家具
【課題】床下や建物における配線の取り回しの複雑化を回避しつつ、且つ配線を目立たせずに取り回し得る家具を提供する。
【解決手段】家具1は、側板3及びこの側板3間に架け渡され側板3同士を固定する横架材5を有する家具本体10を側板3同士を側方に連接することにより複数連接してなる家具1であって、側板3に横架材5の内部空間に連通させ得る配線連通口31dを有し、側方に連接した側板3同士の配線連通口31d同士を連通させる。これにより、各側板3へ配線hを導入するための床面等の配線hの取り回しや、露出した配線hの隠蔽といった手間を有効に回避しつつ自由な配線hの取り回しを実現する。
【解決手段】家具1は、側板3及びこの側板3間に架け渡され側板3同士を固定する横架材5を有する家具本体10を側板3同士を側方に連接することにより複数連接してなる家具1であって、側板3に横架材5の内部空間に連通させ得る配線連通口31dを有し、側方に連接した側板3同士の配線連通口31d同士を連通させる。これにより、各側板3へ配線hを導入するための床面等の配線hの取り回しや、露出した配線hの隠蔽といった手間を有効に回避しつつ自由な配線hの取り回しを実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや公共施設等に用いられる家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや公共施設等に設置される書架等をはじめとする家具では、床面から立設される側板内に配線を挿通可能にすることにより、例えば側板の外面を覆うパネルに、照明やディスプレイといったオプション部材を使用可能とする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
当該特許文献に記載のものは、床面からの配線を側板内部に形成された上下方向に配線を挿通し得る上下挿通部に配線を伝わせることにより、側板を被覆するパネル上部に取り付けられたディスプレイに接続したり、当該配線を側板から上方へ挿通させ得るように構成されている。
【0004】
しかしながら実際にはオフィスや公共施設といった場所ではこのような家具或いは当該家具の主体をなす家具本体が側方に複数連接され、そのような家具が同じ空間に多数設置されている。このような状況において上記特許文献記載の家具を適用した場合、床下における配線がいきおい複雑なものとなったり、また側板上部から配線を引き出して配線を露出させてしまうか、家具上方において配線を隠蔽する為の格別の手段を要するものとなってしまう。
【0005】
すなわち、床下や建物における配線の取り回しの複雑化を回避しつつ、且つ配線を目立たせずに取り回し得るものが求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−104003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような点に着目したものであり、床下や建物における配線の取り回しの複雑化を回避しつつ、且つ配線を目立たせずに取り回し得る家具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち本発明に係る家具は、側板及びこの側板間に架け渡され前記側板同士を固定する横架材を有する家具本体を前記側板同士を側方に連接することにより複数連接してなる家具であって、前記側板に前記横架材の内部空間に連通させ得る連通口を有し、前記側方に連接した側板同士の前記連通口同士を連通させてなることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、配線を家具本体を伝って挿通させることができるので、配線の導入箇所から連接した各家具本体に亘って配線を行き渡らせることができる。これにより、各側板へ配線を導入するための床面等の配線の取り回しや、露出した配線の隠蔽といった手間を有効に回避しつつ配線を取り回し得る家具を提供することが可能となる。
【0010】
配線を所望の位置に有効に行き渡らせるようにするためには、側板を、当該側板の上下に亘って配線を挿通させ得る上下挿通部を有したものとすることが望ましい。
【0011】
また本願の連通口を設ける位置は横架材を設ける位置であればなんら限定されることはないが、床面からの配線を効率良く導入し得るようにするためには、側板を、当該側板の下端部で前記側板の内面側に開口する下開口を有するものとし、前記側方に連接した側板同士の前記下開口同士を連通させるようにすれば、床面における所要の位置から配線を導入することができる。
【0012】
より有効に配線を目立たなく隠蔽し得る具体的な構成として、連通口が側板の前後方向中央に設けられた横架材に連通しているものであり、側板が前記横架材の前後に棚板を取り付け得るものを挙げることができる。
【0013】
そして、上記構成を利用してオプション部材を有効に活用するためには、連接させた前記家具本体の外側面に取り付け得るパネルを有するものとし、このパネルが、オプション部材を取り付け得るオプション取付部と、前記オプション取付部と前記上下挿通部とを連通させ得るオプション用の配線穴とを有したものとすることが好ましい。
【0014】
また本発明に係る家具は、側方に連接された前記複数の家具本体が。上下寸法が互いに異なるものであっても同様に、配線を目立たせずに所要の箇所へ取り回すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、床下や建物における配線の取り回しの複雑化を回避しつつ、且つ配線を目立たせずに取り回し得る家具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る正面図。
【図2】同側面図。
【図3】同外観図。
【図4】同要部の外観図。
【図5】同他の要部の外観図。
【図6】同要部の構成説明図。
【図7】図1に係るI−I線部分断面図。
【図8】同実施形態に係る要部の外観図。
【図9】図6に対応した他の構成説明図。
【図10】図7に係る作用説明図。
【図11】同実施形態に係る要部の外観図。
【図12】同他の要部の外観図。
【図13】同他の要部の構成説明図。
【図14】同上。
