家具
【課題】家具の使用者に触れられ易い部分の状態を、長期間保ち続けることができるカバーを提供する。
【解決手段】デスク１は、デスク本体２と、デスク本体２を支持する脚体３の一要素である脚支柱７と、この脚支柱７に一体的に接続された同じく脚体３の一要素である脚ベース８とを具備するものであって、脚ベース８が、脚支柱７に一体的に接続されたベース本体８０と、このベース本体８０の上面を着脱可能に被覆し得るカバーであるベースカバー８１とを有している。
【解決手段】デスク１は、デスク本体２と、デスク本体２を支持する脚体３の一要素である脚支柱７と、この脚支柱７に一体的に接続された同じく脚体３の一要素である脚ベース８とを具備するものであって、脚ベース８が、脚支柱７に一体的に接続されたベース本体８０と、このベース本体８０の上面を着脱可能に被覆し得るカバーであるベースカバー８１とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、オフィスや学校において好適に使用することができる家具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、オフィスや学校等において、同じ形状や色彩を有する家具を複数導入することによってオフィスや教室内の空間に見た目上の統一感を出したり、当該家具の色彩を調節したりすることによって、空間の雰囲気を所望の雰囲気に調節するという試みが種々提案されている。
【０００３】
また他方、これら家具が、導入時の状態を長く保持出来るよう、家具のうち、使用者に触れられやすい箇所に別体のカバーを設け、その箇所の強度を向上させたり、傷が付き難くしたりすることも提案されている(例えば、特許文献１参照)。
【０００４】
しかしながら、上記特許文献１に記載されたような家具を用いて家具に傷が付き難くしたとしても、長期間家具を使い続けた場合にはそれらカバーを設けた箇所の汚れによって家具の見た目が大きく変わってしまう。そうなると、空間内には、やはり家具の使用に比例して導入当初の統一感や雰囲気が損なわれていくことになる。特にこのようなことは、明るい空間を演出すべく、家具の色彩として汚れの目立ちやすい明度の高い色彩を選んだ場合には顕著に起こることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】実開平６−５２５９９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上述のような不具合のうち、使用によって起こる家具の汚れに着目したものであり、長期間使用しても家具による汚れに起因する不具合を有効に解消し、導入当初の状態を長期間保ち続け得る家具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【０００８】
すなわち本発明に係る家具は家具本体と、この家具本体を支持する脚支柱と、この脚支柱に一体的に接続された脚ベースとを具備する家具であって、前記脚ベースが、前記脚支柱に一体的に接続されたベース本体と、このベース本体と、このベース本体の上面を着脱可能に被覆し得るカバーとを有していることを特徴とする。
【０００９】
このようなものであれば、使用者の靴などが当たりことで、靴の汚れや、靴による傷が付き易い脚ベースにカバーを設けることで、ベース本体に優先してカバーに傷や汚れが付くこととなる。そうすることにより、ベース本体に傷や汚れが付着することを有効に回避するのみならず、カバーを取り外してカバーのみを掃除や洗浄、場合によっては著しく劣化したカバーの交換を行なうことで局所的な汚れや劣化を回避することができる。その結果、導入当初の状態を長期間保ち続けることができるデスクを提供することができる。
また、ベース本体の上面が前記脚支柱から斜め下方向に延びるものの場合であってもベース本体とカバーとを安定して位置決めしておくためには、脚ベースを、ベース本体に対して所定の取付位置に位置決めする第１の係合部と、当該第１の係合部に位置決めされたカバーの斜め下方向への抜脱を禁止し得る第２の係合部とを有するものとしておくことが望ましい。
【００１０】
そしてカバーの抜脱を禁止する第２の係合部を簡単な構成で実現するためには、ベース本体に取付けられ下方に突出する接地部を利用することが望ましい。具体的には、この第２の係合部を、ベース本体の一部を上下方向に挿通される接地部の取付軸を収容し得る軸収容孔を設けたものとすることが好ましい。
【００１１】
そして脚ベースを、カバーの下端部を前記ベース本体の上下方向中間部に位置付けることにより、カバーの下端部とベース本体とによって下向き段部を形成しておけば、当該下向き段部を手がかりに容易にカバーを取り外すことができるため、望ましい。
【００１２】
また、カバーが、ベース本体の基端部と脚支柱の下端部との接続箇所の少なくとも一部を隠蔽し得る接続部隠蔽部を有しているものとすれば、接続箇所の設計を容易にすることができる。また、見栄えを良くするための後加工処理を簡便化することができる。さらに、掃除が行い難い隅部に埃が溜まり接続箇所が汚れることを有効に回避できる。
【００１３】
特にこの接続部隠蔽部を、ベース本体の表面と脚支柱との表面とに連続する湾曲形状をなすものとすれば、脚支柱及び脚ベースの掃除をスムーズに行なうことができるとともに、脚支柱と脚ベースとの見た目上の一体感を惹起することができる。
【００１４】
ベース本体が金属パイプ材からなる前記脚支柱に溶接された概略筒状の板金材からなるものとしている場合は、カバーにベース本体の先端面を隠蔽するための先端隠蔽部を設けたものとすれば、板金材に複雑な加工を施すことなく脚ベースの先端部分を仕上げることができる。
【００１５】
また、ベース本体の色彩の如何に拘わらず脚ベースとしてとしての統一感を保持するためには、カバーを、透明又は半透明の樹脂製のものとすることが望ましい。
【００１６】
そして、本発明を、前記家具本体が天板と、この天板を下方から天板支持アームとを有するデスク本体としたデスクに適用すれば、導入当初の状態を長期間保ち続け得るデスクを提供することができる。
【発明の効果】
【００１７】
本発明によれば、ベース本体に優先してカバーに傷や汚れが付くこととなる。そうすることにより、ベース本体に傷や汚れが付着することを有効に回避するのみならず、カバーを取り外してカバーのみを掃除や洗浄、場合によっては著しく劣化したカバーの交換を行なうことで、導入当初の状態を容易に長期間保ち続けることができるデスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本発明の一実施形態に係るデスクの斜視図。
【図２】同実施形態に係る背面図。
【図３】同正面図。
