説明

家畜廃水処理システムおよび方法

廃水から水と固体を再生し、かつCAFO施設の環境上のフットプリントを減じるため、密閉型家畜飼養CAFO施設から出る廃水を処理する改善された家畜廃水処理システムが提供される。処理システムは機械的水処理と化学的水処理の双方を統合し、固体からの液体の分離と、分離された固体の様々な段階での収集と、再生可能なように残留液体を処理することを含んでいる。家畜廃水処理システムを用いた家畜廃水処理方法も又提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に廃水の処理に関し、特に廃水から固体と水を再利用するための家畜廃水処理システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物管理は数多くの商用家畜施設にとって大きな課題であり、特に密閉型家畜飼養(CAFO)施設の場合にはなおさらである。CAFO施設においては、例えば牛、鶏、豚等の家畜は建屋内に収容される。家畜建屋内に貯まる他の家畜飼養及び収容副産物と同様、固体および液体の肥料、尿を含む家畜廃棄物は、健全な居住環境を維持する上で除去されなければならない。ほとんどの場合、廃棄物は水を使って家畜建屋から洗い流されるため、環境的に有害な廃水を作ることになる。
この廃水処理は、廃棄物からでる匂いによって引き起こされる空気汚染、流出水による地下水流汚染、とりわけ土壌汚染を含み、幾つかの異なる環境課題を提示している。
【0003】
一般に、廃水は大きなピット/小沼に集積される。小沼では、水やその他の揮発物質は、いずれは廃棄されなければならない沼底の汚泥を残した状態で大気中へ蒸発することを余儀なくされる。この既存の方法に伴う課題としては、小沼用として大きな土地面積が必要なこと、小沼から廃棄物が漏れ出ることによる地下水汚染、小沼からの流出水による河川の汚染、とりわけ小沼の廃棄物から放たれる臭気による空気汚染がある。
【0004】
これまで、動物から出る廃棄物を減らしたり、貯蔵池を無くしたり、貯蔵池のサイズ要求を減らしたり、貯蔵池の環境への影響を減らすような試みがなされてきた。とりわけ、これらの試みには、沼から水を再生利用するシステム、揮発分放出のための空気処理システム、揮発分放出を減らすラグーンカバーシステム、動物ダイエット操作システム、及び/又は飼料に入れる化学調味料システムが含まれている。しかしながら、これらのシステムや方法のいずれを以てしても廃棄物処理に特有な諸問題を充分に解決するものはない。
【0005】
家畜生産業者が直面する他の問題は、飲料用や洗浄用としての淡水を安定供給するためのコスト、拡散のための土壌コスト、小沼や臭気公害苦情に対するコストにある。加えて、法律はリンやメタンを含む汚染物質からなる空気・水の排出レベルに制約を課し続けている状況にある。
【0006】
従って、CAFO施設の環境上のフットプリントを減らしつつ淡水源を提供し、かつ廃棄物としての固体や液体を肥料用として再生するような、改善された家畜廃水処理システム及び方法の必要性や要望がある、本発明は、これらの問題やその他の問題を解決するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の好適実施形態は、廃水中のアンモニウムとリンを減らして、水を現場で使用できるようにし、小沼の必要性を排し、廃棄物の管理費用を減らし、臭気排出を削減し、とりわけ土地応用に適している固体肥料と液肥を生産する、改善された家畜廃水処理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの利点及びその他の利点を達成するため、一般に、1つの形態において家畜廃水処理システムが提供される。その家畜廃水処理システムは、廃水入口、流体排出部及び固体排出部を備える汚泥脱水装置、流体入口及び流体排出部を備えるケミカルコンディショナ、流体入口、流体排出部及び固体排出部を備える懸濁物セパレータ、流体入口及び流体排出部を備える微細固体フィルタ装置、流体入口、再生水排出部及び濃縮液体排出部を備える薄膜フィルタ・ユニット、を有する。ケミカルコンディショナの流体入口は汚泥脱水装置の液体排出部に流体的に接続される。懸濁物セパレータの流体入口はケミカルコンディショナの流体排出部に流体的に接続される。微細固体フィルタ装置の流体入口は懸濁物セパレータの流体排出部に流体的に接続される。薄膜フィルタ・ユニットの流体入口は微細固体フィルタ装置の流体排出部に流体的に接続される。
