説明

家具システムおよびこれを構成する椅子又はテーブル

【課題】椅子に電源機能をもたせるにあたり、充電のための特段の操作等を要求することがなく、椅子の不使用時には自ずとチャージが完了していて、使用時には椅子を取り出して電源域から離れた位置で確実に使用できるようにした椅子システムを提供する。
【解決手段】相互にスタッキング可能な椅子Aに、スタッキング方向の一端側および他端側に位置する電気的な第1接続部41および第2接続部42と、これら第1接続部41および第2接続部42の間を導通させる導通部43と、第1接続部41に関連づけられた蓄電部5とを設けるとともに、椅子A、A同士をスタッキングした際に隣接する一方の椅子Aの第1接続部41と他方の椅子Aの第2接続部42とが電気的に接続されるように構成して、端部にスタッキングされた椅子Aの第1接続部41をOAコンセント1000に接続することにより、各椅子Aの蓄電部5を充電し得るように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ等の電子機器の使い勝手を向上させる上で有用となる家具システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時におけるITの進展によって、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する)を用いたワークスタイルが日常的になっており、モバイルでいつでもどこでも仕事ができる環境を容易に手に入れることができるようになっている。
【0003】
ところで、パソコンには電源コンセントが不可欠である。近時のPCは高性能で電池寿命が長くなっているとはいえ、充電のためにAC−DCコンバータに差込プラグのついたACアダプタを持ち運び、移動先でバッテリの放電を避けるために電源コンセントにACアダプタを差し込んで使用する場合が多く、電源コンセントがない場合にはバッテリ消費が進行するため使用に際して大きな制約を受ける。更に、電源域から離れることができないため、ACアダプタを差し込める位置にコンセントがない場所では長時間の使用ができない。移動時にも、ACアダプタを折り畳んでパソコンとともにカバン等に収納する必要があり、出し入れが逐一煩わしく、カバンが嵩張って重くなるため移動時の支障ともなる。携帯型のバッテリ、予備バッテリを利用する場合もあるが、持ち運びや充電の必要がある点において変わりはない。
【0004】
このような不具合を解消する上で参考になるものとして、特許文献1に示すものが挙げられる。同文献に示される椅子は、椅子本体と、前記椅子本体に取り付けられ該椅子本体の外部から供給された電力を蓄電する蓄電部及び外部電源より電力を取得するとともに前記蓄電部へ電力を供給する給電部を有する電源装置とを具備し、前記給電部が、外部電源に対し一端部を接続可能な接続端子を有するとともに他端部に第一コネクタを有する電源コードを具備するとともに、前記蓄電部に前記第一コネクタと電気的且つ着脱可能に接続される第二コネクタを設けたものである。
【0005】
このように構成されることで、電源コードとして機能する給電部は椅子本体に対して着脱可能となり、給電部を椅子本体より取り外して椅子本体を使用すれば、使用者や周囲の者の邪魔になることや使用者の位置変更が制限することはなくなるとともに、このような環境で使用する限りにおいて、ACアダプタは不要なものとなる。
【特許文献1】特開2005−287784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、同文献は、椅子単位で充電を行うものであるため、パーソナルワークには向いているが、グループワークや不定期の会合等には不向きである。すなわち、近時においては、ミーティングや研修、講習会等においても各自がパソコンを持参して参加するシーンが少なくない。このような場合には、普段は使用しない椅子やテーブル等を収納場所から持ち出して展開し、そこで参加者がパソコンを取り出して使用する環境を整えることになる。このような場合に、ミーティング用の椅子等を逐一同文献のようにセットして充電することは非実用的であり、事前の準備を怠る事態も頻発すると考えられる。また、自席以外にこのようなシーンがある限り、個人個人はやはりACアダプタ等を携帯して常に充電ができる体制を整えておかなければならず、今日のワークスタイルに照らした場合、更に改善の余地がある。