【図４】同側面図。
【図５】同実施形態に係る要部の外観図。
【図６】同構成説明図。
【図７】同実施形態に係る他の構成説明図。
【図８】同実施形態に係る要部の外観図。
【図９】同構成説明図。
【図１０】同上。
【図１１】同実施形態に係る作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【００１９】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【００２０】
本実施形態に係る家具であるデスク１は、例えば大学をはじめとする教育機関や施設に好適に利用されるものである。特に教育機関では、いわゆる「講義机」として利用されるものである。
【００２１】
デスク１は、天板支持アーム５に天板４を支持させてなる家具本体たるデスク本体２と、この天板支持アーム５を支持している脚体３とを有するものである。この脚体３は、天板支持アーム５に溶接継手であるアーム接続部７１を介して剛結されることにより当該天板支持アーム５を支持している脚支柱７と、脚支柱７の下端側で、同じく溶接継手であるアーム接続部７２を介して剛結することで当該脚支柱７の起立状態を維持するための脚ベース８とを有している。脚支柱７は、金属製のパイプ材からなり、その断面視形状は前後方向に長い略楕円形状をなしている。本実施形態では、脚支柱７の上端部において天板支持アーム５の基端部（小口）を脚支柱７の表面側から当接させアーム接続部７１を介して接続している。天板支持アーム５と脚支柱７とは鈍角をなすように接続される。また、天板支持アーム５と脚支柱７は互いに異なる断面形状を成している。
【００２２】
また本実施形態では図２に一部示すように、脚支柱７間に架設される幕板９の形状をスチール板タイプの通常のものから、軽量な半透明の樹脂製幕板９ａとを交換し得るものとなっている。また図示しないが、当該デスク１は、これら天板４、脚体３並びに幕板９の色を適宜選択することにより、このデスク１を導入する空間の色合いに応じたデスク１として、空間全体としての見た目の統一感を持たせ得るものとなっている。
【００２３】
ここで、本実施形態に係る家具たるデスク１は、デスク１本体と、このデスク１本体を支持する脚体３の一要素である脚支柱７と、この脚支柱７に一体的に接続された同じく脚体３の一要素である脚ベース８とを具備するものであって、脚ベース８が、脚支柱７に一体的に接続されたベース本体８０と、このベース本体８０と、このベース本体８０の上面を着脱可能に被覆し得るカバーであるベースカバー８１とを有していることを特徴とするものである。
【００２４】
以下、斯かるデスク１の構成について、図１ないし図１１を参照して具体的に説明する。
【００２５】
天板４は、図１ないし図４に示すように、本実施形態では一人の使用者が使用するに足る寸法をなす矩形状のものとし、裏（下）面側において側縁４ｂに沿って、一対の天板支持アーム５を取付けるためのアーム取付部４１とこのアーム取付部４１間には天板４下方に使用者の荷物を収納するための荷物収納棚６を取付けるための棚取付部４２とを形成したものとしている。当該天板４はまた、上面並びに側面側を汚れが付着し難くなるような、図示しない表面加工を施したものとなっている。
【００２６】
天板支持アーム５は、天板４の両方の側縁１ｂ近傍に、アーム取付部４１を介して例えばねじ止めにより取付けられたものである。そして天板支持アーム５は、天板４に直接取付けられるアーム本体５０と、このアーム本体５０を下方から被覆するカバーたるアームカバー５１と、アーム本体５０に取付けられ、天板支持アーム５下方に使用者の鞄等を懸吊・保持するためのフック５２とを有している。
【００２７】
フック５２は、本実施形態では例えば半透明の樹脂素材からなるものを、アーム本体５０のフック取付部５４にねじ止めされてなるものである。勿論、当該フック５２の具体的な形状並びに材質は、既存の種々のものを適用し得るので、本実施形態では具体的な説明を省略するものとする。
【００２８】
アーム本体５０は、例えば板金材の折り曲げによってなる断面視コの字状のもので、天板４の裏面に密着する水平壁５０ａと、この水平壁５０ａの両端から垂下した対をなす立壁５０ｂとを主体としたものであり、脚支柱７に溶接されている基端側の一部に立壁５０ｂを上方に若干寸法凹ませた凹部５０ｃを形成しているとともに、先端縁は下端から傾斜させながら水平壁５０ａに連続するように構成している。そしてこのアーム本体５０は、水平壁５０ａにねじを挿通させるための開口を設けることによってなる天板取付部５３と、内側の立壁５０ｂにおける前後方向中間部分に複数のねじ孔を設けることによりこれらねじ孔にフック５２を固定するためのフック取付部５４と、両方の立壁５０ｂを利用してアームカバー５１を固定するためのカバー取付部５５とを有している。このカバー取付部５５は凹部５０ｃを構成する立壁５０ｂをそれぞれ２箇所ずつ計４箇所開口させた取付孔５５１からなるものであり、アームカバー５１に設けられた後述する取付突起５９を受け入れることで、アームカバー５１を確実に位置決めする。
【００２９】
アームカバー５１は、アーム本体５０の立壁５０ｂの内側面にそれぞれ密着または近接する添設壁５１ａと、アーム本体５０を下方から被覆する被覆板５１ｂとを有した構成をなしており、この対をなす添設壁５１ａがアームの立壁５０ｂ間に位置することにより、アームカバー５１のアーム本体５０に対する幅方向でのがたつき無い取付けを実現している。そしてアームカバー５１の先端部では添設壁５１ａを連結する連結リブ５１ｃが形成されている。またこの連結リブ５１ｃは、被覆板５１ｂの先端部から一定距離を経て複数（本実施形態では２箇所）形成されている。これにより、アームカバー５１は半透明の樹脂素材を用いてはいても、当該アームカバー５１を取付けた状態では先端縁５０ｄ側からのぞき込んでも天板取付部５３、フック５２取付部に供されるねじ等が視認視得ずに好適に隠蔽されるものとなっている。
【００３０】
そしてこのアームカバー５１は、基端側において他の箇所よりも上方へ、つまりの天板４に近くなるように凹ませて形成されている持ち手部５６と、持ち手部５６の周囲を隆起させて形成した隆起部５７と、持ち手部５６よりもさらに基端側に形成された接続部隠蔽部たる湾曲隠蔽部５８と、持ち手部５６の内側に４箇所において形成された内方へ突出させた取付突起５９とを有している。隆起部５７は、持ち手部５６の周囲、具体的には持ち手部５６の側方並びに先端側の樹脂すなわち被覆板５１ｂの部分を隆起させることにより、この隆起部５７に囲まれた箇所を使用者に容易に認識させ得るようにしている。湾曲隠蔽部５８は、溶接継手であるアーム接続部７１の特に隅部を隠蔽しながら、脚支柱７の上端側とアーム本体５０の基端側をカバーするものであり、脚支柱７の表面に密着した端部から湾曲させながらアーム本体５０に密着させる形状をとるものである。これにより、アームカバー５１を取付けた状態では天板支持アーム５と脚支柱７とが滑らかに連続する外形をなすように形成される。
