説明

家禽処理における微生物学的および環境コントロール

家禽屠体が湯漬タンクの下流の処理操作において1つ以上の特定の1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン殺菌剤により処理された水と接触される。その下流操作からの水性流出液、または更なる下流の任意の場所からの水性流出液は、湯漬タンクまで再循環される。驚くべきことには、ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン殺生物剤からの臭素残留物は、例えば普通に使用される殺菌剤の次亜塩素酸ナトリウムよりもはるかに熱安定性が低い。したがって、湯漬タンクからの流出液は、環境への放出前に微生物作用を使用して、廃水のBODを低下させる水精製施設に送られる前に著しく低下した活性臭素含量を有する。したがって、この所望の微生物作用に及ぼす損傷が低下される。加えて、この再循環は、家禽処理操作全体における水消費を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
家禽処理は、微生物学的コントロールが極めて重要な領域である。関与する処理の本質によって、例えば大腸菌、サルモネラ腸炎菌、ネズミチフス菌、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、カンピロバクター・ラリなどの移動性バクテリアの形の、ならびに例えばリステリア・モノサイトゲネス、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナス・エルギノーサ、エンテロコッカス・フェシウム、および黄色ブドウ状球菌などのバイオフィルムの形の種々の病原体に家禽が暴露される多数の機会が存在する。バクテリア感染した家禽の取り扱い、処理、および消費は、回避されないとしても最少限とされるべきである。
【0002】
近年、食用家禽を処理することに使用するための新しい有効な殺菌剤が発見され、述べられている。例えば(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、および(特許文献4)を参照のこと。
【0003】
家禽処理において、大量の水が必然的に使用される。この処理における水の再循環は、使用される水の量と、生成する廃水の量を低下させる方法である。しかしながら、この処理操作における有効な殺菌剤の使用は、環境への放出の前に生物化学的酸素要求量(BOD)を低下させるために、廃水処理に関連する問題を生じる。これらの問題は、BODを低下させるために、有機物質を含む種々の不純物を破壊するのに微生物が廃水中で使用されるという事実から生じる。したがって、ハロゲンベースの殺菌剤、特に臭素ベースの殺菌剤からの殺菌剤として活性な残留物を含有する廃水それ自身は、これらの微生物に対するこれらの残留物の毒性のためにこのような微生物の活性を阻害しがちである。このような微生物は、例えばフロック形成性生物、腐生菌、プレデター、および不快生物を含む。この関連において(非特許文献1)を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,908,636号
【特許文献2】米国特許第6,919,364号
【特許文献3】米国特許第6,986,910号
【特許文献4】米国特許出願No.2006/0004072Al
【非特許文献1】Grady and Lim,Biological Waste Water Treatment,Marcel Dekker Inc.,Copyright,1980,Chapter 7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、このような処理におけるハロゲンベースの殺菌剤の使用から生成する、殺菌剤として活性な残留物の毒性を低下させる一方で、水消費と、食品用に家禽を処理する操作からの水の排出を低下させるための実際的で経済的に実施可能な方法を見出すことができるならば極めて望ましい。
【0006】
本発明は、このような処理におけるハロゲンベースの殺菌剤の使用から生成する、殺菌剤として活性な残留物の毒性を低下させる一方で、水消費と、家禽を処理する操作からの排出を低下させるための実際的で経済的に実施可能な方法を提供すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様にしたがえば、
A)水性媒体と家禽屠体を1つ以上の下流の処理操作において接触させること、ここで、前記水性媒体は、(i)ハロ原子の両方が臭素原子であり、アルキル基の一方がメチル基であり、他方がC1−4アルキル基である少なくとも1つの1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン、または(ii)ハロ原子の一方が臭素原子であり、他方が塩素原子であり、両方のアルキル基が独立にC1−4アルキル基である少なくとも1つ1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン、または(iii)(i)および(ii)の両方を含む殺菌剤を前記媒体に添加することから生じる有効な制菌量の活性臭素を含有し、前記1つ以上の下流の処理操作は湯漬(scalding)操作の下流に配置されている;
B)(i)、(ii)または(iii)の前記添加から生じる、制菌量の活性臭素を含有する、少なくとも1つの下流の場所からの流出水性媒体を前記湯漬操作に再循環すること;および
C)水性媒体を、前記湯漬操作から、工程からの廃水の生物化学的酸素要求量を低下させるのに微生物作用を使用する廃水精製操作に進めるもしくは進めさせること
を含んでなる、食用家禽を複数の処理操作で処理する方法が提供される。好ましい態様においては、B)における再循環が、A)において(i)、(ii)または(iii)を添加した、前記1つ以上の下流の処理操作の少なくとも1つからの流出水性媒体を前記湯漬操作まで再循環することを含む。冷却タンク中もしくは後冷却浸漬またはスプレー操作中の操作は実行可能のことであるが、冷水を使用することを伴い、したがってこのような冷水の湯漬操作への再循環が湯漬操作の温度を約50から約60℃の範囲などの好適な範囲に維持するのに更なる熱エネルギーの投入を必要とするために、これらの下流の場所が、好ましい。
【0008】
更に好ましくは、上記の工程においてB)において再循環される流出水性媒体は、A)において(i)、(ii)または(iii)を添加した、1つ以上の下流の処理操作のいずれかからの流出水性媒体である。
【0009】
もう一つの好ましい態様は、A)において(i)、(ii)または(iii)を添加し、ならびにB)において前記湯漬操作まで流出液として再循環される水性媒体が、(a)内側−外側鳥(bird)洗浄操作、(b)連続オンライン処理操作、(c)オフライン再処理操作、および(d)予備冷却スプレー操作からなる群から選択される少なくとも1つ操作からの流出水性媒体である、上記のような方法である。この態様においては、前述の流出水性媒体がA)において(i)、(ii)または(iii)を添加した、(a)、(b)、(c)、および(d)のいずれかからの流出水性媒体であるということが特に好ましい。
【0010】
本発明の好ましい態様においては、使用される殺菌剤は、アルキル基の一方がメチル基であり、他方が1から約4個の炭素原子を含有するアルキル基である1つ以上の水溶性の1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインであり、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインがすべてのうちで最も好ましい。
【0011】
本発明の更なる態様は、装置が少なくとも(a)羽付きの家禽屠体を熱水性媒体と接触させる、湯漬容器もしくはステーション、(b)前記屠体から羽を除去する、羽抜き装置もしくは脱羽ステーション、(c)脱羽された屠体を内臓摘出する、内臓摘出装置もしくは内臓摘出ステーション、(d)内臓摘出された家禽屠体の内側および外側を水性媒体の1つ以上の流れにより清浄化する、内側−外側鳥洗浄装置もしくはステーション、(e)屠体の内側および外側の両方をスプレーする連続オンライン処理操作もしくはステーション、または屠体の内側および外側の両方をスプレーするオフライン再処理操作、(f)場合によっては、家禽屠体を水性媒体によりスプレーする、少なくとも1つの予備冷却スプ
レーキャビネットもしくはステーション、(g)家禽屠体を冷水性媒体に浸漬する、少なくとも1つの冷却タンクもしくは容器、および(h)場合によっては、冷却タンクからの家禽屠体を冷水性媒体によりすすぐ、後冷却浸漬もしくはスプレー装置もしくはステーションを含んでなり、
