説明

家畜のジェノタイピング方法

本発明は、筋組織中の一価不飽和脂肪のレベル、筋組織中の異なる一価不飽和脂肪のタイプおよび/または割合、脂肪交雑、枝肉重量、肉品質、仕上げ期の速度、フィードロット効率および/または消費者の好みといった、所望の形質をもつ動物を選択するためのジェノタイピング方法に関する。特に、本発明は、動物のM-RIP、NT5Mおよび/またはTCAP遺伝子を所望の形質に関連したハプロタイプの特徴を示す多型の組み合わせについて解析することによって、所望の形質をもつ動物を選択する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、筋組織中の一価不飽和脂肪のレベル、筋組織中の異なる一価不飽和脂肪のタイプおよび/または割合、脂肪交雑、枝肉重量、肉品質、仕上げ期の速度(speed of finishing)、フィードロット効率および/または消費者の好みといった、所望の形質をもつ動物を選択するためのジェノタイピング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
DNA検査はサイログロブリン遺伝子多型に関連した対立遺伝子の指標を提供し得ると主張されてきた。しかしながら、Rinckerら(2006)は、GeneSTAR脂肪交雑マーカーが高濃厚飼料を与えられた早期離乳去勢雄牛における筋内脂肪沈着に関連しておらず、また、サイログロブリン遺伝子がその他の枝肉性能パラメーターまたは脂肪交雑の期待後代差(expected progeny difference)に関連がないことを見いだした。同様に、Van Eenennaamら(2007)はこれらのマーカーの有用性を検証することができなかった。
【0003】
対照的に、US 2008/0010696は、SCD SREBが日本のウシにおける脂肪交雑と関連性があるが、他のウシでは関連性がないことを示している。SREBPは、ステアロイル-CoAデサチュラーゼ(SCD1)の遺伝子発現レベルと、組織における脂質・脂肪酸代謝に関係する他の遺伝子の発現レベルを調節している転写因子である(Hoashi et al., 2007)。牛肉に含まれる不飽和脂肪酸の含有量は、味と口当たり(Hoashi et al., 2007; EP 1845159)および脂肪交雑度の重要な要因である。最近の研究では、高SCD活性は牛肉の脂肪交雑スコア、一価不飽和脂肪酸および共役リノール酸の量と正の相関関係にあるが、飽和脂肪酸の量とは負の相関関係にあることが明らかにされた(Jiang et al., 2008)。
【0004】
米国特許第7,157,231号は、ウシ成長ホルモン(GHエクソン5)が脂肪交雑に寄与しているB&C対立遺伝子と共に重要な役割を担っており、この効果がやはり日本のウシに限られることを示している。米国特許第7,238,479号は、ウシでは肉の柔らかさに影響を与えるカルシウム活性化中性プロテアーゼをコードする遺伝子の対立遺伝子に関する遺伝子検査が選抜育種において有用であることを示している。US 2004/0261138は、ブタ・メラノコルチン-4受容体(MC4R)遺伝子の遺伝的マーカーが肉の品質に関連することを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、望ましい形質を備えた家畜を識別するための遺伝子解析のさらなる方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、所望の形質に連鎖している新しい多型領域を同定した。
【0007】
一態様において、本発明は、所望の形質をもつ動物を選択する方法を提供し、この方法は以下のステップを含む:
i) 動物のM-RIP、NT5Mおよび/またはTCAP遺伝子を、所望の形質に関連した1つ以上の多型について解析するステップ;ならびに
ii) 所望の形質に関連した1つ以上の多型をもつ動物を選択するステップ。
【0008】
好ましい実施形態では、1つ以上の多型、より好ましくは多型の組合せが、所望の形質に関連したハプロタイプの特徴を示している。
【0009】
さらなる実施形態において、ステップi)は、動物のSREBP1および/またはGH遺伝子、好ましくは少なくともSREBP1遺伝子を、所望の形質に関連した1つ以上の多型について解析することをさらに含む。
【0010】
好ましい実施形態では、M-RIP遺伝子が以下のステップにより解析される:
a) 該遺伝子の領域を、配列5'-AGG GGT GCT GAG TCT ACA GG-3' (配列番号1)を含むオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列5'-CTC CAG GAG GCA GGA GAA G-3' (配列番号2)を含むオリゴヌクレオチドプライマー、または同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型を用いて、増幅するステップ;ならびに
b) その増幅産物を1つ以上の多型について解析するステップ。
【0011】
一実施形態では、M-RIP遺伝子が、本明細書中で定義する10、30、40または60と指定された対立遺伝子について解析される。
【0012】
別の好ましい実施形態では、NT5M遺伝子が以下のステップにより解析される:
a) 該遺伝子の領域を、配列5'-GGA AGG CCA GTT ACA TGG CA-3' (配列番号3)を含むオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列5'-CAC AAC CAA GGC CAA AAT CGC A-3' (配列番号4)を含むオリゴヌクレオチドプライマー、または同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型を用いて、増幅するステップ;ならびに
b) その増幅産物を1つ以上の多型について解析するステップ。
【0013】
一実施形態では、NT5M遺伝子が、本明細書中で定義する10、20または22と指定された対立遺伝子について解析される。
【0014】
さらなる好ましい実施形態では、TCAP遺伝子が以下のステップにより解析される:
a) 該遺伝子の領域を、配列5'-AGT ACC AGC TGC CCT ACC A-3' (配列番号5)を含むオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列5'-CTG AGA CAT GGA GCG AGC CA-3' (配列番号6)を含むオリゴヌクレオチドプライマー、または同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型を用いて、増幅するステップ;ならびに
b) その増幅産物を1つ以上の多型について解析するステップ。
【0015】
一実施形態では、TCAP遺伝子が、本明細書中で定義する10または20と指定された対立遺伝子について解析される。
【0016】
別の好ましい実施形態では、SREBP1遺伝子が以下のステップにより解析される:
a) 該遺伝子の領域を、配列5'-CCA CAA CGC CAT CGA GAA ACG CTA C-3' (配列番号7)を含むオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列5'-GGC CTT CCC TGA CCA CCC AAC TTA G-3' (配列番号8)を含むオリゴヌクレオチドプライマー、または同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型を用いて、増幅するステップ;ならびに
b) その増幅産物を1つ以上の多型について解析するステップ。