【0007】
本発明は、このような不具合に鑑みてなされたものであって、パソコン利用時に使用する椅子やテーブル等の家具側に蓄電部機能をもたせるにあたり、充電のための特段の操作等を要求することがなく、家具の不使用時には自ずとチャージが完了していて、使用時には家具を取り出して電源域から離れた位置で確実に使用できるようにした家具システム等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明の家具システムは、複数の家具を移動可能かつ相互にスタッキング可能に構成してなるものにおいて、前記各家具に、スタッキング方向の一端側および他端側に位置する電気的な第1接続部および第2接続部と、これら第1接続部および第2接続部の間を導通させる導通部と、前記第1、第2接続部の何れか若しくは前記導通部の一部に関連づけられた蓄電部とを設けるとともに、前記家具同士をスタッキングした際に隣接する一方の家具の第1接続部と他方の家具の第2接続部とが電気的に接続されるように構成して、端部にスタッキングされた家具の第1接続部または第2接続部の何れかを外部電源供給部に接続することにより、各家具の蓄電部を充電し得るように構成したことを特徴とする。
【0010】
このような構成により、端部に位置する家具の第1、第2接続部の何れかをコンセント等の外部電源供給部に差し込んでおきさえすれば、この家具に対して他の家具を順次スタッキングさせるだけで、隣接する家具に備わる第1、第2接続部の一方が連結用電源供給部、他方が電源入力部として機能して、各家具の蓄電部に一斉に充電がなされることになる。このため、スタッキングされた家具を取り出したときには、蓄電部は蓄電された状態にあり、その蓄電部を使って電子機器等を有効に駆動することができ、ワーカーは電源域から開放されて移動先で自由にパソコン等の電源を確保することができる。したがって、ミーティングルームや研修会場に備えられる椅子等の家具に適用して極めて有用なものとなり得る。
【0011】
電子機器を家具に設置して家具とともに一体的に取り扱うためには、各家具が電子機器設置部を有し、蓄電部に前記電子機器からの電源コードを着脱する電子機器電源供給部を備えていることが望ましい。
【0012】
取り扱いに便利で安全な断接切替を実現するためには、家具同士を隣接させた際に、一方の家具の第1接続部と他方の家具の第2接続部とが磁気や機械的係合などの係留力によって電気的な接続状態を確立し、係留力以上の外力によって引き離されるように関連づけられていることが望ましい。機械的係合にはラッチや嵌め込みによる結合等が挙げられる。
【0013】
家具が、本体部と、この本体部に付随して使用位置と収納位置との間で姿勢変更可能な可動部とを具備する場合において、隣接する一方の家具の本体部と他方の家具の可動部とが突き当たり若しくは近接して重合するような第1のスタッキング態様を採用する家具システムを構成する際には、本体部または可動部の一方に第1接続部を、他方に第2接続部を設けていることが望ましい。
【0014】
家具が、本体部と、この本体部に付随して使用位置と収納位置との間で姿勢変更可能な可動部とを具備する場合において、隣接する家具の本体部同士が突き当たり若しくは近接して重合するような第2のスタッキング態様を採用する家具システムを構成する際には、本体部の一端側および他端側に第1接続部および第2接続部を設けていることが望ましい。
【0015】
家具が、本体部と、この本体部に付随して使用位置と収納位置との間で姿勢変更可能な可動部とを具備する場合において、隣接する家具の可動部同士が突き当たり若しくは近接して重合するような第3のスタッキング態様を採用する家具システムを構成する際には、収納位置にある可動部のスタッキング方向の一端側および他端側に第1接続部および第2接続部を設けていることが望ましい。
【0016】
椅子を用いて第1のスタッキング態様を実現する場合には、背凭れを本体部とし、座を可動部として、座の前縁下面に第1接続部を設け、背の背面に第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設けて、これらに電気的に関連づけた状態で座の内部又は下面に薄板状の蓄電部を設けおくことが効果的である。
