説明

容器のプロテクタ剥離方法および装置

【課題】金属製の容器本体とゴム等のプロテクタが接着によって固着された容器において、プロテクタを容器本体から短時間で効率的に剥離することができる容器のプロテクタ剥離方法および装置を提供する。
【解決手段】金属からなる容器本体90に軟質材料からなるプロテクタ92,93が接着により固着されている容器に対して、コイル21,22を前記プロテクタの固着位置の近傍に配置する手順と、前記コイルに高周波交流電流を所定時間供給し、前記容器本体の前記プロテクタ固着位置近傍を高周波誘導加熱によって加熱して接着剤層を破壊する手順と、前記プロテクタを前記容器本体から剥離する手順とを有するものである。金属製の容器本体を傷つけずにプロテクタを短時間で効率的に剥離することができ、容器の修理再生にも有用な剥離方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビール樽等のように容器本体にゴム等のプロテクタが接着により固定されている容器から、修理やリサイクルのためにプロテクタを剥離するための方法および装置に関するものであり、さらに詳しくは、誘導加熱を利用して短時間でプロテクタを剥離するための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステンレス鋼などの金属で製造された容器では、容器本体を衝撃から保護するためのプロテクタが容器本体に取り付けられていることが多い。このプロテクタがゴム等の軟質材料からなる場合には、プロテクタは接着によって容器本体に固着されている。このような容器のプロテクタが破損してその容器を修理する場合には、破損したプロテクタを容器本体から取り外し、新しいプロテクタを固着する必要がある。また、古くなった容器を廃棄してリサイクルを行う場合にも、金属製の容器本体と、ゴム等のプロテクタを分離して、別々の材料としてリサイクルを行う必要がある。
【0003】
従来は、金属製の容器本体とゴム等のプロテクタを分離するために、容器本体を切断して、接着部の内側からガスバーナー等によって加熱して接着を破壊する方法が行われていた。または、容器本体を切断して、切断した部分を液体窒素などによって極低温に冷却し、柔軟性を失わせたゴムを破砕して除去する方法も行われていた。このような分離方法は、作業者の手間がかかったり、分離するための装置が大がかりになったりして、分離するためのコストが大きくなっていた。
【0004】
また、このような分離方法は、容器を破壊してしまうため、容器の修理を行うためのプロテクタ剥離には使用できなかった。容器の修理を行うには、化学溶剤によって接着剤を溶解してプロテクタを剥離したり、カッターなどの刃物によりプロテクタを切断除去していた。このようなプロテクタの除去方法も、作業者の時間や手間がかかり、除去するためのコストが大きくなっていた。下記の特許文献1には、化学溶剤によって金属とゴム系組成物との接合体を剥離する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−309033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、金属製の容器本体とゴム等のプロテクタが接着によって固着された容器では、容器本体とプロテクタとを短時間で効率的に分離する方法が知られていなかった。また、容器本体を破壊したり傷つけたりせずに、容器本体とプロテクタとを分離することは、作業者の時間や手間がかかり、除去するためのコストが大きくなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、金属製の容器本体とゴム等のプロテクタが接着によって固着された容器において、プロテクタを容器本体から短時間で効率的に剥離することができる容器のプロテクタ剥離方法および装置を提供することを目的とする。さらに、容器の修理再生を行うために、金属製の容器本体を傷つけずにプロテクタを短時間で効率的に除去することができる容器のプロテクタ剥離方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の容器のプロテクタ剥離方法は、金属からなる容器本体に軟質材料からなるプロテクタが接着により固着されている容器に対して、コイルを前記プロテクタの固着位置の近傍に配置する手順と、前記コイルに高周波交流電流を所定時間供給し、前記容器本体の前記プロテクタ固着位置近傍を高周波誘導加熱によって加熱して接着剤層を破壊する手順と、前記プロテクタを前記容器本体から剥離する手順とを有するものである。
【0009】
また、上記の容器のプロテクタ剥離方法は、前記容器本体がステンレス鋼からなるものにも適用できる。
【0010】
また、上記の容器のプロテクタ剥離方法において、前記容器本体がステンレス鋼からなる場合、前記容器本体の高周波誘導加熱による加熱は、前記容器本体の温度が550℃を超えない範囲で行うものであることが好ましい。
【0011】