【0017】
一実施形態では、SREBP1遺伝子が、本明細書およびUS 2008/0010696で定義するSまたはLと指定された対立遺伝子について解析される。
【0018】
さらなる好ましい実施形態では、GH遺伝子が以下のステップにより解析される:
a) 該遺伝子の領域を、
1) 配列5'-TCT ATG AGA AGC TGA AGG ACC TGG AGG AA-3' (配列番号9)を含むオリゴヌクレオチドプライマーまたは同じゲノム領域を増幅するために使用できるその変異型、および
2) 配列5'-CGG GGG GTG CCA TCT TCC AG-3' (配列番号10)を含むオリゴヌクレオチドプライマーもしくは配列5'-CGG GGG GTG CCA TCT TCC AC-3' (配列番号11)を含むオリゴヌクレオチドプライマーまたは同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型、および
3) 配列5'-ATG ACC CTC TGG TAC GTC TCC G-3' (配列番号12)を含むオリゴヌクレオチドプライマーもしくは配列5'-CAT GAC CCT CTG GTA CGT CTC CA-3' (配列番号13)を含むオリゴヌクレオチドプライマーまたは同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型
を用いて増幅するステップ;ならびに
b) その増幅産物を1つ以上の多型について解析するステップ。
【0019】
一実施形態では、GH遺伝子が、本明細書および米国特許第7,157,231号で定義するA、B、CまたはDと指定された対立遺伝子について解析される。
【0020】
一実施形態では、少なくともM-RIP遺伝子が解析され、さらに好ましくは少なくともM-RIPおよびNT5M遺伝子、少なくともM-RIPおよびTCAP遺伝子、少なくともM-RIP、NT5MおよびTCAP遺伝子、少なくともSREBP1、M-RIP、NT5MおよびTCAP遺伝子、少なくともM-RIP、NT5M、TCAPおよびGH遺伝子、または少なくともSREBP1、M-RIP、NT5M、TCAPおよびGH遺伝子が解析される。別の実施形態では、少なくともTCAPおよびGH遺伝子、または少なくともSREBP1およびNT5M遺伝子が解析される。
【0021】
一実施形態において、前記形質は筋組織中の一価不飽和脂肪のレベル、筋組織中の異なる一価不飽和脂肪のタイプおよび/または割合、脂肪交雑、枝肉重量、肉品質、仕上げ期の速度、フィードロット効率および/または消費者の好みである。一実施形態では、肉品質の形質がロース芯面積(eye muscle area)および/または柔らかさである。
【0022】
好ましくは、動物は家畜動物である。より好ましくは、家畜動物はヒツジ、ウシ、ブタ、ヤギまたはウマである。さらに好ましくは、家畜動物はウシである。
【0023】
一実施形態において、ウシは和牛(Wagyu)であり、肉品質の形質はロース芯面積(EMA)であり、そしてハプロタイプ(NT5M-MRIP-TCAP-GH) 22-40-20 B/C、10-30-20 Aおよび10-40-20-B/C、より好ましくは22-40-20 B/Cが、他のNT5M-MRIP-TCAP-GHハプロタイプに比べて、より高いEMAと正の関連を示す。さらに、ハプロタイプ20-30-20-A、20-40-20-Aおよび22 40-10-B/C、より好ましくは20-30-20-Aおよび20-40-20-Aは、他のNT5M-MRIP-TCAP-GHハプロタイプに比べて、より高いEMAと負の関連を示す。
【0024】
さらなる実施形態において、ウシは和牛であり、形質は枝肉重量であり、そしてハプロタイプ(TCAP-GH) 20-C、10-Cおよび10-B、より好ましくは20-Cが、他のTCAP-GHハプロタイプに比べて、より高い枝肉重量と正の関連を示す。
【0025】
さらに別の実施形態において、ウシは和牛であり、形質は脂肪交雑であり、そしてハプロタイプ(MRIP-TCAP-GH) 30-10-Bおよび40-20-Aが、他のMRIP-TCAP-GHハプロタイプに比べて、より高い脂肪交雑と正の関連を示す。さらに、ハプロタイプ40-10-B、40-10-Aおよび30-10-Cは、他のMRIP-TCAP-GHハプロタイプに比べて、より高い脂肪交雑と負の関連を示す。
【0026】
一実施形態において、表2の40.1および30.1ハプロタイプは、ウシ、好ましくは和牛、シンメンタール(Simmental)牛および/またはアンガス(Angus)牛における所望の形質と関連がある。
【0027】
一実施形態において、ステップi)は、動物から得られたDNAを含むサンプルに対して実施される。
【0028】
さらなる態様において、本発明は、所望の形質をもつ動物の育種方法を提供し、この方法は、本発明の方法を用いて第1の動物を選択し、その第1の動物を、同じ種であるが異性の第2の動物と交配させることを含む。
【0029】
一実施形態では、第2の動物もまた、本発明の方法を用いて選択される。
【0030】
上記態様の一実施形態において、サンプルは卵、精液または胚である。この実施形態に関連して、胚の選択は、稀な遺伝子型の拡大を加速させる(accelerate the expansion or rare genotypes)ために用いることができる。回収された胚は保存可能であり、好適な胚はウシなどの第三者のレシピエント動物に導入される。胚はまた、所望の遺伝子型をもつ動物の生産をスピードアップするために分割することも可能である。
【0031】
さらなる実施形態において、前記方法は、交配種の子孫を、本発明の方法を用いて所望の形質について選択することを含む。
【0032】
別の態様において、本発明は、動物のジェノタイピング方法を提供し、この方法は、動物のM-RIP、NT5Mおよび/またはTCAP遺伝子を1つ以上の多型について解析することを含む。
【0033】
本発明のこの態様は、親子鑑定、排除試験および品種構成検査など、さまざまな目的に使用することができる。
【0034】
親子鑑定のための上記態様の使用に関して、好ましくは、この方法は以下のステップを含む:
i) 動物のM-RIP、NT5Mおよび/またはTCAP遺伝子を1つ以上の多型について解析することによって動物をジェノタイピングするステップ;
ii) M-RIP、NT5Mおよび/またはTCAP遺伝子を1つ以上の多型について解析することによって該動物の候補父および/または母の遺伝子型を判定するステップ;ならびに
iii) ステップi)およびii)からの遺伝子型を比較して、候補父および/または母が該動物の親である確率を求めるステップ。
【0035】
当業者には理解されるように、ステップi)およびii)は任意の順序で行うことができる。
【0036】
一実施形態において、前記方法は、動物のSREBP1および/またはGH遺伝子を1つ以上の多型について解析することをさらに含む。
【0037】
好ましくは、1つ以上の多型、より好ましくは多型の組合せ、があるハプロタイプの特徴を示している。
【0038】
さらなる態様において、本発明は、動物のM-RIP、NT5Mおよび/またはTCAP遺伝子の多型領域を増幅するのに使用するためのオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。
【0039】
一実施形態では、前記プライマーは以下のオリゴヌクレオチドから選択される:
a) 5'-AGG GGT GCT GAG TCT ACA GG-3' (配列番号1)、
5'-CTC CAG GAG GCA GGA GAA G-3' (配列番号2)、
5'-GGA AGG CCA GTT ACA TGG CA-3' (配列番号3)、
