説明

容器をブロー成形するための方法および装置

本発明による方法および装置は容器をブロー成形するために用いる。パリソンを、ブロー成形機(41)のブロー成形型内部で熱的にコンディショニングした後、ブロー成形圧を作用させることにより容器に成形する。必要なブロー成形ガスはコンプレッサ(42)によって提供する。ブロー成形機(41)の制御部(45)がコンプレッサ(42)によって提供される出力圧の目標値を発生させるように、コンプレッサ制御部(44)はブロー成形機(41)の制御部(45)と接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器をブロー成形するための方法であって、パリソンを、ブロー成形機のブロー成形型内部で熱的にコンディショニングした後、ブロー成形圧を作用させることにより容器に成形し、ブロー成形ガスをコンプレッサによって提供するようにした前記方法に関するものである。
さらに本発明は、ブロー成形型を備えた少なくとも1つのブロー成形ステーションを有し、ブロー成形ステーションがコンプレッサ制御部を有しているコンプレッサと接続されている、容器をブロー成形するための装置にも関わる。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形圧を作用させて容器を成形する場合、熱可塑性材料(たとえばPET(ポリエチレンテレフタラート))から成っているパリソンは、ブロー成形機内部において種々の加工ステーションに供給される。この種のブロー成形機は、典型的には、加熱装置とブロー成形装置とを有し、ブロー成形装置の領域において、予め温度調整したパリソンを両軸方向に配向することで該パリソンを膨張させ容器を形成させる。膨張は圧縮空気を用いて行われ、圧縮空気は膨張されるパリソンの内部へ導入される。パリソンをこのように膨張させる際の方法技術的なプロセスに関しては特許文献1に説明されている。その冒頭で説明されている、加圧状態にあるガスの導入部は、発生する容器のブローホールに圧力ガスを導入させる部分と、ブロー成形開始時にパリソンに圧力ガスを導入させる部分とを有している。
【0003】
容器を成形するためのブローステーションの基本的な構成に関しては特許文献2に記載されている。また、パリソンを温度調整する可能な態様に関しては特許文献3に説明されている。
【0004】
ブロー成形装置の内部では、パリソンとブロー成形された容器とを種々の操作装置を用いて搬送することができる。特に、パリソンを嵌合させる搬送心棒を使用することは公知である。しかし、他の搬送装置を用いてパリソンを操作することもでき、たとえばパリソンを操作するやっとこの使用、パリソンの保持のために該パリソンの口領域に挿入可能な拡開心棒の使用もその構造的な例である。
【0005】
搬送ホイールを使用した容器の操作はたとえば特許文献4に記載されており、1つの搬送ホイールをブローホイールと搬出路との間に配置し、他の搬送ホイールを加熱路とブローホイールとの間に配置する構成になっている。
【0006】
前述したパリソンの操作にはいわゆる2段階方式で行われるものがある。すなわち、まずパリソンを射出成形法で製造し、次に中間蓄積してその後温度に関しコンディショニングを行い、容器にブロー成形させる。他方いわゆる1段階方式を適用したものもある。この方式では、パリソンを射出成形技術で製造し十分に固化した直後に、適宜温度調整してブロー成形する。
【0007】
使用されるブローステーションに関しては種々の実施態様が知られている。回転搬送ホイール上に配置されるブローステーションの場合には、型担持体を本のように開閉させる構成のものが多い。他方、互いに変位可能な型担持体或いは他の態様で案内される型担持体を使用することも可能である。特に複数のキャビティを収容するのに適している位置固定の型担持体の場合には、互いに平行に配置された板を型担持体として使用するのが通常である。
【0008】
ブロー成形ステーションへのブロー成形ガス、特に圧縮ガスの供給は、通常1個または複数個のコンプレッサを介して行なわれる。典型的には、使用されるコンプレッサはコンプレッサ制御部を備えており、コンプレッサとブロー成形機との間には圧縮空気蓄圧器が組み込まれている。コンプレッサ制御部は、コンプレッサを、圧縮空気蓄圧器の領域に所定の圧力レベルが維持されるように制御する。典型的には、コンプレッサ制御部は、圧縮空気蓄圧器の領域にほぼ38バールの圧力レベルが提供されるように調整されている。ブロー成形機は、圧縮空気蓄圧器によって提供される圧力を、容器を成形するために実際に必要な圧力レベルへ低減させる圧力制御装置を備えている。
【0009】
典型的には、通常のブロー成形機で、サイズが非常に異なる瓶がブロー成形される。ブロー成形された瓶の容積は0.15ないし3.0リットルの範囲で変動する。それぞれの瓶容積および所定の瓶形状によっては、容器成形のために使用されるブロー成形圧も比較的強く変動する。典型的なブロー成形圧は22と38バールの間の範囲にある。