A)前記湯漬容器もしくはステーションの下流の少なくともの1つ装置もしくはステーションに水性媒体を提供するようにされた少なくとも1つの水性液体媒体投入装置(apparatus)もしくは器具(device)、ここで、前記水性媒体は(i)ハロ原子の両方が臭素原子であり、アルキル基の一方がメチル基であり、他方がC1−4アルキル基である少なくとも1つの1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン、または(ii)ハロ原子の一方が臭素原子であり、他方が塩素原子であり、両方のアルキル基が独立にC1−4アルキル基である、少なくとも1つ1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン、または(iii)(i)および(ii)の両方を含む殺菌剤を前記媒体に添加することから生じる有効な制菌量の活性臭素を含有する;
B)水性液体媒体流出液を、少なくとも1つの装置もしくはステーションから前記湯漬容器もしくはステーションに搬送および送達する少なくとも1つの水性液体媒体搬送システムもしくは装置、ここで、前記少なくとも1つの装置もしくはステーションにおいて前記流出液がA)の液体媒体投入装置もしくは器具からの投入から残留する臭素残留物を含有し、前記少なくとも1つの装置もしくはステーションが前記湯漬容器もしくはステーションの下流にある、ならびに
C)食用家禽の処理から生じる廃水の生物化学的酸素要求量を低下させるように、微生物作用を使用するようにされた廃水処理もしくは水精製施設に、前記湯漬容器もしくはステーションからの流出液を搬送、送達するようにされた少なくとも1つ水性液体媒体搬送システムもしくは装置
を含んでなる、食用家禽を複数の処理操作で処理する装置を含んでなる。
【0012】
上記の装置の好ましい態様においては、B)における前記少なくとも1つ水性液体媒体搬送システムもしくは装置は、A)において(i)、(ii)または(iii)を提供するようにされている少なくとも1つ装置もしくはステーションからの水性液体媒体流出液を前記湯漬容器もしくはステーションに搬送、送達するように、配設もしくは接続されている。
【0013】
本発明の上記および他の態様および特徴は、後続の説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲からなお更に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】家禽を処理する施設における通常の処理ラインの家禽処理操作を示し、本発明により可能とし有利な結果を得るのに本発明により可能となる種々の好ましい再循環操作を図示するブロック図である。
【図2】食品用に家禽を処理する施設におけるもう一つの通常の処理ラインの家禽処理操作を示し、本発明により可能となる有利な結果を得るのに本発明により可能となる種々の好ましい再循環操作を図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
通常の家禽処理操作においては、操作のシーケンスは、鳥を殺す(通常、鳥を気絶させた後)こと、羽付きの家禽屠体を湯漬器または湯漬タンク中で湯漬すること、屠体を脱羽(通常、羽抜き器具中で)すること、屠体を内臓摘出すること、内臓摘出された屠体を内側−外側の洗浄にかけること、内臓摘出された屠体を連続オンライン処理またはしかるべき屠体のオフライン再処理にかけること、場合によっては屠体を予備冷却スプレーにかける(通常、スプレーキャビネット中で)こと、屠体を冷水性媒体で充満した冷却タンク中で冷却すること、および屠体を後冷却浸漬もしくはスプレーに場合によってはかけること
を含んでなる。冷貯蔵などの他の操作もしばしば使用される。これらの操作の多くにおいては、水は、洗浄用、もしくは冷却用および/または鳥および/または屠体への殺菌剤水溶液を施用するための接触媒体用として使用される。通常、所定の操作において使用される流出水は、濾過操作などの廃水処理施設に送られて、固体を除去し、池または大きなプールに送られて、液体流出物を微生物作用にかけて、水のBODを低下させ、その後で環境の中に放出される。
【0016】
上記のように、殺菌剤が本発明にしたがって使用される。一つの好適なタイプは、アルキル基の両方が1から約4個の炭素原子を含有する独立にアルキル基である、1つ以上のN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジアルキルヒダントインである。便宜上、このタイプのN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジアルキルヒダントインは、この明細書中では時には総称的に「BCDAH」と呼ばれる。
【0017】
このタイプの好適な化合物の非限定的な例は、例えば1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジクロロ−5,5−ジエチルヒダントイン、1,3−ジクロロ−5,5−ジ−n−ブチルヒダントイン、1,3−ジクロロ−5−エチル−5−メチルヒダントイン、N,N’−ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、N,N’−ブロモクロロ−5−エチル−5−メチルヒダントイン、N,N’−ブロモクロロ−5−プロピル−5−メチルヒダントイン、N,N’−ブロモクロロ−5−イソプロピル−5−メチルヒダントイン、N,N’−ブロモクロロ−5−ブチル−5−メチルヒダントイン、N,N’−ブロモクロロ−5−イソブチル−5−メチルヒダントイン、N,N’−ブロモクロロ−5−sec−ブチル−5−メチルヒダントイン、N,N’−ブロモクロロ−5−tert−ブチル−5−メチル−ヒダントイン、N,N’−ブロモクロロ−5,5−ジエチルヒダントイン、および前出の任意の2つ以上の混合物などの化合物を含む。N,N’−ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒダントインは、商品名Bromicide(登録商標)殺生物剤(Great Lakes Chemical Corporation)として市販されている。もう一つの好適なブロモクロロヒダントイン混合物は、主としてN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒダントインと、重量で小比率の1,3−ジクロロ−5−エチル−5−メチルヒダントインからなる。この後者のタイプの混合物は、商品名Dantobrom(登録商標)殺生物剤(Lonza Corporation)として市場で入手可能である。このような製品のうちで、N,N’−ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒダントインが市販され、本発明の実施での使用に好適であるために好ましい材料である。
【0018】
例えばN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒダントインについての表示N,N’は、この化合物が(1)1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントインまたは(2)1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、または(3)1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントインと1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントインの混合物であることができるということを意味する。また、一部の1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインと1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインが(1)、(2)または(3)との混和物として存在することができるということも考え得る。
【0019】
本発明の実施における使用にもう一つの好適で、更に好ましいタイプの殺菌剤は、アルキル基の一方がメチル基であり、他方が1から約4個の炭素原子を含有するアルキル基である、1つ以上の1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインである。便宜上、このタイプの1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインは、この明細書中では時には総称的に「DBDAH」と呼ばれる。
【0020】
上記の好ましい1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントイン殺生物剤は、1,