5'-CAC AAC CAA GGC CAA AAT CGC A-3' (配列番号4)、
5'-AGT ACC AGC TGC CCT ACC A-3' (配列番号5)、および
5'-CTG AGA CAT GGA GCG AGC CA-3' (配列番号6)
から選択される配列を含むオリゴヌクレオチド;
b) a)で示した任意のオリゴヌクレオチドの逆相補体である配列を含むオリゴヌクレオチド;および
c) a)またはb)のオリゴヌクレオチドのいずれか1つと同じ動物ゲノム領域を増幅するために使用できるa)またはb)の変異型。
【0040】
本発明のオリゴヌクレオチドおよび許容される担体を含む組成物も提供される。
【0041】
さらなる態様において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。
【0042】
明らかなように、本発明の一態様の好ましい特性および特徴は、本発明の他の多くの態様に適用可能である。
【0043】
本明細書全体を通して、用語「含む」、または「含み」もしくは「含んでいる」などの変形は、記載した要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップのグループの包含を意味するが、その他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップのグループの除外を意味しない、ことが理解されるだろう。
【0044】
以後、本発明は、以下の非限定的実施例によって、添付の図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】ウシでの14Mbのハプロタイプを定義するために用いられる19番染色体上の多型マーカーの概略図を提供し、図1は解析される対立遺伝子の概要を提供する。
【図2】ウシでの14Mbのハプロタイプを定義するために用いられる19番染色体上の多型マーカーの概略図を提供する。
【図3−1】ウシの3つの異なる家系における本発明のハプロタイプの安定した継承を示す。
【図3−2】ウシの3つの異なる家系における本発明のハプロタイプの安定した継承を示す。
【図4】表1に示すプライマーを用いたM-RIP遺伝子の増幅産物を示す。
【図5】異なる品種(Simm=シンメンタール、AA=アンガス)におけるSREBP1からGHのハプロタイプの頻度を示す。
【図6】TCAP-GHハプロタイプと温屠体(hot dead)枝肉重量との相関関係を示す。
【図7】SREBP1からGHのハプロタイプの頻度とロース芯面積との相関関係を示す。
【図8】MRIPからGHのハプロタイプと脂肪交雑との相関関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
発明の詳細な説明
一般的技術および定義
特に他で定義しない限り、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、動物育種、タンパク質化学、および生化学の分野の当業者)が一般に理解している意味と同じ意味をもつと解釈すべきである。
【0047】
他に指定のない限り、本発明で利用する組換えタンパク質、細胞培養および免疫学的手法は、当業者によく知られている標準的な手法である。そのような手法は以下に挙げた情報源に文献全体を通して記載され、説明されている:J. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley and Sons (1984); J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory Press (1989); T.A. Brown (編者), Essential Molecular Biology: A Practical Approach, 第1巻および第2巻, IRL Press (1991); D.M. Glover and B.D. Hames (編者), DNA Cloning: A Practical Approach, 第1-4巻, IRL Press (1995および1996); F.M. Ausubel et al. (編者), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience (1988, 現在までのすべての改訂を含む); Ed Harlow and David Lane (編者) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory, (1988); およびJ.E. Coligan et al. (編者) Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons (現在までのすべての改訂を含む)。
【0048】
「ハプロタイプ」とは、1つの染色体上の、または染色体の一部上の対立遺伝子(時には一塩基多型(SNPs)によって識別される)の特定の組合せのことである。形質のファインマッピングのためにハプロタイプを利用することができる。
【0049】
一部の多型は連鎖不平衡であることがあり、ブロック状で遺伝する。「ハプロタイプブロック」(当技術分野では「フローズンブロック」(frozen block)としても知られている)はそれゆえ、高い連鎖不平衡(LD)および低いハプロタイプ多様度の離散した染色体領域である。ブロック内の多型のすべてのペアは強い連鎖不平衡にあるが、他のペアはかなり弱い関連を示すと予想される。ブロックは組換えホットスポットにより挟まれた低組換えの領域であると仮定される。ブロックは多数の多型を含むことができるが、ブロック内のハプロタイプを一意的に同定するには少数の多型で十分である。
【0050】
「祖先ハプロタイプ」は、家系性ハプロタイプブロックと同様に世代から世代に受け継がれるが、近縁関係にない動物(すなわち、すべてがある遠い祖先に由来する)間で集団全般に予想よりも高い頻度で見られる。一般に、「ハプロタイプ」と「祖先ハプロタイプ」という語句は本明細書では互換的に用いられる。
【0051】
本明細書中で用いる「1つ以上の多型があるハプロタイプの特徴を示している」という用語は、1つ以上の多型、一般的には多数の多型、の存在が特定のハプロタイプのマーカーである、ことを意味する。
【0052】
用語「多型」は、対象の遺伝子座の1つより多い形態の共存をさす。少なくとも2つの形態、すなわち2つの異なるヌクレオチド配列、が存在するゲノムの領域は「多型領域」または「多型遺伝子座」と呼ばれる。多型遺伝子座は単一のヌクレオチドであってよく、そのヌクレオチドの種類が他方の対立遺伝子では異なる。多型遺伝子座はまた、2以上のヌクレオチド長であってもよく、そして/または所与の遺伝子座での(例えば、反復配列の数の)挿入もしくは欠失のため、さまざまな長さであってよい。所定の集団で最も高頻度に出現する対立遺伝子の形態は、多くの場合、基準形態および/または野生型形態と呼ばれる。他の対立遺伝子形態は一般に、指定された、または代替の、または変異型の対立遺伝子である。2倍体の生物は対立遺伝子形態のホモ接合体またはヘテロ接合体であり得る。ジアレリック(diallelic)またはバイアレリック(biallelic)多型には2つの形態がある。トリアレリック(trialleleic)多型には3つの形態がある。
【0053】
用語「一塩基多型」(SNP)は、1つの塩基により占有された多型部位をさし、これは対立遺伝子配列間の変異の部位である。この部位の前と後には、通常、対立遺伝子の高度に保存された配列(例えば、集団の{比率(1/100)}または{比率(1/1000)}より少ないメンバーにおいて変化している配列)が存在する。通常、SNPは多型部位で1つのヌクレオチドが別のヌクレオチドに置換されるために起こる。一般的に、多型部位は基準塩基以外の塩基によって占められる。例えば、基準対立遺伝子が多型部位に塩基「T」(チミジン)を含む場合、改変型対立遺伝子はその多型部位に「C」(シチジン)、「G」(グアニン)、または「A」(アデニン)を含むことができる。