【0009】
一実施形態において、汚泥脱水装置はスクリュプレス機である。一実施形態において、懸濁物セパレータはプレート浄化器である。一実施形態において、プレート浄化器はラメラ・プレート浄化器である。
【0010】
一実施形態において、薄膜フィルタ・ユニットは、精製された水排出部を有する水精製ユニットと、濃縮液体排出部を有する液体濃縮ユニットとを有する。
【0011】
一実施形態において、ケミカルコンディショナは、第1ケミカル注入器、第1混合器、第2ケミカル注入器、及び第2混合器50を備える。第1ケミカル注入器、第1混合器、第2ケミカル注入器及び第2混合器は、前記ケミカルコンディショナの前記入口と前記排出部との間で、直列に流体的に接続される。
【0012】
一実施形態において、微細固体フィルタ装置は、多媒体フィルタ・ユニット、第1バッグフィルタ・ユニット、及び第2バッグフィルタ・ユニットを備える。第1バッグフィルタ・ユニットと第2バッグフィルタ・ユニットは並列に流体的に接続され、多媒体フィルタ・ユニットは第1、及び第2バッグフィルタ・ユニットの上流側で接続される。
【0013】
一般に、別の形態において家畜廃水処理システムが提供される。その家畜廃水処理システムは、固体液体廃水混合物を分離した固体流れと流体流れに分割するように形成された汚泥脱水装置、流体流れ中の懸濁物を塊に凝集するように形成されたケミカルコンディショナ、流体流れから塊を除去するように形成された懸濁物セパレータ、流体流れから微細固体を除去するように形成された微細固体フィルタ装置、流体流れを透過流体流れと流出流体流れとに分離すると共に前記流出流体流れを濃縮流体に濃縮するように形成された薄膜フィルタ・ユニットを備える。微細固体フィルタ装置は懸濁物セパレータの下流側に位置し、薄膜フィルタは微細フィルタ装置の下流側に位置する。
【0014】
一実施形態において、汚泥脱水装置はスクリュプレス機である。一実施形態において、懸濁物セパレータはラメラ・プレート浄化器である。
【0015】
一実施形態において、ケミカルコンディショナは、第1ケミカル注入器、第1混合器、第2ケミカル注入器、及び第2混合器50を備える。第1ケミカル注入器、第1混合器、第2ケミカル注入器及び第2混合器は、ケミカルコンディショナの入口と排出部との間で、直列に流体的に接続される。
【0016】
一実施形態において、微細固体フィルタ装置は、多媒体フィルタ・ユニット、第1バッグフィルタ・ユニット、及び第2バッグフィルタ・ユニットを備える。第1バッグフィルタ・ユニットと第2バッグフィルタ・ユニットは並列に流体的に接続され、多媒体フィルタは第1、及び第2バッグフィルタ・ユニットの上流側に接続される。
【0017】
一般に、別の形態において家畜廃水処理方法が提供される。その家畜廃水処理方法は、
(a)汚泥脱水装置にある固体流体廃水混合物を、固体流出物と第1流体流出物とに分離し、
(b)前記第1流体流出物に凝集剤を添加して、前記第1流体流出物の懸濁物を塊に凝集させて第2流体流出物を成し、
(c)前記塊を懸濁物セパレータ内の前記第2流体流出物から分離して第3流体流出物を成し、
(d)前記第3流出物を微細固体フィルタ装置に通して第4流体流出物を成し、
(e)前記第4流体流出物を薄膜フィルタ・ユニットに通して透過流体と濃縮流体を成す、以上のステップを有する。
【0018】
他の実施形態において、その方法では浸透性流体は再生水であり、濃縮液は液肥であり、汚泥脱水装置はスクリュプレス機であり、懸濁物セパレータはラメラ・プレート浄化器である。
【0019】
一般に、別の形態において家畜廃水処理方法が提供される。その方法は、
(a)汚泥脱水装置にある固体流体廃水混合物を、固体流出物と第1流体流出物とに分離し、
(b)前記第1流体流出物に凝集剤を添加して、前記第1流体流出物の懸濁物を塊に凝集させて第2流体流出物を成し、
(c)前記塊を懸濁物セパレータ内の前記第2流体流出物から分離して第3流体流出物を成し、
(e)前記第3流出物を微細固体フィルタ装置に通して第4流体流出物を成し、
(d)前記第4流体流出物を薄膜フィルタ・ユニットの第1薄膜フィルタ・セットに通して第1透過流体と第1濃縮流体を成し、
(f)前記第1透過流体に酸を加えて第2透過流体を成し、
(g)前記第2透過流体を前記薄膜フィルタ・ユニットの第2薄膜フィルタ・セットに通して第3透過流体と第2濃縮流体を成し、
(h)前記第1濃縮流体を前記薄膜フィルタ・ユニットの第3薄膜フィルタ・セットに通して第4透過流体と第3濃縮流体を成し、
