説明

家きん糞含有肥料及び家きん糞含有肥料の製造方法

【課題】家きん糞の有効利用を図った加工家きんふん肥料を提供する。
【解決手段】加工家きんふん肥料である粒状の発酵鶏糞1の外表面を無機系肥料成分3でコーティングすることにより家きん糞含有肥料を形成する。コーティングの方法としては、粉状の無機系肥料成分を発酵鶏糞の外表面に粉衣する方法、液状の無機系肥料成分に発酵鶏糞を浸漬して乾燥させる方法、液状の無機系肥料成分を発酵鶏糞の外表面に散布して乾燥させる方法等がある。無機系肥料成分を液糖や液蜜など比較的粘性の高い液体に溶解させて発酵鶏糞1の外表面に付着させると、発酵鶏糞1の外表面を無機系肥料成分を含む液体が被覆した状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家きん糞を原料とする肥料を用いて製造される家きん糞含有肥料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肥料の原料のほとんどを海外からの輸入に頼っているわが国では、原料価格の高騰の影響を強く受ける。特にカリウム資源、リン酸資源は世界的にも需要が高く、このような世界情勢を考慮すると、国内のカリウム資源、リン酸資源を見直す必要に迫られている。
わが国では国民1人あたり採卵鶏で約1〜1.5羽、ブロイラーで約1羽を飼養しており、平成19年における農林水産省の調査によると、採卵鶏の飼養数は1億8千羽、ブロイラーを含めた飼養数は約3億羽であると報告されている。このような大量の鶏から発生する糞(鶏糞)を乾燥、発酵させた乾燥鶏糞や発酵鶏糞は従来より国内において肥料として流通しているが、成分にバラつきがあり、しかも特有の臭気を有することから取り扱い難く、100%有効利用されているわけではない。また、乾燥鶏糞や発酵鶏糞は緩効性〜中効性であり、無機系肥料に比べて肥効が遅い。このような事情は鶏糞以外の家きん糞でも同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-238277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、家きん糞を原料とする肥料の臭気を抑えると共に肥効を早めることができ、且つ成分の均一化を図ることができる家きん糞含有肥料及び家きん糞含有肥料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために成された本発明に係る家きん糞含有肥料は、
家きん糞を原料とする粒状肥料に無機系肥料成分を付着させて成ることを特徴とする。
ここで、「無機系肥料成分を付着」とは、家きん糞を原料とする粒状肥料の外表面に粉状の無機系肥料成分が付着している状態や液状の無機肥料成分がしみ込んだ状態等を含む。また、無機系肥料成分を液糖や液蜜など比較的粘性の高い液体に溶解させて前記粒状肥料の外表面を被覆するようにしても良い。
【0006】
この場合、前記家きん糞を原料とする粒状肥料は、粒状の加工家きんふん肥料であることが好ましい。
前記加工家きんふん肥料としては、特に、発酵鶏糞であることが好ましく、さらには、発酵により、含まれているタンパク質が低分子化しているものがより好ましい。
【0007】
前記無機系肥料成分は、前記加工家きんふん肥料における含有量が少ない肥料成分を補足するものであると良い。
また、前記加工家きんふん肥料の外表面にpH調整剤を付着させてから前記無機系肥料成分を付着させると、加工家きんふん肥料と無機系肥料成分との反応を抑えることができる。
【0008】
本発明の家きん糞含有肥料を製造する方法は、粒状の加工家きんふん肥料を、無機系肥料成分を含む液体に浸漬し、引き上げた後、乾燥させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の家きん糞含有肥料の製造方法は、粒状の加工家きんふん肥料の外表面に、無機系肥料成分を含む液体を散布し、乾燥させることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の家きん糞含有肥料の製造方法は、粒状の加工家きんふん肥料の外表面に、粉状の無機系肥料成分を粉衣処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加工家きんふん肥料等の家きん糞を原料とする粒状肥料に付着させる無機系肥料成分の量や組成を調製することにより、肥料成分を調整でき、特に三大肥料成分である窒素、リン酸、カリウムのバランスのとれた組成の家きん糞含有肥料を提供することができる。