3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5−エチル−5−メチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5−n−プロピル−5−メチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5−イソプロピル−5−メチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5−n−ブチル−5−メチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5−イソブチル−5−メチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5−sec−ブチル−5−メチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5−tert−ブチル−5−メチルヒダントイン、およびこれらの任意の2つ以上の混合物により例示される。これらの殺生物剤のうちで、費用効果の立場から1,3−ジブロモ−5−イソブチル−5−メチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5−n−プロピル−5−メチルヒダントイン、および1,3−ジブロモ−5−エチル−5−メチルヒダントインがそれぞれ好ましい、更に好ましい、なお更に好ましいこの群の構成員である。本発明にしたがって使用可能な前出の殺生物剤の混合物のうちで、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインを成分の1つとして使用することが好ましく、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインと1,3−ジブロモ−5−エチル−5−メチルヒダントインの混合物が特に好ましい。卓越した殺菌剤としての有効性、市場における即時入手可能性、および本発明の実施における使用への好適性のために、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインが特に好ましい。この化合物は、商品名XtraBrom(登録商標)111殺生物剤およびXtraBrom111T殺生物剤(Albemarle Corporation)として錠剤もしくは顆粒の形で市場で入手可能である。
【0021】
便宜上、本開示においては、上記の殺菌剤は、しばしば単数もしくは複数で場合によって「本発明の殺菌剤」または「本発明の殺菌剤」と呼ばれる。用語「本発明の殺菌剤」は、単数および複数の両方で呼ぶ。また、用語「活性臭素」または「活性塩素」は、議論している特定の殺菌剤を水に溶解した時に水中に存在するハロゲン残留物である。用語「活性ハロゲン」は、この用語を使用する文脈に依って、「活性臭素」または「活性塩素」またはこの両方を意味する。
【0022】
本発明の殺菌剤の製造方法は既知であり、文献に報告されている。
【0023】
本発明の殺菌剤が(i)上記に述べたタイプの2つ以上の個別のN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジアルキルヒダントインの混合物、(ii)上記に述べたタイプの2つ以上の2つ以上の個別の1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインの混合物、または(iii)上記に述べたタイプの2つ以上の1つ以上の個別のN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジアルキルヒダントインと上記に述べたタイプの2つ以上の1つ以上の個別の1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインの混合物である場合には、混合物の成分は他に対していかなる比率にあることもできる。
【0024】
本発明の特徴の一つは、本発明の殺菌剤の添加により生成する水中の臭素残留物が食用家禽処理で使用される水中で広く使用される殺菌剤である、次亜塩素酸ナトリウムを水に添加することにより生成する塩素残留物よりも実質的に熱安定性が低いという発見である。実際、本発明の殺菌剤を添加することにより生成する水中の臭素残留物は、極めて有効な市販の殺菌剤の塩化臭素とスルファミン酸または水溶性のスルファミン酸塩の水中での相互作用により形成されるスルファミン酸塩で安定化された臭素ベースの殺菌剤からの臭素残留物よりも実質的に熱安定性が低い。
【0025】
この発見の結果として、本発明の殺菌剤は、湯漬操作の下流で添加されると、本発明の殺菌剤を添加した下流の操作において微生物のコントロールにおける殺菌剤としての有効性を発揮することができる活性臭素を生成する。更には、廃水処理施設にこのような下流の操作からの臭素残留物を含有する流出水性媒体を送る結果として、BOD操作におけるかなりの量の微生物が流出液中の臭素残留物により破壊される代わりに、1つ以上のこの
ような下流の操作からの臭素残留物を含有する流出水性媒体が本発明にしたがって湯漬操作に再循環される。翻って、これは次の二重のメリットをもたらす。第1に、本発明の殺菌剤からの臭素残留物の著しい部分が湯漬水中に存在する高い温度で熱分解される。このように、湯漬操作からBOD低下操作に流出液を移動させる時、BOD低下操作において起こる微生物破壊の量は、元の臭素残留物を含有する下流の操作の1つ以上からの流出液をBOD低下操作に移動させることから起こる量と比較して著しく低下する。第2に、元の臭素残留物を含有する下流の操作からの流出液の湯漬操作への再循環は、食用家禽の処理全体において使用される水の量を低下させる。このように、湯漬操作前後で再循環される水の量が増加し、したがってこの大量の水が廃棄前に再使用されるために、本発明の殺菌剤を1つ以上の下流の操作に添加する場合には、本発明の殺菌剤を使用する下流の操作のすべてからの流出液を再循環することが好ましい。湯漬操作の前後で再循環される流出液が湯漬操作において羽付きの屠体に殺菌剤作用を与えるということも注目される。
【0026】
本発明で使用される殺菌剤水溶液は、湯漬操作の下流に配置された1つ以上の家禽処理操作において使用されているかもしくは使用される予定の水に、本発明の殺菌剤の1つ以上を非希釈の微粉砕されたもしくは粉末状の形で添加することにより、多くの場合形成可能である。別法としては、湯漬操作の下流に配置される家禽処理操作に流れる水を、キャニスター、タンクまたは他の類似の容器中に配設された顆粒、小塊(nugget)、ペレット、錠剤もしくは他の非粉末性粒子の形の本発明の1つ以上の殺菌剤を含有するフィード器具中で予備接触させることができる。
【0027】
所望ならば、本発明の殺菌剤を、好適な無毒で無害な水が添加されたもしくは添加されない水溶性有機溶剤に溶解して、家禽処理工程の1つ以上の適切な下流の処理操作で使用される水に添加可能な溶液を形成することができる。少なくとも関与する投与量レベルにおいて非毒性である1つのこのような無毒で無害な水溶性有機溶剤はアセトニトリルである。
【0028】
本発明にしたがった再循環によって、羽付きの家禽屠体が残留した制菌量の活性臭素を含有する熱水溶液と接触される。熱水溶液と羽付きの家禽屠体の間の接触は、(a)屠体の以降の脱羽を容易にし、(b)微生物による屠体の汚染をコントロールし、(c)熱水溶液中のハロゲン残留物の量を低下させる。
【0029】
本発明の実施において使用される選択された殺菌剤の量(濃度)は、使用される特定の殺菌剤、先行する殺菌剤処理の性状および頻度、存在する微生物のタイプおよび性状、微生物にとって利用可能な栄養素の量およびタイプ、ある場合には殺菌剤処理と同時に行われる清浄化作用の性状および程度、処理対象の微生物の表面または部位などの種々の因子に依って変わる。いずれにしても、殺菌剤として有効な量の本発明の殺菌剤の水溶液が微生物に施用されるか、もしくは微生物と接触される。DBDAHの場合には、希薄溶液は、通常、臭素として測定して約2から約600ppm(wt/wt)の範囲の、好ましくは約2から約300ppm(wt/wt)の範囲の、更に好ましくは約5から約100ppm(wt/wt)の範囲の殺菌剤として有効な量の活性ハロゲンを含有し、活性ハロゲンは慣用のDPD試験手順を使用することにより定量可能である。BCDAHの場合には、対応する範囲は、活性臭素として約2から約1000ppm(wt/wt)、好ましくは約2から約600ppm(wt/wt)、更に好ましくは約8から約200ppm(wt/wt)である。溶液中の実際の活性ハロゲンが活性塩素からなる場合には、使用される希薄溶液の濃度は、前出の範囲の最低値よりも好ましくは少なくとも2倍から3倍高い。本発明にしたがって使用される1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインの場合には、使用に特に好ましい範囲は、約5から約70ppm(wt/wt)の範囲の活性臭素である。家禽屠体またはこれらの食用可能な部分を本発明にしたがって使用される少なくとも1つの1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインから形成される水