【図15】本実施形態の変形例に係る説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る家具システムSは、図1〜図14に示すように、単独で書棚として使用され得る複数の家具1を、連結具2を介して前後方向に連結してなるものである。
【0019】
家具1は、対をなす側板3間に横架材5や棚板8等の各構成要素を横架させた構成をなす互いに連接させた対をなす家具本体10と、この家具本体10の外側を被覆するパネル11とを有している。本実施形態では家具1は、一対の連設させた家具本体10に対しパネル11を取り付けた構成を例示しているが、勿論連接させる家具本体10の数は単数でもさらに多数であってもよい。
【0020】
パネル11は、図2等に示すように、主に板金の折り曲げにより構成されたパネル本体11aを主体とし、連接させた家具本体10の外側面すなわち側板3に設けられた図示しないダルマ穴に挿入し得る図示しないピンを突設させ、当該ピンにより側板3に取り付け被覆し得るものである。そしてこのパネル11は前記パネル本体11aの他に、例えば液用ディスプレイ等のオプション部材を取付けることができるオプション取付部11bと、このオプション取付部11bに取り付けられたオプション部材へ配線hを導入し得る配線穴11cとを有している。
【0021】
ここで、本実施形態に係る家具1は、側板3及びこの側板3間に架け渡され前記側板3同士を固定する横架材5を有する家具本体10を前記側板3同士を側方に連接することにより複数連接してなる家具1であって、前記側板3に前記横架材5の内部空間に連通させ得る連通口を有し、側方に連接した側板3同士の配線連通口31d同士を連通させてなることを特徴とする。
【0022】
以下、家具本体10の具体的な構成から順に説明していく。
【0023】
家具本体10は、床面に図示しない態様にて固定された状態で立設された対をなす側板3と、この側板3間の下端部で前後対をなして横架させたベース4と、側板3の前後方向中央において下端部、上下方向の略中央部及び上端部にそれぞれ横架させた横架材5と、側板3の上端において横架させた天板6と、側板3間に棚爪9を介して着脱可能に取り付けられた棚板8と、この側板3を側方に同じ構成をなす側板3に連設させるための連設具7を有している。
【0024】
連設具7は、図5、図8等に示されるように、例えば六角レンチ等の工具を用いて側方から互いに引き寄せて締め付け得る、雄ねじを有したものと雌ねじを有したものとがある既存のものであり、本実施形態では側板3を連設させている所ではこれら雄ねじ、雌ねじの締め付けにより強固に連設されているが、パネル11が取り付けられる側板3ではパネル11側に図示しない例えば雌ねじ部分が形成されており、斯かる側板3ではこの雌ねじ部分に対して例えば雄ねじを有した連設具7が取り付けられる。
【0025】
ベース4は、上述の通り側板3の下端部の前後端を横架させた状態でねじ止め等により強固に固定されたものであり、このベース4と側板3によって平面視枠構造を構成し、家具本体10自体の強度を向上させ得るとともに、床面からの配線hを前後方向に隠蔽し得るものである。
【0026】
天板6は、図13に示すように、天板6の上端に前後方向に3箇所において側板3にねじ止めされることによって側板3間に固定されるものである。なお本実施形態に斯かる家具1は図14に示すように、天板6を取り付けずに使用することも可能である。これにより、最上段の棚板8上には、側板3の上端よりも高いものを載置することができる。
【0027】
横架材5は、横架材5は、側板3の前後方向中央において下端部、中央部及び上端部の3箇所横架させた状態でねじ止めにより強固に固定された中空状に形成されたものであり、図4に示すように、両側端には取り付けの際に側板3側に掛け止めておくための対をなす取付フック53と、この取付フック53のやや下方において配線hを内部空間へ引き込むための配線導入口52とを有している。
【0028】
側板3は、板金の折り曲げによって形成された側板本体31を主体としたものである。そして側板3は当該側板本体31の他、側板本体31の下端部に固着されるアジャスタ32と、横架材5の取付位置において横架材5と共締めされる横架材取付具33と、側板本体31の上端において連結具2を取り付けるための連結具取付板34とを有している。アジャスタ32は側板本体31の下端部においてベース4のやや内側に取り付けられている、また本実施形態ではアジャスタ32は床面に直接または別途の部品を用いて固定される構成を適用しているが、当該構成についての説明は省略する。横架材取付具33は図4に示すように、横架材5を取り付けた箇所にねじ止めされるものであり、横架材5の取付フック53に係り合う対をなすフック支持孔33aと、このフック支持孔33aのやや下側に設けられ横架材5の配線導入口52に連通し得る配線穴11cとを有している。連結具取付板34は、図13及び図14に示すように、連結具2を取り付けるために側板本体31に例えばねじ止めされた板金の折り曲げによってなるものである。この連結具取付板34は、連結具2を取り付けるための取付穴34bと、連結具2との干渉を回避するために形成された取付凹部34aとを有している。
【0029】
そして側板本体31は、下端部近傍に配線hを挿通し得るようにした板金を凹ませて形成した下側挿通部31aと、この下側挿通部31aに連通しアジャスタ32の若干内側の位置で内方に連通させた対をなす開口である下開口31bと、前後略中央の位置で下側挿通部31aに連通する溝状に板金を凹ませた部位であり、棚板8本体の上下端に亘って延びる上下挿通部31cと、この上下挿通部31cにおける略中央位置、すなわち横架材5を取り付けた位置で開口するとともに、横架材5の配線導入口52並びに横架材取付具33の配線穴11cに連通することによって横架材5の内部空間へ連通し得る連通口たる配線連通口31dと、横架材5の取付フック53を挿通し得る対をなすスリット31eと、上端部に設けられ天板6を取り付けるための天板取付部31gとを有している。下側挿通部31a及び下開口31bを設けることにより、図5に示すように床面からの配線hを家具本体10の下方から導入し得るようにしている。また下開口31bは側方に連接した側板3同士でも連通しているので、床面から隣接する家具本体10間で配線hを取り回すことも可能である。そして上下挿通部31cは、上述したパネル11に設けられた配線穴11cにも連通することにより、オプション取付部11bに取り付けられた液晶ディスプレイ等のオプション部材にスムーズに接続し得る。
