート及びトリイソシアネート、又は、例えば4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(Desmodur(登録商標)W, Bayer AG, Leverkusen)、3,5,5-トリメチル-1-イソシアナト-3-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソフォロンジイソシアネート、IPDI)、並びにω,ω'-ジイソシアナト-1,3-ジメチルシクロヘキサン(H6XDI)のような環式系である。特に適当なものは、例えば1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)又はクルードMDI、ジイソシアナトメチル-ベンゼン(2,4-及び2,6-トルイレンイソシアネート、TDI)、特に2,4-及び2,6-異性体、及び該二つの異性体の工業用混合物、並びに1,3-ビス(イソシアナトメチル)-ベンゼン(XDI)のような芳香族ポリイソシアネートである。
【0016】
最も特に好ましい芳香族ジイソシアネートは、2,4-トルイレンジイソシアネート、並びにその2,4-トルイレンジイソシアネート(70〜90%)と2,6-トルイレンジイソシアネート(30〜10%)の工業用混合物である。
【0017】
本発明においては、ビウレットイソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ウレトジオン、アロファネート及び/又はウレタン構造を有するそれ自体既知の前記イソシアネート二次生成物も好適である。
【0018】
適当なポリエーテルポリオール(b)は、分子量範囲が300〜20,000、好ましくは1000〜12,000、特に好ましくは2000〜6000にあり、不飽和末端基含有量が0.02ミリグラム当量/ポリオール1g以下、好ましくは0.015ミリグラム当量/ポリオール1g以下、特に好ましくは0.01ミリグラム当量/ポリオール1g以下(測定法はASTM D2849-69に準じる)であるポリエーテルポリオールである。該ポリエーテルポリオールは、特に狭い分子量分布(即ち、多分散性(PD = Mw/Mn)が1.1〜1.5)、及び/又はOH官能価≧1.9を有する。好適には、前記のポリエーテルポリオールは、1.1〜1.5の多分散性、及び1.9より大きい、特に好ましくは1.95以上のOH官能価を有する。
【0019】
個別の適当なポリエーテルポリオールを、例示として表1に列挙する:
【0020】
【表1】