溶液と接触させる場合には、家禽屠体またはこれらの食用可能な部分を洗浄もしくは接触するために屠体の皮膚を著しくもしくは目に付くほどに漂白しない、もしくはむね肉およびもも肉などの家禽から料理される食肉の味に対して著しいもしくは目に付くほどの悪影響を及ぼさない殺菌剤として有効な量の活性臭素を水中で使用することが特に好ましい。このような量は、通常、DPD試験手順により定量可能な約0.5から約150ppm(wt/wt)の範囲内の、もしくは更に少量を使用する場合には、約0.5から約100ppm(wt/wt)の範囲内の活性臭素である。必要もしくは望ましい場合にはいつでも前出の範囲からの逸脱が実行可能であること、および前出の範囲からの逸脱が本発明の精神および範囲内にあるということは理解されるであろう。
【0030】
例示的であるが、制約的ではない図面を参照すると、図1および2のブロック図は、通常家禽が処理操作時に通る装置、機器、器具および/またはステーションを図示する。このように、10から12から14から16などの下方に向かう連続ラインは、段階または操作を進行する、家禽の通常の流れ経路を図示する。この図面は、両方とも高速で高生産性の処理施設において存在する高度に自動化された処理ラインと、操作の一部を携帯型スプレーなどの携帯型機器を使用することにより行う施設における処理操作に関するものであるということが認識されるであろう。
【0031】
図1および2で図示されるシステムにおいては、図示される第1の操作10は、鳥を気絶させ、殺す装置または施設を含んでなる。この後に、羽を緩めるために羽付きの鳥を熱水性媒体と接触させる、湯漬容器もしくはタンク12、ビーターまたは他の手段によるなどして12からの羽付きの鳥を脱羽して、緩んだ羽を屠体から除去する羽抜き装置もしくはステーション14、および自動もしくは手動のいずれかで屠体を開き、内臓を除去する、内臓摘出装置もしくはステーション16が続く。図示されている次の装置または施設は、内側−外側鳥洗浄(IOBW)施設18であり、そこでは開かれた屠体は水スプレー、通常、好適に強力な水ジェットスプレーにより洗浄され、この洗浄は自動化された機械的施設において、もしくは携帯型スプレーを使用することにより再度行われる。次に、スプレーされた屠体を連続オンライン処理施設もしくはステーション(COP)20(図1を参照のこと)に、もしくは必要な場合にはオフライン再処理施設もしくはステーション21(図2を参照のこと)に通す。次に、屠体を予備冷却スプレー装置または予備冷却スプレー施設22に場合によっては通し、ここで水性媒体のスプレーを屠体に施用して、任意の先行の操作からの残留物を除去し、ある場合には、温度を低下させる。使用される場合には装置または施設22から、もしくは施設またはステーション20もしくは21から、屠体を冷却タンクまたは他の冷却容器24の中に通し、ここで完全に冷却するのに充分な時間保つ。次に、場合によっては、冷却された屠体を後冷却浸漬もしくはスプレー装置もしくは施設26にかけ、ここで屠体上に残存する残留物を水浴および/または水スプレーとの接触によりリンス除去する。
【0032】
図2においては、IOBW施設18からの家禽屠体の流れ経路は、図示するように、直接に予備冷却スプレー施設22に、もしくは第1にオフライン再処理施設もしくはステーション21に、そこから予備冷却スプレー施設22に至る。これは、IOBW施設18からの屠体に残留する糞便が付いている場合には、屠体を施設またはステーション21に移し、ここで汚染を適切なスプレー手段により除去するということを少なくとも米国における政府規制が要求しているという事実を示す。次に、このように洗浄された屠体は予備冷却スプレー施設22に進む。他方、IOBW施設18からの屠体にこのような汚染がない場合には、屠体を直接に予備冷却スプレー施設22に進めることができる。
【0033】
本発明にしたがえば、殺菌剤としての量の本発明の殺菌剤が湯漬容器もしくはタンク12の下流の任意の施設、装置、器具、ステーションまたは操作に入り、ならびに/もしくは使用される水に任意の適切な方法で供給される。好ましくは、本発明の殺菌剤は、内側
−外側家禽洗浄(IOBW)施設18に入りならびに/もしくは使用される水に、または連続オンライン処理施設もしくはステーション20に、またはオフライン再処理施設もしくはステーション21に、または使用される場合には予備冷却スプレー装置もしくは予備冷却スプレー施設22に任意の適切な方法で供給される。また、本発明にしたがえば、殺菌剤としての量の本発明の殺菌剤を供給する場所の下流の任意の施設、装置、器具、ステーションまたは操作からの水性流出液は、湯漬容器もしくはタンク12に再循環され、ここで本発明の殺菌剤は、通常、少なくとも部分的な熱分解も受ける一方で、殺菌剤活性に寄与する。図示される好ましい態様においては、図示される再循環は、内側−外側鳥洗浄(IOBW)施設18からの、または連続オンライン処理施設もしくはステーション20からの、またはオフライン再処理施設もしくはステーション21からの、または使用される場合には予備冷却スプレー装置または予備冷却スプレー施設22、またはこれらの2つ以上の任意の組み合わせからの流出液である。このような再循環流れは、図1中ではライン30、32、34により、ならびに図2中ではライン40、42、44により概略表示される。いかなるこのようなラインも1つ以上のこのような施設もしくはステーションそれ自身に、もしくはこれらの施設もしくはステーションの1つ以上から延びる流出液ラインに直接に取り付け可能であるということが認識されるであろう。
【0034】
湯漬容器もしくはタンク12からの流出液を廃水精製操作36に通しもしくは通させ、ここで、それ自身によるものであれ、もしくは家禽処理工程全体の他のステージもしくは操作からの流出する廃水との組み合わせによるものであれ、微生物作用を使用して、流出液の生物化学的酸素要求量を低下させる。廃水精製操作36における処理の後、処理済みの廃水はライン55により示されるように環境に放出される。通常の家禽処理施設においては、種々の個別のステージからの流出する廃水もまた、湯漬容器もしくはタンク12から流出する廃水が通る個別の流れとして、もしくは更に通常には全体的に合体された流れとして廃水精製操作36に通されるということが認識されるであろう。このように、ライン50は、湯漬容器もしくはタンク12から廃水精製操作36への別個のラインを必要とすると解釈されるべきでない。代わりに、ライン50は、湯漬容器もしくはタンク12からの廃水が別々のライン中であれ、もしくは処理ライン中の他のステージから発生する廃水流出液の混合物中であれ、それ自身で水精製操作36に送られるという事実を単に表す。
【0035】
活性塩素、活性臭素もしくはその両方であれ、活性ハロゲン含量の定量に使用される2つの異なるタイプの手順がある。上記の例えば約1000ppm(wt/wt)の活性臭素または例えば上記の約500ppmの活性塩素の近傍の濃度の測定には、でんぷん・ヨウ素滴定が好ましい手順である。他方、濃度がこれらの近傍のレベル以下である場合には、慣用のDPD試験手順は、極低活性ハロゲン濃度、例えばゼロから約5ppm(wt/wt)の範囲の活性塩素濃度またはゼロから約10ppm(wt/wt)の範囲の活性臭素濃度を測定するために設計されているので、更に好適である。事実、活性塩素の実際の濃度が例えば約5ppmと約500ppm(wt/wt)の間にある場合、もしくは活性臭素の実際の濃度が例えば約10ppmと約500ppm(wt/wt)の間にある場合には、通常、純水により試験試料を希釈して、活性塩素の場合には約1から約5ppmの範囲となるように、活性臭素の場合には約1から約10ppmの範囲となるように、DPD分析を行う前に実際の濃度を低下させる。それゆえ、使用する手順の間のラインを区分する臨界的な絶対に動かせない濃度は存在しないが、DPD試験手順を用いる場合には、更に濃厚な溶液の水希釈の量が初期の活性ハロゲン濃度の増加と共に増加し、更に濃厚な溶液を分析する場合にはでんぷん・ヨウ素滴定を使用することによりこのような大きな希釈が容易に回避可能であるので、上記に示した近似値は、実際的な近似的な区分ラインを表すということが判る。要約すれば、好適に希釈された溶液による場合にはDPD試験手順の使用が推奨され、更に濃厚溶液による場合にはでんぷん・ヨウ素滴定の使用が推奨される。
【0036】
活性ハロゲンを定量するためのでんぷん・ヨウ素滴定手順は長いこと既知である。例えば、Willard−Furman,Elementary Quantitative