【0010】
容器をブロー成形技術により製造するための経常運転コストの大部分は、必要なブロー成形空気の提供から発生する。このコストを削減するため、たとえば、使用するブロー成形空気を何度も使用し、使用した高圧力レベルのブロー成形空気をより低い圧力レベルで新たに容器成形部に供給することが知られている。このようなブロー成形空気のリサイクルは常に広範囲に使用できるわけではないので、この種のリサイクルを実現するだけでは、運転コストを著しく削減するという要求を完全に満足にかなえることはできない。
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19906438号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類の方法を、運転コストの削減に貢献するように改善することである。
本発明の他の課題は、冒頭で述べた種類の装置を、運転コストを削減できるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、本発明による方法によれば、ブロー成形機の制御部がコンプレッサによって提供される出力圧の目標値を発生させるように、コンプレッサ制御部がブロー成形機の制御部と接続されていることによって解決される。
【0014】
コンプレッサ制御部をブロー成形機の制御部と連結させることにより、コンプレッサをエネルギーに関し最適に作動させることが可能である。これにより、コンプレッサの出力圧は不必要に高いレベルに上昇して再び減少することはせず、コンプレッサはその都度の使用例に必要な圧力レベルのみを発生させる。
【0015】
コンプレッサ制御部とブロー成形機の制御部とを連結することにより、ブロー成形機とコンプレッサ装置との間に、コンプレッサ装置の消費電力を低減させ、これによって運転コストを節減させるように接続システムが提供される。
【0016】
種々の使用条件を考慮するため、コンプレッサを、コンプレッサ制御部に依存して、予め設定可能な異なる出力圧で作動させる。
【0017】
ブロー成形機の生産始動時における時間的な遅延を少なくするため、コンプレッサ制御部が、ブロー成形機の制御部によって目標値を設定することなくコンプレッサを制御して所定の最大出力圧を発生させる。
【0018】
必要な通信値を提供するため、ブロー成形機とコンプレッサとの間のインターコネクションは少なくとも一方向性データ伝送を行なう。ニ方向性データ伝送も有利である。
【0019】
実施コストを少なくするため、コンプレッサによって発生させるべき出力圧に対する目標値設定を、ブロー成形機の操作プログラムを介して行なう。
【0020】
技術的に生じる圧力損を考慮するため、コンプレッサの出力圧を、ブロー成形機が必要とするブロー成形圧と付加的な差圧とを加算することによって特定する。
【0021】
特に、前記差圧を、ブロー成形機の圧力コントローラの差圧と接続ラインの圧力損失とコンプレッサ制御部のヒステリシスとの総計により検出する。
【0022】
1実施態様によれば、少なくとも2つのブロー成形機を少なくとも1つのコンプレッサに接続させる。
【0023】
同様に、少なくとも2つのコンプレッサを少なくとも1つのブロー成形機に接続させることも可能である。
【0024】
圧縮空気の消費量が時間的に変化する場合に安定な供給圧を提供するため、コンプレッサによって提供される圧縮空気の少なくとも一部分を蓄圧器によって蓄圧させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1と図2はパリソン(1)をブロー成形して容器(2)を形成するための装置の基本構成図である。
【0026】
容器(2)の成形装置は実質的にブローステーション(3)から成り、ブローステーション(3)はパリソン(1)を挿着可能なブロー成形型(4)を備えている。パリソン(1)はたとえばポリエチレンテレフタラートから成る射出成形品である。パリソン(1)をブロー成形型(4)に挿着し、且つ完成した容器(2)を取り出すことができるようにするため、ブロー成形型(4)は型半部分(5,6)と底部(7)とから成っている。底部(7)は昇降装置(8)により位置決め可能である。パリソン(1)はブローステーション(3)の領域において搬送心棒(9)によって保持されていてよい。搬送心棒(9)は、パリソン(1)とともに、装置内部の多数の処理ステーションを通過する。他方、パリソン(1)をたとえばやっとこ或いは他の操作手段を介して直接ブロー成形型(4)に挿着するようにしてもよい。
【0027】
圧縮空気の誘導を可能にするため、搬送心棒(9)の下方には接続ピストン(10)が配置されている。接続ピストン(10)はパリソン(1)に圧縮空気を供給するとともに、搬送心棒(9)に対する密封の用をも成す。他方、変形実施形態では、固定の圧縮空気管を使用することも基本的には考えられる。
【0028】