また、家きん糞を原料とする粒状肥料の外表面を無機系肥料成分で覆うようにすれば、家きん糞を原料とする肥料特有の臭気を軽減することができる。さらに、緩効性〜中効性の加工家きんふん肥料に速効性の無機系肥料成分を組み合わせることで、肥効の速さを調整できる。さらにまた、無機系肥料成分を粒状の加工家きんふん肥料に付着させるだけで家きん糞含有肥料を形成したため、該家きん糞含有肥料の製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例である発酵鶏糞肥料の説明図。
【図2】別の発酵鶏糞肥料の説明図。
【図3】発酵鶏糞に他の肥料成分を吸着させて製造した加工家きんふん肥料の含有成分等を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、家きん糞を原料とする粒状肥料に無機系肥料成分を付着させることにより家きん糞に元来含まれる肥料成分を補い、対象とする作物にとって成分バランスの良い家きん糞含有肥料を提供することを目的とする。また、家きん糞を原料とする肥料は緩効性〜中効性であるため、速効性の無機系肥料成分を付着させることにより、肥効の速さを調整することができる。
【0014】
家きん糞を原料とする肥料の中でも加工家きんふん肥料は普通肥料登録がされており、普通肥料との混合が肥料取締法で禁じられている鶏糞たい肥等の特殊肥料と異なり、他の普通肥料と自由に配合することができる。従って、家きん糞を原料とする粒状肥料として加工家きんふん肥料を用いれば、無機系普通肥料との配合を自由にできる。なお、加工家きんふん肥料に組み合わせる肥料としては、無機系普通肥料に限らない。例えば、普通肥料登録されている全ての資材を加工家きんふん肥料に組み合わせることができる。また、加工家きんふん肥料よりも肥効が早い速効性肥料であれば、組み合わせることにより加工家きんふん肥料の肥効を調整することができる。
【0015】
加工家きんふん肥料は、ニワトリやウズラなどの家きん糞を加工して調製した肥料である。加工家きんふん肥料は肥料取締法で普通肥料に位置づけられ、(1)家きん糞に硫酸等を混合して火力乾燥したもの、(2)家きん糞を加圧蒸煮したあと乾燥させたもの、(3)家きん糞について熱風乾燥および粉砕したもの、(4)家きん糞を発酵乾燥させたもの、の4種類がある。
加工家きんふん肥料の肥料成分については、全窒素が2.5%以上、全リン酸が2.5%以上、全カリウム(加里)が1.0%以上を保証するように規格付けられている。また、加工家きんふん肥料には、これらの肥料成分の他、マグネシウム(苦土)、カルシウム等も含まれている。このように加工家きんふん肥料は多種類の肥料成分を含むが、全ての植物に対して必ずしも成分バランスが良いとはいえない。
【0016】
加工家きんふん肥料は一般的にアルカリ性であるが、付着させる無機系肥料成分を酸性のものにすることにより、家きん糞含有肥料のpHを中性付近に調整することができる。さらに、付着させる無機系肥料成分との不必要な反応を抑えるために、予め、加工家きんふん肥料の外表面のpHを調整しておくとよい。さらにまた、加工家きんふん肥料の外表面を無機系肥料成分で被覆すれば、加工家きんふん肥料から発生する臭気を封じ込めることができる。
【0017】
加工家きんふん肥料のうち発酵鶏糞は製造の過程で粒状化するものが多く、本発明に係る家きん糞含有肥料の原料として適している。即ち、発酵鶏糞を用いると、粒状に成形する工程が不要となるため、家きん糞含有肥料の製造コストを低減することができる。
【0018】
図1及び図2を用いて本発明の家きん糞含有肥料の製造方法を説明する。ここでは、粒状の発酵鶏糞を加工家きんふん肥料の原料として用いた例を挙げて説明する。