【００３１】
しかして本実施形態に係るデスク１は、アームカバー５１の被覆板５１ｂを一部上方へ凹ませることにより持ち手部５６を構成している。この持ち手部５６は、天板４下方における両方の側縁１ｂ且つ反使用端近傍にそれぞれ形成される。そのため、使用者が持ち手部５６を持つ場合には、天板４の上方から手を回し、掌の部分を天板４の上面に置いた状態から下方に指を伸ばして、親指以外の四指で持ち手部５６を掴むことができる。こうすることで使用者は手全体を利用して天板４及び持ち手部５６を強く把持することができる。加えて持ち手部５６の表面は使用者の指が滑らないように、間欠的に形成されたドット状に樹脂が隆起する滑り止め５６１を形成している。
【００３２】
そしてこのデスク１の場合、デスク本体２を脚体３が天板４の側面視反使用縁１ａ寄りの位置から側面視Ｌ字状の脚体３が接続するため、天板支持アーム５を持った場合にはその前後方向の重心が反使用縁１ａ側に大きく偏ることになる。そこで本実施形態に係る持ち手部５６は、天板４の両側且つ前後方向の重心に合致する位置に形成されている。これにより、持ち手部５６をそれぞれ両手で掴んだ使用者がデスク１を持ち上げる場合、バランスが殆どくずれず、言い換えれば殆どふらつかずにデスク１を持ち上げることができる。
【００３３】
他方、脚体３を構成する脚支柱７は、上端部において天板支持アーム５に溶接により接続されるアーム接続部７１を形成するとともに、下端において同じく脚体３を構成する脚ベース８にベース接続部７２を介して溶接により一体的に接続される。そして下端部下面側には例えば樹脂製の接地板７３を取付けることにより、床面を傷つけることなく設置し得るものである。本実施形態では、脚支柱７の下端部において脚ベース８の基端部（小口）を脚支柱７の表面側から当接させアーム接続部７２を介して接続している。脚ベース８と脚支柱７とは鋭角を成すように接続される。また、脚ベース８と脚支柱７とは互いに異なる断面形状を成している。
【００３４】
脚ベース８は、脚支柱７に一体的に接続されたベース本体８０と、このベース本体８０と、このベース本体８０の上面を着脱可能に被覆し得るカバーすなわちベースカバー８１と、ベース本体８０の先端縁にねじ止めされ床面に接地する接地部たるアジャスタ８２とを有している。
【００３５】
ベース本体８０は、板金材を適宜折り曲げることによって概略筒状に形成されたもので、断面視縦長の蒲鉾状を成している。詳細には、上面を板金の曲げによって構成された湾曲面８０ａとするとともに、湾曲面８０ａの両端縁を鋭角に折り曲げた端部同士を溶接することで、断面視逆Ｖ字状をなす下面８０ｂを形成している。そしてベース本体８０は筒状であるため、先端縁８０ｃはこれら湾曲面８０ａ及び下面８０ｂの端面がそのまま現れるように形成されている。一方先端面８０ｃと略等しい相似断面形状を有する基端縁は、上記の通りアーム接続部７２を介して脚支柱７に表面側から溶接される。そして、ベース本体８０の上面には、若干基端よりの計四箇所を開口させることによりカバー取付部８３を形成するとともに、先端縁８０ｃ近傍の下面８０ｂには、板ナットを溶接することにより形成されたアジャスタ取付部８４を設けている。
【００３６】
ベースカバー８１は、例えば上記のアームカバー５１と同じ素材からなる、断面視概略Ｕ字状をなす例えば半透明の樹脂製のものである。このベースカバー８１は、基端側おいて表面を上方へ延出させてベース取付部を隠蔽する接続部隠蔽部たる湾曲隠蔽部８５と、湾曲隠蔽部８５近傍から長手方向中間部において内面側に四箇所で突出する取付突起８６と、長手方向略全域に亘ってベース本体８０の下端よりも上側をカバーすることにより、樹脂の下端部でベース本体８０上面から段状に形成する下向き段部８７と、滑らかに湾曲させた表面形状をなし、ベース本体８０の先端縁を被覆・隠蔽する先端隠蔽部８８と、先端隠蔽部８８の中央から突出させた樹脂に設けた開口であり、アジャスタ８２の取付軸８２２を収容させ得る軸収容孔８９とを有している。湾曲隠蔽部８５は、溶接継手であるベース接続部７２の特に隅部を隠蔽しながら、脚支柱７の下端側とベース本体８０の基端側をカバーするものであり、脚支柱７の表面に密着した端部から湾曲させながらベース本体８０に密着させる形状をとるものである。これにより、ベースカバー８１を取付けた状態では脚ベース８と脚支柱７とが滑らかに連続する外形をなすように形成される。取付突起８６は、上記カバー取付部８３に両側から嵌ることにより、ベースカバー８１をベース本体８０に対して位置決めするものである。下向き段部８７は、ベース本体８０の表面とともにカバーの下端部を段状に位置付けることにより、ベースカバー８１の交換等の取り外しの際には当該下向き段部８７の何れの位置からもベースカバー８１を取り外し得るものとなっている。先端隠蔽部８８は、上述のとおり表面側では滑らかな部分球形状をなすとともに内側では先端縁８０ｃを収容し得る端面収容部８８１とＶ地面８８２とを有している。そして軸収容孔８９は、アジャスタ８２の取付軸を収容した状態では当該取付軸８２２に干渉され、ベース本体８０の長手方向への移動が禁止されるように設定されているものである。
【００３７】
しかして本実施形態では、ベース本体８０の上面が前記脚支柱７から斜め下方向に延びるものであり、脚ベース８が、前記ベース本体８０に対して所定の取付位置に位置決めする第１の係合部たるカバー取付部８３並びに取付突起８６と、当該カバー取付部８３に位置決めされたベースカバー８１の斜め下方向への抜脱を禁止し得る第２の係合部である軸収容孔８９及び取付軸８２２とを有している。
【００３８】
すなわち、図９ないし図１１に示すように、本実施形態ではベースカバー８１をベース本体８０に取付ける際、まずベースカバー８１の基端側を若干上昇させた角度から、ベース本体８０の先端縁を先端隠蔽部８８の端面収容部に収容させる、しかる後、図１１に示すように、ベースカバー８１の基端側を下方に押し付けることにより第１の係合部を係合させる。そしてさらにアジャスタ８２の接地板を上方へねじ回しすることにより、取付軸８２２を上方へ移動させ、先端を軸収容孔８９へ収容させる。また併せて、ベース本体８０のＶ字状をなす下面８０ｂの上方からＶ字面８８２が当接することにより、ベースカバー８１は上下方向に確実に位置決めされる。