Analysis,Third Edition,D.Van Nostrand Company,Inc.,New York,Copyright 1933,1935,1940の第XIV章は、でんぷん・ヨウ素滴定の記述を提供する。でんぷん・ヨウ素滴定によりこのような生成物溶液中で活性ハロゲンを定量するための標準的な定量分析手順の詳細はケース・バイ・ケースで変わり得るが、この結果は、通常、結果の非信頼性のいかなる疑問も生じさせほど標準手順間で充分に均一である。推奨されるでんぷん・ヨウ素滴定手順は次の通りである。磁気攪拌子と50ミリリットルの氷酢酸をヨウ素フラスコに入れる。活性ハロゲンを定量する試料(通常、約0.2−0.5g)を秤量し、酢酸を入れたフラスコに添加する。次に、水(50ミリリットル)とヨウ化カリウム水溶液(15%、wt/wt、25ミリリットル)をこのフラスコに添加する。水シールを用いてフラスコに栓をする。次に、この溶液を15分間攪拌し、その後フラスコの栓を外し、栓とシール領域を水によりすすぎ、フラスコの中に入れる。自動ビュレット(Metrohm Limited)を標準化された0.1規定のチオ硫酸ナトリウムにより充填する。ヨウ素フラスコ中の溶液を0.1規定のチオ硫酸ナトリウムにより滴定する。淡黄色を観察しなならば、1ミリリットルの水中の1重量%でんぷん溶液を添加し、フラスコ中の溶液の色を淡黄色から青色に変える。青色が消えるまで、チオ硫酸ナトリウムによる滴定を続ける。試料の重量と滴定されたチオ硫酸ナトリウム溶液の容量を用いて、活性ハロゲンの量を計算する。この方法により、生成物水溶液中の活性塩素または活性臭素などの活性ハロゲンの量は、実際の化学的な形と無関係に定量可能である。
【0037】
低レベルの活性ハロゲンを定量するための標準DPD試験は、Palinにより1974年に考案された古典的な試験手順に基づく。A.T.Palin,「Analytical Control of Water Disinfection With Special Reference to Differential DPD Methods For Chlorine,Chlorine Dioxide,Bromine,Iodine and Ozone」,J.Inst.Water Eng.,1974,28,139を参照のこと。Palin手順の種々の新しいバージョンがあるが、この試験の推奨されるバージョンは、Hach Water Analysis Handbook,3rd edition,copyright 1997に詳しく述べられている。「全塩素」(すなわち、活性塩素)のための手順は、ページ379に書かれた方法8167として上述の刊行物中で識別される。簡潔に述べると、「全塩素」試験は、活性ハロゲンを含有する希薄水試料にDPD指示薬粉末、(すなわち、N,N’−ジエチルジフェニレンジアミン)、KI、および緩衝剤を含む粉末を導入することを伴う。存在する活性ハロゲン種は、KIと反応して、DPD指示薬を赤色/ピンク色に変えるヨウ素種を生じる。着色の強度は、試料中に存在する「全塩素」種(すなわち、「活性塩素」)の濃度に依存する。この強度は、強度読みをmgCl/Lとしての「全塩素」値に変換するように較正された比色計により測定される。存在する活性ハロゲンが活性臭素である場合には、mgCl/Lとしての結果に2.25を掛けて、mgBr活性臭素/Lとしての結果を表す。
【0038】
更に詳細には、DPD試験手順は次の通りである。
1.「全塩素」試験に応答する水中に存在する種の量を求めるためには、水試料を採取の数分以内、好ましくは採取時直ちに分析しなければならない。
2.「全塩素」試験に応答する水試料中に存在する種の量を試験するためのHach方法8167は、Hach Model DR2010比色計を使用することを伴う。
塩素定量のための保存されているプログラム番号は、キーボードで「80」をキーインし、続いて装置の側面のダイアルを回転し、吸光度波長を530nmに設定することにより
呼び出される。2つの同一試料セルを測定すべき水により10mLのマークまで充填する。セルの一方をブランクとして任意に選ぶ。第2のセルにDPD全塩素粉末Pillowの内容物を添加する。これを10−20秒間振って、混合する。ピンク−赤色の発色はDPD「全塩素」試験試剤に対してプラスに応答する種が水中に存在することを示す。キーパッド上でSHIFT TIMERキーを押し下げて、3分の反応時間を開始する。3分後、装置はビーという音を鳴らして、反応が完結したという信号を発する。10mLセルライザーを用いて、ブランク試料セルをHach Model DR2010の試料小室に入れ、シールドを閉めて、迷光の影響を防ぐ。次に、ZEROキーを押し下げる。数秒後、ディスプレイは0.00mgCl/Lを登録する。次に、装置をゼロとするのに使用されたブランク試料セルをHach Model DR2010のセル小室から取り出し、DPD「全塩素」試験試剤を添加した試験試料により置き換える。次に、ブランクに対して行ったように光シールドを閉め、READキーを押し下げる。mgCl/Lの結果が数秒以内にディスプレイ上に示される。これが測定対象の水試料の「全塩素」レベルである。
【0039】
本発明の実施においては、殺菌剤システムを種々の方法で使用することができる。例えば、殺菌剤システムがこれらの微生物と接触するように、殺菌剤として有効な量の本発明の殺菌剤を絶滅もしくはコントロール対象の微生物の部位に施用する。処理機器およびフローリング、壁、テーブル、コンベヤー、支柱、導管、タンク、および排水溝などの環境物の汚染されたもしくは潜在的に汚染された表面もしくは領域に殺菌剤として有効な量の殺菌剤の水溶液を注ぐこと、スプレーすること、濡れたモップをかけること、浸水、および/または濡れた布で拭くことによって、充分な施用を行うことができる。適用可能で可能な場合には、処理装置の一部を必要ならば一時的に分解して殺菌剤の水溶液に漬けることができる。処理対象の家禽のバクテリアおよびバイオフィルムなどの危険な微生物への暴露が可能な限り大きな程度で確実に防止するのに充分な頻度でこのような施用を日常的に行われなければならない。最良の結果を得るためには、目視可能もしくは目視不能であれバイオファウリングまたはバイオフィルムの汚染物をスクラビング、こすり取り、掻爬、さもなければ除去するなどの充分なクリーニング操作と併せて、もしくは関連させてこれらの操作を行わなければならない。ポリサッカライドスライムとこれらの微生物の種々の種の他の防護機構の中への確実な浸透に好適な時間殺菌剤と微生物を接触させた後、殺菌した領域全体を清浄な水により洗浄し、例えばホースで水を流さなければならず、好ましくは、排出前に洗浄液それ自身を本発明の更なる殺菌剤により殺菌しなければならない。この接触時間は、勿論、クリーニングおよび消毒操作の頻度と徹底、および使用される特定の殺菌剤溶液の内容および濃度に依って変わる。一般的に言えば、接触時間は数分から数時間の範囲であり得るが、家禽処理領域における微生物数の絶滅またはコントロールに影響を及ぼすいかなる時間も使用されるべきであり、本発明の範囲内にある。
【0040】
微生物として有効な量の本発明のこれらの態様の固体状態の殺菌剤を施用するもう一つの方式は、殺菌剤を導管を通る水流の中、ならびに家禽の処理において使用されるタンクまたは他の洗浄器具の中に浸出させることである。例えば、錠剤、ブリケット、ペレット、小塊または顆粒などの殺菌剤の好適な固体の形を水流を通す好適なフィード器具に入れる。殺菌剤の床に水を通すことによって、小量の殺菌剤を連続的に溶解して、水中に殺菌剤として有効な量の殺菌剤を供給する流れが生じる。1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインは、溶解性が比較的低く、殺菌剤としての有効性が低濃度においても極めて高いために、このモードの施用における使用に特に好ましい。このように、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインの比較的低い水溶解性は、室温における水中での比較的遅い溶解速度をもたらす。翻って、このことは、固体を保持する器具を再充填する必要の前に比較的長い使用期間をもたらす。例として、75゜F(約24℃)における水中での1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインの溶解性は、Oとして表して405ppmであり、同一温度におけるN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒダ
ントインおよびN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒダントインと1,3−ジクロロ−5−エチル−5−メチルヒダントインの市販の混合物の溶解性は、両方ともClとして表してそれぞれ890ppmおよび1905ppmである。