(i)前記第3濃縮流体を前記薄膜フィルタ・ユニットの第4薄膜フィルタ・セットに通して第5透過流体と第4濃縮流体を成す、以上の各ステップを有し、更に
(j)前記第3透過流体は再生水であり、前記第4濃縮流体は液肥である。
【0020】
別実施形態において、その方法は更に、前記第4透過流体と前記第1透過流体を混ぜ合わせるステップを有する。
【0021】
別実施形態において、その方法は更に、前記第2濃縮流体と前記第2透過流体を混ぜ合わせるステップを有する。
【0022】
別実施形態において、その方法は更に、前記第5透過流体を前記第1流体流出物に混ぜるステップを有する。
【0023】
別実施形態において、その方法は更に、前記第3濃縮流体に酸を加えるステップを有する。
【0024】
このように、続く発明の詳細な説明が一層理解され、かつ当該技術に対する本発明の貢献が一層理解されるように、発明の最も重要な特徴の概要をかなり広範に説明した。
【0025】
本発明の様々な目的、特徴及び利点に関しては、添付図面と併せて、以下に続く現在好適な(とはいえ例証的な)実施形態の詳細な説明を読むことにより当業者にとっては容易に明白となるであろう。発明は他の実施形態も可能であり、様々な方法によって実行可能である。又、ここで使用する表現や用語は、あくまで説明のために用いられるものであり制限するものとして見なすべきでないことを理解されたい。
【0026】
従って、当業者は、本発明の幾つかの目的を実行するための他の構造、方法およびシステムの設計の根拠として、本開示の基礎となる概念が容易に利用される場合がありことを認識するであろう。故に、それらが本明の趣旨および範囲から逸脱しない限りにおいて、請求の範囲はそのような等価構造を含んでいるものとして見なすことが重要である。
【0027】
本発明やその運用利点、更にその使用によって達成される特定目的をよく理解するため、本発明の好適実施形態を示した添付図面と記述事項を参照されたい
【0028】
本発明の更なる理解をもたらすべく本願明細書に組み込まれ、かつその一部を成す添付図面は、好適実施形態を示すと共に、その説明を伴って本発明の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の原理に沿った家畜廃水処理システム及びその方法の高度概略図である。
【図2】図1の家畜廃水処理システムの概略図である。
【図3】第1実施形態による家畜廃水処理システムを伴った家畜廃水処理方法のフローチャート図である。
【図4】他の実施形態による家畜廃水処理システムを伴った家畜廃水処理方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適実施形態を詳細に参照して、その例を添付図面に示す。まず図1を参照するに、ここには本発明によるハイレベルの家畜廃水処理システム10(以下、処理システムと呼ぶ)が示されている。処理システム10は、特に密閉型家畜飼養(CAFO)施設から出る廃水を処理して、廃水から水と固体を再生利用してCAFO施設の環境フットプリントを低減するのに特に有効である。
【0031】
広義的には図1に示されるように、処理システム10は機械的水処理と化学的水処理の双方を兼ね備えており、固体から液体を分離すること、様々な段階において分離された固体の収集すること、及び残留した液体を再生可能なように処理することを含んでいる。例えば、CAFO施設14から出た廃水12は汚泥脱水装置16に受け入れられる。この段階における廃水12は、大部分が混合固体を伴う水を含んでいる。ここでは各用語“水”、“液体”、“流体”はそれぞれ互換的に使用される。固体は、固体や溶解状態の肥料に加え、例えば毛のような動物の副生成物、寝具類、穀物、砂、その他の小さな粒子を含むことができる。幾つかの栄養素、とりわけリン(P)、窒素(N)、カリウム(K)は水に溶かされる。汚泥脱水装置16では、廃水中にある不溶解固体が廃水の液体成分から取り除かれる。除去された固体18は排出され、肥料としての土地拡散に適している。残った液体20はケミカルコンディショナ22に引き渡される。ケミカルコンディショナ22では、凝集剤が液体20に添加される。凝集剤添加後は、液体20は懸濁物セパレータ24を通過する。懸濁物セパレータ24は液体20から添加固体26を取り除き、分離する。これらの固体はそれぞれ別個に脱水処理され肥料として使用されるか、或いは汚泥脱水装置16に戻して処理システム10を通って再循環することができる。残りの液体20は微細固体フィルタ28を通ることで、薄膜フィルタ・ユニット30通過に先立ち、如何なる添加の不溶固体も液体から除去される。薄膜フィルタ・ユニット30では、液体20が濾過され、再生水32と濃縮された液肥34を生成する。再生水は、家畜用飲料水はもとより、施設における様々な目的の使用に適している。