【0021】
全てのAcclaim(登録商標)製品は、Bayer AG(Leverkusen、ドイツ)から入手可能である。
【0022】
不飽和末端基含有量が0.02ミリグラム当量以下で、特に狭い分子量分布(即ち、多分散性が1.1〜1.5)及び/又はOH官能価≧1.9を有するポリエーテルポリオールは、適当な始動分子のアルコキシル化によるそれ自体既知の方法で、とりわけ複金属シアン化物触媒(DMC触媒法)を用いて、調製し得る。このことは、例えば、US-A 5158 922(例えば実施例30)及びEP-A 0 654 302(第5頁第26行〜第6頁第32行)に記載されている。
【0023】
該ポリエーテルポリオールを製造するための適当な始動分子は、例えば単純低分子量ポリオール、水、少なくとも二つのN-H結合を有する有機ポリアミン、又はそれらの始動分子の任意の混合物である。アルコキシル化のための適当なアルキレンオキシドは、とりわけエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドであって、これらはアルコキシル化において任意の順序で或いは混合物として使用し得る。
【0024】
特にDMC法に従いアルコキシル化によって該ポリエーテルポリオールを製造するための好ましい始動分子は、とりわけエチレングリコール、プロピレングリコール-1,3及びブタンジオール-1,4、ヘキサンジオール-1,6、ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサンジオール-1,3、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのような単純ポリオール、並びにそのようなポリオールの例示として以下に述べる種類のジカルボン酸による低分子量ヒドロキシル基含有エステル、又はそのような単純ポリオールの低分子量エトキシル化生成物或いはプロポキシル化生成物、又はそのような変性アルコール或いは未変性アルコールの任意の混合物である。
【0025】
適当なブロッキング剤c)は、少なくとも一種のフェノール性OH基及び/又は任意に置換されてよいフェノールを含む炭化水素樹脂である。好適なブロッキング剤c)はフェノール性OH基を含む炭化水素樹脂である。
【0026】
成分c)の任意に置換されてよいフェノールとして適当なものは、とりわけC1〜C18-アルキルフェノール、最も好ましくはC6〜C12-アルキルフェノール(ここで、アルキル基は直鎖、分枝状又は環式であってもよい)である。種々のアルキルフェノールの異性体混合物も使用し得ることは言うまでもない。具体例には、フェノール、クレゾール及びその異性体、キシレノール及びその異性体、2-tert.-ブチルフェノール、4-tert.-ブチルフェノール、ノニルフェノール及びその任意に分枝していてよい異性体(工業用イソノニルフェノール)が含まれる。置換フェノールの更なる具体例は、エステル基が好ましくはC1-〜C4-アルキル基であるヒドロキシ安息香酸アルキルエステルである。前記のアルキルフェノール及びヒドロキシ安息香酸アルキルエステルの混合物も使用し得ることは言うまでもない。
【0027】
イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーのブロッキング用に用いられるOH基含有フェノール性炭化水素樹脂(c)は、原理上既知であって、例えばUllmann's Encyklopaedie der technischen Chemie、第4版、第12巻、第539〜545頁(Verlag Chemie、Weinheim 1976年)、Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第12巻、第852〜869頁(John Wiley & Sons, New York 1980年)又はEncyclopedia of Polymer Science and Engineering、第7巻、第758〜782頁(John Wiley & Sons, New York 1987年)に記載されている。適当なフェノール性OH基含有炭化水素樹脂(c)の具体例は、クマロン-インデン樹脂、石油樹脂又はテルペン樹脂である。
【0028】
そのようなフェノール性OH基含有炭化水素樹脂は、通例、前記種類の不飽和炭化水素をフェノール及び/又は例えばクレゾールなどのアルキル化フェノールと、強酸又はフリーデル・クラフツ型触媒の存在下で共重合することによって製造される。本発明に従って使用し得るOH-官能性炭化水素樹脂を製造するための適当な不飽和炭化水素は、ナフサ又はガスオイル、例えばブテン、ブタジエン、ペンテン、ピペリレン、イソプレン、シクロペンタジエン、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、インデン又はメチルインデンなどのクラッキングにおいて得られる炭化水素である。テルペン樹脂、例えばα-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、D-リモネン又はターペンタインなども不飽和炭化水素として適当である。
【0029】
適当な炭化水素樹脂は、0.1〜10.0重量%のヒドロキシル基含有量、好ましくは0.9〜9重量%のヒドロキシル基含有量を有する。2〜8重量%、最も好ましくは3〜5重量%のヒドロキシル基含有量を有する室温で液状の炭化水素樹脂が特に好ましい。
【0030】
イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーの製造は、ポリエーテルポリオール(b)と過剰量のジイソシアネート或いはポリイソシアネート(a)を、又は更に大過剰の前記ジイソシアネート或いはポリイソシアネートを反応させ、その後に過剰のポリイソシアネートを例えば薄層蒸留により除去することによって行われる。ポリエーテルポリオールのOH基とジイソシアネート或いはポリイソシアネートのNCO基のモル比は、好適には1:1.5と1:20の間、特に好適には1:1.8と1:5の間、最も好適には1:1.95と1:2.05の間である。ポリウレタンプレポリマーの調製は、一般に20℃〜140℃、好ましくは40℃〜100℃で、場合によりポリウレタン化学においてそれ自体既知の触媒、例えば有機金属化合物(例えばオクタン酸スズ(II)、ジブチルスズ(II)ジアセテートまたはジブチルスズ(II)ジラウレート)または第3級アミン(例えばトリエチルアミンまたはジアザビシクロオクタン)を使用して行われる。ポリウレタンプレポリマーは、必要に応じて不活性溶媒中で調製してよいが、溶媒を使用しないで反応を行うことが好ましい。
【0031】
本発明によるブロックトポリウレタンプレポリマーの製造は、イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーとフェノール性OH基含有炭化水素樹脂及び/又は場合により置換されたフェノール(c)を、40℃〜150℃、好ましくは50℃〜100℃、特に好ましくは60℃〜90℃の温度で反応させることによって行われる。
【0032】
ブロッキング反応において用いる成分(c)の量は、ブロックされるべきイソシアネート基量の少なくとも30モル%、好ましくは50モル%、特に好ましくは95モル%より多くに相当すべきである。僅かに過剰のブロッキング剤は、全イソシアネート基の完全な反応を確実とするために好都合であり得る。通例、過剰量の合計はブロックされるべきイソシアネート基に対して20モル%を超えず、好ましくは15モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。従って、ブロッキング反応において用いる成分(c)の量は、最も好適には、ブロックされるべきポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基量に対して95モル%〜110モル%である。
【0033】
ブロッキング反応は、好適には、ポリウレタン化学においてそれ自体既知の触媒、例えば有機金属化合物(例えばオクタン酸スズ(II)、ジブチルスズ(II)ジアセテート、ジブチルスズ(II)ジラウレート、2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン)又は第3級アミン(例えばトリエチルアミン又はジアザビシクロオクタン又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)を同時使用して行われる。ブロッキング反応は、場合により、不活性溶媒又はラッカー溶媒、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、芳香族或いは(環式)脂肪族の炭化水素混合物、又はそのような溶媒の任意の混合物の存在下で行い得る。無溶剤反応系を得るため、これらの溶媒又はラッカー溶媒は、合成後に、例えば蒸留によって除去しなければならない。
しかしながら、本発明による反応は、無溶剤法で行うことが好ましい。
【0034】