【0041】
アルキル基の一方がメチル基であり、他方のアルキル基が1から約4個の範囲の炭素原子を含有する、1つ以上の1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントイン、最も好ましくは1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、(「ジブロモジアルキルヒダントイン」)の殺菌剤水溶液を形成する、費用効果が特に高く、操作効率が高く、極めて好ましい方法は、キャニスター、タンクまたは他の類似の容器(「タンク」)中に配設された顆粒、小塊、ペレット、錠剤もしくは他の非粉末性の粒子の形の1つ以上のこのようなジブロモジアルキルヒダントインの床に水を通すことを含んでなる。好ましくは、このタンクは、床の内容物を定期的に補充するために圧力密封型ポートを上方部分において有し、水を床の一部から上方に流れるようにする。更に好ましくは、このタンクは上方方向に長く、したがって床は側部−側部方向よりも頂部−底部方向で長く、上方水流を床の下方部分のみから上方に、それゆえに床とタンクの下方部分と上方部分の間に配設されたポートから実質的に水平方向に流すように床の中に分配する。このように、床の下方部分がゆっくりと、しかし実質的に均一に水流に溶出するにしたがって、床の上方部分は、重力下で床の下方部分の中に自動的にフィードされる、床の内容物の予備物として機能する。このように、この操作においてはこの水流は、好ましくは少なくとも実質的に連続する流れ、最も好ましくは連続する流である。1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインの顆粒、錠剤または他の非粉末性の粒子形を製造するための方法は、以前に出願された対応する米国特許出願をベースとする優先権を主張する、2001年1月17日出願の共有された同時係属出願PCT/US01/01541、01/01545、および01/01585において詳細に述べられている。このような顆粒、錠剤または他の非粉末性の粒子形の製造における使用のために1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインを製造するための優れた工程技術が先行出願された対応する米国特許出願に基づく優先権を主張する2001年1月17日出願の共有された同時係属出願PCT/US01/01544で詳細に述べられている。各々のこのようなPCTおよび米国特許出願の開示は、参照によりこの明細書中に組み込まれている。これらの殺菌剤水溶液の形成において、これらのジブロモジアルキルヒダントインのこのような顆粒、錠剤または他の非粉末性粒子の形と併せて使用される特に好ましい装置は、R.A.Industries,Inc.,Lansdale,PA19446の部門のNeptune Chemical Pump Companyから「Bromine Feeders」Models BT−15、BT−40、BT−42、BT−80、BT−160、BT−270、およびBT−350またはこれらの同等物として入手可能である。ModelBT−40と、Albemarle Corporationから入手可能な1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(XtraBrom(登録商標)111殺生物剤)の顆粒または小塊の組み合わせ物を用いて、優れた結果が得られる。このような器具中の錠剤もしくは顆粒の形のこのような殺菌剤の単一の装填物は、通常の屋外温度で5ヶ月もの長い間補充の必要無しで最終使用の水物体中で連続的な殺菌剤として有効な活性をもたらすことができる。
【0042】
殺菌剤と微生物の間の接触を行うもう一つの好適な方法は、導管から湯漬タンクおよび家禽の処理において使用される冷却タンクなどのタンクまたは他の洗浄器具の中に殺菌剤として有効な量の殺菌剤を含有する水溶液をポンプ送液することである。この手順のバリエーションは、家禽を処理するタンクまたは他の容器の中に殺菌剤の水溶液を重力点滴によるなど部分に分けて直接に分配することを含む。
【0043】
好ましくは、本発明の殺菌剤を施用する前出の方法の2つ以上が使用される。このように、好ましい態様においては、本発明のこれらの態様の殺菌剤は、(i)家禽処理装置の全部でなくとも少なくとも一部を上記の1,3−ジブロモジアルキルヒダントインの少な
くとも1つの殺菌剤として有効な量の水溶液と消毒または衛生化まで定期的に接触させること、および(ii)家禽の殺害の前および/または後、好ましくは後、最も好ましくは家禽の脱羽の後家禽の露出された表面を殺菌剤として有効な量の上記の1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインの少なくとも1つの水溶液と接触させることにより施用される。もう一つの好ましい態様においては、本発明のこれらの態様の殺菌剤は、(i)家禽処理装置の全部でなくとも少なくとも一部を上記の1,3−ジブロモジアルキルヒダントインの少なくとも1つの殺菌剤として有効な量の水溶液と消毒または衛生化まで定期的に接触させること、および(ii)殺害された家禽の食べられる部分および/または内臓を殺菌剤として有効な量の上記の1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインの少なくとも1つの水溶液と接触させることにより施用される。
【0044】
本発明の特に好ましい方法は、(a)家禽を移動クランプもしくはシャックルで懸垂すること、(b)好適なガスを使用することにより、もしくは少なくとも家禽の頭を水印加電気ショックと接触させて、家禽を気絶させることにより、例えば気絶させるのに好適な電流を流している水浴中に頭を漬けることにより家禽を殺さずに、気絶させること、(c)気絶させた家禽の頚部において頚静脈および/または頚動脈をナイフにより手動で、もしくは機械的な切断器具により自動で切断すること、(d)屠体から血液を放血すること、(e)鳥を熱水により、例えば湯漬タンク中で湯漬して、羽の除去を容易にすること、(f)家禽を脱羽すること、(g)家禽から頭部と足部を除去すること、(h)ナイフにより手動で、もしくは機械的な内臓摘出装置により自動で家禽を内臓摘出すること、(i)屠体から内臓を分離すること、(j)屠体を洗浄すること、および(k)少なくとも1つの、時には2つの冷却タンクに屠体を通すことにより例えば水中で屠体を冷却すること、もしくは空気冷却によるなどにより冷却することを含んでなる、家禽を一連の段階により処理する方法である。湯漬段階は、通常、約50から約65℃の範囲の水温度で行われ、通常の黄色の皮膚を保持するためには低めの温度が好ましい。通常、七面鳥および廃産卵鶏と関連して更に高い温度が使用される。使用される冷却温度は、通常、屠体温度を約4℃以下まで低下させ、出荷用の仕上げした屠体の最終温度は約−2℃と低い。他の段階が包含可能である。ある場合には段階(a)から(j)の1つ以上を変更もしくは改訂し得るか、もしくはこの段階のシーケンスが与えられた環境に適合するようにある程度変更もしくは改訂し得る。包含可能なプラスアルファの段階の例は、例えば政府規制官による検査段階、および水鳥の場合の脱羽の程度を増進するためのワックス浸漬である。検査は、屠体から内臓を分離する前など内臓摘出段階に引き続いてしばしば行われる。ワックス浸漬は、通常、例えば、チッキンよりも羽の除去が困難である、水鳥処理の場合に使用される。ワックス浸漬は、通常、ゴム「フィンガー」を用いて、羽を払い飛ばす羽抜き機械の使用直後に行われる。ワックス浸漬段階は、通常、部分的に脱羽された屠体をタンク中に入れた溶融ワックスの中に浸漬すること、ワックスを屠体上で硬化させること、次にワックス中に埋め込まれた羽と一緒にワックスを剥離することにより、ワックス被覆を除去することを伴う。この操作は、工程における次の段階、例えば頭部および足部の除去に進む前に所望のように反復可能である。段階のシーケンスの好適な修正の一つの例示の例は、段階(f)の後の代わりに段階(d)の前に段階(g)を行うことである。この開示を読めば、他の好適なシーケンスの修正は当業者には明白となり得、したがってここで更に詳述の必要はない。
【0045】
上記の処理においては、本発明のこれらの態様の殺菌剤、好ましくは本発明にしたがって使用される1つ以上の施用可能な臭素ベースの殺菌剤の殺菌剤作用は、操作における種々の好適な段階のいずれかにおいて施用可能である。例えば、本発明の施用可能な殺菌剤溶液は、ナイフ、搬送装置、空となった湯漬タンクの表面、脱羽装置(例えば、ゴム「フィンガー」など)、ナイフ、および家禽の切断または内臓摘出に使用される機械的装置、テーブル、コンベヤベルトなどを含む家禽の血液または内臓と接触するようになったすべての表面、および内臓の分離後屠体と接触するようになったすべての表面を含む、使用さ