【0032】
図2を参照して、処理システム10を更に詳しく説明する。上述したように、処理システム10は、CAFO施設からの廃水12を受け入れる汚泥脱水装置16を具備している。オプションとして、廃水12を汚泥脱水装置16に引き渡す前に均等化槽36に受け取らせることも可能である。均等化槽36から廃水12は汚泥脱水装置16へと渡されることになる。一実施形態において、汚泥脱水装置16は、円筒状スクリーン又は円錐形スクリーン内においてピッチを次第に減らすようにした回転スクリュを持つタイプのスクリュフィルタプレス機である。この種のスクリュプレス機は当該技術では良く知られており、ここではそれらの構造において更なる説明は不要である。しかしながら、一般に、スクリュプレス機に投入された材料は、回転するスクリュによって固体排出に近づくに従って、徐々に増加した圧力を被る。その増加する圧力により、液体は、液体を集めるスクリーンを通って固体からプレスされることになる。一実施形態において、スクリュフィルタプレス機16には圧縮の3つの圧縮段階が設けられる。
【0033】
スクリュフィルタプレス機16において、廃水12中の不溶固体は廃水の液体成分から取り除かれる。除去された固体18は排出され、肥料としての土地拡散に適している。運搬タンク38をスクリュプレス機16に流体連結し、更なる処理のために液体を受けることができる。ポンプ40の入口が運搬タンク38に接続される。ポンプ40は運搬タンク38に含まれる液体レベルを制御するべく自動化され、運搬タンクからケミカルコンディショナ22を介して懸濁物セパレータ24内へと処理液を圧送する働きをする。
【0034】
ケミカルコンディショナ22は、導管42、第1ケミカル注入器44、インライン混合器46、第2ケミカル注入器48、及び第2インライン混合器50を備えている。導管42はポンプ40の排出部と懸濁物セパレータ24の入口に接続される。第1ケミカル注入器44は、ケミカル貯蔵タンク54及び導管42に流体的に接続された化学注入器ポンプ52を備える。インライン混合器46は、ケミカル注入器44より下流側にある導管42に接続される。ケミカル注入器48は、ケミカル貯蔵タンク54及び混合器46の下流側にある導管42に流体的に接続されたケミカル注入器ポンプ56を備える。インライン混合器50は、ケミカル注入器48の下流側にある導管42に接続される。ケミカル注入器ポンプ52、56は、ケミカル貯蔵タンク54、58に夫々含まれる凝集剤55、59を導管42に圧送し、それを通過する処理液に取り込まれるように作用する。処理液と凝集剤は、混合器46、50を通過する際に充分混合される。インライン混合器46、50は、凝集剤成分と処理液成分の間の化学反応を完全なものにするだけでなく、凝集剤と処理液の迅速な混合を確実にする。
【0035】
凝集剤は、コロイドやその他の液体中懸濁粒子を凝集させて塊とすることで軟凝集を促進させる薬品である。凝集剤は水処理工程で使用され、小さな粒子の沈殿作用や濾過性を改善する。この処理システムで使用するにあたっては、食品と接触する可能性のある水処理合成物にための政府規格を満たすべく食品用凝集剤が選ばれることが好ましい。これらのものは、家畜がいる現場で作業するにあたり、危険または有害となり得る如何なる薬品からも動物を保護するために必要である。第1注入用として好ましい凝集剤薬品には、例えばN2やアルミネックス1(双方共、イリノイ州ナパービルのNalco社より入手可能)のような、重量パーセントで5〜50%の水酸化ナトリウムと重量パーセントで30〜60%のアルミン酸ナトリウムからなる凝集剤薬品がある。この段階では、第2注入段階においてポリマーが効果的にバインドできるように一掃し始める。第2注入段階での好ましいは凝集剤薬品には、例えばニューヨークのニューハイドパークにあるAlken/M-urray社から市販されている「N3100L」のような、10〜30%のポリアクリルアミドと10〜30%の脂肪族炭化水素からなる非イオン又は陰イオンのアクリルポリマーがある。その他、適当な凝集剤には、トロント・オンタリオのBrenntag Ca- nada社から市販されている「Superfloc C−492」、ミシガン・ハウエルのChemico Productsから市販されている「P−112」や「P508」、Nalco社から市販されている「Nalclear 8181」がある。