【0017】
椅子を用いて第1のスタッキング態様を実現する場合の他の態様としては、背凭れを本体部とし、座を可動部とし、使用位置で着座者の前方に位置し収納位置で着座者の側方に退避する折り畳み天板を更に備えるとともに、座の前縁下面に第1接続部を設け、背の背面に第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設けて、これらに電気的に関連づけた状態で前記折り畳み天板の内部又は下面に薄板状の蓄電部を設けているものが挙げられる。
【0018】
椅子を用いて第2のスタッキング態様を実現する場合には、前脚と後脚を本体部として備え、前脚に第1接続部を設け、後脚に第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設けて、これらに電気的に関連づけた状態で座の内部又は下面に薄板状の蓄電部を設けていることが好ましい。
【0019】
椅子を用いて第2のスタッキング態様を実現する場合の他の態様としては、請求項5記載の家具システムたる椅子システムを構成すべく、前脚と後脚を本体部として備え、使用位置で着座者の前方に位置し収納位置で着座者の側方に退避する折り畳み天板を更に備えるとともに、前脚に第1接続部を設け、後脚に第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設けて、これらに電気的に関連づけた状態で前記折り畳み天板の内部又は下面に薄板状の蓄電部を設けているものが挙げられる。
【0020】
椅子を用いて第3のスタッキング態様を実現する場合には、座および脚を本体部として具備し、使用位置で着座者の前方に位置し収納位置で着座者の側方に退避する折り畳み天板を可動部とし、この折り畳み天板において、収納位置にある折り畳み天板の一端側および他端側にそれぞれ第1接続部および第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設け、これらに電気的に関連づけた状態で前記折り畳み天板の内部又は下面に薄板状の蓄電部を設けていることが好ましい。
【0021】
一方、テーブルを用いて第1のスタッキング態様を実現する場合には、支持体を本体部とし、フラップ天板を可動部として、フラップ天板の一側縁近傍に第1接続部を設け、支持体に第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設けて、これらに電気的に関連づけた状態でフラップ天板の内部又は下面或いは支持体の内部に薄板状の蓄電部を設けていることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上説明した構成であるから、椅子やテーブル等の家具をスタッキングした際に一斉に充電が行われるので、充電のための特段の操作等を要求することがなく、収納という行為によって自ずとチャージを完了することができる。そして、使用時に家具を取り出せば、電源域から離れた位置でも電力を有効に活用することができ、不定期で突発的なミーティングや多人数が社外から集合するような研修会、講習会などにおいて、参加者がパソコンを利用する環境等を有効に構築することが可能となる。また、参加者にとっては、ACアダプタ等を持ち運ぶことが不要になるので、いつでもどこでもパソコンを使用できるユビキタス環境を有効に促進する効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
【0024】
図1及び図2に示す本実施形態の家具システムは、前脚11、後脚12、背支桿13および背凭れ14から構成される本体部1に対して、可動部である座2をライジング可能とし、更に座2に関連付けて折り畳み天板3を備えた椅子Aを用いてなる椅子システムである。この椅子Aは、座2および折り畳み天板3を折り畳んだ状態で、図3に示すように相互にスタッキング(前後方向に重合)可能に構成されている。
【0025】