図1に示す家きん糞含有肥料は、粒状の発酵鶏糞1の外表面が無機系普通肥料成分3でコーティングされている。コーティングの方法としては、粉状の無機系普通肥料成分を発酵鶏糞の外表面に粉衣する方法、液状の無機系肥料成分に発酵鶏糞を浸漬して乾燥させる方法、液状の無機系肥料成分を発酵鶏糞の外表面に散布して乾燥させる方法等がある。液糖や液蜜など比較的粘性の高い液体に無機系肥料成分に溶解し、この溶液に発酵鶏糞を浸漬したり、前記溶液を発酵鶏糞の外表面に散布すると、当該溶液に含まれる無機系肥料成分の多くを発酵鶏糞の外表面にコーティングすることができる。一方、比較的粘性の低い液体に無機系肥料成分が溶解している場合は、無機系肥料成分の多くが発酵鶏糞の内部までしみ込む。従って、無機系肥料成分溶液の粘性を調製することにより、発酵鶏糞の外表面に付着する無機肥料成分と内部までしみ込む無機肥料成分の割合を調整することができる。
【0019】
図2に示す家きん糞含有肥料は、粒状の発酵鶏糞1の外表面にpH調製液5をコーティングした後、更にその外表面に無機系肥料成分3をコーティングすることによって形成されている。pH調製液5としては、例えば木酢液、酢酸、乳酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、シュウ酸、フィチン酸などの有機酸、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸といった酸性液を用いることができる。発酵鶏糞はアルカリ性であるため、木酢液や酢酸、乳酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、シュウ酸、フィチン酸などの有機酸、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸といった酸性液をコーティングすることにより、発酵鶏糞1の外表面が中性付近に調製され、次のコーティング材である無機系肥料成分3と発酵鶏糞1との化学反応を抑制することができる。無機系肥料成分3と同様、pH調製液5のコーティング方法としては発酵鶏糞1をpH調製液5に浸漬する方法、発酵鶏糞1の外表面にpH調製液5を散布する方法等がある。
【0020】
次に、本発明の家きん糞含有肥料の原材料について説明する。
[発酵鶏糞]
発酵鶏糞としては、窒素源(タンパク質)が完熟化し、できるだけ低分子化したもの、リン酸、カリウムを濃縮したものを用いる。このような発酵鶏糞は、麹菌などの微生物を用いて鶏糞を発酵させることで得られる。鶏糞に含まれるタンパク質は微生物により細かく分解され、様々な分子量のタンパク様物質となる。なお、発酵に用いる微生物は、タンパク質分解力を有していれば、嫌気性微生物、好気性微生物のいずれでも良い。
発酵鶏糞のpHを調製する場合には、更に乳酸発酵や乳酸処理する。pHを調製することで、発酵鶏糞と、これに付着させる肥料成分との反応を抑えることができる。
【0021】
肥料取締法上、全窒素が2.5%以上、全リン酸が2.5%以上、全カリウム(加里)が1.0%以上の発酵鶏糞は普通肥料として位置づけられる。一方、窒素、リン酸、カリウム(加里)の含量が上記規格を満たさない発酵鶏糞は特殊肥料として位置づけられる。肥料取締法では、普通肥料同士を混ぜ合わせることは認められているが、普通肥料に普通肥料以外の肥料(例えば特殊肥料)を混入することは禁止されている。このような肥料取締法上の制約を考慮すると、本発明の家きん糞含有肥料の原料として用いる発酵鶏糞は普通肥料登録されている発酵鶏糞であることが望ましいが、特殊肥料としての発酵鶏糞であっても構わない。
【0022】
[付着肥料成分]
有機質肥料である発酵鶏糞は緩効性〜中効性であるため、速効性である無機系肥料(化成肥料)で発酵鶏糞の外表面を被覆することにより、速効性から緩効性を有する肥料をつくることができる。従って、付着させる肥料成分として無機系肥料成分を用いることが好ましい。ただし、付着させる肥料成分には、無機系肥料だけでなく、有機質肥料等の種々の肥料を用いることが可能である。下記に、付着させる肥料成分として利用可能な各種肥料を挙げる。以下の肥料はいずれも普通肥料登録がされているものであり、比較的入手が容易なものである。
【0023】
(1)窒素質肥料
硫酸アンモニア、塩酸アンモニア、硝酸アンモニア、硝酸ソーダ、硝酸石灰、腐植酸アンモニア肥料、尿素、石灰窒素、硝酸アンモニア石灰、硝酸アンモニアソーダ、硝酸苦土肥料、アセトアルデヒド副産チッソ肥料、混合チッソ肥料等