【0054】
用語「連鎖」、「連鎖した」またはそれらの変形は、複数の遺伝子、対立遺伝子、遺伝子座または遺伝的マーカーが同じ染色体上のそれらの位置の結果として一緒に遺伝する傾向を説明している。それは2つの遺伝子、対立遺伝子、遺伝子座または遺伝的マーカー間の組換え率(%)によって測定することができる。用語「連鎖不平衡」は、特定集団内での2つのマーカー遺伝子座における特定対立遺伝子の間のランダムより大きい関連をさす。一般に、連鎖不平衡は物理的距離の増加とともに減少する。連鎖不平衡が1つの遺伝子またはブロック内の2つのマーカー間に存在する場合には、一方のマーカーでの遺伝子型情報を用いて、他方のマーカーの遺伝子型についての確率的予測を行うことが可能である。
【0055】
本明細書中で用いる用語「解析する」またはその変形は、本明細書中で定義する遺伝子、特に開示された特定の対立遺伝子(例えば、図1および2参照)、の多型遺伝子座の配列を、直接的に(例えば、実際の配列決定により)または間接的に(例えば、増幅および/もしくは制限酵素切断に続く異なる断片長の解析により)決定することをさす。一般的に、本発明の方法は動物から得られたサンプルを解析することによって行われる。
【0056】
「サンプル」とは、対象の遺伝子をコードする動物のゲノムDNAまたはRNAを含む材料をさす。サンプルは供給源から直接取得したままで使用してもよいし、供給源から直接得られたサンプルからDNAまたはRNAを少なくとも部分的に精製するための少なくとも1つのステップの後で使用してもよい。好ましくは、サンプルはゲノムDNAを含む。サンプルは本発明の方法を妨げない任意の適当な媒体中に調製することができる。一般的には、サンプルは以下で詳しく説明するような水性の溶液または生物学的液体である。サンプルは、どのような供給源に由来するものでもよく、例えば、以下の生理学的液体が含まれる:血液、血清、血漿、唾液、痰、眼のレンズ液、汗、糞便、尿、乳汁、腹水、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、脳脊髄液、精液、頸管粘液、膣または尿道分泌物、口内スワブ、羊水など。本明細書では、毛髪、皮膚および爪の切屑などの細胞組織のホモジネート液、肉エキスも生物学的液体とみなされる。本発明の重要な用途は、増殖に先立って当業者が稀な対立遺伝子およびハプロタイプを選択できるようにすることである。これらは胚生検によって実証することができるので、非常に稀な遺伝子型を増やすことが可能である。したがって、さらなる実施形態において、サンプルは胚(好ましくは胞胚期)からの生検材料、卵または個々の精液であり得る。前処理として、血液からの血漿の調製、粘性液体の希釈などを行うことができる。処理方法には、濾過、蒸留、分離、濃縮、干渉成分の不活性化、試薬の添加などが含まれる。検査前の生物学的サンプルの選択および前処理は当技術分野で周知であり、さらに説明するには及ばない。
【0057】
本明細書中で用いる用語「遺伝子」は、その最も広い意味で解釈されるべきであり、構造遺伝子のタンパク質コード領域を含みかつそのコード領域に5'および3'両末端で隣接してどちらの末端でも約1kbの距離の間に配置された配列を含むデオキシリボヌクレオチド配列を含み、その遺伝子が完全長mRNAの長さに相当するようなものである。コード領域からさらに遠い距離(約1kbを超える)の領域も、それらが転写に直接影響を与える場合には、遺伝子の一部を構成し得る。コード領域の5'側に位置してmRNA上に存在する配列は、5'非翻訳配列と呼ばれる。コード領域の3'側つまり下流に位置してmRNA上に存在する配列は、3'非翻訳配列と呼ばれる。遺伝子のゲノム形態またはクローンは、「イントロン」または「介在領域」もしくは「介在配列」と呼ばれる非コード配列によって分断されたコード領域を含む。イントロンは核RNA(nRNA)に転写される遺伝子のセグメントである;イントロンがエンハンサーなどの調節エレメントを含んでもよい。イントロンは核転写産物または一次転写産物から除去される、つまり「スプライシングアウト」される;したがって、イントロンはメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物中には存在しない。mRNAは翻訳において新生ポリペプチド中のアミノ酸の配列または順序を特定する働きがある。
【0058】
用語「家畜動物」とは、有用な商業目的のために人間によって飼育された動物のあらゆる品種または集団をさす。本明細書において使用するように、家畜動物は哺乳類または鳥類であり得る。一般には、家畜動物は農業用の哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタである。肉の生産のために飼育される家畜動物、例えば、肉牛、ブタ、ヤギ、ヒツジ、バイソン、ニワトリ、シチメンチョウなどは、本発明で利用し得る。家畜動物は、胚、胎仔、新生児、1年子、幼若期および成体の段階を含めて、あらゆる発育段階のものであってよい。
【0059】
用語「ウシ(牛)」(bovine; cow; cattle)またはその変形は、例えばウシ属(Bos)(例:ウシまたは雄ウシ)またはバイソン属(Bison)(例:アメリカバッファロー)の、ウシ亜科(Bovinae)である、家畜化された(純血種もしくは雑種)または野生の動物をさす。ウシ属哺乳動物の例としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:ボース・タウルス(Bos taurus)、ボース・ボビス(Bos bovis)、ボース・フロンタリス(ガヤール)(Bos frontalis (gayal))、ボース・ガウルス(ガウル)(Bos gaurus (gaur))、ボース・グルニエンス(国内ヤク)(Bos grunniens (domestic yak))、ボース・グルニエンス×ボース・タウルス(dzo)、ボース・インディクス(コブウシ)(Bos indicus (zebu cattle))、ボース・インディクス・グダリ(グダリコブウシ)(Bos indicus gudali (Gudali zebu))、ボース・インディクス×ボース・タウルス(ハイブリッド牛)、ボース・ジャバニクス(バンテン)(Bos javanicus (banteng))、ボース・プリミゲニウス(オーロックス)(Bos primigenius (aurochs))、およびボース・サウベリ(コープレイ)(Bos sauveli (kouprey))。本発明に特に関連がある、肉製品の生産のためのウシ属種、例えば肉牛としては、必ずしも限定するものではないが、以下が挙げられる:ブラックアンガス(Black Angus)、レッドアンガス(Red Angus)、有角ヘレフォード(Horned Hereford)、無角ヘレフォード(Polled Hereford)、マレーグレイ(Murray Gray)、シャロレー(Charolais)、シンメンタール(Simmental)、リムジン(Limousine)、キアニーナ(Chianina)、ブラーマン(Brahman)、サンタゲルトルーディス(Santa Gertrudis)、テキサスロングホーン(Texas Longhorn)および和牛(Wagyu)。ウシ属の乳牛品種の例としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:エアシャー(Ayrshire)、ブラウンスイス(Brown Swiss)、カナディエネム(Canadiennem)、ダッチベルテッド(Dutch Belted)、ガンジー(Guernsey)、ホルスタイン(Holstein)(ホルスタイン-フリーシアン(Holstein-Friesian))、ジャージー(Jersey)、ケリー(Kerry)、ミルキングデボン(Milking Devon)、ミルキングショートホーン(Milking Shorthorn)およびノルウェイジャンレッド(Norwegian Red)。