また、上記の容器のプロテクタ剥離方法において、前記プロテクタは略環状のものであり、前記コイルは、前記プロテクタの内周側と外周側の両側に配置されたものであることが好ましい。
【0012】
また、上記の容器のプロテクタ剥離方法において、前記コイルは、前記プロテクタの内周側と外周側において、それぞれ2巻き以上巻かれたものであることが好ましい。
【0013】
また、上記の容器のプロテクタ剥離方法において、前記コイルは、前記容器本体との最小距離が5mm〜15mmとなるように配置されたものであることが好ましい。
【0014】
また、上記の容器のプロテクタ剥離方法において、前記コイルは、外周が絶縁材料で被覆された銅からなる中空パイプであることが好ましい。
【0015】
また、上記の容器のプロテクタ剥離方法において、前記コイルは、前記中空パイプの内部に冷却液を流通させて冷却されるものであることが好ましい。
【0016】
また、上記の容器のプロテクタ剥離方法において、前記コイルには、周波数10kHz〜40kHz、電流値40〜200Aの範囲の高周波交流電流を20〜180秒間供給するものであることが好ましい。
【0017】
また、本発明の容器のプロテクタ剥離装置は、金属からなる容器本体に軟質材料からなるプロテクタが接着により固着されている容器に対して、前記プロテクタの固着位置の近傍に配置されたコイルと、高周波交流電流を前記コイルに所定時間供給する高周波交流電源と、前記プロテクタと前記容器本体の少なくとも一方を保持し、前記プロテクタと前記容器本体とを互いに引き離す力を作用させて、前記プロテクタを前記容器本体から剥離する剥離手段とを有するものである。
【0018】
また、上記の容器のプロテクタ剥離装置において、前記プロテクタは略環状のものであり、前記コイルは、前記プロテクタの内周側と外周側の両側に配置されたものであることが好ましい。
【0019】
また、上記の容器のプロテクタ剥離装置において、前記コイルは、前記プロテクタの内周側と外周側において、それぞれ2巻き以上巻かれたものであることが好ましい。
【0020】
また、上記の容器のプロテクタ剥離装置において、前記コイルは、前記容器本体との最小距離が5mm〜15mmとなるように配置されたものであることが好ましい。
【0021】
また、上記の容器のプロテクタ剥離装置において、前記コイルは、外周が絶縁材料で被覆された銅からなる中空パイプであることが好ましい。
【0022】
また、上記の容器のプロテクタ剥離装置において、前記コイルの前記中空パイプの内部に冷却液を流通させて前記コイルを冷却する冷却手段を有することが好ましい。
【0023】
また、上記の容器のプロテクタ剥離装置において、前記高周波交流電源は、周波数10kHz〜40kHz、電流値40〜200Aの範囲の高周波交流電流を20〜180秒間前記コイルに供給するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏する。誘導加熱によって容器本体を加熱することにより、容器本体とプロテクタとの接着部を熱によって破壊し、プロテクタを容器本体から短時間で効率的に剥離することができる。この際、容器本体に傷が付くこともなく、容器を修理して再使用する場合にも、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のプロテクタ剥離方法および装置の対象となる容器の構造の一例を示す断面図である。
【図2】プロテクタ剥離装置1の全体構成を示す正面図である。
【図3】プロテクタ剥離装置1を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明のプロテクタ剥離方法および装置の対象となる容器の構造の一例を示す断面図である。この容器9は、生ビール等を入れるためのビール樽の例である。容器9の容器本体90は、ステンレス鋼の薄板から形成されたものである。容器本体90の頂上部には口金91が溶接等により接合されている。口金91にはフィッティングが取り付けられ、容器9は全体として密封容器として機能する。
【0027】
容器本体90には、容器本体90を衝撃から保護するためのプロテクタが容器本体に取り付けられている。プロテクタは上プロテクタ92と下プロテクタ93とからなる。これらの上プロテクタ92と下プロテクタ93は、図示のような断面形状のほぼ環状の部材であり、ゴム等の軟質材料からなるものである。このような軟質材料からなるプロテクタは接着によって容器本体90に固着されている。なお、図1では示していないが、上プロテクタ92には、外周側と内周側とを貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔を取っ手として容器を持ち運ぶことができる。
【0028】
プロテクタの具体的な材質の例としては、スチレンブタジエンゴムをベースにしたものが使用される。この場合に、プロテクタを容器本体90に接着するための接着剤としては、塩化ゴム系接着剤が使用可能である。なお、ここでの容器9の構造はあくまでも一例を示したものであり、容器本体の構造や、プロテクタの形状などは、図示のものと異なるものでもよい。
【0029】