(2)リン酸質肥料
過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔成リン肥、腐植酸リン肥、焼成リン肥、重焼リン、リンスター、苦土過リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸カリウム、混合リン酸肥料、副産リン酸肥料、スーパーリン酸、ポリリン安等
(3)カリ質肥料
硫酸加里、塩化加里、硫酸加里苦土、炭酸カリ、重炭酸カリ、腐植酸カリ、ケイ酸カリ、液体ケイ酸カリ肥料、粗製カリ塩、加工苦汁カリ、副産加里肥料、混合加里肥料、灰類等
【0024】
(4)有機質肥料
魚かす粉末、干魚肥料粉末、魚節煮かす、甲殻類質肥料粉末、蒸製魚鱗及びその粉末、肉かす粉末、肉骨粉、蒸製てい角粉、蒸製てい角骨粉、蒸製毛粉、乾血及びその粉末、生骨粉、蒸製骨粉、蒸製鶏骨粉、干蚕蛹粉末、蚕蛹油かす及びその粉末、絹紡蚕蛹くず、とうもろこしはい芽及びその粉末、大豆油かす及びその粉末、なたね油かす及びその粉末、わたみ油かす及びその粉末、落花生油かす及びその粉末、あまに油かす及びその粉末、ごま油かす及びその粉末、ひまし油かす及びその粉末、米ぬか油かす及びその粉末、その他の草本性植物油かす及びその粉末、カポック油かす及びその粉末、とうもろこしはい芽油かす及びその粉末、たばこくず肥料粉末、甘草かす粉末、豆腐かす乾燥肥料、えんじゅかす粉末、窒素質グアノ、とうもろこし浸漬液肥料、魚廃物加工肥料、乾燥菌体肥料、副産動物質肥料、副産植物質肥料、混合有機質肥料等
【0025】
(5)複合肥料
熔成複合肥料、化成肥料、吸着複合肥料、被覆複合肥料、副産複合肥料、液状複合肥料等
(6)石灰質肥料
生石灰、消石灰、炭酸カルシウム肥料等
(7)苦土肥料
硫酸苦土肥料、水酸化苦土肥料等
(8)けい酸質肥料
鉱さいけい酸質肥料、シリカゲル肥料等
(9)マンガン質肥料
硫酸マンガン肥料
(10)ほう素質肥料
ホウ酸塩肥料、ホウ酸肥料、ほう砂等
(11)微量要素複合肥料
熔成微量要素複合肥料、液体微量要素複合肥料、混合微量要素肥料等
(12)その他
普通化成肥料、高度化成肥料、二成分複合化成肥料、配合肥料、肥効調節型肥料、ペースト肥料
【0026】
以下、実験例1及び2並びに比較例により本発明を説明する。
[実験例1]
原料肥料として図3に示す組成を有する特殊肥料としての粒状の発酵鶏糞を用い、この発酵鶏糞1kgに対して、硫安飽和溶液200mlを3回に分けて吸着・天日乾燥を繰り返すことにより硫安吸着肥料を得た。硫安飽和溶液は、25℃において水100g中に硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)が76.0g溶解している溶液であり、9.1%の窒素(N)分を含んでいる。
硫安飽和溶液の吸着は、トレーに発酵鶏糞と硫安飽和溶液を入れ、発酵鶏糞に硫安飽和溶液をしみ込ませることにより行った。
【0027】
[実験例2]
実験例1と同じ組成を有する粒状の発酵鶏糞1kgに対して、尿素飽和溶液200mlを3回に分けて吸着・天日乾燥を繰り返して尿素吸着肥料を得た。尿素飽和溶液は、25℃において水100g中に尿素((H2N)2C=O)が100g溶解している溶液であり、19.68%の窒素分を含む。尿素肥料は速効性肥料として知られている。尿素飽和溶液の吸着・天日乾燥は実施例1と同様の方法で行った。
【0028】
[比較例]
実験例1及び2と同じ組成を有する粒状の発酵鶏糞1kgに対して、コーンスティプリカー66mlを3回に分けて吸着・天日乾燥を繰り返してコーンスティプリカー吸着肥料を得た。コーンスティプリカーは、トウモロコシからデンプンを生成する工程で最初に出る副産物であり、トウモロコシの粒を軟化するためにトウモロコシを浸漬しておく浸漬液を真空蒸発装置によって固形分50%前後まで濃縮した液体をいう。窒素(N)が2.76%、リン(P)が3.39%、カリウム(K)が2.13%含まれている。コーンスティプリカーの吸着・天日乾燥は実験例1と同様の方法で行った。
【0029】