【0036】
懸濁物セパレータ24では、化学的条件の軟凝集によって形成された固形物と、処理液61と混合されたその他の懸濁物とが取り除かれ分離される。分離された固体25は脱水されて肥料として使用可能であったり、或いは汚泥脱水装置16へと再循環することができる。一実施形態において、固形物が豊富な処理液は、固形物セパレータ24を通過する際に浄化プレートと接触する。浄化プレートと接触することで結果的に懸濁物は、重力によって処理液から懸濁物セパレータの底にあるホッパー部へと落下することになる。処理液は懸濁物セパレータの上部にある調整堰を通って流れる。
【0037】
一実施形態において、懸濁物セパレータ24はラメラ・プレート浄化器である。一実施形態において、固体セパレータ24は傾斜したラメラ・プレート浄化器である。一実施形態において、傾斜ラメラ・プレート浄化器は、繊維強化プラスチックでできている浄化プレートを備える。浄化プレートは懸濁物セパレータ24のフットプリント全体を減じる形で配置される。一実施形態においては、浄化プレートは55度傾斜した状態でセットされ、2インチ離れた状態で隔てられることも。この浄化プレートの傾斜した階層化によって、処理液の投影表面積が増加し、結果として固形物の除去を促進することになる。適切な傾斜プレート浄化器は、Unipure Parkson社やGreat Lakes B−io System社から提供される。
【0038】
懸濁物セパレータ24は収集タンク60に流体的に接続され、懸濁物セパレータから処理液63を受ける。ポンプ62の入口は収集タンク60に流体的に接続され、ポンプ62の排出部は微細固体フィルタ28に流体的に接続される。ポンプ62は作動し、収集タンク60からの処理流体を微細固体フィルタ28へと圧送する。微細固体フィルタ28は第1段階フィルタ64と第2段階フィルタ66を備えることができる。処理液は、第1段階フィルタ64を介し、次いで第2段階フィルタ66を介して圧送される。第1段階フィルタ64は、異なる濾過媒体を有するキャニスタフィルタ67を備えることができる。一実施形態では、第1段階フィルタは、濾過材として小石、ケイ砂及び無煙炭の層を含む加圧キャニスタフィルタである。第2段階フィルタ66は、平列に流体的に接続された1組のバッグフィルタ68、70を備えている。バッグフィルタは液体濾過産業においては良く知られたものであり、それ自体、特定の説明はここでは必要ではない。しかしながら、通常、バッグフィルタはフィルタハウジングの中にメッシュ材の袋を備えており、高圧で流体がフィルタハウジングを通過するようになっている。圧力下において、流体は袋を通って流れるが、固体粒子は袋を通って流れることが防止される。
【0039】
微細固体フィルタ28は、微細固体フィルタからの処理液体を受ける収集タンク70に流体的に接続される。ポンプ72の入口は、収集タンク70に流体的に接続され、ポンプ72の排出部は薄膜フィルタ・ユニット30に流体的に接続される。ポンプ72は作動し、収集タンク70からの処理流体を薄膜フィルタ・ユニット30へと圧送する。引き続き図2を参照して薄膜フィルタ・ユニット30を説明するが、より具体的には薄膜フィルタ・ユニット30の水精製ユニット/行程について説明する。薄膜フィルタ・セット74はポンプ72の排出部に接続され、収集タンク70からの処理流体を受ける。薄膜フィルタ・セット74の透過排出部80は収集タンク76に流体的に接続される。収集タンク76において、透過排出されたものは、タンク86に貯蔵されかつポンプ88によって収集タンク76へと圧送される、例えば硝酸や硫酸のような酸92を使用して処理され、薄膜フィルタ・セット84に引き渡すに先立ち透過排出物の状態を調整するようになっている。その酸処理は、薄膜フィルタ・セット84によって削除されるようにアンモニアをアンモニウム塩に変換するものである。収集タンク76内で保持される透過排出物の温度は、摂氏10〜30度になるように制御される。ポンプ90の入口は収集タンク76に接続され、薄膜フィルタ・セット84はポンプ90の排出部に接続され、タンク76から酸処理された透過物を受けるようになっている。透過排出物94は、システムにある様々なフィルタ・エレメントを清浄化するための逆流水としての使用、或いは家畜用飲料水としての使用に適する再生水であり、タンク120に貯蔵されるようにしても良い。薄膜フィルタ・セット84の濃縮排出物96は、収集タンク76へと再循環するか、或いは処理システム10を介した再循環のための運搬タンク38へと戻すことが可能である。