パリソン(1)の引伸ばしは、本実施形態では、引伸ばし棒(11)を用いて行う。引伸ばし棒(11)はシリンダ(12)により位置決めされる。他の実施形態によれば、ピックアップローラによって付勢されるカムセグメントを介して引伸ばし棒(11)の機械的位置決めを行う。カムセグメントの使用は、特に、多数のブローステーション(3)が1つの回転ブロー成形ホイール上に配置されている場合に合目的である。
【0029】
図1に図示した実施形態の場合、引伸ばしシステムは、2つのシリンダ(12)のタンデム配置が可能であるように構成されている。引伸ばし棒(11)は、本来の引伸ばし工程を開始する前に、まず第1次シリンダ(13)によりパリソン(1)の底部(14)の領域まで移動させる。本来の引伸ばし工程を実施している間、引伸ばし棒を走出させた第1次シリンダ(13)は、該第1次シリンダ(13)を担持している往復台(15)とともに第2次シリンダ(16)により位置決めされ、或いはカム制御部を介して位置決めされる。特に、引伸ばし工程を実施している間に曲線軌道に沿って滑動するガイドローラ(17)により実際の引伸ばし位置が設定されるように、第2次シリンダ(16)をカム制御して使用することが考えられる。ガイドローラ(17)は第2次シリンダ(16)により案内軌道に対し押圧される。往復台(15)は2つの案内要素(18)に沿って滑動する。
【0030】
担持体(19,20)の領域に配置される型半部分(5,6)を閉じた後、ロック装置(40)を用いて担持体(19,20)を互いにロックさせる。
【0031】
パリソン(1)の口部分(21)の種々の形状に適合させるため、図2によれば、ブロー成形型(4)の領域に別個のスレッドインサート(22)を使用する。
【0032】
図2はブロー成形された容器(2)に加えて破線でパリソン(1)を示すとともに、成長している容器ブローホール(23)を概略的に図示したものである。
【0033】
図3はブロー成形機の基本構成を示す。ブロー成形機は加熱路(24)と回転ブローホイール(25)とを備えている。パリソン(1)はパリソン装入部(26)を起点として搬送ホイール(27,28,29)により加熱路(24)の領域へ搬送される。加熱路(24)に沿って放射加熱器(30)とファン(31)とが配置され、パリソン(1)を温度調整するようになっている。パリソン(1)を十分に温度調整した後、パリソン(1)はブローホイール(25)へ搬送される。ブローホイール(25)の領域にはブローステーション(3)が配置されている。ブロー成形を完了した容器(2)は他の搬送ホイールにより排出路(32)に供給される。
【0034】
容器(2)内に充填される食料品の、特に飲料物の長い有効寿命を保証するような材料特性を容器(2)が有するようにパリソン(1)を容器(2)に成形するには、パリソン(1)の加熱と配向の際に特別な方法ステップを厳守する必要がある。さらに、特殊な寸法規定を厳守することにより有利な成果を得ることができる。
【0035】
熱可塑性材料としては種々のプラスチックを使用することができる。たとえばPET,PENまたはPPを使用できる。
【0036】
配向工程を実施している間のパリソン(1)の膨張は圧縮空気の供給により行う。圧縮空気の供給は、ガス(たとえば圧縮空気)を低圧レベルで供給するブロー成形前段階と、ガスを高圧レベルで供給する次のブロー成形主段階とに分ける。典型的には、ブロー成形前段階を実施している間は10バールないし25バールの範囲の圧力を持った圧縮空気を供給し、ブロー成形主段階を実施している間は25バールないし40バールの範囲の圧力を持った圧縮空気を供給する。
【0037】
図3からわかるように、図示した実施形態の場合、加熱路(24)は周回する多数の搬送要素(33)から形成され、これらの搬送要素(33)はチェーン状に互いに列設され、転向ホイール(34)によって案内されている。特に、チェーン状に配置することにより実質的に長方形の基本輪郭を張るよう想定している。図示した実施形態の場合、加熱路(24)の搬送ホイール(29)側および装入ホイール(35)側の拡がり領域には比較的大きなサイズの単独の転向ホイール(34)が使用され、この領域に隣接している転向領域には比較的小サイズの2つの転向ホイール(36)が使用されている。しかし基本的には他の任意のガイドも考えられる。
【0038】
搬送ホイール(29)と装入ホイール(35)とを互いに可能な限り密に配置することができるようにするにはこの種の配置が特に合目的であることが判明した。というのは、加熱路(24)の対応する拡がり領域には3つの転向ホイール(34,36)が位置決めされ、より厳密に言えば、小さいほうの転向ホイール(36)がそれぞれ加熱路(24)の直線部への移行領域に位置決めされ、大きいほうの転向ホイール(34)が搬送ホイール(29)と装入ホイール(35)とに直接移行する領域に位置決めされているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、たとえば回転加熱ホイールを使用してもよい。