各椅子Aの前脚11、後脚12および背支桿13は、パイプフレームにより構成されているもので、前脚11は下端部にキャスタ11aを有するとともにその下端部から後上方に立ち上がる形状をなし、後脚12は下端部にキャスタ12aを有するとともにその下端部から前上方に立ち上がる形状をなし、相互に接続部15において接続されている。この接続部15からは、更に後上方に向けて背支桿13が延びており、左右の背支桿13、13の間に背凭れ14が構成されている。図2に示す正面視において、後脚12は前脚11よりも外側に位置している。
【0026】
左右の前脚11、11間は、座受フレーム16によって連結してあり、この座受フレーム16に軸受部21を介して座2を回転可能に支持させている。そして、座2を、略水平姿勢をとる図1及び図2の使用位置と、略鉛直姿勢をとる図3の収納位置との間で姿勢変更可能としている。図2において符号22で示すものは座2を略水平位置に保持するストッパであり、座2を起立姿勢に保持するストッパは各図において省略してある。
【0027】
さらに、折り畳み天板3は、前脚11の一部から前上方に延びる起立フレーム31の先端に天板支持部32を介して取り付けられているもので、着座者の側方に垂下する図2に想像線で示す収納位置と、着座者の前方に水平に横たわる図1及び図2に実線で示す使用位置との間で姿勢変更可能とされている。前記天板支持部32は、図1及び図2に示す使用位置から図3に想像線で示す位置に向かって折り畳み天板3を側方に跳ね上げ、その位置から同図中矢印で示すように折り畳み天板3を後方に回転させて収納位置に移行させるまでの動作を支持するものである。
【0028】
そして、図3に示すように座2及び折り畳み天板3を収納位置に保持した状態で前後方向に椅子A、A同士を近づけた場合に、前方に位置する椅子Aの後脚12、12間に後方に位置する椅子Aの前脚11を進入させ、前方に位置する椅子Aの背凭れ14の背面14aに後方に位置する椅子Aの座2の前縁下面2aを突き当て、或いは近接させてスタッキングし得るようにしている。折り畳み天板3、3同士は、図には表れていないが、スタッキングによって重合する部分が干渉しないように、収納位置において垂下する折り畳み天板3の前縁3aよりも後縁3bが外側に位置し、前方に位置する椅子Aに後方から他の椅子Aが接近した際に、後方の椅子Aの折り畳み天板3の前縁3aが前方に位置する椅子Aの折り畳み天板3の後縁3bの内側に入り込むような構成が挙げられる。或いは、前方に位置する折り畳み天板3が後方からの折り畳み天板3の進入に伴って外側に水平移動するような構成を採用してもよい。
【0029】
このような構成において、本実施形態は図4および図5(a)に示すように、各椅子Aに、スタッキング方向の一端側および他端側に位置づけて、電気的な第1接続部41および第2接続部42を設けるとともに、これら第1接続部41および第2接続部42の間を導通部43によって導通させ、さらに、前記第1接続部41に蓄電部5を接続している。図4および図5に書き加えた両接続部41、42及び蓄電部5は、概念的なものであり、具体的な形状や構成を表しているものではない。
【0030】
第1接続部41および第2接続部42は、凹凸で嵌り合う形状を一部に備えたコネクタから構成されるもので、第1接続部41は座2の前縁下面2aにあって座2の使用位置でほぼ下方を接続方向とし、第2接続部42は背凭れ14の背面14aにあって当該背凭れ14の後方を接続方向としている。これら両接続部41,42の少なくとも一方には磁石が内蔵され、背凭れ14の後方から他の椅子Aの収納位置にある座2を近づけた場合に、係留力である磁気的な吸着力によって図6に示すように互いの接続部41,42の電気的な接続状態を確立し、吸着力以上の外力によって引き離されるように関連づけられている。このようなマグネットコンセントそれ自体は、電気ポット等に一般的に使われているように公知のものであるため、詳しい説明を省略する。
【0031】
図4および図5(a)に示す導通部43は、これら両接続部41,42を導通させる配線から構成されるもので、この導通部43を構成する配線は、座2の内部から適宜の経路を経て背支桿13を通り背凭れ14の内部まで引き回してある。
【0032】