【0030】
しかして本実施形態では、側方に連接した側板3同士の配線連通口31d同士を連通させることにより、隣接した複数の家具本体10間において横架材5を介して連設方向にも配線hを取り回すことによって、所望の位置へ配線hを取り回し得るものとなっている。なお図1及び図3においては、家具1内に配線hを取り回し得る位置を破線を付して示している。
【0031】
本実施形態では図1〜図3に示すように、下側挿通部31a、下開口31b、上下挿通部31c、そして横架材5の内部空間において破線で示すように自由に配線hを取り回しすることができる。これにより、配線hを導入した位置から所要の位置の例えばオプション部材へ向けて効率良く配線hを配置し得るものとなっている。
【0032】
また側板本体31は、内面側すなわち側板3の内面において、上記の連設具7を内面と略面一となるよう取り付けるために設けられた凹陥及び開口からなる連設用穴31fと、棚爪9を介して棚板8を間接的に取り付けるための棚板支持部35とを有している。この棚支持部92は、側板本体31の前後にそれぞれ設けられている。そしてこの棚板支持部35は、上下等間隔に複数配置された横長スリット形状の開口である爪固定穴35aからなる。
【0033】
棚爪9は、例えば板金の折り曲げによって形成された既存のものであり、本実施形態では側板3側に挿入される挿入部91と、棚板8の荷重を受ける棚支持部92と、棚板8に前後方向に当接してずれないように棚板8を係止する棚係止部93とを有するものとしている。
【0034】
棚板8は、図1〜図12に示すように、上記した棚爪9を介して側板3間、具体的には横架材5の前後に、爪固定穴35aの設けられた位置に応じて上下方向における所望の位置に取り付け得るものである。また棚板8は、図1及び図6〜図8に示されるような水平姿勢(P)と、この水平姿勢(P)から一旦棚板8を取り外した後棚板8の前後を反転させ、図3及び図9〜図11に召すような傾斜姿勢(Q)とをとり得るものである。
【0035】
以下、棚板8の構成について説明する。この棚板8は、水平姿勢(P)で載置物を載置可能に支持し得る水平支持面81と、この水平支持面81から屈曲又は湾曲させて設けられ前記傾斜姿勢(Q)で前記載置物を落下不能に支持し得る傾斜支持面82と、水平姿勢(P)における前側で棚爪9に取り付けるための水平第一取付部83と、水平姿勢(P)における後側で棚爪9に取り付けるための水平第二取付部84と、棚板8を前後反転させた傾斜姿勢(Q)では後上方において棚爪9に取り付けるための傾斜第一取付部85と、同じく傾斜姿勢(Q)で前下方で棚爪9に取り付けるための傾斜第二取付部86とを有している。水平第一取付部83並びに水平第二取付部84は、それぞれ上下方向を同じく爪固定穴35aに取り付けられた前後の棚爪9の棚支持部92に対し載せ置かれ支持される被支持面83a、84aと、この被支持面83a、84aの前後において板金を立ち上がらせることによって形成されたずれ止め面83b、84bとを有している。このずれ止め面83b、84bは棚爪9の棚係止部93に適宜当接することにより、水平姿勢(P)にある棚板8が前後にずれることを禁止している。
【0036】
しかして本実施形態に斯かる家具1は、傾斜第一取付部85及び傾斜第二取付部86を設けることにより、棚板8を棚板支持部35により前記水平姿勢(P)から傾斜させた傾斜姿勢(Q)で棚板8を支持し得る傾斜支持機構Xを構成している。
【0037】
傾斜第一取付部85は、棚爪9の棚支持部92を挿入させ得る傾斜スリット85aを有し、この棚爪9の棚支持部92が傾斜スリット85a内に入り込み、傾斜スリット85aの当接端85bに棚支持部92の側端面が当接することにより、棚爪9に対して相対回転不能に支持される。ここで棚爪9は棚支持部92に対して相対回転不能に支持されている。すなわち、棚支持部92、棚爪9及び傾斜第一取付部85とによって、棚板8を傾斜姿勢(Q)で側板3に対し相対回転不能に支持する傾斜支持機構Xを構成している。
【0038】
他方、傾斜第二取付部86は、図12に拡大して示すように、傾斜支持面82近傍の棚板8の下端部において棚爪9を挿入させ得る爪挿入部86aと、棚爪9の棚支持部92に支持される傾斜被支持面86bと、水平姿勢(P)ではこの傾斜被支持面86bよりも上側に隣接させて位置させた突起であるずれ止め突起たる上ずれ止め突起86cと、同じく水平姿勢(P)では傾斜被支持面86bよりも下側に隣接させて位置するずれ止め突起たる下ずれ止め突起86dとを有している。そして図11に示すように、傾斜第二取付部86は爪挿入部86aから棚爪9を挿入させて傾斜被支持面86bにて爪支持部に支持させた状態では前後から上ずれ止め突起86c、下ずれ止め突起86dに挟まれて前後方向に位置決めされるしかもこれら上ずれ止め突起86c及び下ずれ止め突起86dは棚爪9との係り合いを解除し得る方向のみに棚支持部92を移動させ得ないようにしているので、この傾斜第二取付部86は棚爪9に対して回転不能に取り付けられていることとなる。すなわち、棚爪9は棚支持部92に対して回転不能に取り付けられているので、棚支持部92、棚爪9及び傾斜第二取付部86とによって、棚板8を傾斜姿勢(Q)で側板3に対し相対回転不能に支持する傾斜支持機構Xを構成している。
【0039】
そして、以上に説明した家具1は、図13及び図14に詳細に示すように、上述した連結具2を介して互いに連結されることによって本実施形態に係る家具システムSを構成している。以下、連結具2の構成について説明する。
【0040】
連結具2は、側板3の最上部に固定された連結具本体20と、この連結具本体20を他の家具1に取り付けられた連結具本体20に対し接続する接続杆たるステー21とを有するものである。
【0041】
連結具本体20は、板金の取り曲げ及び溶接からなるもので、側板3からさらに上方へ立ち上がる立設部22と、この立設部22から前後方向すなわち側板3の長手方向へ突出する突出部23と、側板3の上端面の略全域を被覆する被覆板部24と、この被覆板部24から下方に突出する下突出部25と、この下突出部25から別の位置で下方へ側板3内部へ向けて突出し、側板3側にねじ止めされる被固定部22bたるねじ止め部26とを有している。立設部22は、板金材を例えば門状に屈曲させた状態で被覆板部24から立ち上がる立設部本体22aと、この立設部本体22aの上端において突出部23を例えば溶接等により固定している固定部22bとを有している。突出部23は金属板をコの字状に折り曲げてなる突出部本体23aと、この突出部本体23aの上面側に溶接固定された溶接ナット23bとを有している。そして下突出部25は、天板6を取り付けるために設けられた天板取付部31gの位置を回避するための干渉回避部たる退避凹部25aを有している。