【0060】
多型およびハプロタイプ
本発明者らは、M-RIP、NT5Mおよび/またはTCAP遺伝子の対立遺伝子、特にSREBP1および/またはGH遺伝子の対立遺伝子をも含み得るそれらの組合せ、が動物を選択および/またはジェノタイピングするために使用できる祖先ハロタイプを表すことを明らかにした。
【0061】
本明細書中で用いる用語「M-RIP」はミオシンホスファターゼRho相互作用タンパク質をコードする遺伝子をさし、用語「SREBP-1」はステロール調節因子結合タンパク質1をコードする遺伝子をさし(ウシSREBP-1遺伝子の例はUS 2008/0010696に記載される)、用語「GH」は成長ホルモンをコードする遺伝子をさし(ウシGH遺伝子の例は米国特許第7,157,231号に記載される)、用語「NT5M」は5',3'-ヌクレオチダーゼ,ミトコンドリアをコードする遺伝子をさし、そして用語「TCAP」はタイチン-キャップ(titin-cap)(テレトニン(telethonin))をコードする遺伝子をさす。ウシゲノム中の19番染色体上のこれらの遺伝子の位置を図1および2に示してある。
【0062】
図1に示すように、ウシでは、SREBP-1遺伝子の少なくとも2つの情報価値のある対立遺伝子(SおよびLと指定される)、NT5M遺伝子の少なくとも3つの情報価値のある対立遺伝子(10、20および22と指定される)、M-RIP遺伝子の少なくとも4つの情報価値のある対立遺伝子(10、30、40および60と指定される)、TCAP遺伝子の少なくとも2つの情報価値のある対立遺伝子(10および20と指定される)、およびGH遺伝子の少なくとも4つの情報価値のある対立遺伝子(A、B、CおよびDと指定される)が存在する。これらの対立遺伝子のあらゆる可能な組合せのうち、ウシでは異なる品種間にさまざまな提示の程度で41種類の組合せがこれまでに同定されている。
【0063】
特定のハプロタイプについて言及するとき、5つすべての遺伝子が解析される場合には、それらの遺伝子がウシゲノム上に存在するのと同じ順序(SREBP1-NT5M-MRIP-TCAP-GH)が採用される。したがって、L-20-30-20-Aは、その動物がSREBP1のL対立遺伝子、NT5Mの20対立遺伝子、M-RIPの30対立遺伝子、TCAPの20対立遺伝子、およびGHのA対立遺伝子をもつことを意味する。
【0064】
本明細書中で用いるSREBP1のLおよびSの指定は、US 2008/0010696で採用されたものと同じ命名に対応する。具体的には、配列5'-CCA CAA CGC CAT CGA GAA ACG CTA C-3' (配列番号7)および5'-GGC CTT CCC TGA CCA CCC AAC TTA G-3' (配列番号8)を含むプライマーで増幅した後の、「L」はより大きい(428〜432bp)断片をさし、「S」はより小さい(343〜346bp)断片をさす。
【0065】
本明細書中で用いるNT5Mの10、20および22の指定は、配列5'-GGA AGG CCA GTT ACA TGG CA-3' (配列番号3)および5'-CAC AAC CAA GGC CAA AAT CGC A-3' (配列番号4)を含むプライマーで増幅した後の、それぞれ、321bp、331bpおよび334bpの産物に対応する。
【0066】
本明細書中で用いるM-RIPの10、30、40および60の指定は、配列5'-AGG GGT GCT GAG TCT ACA GG-3' (配列番号1)および5'-CTC CAG GAG GCA GGA GAA G-3' (配列番号2)を含むプライマーで増幅した後の、それぞれ、192〜193bp、201〜203bp、208〜209bp、218〜220bpの産物に対応する。
【0067】
本明細書中で用いるTCAPの10および20の指定は、配列5'-AGT ACC AGC TGC CCT ACC A-3' (配列番号5)および配列5'-CTG AGA CAT GGA GCG AGC CA-3' (配列番号6)を含むプライマーで増幅した後の、それぞれ、より小さい(およそ230〜235bp)およびより大きい(約245bp)産物に対応する。
【0068】
本明細書中で用いるGHのA、BおよびCの指定は、米国特許第7,157,231号で採用されたものと同じ命名に対応する。Dの指定は本明細書中の実施例で定義するとおりである。これらの指定および対応する遺伝子型は表4にまとめてあり、GHタンパク質のアミノ酸127および172をコードするコドンにおけるさまざまな多型の組合せに関係している。
【0069】
オリゴヌクレオチドプライマー
当業者であれば認識しているように、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドプライマーの配列は、本発明の方法へのそれらの有用性に影響を与えずに、ある程度変化させることができる。本発明の方法に有用な本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(その用途に応じて本明細書では「プライマー」または「プローブ」という)の「変異型」には、本明細書で定義した特定のオリゴヌクレオチド分子のさまざまな大きさの分子、および/または該オリゴヌクレオチド分子のそれに近いゲノムにハイブリダイズできる分子が含まれる。例えば、変異型は、それらが標的領域にまだハイブリダイズする限り、追加のヌクレオチド(例えば、1、2、3、4個またはそれ以上)またはより少数のヌクレオチドを含むことができる。さらに、標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの能力に影響を及ぼすことなく、数個のヌクレオチドを置換することも可能である。その上、本明細書で定義した特定のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズするゲノム領域の近くに(例えば、限定するものではないが、50ヌクレオチド以内または100ヌクレオチド以内に)ハイブリダイズする変異型を容易に設計することが可能である。オリゴヌクレオチドは天然に存在するものでも合成したものでもよいが、通常は合成手段によって調製される。
【0070】
本明細書中で用いる用語「プライマー」は、テンプレート依存的方法で新生核酸の合成を開始することができるあらゆる核酸を包含する。プライマーは二本鎖または一本鎖の形態で提供され得るが、一本鎖形態が好適である。プライマーは適切なバッファー中および適当な温度で適切な条件下に(例えば、4種類のヌクレオシド三リン酸と、重合剤としてのDNAもしくはRNAポリメラーゼまたは逆転写酵素などの存在下に)テンプレート特異的DNA合成の開始点として作用する。プライマーの設計方法は当技術分野で周知であり、標準的なワトソン-クリック塩基対合(すなわち、アデニンのチミンまたはウラシルへの結合およびグアニンのシトシンへの結合)から得られる相補的配列の設計に基づくものである。プライマーはテンプレートの正確な配列に一致する必要はないが、テンプレートとハイブリダイズするために十分に相補的でなければならない。標的領域に関する適切な情報があれば、増幅プライマーの選択と設計のためのコンピュータプログラムを、当業者に周知の商業的および/または公的供給源から入手することができる。プライマーの長さはさまざまであってよいが、通常は15〜30ヌクレオチドの範囲である。