蓄電部5は、リチウムポリマー電池等より構成される薄型バッテリタイプのもので、本実施形態では座2のクッション性を損なわないよう、当該座2の下面側に変位させて内蔵若しくは下面に取着してある。この蓄電部5は、図5(b)に模式的に示すように、外部電力を取り込むための充電端子5aが前記座2の前縁下面2aに設けた第1接続部41に接続されているとともに、適宜部位にパソコン等の電子機器類の電源コードを着脱するための電子機器電源供給部(端子)5bが設けられている。この実施形態では、第1接続部41にAC電力が入力され、AC電力は導通部43を介して第2接続部42に供給されるとともに、第1接続部41から配線等により構成される給電部44を介して蓄電部5の充電端子5aに電力が供給されるようにしている。蓄電部5はDC入力であるから、前記給電部44の一部、前記第1接続部41の一部、或いは蓄電部5の入口には、AC−DC変換と電圧変換を兼ねるACアダプタ部が構成される(図示省略)。
【0033】
すなわち、このように構成される椅子A,A同士を図6に示すように相互にスタッキングすると、後方に位置する一方の椅子の第1接続部41と、前方に位置する椅子の第2接続部42とが電気的に接続され、端部にスタッキングされた1番目の椅子Aの第1接続部41を外部電源供給部であるOAコンセント1000に電源ケーブル100の端子100aを介して接続すると、第1の接続部41が電源入力部、第2の接続部42が連結用電源供給部として機能して、1番目の椅子Aの第1接続部41→導通部43→第2接続部42→2番目の椅子Aの第1接続部41→導通部43→第2接続部42→3番目の椅子Aの第1接続部41…という具合に給電ラインが構成され、各椅子Aにおいてはその給電ラインに蓄電部5が接続されているため、これらの蓄電部5への充電がなされることになる。
【0034】
したがって、端部に位置する椅子Aの第1接続部41をOAコンセント100に差し込んでおきさえすれば、この椅子Aに対して他の椅子Aを順次スタッキングさせるだけで、各椅子の蓄電部5に第1接続部41および第2接続部42、導通部43を介して充電を完了することができる。このように、収納という行為によって充電を行うことができるため、特に手間を掛ける必要がなく、充電忘れを飛躍的に低減することができ、不定期あるいは突発的な利用にも有効に対応することができる。そして、スタッキングされた椅子Aを引き出したときには蓄電部5に確実に充電された状態が得られるため、図7に示すようにその蓄電部5の電子機器電源供給端子5bに例えばノート型のパソコンPCを接続すれば、確実に電源供給を受けて作動させることができる。しかも、椅子Aは移動可能であり、その椅子Aに付帯させた折り畳み天板3上でパソコンPC等を使用すれば、ワーカーは電源域から開放されて移動先で自由にパソコン等の電源を確保することができるようになる。
【0035】
このため、ワーカーはACアダプタ等を持ち運ばずに電源を確保することができ、移動先でパソコンPCの使用環境を整えることができて、移動時にカバンが嵩張ったり重くなったりすることもなく、移動前後の手間も大幅に省くことができ、ミーティング、研修、講習会等など、何時でも何処でも必要数だけ椅子Aを収納場所から持ち出してパソコンを使えるユビキタスな環境を有効に構築することが可能となる。
【0036】
また、各椅子Aが電子機器設置部である折り畳み天板3を有し、蓄電部5に前記パソコンPCからの電源ケーブル100を着脱する電子機器電源供給端子5bを備えているので、椅子AをパソコンPCと一体的に取り扱うことができ、上記の構成を実効あらしめることができる。
【0037】
さらに、椅子A,A同士を隣接させた際に、一方の椅子Aの第1接続部41と他方の椅子Aの第2接続部42とが吸着力によって電気的な接続状態を確立し、吸着力以上の外力によって引き離されるように関連づけられるので、椅子Aのスタッキング操作やスタッキング状態にある椅子Aの引き出し操作に伴って、電気的な断接が自ずと行えることになり、不慮に椅子A,A同士の間に外力が働いても断線等を引き起こすことを有効に回避して、使い勝手と信頼性を向上させることができる。
【0038】
さらにまた、本実施形態の椅子Aは、本体部1と、この本体部1に付随して使用位置と収納位置との間で姿勢変更可能な可動部たる座2とを具備するものであり、座2に第1接続部41を、本体部1に第2接続部42を設けているので、隣接する一方の椅子Aの本体部1と他方の椅子Aの座2とが突き当たり若しくは近接して重合するような図示のごときスタッキング態様を採用する椅子システムに有効に利用することができる。
<第2実施形態>
【0039】