【００３９】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る家具であるデスク１は、脚ベース８が、前記脚支柱７に一体的に接続されたベース本体８０と、このベース本体８０と、このベース本体８０の上面を着脱可能に被覆し得るベースカバー８１とを有するものとしているので、ベース本体８０に優先してベースカバー８１に傷や汚れが付くこととなるので、ベース本体８０に傷や汚れが付着することを有効に回避するのみならず、ベースカバー８１を取り外してベースカバー８１のみを掃除や洗浄、場合によっては著しく劣化したベースカバー８１の交換を行なうことで局所的な汚れや劣化を解消することができる。その結果、導入当初の状態を長期間保ち続けることができる。
【００４０】
また、ベース本体８０の上面が脚支柱７から斜め下方向に延びる場合であってもベース本体８０とベースカバー８１とを安定して位置決めしておくために本実施形態では、ベース本体８０に対して所定の取付位置に位置決めするカバー取付部８３と取付突起８６からなる第１の係合部と、この第１の係合部に位置決めされたベースカバー８１の斜め下方向への抜脱を禁止し得る、アジャスタ８２の取付軸８２２と軸収容孔８９からなる第２の係合部とを有するものとしている。すなわち本実施形態では、アジャスタ８２の取付軸８２２を利用することにより、部品点数を増やすことなく簡素な構成で第２の係合部を実現し、ベースカバー８１の傾斜方向へのずれを禁止している。
【００４１】
そして本実施形態では、ベースカバー８１の下端部をベース本体８０の上下方向中間部に位置付けることにより、ベースカバー８１の下端部とベース本体８０とによって下向き段部８７を形成しているので、当該下向き段部８７を手がかりに容易にベースカバー８１を取り外すことができる。
【００４２】
ここで、脚ベース８において最も汚れやすい箇所は、前記ベース本体８０と前記脚支柱７との接続箇所である。そこで脚ベース８に、当該接続箇所を隠蔽し得る接続部隠蔽部たる湾曲隠蔽部８５を設けることにより、角や隙間が形成されることにより埃が溜まりやすく掃除が行ない難い接続箇所、すなわちベース接続部７２をベースカバー８１が隠蔽することで、ベース接続部７２が汚れることを有効に回避している。特にこの湾曲隠蔽部８５は、ベース本体８０の表面と脚支柱７との表面とに連続する湾曲形状をなしているので、脚支柱７及び脚ベース８の掃除を行なう場合もスムーズに行なうことができるとともに、脚支柱７と脚ベース８との見た目上の一体感を演出している。
【００４３】
また本実施形態では、ベースカバー８１にベース本体８０の先端面を隠蔽するための先端隠蔽部８８を設けたものとしているので、板金材に複雑な曲げ加工や絞り加工等を施すことなく板金材の折り曲げのみにより、外形がなめらかな形状を有した脚ベース８を実現している。
【００４４】
しかも、ベース本体８０の色彩の如何に拘わらず脚ベース８としてとしての統一感を保持するために本実施形態では、ベースカバー８１を、透明又は半透明の樹脂製のものとして、ベース本体８０の色彩如何によってデスク１全体としての色彩に違和感が生じ難いものとしている。
【００４５】
このように本実施形態は、この天板４を下方から天板支持アーム５とを有するデスク１本体としたデスク１に設けた脚ベース８を上記のように構成することで、導入当初の状態を長期間保ち続け得るデスク１を提供するものである。
【００４６】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【００４７】
例えば、上記実施形態では家具として、講義机として用いられるデスクに本発明を適用した態様を開示したが、勿論、家具とはデスクに限られず、脚羽根を有する回転椅子や脚ベースを有したパーティションなど、オフィスや教育機関に導入され得る種々の家具であっても良い。特にベース本体の断面形状が幅方向に比して上下方向に長いものに適用すれば、より効果が奏される。このような断面形状であると使用者の靴底等でその上面が特に汚れやすいからである。またカバーの形状やベース本体とカバーとの係り合いの態様といった具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。なお、ベースカバーと先端隠蔽部および接続部隠蔽部をそれぞれ別体で構成しても良い。
【００４８】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【００４９】
本発明はオフィスや学校において好適に使用することができる家具として利用することができる。
【符号の説明】
【００５０】
１…家具（デスク）
２…家具本体（デスク本体）
４…天板
５…天板支持アーム
７…脚支柱
８…脚ベース
８０…ベース本体
８０ａ…上面（湾曲面）
８１…カバー（ベースカバー）
８２…接地部（アジャスタ）
８２２…取付軸
８５…接続部隠蔽部（湾曲隠蔽部）
８７…下向き段部
８８…先端隠蔽部
８９…軸収容孔
【技術分野】
【０００１】
本発明は、オフィスや学校において好適に使用することができる家具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、オフィスや学校等において、同じ形状や色彩を有する家具を複数導入することによってオフィスや教室内の空間に見た目上の統一感を出したり、当該家具の色彩を調節したりすることによって、空間の雰囲気を所望の雰囲気に調節するという試みが種々提案されている。
【０００３】
また他方、これら家具が、導入時の状態を長く保持出来るよう、家具のうち、使用者に触れられやすい箇所に別体のカバーを設け、その箇所の強度を向上させたり、傷が付き難くしたりすることも提案されている(例えば、特許文献１参照)。
【０００４】
しかしながら、上記特許文献１に記載されたような家具を用いて家具に傷が付き難くしたとしても、長期間家具を使い続けた場合にはそれらカバーを設けた箇所の汚れによって家具の見た目が大きく変わってしまう。そうなると、空間内には、やはり家具の使用に比例して導入当初の統一感や雰囲気が損なわれていくことになる。特にこのようなことは、明るい空間を演出すべく、家具の色彩として汚れの目立ちやすい明度の高い色彩を選んだ場合には顕著に起こることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】実開平６−５２５９９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上述のような不具合のうち、使用によって起こる家具の汚れに着目したものであり、長期間使用しても家具による汚れに起因する不具合を有効に解消し、導入当初の状態を長期間保ち続け得る家具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【０００８】