【0071】
本発明の方法で用いるプライマーは1つ以上の修飾ヌクレオチドをもつことができる。多くの修飾ヌクレオチド(ヌクレオチド類似体)が知られており、オリゴヌクレオチド中で用いることができる。ヌクレオチド類似体は塩基、糖またはリン酸部分のいずれかに何らかの修飾を含むヌクレオチドである。塩基部分への修飾には、さらにA、C、G、およびT/Uの天然のおよび合成の修飾も含まれるだろう。
【0072】
さらに、キメラプライマーをも使用することができる。キメラプライマーは少なくとも2つのタイプのヌクレオチドをもつプライマーであり、例えば、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの両方、リボヌクレオチドと修飾ヌクレオチド、2以上のタイプの修飾ヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドと2以上の異なるタイプの修飾ヌクレオチド、リボヌクレオチドと2以上の異なるタイプの修飾ヌクレオチド、またはデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドと2以上の異なるタイプの修飾ヌクレオチドを有するプライマーである。キメラプライマーの1つの形態はペプチド核酸/核酸プライマーである。例えば、5'-PNA-DNA-3'または5'-PNA-RNA-3'プライマーは、より効率的な鎖内侵入および重合侵入のために使用される。キメラプライマーの他の形態は、例えば、5'-(2'-O-メチル)RNA-RNA-3'または5'-(2'-O-メチル)RNA-DNA-3'である。
【0073】
用語「プライマー対」とは、増幅される核酸の相補鎖の3'末端にハイブリダイズする上流プライマーと、異なるプリンまたはピリミジン塩基として増幅される配列の3'末端にハイブリダイズする下流プライマーと、を含むプライマーのセットをさす。そのような修飾は当技術分野で周知である。
【0074】
プライマーは当技術分野で周知の方法によって化学的に合成することができる。化学合成法は、配列内の事実上どこにでも配置される蛍光標識、放射性標識などの検出可能な標識の配置を可能にする。当業者に知られたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド合成の固相法ならびに他の方法を本開示の範囲内で使用することができる。
【0075】
遺伝子スクリーニング
本発明に有用な遺伝学的アッセイ法としては、限定するものではないが、以下の方法が挙げられる:1つ以上の関連位置でのDNAのシークエンシング;所望の配列の関連位置でハイブリダイズするように設計されたオリゴヌクレオチドプローブのディファレンシャルハイブリダイゼーション;好ましくは関連DNA領域の増幅に続く、適切な制限酵素による消化後の変性ゲル電気泳動;S1ヌクレアーゼ配列解析;好ましくは関連DNA領域の増幅に続く、非変性ゲル電気泳動;従来のRFLP(制限酵素断片長多型)アッセイ;ある配列にマッチして、その多型にはマッチしないか、その逆であるオリゴヌクレオチドを用いた選択的DNA増幅;または多型遺伝子座の対立遺伝子にマッチさせたPCR(または類似の)プライマーを用いた制限部位の選択的導入と、その後の制限消化。上で示したように、アッセイは間接的であってよく、すなわち、対象の多型に連鎖することが知られた他の位置または遺伝子での多型を検出することができる。プローブおよびプライマーは自然界から単離されたDNAの断片であってもよいし、合成したものでもよい。
【0076】
核酸の増幅は当技術分野で知られたどのような手法を用いて実施してもよく、例えば、限定するものではないが、以下の方法がある:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅(RCA)、T7ポリメラーゼ介在増幅、T3ポリメラーゼ介在増幅、およびSP6ポリメラーゼ介在増幅。
【0077】
一方法において、プライマー対は、例えば米国特許第7,157,231号にGH遺伝子について記載されるように、一方の対立遺伝子にハイブリダイズするがもう一方にはハイブリダイズしないものが使用される。その後、増幅DNAが生成されるかどうかによって、どの対立遺伝子が存在するかが示される。
【0078】
もう一つの方法は同様のプライマー対を使用するが、それらは、対立遺伝子の一方のみにハイブリダイズするだけでなく、既知の対立遺伝子中にさもなければそこに存在しない制限部位を導入する。
【0079】
別法では、増幅後に産物が配列決定される。好ましくは、産物はサブクローニングなしで配列決定され、その結果、2つの異なる対立遺伝子が検査される個体に存在する場合には、それらの存在が簡単に識別できる。産物がサブクローニングされる場合には、適当な数のサブクローンを配列決定して、両方の対立遺伝子が解析されたか確認する必要があるだろう。
【0080】
増幅された配列のその後のクローニングを容易にするために、プライマーはその5'末端に付け足された制限酵素部位をもつことができる。こうして、オリゴヌクレオチドプライマーの全部のヌクレオチドは、制限酵素部位を形成するのに必要な数個のヌクレオチドを除けば、対象の遺伝子配列またはその遺伝子に隣接する配列から誘導される。そのような酵素および部位は当技術分野で周知である。プライマー自体は当技術分野でよく知られた手法を用いて合成可能である。一般的に、プライマーは市販の合成装置を使って作製される。
【0081】
非変性ゲルは、適切な制限酵素による消化から得られる、異なる長さの断片を検出するために用いることができる。DNAは通常、消化の前に、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法やその改良法を用いて、増幅される。
【0082】
蛍光色素を利用するPCRの手法も、対象の遺伝子座を検出するために用いることができる。これらには、限定するものではないが、以下の5つの手法が含まれる:
i) 蛍光色素が、PCR増幅した特定の二本鎖DNA産物を検出するために使用される(例えば、エチジウムブロミド、またはSYBR Green I)。
【0083】
ii) 5'ヌクレアーゼ(TaqMan)アッセイが使用され、このアッセイは特別に構築されたプライマーを利用し、そのプライマーの蛍光は、それがPCR産物の伸長の間にTaq DNAポリメラーゼのヌクレアーゼ活性によって放出されるまで、クエンチされる。
【0084】
iii) Molecular Beacon技術に基づくアッセイが使用され、このアッセイは、自己ハイブリダイズしたとき蛍光をクエンチする(蛍光色素とクエンチャー分子が近接している)特別に構築されたオリゴヌクレオチドに依存する。特定の増幅PCR産物へのハイブリダイゼーション後に、蛍光分子からのクエンチャーの分離のため蛍光が増大する。
【0085】
iv) Amplifluor(Intergen社)技術に基づくアッセイが使用され、このアッセイは特別に作製されたプライマーを利用し、ここでもやはり蛍光が自己ハイブリダイゼーションのためクエンチされる。この場合には、プライマー配列からの伸長(蛍光分子とクエンチャー分子の分離をもたらす)によってPCR増幅の間に蛍光が放出される。
【0086】
v) 蛍光共鳴エネルギー移動の増加に依存するアッセイが使用され、このアッセイは、両末端に異なる蛍光色素を有する2つの特別に設計された近接プライマーを利用する。これらのプライマーが特定のPCR増幅産物にアニーリングすると、2つの蛍光色素が集結する。一方の蛍光色素の励起が他方の蛍光色素の蛍光増加を招く。こうしたアッセイは、2つのアニーリングしたプライマーが連結されるように、リガーゼを用いてもよい。