【0040】
引き続き図2を参照して薄膜フィルタ・ユニット30の液体濃縮ユニット/流体流れを説明する。薄膜フィルタ・セット74の濃縮物排出部は薄膜フィルタ・セット78に接続され、それを介して濃縮排出物82を通過させる。薄膜フィルタ・セット78の濃縮物排出部は収集タンク100に接続され、排出部から濃縮排出物98を受けるようにし、薄膜フィルタ・セット78からの透過排出物110はタンク76へと再循環することができる。収集タンク100において、濃縮排出物98は、タンク104に貯蔵されかつポンプ106によって収集タンク100へと圧送される、例えば硝酸や硫酸のような酸102を使用して処理され、薄膜フィルタ・セット108に引き渡すに先立ち濃縮排出物98の状態を調整するようになっている。ポンプ112の入口は収集タンク100に接続され、薄膜フィルタ・セット108はポンプ112の排出部に接続され、タンク100からの濃縮排出物を受け取るようになっている。薄膜フィルタ・セット108の濃縮排出物114は濃縮された液肥であり、タンク116に貯蔵される。薄膜フィルタ・セット108からの透過排出物118はタンク120に貯蔵したり、処理システム10を介した再循環のためにタンク38へと再循環することができる。
【0041】
処理システム10による廃水処理方法は、図3を参照して説明されることが理解できる。固体と流体の廃水混合物は、汚泥脱水装置において固体流出物と第1流体流出物に分離される(200)。汚泥脱水装置はスクリュフィルタプレス機とすることができる。重量液体で約30%まで脱水された固体流出物は土地拡張に適している。1つ又はそれ以上の凝集剤が第1流体流出物に添加され、第1流体流出物に第2流体流出物を生成する軟凝集を被らせる(202)。懸濁物セパレータにおいて、第2流体流出物から塊が分離され、第3の流体流出物を生成する(204)。懸濁物セパレータはラメラ・プレート浄化器とすることができる。第3流体流出物は微細固体フィルタを通過することで第4流体流出物を形成する(206)。第4流体流出物は薄膜フィルタ・ユニットを通過して、透過流体と濃縮流体が生成される(208)。透過流体を再生水とし(210)、濃縮流体を液肥とすることができる(212)。
【0042】
図4を参照し、別実施形態における処理システム10による廃水処理方法を説明する。汚泥脱水装置において、固体と流体の廃水混合物が固体流出物と第1流体流出物400に分離される(300)。重量液体で約30%まで脱水された固体流出物は土地拡張に適している。1つ又はそれ以上の凝集剤が第1流体流出物400に添加され、第1流体流出物中の懸濁物に塊へと凝集させる軟凝集を起こさせ、第2流体流出物402を生成する(302)。第2流体流出物402から塊が分離/除去され、第3の流体流出物404を生成する(304)。第3流体流出物404は微細固体フィルタを通過することで第4流体流出物406を形成する(306)。第4流体流出物406は薄膜フィルタ・ユニットの第1薄膜フィルタ・セットを通過することで第1透過流体408と第1濃縮流体410が生成される(308)。第1透過流体408には酸が加えられることで第2透過流体412が生成される(310)。第2透過流体412は薄膜フィルタ・ユニットの第2薄膜フィルタ・セットを通過することで第3透過流体414と第2濃縮流体416が生成される(312)。第1濃縮流体410は薄膜フィルタ・ユニットの第3薄膜フィルタ・セットを通過することで第4透過流体418と第3濃縮流体420が生成される(314)。第3濃縮流体420は薄膜フィルタ・ユニットの第4薄膜フィルタ・セットを通過することで第5透過流体422と第4濃縮流体424が生成される(316)。第3透過流体414は再生水であり、濃第4濃縮流体424は液肥となる。第4透過流体418は第1透過流体408と混合することが可能である(318)。第2濃縮流体416は第2透過流体412と混合することが可能である(320)。第5透過流体422は第1流体流出物400と混合することが可能である(322)。酸を第3濃縮流体420に加えることができる(324)。
【0043】
以上の処理システムの説明は特に家畜廃水と関連するものであるが、処理システム及びその方法は他の出所からの廃水を処理するために使用しても良く、家畜廃水だけに限定されるべきではない。