図8に示す椅子Aの基本機能は、上記第1実施形態と同様、前脚11、後脚12、背支桿13及び背凭れ14から構成される本体部1に対して可動部である座2を姿勢変更可能とした椅子Aである点、座2の側方に折り畳み天板3を備え、折り畳み天板3を折り畳んだ状態で図6と同様に複数の椅子A,Aを相互にスタッキング可能としている点で、上記実施形態の椅子システムと同様のものである。
【0040】
また、各椅子Aに、スタッキング方向の一端側および他端側に位置する電気的な第1接続部41および第2接続部42と、これら第1接続部41および第2接続部42の間を導通させる導通部43と、前記第1接続部41に関連づけた蓄電部105とを有している点においても同様であり、第1接続部41を座2の前縁下面2aに設け、第2接続部41を背凭れ14の背面に設けている点も同様である。
【0041】
相違点は、この実施形態では蓄電部105を、その折り畳み天板3の内部に内蔵もしくは下面側に密着させて構成しているところにある。
【0042】
蓄電部105は、上記と同様に薄型バッテリタイプのもので、電力を取り込むための配線等により構成される給電部144が介して座2の前縁下面に設けた第1接続部41に接続されている。折り畳み天板3は可動であるため、その給電部44は、起立フレーム31に沿って折り畳み天板3の挙動を妨げないように引き回されている。
【0043】
このように構成しても、上記実施形態と全く同様のスタッキング充電に関する作用効果を得ることができる。
<第3実施形態>
【0044】
図9〜図11に示す椅子Aの基本機能は、上記第1実施形態と同様、前脚11、後脚12、背支桿13および背凭れ14から構成される本体部1に対して、座3を姿勢変更可能とした椅子であって、座2の側方に折り畳み天板3を備え、天板3を折り畳んだ状態で複数の椅子A、Aを相互にスタッキング可能とした椅子システムを構成するものである。
【0045】
そして、各椅子Aに、スタッキング方向の一端側および他端側に位置する電気的な第1接続部141および第2接続部142と、これら第1接続部141および第2接続部142の間を導通させる導通部143と、前記第1接続部141に電力供給部144を介して関連づけられた蓄電部105とを設けている点においても同様である。他だし、この実施形態では、可動部である折り畳み天板3のスタッキング方向の一端側および他端側(より具体的には中間部)に前記第1接続部141および第2接続部142を設けている。
【0046】
第1接続部141は、折り畳み位置にある天板3の前縁3a側の上部に設けられ、第2接続部142は、折り畳み位置にある天板3の上縁3c側の内面に突出させて設けられ、ともに同じ高さ位置にある。すなわち、図11に示すように、前方に位置する椅子Aに後方から別の椅子Aを近づけると、天板3の前縁3aが前方に位置する椅子Aに付帯する天板3の後縁3b側の内面に進入し、ある程度重合した位置で、第1接続部141が前方に位置する椅子Aに付帯する天板3の第2接続部142に接続される構造になっている。蓄電部105には、適宜位置に充電端子と電子機器電源供給端子を備えている。
【0047】
このように構成しても、上記第1実施形態や第2実施形態と全く同様にスタッキング充電に関する作用効果が奏される上に、折り畳み天板3の内部に両接続部141,142、導通部143、電力供給部144、蓄電部105等を全て組み込むことができるので、回転部分に導通部143や電力供給部144を引き回さなくて済み、信頼性と耐久性の向上に資するものとなる。
<第4実施形態>
【0048】
図12に示す椅子は、前脚11と後脚12を本体部1として備え、前脚11に第1接続部241を設け、後脚に第2接続部242を設け、これら両接続部241,241を導通させる位置に導通部243を設けたもので、これらに電気的に関連づけた状態で、図4等と同様に座1の内部や下面に薄板状の蓄電部5を設け、或いは、図8等と同様に折り畳み天板3の内部や下面に薄板状の蓄電部105を設けるようにする。このようにしても、上記実施形態と同様にスタッキング充電に関する作用効果を奏することができる。
<第5実施形態>
【0049】