【0042】
ステー21は、家具1間の距離に応じた長手寸法を有した金属製のチャネル材状に形成されたステー本体27と、このステー本体27の両端に例えば2箇所形成されボルト挿通孔28とを有している。
【0043】
そして連結具本体20は、側板3の上端を被覆板部24が被覆するように挿入すると、下突出部25及びねじ止め部26が側板3の内部に位置決めをしながら入り込み、ねじ止め部26の位置でねじnにより固定することにより、側板3の上端において強固に固定され得る。このとき図13に示すように退避凹部25aを設けておくことにより、天板6を側板3の上部に取り付けた状態であっても天板取付部31gに干渉することなく、安定して連結部本体を取り付けることができる。
【0044】
そして図14に示すように、連結具本体20は勿論、家具1が天板6を外した状態で使用される場合であってもなんら影響されることはなく、安定して側板3に強固に取り付けられる。
【0045】
そして側板3に強固に取り付けられた連結具本体20に対し、ステー21の端部を突出部23に差し込み、しかる後にボルト挿通孔28からボルトbを挿入し溶接ナット23bに締結することにより、連結具2は側板3の上端間を強固に連結する。これにより、家具1同士が強固に連結された家具システムSが実現される。
【0046】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る家具1は、側方に連接した側板3同士の配線連通口31d同士を連通させることにより、配線hを横架材5を伝って挿通させることができ、配線hの導入箇所から連接した各家具本体10に亘って配線hを行き渡らせ得る。これにより、各側板3へ配線hを導入するための床面等の配線hの取り回しや、露出した配線hの隠蔽といった手間を有効に回避しつつ自由な配線hの取り回しを実現している。
【0047】
配線hを所望の位置に有効に行き渡らせるようにするために本実施形態では、側板本体31に、当該側板本体31の、例えば上下全域に亘って配線hを挿通させ得る上下挿通部31cを設けたものとしている。
【0048】
また本実施形態ではさらに、側板3の内面側に開口する下開口31bを有するものとし、側方に連接した側板3同士の前記下開口31b同士を連通させるようにしているので、床面における所要の位置から配線hを導入し得る。
【0049】
より有効に配線hを目立たなく隠蔽し得るために本実施形態では、横架材5を側板3の前後方向中央に設け、この横架材5の前後に棚板8を取り付けている。
【0050】
そして本実施形態では、パネル11に取り付けたオプション部材まで容易に配線hを取り回し得るよう、上下挿通部31cがオプション用の配線穴11cとも連通させるようにしている。
【0051】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について図15を参照して説明する。なお当該変形例において、上記実施形態の構成要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
【0052】
上記実施形態では、家具1を構成する複数の家具本体10が同じ高さを有する態様を開示したが、勿論、家具本体10の側板3が有する配線連通口31dさえ連通していれば、種々の高さ寸法を有する複数の家具本体10を連設させても良い。
【0053】
同図に示す家具1は、上記実施形態に係る家具本体10よりも上下寸法が短く、横架材5を2本有する家具本体10Sを有している。すなわち寸法の短い側板3Sを有する家具本体10Sを適用している。そしてこの場合、寸法の短い家具本体10Sの外側には短寸パネル11Bを取り付けると共に、隣接する家具本体10の側板3が突出する箇所には別途段違いパネル11Aを取り付けるようにすればよい。
【0054】
このようなものであっても、配線連通口31d同士が連通することにより上記実施形態同様、所望の位置へ配線hを導くことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では側板における中間位置に設けた横架材に配線を挿通する態様を開示したが、勿論、側板の最上部に配した横架材に配線を挿通させ得るようにしてもよい。また側板や横架材の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0057】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明はオフィスや公共施設等に用いられる家具システムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
(2110225側板開口連通)
1…家具
10…家具本体
11…パネル
11b…オプション取付部
11c…オプション用の配線穴(配線穴)
3…側板
31b…下開口
31c…上下挿通部
31d…連通口(配線連通口)
5…横架材
8…棚板
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや公共施設等に用いられる家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや公共施設等に設置される書架等をはじめとする家具では、床面から立設される側板内に配線を挿通可能にすることにより、例えば側板の外面を覆うパネルに、照明やディスプレイといったオプション部材を使用可能とする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
当該特許文献に記載のものは、床面からの配線を側板内部に形成された上下方向に配線を挿通し得る上下挿通部に配線を伝わせることにより、側板を被覆するパネル上部に取り付けられたディスプレイに接続したり、当該配線を側板から上方へ挿通させ得るように構成されている。
【0004】