【0044】
以上本発明の幾つかの実施形態を説明きた。しかしながら、本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な変更は可能であることを理解すべきであろう。すなわち、他の実施形態も以下の請求の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜廃水処理システムであって、
廃水入口、流体排出部及び固体排出部を備える汚泥脱水装置、
流体入口及び流体排出部を備えるケミカルコンディショナ、
流体入口、流体排出部及び固体排出部を備える懸濁物セパレータ、
流体入口及び流体排出部を備える微細固体フィルタ装置、
流体入口、再生水排出部及び濃縮液体排出部を備える薄膜フィルタ・ユニット、を有し、
前記ケミカルコンディショナの前記流体入口は前記汚泥脱水装置の前記液体排出部に流体的に接続され、
前記懸濁物セパレータの前記流体入口は前記ケミカルコンディショナの前記流体排出部に流体的に接続され、
前記微細固体フィルタ装置の前記流体入口は前記懸濁物セパレータの前記流体排出部に流体的に接続され、更に
前記薄膜フィルタ・ユニットの前記流体入口は前記微細固体フィルタ装置の前記流体排出部に流体的に接続されることを特徴とする家畜廃水処理システム。
【請求項2】
前記汚泥脱水装置はスクリュプレス機であることを特徴とする請求項1に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項3】
前記懸濁物セパレータはプレート浄化器であることを特徴とする請求項1に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項4】
前記懸濁物セパレータはラメラ・プレート浄化器であることを特徴とする請求項3に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項5】
前記薄膜フィルタ・ユニットは、
前記精製された水排出部を有する水精製ユニット、及び
前記濃縮液体排出部を有する液体濃縮ユニット、を有することを特徴とする請求項1に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項6】
前記ケミカルコンディショナは、
第1ケミカル注入器、
第1混合器、
第2ケミカル注入器、及び
第2混合器50、を有し、
前記第1ケミカル注入器、前記第1混合器、前記第2ケミカル注入器及び前記第2混合器は、前記ケミカルコンディショナの前記入口と前記排出部との間で、直列に流体的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項7】
前記微細固体フィルタ装置は、
多媒体フィルタ・ユニット、
第1バッグフィルタ・ユニット、及び
第2バッグフィルタ・ユニット、を有し、
前記第1バッグフィルタ・ユニットと前記第2バッグフィルタ・ユニットは並列に流体的に接続され、
前記多媒体フィルタ・ユニットは前記第1、及び第2バッグフィルタ・ユニットの上流側で接続されることを特徴とする請求項1に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項8】
家畜廃水処理システムであって、
固体液体廃水混合物を分離した固体流れと流体流れに分割するように形成された汚泥脱水装置、
前記流体流れ中の懸濁物を塊に凝集するように形成されたケミカルコンディショナ、
前記流体流れから前記塊を除去するように形成された懸濁物セパレータ、
前記流体流れから微細固体を除去するように形成された微細固体フィルタ装置、
前記流体流れを透過流体流れと流出流体流れとに分離すると共に、前記流出流体流れを濃縮流体に濃縮するように形成された薄膜フィルタ・ユニット、を有し、
前記微細固体フィルタ装置は前記懸濁物セパレータの下流側に位置し、前記薄膜フィルタは前記微細フィルタ装置の下流側に位置することを特徴とする請求項1に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項9】
前記汚泥脱水装置はスクリュプレス機であることを特徴とする請求項8に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項10】