図13は、本発明の家具システムたるテーブルシステムの例であり、このテーブルTは、本体部である支持体301に可動部であるフラップ天板303がフラップ動作可能に支持されているものである。そして、フラップ天板303側に第1接続部341を設け、支持体301側に第2接続部342を設け、これら両接続部341,342を導通させる位置に導通部343を設けて、これらの一部に電気的に関連づけた状態でフラップ天板303の内部又は下面或いは支持体301の内部に薄板状の蓄電部305を設けるようにしている。
【0050】
このようにしても、テーブルTを引き出したときには充電が完了しているため、フラップ天板303上にパソコンを載せ置き、蓄電部305に電源ケーブルを接続すれば、電源域から離れた位置でもパソコン等を使用する環境を無理なく有効に構築することが可能となる。
<第6実施形態>
【0051】
図14に示す椅子Bは、相互に垂直方向に重合させてスタッキングできるように構成されたものであり、このような椅子Bにおいても、スタッキング充電を可能にすることができる。図の椅子Bは、前脚411と後脚412が連結部400を含めて一連の脚フレームfにより台形状に構成され、この脚フレームfに背414および座402を支持させたものであり、特に可動部は有しておらず、前脚411,411同士、後脚412,412同士、連結部400,400同士を密接ないし近接させて上下方向に重合させ得るように構成されている。
【0052】
そして、前記連結部400のスタッキング方向の一端側(下端側)に第1接続部441を設け、他端側(上端側)に第2接続部442を設け、これら両接続部441,442を導通させる位置に導通部443を設けたもので、これらに電気的に関連づけた状態で、図4等と同様に座402の内部や下面などに薄板状の蓄電部を設けておく。このようにしても、一端側の第1接続部441に外部電力供給部から電力を供給すれば、上記実施形態と同様にスタッキング充電に関する作用効果を奏することができる。
【0053】
なお、上記各実施形態における蓄電部は、第2接続部側に関連づけて構成することも、導通部に関連づけて構成することも可能である。
【0054】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態に係る椅子の基本構成を示す側面図。
【図2】同正面図。
【図3】同椅子のスタッキング構造を説明するための説明図。
【図4】同実施形態における充電機能を示す正面図。
【図5】同側面図等の他の構成図。
【図6】同作用説明図。
【図7】同充電機能の利用状態を示す図。
【図8】本発明の第2実施形態を示す正面図。
【図9】本発明の第3実施形態を示す正面図。
【図10】同側面図。
【図11】同作用説明図。
【図12】本発明の第4実施形態を示す図。
【図13】本発明の第5実施形態を示す図。
【図14】本発明の第6実施形態を示す図。
【符号の説明】
【0056】
1…本体部
2…可動部(座)
3…可動部(折り畳み天板)
5、105,305…蓄電部
41、141、241…第1接続部
42、142、242…第2接続部
43、143、243…導通部
301…本体部(支持体)
303…可動部(フラップ天板)
1000…外部電力供給部(OAコンセント)
A…家具(椅子)
T…家具(テーブル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の家具を移動可能かつ相互にスタッキング可能に構成してなる家具システムにおいて、
前記各家具に、スタッキング方向の一端側および他端側に位置する電気的な第1接続部および第2接続部と、これら第1接続部および第2接続部の間を導通させる導通部と、前記第1、第2接続部の何れか若しくは前記導通部の一部に関連づけられた蓄電部とを設けるとともに、前記家具同士をスタッキングした際に隣接する一方の家具の第1接続部と他方の家具の第2接続部とが電気的に接続されるように構成して、端部にスタッキングされた家具の第1接続部または第2接続部の何れかを外部電源供給部に接続することにより、各家具の蓄電部を充電し得るように構成したことを特徴とする家具システム。
【請求項2】
各家具が電子機器設置部を有し、蓄電部に前記電子機器からの電源コードを着脱する電子機器電源供給部を備える請求項1記載の椅子。
【請求項3】
家具同士を隣接させた際に、一方の家具の第1接続部と他方の家具の第2接続部とが磁気や機械的係合などの係留力によって電気的な接続状態を確立し、係留力以上の外力によって引き離されるように関連づけられている請求項1又は2何れかに記載の家具システム。