しかしながら実際にはオフィスや公共施設といった場所ではこのような家具或いは当該家具の主体をなす家具本体が側方に複数連接され、そのような家具が同じ空間に多数設置されている。このような状況において上記特許文献記載の家具を適用した場合、床下における配線がいきおい複雑なものとなったり、また側板上部から配線を引き出して配線を露出させてしまうか、家具上方において配線を隠蔽する為の格別の手段を要するものとなってしまう。
【0005】
すなわち、床下や建物における配線の取り回しの複雑化を回避しつつ、且つ配線を目立たせずに取り回し得るものが求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−104003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような点に着目したものであり、床下や建物における配線の取り回しの複雑化を回避しつつ、且つ配線を目立たせずに取り回し得る家具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち本発明に係る家具は、側板及びこの側板間に架け渡され前記側板同士を固定する横架材を有する家具本体を前記側板同士を側方に連接することにより複数連接してなる家具であって、前記側板に前記横架材の内部空間に連通させ得る連通口を有し、前記側方に連接した側板同士の前記連通口同士を連通させてなることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、配線を家具本体を伝って挿通させることができるので、配線の導入箇所から連接した各家具本体に亘って配線を行き渡らせることができる。これにより、各側板へ配線を導入するための床面等の配線の取り回しや、露出した配線の隠蔽といった手間を有効に回避しつつ配線を取り回し得る家具を提供することが可能となる。
【0010】
配線を所望の位置に有効に行き渡らせるようにするためには、側板を、当該側板の上下に亘って配線を挿通させ得る上下挿通部を有したものとすることが望ましい。
【0011】
また本願の連通口を設ける位置は横架材を設ける位置であればなんら限定されることはないが、床面からの配線を効率良く導入し得るようにするためには、側板を、当該側板の下端部で前記側板の内面側に開口する下開口を有するものとし、前記側方に連接した側板同士の前記下開口同士を連通させるようにすれば、床面における所要の位置から配線を導入することができる。
【0012】
より有効に配線を目立たなく隠蔽し得る具体的な構成として、連通口が側板の前後方向中央に設けられた横架材に連通しているものであり、側板が前記横架材の前後に棚板を取り付け得るものを挙げることができる。
【0013】
そして、上記構成を利用してオプション部材を有効に活用するためには、連接させた前記家具本体の外側面に取り付け得るパネルを有するものとし、このパネルが、オプション部材を取り付け得るオプション取付部と、前記オプション取付部と前記上下挿通部とを連通させ得るオプション用の配線穴とを有したものとすることが好ましい。
【0014】
また本発明に係る家具は、側方に連接された前記複数の家具本体が。上下寸法が互いに異なるものであっても同様に、配線を目立たせずに所要の箇所へ取り回すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、床下や建物における配線の取り回しの複雑化を回避しつつ、且つ配線を目立たせずに取り回し得る家具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る正面図。
【図2】同側面図。
【図3】同外観図。
【図4】同要部の外観図。
【図5】同他の要部の外観図。
【図6】同要部の構成説明図。
【図7】図1に係るI−I線部分断面図。
【図8】同実施形態に係る要部の外観図。
【図9】図6に対応した他の構成説明図。
【図10】図7に係る作用説明図。
【図11】同実施形態に係る要部の外観図。
【図12】同他の要部の外観図。
【図13】同他の要部の構成説明図。
【図14】同上。
【図15】本実施形態の変形例に係る説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る家具システムSは、図1〜図14に示すように、単独で書棚として使用され得る複数の家具1を、連結具2を介して前後方向に連結してなるものである。
【0019】
家具1は、対をなす側板3間に横架材5や棚板8等の各構成要素を横架させた構成をなす互いに連接させた対をなす家具本体10と、この家具本体10の外側を被覆するパネル11とを有している。本実施形態では家具1は、一対の連設させた家具本体10に対しパネル11を取り付けた構成を例示しているが、勿論連接させる家具本体10の数は単数でもさらに多数であってもよい。
【0020】
パネル11は、図2等に示すように、主に板金の折り曲げにより構成されたパネル本体11aを主体とし、連接させた家具本体10の外側面すなわち側板3に設けられた図示しないダルマ穴に挿入し得る図示しないピンを突設させ、当該ピンにより側板3に取り付け被覆し得るものである。そしてこのパネル11は前記パネル本体11aの他に、例えば液用ディスプレイ等のオプション部材を取付けることができるオプション取付部11bと、このオプション取付部11bに取り付けられたオプション部材へ配線hを導入し得る配線穴11cとを有している。
【0021】
ここで、本実施形態に係る家具1は、側板3及びこの側板3間に架け渡され前記側板3同士を固定する横架材5を有する家具本体10を前記側板3同士を側方に連接することにより複数連接してなる家具1であって、前記側板3に前記横架材5の内部空間に連通させ得る連通口を有し、側方に連接した側板3同士の配線連通口31d同士を連通させてなることを特徴とする。
【0022】
以下、家具本体10の具体的な構成から順に説明していく。
【0023】
家具本体10は、床面に図示しない態様にて固定された状態で立設された対をなす側板3と、この側板3間の下端部で前後対をなして横架させたベース4と、側板3の前後方向中央において下端部、上下方向の略中央部及び上端部にそれぞれ横架させた横架材5と、側板3の上端において横架させた天板6と、側板3間に棚爪9を介して着脱可能に取り付けられた棚板8と、この側板3を側方に同じ構成をなす側板3に連設させるための連設具7を有している。
【0024】