すなわち本発明に係る家具は家具本体と、この家具本体を支持する脚支柱と、この脚支柱に一体的に接続された脚ベースとを具備する家具であって、前記脚ベースが、前記脚支柱に一体的に接続されたベース本体と、このベース本体と、このベース本体の上面を着脱可能に被覆し得るカバーとを有していることを特徴とする。
【０００９】
このようなものであれば、使用者の靴などが当たりことで、靴の汚れや、靴による傷が付き易い脚ベースにカバーを設けることで、ベース本体に優先してカバーに傷や汚れが付くこととなる。そうすることにより、ベース本体に傷や汚れが付着することを有効に回避するのみならず、カバーを取り外してカバーのみを掃除や洗浄、場合によっては著しく劣化したカバーの交換を行なうことで局所的な汚れや劣化を回避することができる。その結果、導入当初の状態を長期間保ち続けることができるデスクを提供することができる。
また、ベース本体の上面が前記脚支柱から斜め下方向に延びるものの場合であってもベース本体とカバーとを安定して位置決めしておくためには、脚ベースを、ベース本体に対して所定の取付位置に位置決めする第１の係合部と、当該第１の係合部に位置決めされたカバーの斜め下方向への抜脱を禁止し得る第２の係合部とを有するものとしておくことが望ましい。
【００１０】
そしてカバーの抜脱を禁止する第２の係合部を簡単な構成で実現するためには、ベース本体に取付けられ下方に突出する接地部を利用することが望ましい。具体的には、この第２の係合部を、ベース本体の一部を上下方向に挿通される接地部の取付軸を収容し得る軸収容孔を設けたものとすることが好ましい。
【００１１】
そして脚ベースを、カバーの下端部を前記ベース本体の上下方向中間部に位置付けることにより、カバーの下端部とベース本体とによって下向き段部を形成しておけば、当該下向き段部を手がかりに容易にカバーを取り外すことができるため、望ましい。
【００１２】
また、カバーが、ベース本体の基端部と脚支柱の下端部との接続箇所の少なくとも一部を隠蔽し得る接続部隠蔽部を有しているものとすれば、接続箇所の設計を容易にすることができる。また、見栄えを良くするための後加工処理を簡便化することができる。さらに、掃除が行い難い隅部に埃が溜まり接続箇所が汚れることを有効に回避できる。
【００１３】
特にこの接続部隠蔽部を、ベース本体の表面と脚支柱との表面とに連続する湾曲形状をなすものとすれば、脚支柱及び脚ベースの掃除をスムーズに行なうことができるとともに、脚支柱と脚ベースとの見た目上の一体感を惹起することができる。
【００１４】
ベース本体が金属パイプ材からなる前記脚支柱に溶接された概略筒状の板金材からなるものとしている場合は、カバーにベース本体の先端面を隠蔽するための先端隠蔽部を設けたものとすれば、板金材に複雑な加工を施すことなく脚ベースの先端部分を仕上げることができる。
【００１５】
また、ベース本体の色彩の如何に拘わらず脚ベースとしてとしての統一感を保持するためには、カバーを、透明又は半透明の樹脂製のものとすることが望ましい。
【００１６】
そして、本発明を、前記家具本体が天板と、この天板を下方から天板支持アームとを有するデスク本体としたデスクに適用すれば、導入当初の状態を長期間保ち続け得るデスクを提供することができる。
【発明の効果】
【００１７】
本発明によれば、ベース本体に優先してカバーに傷や汚れが付くこととなる。そうすることにより、ベース本体に傷や汚れが付着することを有効に回避するのみならず、カバーを取り外してカバーのみを掃除や洗浄、場合によっては著しく劣化したカバーの交換を行なうことで、導入当初の状態を容易に長期間保ち続けることができるデスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本発明の一実施形態に係るデスクの斜視図。
【図２】同実施形態に係る背面図。
【図３】同正面図。
【図４】同側面図。
【図５】同実施形態に係る要部の外観図。
【図６】同構成説明図。
【図７】同実施形態に係る他の構成説明図。
【図８】同実施形態に係る要部の外観図。
【図９】同構成説明図。
【図１０】同上。
【図１１】同実施形態に係る作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【００１９】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【００２０】
本実施形態に係る家具であるデスク１は、例えば大学をはじめとする教育機関や施設に好適に利用されるものである。特に教育機関では、いわゆる「講義机」として利用されるものである。
【００２１】
デスク１は、天板支持アーム５に天板４を支持させてなる家具本体たるデスク本体２と、この天板支持アーム５を支持している脚体３とを有するものである。この脚体３は、天板支持アーム５に溶接継手であるアーム接続部７１を介して剛結されることにより当該天板支持アーム５を支持している脚支柱７と、脚支柱７の下端側で、同じく溶接継手であるアーム接続部７２を介して剛結することで当該脚支柱７の起立状態を維持するための脚ベース８とを有している。脚支柱７は、金属製のパイプ材からなり、その断面視形状は前後方向に長い略楕円形状をなしている。本実施形態では、脚支柱７の上端部において天板支持アーム５の基端部（小口）を脚支柱７の表面側から当接させアーム接続部７１を介して接続している。天板支持アーム５と脚支柱７とは鈍角をなすように接続される。また、天板支持アーム５と脚支柱７は互いに異なる断面形状を成している。
【００２２】
また本実施形態では図２に一部示すように、脚支柱７間に架設される幕板９の形状をスチール板タイプの通常のものから、軽量な半透明の樹脂製幕板９ａとを交換し得るものとなっている。また図示しないが、当該デスク１は、これら天板４、脚体３並びに幕板９の色を適宜選択することにより、このデスク１を導入する空間の色合いに応じたデスク１として、空間全体としての見た目の統一感を持たせ得るものとなっている。
【００２３】
ここで、本実施形態に係る家具たるデスク１は、デスク１本体と、このデスク１本体を支持する脚体３の一要素である脚支柱７と、この脚支柱７に一体的に接続された同じく脚体３の一要素である脚ベース８とを具備するものであって、脚ベース８が、脚支柱７に一体的に接続されたベース本体８０と、このベース本体８０と、このベース本体８０の上面を着脱可能に被覆し得るカバーであるベースカバー８１とを有していることを特徴とするものである。
【００２４】
以下、斯かるデスク１の構成について、図１ないし図１１を参照して具体的に説明する。
【００２５】