【請求項4】
家具が、本体部と、この本体部に付随して使用位置と収納位置との間で姿勢変更可能な可動部とを具備するものにおいて、本体部または可動部の一方に第1接続部を、他方に第2接続部を設けている請求項1〜3何れかに記載の家具システム。
【請求項5】
家具が、本体部と、この本体部に付随して使用位置と収納位置との間で姿勢変更可能な可動部とを具備するものにおいて、本体部の一端側および他端側に第1接続部および第2接続部を設けている請求項1〜3何れかに記載の家具システム。
【請求項6】
家具が、本体部と、この本体部に付随して使用位置と収納位置との間で姿勢変更可能な可動部とを具備するものにおいて、収納位置にある可動部のスタッキング方向の一端側および他端側に第1接続部および第2接続部を設けている請求項1〜3何れかに記載の家具システム。
【請求項7】
請求項4記載の家具システムたる椅子システムを構成すべく、背凭れを本体部とし、座を可動部として、座の前縁下面に第1接続部を設け、背の背面に第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設けて、これらに電気的に関連づけた状態で座の内部又は下面に薄板状の蓄電部を設けていることを特徴とする椅子。
【請求項8】
請求項4記載の家具システムたる椅子システムを構成すべく、背凭れを本体部とし、座を可動部とし、使用位置で着座者の前方に位置し収納位置で着座者の側方に退避する折り畳み天板を更に備えるとともに、座の前縁下面に第1接続部を設け、背の背面に第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設けて、これらに電気的に関連づけた状態で前記折り畳み天板の内部又は下面に薄板状の蓄電部を設けていることを特徴とする椅子。
【請求項9】
請求項5記載の家具システムたる椅子システムを構成すべく、前脚と後脚を本体部として備え、前脚に第1接続部を設け、後脚に第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設けて、これらに電気的に関連づけた状態で座の内部又は下面に薄板状の蓄電部を設けていることを特徴とする椅子。
【請求項10】
請求項5記載の家具システムたる椅子システムを構成すべく、前脚と後脚を本体部として備え、使用位置で着座者の前方に位置し収納位置で着座者の側方に退避する折り畳み天板を更に備えるとともに、前脚に第1接続部を設け、後脚に第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設けて、これらに電気的に関連づけた状態で前記折り畳み天板の内部又は下面に薄板状の蓄電部を設けていることを特徴とする椅子。
【請求項11】
請求項6記載の家具システムたる椅子システムを構成すべく、座および脚を本体部として具備し、使用位置で着座者の前方に位置し収納位置で着座者の側方に退避する折り畳み天板を可動部とし、この折り畳み天板において、収納位置にある折り畳み天板の一端側および他端側にそれぞれ第1接続部および第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設け、これらに電気的に関連づけた状態で前記折り畳み天板の内部又は下面に薄板状の蓄電部を設けていることを特徴とする椅子。
【請求項12】
請求項4記載の家具システムたるテーブルシステムを構成すべく、支持体を本体部とし、フラップ天板を可動部として、フラップ天板の一側縁近傍に第1接続部を設け、支持体に第2接続部を設け、これら両接続部を導通させる位置に導通部を設けて、これらに電気的に関連づけた状態でフラップ天板の内部又は下面或いは支持体の内部に薄板状の蓄電部を設けていることを特徴とするテーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−115331(P2010−115331A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290417(P2008−290417)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】