連設具7は、図5、図8等に示されるように、例えば六角レンチ等の工具を用いて側方から互いに引き寄せて締め付け得る、雄ねじを有したものと雌ねじを有したものとがある既存のものであり、本実施形態では側板3を連設させている所ではこれら雄ねじ、雌ねじの締め付けにより強固に連設されているが、パネル11が取り付けられる側板3ではパネル11側に図示しない例えば雌ねじ部分が形成されており、斯かる側板3ではこの雌ねじ部分に対して例えば雄ねじを有した連設具7が取り付けられる。
【0025】
ベース4は、上述の通り側板3の下端部の前後端を横架させた状態でねじ止め等により強固に固定されたものであり、このベース4と側板3によって平面視枠構造を構成し、家具本体10自体の強度を向上させ得るとともに、床面からの配線hを前後方向に隠蔽し得るものである。
【0026】
天板6は、図13に示すように、天板6の上端に前後方向に3箇所において側板3にねじ止めされることによって側板3間に固定されるものである。なお本実施形態に斯かる家具1は図14に示すように、天板6を取り付けずに使用することも可能である。これにより、最上段の棚板8上には、側板3の上端よりも高いものを載置することができる。
【0027】
横架材5は、横架材5は、側板3の前後方向中央において下端部、中央部及び上端部の3箇所横架させた状態でねじ止めにより強固に固定された中空状に形成されたものであり、図4に示すように、両側端には取り付けの際に側板3側に掛け止めておくための対をなす取付フック53と、この取付フック53のやや下方において配線hを内部空間へ引き込むための配線導入口52とを有している。
【0028】
側板3は、板金の折り曲げによって形成された側板本体31を主体としたものである。そして側板3は当該側板本体31の他、側板本体31の下端部に固着されるアジャスタ32と、横架材5の取付位置において横架材5と共締めされる横架材取付具33と、側板本体31の上端において連結具2を取り付けるための連結具取付板34とを有している。アジャスタ32は側板本体31の下端部においてベース4のやや内側に取り付けられている、また本実施形態ではアジャスタ32は床面に直接または別途の部品を用いて固定される構成を適用しているが、当該構成についての説明は省略する。横架材取付具33は図4に示すように、横架材5を取り付けた箇所にねじ止めされるものであり、横架材5の取付フック53に係り合う対をなすフック支持孔33aと、このフック支持孔33aのやや下側に設けられ横架材5の配線導入口52に連通し得る配線穴11cとを有している。連結具取付板34は、図13及び図14に示すように、連結具2を取り付けるために側板本体31に例えばねじ止めされた板金の折り曲げによってなるものである。この連結具取付板34は、連結具2を取り付けるための取付穴34bと、連結具2との干渉を回避するために形成された取付凹部34aとを有している。
【0029】
そして側板本体31は、下端部近傍に配線hを挿通し得るようにした板金を凹ませて形成した下側挿通部31aと、この下側挿通部31aに連通しアジャスタ32の若干内側の位置で内方に連通させた対をなす開口である下開口31bと、前後略中央の位置で下側挿通部31aに連通する溝状に板金を凹ませた部位であり、棚板8本体の上下端に亘って延びる上下挿通部31cと、この上下挿通部31cにおける略中央位置、すなわち横架材5を取り付けた位置で開口するとともに、横架材5の配線導入口52並びに横架材取付具33の配線穴11cに連通することによって横架材5の内部空間へ連通し得る連通口たる配線連通口31dと、横架材5の取付フック53を挿通し得る対をなすスリット31eと、上端部に設けられ天板6を取り付けるための天板取付部31gとを有している。下側挿通部31a及び下開口31bを設けることにより、図5に示すように床面からの配線hを家具本体10の下方から導入し得るようにしている。また下開口31bは側方に連接した側板3同士でも連通しているので、床面から隣接する家具本体10間で配線hを取り回すことも可能である。そして上下挿通部31cは、上述したパネル11に設けられた配線穴11cにも連通することにより、オプション取付部11bに取り付けられた液晶ディスプレイ等のオプション部材にスムーズに接続し得る。
【0030】
しかして本実施形態では、側方に連接した側板3同士の配線連通口31d同士を連通させることにより、隣接した複数の家具本体10間において横架材5を介して連設方向にも配線hを取り回すことによって、所望の位置へ配線hを取り回し得るものとなっている。なお図1及び図3においては、家具1内に配線hを取り回し得る位置を破線を付して示している。
【0031】
本実施形態では図1〜図3に示すように、下側挿通部31a、下開口31b、上下挿通部31c、そして横架材5の内部空間において破線で示すように自由に配線hを取り回しすることができる。これにより、配線hを導入した位置から所要の位置の例えばオプション部材へ向けて効率良く配線hを配置し得るものとなっている。
【0032】
また側板本体31は、内面側すなわち側板3の内面において、上記の連設具7を内面と略面一となるよう取り付けるために設けられた凹陥及び開口からなる連設用穴31fと、棚爪9を介して棚板8を間接的に取り付けるための棚板支持部35とを有している。この棚支持部92は、側板本体31の前後にそれぞれ設けられている。そしてこの棚板支持部35は、上下等間隔に複数配置された横長スリット形状の開口である爪固定穴35aからなる。
【0033】
棚爪9は、例えば板金の折り曲げによって形成された既存のものであり、本実施形態では側板3側に挿入される挿入部91と、棚板8の荷重を受ける棚支持部92と、棚板8に前後方向に当接してずれないように棚板8を係止する棚係止部93とを有するものとしている。
【0034】
棚板8は、図1〜図12に示すように、上記した棚爪9を介して側板3間、具体的には横架材5の前後に、爪固定穴35aの設けられた位置に応じて上下方向における所望の位置に取り付け得るものである。また棚板8は、図1及び図6〜図8に示されるような水平姿勢(P)と、この水平姿勢(P)から一旦棚板8を取り外した後棚板8の前後を反転させ、図3及び図9〜図11に召すような傾斜姿勢(Q)とをとり得るものである。
【0035】