天板４は、図１ないし図４に示すように、本実施形態では一人の使用者が使用するに足る寸法をなす矩形状のものとし、裏（下）面側において側縁４ｂに沿って、一対の天板支持アーム５を取付けるためのアーム取付部４１とこのアーム取付部４１間には天板４下方に使用者の荷物を収納するための荷物収納棚６を取付けるための棚取付部４２とを形成したものとしている。当該天板４はまた、上面並びに側面側を汚れが付着し難くなるような、図示しない表面加工を施したものとなっている。
【００２６】
天板支持アーム５は、天板４の両方の側縁１ｂ近傍に、アーム取付部４１を介して例えばねじ止めにより取付けられたものである。そして天板支持アーム５は、天板４に直接取付けられるアーム本体５０と、このアーム本体５０を下方から被覆するカバーたるアームカバー５１と、アーム本体５０に取付けられ、天板支持アーム５下方に使用者の鞄等を懸吊・保持するためのフック５２とを有している。
【００２７】
フック５２は、本実施形態では例えば半透明の樹脂素材からなるものを、アーム本体５０のフック取付部５４にねじ止めされてなるものである。勿論、当該フック５２の具体的な形状並びに材質は、既存の種々のものを適用し得るので、本実施形態では具体的な説明を省略するものとする。
【００２８】
アーム本体５０は、例えば板金材の折り曲げによってなる断面視コの字状のもので、天板４の裏面に密着する水平壁５０ａと、この水平壁５０ａの両端から垂下した対をなす立壁５０ｂとを主体としたものであり、脚支柱７に溶接されている基端側の一部に立壁５０ｂを上方に若干寸法凹ませた凹部５０ｃを形成しているとともに、先端縁は下端から傾斜させながら水平壁５０ａに連続するように構成している。そしてこのアーム本体５０は、水平壁５０ａにねじを挿通させるための開口を設けることによってなる天板取付部５３と、内側の立壁５０ｂにおける前後方向中間部分に複数のねじ孔を設けることによりこれらねじ孔にフック５２を固定するためのフック取付部５４と、両方の立壁５０ｂを利用してアームカバー５１を固定するためのカバー取付部５５とを有している。このカバー取付部５５は凹部５０ｃを構成する立壁５０ｂをそれぞれ２箇所ずつ計４箇所開口させた取付孔５５１からなるものであり、アームカバー５１に設けられた後述する取付突起５９を受け入れることで、アームカバー５１を確実に位置決めする。
【００２９】
アームカバー５１は、アーム本体５０の立壁５０ｂの内側面にそれぞれ密着または近接する添設壁５１ａと、アーム本体５０を下方から被覆する被覆板５１ｂとを有した構成をなしており、この対をなす添設壁５１ａがアームの立壁５０ｂ間に位置することにより、アームカバー５１のアーム本体５０に対する幅方向でのがたつき無い取付けを実現している。そしてアームカバー５１の先端部では添設壁５１ａを連結する連結リブ５１ｃが形成されている。またこの連結リブ５１ｃは、被覆板５１ｂの先端部から一定距離を経て複数（本実施形態では２箇所）形成されている。これにより、アームカバー５１は半透明の樹脂素材を用いてはいても、当該アームカバー５１を取付けた状態では先端縁５０ｄ側からのぞき込んでも天板取付部５３、フック５２取付部に供されるねじ等が視認視得ずに好適に隠蔽されるものとなっている。
【００３０】
そしてこのアームカバー５１は、基端側において他の箇所よりも上方へ、つまりの天板４に近くなるように凹ませて形成されている持ち手部５６と、持ち手部５６の周囲を隆起させて形成した隆起部５７と、持ち手部５６よりもさらに基端側に形成された接続部隠蔽部たる湾曲隠蔽部５８と、持ち手部５６の内側に４箇所において形成された内方へ突出させた取付突起５９とを有している。隆起部５７は、持ち手部５６の周囲、具体的には持ち手部５６の側方並びに先端側の樹脂すなわち被覆板５１ｂの部分を隆起させることにより、この隆起部５７に囲まれた箇所を使用者に容易に認識させ得るようにしている。湾曲隠蔽部５８は、溶接継手であるアーム接続部７１の特に隅部を隠蔽しながら、脚支柱７の上端側とアーム本体５０の基端側をカバーするものであり、脚支柱７の表面に密着した端部から湾曲させながらアーム本体５０に密着させる形状をとるものである。これにより、アームカバー５１を取付けた状態では天板支持アーム５と脚支柱７とが滑らかに連続する外形をなすように形成される。
【００３１】
しかして本実施形態に係るデスク１は、アームカバー５１の被覆板５１ｂを一部上方へ凹ませることにより持ち手部５６を構成している。この持ち手部５６は、天板４下方における両方の側縁１ｂ且つ反使用端近傍にそれぞれ形成される。そのため、使用者が持ち手部５６を持つ場合には、天板４の上方から手を回し、掌の部分を天板４の上面に置いた状態から下方に指を伸ばして、親指以外の四指で持ち手部５６を掴むことができる。こうすることで使用者は手全体を利用して天板４及び持ち手部５６を強く把持することができる。加えて持ち手部５６の表面は使用者の指が滑らないように、間欠的に形成されたドット状に樹脂が隆起する滑り止め５６１を形成している。
【００３２】
そしてこのデスク１の場合、デスク本体２を脚体３が天板４の側面視反使用縁１ａ寄りの位置から側面視Ｌ字状の脚体３が接続するため、天板支持アーム５を持った場合にはその前後方向の重心が反使用縁１ａ側に大きく偏ることになる。そこで本実施形態に係る持ち手部５６は、天板４の両側且つ前後方向の重心に合致する位置に形成されている。これにより、持ち手部５６をそれぞれ両手で掴んだ使用者がデスク１を持ち上げる場合、バランスが殆どくずれず、言い換えれば殆どふらつかずにデスク１を持ち上げることができる。
【００３３】
他方、脚体３を構成する脚支柱７は、上端部において天板支持アーム５に溶接により接続されるアーム接続部７１を形成するとともに、下端において同じく脚体３を構成する脚ベース８にベース接続部７２を介して溶接により一体的に接続される。そして下端部下面側には例えば樹脂製の接地板７３を取付けることにより、床面を傷つけることなく設置し得るものである。本実施形態では、脚支柱７の下端部において脚ベース８の基端部（小口）を脚支柱７の表面側から当接させアーム接続部７２を介して接続している。脚ベース８と脚支柱７とは鋭角を成すように接続される。また、脚ベース８と脚支柱７とは互いに異なる断面形状を成している。
【００３４】
脚ベース８は、脚支柱７に一体的に接続されたベース本体８０と、このベース本体８０と、このベース本体８０の上面を着脱可能に被覆し得るカバーすなわちベースカバー８１と、ベース本体８０の先端縁にねじ止めされ床面に接地する接地部たるアジャスタ８２とを有している。
【００３５】