れる処理機器のいずれかまたは全部に施用可能である。本発明の施用可能な衛生化溶液は、浸漬、スプレー、浸水または殺菌剤として有効な溶液がバクテリアおよび/またはバイオフィルム(バイオファウリング)などの望ましくない微生物を含有するかもしくはこれらに暴露された表面と確実に接触する任意の他の方法により施用可能である。
【0046】
本発明の殺菌剤の分注での使用に好適な自動化分注機器は、文献では記述されており、少なくともある程度市場において入手可能である。このような機器を参照するためには、自動化分注システムが述べられている例えば米国特許第5,683,724号を参照されたい。
【0047】
上記のように、熱水溶液中のハロゲン残留物の量の低下は、1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントインを水に溶解した時に水中で形成される溶質が熱水中で熱安定性が低いことにより部分的に引き起こされるように見える。事実、極めて驚くべきことには、1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインおよびN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジアルキルヒダントインの溶質が慣用の広く使用されている塩素ベースの殺菌剤の次亜塩素酸ナトリウムの溶質よりも熱水中で著しく熱安定性が低いということが見出された。実際、1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインおよびN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジアルキルヒダントインの溶質は、塩化臭素とスルファミン酸アニオン(Stabrom(登録商標)909殺生物剤;Albemarle Corporation)から生成する安定化された臭素殺菌剤よりも熱安定性が低いことが見出された。
【0048】
特に、pH7.0の水をほぼ140゜F(60℃)に加熱し、次に(i)次亜塩素酸ナトリウム、(ii)便宜上SSBCと呼ばれる、塩化臭素とスルファミン酸アニオン(Stabrom(登録商標)909殺生物剤;Albemarle Corporation)から生成する濃厚アルカリ性水溶液、(iii)1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、または(iv)N,N’−ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒダントインのいずれかを添加して溶液を形成する、実験を行った。試料を定期的に採取して、ハロゲン含量を全塩素としてパーツ・パー・ミリオン(wt/wt)として定量しながら、得られる溶液長時間同一の温度で保持した。水を室温に保った同一の手順を行い、この群の実験をコントロールとした。これらの実験の結果を表1−4に要約する。表1においては、表示した値は溶液中の全塩素のppm(wt/wt)である。表2、3、および4においては、表示した値は溶液中の全臭素のppm(wt/wt)である。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
本発明の実施においては、少なくとも1つが本発明の殺菌剤、すなわち(i)少なくとも1つのDBDAHまたは(ii)少なくとも1つのBCDAHまたは(iii)(i)と(ii)の両方である、異なる殺菌剤を用いる異なる衛生化段階の組み合わせを使用することが有用であることが判る。例えば、本発明の殺菌剤、好ましくは(i)の臭素ベースの殺菌剤を導管、タンク(例えば、湯漬タンク、冷却タンク)、コンベヤベルトまたはコンベヤラインなどの家禽処理と関連する種々の表面に施用もしくはこれらと接触させることができ、家禽屠体をそれ自身カルボン酸(例えば、酢酸または乳酸)および/または過酢酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシデカン酸などのペルオキシカルボン酸を含有する溶液またはゲルなどの抗菌剤により処理することができる。このようなカルボン酸の使用は、例えば米国特許第6,113,963号に述べられている。このような合体操作の結果は、極めて有効な衛生化である。事実、操作のこの合体は、特に使用される臭素ベースの殺生物剤が1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインであり、一般に使用されるカルボン酸が過酢酸である場合に、これまで到達可能であったレベルよりも大きいレベルの微生物学的絶滅を生じるということがもくろまれる。実際、これらの殺菌剤の合体効果は相乗的であり得る。
【0054】
本発明にしたがった合体操作において使用可能なもう一つの殺菌剤は、Capita et al.,Meat Science,2000,55(4),471−474によれば生家禽屠体上のサルモネラ菌の除去の助剤としてUSDAにより承認された材料のリン酸三ナトリウムである。この合体操作においては、リン酸三ナトリウムを家禽屠体に施用し、本発明の殺菌剤の1つ以上、好ましくは本発明の臭素ベースの殺菌剤の1つ以上を機器、装置、および/または家禽の処理に関連する装置の衛生化において使用する。また、本発明にしたがえばこの合体操作は、本発明の殺菌剤の使用と併せて二酸化塩素処理も使用することができる。Smith,Meat Procssing,1996,35(10),47は、二酸化塩素が家禽処理水における使用に対して米国FDAにより承認を受けたこと、および本発明の実施において、本発明の1つ以上の殺菌剤、好ましくは本発明の殺菌剤の1つ以上、すなわち(i)少なくとも1つのDBDAHまたは(ii)少なくとも1つのBCDAHまたは(iii)(i)および(ii)の両方が機器、装置、および/または家禽の処理において使用される装置の種々の品目の衛生化に使用されるということ、および二酸化塩素が家禽処理水の少なくとも一部の衛生化に使用されるというこ
とを示す。
【0055】
本発明にしたがった処理操作において、(i)少なくとも1つのDBDAHまたは(ii)少なくとも1つのBCDAHまたは(iii)(i)および(ii)の両方のみを使用する代わりに、(i)、(ii)または(iii)の少なくとも1つと、例えばリン酸三ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、トリクロロイソシアヌレートまたは他の好適な殺菌剤などの少なくとも1つ他の殺菌剤との混合物または組み合わせ物を使用し得る。このような混合物においてはいかなる比率も使用可能であるが、好ましくは、混合物中の(i)、(ii)または(iii)の少なくとも1つの量は少なくとも約50重量%である。
【0056】
形容詞「水性」は、溶液または媒体また何であれこの形容詞が改変する他の名詞が高純度化されたものであれ蛇口から出る通常の純度のものであれ水であることができるということを意味する。食品の処理を扱っているので、不適当な水、汚染されたもしくは有毒な水を使用してはならないことは当然である。例えば、通常の井戸水または市水などの飲料水一般中に存在し得る天然起源の痕跡の不純物のほかに、形容詞「水性」は市水システムにしばしば添加されるフッ化物などの痕跡量の溶解塩が水中に存在することも許容する。ここでの要点は、用語「水性」が媒体または溶剤を絶対的に純粋な水に限定していないということであり、この水性溶液もしくは媒体などは、水を使用する場合に関与する特定の環境下でその中に通常存在するかならびに/もしくは常識を用いて存在すると合理的に予期されるものを含有する。
【0057】
この文書中で化学名または化学式により呼ばれる化合物は、単数あるいは複数で呼ばれようとも、化学名または化学型(例えば、もう一つの成分、溶剤など)により呼ばれる別の物質との接触前に存在した通りに識別される。このような変化は、特定の物質を本開示にしたがって要求される条件下で合体することの自然の結果であるので、起こったとしても生成する混合物または溶液中で化学変化が起こっても問題でない。例として、語句「少なくとも1つの1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントインの溶液」および類似の意味の語句は、水などの水性媒体と接触させる直前に、参照される少なくとも1つの1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントインが特定された1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントインであったということを意味する。したがって、この語句は、この溶液を呼称する単純で、明快な方法であり、この化学物質が水中で変化しないで存在するということを示唆もしくは暗示するようには意図されていない。起こる変形は、これらの物質を合体することの自然の結果であり、したがって更なる詳述を必要としない。