【0087】
特に有用な実施形態では、2以上の増幅反応が単一の容器で実施され、これは当技術分野でマルチプレックスとして知られている。例えば、本明細書に記載のSREBP1、NT5M、M-RIP、TCAPおよびGH遺伝子の対立遺伝子を1回の反応で解析することが可能である。
【0088】
SREBP1遺伝子の1つ以上の多型は、US 2008/0010696に記載されるように解析することができる。さらに、GH遺伝子の1つ以上の多型は、米国特許第7,157,231号に記載されるとおりに解析することができるが、配列特異的プライミング(SSP)などの代替法が使用可能である。
【実施例1】
【0089】
ハプロタイプの同定および解析
図1および2に示したウシのゲノム領域は、絡み合い(entwinement)アルゴリズムによって問い合わされ(interrogate)、M-RIPと指定された高度に多型の遺伝子座を明らかにした。近接する多型、SREBP1、NT5M、T-CAPおよび/またはGHと組み合わせたとき、祖先ハプロタイプが同定された。
【0090】
SREBP1およびGH遺伝子だけでなく、M-RIP、NT5MおよびTCAP遺伝子の多型領域を増幅するための本発明の方法において有用なプライマーは表1に記載される。個体に応じて、NT5M遺伝子の増幅産物は約320〜約340bpであり、M-RIP遺伝子のそれは約190〜約250bpであり、TCAP遺伝子のそれは約230〜約250bpである。
【表1】

【0091】
同定された特定の祖先ハプロタイプは表2および表3に記載される。これらのハプロタイプは図3に示すように家系解析によって確認された。
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
表2に関して、10.1、60.1などの数字は特定のハプロタイプに対応する。LおよびSの指定は、US 2008/0010696で使用されたものと同じ命名に対応する。LまたはSの次の数字は、NT5M遺伝子からの特定の増幅産物に対応する。その次の数字はM-RIP遺伝子からの特定の増幅産物に対応する。シリーズ(例えばL-20-10-10)中の次の数字はTCAP遺伝子からの特定の増幅産物に対応する。最後に、存在する場合、シリーズ中の次の文字(例えば、A、B、CまたはD)はGH遺伝子からの特定の増幅産物に対応する。
【0094】
SREBP1マーカーである343〜346bpおよび428〜432bpのバンドは、それぞれ、短い(S)および長い(L)を表す。NT5Mマーカーである321bp、331bpおよび334bpのバンドは、それぞれ10、20および22と指定される。M-RIPマーカーである192〜193bp、201〜203bp、208〜209bp、210〜212bp、218〜220bp、226〜227bpおよび231bpは、それぞれ10、30、40、50、60、80および90と指定される。GH遺伝子座で遺伝子型を解析するとき、米国特許第7,157,231号には記載されていない第4のハプロタイプが同定された。このハプロタイプはDと指定された(表4)。M-RIP遺伝子の各増幅産物の相対的サイズに関するガイダンスは図4に提供される。一般的に、数字が低いほど増幅産物は小さい。
【表4】

【0095】
合計41種類の異なるハロタイプが解析した5つの遺伝子について観察された(表5および図5)。表5には、解析した298頭のウシ(152頭のシンメンタール、31頭の和牛および16頭のアンガス)において1度だけ出現した6種類のハプロタイプが含まれていない。2種類のハプロタイプは検査したウシのおよそ20%に共通している。ハプロタイプのうち35種類は異なる品種において異なる頻度を示す。SREBP1、NT5M、M-RIP、T-CAPおよびGHの解析は、SREBP1とGHのみの解析よりも情報価値のあることが判明した。シンメンタール牛における異なるハプロタイプの頻度が表6に要約される。
【表5】

【0096】
【表6】

【実施例2】
【0097】
和牛におけるハプロタイプおよび生産形質
黒毛和種「和牛」は、高脂肪交雑(筋肉内脂肪)とそれゆえに味覚のための産業ベンチマークである。和牛では、表現型形質をAustralian Cattle Company (AACo)からの枝肉で評価した。約67頭の和牛から得られたデータの統計解析は、ウシ19番染色体上のSREBP-GH領域におけるNT5MからGHまでの対立遺伝子の組合せとの有意な、またはほぼ有意な、相関シグナルを示した。
【0098】
SREB遺伝子座の対立遺伝子(S/L)は、和牛動物が通常は特徴的なS対立遺伝子をもち、すべて高脂肪交雑であるため、この場合には関連性がないことがわかった。
【0099】
温屠体枝肉重量(hot dead carcass weight: HDCW)は、予想通り、成長ホルモン遺伝子座(GH)の対立遺伝子と関連がある − GHのC対立遺伝子では正の関連、B対立遺伝子では負の関連。さらにTCAP対立遺伝子を検討する場合には、さらなる有用な情報が遺伝学的解析から得られた。この場合にはTCAP 10および20対立遺伝子が分離して(segregate)、20-Bハプロタイプでは低枝肉重量を、そして10-B断片では改善された枝肉重量を示す(図6)。対照的に、20-Cハプロタイプは、20-Bハプロタイプに比して、この解析で16Kgの枝肉重量の改善を示す。
【0100】
特に興味深いことは、柔らかさと肉品質の重要な指標であるロース芯面積(Eye Muscle Area: EMA)の有意な相関シグナルである。これはNT5MからGHにわたる遺伝子座の特定の対立遺伝子と関連がある(図7)。特に、EMAとの正の関連は、ハプロタイプ(NT5M-MRIP-TCAP-GH) 22-40-20 B/Cについて認められ、より少ない程度で10-30-20 A、10-40-20-B/Cのハプロタイプにも認められた。この解析でのEMAとの負の関連は、特にハプロタイプ20-30-20-Aおよび20-40-20-Aについて認められ、より少ない程度で22-40-10-B/Cにも認められた。
【0101】
MRIP-TCAP-GHハプロタイプと脂肪交雑スコアに関しては、脂肪交雑のためのハプロタイプ間に複数の寄与が存在する − 30-10-Bおよび40-20-Aハプロタイプ断片では正の相関、そして40-10-B、40-10-Aおよび30-10-Cでは負の相関(図8)。
【0102】
広く説明した本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態で示された本発明に対して多数の変更および/または修正をなし得ることが、当業者には理解されるだろう。したがって、本実施形態はすべての点で例示とみなされ、限定とみなされるべきでない。
【0103】
本出願は、2009年9月17日に出願されたAU 2009904511からの優先権を主張するものであり、その全内容を参照により本明細書に組み入れる。
【0104】
本明細書中で説明および/または参照したすべての刊行物は、その全体を本明細書に組み入れるものとする。
【0105】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、装置、物品などのあらゆる説明は、本発明のための状況を提供する目的のためだけのものである。これらの事項のいずれかまたはすべてが先行技術の基礎の一部を構成すること、あるいは、それが本出願の各クレームの優先日前に存在したという理由で、本発明に関係する分野に共通した一般的知識であったこと、を容認するものと解釈されるべきでない。
【0106】
参考文献
Hoashi et al. (2007) Mammalian Genome 18:880-886.