ベース本体８０は、板金材を適宜折り曲げることによって概略筒状に形成されたもので、断面視縦長の蒲鉾状を成している。詳細には、上面を板金の曲げによって構成された湾曲面８０ａとするとともに、湾曲面８０ａの両端縁を鋭角に折り曲げた端部同士を溶接することで、断面視逆Ｖ字状をなす下面８０ｂを形成している。そしてベース本体８０は筒状であるため、先端縁８０ｃはこれら湾曲面８０ａ及び下面８０ｂの端面がそのまま現れるように形成されている。一方先端面８０ｃと略等しい相似断面形状を有する基端縁は、上記の通りアーム接続部７２を介して脚支柱７に表面側から溶接される。そして、ベース本体８０の上面には、若干基端よりの計四箇所を開口させることによりカバー取付部８３を形成するとともに、先端縁８０ｃ近傍の下面８０ｂには、板ナットを溶接することにより形成されたアジャスタ取付部８４を設けている。
【００３６】
ベースカバー８１は、例えば上記のアームカバー５１と同じ素材からなる、断面視概略Ｕ字状をなす例えば半透明の樹脂製のものである。このベースカバー８１は、基端側おいて表面を上方へ延出させてベース取付部を隠蔽する接続部隠蔽部たる湾曲隠蔽部８５と、湾曲隠蔽部８５近傍から長手方向中間部において内面側に四箇所で突出する取付突起８６と、長手方向略全域に亘ってベース本体８０の下端よりも上側をカバーすることにより、樹脂の下端部でベース本体８０上面から段状に形成する下向き段部８７と、滑らかに湾曲させた表面形状をなし、ベース本体８０の先端縁を被覆・隠蔽する先端隠蔽部８８と、先端隠蔽部８８の中央から突出させた樹脂に設けた開口であり、アジャスタ８２の取付軸８２２を収容させ得る軸収容孔８９とを有している。湾曲隠蔽部８５は、溶接継手であるベース接続部７２の特に隅部を隠蔽しながら、脚支柱７の下端側とベース本体８０の基端側をカバーするものであり、脚支柱７の表面に密着した端部から湾曲させながらベース本体８０に密着させる形状をとるものである。これにより、ベースカバー８１を取付けた状態では脚ベース８と脚支柱７とが滑らかに連続する外形をなすように形成される。取付突起８６は、上記カバー取付部８３に両側から嵌ることにより、ベースカバー８１をベース本体８０に対して位置決めするものである。下向き段部８７は、ベース本体８０の表面とともにカバーの下端部を段状に位置付けることにより、ベースカバー８１の交換等の取り外しの際には当該下向き段部８７の何れの位置からもベースカバー８１を取り外し得るものとなっている。先端隠蔽部８８は、上述のとおり表面側では滑らかな部分球形状をなすとともに内側では先端縁８０ｃを収容し得る端面収容部８８１とＶ地面８８２とを有している。そして軸収容孔８９は、アジャスタ８２の取付軸を収容した状態では当該取付軸８２２に干渉され、ベース本体８０の長手方向への移動が禁止されるように設定されているものである。
【００３７】
しかして本実施形態では、ベース本体８０の上面が前記脚支柱７から斜め下方向に延びるものであり、脚ベース８が、前記ベース本体８０に対して所定の取付位置に位置決めする第１の係合部たるカバー取付部８３並びに取付突起８６と、当該カバー取付部８３に位置決めされたベースカバー８１の斜め下方向への抜脱を禁止し得る第２の係合部である軸収容孔８９及び取付軸８２２とを有している。
【００３８】
すなわち、図９ないし図１１に示すように、本実施形態ではベースカバー８１をベース本体８０に取付ける際、まずベースカバー８１の基端側を若干上昇させた角度から、ベース本体８０の先端縁を先端隠蔽部８８の端面収容部に収容させる、しかる後、図１１に示すように、ベースカバー８１の基端側を下方に押し付けることにより第１の係合部を係合させる。そしてさらにアジャスタ８２の接地板を上方へねじ回しすることにより、取付軸８２２を上方へ移動させ、先端を軸収容孔８９へ収容させる。また併せて、ベース本体８０のＶ字状をなす下面８０ｂの上方からＶ字面８８２が当接することにより、ベースカバー８１は上下方向に確実に位置決めされる。
【００３９】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る家具であるデスク１は、脚ベース８が、前記脚支柱７に一体的に接続されたベース本体８０と、このベース本体８０と、このベース本体８０の上面を着脱可能に被覆し得るベースカバー８１とを有するものとしているので、ベース本体８０に優先してベースカバー８１に傷や汚れが付くこととなるので、ベース本体８０に傷や汚れが付着することを有効に回避するのみならず、ベースカバー８１を取り外してベースカバー８１のみを掃除や洗浄、場合によっては著しく劣化したベースカバー８１の交換を行なうことで局所的な汚れや劣化を解消することができる。その結果、導入当初の状態を長期間保ち続けることができる。
【００４０】
また、ベース本体８０の上面が脚支柱７から斜め下方向に延びる場合であってもベース本体８０とベースカバー８１とを安定して位置決めしておくために本実施形態では、ベース本体８０に対して所定の取付位置に位置決めするカバー取付部８３と取付突起８６からなる第１の係合部と、この第１の係合部に位置決めされたベースカバー８１の斜め下方向への抜脱を禁止し得る、アジャスタ８２の取付軸８２２と軸収容孔８９からなる第２の係合部とを有するものとしている。すなわち本実施形態では、アジャスタ８２の取付軸８２２を利用することにより、部品点数を増やすことなく簡素な構成で第２の係合部を実現し、ベースカバー８１の傾斜方向へのずれを禁止している。
【００４１】
そして本実施形態では、ベースカバー８１の下端部をベース本体８０の上下方向中間部に位置付けることにより、ベースカバー８１の下端部とベース本体８０とによって下向き段部８７を形成しているので、当該下向き段部８７を手がかりに容易にベースカバー８１を取り外すことができる。
【００４２】
ここで、脚ベース８において最も汚れやすい箇所は、前記ベース本体８０と前記脚支柱７との接続箇所である。そこで脚ベース８に、当該接続箇所を隠蔽し得る接続部隠蔽部たる湾曲隠蔽部８５を設けることにより、角や隙間が形成されることにより埃が溜まりやすく掃除が行ない難い接続箇所、すなわちベース接続部７２をベースカバー８１が隠蔽することで、ベース接続部７２が汚れることを有効に回避している。特にこの湾曲隠蔽部８５は、ベース本体８０の表面と脚支柱７との表面とに連続する湾曲形状をなしているので、脚支柱７及び脚ベース８の掃除を行なう場合もスムーズに行なうことができるとともに、脚支柱７と脚ベース８との見た目上の一体感を演出している。
【００４３】
また本実施形態では、ベースカバー８１にベース本体８０の先端面を隠蔽するための先端隠蔽部８８を設けたものとしているので、板金材に複雑な曲げ加工や絞り加工等を施すことなく板金材の折り曲げのみにより、外形がなめらかな形状を有した脚ベース８を実現している。
【００４４】
しかも、ベース本体８０の色彩の如何に拘わらず脚ベース８としてとしての統一感を保持するために本実施形態では、ベースカバー８１を、透明又は半透明の樹脂製のものとして、ベース本体８０の色彩如何によってデスク１全体としての色彩に違和感が生じ難いものとしている。