成分の添加は、イソシアネート基含有プレポリマーの製造において、並びにそのブロッキングのいずれにおいても、任意の所望の順序で行い得る。しかしながら、最初に導入されたポリエーテルポリオール(b)へポリイソシアネートを添加し、最後にブロッキング成分(c)を添加することが好ましい。この目的のため、ポリエーテルポリオール(b)を、場合により撹拌しながら、適当な反応容器へ添加し40℃〜100℃へ加熱する。所望の温度に到達後、ジイソシアネート又はポリイソシアネート(a)を撹拌しながら添加し、選定された化学量論に従って期待されるポリウレタンプレポリマーの理論NCO含有量又はこれより僅かに小さい値に到達するまで撹拌を継続する。ブロッキング反応を促進するため、適当な触媒(例えばジブチルスズ(II)ジラウレートなど)を添加し、反応混合物の温度を場合により、触媒の添加前又は添加後、50℃と100℃の間の値に調節する。所望の温度へ到達後、ブロッキング剤(c)をここで添加し、遊離イソシアネート基の含有量が0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満となるまで反応混合物を加熱する。その後、反応混合物を冷却し、場合により反応停止剤(例えば塩化ベンゾイル)も添加する。
【0035】
本発明に従う方法の更なる実施態様では、ジイソシアネート又はポリイソシアネート(a)を、場合によって撹拌しながら、適当な反応容器へ添加し、40℃〜100℃へ加熱する。所望の温度に到達後、ポリエーテルポリオール(a)を撹拌しながら添加し、所望の化学量論に従って期待されるポリウレタンプレポリマーの理論NCO含有量又はこれより僅かに小さい値に到達するまで混合物を更に撹拌する。その後、記述の通り、更に反応を行う。
【0036】
本発明によるブロックトPUプレポリマーを含有する反応系を製造するための適当な成分(B)は、一分子当たり少なくとも二つの第一級アミノ基及び場合により第二級アミノ基を有し、好ましくは平均分子量が60〜500であるポリアミンである。以下のものが例えば適当である:エチレンジアミン、1,2-及び1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、2,2,4-及び/又は2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、異性体キシリレンジアミン、1,2-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3-ジアミノシクロペンタン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルスルフォン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルプロパン-1,3、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルプロパン-2,2、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3-アミノメチル-3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(イソフォロンジアミン)、3(4)-アミノメチル-1-メチルシクロヘキシルアミン又は工業用ビスアミノメチルトリシクロデカン、又は少なくとも二つの第一級アミノ基の他に第二級アミノ基(例えばジエチレントリアミン又はトリエチレンテトラミン)を含むポリマー。
【0037】
ポリアミン、特に一以上の脂環式環を含む前記分子量範囲のジアミンは、好適に使用される。これらは、例えば1,2-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3-ジアミノシクロペンタン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルスルフォン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシル-プロパン-1,3、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルプロパン-2,2、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジシクロ-ヘキシルメタン、3-アミノメチル-3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(イソフォロンジアミン)、3(4)-アミノメチル-1-メチルシクロヘキシルアミン又は工業用ビスアミノメチルトリ-シクロドデカンを包含する。
【0038】
成分(B)として、過剰の前記ポリアミンと以下に述べる種類のエポキシド樹脂を反応させることによって製造される付加物も使用し得る。
【0039】
更に、成分(B)として、ポリエーテルポリオールとアンモニアを反応させることによって製造され、例えばHuntsman(USA)から商品名“Jeffamin(登録商標)”で市販されているポリエーテルアミンを使用し得る。
【0040】
また、ポリアミド樹脂も成分(B)として適当である。そのようなポリアミド樹脂(ポリアミノアミド及びポリアミノイミダゾリンが含まれる)は、例えばHenkel KGaAから商品名“Versamid(登録商標)”で市販されている。
言うまでもなく、前記ポリアミンの混合物を成分(B)として使用することも可能である。
【0041】
成分(C)はオキシラン基含有化合物である。適当なオキシラン基含有化合物は、一分子当たり平均一個より多いエポキシド基を含むエポキシド樹脂である。適当な エポキシド樹脂の具体例は、例えばブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロール、水素化ジフェニロールプロパンなどの多価アルコール、又は例えばレゾルシノール、ジフェニロールプロパン-2,2(ビスフェノールA)、ジフェニロールメタン(ビスフェノールF)などの多価フェノール、又はフェノール-アルデヒド縮合物、のグリシジルエーテルである。グリシジルエステル又は多塩基カルボン酸(例えばヘキサヒドロフタル酸又は二量化脂肪酸など)も使用し得る。
【0042】
好適には、エピクロロヒドリン及びジフェニロールプロパン-2,2(ビスフェノールA)或いはジフェニロールメタン(ビスフェノールF)又はそれらの混合物をベースとする液状エポキシド樹脂を使用する。必要があれば、単官能性エポキシド化合物を用いて該混合物の粘度を低下させてよく、それにより、加工性が改善される。そのような化合物の具体例は、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの脂肪族及び芳香族のグリシジルエーテル、又はバーサチック酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル、又はスチレンオキシド又は1,2-エポキシドデカンなどのエポキシドである。
【0043】
室温で硬化し、本発明によるブロックトポリウレタンプレポリマーを含有する無溶剤反応系には、一般に、成分(C)のエポキシド基当たり、0.4〜0.9、好ましくは0.5〜0.8の成分(B)の第一級アミノ基と、0.02〜0.6、好ましくは0.03〜0.5の成分(A)のブロックトイソシアネート基が存在する。
【0044】
すぐ使用できる混合物を製造するため、反応系中に、成分A)、B)及び任意にC)に加えて、例えば充填材、溶媒、流動性向上剤、顔料、溶媒、反応促進剤又は粘度調整剤などの従来の添加物質及び添加剤も混合してよい。例示として、サリチル酸、ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール又はトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの反応促進剤、砂、粉砕岩石、ケイ酸、粉末石綿、カオリン、タルク、粉末金属、タール、タールピッチ、アスファルト、顆粒化コルクなどの充填材、ポリアミド、例えばフタル酸エステルなどの可塑剤、或いは他の粘度調節剤(例えばベンジルアルコール)が挙げられる。
【0045】
当然のことながら、すぐ使用できる該混合物へ、場合により20重量%までの、好ましくは10重量%までの、特に好ましくは5重量%までの、既述の種類の溶媒又はラッカー溶媒を、用途技術のために添加してよい。この際、溶媒を使用するなら、本発明によるポリウレタンプレポリマーの製造中に溶媒を用いる可能性がある場合、該溶媒の除去を省略してよい。しかしながら、無溶剤のすぐ使用できる混合物が好ましい。
【0046】
室温で硬化し、本発明によるブロックトポリウレタンプレポリマーを含有する無溶剤反応系は、良好な接着性、耐化学薬品性、並びに高い衝撃強度とショック強度への耐性が、良好な柔軟性と弾性と併せて要求される全ての用途分野にとっての、塗料、添加剤、封止用組成物、注型用組成物又は成形品の製造に適している。本発明による反応系は、特に防錆塗料として適当である。該反応系は、陰極防食条件下で、特に攻撃的媒体にさらされる場合、例えばバラストタンク塗料などにおいて使用される場合に、良好な湿潤接着性と良好な接着性によって特徴付けられる。
【0047】
また、本発明によるブロックトポリウレタンプレポリマーは、成分B)及びC)との著しい適合性を示す。それは、エポキシド樹脂/アミン及びブロックトイソシアネート/樹脂の反応を、該反応系は室温で相溶ブレンドを形成するように調節し得るからである。
【実施例】
【0048】
予備的コメント:
本発明によるブロックトポリウレタンプレポリマーの製造のための実施例において用いるポリエーテルポリオールは、Bayer AG(Leverkusen、ドイツ)から入手可能であって、以下の特性データにより特徴付けられる。
【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
比較例1:
a)塩基触媒アルコキシル化によって製造されたポリエーテルポリオールを用いたブロックトポリウレタンプレポリマーの製造:

プロピレングリコール及びグリセロールの2:1混合物を塩基触媒による同時エトキシル化及びプロポキシル化(EO/PO比 = 2:8)によって製造されるOH価44のポリエーテルポリオール665.28 gを、2,4-ジイソシアナトトルエン90.79 gと2-クロロプロピオン酸0.04 gで、60℃にて、理論NCO含有量2.9重量%に到達するまでプレポリマー化する。その後、ヒドロキシル基含有量が4重量%の市販の炭化水素樹脂243.93 g(Novares(登録商標)LX 200)を添加し、ジブチルスズ(II)ジラウレート0.07 gで触媒させ、80℃にて10時間撹拌する。次に、塩化ベンゾイル0.23 gを添加する。この後は、IRスペクトルにおいて、遊離イソシアネートはもはや検出し得ない。NCO滴定によると、NCO含有量は0.2重量%未満である。得られるブロックトイソシアネートプレポリマーは、以下の特性データを有する:
ブロックトNCO含有量: 2.11 重量%
粘度(23℃): 76500 mPa・s。
【0052】
b)反応系の製造:

a)によるプレポリマー20 gを、オクタヒドロ-4.7-メタノインデン-1.5-ジメタンアミン6.6 g、D.E.R 358を20 g、2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン0.2 g、オレイン酸0.4 g、Perenol(登録商標)E 8を0.2 g及びベンジルアルコール0.2 gと完全に撹拌する。混合物を注ぎ出して、3 mm厚の層を形成する。
数時間後に、混濁した従って非均質検体が得られる:
極限引張応力: 20.3 MPa
破断伸び: 32.1%
引裂抵抗: 24.3 N/mm。
【0053】
実施例1
a)Acclaim(登録商標)2200を用いたブロックトポリウレタンプレポリマーの製造:

OH価が56のポリエーテルポリオール Acclaim(登録商標) 2200の605.53 gを、2,4-ジイソシアナトトルエン105.36 g及び2-クロロプロピオン酸0.04 gによって、60℃にて、理論NCO含有量3.58重量%に到達するまでプレポリマー化する。その後、ヒドロキシル基含有量が4重量%の市販の炭化水素樹脂(Novares(登録商標) LX 200)289.11 gを添加し、ジブチルスズ(II)ジラウレート0.07 gで触媒させ、80℃にて10時間撹拌する。次に、塩化ベンゾイル0.15 gを添加する。この後は、IRスペクトルにおいて、遊離イソシアネートはもはや検出し得ない。NCO滴定によると、NCO含有量は0.2重量%未満である。得られるブロックトイソシアネートプレポリマーは、以下の特性データを有する:
ブロックトNCO含有量: 2.54 重量%
粘度 (23℃): 63000 mPa・s。
【0054】
b)反応系の製造:

a)から得られるプレポリマー20 gを、オクタヒドロ-4.7-メタノインデン-1.5-ジメタンアミン6.74 g、D.E.R 358を20 g、2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン0.2 g、オレイン酸0.4 g、Perenol(登録商標) E 8を0.2 g及びベンジルアルコール0.2 gと、完全に撹拌する。混合物を注ぎ出して、3 mm厚の層を形成する。数時間後に、下記化学特性値を有する透明な弾性プラスチック材料が得られる:
極限引張応力: 19.1 MPa
破断伸び: 44.2%
引裂抵抗: 30.6 N/mm。
【0055】
比較例1と比較して、実施例1による本発明の反応系を使用することにより、透明で従って均一なプラスチック材料が得られる。比較例1において製造されるプラスチック材料も、著しく悪化した機械値を有する。
【0056】
実施例2
a)Acclaim(登録商標)2200を用いたブロックトポリウレタンプレポリマーの製造:

OH価が56のポリエーテルポリオール Acclaim(登録商標) 2200の908.29 gを、2,4-ジイソシアナトトルエン及び2,6-ジイソシアナトトルエン(80:20)の158.04 gによって、65℃にて、理論NCO含有量3.58重量%に到達するまでプレポリマー化する。その後、ヒドロキシル基含有量が4重量%(Novares(登録商標) LX 200)の市販の炭化水素樹脂433.66 gを添加し、ジブチルスズ(II)ジラウレート0.11 gで触媒させ、80℃にて10時間撹拌する。次に、塩化ベンゾイル0.23 gを添加する。この後は、IRスペクトルにおいて、遊離イソシアネートはもはや検出し得ない。NCO滴定によると、NCO含有量は0.2重量%に等しい。得られるブロックトイソシアネートプレポリマーは、以下の特性データを有する:
ブロックトNCO含有量: 2.45 重量%
粘度 (23℃): 73000 mPa・s。
【0057】
b)反応系の製造:

プレポリマー5 gを、オクタヒドロ-4.7-メタノインデン-1.5-ジメタンアミン1.53 g及びD.E.R 358と完全に撹拌する。混合物を注ぎ出して、3 mm厚の層を形成する。数時間後に、透明な弾性プラスチック材料が得られる。
【0058】
実施例3
a)Acclaim(登録商標) 2200を用いたブロックトポリウレタンプレポリマーの製造:

OH価が56のポリエーテルポリオール Acclaim(登録商標) 2200の496.57 gを、2,4-ジイソシアナトトルエン86.4 g及び2-クロロプロピオン酸0.04 gによって、60℃にて、理論NCO含有量3.58重量%に到達するまでプレポリマー化する。その後、ヒドロキシル基含有量が2重量%の市販の炭化水素樹脂(Novares(登録商標) LA 300)417.03 gを添加し、ジブチルスズ(II)ジラウレート0.07 gで触媒させ、80℃にて10時間撹拌する。次に、塩化ベンゾイル0.15 gを添加する。この後は、IRスペクトルにおいて、遊離イソシアネートはもはや検出し得ない。NCO滴定によると、NCO含有量は0.2重量%未満である。得られるブロックトイソシアネートプレポリマーは、以下の特性データを有する:
ブロックトNCO含有量: 2.02 重量%
粘度 (23℃): 28000 mPa・s。
【0059】
b)反応系の製造:

a)から得られるプレポリマー20 gを、オクタヒドロ-4.7-メタノインデン-1.5-ジメタンアミン6.62 g、D.E.R 358を20 g、2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン0.2 g、オレイン酸0.4 g、Perenol(登録商標) E 8を0.2 g及びベンジルアルコール0.2 gと、完全に撹拌する。混合物を注ぎ出して、3 mm厚の層を形成する。数時間後に、下記機械的特性を有する僅かに混濁した弾性プラスチック材料が得られる:
極限引張応力: 19.3 MPa
破断伸び: 44.2 %
引裂抵抗: 30.6 N/mm。
【0060】
実施例4
a)Acclaim(登録商標) 1000及びAcclaim(登録商標) 3201を用いたブロックトポリウレタンプレポリマーの製造:

OH価が112のポリエーテルポリオール Acclaim(登録商標) 1000の223.14 g及びOH価が37のポリエーテルポリオール Acclaim(登録商標) 3201の74.38 gを、2,4-ジイソシアナトトルエン86.28 gによって、60℃にて、理論NCO含有量が5.43重量%に到達するまでプレポリマー化する。その後、ヒドロキシル基含有量が2重量%の市販の炭化水素樹脂(Novares(登録商標) LA 300)416.2 gを添加し、ジブチルスズ(II)ジラウレート0.06 gで触媒させ、80℃にて10時間撹拌する。次に、塩化ベンゾイル0.15 gを添加する。この後は、IRスペクトルにおいて、遊離イソシアネートはもはや検出し得ない。NCO滴定によると、NCO含有量は0.2重量%未満である。得られるブロックトイソシアネートプレポリマーは、以下の特性データを有する:
ブロックトNCO含有量: 2.35 重量%
粘度 (23℃): 87000 mPa・s。
【0061】
b)反応系の製造:

プレポリマー5 gを、オクタヒドロ-4.7-メタノインデン-1.5-ジメタンアミン1.66 g及びD.E.R 358の5 gと完全に撹拌する。混合物を注ぎ出して、3 mm厚の層を形成する。数時間後に、ショアA硬度が92の透明な弾性プラスチック材料が得られる。
【0062】
実施例5
Acclaim(登録商標) 1000及びAcclaim(登録商標) 4200を用いたブロックトポリウレタンプレポリマーの製造:

OH価が112のポリエーテルポリオール Acclaim(登録商標) 1000の226.67 g及びOH価が28のポリエーテルポリオール Acclaim(登録商標) 4200の75.64 gを、2,4-ジイソシアナトトルエン85.46 gによって、60℃にて、理論NCO含有量5.32重量%に到達するまでプレポリマー化する。その後、ヒドロキシル基含有量が2重量%の市販の炭化水素樹脂(Novares(登録商標) LA 300) 412.23 gを添加し、ジブチルスズ(II)ジラウレート0.06 gで触媒させ、80℃にて10時間撹拌する。次に、塩化ベンゾイル0.12 gを添加する。この後は、IRスペクトルにおいて、遊離イソシアネートはもはや検出し得ない。NCO滴定によると、NCO含有量は0.2重量%未満である。得られるブロックトイソシアネートプレポリマーは、以下の特性データを有する:
ブロックトNCO含有量: 2.34 重量%
粘度 (23℃): 81000 mPa・s。
【0063】
b)反応系の製造:

プレポリマー5 gを、オクタヒドロ-4.7-メタノインデン-1.5-ジメタンアミン1.66 g及びD.E.R 358の5 gと完全に撹拌する。混合物を注ぎ出して、3 mm厚の層を形成する。数時間後に、ショアA硬度が95の透明な弾性プラスチック材料が得られる。
【0064】
実施例6
a)Acclaim(登録商標) 1000を用いたブロックトポリウレタンプレポリマーの製造:

OH価が112のポリエーテルポリオール Acclaim(登録商標) 1000の330.4 gを、2,4-ジイソシアナトトルエン114.98 gによって、60℃にて、理論NCO含有量6.23重量%に到達するまでプレポリマー化する。その後、ヒドロキシル基含有量が2重量%の市販の炭化水素樹脂(Novares(登録商標) LA 300)554.62 gを添加し、ジブチルスズ(II)ジラウレート0.07 gで触媒させ、80℃にて10時間撹拌する。次に、塩化ベンゾイル0.15 gを添加する。この後は、IRスペクトルにおいて、遊離イソシアネートはもはや検出し得ない。NCO滴定によると、NCO含有量は0.2重量%未満である。得られるブロックトイソシアネートプレポリマーは、以下の特性データを有する:
ブロックトNCO含有量: 2.65 重量%
粘度 (23℃): 56000 mPa・s。
【0065】
b)反応系の製造:

プレポリマー20 gを、オクタヒドロ-4.7-メタノインデン-1.5-ジメタンアミン6.75 g、D.E.R 358の20 g、オレイン酸0.4 g、Perenol(登録商標) E 8の0.2 g及びベンジルアルコール0.2 gと完全に撹拌する。混合物を注ぎ出して、3 mm厚の層を形成する。数時間後に、下記特性データを有する僅かに混濁した弾性プラスチック材料が得られる:
極限引張応力: 20.8 MPa
破断伸び: 46.3%
引裂抵抗: 32.4 N/mm。
【0066】
実施例7
a)Acclaim(登録商標) 3201を用いたブロックトポリウレタンプレポリマーの製造:

OH価が37のポリエーテルポリオール Acclaim(登録商標) 3201の949.13 gを、2,4-ジイソシアナトトルエン110 g及びクロロプロピオン酸0.04 gによって、60℃にて、理論NCO含有量2.52重量%に到達するまでプレポリマー化する。その後、イソ-ノニルフェノール140.18 gを添加し、ジブチルスズ(II)ジラウレート0.08 gで触媒させ、80℃にて10時間撹拌する。次に、塩化ベンゾイル0.18 gを添加する。この後は、IRスペクトルにおいて、遊離イソシアネートはもはや検出し得ない。NCO滴定によると、NCO含有量は0.2重量%未満である。得られるブロックトイソシアネートプレポリマーは、以下の特性データを有する:
ブロックトNCO含有量: 2.25 重量%
粘度 (23℃): 43100 mPa・s。
【0067】
b)反応系の製造:

プレポリマー5 gを、オクタヒドロ-4.7-メタノインデン-1.5-ジメタンアミン1.52 g及びD.E.R 358の5 gと完全に撹拌する。混合物を注ぎ出して、3 mm厚の層を形成する。数時間後に、ショアA硬度が82の透明な高弾性プラスチック材料が得られる。
【0068】
実施例8
a)Acclaim(登録商標) 2200を用いたブロックトポリウレタンプレポリマーの製造:

OH価が56のポリエーテルポリオール Acclaim(登録商標) 2200の880.22 gを、2,4-ジイソシアナトトルエン145.5 g及びクロロプロピオン酸0.04 gによって、60℃にて、理論NCO含有量3.24重量%に到達するまでプレポリマー化する。その後、ヒドロキシル基含有量が7.73重量%の2,6-ジ-tert.-ブチル-4-メチルフェノール(イオノール)174.28 gを添加し、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン0.08 gで触媒させ、80℃にて10時間撹拌する。次に、塩化ベンゾイル0.18 gを添加する。この後は、IRスペクトルにおいて、遊離イソシアネートはもはや検出し得ない。NCO滴定によると、NCO含有量は0.2重量%未満である。得られるブロックトイソシアネートプレポリマーは、以下の特性データを有する:
ブロックトNCO含有量: 2.77 重量%
粘度 (23℃): 117000 mPa・s。
【0069】
b)反応系の製造:

プレポリマー5 gを、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン2.1 g、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン0.05 g及びD.E.R 358の5 gと完全に撹拌する。混合物を注ぎ出して、3 mm厚の層を形成する。40℃で数時間後に、ショアA硬度が85.2の透明な高弾性プラスチック材料が得られる。
【0070】
c)更なる反応系の製造:

プレポリマー40 gを、Polypox(登録商標) H 031の2.44 g及び2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン1 gと完全に撹拌する。混合物を注ぎ出して、3 mm厚の層を形成する。数時間後に、ショアA硬度が85の透明な弾性プラスチック材料が得られる。
【0071】
実施例9
Laromin(登録商標) C260を用いた反応系の製造:

Perenol(登録商標) E 8の0.05 g及び2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン0.05 gを、実施例1〜8に従って製造されるブロックトポリウレタンプレポリマーの各々10 gと、撹拌しながら混合する。その後、いずれの場合にもLaromin(登録商標) C 260の0.4 g、0.6 g及び0.8 gを撹拌しながら添加し、次いで、反応混合物を常温で3日間置いておく。全ての場合に、透明で均一な、完全に硬化した弾性プラスチック材料が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックトポリウレタンプレポリマーの製造方法であって、
a)一以上のジイソシアネート又はポリイソシアネートを
b)不飽和末端基含有量が0.02ミリグラム当量/ポリオール1g以下(測定法はASTM D2849-69に準じる)、多分散性(PD=Mw/Mn)が1.01〜1.5、及び/又はOH官能価が1.9以上である一以上のポリエーテルポリオール
と反応させて、NCO-官能性ポリウレタンプレポリマーを生成させ、次いで、該NCO基を
c)フェノール性OH基及び/又は任意に置換されたフェノールを有する少なくとも一種の炭化水素樹脂
でブロックすることによる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法によって得られうるブロックトポリウレタンプレポリマー。
【請求項3】
成分a)は芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネート混合物であることを特徴とする請求項2に記載のブロックトポリウレタンプレポリマー。
【請求項4】
成分b)は多分散性が1.1〜1.5、OH官能価が1.9より大きいポリエーテルポリオールであることを特徴とする請求項2又は3に記載のブロックトポリウレタンプレポリマー。
【請求項5】
成分b)はOH官能価が1.95以上であることを特徴とする請求項4に記載のブロックトポリウレタンプレポリマー。
【請求項6】
成分c)はフェノール性OH基を有しヒドロキシル基含有量が0.1重量%〜10重量%の炭化水素樹脂であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のブロックトポリウレタンプレポリマー。
【請求項7】
成分c)はヒドロキシル基含有量が2重量%〜8重量%の室温で液状の炭化水素樹脂であることを特徴とする請求項6に記載のブロックトポリウレタンプレポリマー。
【請求項8】
A)請求項2に記載のポリウレタンプレポリマー、
B)少なくとも二つの第一級アミノ基を有する少なくとも一種の有機アミン、
C)任意に、一分子当たり平均一個より多いオキシラン基を含むオキシラン基含有化合物、並びに、
D)任意に、触媒及び/又は添加剤
を含む反応系。
【請求項9】
添加剤、封止用組成物、注型用組成物、複合材料(繊維複合材料)、成形品及び塗料の製造のための、請求項2に記載のブロックトポリウレタンプレポリマーの使用。
【請求項10】
鉄泉水建設、造船における、及びパイプライン用の防錆塗料の製造のための、請求項2に記載のブロックトポリウレタンプレポリマーの使用。

【公表番号】特表2006−506490(P2006−506490A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552560(P2004−552560)
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012563
【国際公開番号】WO2004/046217
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】