実験例1及び2並びに比較例により得られた各種吸着肥料について肥料成分の分析、pH、電気伝導度(EC)の測定を行った。各種吸着肥料の成分分析値、pH、電気伝導度(EC)を図3に示す。また、各吸着肥料について臭気を評価した。
図3に示すように、実験例1の硫安吸着肥料では、全窒素量がやや増加したものの、成分全般について含有量の大幅な向上は見られなかった。ただし、pHが9.04から6.99に変化し、中性になっていた。
【0030】
実験例2の尿素吸着肥料では、全窒素量の大幅な増加が見られたが、pHはほとんど変化しなかった。
比較例のコーンスティプリカー吸着肥料では、成分については大きな変化が見られず、pHがやや低下していた。ただし、実験例1,2に比べると臭気の改善が見られた。コーンスティプリカーは実験例1,2で用いた肥料溶液に比べると粘性が高く、吸着処理によりコーンスティプリカーが発酵鶏糞の表面を覆ったためと考えられる。
なお、実験例2や比較例に比べると実験例1では電気伝導度(EC)の大幅な上昇が見られた。ただし、たい肥に比べると施肥量が少ない発酵鶏糞の場合は、電気伝導度が27.70であっても土壌中の塩類の量が問題になるほど増大することはない。
【0031】
以上から、有機質肥料である発酵鶏糞に無機系肥料を付着させることにより肥料成分を補足したりpHを調製したりすることが可能であることが分かった。また、有機質肥料と無機系肥料とを配合することにより、遅効性と速効性を併せ持つ肥料の提供が可能であると考えられた。さらに、付着肥料成分を粘性が高い状態で発酵鶏糞に付着させることにより、発酵鶏糞の外表面が付着肥料成分で覆われ、発酵鶏糞の臭気を封じ込むことができ、臭気を軽減できると考えられた。
【0032】
なお、上述の実験例1,2では特殊肥料としての発酵鶏糞を用いたが、普通肥料としての発酵鶏糞を用いても良く、この場合も同様の結果が得られることは言うまでもない。また、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家きん糞を原料とする粒状肥料に無機系肥料成分を付着させて成る家きん糞含有肥料。
【請求項2】
前記無機系肥料成分が前記粒状肥料の外表面を被覆していることを特徴とする請求項1に記載の家きん糞含有肥料。
【請求項3】
前記家きん糞を原料とする粒状肥料が、粒状の加工家きんふん肥料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の家きん糞含有肥料。
【請求項4】
前記加工家きんふん肥料が発酵鶏糞であることを特徴とする請求項3に記載の家きん糞含有肥料。
【請求項5】
前記無機系肥料成分は、前記加工家きんふん肥料における含有量が少ない肥料成分を補足するものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の家きん糞含有肥料。
【請求項6】
前記加工家きんふん肥料の外表面にpH調整剤を付着させてから前記無機系肥料成分を付着させたことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の家きん糞含有肥料。
【請求項7】
粒状の加工家きんふん肥料を、無機系肥料成分を含む液体に浸漬し、引き上げた後、乾燥させることにより家きん糞含有肥料を製造する方法。
【請求項8】
粒状の加工家きんふん肥料の外表面に、無機系肥料成分を含む液体を散布し、乾燥させることにより家きん糞含有肥料を製造する方法。
【請求項9】
粒状の加工家きんふん肥料の外表面に、粉状の無機系肥料成分を粉衣処理することにより家きん糞含有肥料を製造する方法。
【請求項10】
前記加工家きんふん肥料の外表面のpHを予め調整することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の家きん糞含有肥料を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−37663(P2011−37663A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186034(P2009−186034)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(399109872)川合肥料株式会社 (7)
【Fターム(参考)】