この容器9のプロテクタが破損したような場合、容器9の修理を行うには、破損したプロテクタを容器本体から取り外し、新しいプロテクタを固着する必要がある。その際、容器本体を傷つけずにプロテクタを取り外す必要がある。また、古くなって寿命に到達した容器9を廃棄してリサイクルを行う場合にも、ステンレス製の容器本体90と、ゴム等のプロテクタを分離して、別々の材料としてリサイクルを行う必要がある。本発明は、誘導加熱を利用して、このような容器9からプロテクタを短時間で効率的に剥離することができるようにしたものである。
【0030】
図2は、本発明のプロテクタ剥離装置1の全体構成を示す正面図である。また、図3は、プロテクタ剥離装置1を上方から見た平面図である。なお、図2はプロテクタ剥離装置1に容器9を取り付けた状態を示しているが、図3はプロテクタ剥離装置1からプロテクタ剥離装置1を取り外した状態を示している。プロテクタ剥離装置1の基台11の上面には、コイル21が支持部材23により適正な位置に位置決めされて支持されており、コイル22が支持部材24により適正な位置に位置決めされて支持されている。
【0031】
コイル21は、上プロテクタ92の内周側に配置され、容器本体90と上プロテクタ92との接着面に近接するように位置決めされている。ここでは、容器本体90とコイル21との最小距離が約10mmとなるように位置決めされている。コイル22は、上プロテクタ92の外周側に配置され、やはり容器本体90と上プロテクタ92との接着面に近接するように位置決めされている。ここでは、容器本体90とコイル22との最小距離が約8mmとなるように位置決めされている。なお、コイル21,22と容器本体90との位置関係は、コイル21,22と容器本体90との最小距離が5mm〜15mmとなるように配置することが好ましい。
【0032】
コイル21,22は、外周が絶縁材料で被覆された銅からなる中空パイプである。図示のように、内周側のコイル21は6巻き、外周側のコイル22は4巻きの巻き線とされている。これらのコイル21,22は、いずれも2巻き以上巻かれたものであることが好ましい。また、コイル21,22は、通電する際に、その中空パイプの内部に冷却液を流通させて冷却される。コイル21,22には大電流が供給されるため、大電流によるコイル21,22自体の加熱を冷却するためである。
【0033】
プロテクタ剥離装置1には、容器9が口金91を下方として倒立状態で取り付けられる。基台11には、プロテクタ固定部4が設けられている。プロテクタ固定部4は、図3に示すように、水平面上で90度の角度範囲で回動可能に設けられている。容器9を基台11の上面に載置し、プロテクタ固定部4を回動させてその先端部を上プロテクタ92の貫通孔に係合させることにより、上プロテクタ92を基台11の上面に固定できる。図2は上プロテクタ92をプロテクタ固定部4によって固定した状態である。
【0034】
また、基台11には、口金91に当接して容器本体90を上方に加圧して押し上げるための押し上げ部5が設けられている。押し上げ部5は、上下動可能に設けられており、空気圧シリンダ51によって駆動される。空気圧シリンダ51は作業者がフットスイッチによって操作可能であり、これにより、作業者は押し上げ部5の上げ下げを適宜のタイミングで行うことができる。
【0035】
本発明のプロテクタ剥離装置1は、コイル21,22に高周波交流電流を流して誘導加熱により容器本体90を加熱し、プロテクタと容器本体90との接着部を破壊する。さらに、プロテクタ固定部4と押し上げ部5によりプロテクタと容器本体90とを引き離して、プロテクタを剥離するのである。プロテクタ固定部4と押し上げ部5が剥離手段に相当する。
【0036】
高周波交流電源3は、コイル21,22に高周波交流電流を供給するためのものである。なお、コイル21,22は直列に接続されており、コイル21,22には高周波交流電源3から同じ電流が流される。高周波交流電源3は、コイル21,22に電流供給するための、出力電圧、出力電流、周波数などが設定可能である。また、高周波交流電源3にはタイマ回路が設けられており、電流供給を行う時間が任意に設定できる。電流供給の時間を設定しておけば、その時間が経過すると自動的に供給電流が遮断される。
【0037】
高周波交流電源3は、供給電流の範囲を、少なくとも、周波数10kHz〜40kHz、電流値40〜200Aの範囲で設定可能である。また、電流供給の時間は、少なくとも20〜180秒間の範囲で設定可能である。
【0038】
高周波交流電源3からコイル21,22に高周波交流電流を供給する際には、冷却液循環部6からコイル21,22の中空パイプの内部に冷却液を循環させて、コイル21,22の冷却をおこなう。冷却液循環部6が冷却手段に相当する。冷却液循環部6による冷却液の循環は、高周波交流電源3の電流供給に連動している。高周波交流電源3からコイル21,22に電流が供給される際には、自動的に冷却液の循環も行われる。
【0039】