【0039】
容器(2)のブロー成形が終了した後、容器(2)は取り出しホイール(37)によりブローステーション(3)から搬出され、搬送ホイール(28)と搬出ホイール(38)とを介して搬出路(32)へ搬出される。
【0040】
図4に図示した加熱路(24)の変形実施形態では、より多数の放射加熱器(30)を設けることにより、単位時間当たりより大量のパリソン(1)を温度調整することができる。この変形実施形態では、ファン(31)が冷却空気を冷却空気管路(39)の領域へ誘導する。冷却空気管路(39)はそれぞれ付設の放射加熱器(30)に対向配置され、排流穴を介して冷却空気を放出する。このように排流方向を設定することにより、冷却空気の流動方向は実質的にパリソン(1)の搬送方向に対し横方向に実現される。冷却空気管路(39)は、放射加熱器(30)に対向している表面の領域に、加熱放射線のための反射器を備えていてもよい。同様に、放出された冷却空気を介して放射加熱器(30)の冷却を行うようにしてもよい。
【0041】
図5は、コンプレッサ(42)および蓄圧器(43)を使用してブロー成形機(41)に圧縮空気を供給する態様を概略的に示したものである。蓄圧器(43)は典型的にはボイラーとして構成されている。コンプレッサ(42)はコンプレッサ制御部(44)を有し、ブロー成形機(41)は制御部(45)を備えている。蓄圧器(43)は圧力測定装置(46)を備えており、圧力測定装置(46)はコンプレッサ(42)から提供される出力圧の実測値をコンプレッサ制御部(44)へ送る。
【0042】
コンプレッサ制御部(44)とブロー成形機(41)の制御部(45)とはインターコネクション(47)を介して互いに接続されている。インターコネクション(47)はその都度の使用条件に依存して一方向または双方向のデータ伝送を支援する。技術的には、インターコネクション(47)は種々の実施態様で実現できる。たとえば、ケーブル接続または無線接続が考えられる。ケーブル接続の場合には、データ伝送はたとえば電気的または光学的に行なうことができる。無線接続は無線経路、赤外線経路または他の無接触通信経路を介して提供される。
【0043】
図5の図示を変更した図6の図示から明らかなように、ブロー成形機(41)の制御部(45)はコンプレッサ制御部(44)に対する事前設定値を目標値入力部(48)に提供する。コンプレッサ制御部(44)は、さらに、基本目標値のための入力部(49)を有している。目標値入力部(48)と入力部(49)とは優先処理制御部とリンクしていてよい。これは、ブロー成形機(41)からの誘導値がある場合にはコンプレッサはこの誘導値を目標値として考慮し、この種の外部からの制御値がない場合には、入力部(49)から提供される目標値を考慮することを意味している。
【0044】
前述した優先処理制御を考慮すれば、たとえば、蓄圧器(43)の領域にブロー成形機(41)を接続させずに基本圧を提供することが可能である。基本圧とは、たとえば、コンプレッサが発生させる最大出力圧(たとえば38バールの圧力)である。これにより、ブロー成形機(41)が具体的に必要とするブロー成形圧とは関係なく、時間遅延なしに、必要とするブロー成形圧が提供されることが保障されている。この場合、ブロー成形機(41)を始動させた後、実際に必要なブロー成形圧の目標値が目標値入力部(48)に印加され、コンプレッサ(42)は蓄圧器(43)の領域に割り当てられる出力圧を提供する。
【0045】
コンプレッサ(42)を最適に制御するため、コンプレッサ(42)によって提供される全出力圧をブロー成形ステーション(3)に供給するのではなく、圧力損を考慮するよう配慮する。それ故、コンプレッサ(42)は、実際にブロー成形ステーション(3)が必要とするブロー成形圧に差圧を加えたものを提供するのが有利である。コンプレッサ蓄圧システムの送出圧PK−Sは、以下の式を評価することによって特定することができる。
【0046】
K−S=PBd+ΔPBr+ΔPDV+ΔPK−S−H
ここで、
Bd=機内で必要とするブロー成形圧
ΔPBr=ブロー成形圧コントローラがブロー成形機においてコントロールのために必要とする差圧
ΔPDV=蓄圧器とブロー成形圧コントローラとの間での流動による圧力損
ΔPK−S−H=コンプレッサのオンオフ圧によって生じるコンプレッサ・蓄圧システムヒステリシス
【0047】
上記式の評価について、以下の例に関し説明する。これから、圧縮空気のデマンド制御が蓄圧器圧力にどのように影響するか、したがってコンプレッサの消費電力にどのように影響するかがわかる。
瓶A 瓶B
【0048】
Bd =36バール 24バール
ΔPBr =2バール 2バール
ΔPDV =0.5バール 0.5バール
ΔPK−S−H =1バール 1バール
K−S =39.5バール 27.5バール
【0049】