前記懸濁物セパレータはラメラ・プレート浄化器であることを特徴とする請求項8に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項11】
前記ケミカルコンディショナは、
第1ケミカル注入器、
第1混合器、
第2ケミカル注入器、及び
第2混合器50、を有し、
前記第1ケミカル注入器、前記第1混合器、前記第2ケミカル注入器及び前記第2混合器は、前記ケミカルコンディショナの前記入口と前記排出部との間で、直列に流体的に接続されることを特徴とする請求項8に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項12】
前記微細固体フィルタ装置は、
多媒体フィルタ・ユニット、
第1バッグフィルタ・ユニット、及び
第2バッグフィルタ・ユニット、を有し、
前記第1バッグフィルタ・ユニットと前記第2バッグフィルタ・ユニットは並列に流体的に接続され、
前記多媒体フィルタは前記第1、及び第2バッグフィルタ・ユニットの上流側にあることを特徴とする請求項1に記載の家畜廃水処理システム。
【請求項13】
汚泥脱水装置にある固体流体廃水混合物を、固体流出物と第1流体流出物とに分離し、
前記第1流体流出物に凝集剤を添加して、前記第1流体流出物の懸濁物を塊に凝集させて第2流体流出物を成し、
前記塊を懸濁物セパレータ内の前記第2流体流出物から分離して第3流体流出物を成し、
前記第3流出物を微細固体フィルタ装置に通して第4流体流出物を成し、
前記第4流体流出物を薄膜フィルタ・ユニットに通して透過流体と濃縮流体を成す、以上のステップを有することを特徴とする家畜廃水処理方法。
【請求項14】
前記浸透性流体は再生水であり、前記濃縮液は液肥であることを特徴とする税休講13に記載の家畜廃水処理方法。
【請求項15】
前記汚泥脱水装置はスクリュプレス機であることを特徴とする請求項13に記載の家畜廃水処理方法。
【請求項16】
前記懸濁物セパレータはラメラ・プレート浄化器であることを特徴とする請求項13に記載の家畜廃水処理方法。
【請求項17】
汚泥脱水装置にある固体流体廃水混合物を、固体流出物と第1流体流出物とに分離し、
前記第1流体流出物に凝集剤を添加して、前記第1流体流出物の懸濁物を塊に凝集させて第2流体流出物を成し、
前記塊を懸濁物セパレータ内の前記第2流体流出物から分離して第3流体流出物を成し、
前記第3流出物を微細固体フィルタ装置に通して第4流体流出物を成し、
前記第4流体流出物を薄膜フィルタ・ユニットの第1薄膜フィルタ・セットに通して第1透過流体と第1濃縮流体を成し、
前記第1透過流体に酸を加えて第2透過流体を成し、
前記第2透過流体を前記薄膜フィルタ・ユニットの第2薄膜フィルタ・セットに通して第3透過流体と第2濃縮流体を成し、
前記第1濃縮流体を前記薄膜フィルタ・ユニットの第3薄膜フィルタ・セットに通して第4透過流体と第3濃縮流体を成し、
前記第3濃縮流体を前記薄膜フィルタ・ユニットの第4薄膜フィルタ・セットに通して第5透過流体と第4濃縮流体を成す、以上の各ステップを有する家畜廃水処理方法において、
前記第3透過流体は再生水であり、前記第4濃縮流体は液肥であることを特徴とする家畜廃水処理方法。
【請求項18】
更に、前記第4透過流体と前記第1透過流体を混ぜ合わせるステップを有することを特徴とする請求項17に記載の家畜廃水処理方法。
【請求項19】
更に、前記第2濃縮流体と前記第2透過流体を混ぜ合わせるステップを有することを特徴とする請求項17に記載の家畜廃水処理方法。
【請求項20】
更に、前記第5透過流体を前記第1流体流出物に混ぜるステップを有することを特徴とする請求項17に記載の家畜廃水処理方法。
【請求項21】
更に、前記第3濃縮流体に酸を加えるステップを有することを特徴とする請求項17に記載の家畜廃水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−525956(P2012−525956A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508863(P2012−508863)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000679
【国際公開番号】WO2010/127442
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511266601)423079 アルバータ リミティド (1)
【Fターム(参考)】