Jiang et al. (2008) International Journal of Biological Sciences 4:345-351.
Rincker et al. (2006) Journal of Animal Science 84:686-693.
Van Eenennaam et al. (2007) Journal of Animal Science 85:891-900.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、所望の形質をもつ動物の選択方法:
i) 動物のM-RIP、NT5Mおよび/またはTCAP遺伝子を、所望の形質に関連した1つ以上の多型について解析するステップ;ならびに
ii) 所望の形質に関連した1つ以上の多型をもつ動物を選択するステップ。
【請求項2】
前記1つ以上の多型が所望の形質に関連したハプロタイプの特徴を示している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップi)が、動物のSREBP1および/またはGH遺伝子を、所望の形質に関連した1つ以上の多型について解析することをさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
M-RIP遺伝子が以下のステップ:
a) 該遺伝子の領域を、配列5'-AGG GGT GCT GAG TCT ACA GG-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列5'-CTC CAG GAG GCA GGA GAA G-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマー、または同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型を用いて、増幅するステップ;ならびに
b) その増幅産物を1つ以上の多型について解析するステップ
により解析される、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
NT5M遺伝子が以下のステップ:
a) 該遺伝子の領域を、配列5'-GGA AGG CCA GTT ACA TGG CA-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列5'-CAC AAC CAA GGC CAA AAT CGC A-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマー、または同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型を用いて、増幅するステップ;ならびに
b) その増幅産物を1つ以上の多型について解析するステップ
により解析される、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
TCAP遺伝子が以下のステップ:
a) 該遺伝子の領域を、配列5'-AGT ACC AGC TGC CCT ACC A-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列5'-CTG AGA CAT GGA GCG AGC CA-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマー、または同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型を用いて、増幅するステップ;ならびに
b) その増幅産物を1つ以上の多型について解析するステップ
により解析される、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
SREBP1遺伝子が以下のステップ:
a) 該遺伝子の領域を、配列5'-CCA CAA CGC CAT CGA GAA ACG CTA C-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列5'-GGC CTT CCC TGA CCA CCC AAC TTA G-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマー、または同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型を用いて、増幅するステップ;ならびに
b) その増幅産物を1つ以上の多型について解析するステップ
により解析される、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
GH遺伝子が以下のステップ:
a) 該遺伝子の領域を、
1) 配列5'-TCT ATG AGA AGC TGA AGG ACC TGG AGG AA-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマーまたは同じゲノム領域を増幅するために使用できるその変異型、および
2) 配列5'-CGG GGG GTG CCA TCT TCC AG-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマーもしくは配列5'-CGG GGG GTG CCA TCT TCC AC-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマーまたは同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型、および
3) 配列5'-ATG ACC CTC TGG TAC GTC TCC G-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマーもしくは配列5'-CAT GAC CCT CTG GTA CGT CTC CA-3'を含むオリゴヌクレオチドプライマーまたは同じゲノム領域を増幅するために使用できる一方もしくは両方のプライマーの変異型
を用いて増幅するステップ;ならびに
b) その増幅産物を1つ以上の多型について解析するステップ
により解析される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記形質が、筋組織中の一価不飽和脂肪のレベル、筋組織中の異なる一価不飽和脂肪のタイプおよび/または割合、脂肪交雑、枝肉重量、肉品質、仕上げ期の速度、フィードロット効率および/または消費者の好みである、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
動物が家畜動物である、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
家畜動物がヒツジ、ウシ、ブタ、ヤギまたはウマである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
家畜動物がウシである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ステップi)が動物から得られたDNAを含むサンプルに対して実施される、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項記載の方法を用いて第1の動物を選択し、第1の動物を、同じ種であるが異性の第2の動物と交配させることを含む、所望の形質をもつ動物の育種方法。
【請求項15】
第2の動物が請求項1〜13のいずれか一項記載の方法を用いて選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
交配種の子孫を、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法を用いて、所望の形質について選択することをさらに含む、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
動物のM-RIP、NT5Mおよび/またはTCAP遺伝子を1つ以上の多型について解析することを含む、動物のジェノタイピング方法。
【請求項18】
前記1つ以上の多型があるハプロタイプの特徴を示している、請求項17記載の方法。
【請求項19】
動物のM-RIP、NT5Mおよび/またはTCAP遺伝子の多型領域を増幅するのに使用するためのオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項20】
前記プライマーが、
a) 5'-AGG GGT GCT GAG TCT ACA GG-3'
5'-CTC CAG GAG GCA GGA GAA G-3'
5'-GGA AGG CCA GTT ACA TGG CA-3'
5'-CAC AAC CAA GGC CAA AAT CGC A-3'
5'-AGT ACC AGC TGC CCT ACC A-3'および
5'-CTG AGA CAT GGA GCG AGC CA-3'
から選択される配列を含むオリゴヌクレオチド;
b) a)で示した任意のオリゴヌクレオチドの逆相補体である配列を含むオリゴヌクレオチド;ならびに
c) a)またはb)のオリゴヌクレオチドのいずれか1つと同じ動物ゲノム領域を増幅するために使用できるa)またはb)の変異型
から選択される、請求項19記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項21】
請求項19または20記載のオリゴヌクレオチドおよび許容される担体を含む組成物。
【請求項22】
請求項19または20記載のオリゴヌクレオチドを含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−505003(P2013−505003A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529066(P2012−529066)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001214
【国際公開番号】WO2011/032223
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(512070481)シーワイ オコーナー イレイド ヴィレッジ ファウンデーション (1)
【Fターム(参考)】