上の表を評価するとわかるように、瓶(A)の代わりに瓶(B)をブロー成形技術により製造すると、コンプレッサ(42)の出力圧はほぼ12バールだけ低くて済む。コンプレッサの出力圧が減少することにより、コンプレッサは提供された空気を不必要に高い圧力レベルへ圧縮させる必要がない。これから、ほぼ1000ないし3000標準立方メートルの典型的な圧縮空気消費量の場合であれば、かなりのエネルギー節減ポテンシャルが得られる。
【0050】
図7は、共通の1つの蓄圧器(43)を介して互いに連結されている2つのコンプレッサ(42)と2つのブロー成形機(41)とから成る複合型生産設備を示している。この種の配置構成の場合、両コンプレッサ(42)を同じ目標値で作動させるのが好ましい。両ブロー成形機(41)はそれぞれコンプレッサ制御器(44)に対し、個別に製造される容器(42)から結果する目標値を提供する。コンプレッサ制御部(44)は必要とする圧力レベルよりも高い圧力レベルを提供する。
【0051】
基本的には、具体的な使用条件に応じて、任意の数量のコンプレッサ(42)およびブロー成形機(41)を互いに連結させてよい。この場合には、ブロー成形機(41)に必要な圧縮空気全需要量がコンプレッさ(42)によって提供され、最大ブロー成形圧を必要とするブロー成形機(41)に少なくともこの圧力レベルを供給するよう配慮するだけでよい。
【0052】
典型的には、ブロー成形機(41)の制御部(45)は、容器(3)を製造するための所定処方の記憶部および変更部を含んでいる操作装置を有している。処方には、1つの生産パラメータとして、必要ブロー成形圧が含まれている。このブロー成形圧パラメータに依存してブロー成形機(41)の圧力制御装置が制御される。したがって、前記ブロー成形圧パラメータは著しいコストを要することなくコンプレッサ制御部(44)にも提供できる。実際に必要な差圧(コンプレッサ(42)の出力圧は実際に必要なブロー成形圧よりもこの差圧分だけ高くなければならない)は、ブロー成形機(41)の制御部(45)の領域においてもコンプレッサ制御部(44)の領域においても算出することができる。有利には、この算出をブロー成形機(41)の制御部(45)の領域において行なうのがよい。というのは、ここでは、必要なすべての情報が提供され、コンプレッサ制御部(44)の変化が避けられるからである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】パリソンから容器を製造するためのブロー成形ステーションの斜視図である。
【図2】パリソンを延伸させ膨張させるブロー成形型の縦断面図である。
【図3】容器をブロー成形するための装置の基本構成を説明するための概略図である。
【図4】加熱容量を増大させた加熱路の実施態様を示す図である。
【図5】コンプレッサと蓄圧器とブロー成形機とからなる装置全体を説明するためのブロック構成図である。
【図6】図5の変形実施形態の図である。
【図7】複数個のコンプレッサと複数個のブロー成形機とから成るシステムを説明するための図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器をブロー成形するための方法であって、パリソンを、ブロー成形機のブロー成形型内部で熱的にコンディショニングした後、ブロー成形圧を作用させることにより容器に成形し、ブロー成形ガスをコンプレッサによって提供するようにした前記方法において、
ブロー成形機(41)の制御部(45)がコンプレッサ(42)によって提供される出力圧の目標値を発生させるように、コンプレッサ制御部(44)がブロー成形機(41)の制御部(45)と接続されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
コンプレッサ(42)を、コンプレッサ制御部(44)に依存して、予め設定可能な異なる出力圧で作動させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コンプレッサ制御部(44)が、ブロー成形機(41)の制御部(45)によって目標値を設定することなくコンプレッサ(42)を制御して所定の最大出力圧を発生させることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ブロー成形機(41)とコンプレッサ(42)との間のインターコネクション(47)が少なくとも一方向性データ伝送を行なうことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
コンプレッサ(42)によって発生させるべき出力圧に対する目標値設定を、ブロー成形機(41)の操作プログラムを介して行なうことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