次に、容器9から上プロテクタ92を剥離するための手順と、その実例について説明する。まず、プロテクタ剥離装置1の基台11上に、容器9を倒立状態で載置する。このとき、コイル21,22は、上プロテクタ92の接着部に近接することになる。そして、プロテクタ固定部4を回動させて上プロテクタ92を基台11上に固定する。次に、高周波交流電源3の供給電流の周波数および電流値を設定し、電流供給の時間を設定して、コイル21,22に電流供給を開始する。電流供給に連動して冷却液も循環される。
【0040】
コイル21,22に高周波交流電流が流されて、誘導加熱により容器本体90が加熱され、容器本体90と上プロテクタ92との接着部(接着剤層)が熱によって破壊されていく。設定時間が経過する時点では、接着部が十分に破壊されている。設定時間が経過すると、コイル21,22への電流供給が自動的に停止される。
【0041】
その後、作業者がフットスイッチを操作して、押し上げ部5を上昇させる。押し上げ部5は口金91に当接して容器本体90を押し上げ、容器本体90と上プロテクタ92とを剥離する。すでに容器本体90と上プロテクタ92との接着部が十分に破壊されているので、この剥離は小さな力で容易に行うことができる。剥離後は容器本体90を手で移動することができる。
【0042】
実際に剥離を行った例では、高周波交流電源3の印加電圧400V、供給電流値120A、周波数24.6kHzの条件で、60秒間コイル21,22に電流供給を行ったところ、容器本体90と上プロテクタ92との接着部が十分に破壊され、容易に上プロテクタ92を剥離することができた。このときの容器9は、容器本体90がステンレス鋼からなり、プロテクタはスチレンブタジエンゴムをベースにしたものであり、接着剤は塩化ゴム系接着剤であった。
【0043】
なお、容器本体90がステンレス鋼からなる場合、あまり加熱温度が高くなると、ステンレス鋼に鋭敏化状態が発生し、ステンレス鋼が腐食されやすくなることがある。そのため、ステンレス鋼からなる容器本体を再利用する場合には、その温度が550℃を超えない範囲で加熱することが望ましい。すなわち、容器本体の温度が550℃を超えないように、供給電流値、周波数および供給時間を設定する。具体的には、周波数20kHz〜30kHz、電流値100〜140A、供給時間50〜70秒の範囲でコイル21,22に電流供給を行うことが好ましい。
【0044】
また、容器本体がその他の一般的な金属の場合には、周波数10kHz〜40kHz、電流値40〜200A、供給時間20〜180秒の範囲でコイル21,22に電流供給を行うことが好ましい。
【0045】
以上のように、本発明の容器のプロテクタ剥離方法および装置によれば、誘導加熱によって容器本体を加熱することにより、容器本体とプロテクタとの接着部を熱によって破壊し、プロテクタを容器本体から短時間で効率的に剥離することができる。この際、容器本体に傷が付くこともなく、容器を修理して再使用する場合にも、非常に有用な剥離方法となっている。
【0046】
なお、図2、図3の実施の形態では、上プロテクタ92を容器本体90から剥離する場合について示したが、コイル21,22の位置や、プロテクタ固定部4の形状を変更すれば、下プロテクタ93の剥離も可能である。すなわち、コイル21,22の位置を調整し、プロテクタ固定部4を他の形状のものに交換する等によって、下プロテクタ93の剥離が可能となる。
【0047】
さらに、図2に示したプロテクタ剥離装置1では、容器9を倒立状態で装置に取り付けるようにしているが、本発明はこのような構造に限定されることもない。例えば、容器9を正立状態として、上方から上プロテクタ92を保持して容器9を吊り下げ保持するようにし、容器本体90の自重で上プロテクタ92を剥離するようにしてもよい。その際、容器本体90に重りを付加して剥離のための力を増大することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、金属製の容器本体とゴム等のプロテクタが接着によって固着された容器において、プロテクタを容器本体から短時間で効率的に剥離することが可能な容器のプロテクタ剥離方法および装置を提供するができる。これにより、容器本体を傷つけずにプロテクタを短時間で効率的に除去することができ、容器の修理再生にも有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 プロテクタ剥離装置
3 高周波交流電源
4 プロテクタ固定部
5 押し上げ部
6 冷却液循環部
9 容器
11 基台
21,22 コイル
23,24 支持部材
51 空気圧シリンダ
90 容器本体
91 口金
92 上プロテクタ
93 下プロテクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなる容器本体(91)に軟質材料からなるプロテクタ(92,93)が接着により固着されている容器(9)に対して、コイル(21,22)を前記プロテクタ(92,93)の固着位置の近傍に配置する手順と、
前記コイル(21,22)に高周波交流電流を所定時間供給し、前記容器本体(91)の前記プロテクタ(92,93)固着位置近傍を高周波誘導加熱によって加熱して接着剤層を破壊する手順と、