【００４５】
このように本実施形態は、この天板４を下方から天板支持アーム５とを有するデスク１本体としたデスク１に設けた脚ベース８を上記のように構成することで、導入当初の状態を長期間保ち続け得るデスク１を提供するものである。
【００４６】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【００４７】
例えば、上記実施形態では家具として、講義机として用いられるデスクに本発明を適用した態様を開示したが、勿論、家具とはデスクに限られず、脚羽根を有する回転椅子や脚ベースを有したパーティションなど、オフィスや教育機関に導入され得る種々の家具であっても良い。特にベース本体の断面形状が幅方向に比して上下方向に長いものに適用すれば、より効果が奏される。このような断面形状であると使用者の靴底等でその上面が特に汚れやすいからである。またカバーの形状やベース本体とカバーとの係り合いの態様といった具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。なお、ベースカバーと先端隠蔽部および接続部隠蔽部をそれぞれ別体で構成しても良い。
【００４８】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【００４９】
本発明はオフィスや学校において好適に使用することができる家具として利用することができる。
【符号の説明】
【００５０】
１…家具（デスク）
２…家具本体（デスク本体）
４…天板
５…天板支持アーム
７…脚支柱
８…脚ベース
８０…ベース本体
８０ａ…上面（湾曲面）
８１…カバー（ベースカバー）
８２…接地部（アジャスタ）
８２２…取付軸
８５…接続部隠蔽部（湾曲隠蔽部）
８７…下向き段部
８８…先端隠蔽部
８９…軸収容孔
【特許請求の範囲】
【請求項１】
家具本体と、この家具本体を支持する脚支柱と、この脚支柱に一体的に接続された脚ベースとを具備する家具であって、
前記脚ベースが、前記脚支柱に一体的に接続されたベース本体と、このベース本体と、このベース本体の上面を着脱可能に被覆し得るカバーとを有していることを特徴とする家具。
【請求項２】
前記ベース本体の上面が前記脚支柱から斜め下方向に延びるものであり、前記脚ベースが、前記ベース本体に対して所定の取付位置に位置決めする第１の係合部と、当該第１の係合部に位置決めされたカバーの斜め下方向への抜脱を禁止し得る第２の係合部とを有している請求項１記載の家具。
【請求項３】
前記脚ベースが、ベース本体に取付けられ下方に突出する接地部を有するものであり、前記第２の係合部が、前記ベース本体を上下方向に挿通される前記接地部の取付軸を収容し得る軸収容孔を有している請求項２記載の家具。
【請求項４】
前記脚ベースが、前記カバーの下端部を前記ベース本体の上下方向中間部に位置付けることにより、前記カバーの下端部と前記ベース本体とによって下向き段部を形成している請求項１、２または３記載の家具。
【請求項５】
前記カバーが、前記ベース本体の基端部と前記脚支柱の下端部との接続箇所の少なくとも一部を隠蔽し得る接続部隠蔽部を有している請求項１、２、３または４記載の家具。
【請求項６】
前記接続部隠蔽部が、前記ベース本体の表面と脚支柱との表面とに連続する湾曲形状をなす請求項５記載の家具。
【請求項７】
前記ベース本体が金属パイプ材からなる前記脚支柱に溶接された概略筒状の板金材からなるものであり、前記カバーが、前記ベース本体の先端面を隠蔽するための先端隠蔽部を有している請求項１、２、３、４、５または６記載の家具。
【請求項８】
前記カバーが、透明又は半透明の樹脂製のものである請求項１、２、３、４、５、６または７記載の家具。
【請求項１】
家具本体と、この家具本体を支持する脚支柱と、この脚支柱に一体的に接続された脚ベースとを具備する家具であって、
前記脚ベースが、前記脚支柱に一体的に接続されたベース本体と、このベース本体と、このベース本体の上面を着脱可能に被覆し得るカバーとを有していることを特徴とする家具。
【請求項２】
前記ベース本体の上面が前記脚支柱から斜め下方向に延びるものであり、前記脚ベースが、前記ベース本体に対して所定の取付位置に位置決めする第１の係合部と、当該第１の係合部に位置決めされたカバーの斜め下方向への抜脱を禁止し得る第２の係合部とを有している請求項１記載の家具。
【請求項３】
前記脚ベースが、ベース本体に取付けられ下方に突出する接地部を有するものであり、前記第２の係合部が、前記ベース本体を上下方向に挿通される前記接地部の取付軸を収容し得る軸収容孔を有している請求項２記載の家具。
【請求項４】
前記脚ベースが、前記カバーの下端部を前記ベース本体の上下方向中間部に位置付けることにより、前記カバーの下端部と前記ベース本体とによって下向き段部を形成している請求項１、２または３記載の家具。
【請求項５】
前記カバーが、前記ベース本体の基端部と前記脚支柱の下端部との接続箇所の少なくとも一部を隠蔽し得る接続部隠蔽部を有している請求項１、２、３または４記載の家具。
【請求項６】
前記接続部隠蔽部が、前記ベース本体の表面と脚支柱との表面とに連続する湾曲形状をなす請求項５記載の家具。
【請求項７】
前記ベース本体が金属パイプ材からなる前記脚支柱に溶接された概略筒状の板金材からなるものであり、前記カバーが、前記ベース本体の先端面を隠蔽するための先端隠蔽部を有している請求項１、２、３、４、５または６記載の家具。
【請求項８】
前記カバーが、透明又は半透明の樹脂製のものである請求項１、２、３、４、５、６または７記載の家具。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２０１２−２９９９６（Ｐ２０１２−２９９９６Ａ）
【公開日】平成２４年２月１６日（２０１２．２．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１７４０３７（Ｐ２０１０−１７４０３７）
【出願日】平成２２年８月２日（２０１０．８．２）
【出願人】（０００００１３５１）コクヨ株式会社 (961)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年２月１６日（２０１２．２．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年８月２日（２０１０．８．２）
【出願人】（０００００１３５１）コクヨ株式会社 (961)
【Ｆターム（参考）】
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