コンプレッサ(42)の出力圧を、ブロー成形機(41)が必要とするブロー成形圧と付加的な差圧とを加算することによって特定することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記差圧を、ブロー成形機の圧力コントローラの差圧と接続ラインの圧力損失とコンプレッサ制御部(44)のヒステリシスとの総計により検出することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2つのブロー成形機(41)を少なくとも1つのコンプレッサ(42)に接続させることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つのコンプレッサ(42)を少なくとも1つのブロー成形機(41)に接続させることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
コンプレッサ(42)によって提供される圧縮空気の少なくとも一部分を蓄圧器(43)によって蓄圧させることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
ブロー成形型を備えた少なくとも1つのブロー成形ステーションを有し、ブロー成形ステーションがコンプレッサ制御部を有しているコンプレッサと接続されている、容器をブロー成形するための装置において、
コンプレッサ制御部(44)がブロー成形機(41)の制御部(45)と接続されていること、
ブロー成形機(41)の制御部(45)の出力がコンプレッサ制御部(44)の目標値入力部(48)に接続されていることを特徴とする装置。
【請求項12】
コンプレッサ制御部(44)が、コンプレッサ(42)の異なる出力圧を設定できるように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
コンプレッサ制御部(44)が、処理優先権に関し目標値入力部(48)の下流側に配置される、基本目標値のための入力部(49)を有していることを特徴とする、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
ブロー成形機(41)とコンプレッサ(42)との間のインターコネクション(47)が少なくとも一方向性データ伝送を実施できるように構成されていることを特徴とする、請求項11から13までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
ブロー成形機(41)の制御部(45)が実際のブロー成形圧の目標値を予め設定するための操作プログラムを有していることを特徴とする、請求項11から14までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
前記制御部(45)が、実際のブロー成形圧と差圧とを加算することによりコンプレッサ(42)に必要な出力圧を求めるための演算ユニットを有していることを特徴とする、請求項11から15までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
演算ユニットが、ブロー成形圧コントローラの差圧と流動経路に沿った圧力損とコンプレッサ(42)のコントローラヒステリシスとの差圧を形成するように構成されていることを特徴とする、請求項11から16までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
少なくとも2つのブロー成形機(41)が少なくとも1つのコンプレッサ(42)に接続されていることを特徴とする、請求項11から17までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項19】
少なくとも2つのコンプレッサ(42)が少なくとも1つのブロー成形機(41)に接続されていることを特徴とする、請求項11から18までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項20】
コンプレッサ(42)をブロー成形機(41)と接続させている圧縮空気連結部が少なくとも1つの蓄圧器(43)を有していることを特徴とする、請求項11から19までのいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−529444(P2009−529444A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558629(P2008−558629)
【出願日】平成19年1月20日(2007.1.20)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000101
【国際公開番号】WO2007/104273
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(509017365)カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (15)
【Fターム(参考)】