以下、棚板8の構成について説明する。この棚板8は、水平姿勢(P)で載置物を載置可能に支持し得る水平支持面81と、この水平支持面81から屈曲又は湾曲させて設けられ前記傾斜姿勢(Q)で前記載置物を落下不能に支持し得る傾斜支持面82と、水平姿勢(P)における前側で棚爪9に取り付けるための水平第一取付部83と、水平姿勢(P)における後側で棚爪9に取り付けるための水平第二取付部84と、棚板8を前後反転させた傾斜姿勢(Q)では後上方において棚爪9に取り付けるための傾斜第一取付部85と、同じく傾斜姿勢(Q)で前下方で棚爪9に取り付けるための傾斜第二取付部86とを有している。水平第一取付部83並びに水平第二取付部84は、それぞれ上下方向を同じく爪固定穴35aに取り付けられた前後の棚爪9の棚支持部92に対し載せ置かれ支持される被支持面83a、84aと、この被支持面83a、84aの前後において板金を立ち上がらせることによって形成されたずれ止め面83b、84bとを有している。このずれ止め面83b、84bは棚爪9の棚係止部93に適宜当接することにより、水平姿勢(P)にある棚板8が前後にずれることを禁止している。
【0036】
しかして本実施形態に斯かる家具1は、傾斜第一取付部85及び傾斜第二取付部86を設けることにより、棚板8を棚板支持部35により前記水平姿勢(P)から傾斜させた傾斜姿勢(Q)で棚板8を支持し得る傾斜支持機構Xを構成している。
【0037】
傾斜第一取付部85は、棚爪9の棚支持部92を挿入させ得る傾斜スリット85aを有し、この棚爪9の棚支持部92が傾斜スリット85a内に入り込み、傾斜スリット85aの当接端85bに棚支持部92の側端面が当接することにより、棚爪9に対して相対回転不能に支持される。ここで棚爪9は棚支持部92に対して相対回転不能に支持されている。すなわち、棚支持部92、棚爪9及び傾斜第一取付部85とによって、棚板8を傾斜姿勢(Q)で側板3に対し相対回転不能に支持する傾斜支持機構Xを構成している。
【0038】
他方、傾斜第二取付部86は、図12に拡大して示すように、傾斜支持面82近傍の棚板8の下端部において棚爪9を挿入させ得る爪挿入部86aと、棚爪9の棚支持部92に支持される傾斜被支持面86bと、水平姿勢(P)ではこの傾斜被支持面86bよりも上側に隣接させて位置させた突起であるずれ止め突起たる上ずれ止め突起86cと、同じく水平姿勢(P)では傾斜被支持面86bよりも下側に隣接させて位置するずれ止め突起たる下ずれ止め突起86dとを有している。そして図11に示すように、傾斜第二取付部86は爪挿入部86aから棚爪9を挿入させて傾斜被支持面86bにて爪支持部に支持させた状態では前後から上ずれ止め突起86c、下ずれ止め突起86dに挟まれて前後方向に位置決めされるしかもこれら上ずれ止め突起86c及び下ずれ止め突起86dは棚爪9との係り合いを解除し得る方向のみに棚支持部92を移動させ得ないようにしているので、この傾斜第二取付部86は棚爪9に対して回転不能に取り付けられていることとなる。すなわち、棚爪9は棚支持部92に対して回転不能に取り付けられているので、棚支持部92、棚爪9及び傾斜第二取付部86とによって、棚板8を傾斜姿勢(Q)で側板3に対し相対回転不能に支持する傾斜支持機構Xを構成している。
【0039】
そして、以上に説明した家具1は、図13及び図14に詳細に示すように、上述した連結具2を介して互いに連結されることによって本実施形態に係る家具システムSを構成している。以下、連結具2の構成について説明する。
【0040】
連結具2は、側板3の最上部に固定された連結具本体20と、この連結具本体20を他の家具1に取り付けられた連結具本体20に対し接続する接続杆たるステー21とを有するものである。
【0041】
連結具本体20は、板金の取り曲げ及び溶接からなるもので、側板3からさらに上方へ立ち上がる立設部22と、この立設部22から前後方向すなわち側板3の長手方向へ突出する突出部23と、側板3の上端面の略全域を被覆する被覆板部24と、この被覆板部24から下方に突出する下突出部25と、この下突出部25から別の位置で下方へ側板3内部へ向けて突出し、側板3側にねじ止めされる被固定部22bたるねじ止め部26とを有している。立設部22は、板金材を例えば門状に屈曲させた状態で被覆板部24から立ち上がる立設部本体22aと、この立設部本体22aの上端において突出部23を例えば溶接等により固定している固定部22bとを有している。突出部23は金属板をコの字状に折り曲げてなる突出部本体23aと、この突出部本体23aの上面側に溶接固定された溶接ナット23bとを有している。そして下突出部25は、天板6を取り付けるために設けられた天板取付部31gの位置を回避するための干渉回避部たる退避凹部25aを有している。
【0042】
ステー21は、家具1間の距離に応じた長手寸法を有した金属製のチャネル材状に形成されたステー本体27と、このステー本体27の両端に例えば2箇所形成されボルト挿通孔28とを有している。
【0043】
そして連結具本体20は、側板3の上端を被覆板部24が被覆するように挿入すると、下突出部25及びねじ止め部26が側板3の内部に位置決めをしながら入り込み、ねじ止め部26の位置でねじnにより固定することにより、側板3の上端において強固に固定され得る。このとき図13に示すように退避凹部25aを設けておくことにより、天板6を側板3の上部に取り付けた状態であっても天板取付部31gに干渉することなく、安定して連結部本体を取り付けることができる。
【0044】
そして図14に示すように、連結具本体20は勿論、家具1が天板6を外した状態で使用される場合であってもなんら影響されることはなく、安定して側板3に強固に取り付けられる。
【0045】
そして側板3に強固に取り付けられた連結具本体20に対し、ステー21の端部を突出部23に差し込み、しかる後にボルト挿通孔28からボルトbを挿入し溶接ナット23bに締結することにより、連結具2は側板3の上端間を強固に連結する。これにより、家具1同士が強固に連結された家具システムSが実現される。
【0046】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る家具1は、側方に連接した側板3同士の配線連通口31d同士を連通させることにより、配線hを横架材5を伝って挿通させることができ、配線hの導入箇所から連接した各家具本体10に亘って配線hを行き渡らせ得る。これにより、各側板3へ配線hを導入するための床面等の配線hの取り回しや、露出した配線hの隠蔽といった手間を有効に回避しつつ自由な配線hの取り回しを実現している。