前記プロテクタ(92,93)を前記容器本体(91)から剥離する手順とを有する容器のプロテクタ剥離方法。
【請求項2】
請求項1に記載した容器のプロテクタ剥離方法であって、
前記容器本体(91)はステンレス鋼からなるものである容器のプロテクタ剥離方法。
【請求項3】
請求項2に記載した容器のプロテクタ剥離方法であって、
前記容器本体(91)の高周波誘導加熱による加熱は、前記容器本体(91)の温度が550℃を超えない範囲で行うものである容器のプロテクタ剥離方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載した容器のプロテクタ剥離方法であって、
前記プロテクタ(92,93)は略環状のものであり、
前記コイル(21,22)は、前記プロテクタ(92,93)の内周側と外周側の両側に配置されたものである容器のプロテクタ剥離方法。
【請求項5】
請求項4に記載した容器のプロテクタ剥離方法であって、
前記コイル(21,22)は、前記プロテクタ(92,93)の内周側と外周側において、それぞれ2巻き以上巻かれたものである容器のプロテクタ剥離方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載した容器のプロテクタ剥離方法であって、
前記コイル(21,22)は、前記容器本体(91)との最小距離が5mm〜15mmとなるように配置されたものである容器のプロテクタ剥離方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載した容器のプロテクタ剥離方法であって、
前記コイル(21,22)は、外周が絶縁材料で被覆された銅からなる中空パイプである容器のプロテクタ剥離方法。
【請求項8】
請求項7に記載した容器のプロテクタ剥離方法であって、
前記コイル(21,22)は、前記中空パイプの内部に冷却液を流通させて冷却されるものである容器のプロテクタ剥離方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載した容器のプロテクタ剥離方法であって、
前記コイル(21,22)には、周波数10kHz〜40kHz、電流値40〜200Aの範囲の高周波交流電流を20〜180秒間供給するものである容器のプロテクタ剥離方法。
【請求項10】
金属からなる容器本体(91)に軟質材料からなるプロテクタ(92,93)が接着により固着されている容器(9)に対して、前記プロテクタ(92,93)の固着位置の近傍に配置されたコイル(21,22)と、
高周波交流電流を前記コイル(21,22)に所定時間供給する高周波交流電源(3)と、
前記プロテクタ(92,93)と前記容器本体(91)の少なくとも一方を保持し、前記プロテクタ(92,93)と前記容器本体(91)とを互いに引き離す力を作用させて、前記プロテクタ(92,93)を前記容器本体(91)から剥離する剥離手段(4,5)とを有する容器のプロテクタ剥離装置。
【請求項11】
請求項10に記載した容器のプロテクタ剥離装置であって、
前記プロテクタ(92,93)は略環状のものであり、
前記コイル(21,22)は、前記プロテクタ(92,93)の内周側と外周側の両側に配置されたものである容器のプロテクタ剥離装置。
【請求項12】
請求項11に記載した容器のプロテクタ剥離装置であって、
前記コイル(21,22)は、前記プロテクタ(92,93)の内周側と外周側において、それぞれ2巻き以上巻かれたものである容器のプロテクタ剥離装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載した容器のプロテクタ剥離装置であって、
前記コイル(21,22)は、前記容器本体(91)との最小距離が5mm〜15mmとなるように配置されたものである容器のプロテクタ剥離装置。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1項に記載した容器のプロテクタ剥離装置であって、
前記コイル(21,22)は、外周が絶縁材料で被覆された銅からなる中空パイプである容器のプロテクタ剥離装置。
【請求項15】
請求項14に記載した容器のプロテクタ剥離装置であって、
前記コイル(21,22)の前記中空パイプの内部に冷却液を流通させて前記コイル(21,22)を冷却する冷却手段(6)を有する容器のプロテクタ剥離装置。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか1項に記載した容器のプロテクタ剥離装置であって、
前記高周波交流電源(3)は、周波数10kHz〜40kHz、電流値40〜200Aの範囲の高周波交流電流を20〜180秒間前記コイル(21,22)に供給するものである容器のプロテクタ剥離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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