【0058】
また、特許請求の範囲は、物質を現在形(「含んでなる」、「である」、など)で呼ぶが、物質は、1つ以上の他の物質とこの開示にしたがって最初に接触、ブレンドまたは混合した直前の時点で存在した通りに呼ばれる。
【0059】
特記しない限り、単数の冠詞は、この明細書中で使用される場合、特許請求の範囲をこの冠詞が参照する単一の要素に限定すると意図されているものでなく、そして限定的であると考えられるべきでない。むしろ、特記しない限り、単数の冠詞は、この明細書中で使用される場合には、1つ以上のこのような要素を網羅するように意図される。
【0060】
本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内でかなりの変形を受ける。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)水性媒体と家禽屠体を1つ以上の下流の処理操作において接触させること、ここで、前記水性媒体は、(i)ハロ原子の両方が臭素原子であり、アルキル基の一方がメチル基であり、他方がC1−4アルキル基である少なくとも1つの1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン、または(ii)ハロ原子の一方が臭素原子であり、他方が塩素原子であり、両方のアルキル基が独立にC1−4アルキル基である少なくとも1つ1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン、または(iii)(i)および(ii)の両方を含む殺菌剤を前記媒体に添加することから生じる有効な制菌量の活性臭素を含有し、前記1つ以上の下流の処理操作は湯漬操作の下流に配置されている;
B)(i)、(ii)または(iii)の前記添加から生じる、制菌量の少なくとも臭素を含有する、少なくとも1つの下流の場所からの流出水性媒体を前記湯漬操作まで再循環すること;および
C)水性媒体を、前記湯漬操作から、工程からの廃水の生物化学的酸素要求量を低下させるのに微生物作用を使用する廃水精製操作まで進めるもしくは進めさせること
を含んでなる、食用家禽を複数の処理操作で処理する方法。
【請求項2】
B)における再循環が、A)において(i)、(ii)または(iii)を添加した、前記1つ以上の下流の処理操作の少なくとも1つからの流出水性媒体を前記湯漬操作まで再循環することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
B)において再循環される流出水性媒体が、流出水性媒体または、A)において(i)、(ii)または(iii)を添加した、前記1つ以上の下流の処理操作のいずれかからの流出水性媒体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
A)において(i)、(ii)または(iii)を添加し、ならびにB)において前記湯漬操作まで流出液として再循環される水性媒体が、(a)内側−外側鳥洗浄操作、(b)連続オンライン処理操作、(c)オフライン再処理操作、および(d)予備冷却スプレー操作からなる群から選択される少なくとも1つ操作からの流出水性媒体である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記流出水性媒体が、A)において(i)、(ii)または(iii)を添加した、(a)、(b)、(c)、および(d)のいずれかからの流出水性媒体である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アルキル基の一方がメチル基であり、他方がC1−4アルキル基である、少なくとも1つの1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインを前記媒体に添加することから前記活性臭素が生成する、請求項1−5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインが1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ハロ基の一方が臭素原子であり、他方のハロ基が塩素原子であり、ならびに両方のアルキル基が独立にC1−4アルキル基である、少なくとも1つの1,3−ジブロモ−5,5−ジアルキルヒダントインを前記媒体に添加することから前記活性臭素が生成する、請求項1−5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントインがN,N’−ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒダントインである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
装置が少なくとも(a)羽付きの家禽屠体を熱水性媒体と接触させる、湯漬容器もしくはステーション、(b)前記屠体から羽を除去する、羽抜き装置もしくは脱羽ステーション、(c)脱羽された屠体を内臓摘出する、内臓摘出装置もしくは内臓摘出ステーション、(d)内臓摘出された家禽屠体の内側および外側を水性媒体の1つ以上の流れにより清浄化する、内側−外側鳥洗浄装置もしくはステーション、(e)家禽屠体の内側および外側の両方をスプレーする連続オンライン処理操作もしくはステーション、または家禽屠体の内側および外側の両方をスプレーするオフライン再処理操作、(f)場合によっては、家禽屠体を冷水性媒体によりスプレーして、スプレーされる屠体の温度を低下させる、少なくとも1つの予備冷却スプレーキャビネットもしくはステーション、(g)家禽屠体を冷水性媒体に浸漬する、少なくとも1つの冷却タンクもしくは容器、および(h)場合によっては、冷却タンクからの家禽屠体を冷水性媒体によりすすぐ、後冷却浸漬もしくはスプレー装置もしくはステーションを含んでなり、
A)前記湯漬容器もしくはステーションの下流の少なくとも1つの装置もしくはステーションに水性媒体を提供するようにされた少なくとも1つの水性液体媒体投入装置もしくは器具、ここで、前記水性媒体は、(i)ハロ原子の両方が臭素原子であり、アルキル基の一方がメチル基であり、他方がC1−4アルキル基である、少なくとも1つの1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン、または(ii)ハロ原子の一方が臭素原子であり、他方が塩素原子であり、両方のアルキル基が独立にC1−4アルキル基である少なくとも1つの1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン、または(iii)(i)および(ii)の両方を含む殺菌剤を前記媒体に添加することから生じる有効な制菌量の活性臭素を含有する;
B)水性液体媒体流出液を、少なくとも1つの装置もしくはステーションから前記湯漬容器もしくはステーションに搬送および送達する少なくとも1つの水性液体媒体搬送システムもしくは装置、ここで、前記少なくとも1つの装置もしくはステーションにおいて前記流出液がA)の液体媒体投入装置もしくは器具からの投入から残留する臭素残留物を含有し、前記少なくとも1つの装置もしくはステーションが前記湯漬容器もしくはステーションの下流にある、ならびに
C)食用家禽の処理から生じる廃水の生物化学的酸素要求量を低下させるように、微生物作用を使用するようにされた廃水処理もしくは水精製施設に、前記湯漬容器もしくはステーションからの流出液を搬送、送達するようにされた少なくとも1つの水性液体媒体搬送システムもしくは装置
を含んでなる、食用家禽を複数の処理操作で処理する装置。
【請求項11】
A)において(i)、(ii)または(iii)が提供されるようにされている少なくとも1つ装置もしくはステーションからの水性液体媒体流出液を、前記湯漬容器もしくはステーションに搬送、送達するように、B)における前記少なくとも1つ水性液体媒体搬送システムもしくは装置が配設もしくは接続されている、請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−507370(P2010−507370A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533588(P2009−533588)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/082063
【国際公開番号】WO2008/051895
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】