【0047】
配線hを所望の位置に有効に行き渡らせるようにするために本実施形態では、側板本体31に、当該側板本体31の、例えば上下全域に亘って配線hを挿通させ得る上下挿通部31cを設けたものとしている。
【0048】
また本実施形態ではさらに、側板3の内面側に開口する下開口31bを有するものとし、側方に連接した側板3同士の前記下開口31b同士を連通させるようにしているので、床面における所要の位置から配線hを導入し得る。
【0049】
より有効に配線hを目立たなく隠蔽し得るために本実施形態では、横架材5を側板3の前後方向中央に設け、この横架材5の前後に棚板8を取り付けている。
【0050】
そして本実施形態では、パネル11に取り付けたオプション部材まで容易に配線hを取り回し得るよう、上下挿通部31cがオプション用の配線穴11cとも連通させるようにしている。
【0051】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について図15を参照して説明する。なお当該変形例において、上記実施形態の構成要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
【0052】
上記実施形態では、家具1を構成する複数の家具本体10が同じ高さを有する態様を開示したが、勿論、家具本体10の側板3が有する配線連通口31dさえ連通していれば、種々の高さ寸法を有する複数の家具本体10を連設させても良い。
【0053】
同図に示す家具1は、上記実施形態に係る家具本体10よりも上下寸法が短く、横架材5を2本有する家具本体10Sを有している。すなわち寸法の短い側板3Sを有する家具本体10Sを適用している。そしてこの場合、寸法の短い家具本体10Sの外側には短寸パネル11Bを取り付けると共に、隣接する家具本体10の側板3が突出する箇所には別途段違いパネル11Aを取り付けるようにすればよい。
【0054】
このようなものであっても、配線連通口31d同士が連通することにより上記実施形態同様、所望の位置へ配線hを導くことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では側板における中間位置に設けた横架材に配線を挿通する態様を開示したが、勿論、側板の最上部に配した横架材に配線を挿通させ得るようにしてもよい。また側板や横架材の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0057】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明はオフィスや公共施設等に用いられる家具システムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
(2110225側板開口連通)
1…家具
10…家具本体
11…パネル
11b…オプション取付部
11c…オプション用の配線穴(配線穴)
3…側板
31b…下開口
31c…上下挿通部
31d…連通口(配線連通口)
5…横架材
8…棚板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板及びこの側板間に架け渡され前記側板同士を固定する横架材を有する家具本体を前記側板同士を側方に連接することにより複数連接してなる家具であって、
前記側板に前記横架材の内部空間に連通させ得る連通口を有し、前記側方に連接した側板同士の前記連通口同士を連通させてなることを特徴とする家具。
【請求項2】
前記側板が、当該側板の上下に亘って配線を挿通させ得る上下挿通部を有している請求項1記載の家具。
【請求項3】
前記側板が、当該側板の下端部で前記側板の内面側に開口する下開口を有し、前記側方に連接した側板同士の前記下開口同士を連通させている請求項1又は2記載の家具。
【請求項4】
前記連通口が前記側板の前後方向中央に設けられた前記横架材に連通しているものであり、前記側板が前記横架材の前後に棚板を取り付け得るものである請求項1、2又は3記載の家具。
【請求項5】
連接させた前記家具本体の外側面に取り付け得るパネルを有するものであり、このパネルが、オプション部材を取り付け得るオプション取付部と、前記オプション取付部と前記上下挿通部とを連通させ得るオプション用の配線穴とを有している請求項2記載の家具。
【請求項6】
側方に連接された前記複数の家具本体が。上下寸法が互いに異なるものである請求項1、2、3、4又は5記載の家具。
【請求項1】
側板及びこの側板間に架け渡され前記側板同士を固定する横架材を有する家具本体を前記側板同士を側方に連接することにより複数連接してなる家具であって、
前記側板に前記横架材の内部空間に連通させ得る連通口を有し、前記側方に連接した側板同士の前記連通口同士を連通させてなることを特徴とする家具。
【請求項2】
前記側板が、当該側板の上下に亘って配線を挿通させ得る上下挿通部を有している請求項1記載の家具。
【請求項3】
前記側板が、当該側板の下端部で前記側板の内面側に開口する下開口を有し、前記側方に連接した側板同士の前記下開口同士を連通させている請求項1又は2記載の家具。
【請求項4】
前記連通口が前記側板の前後方向中央に設けられた前記横架材に連通しているものであり、前記側板が前記横架材の前後に棚板を取り付け得るものである請求項1、2又は3記載の家具。
【請求項5】
連接させた前記家具本体の外側面に取り付け得るパネルを有するものであり、このパネルが、オプション部材を取り付け得るオプション取付部と、前記オプション取付部と前記上下挿通部とを連通させ得るオプション用の配線穴とを有している請求項2記載の家具。
【請求項6】
側方に連接された前記複数の家具本体が。上下寸法が互いに異なるものである請求項1、2、3、4又は5記載の家具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−102989(P2013−102989A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249314(P2011−249314)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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