説明

容器アダプター

【課題】 本発明は、自転及び公転方式の容器10を備えた撹拌又は脱泡撹拌装置の前記容器10内に着脱可能に取りつけられると共に、着脱可能にシリンジ等20を保持して、容器10の自転運動と公転運動に追従してシリンジ等20に撹拌又は脱泡撹拌を与えることができるようにした改良された容器アダプターを提供する。
【解決手段】 自転及び公転方式の容器10を備えた撹拌又は脱泡撹拌装置の前記容器10内に収容されるシリンジ等20を保持できるようにした容器アダプターであって、シリンジ等20を容器10内に立設し、2液混合常温硬化形のゴム・合成樹脂を容器10内に注入して成形体30、40及び50をつくり、成形体30、40及び50を容器10に着脱可能に嵌入できるようにすると共に、シリンジ等20が成形体30、40及び50に着脱可能に嵌入できるようにすることにより、製作簡単容易で安価につく容器アダプターができるようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶剤等の充填されたシリンジ等を、自転及び公転方式の容器を備えた撹拌又は脱泡撹拌装置の前記容器内に、着脱可能に保持できるようにした改良された容器アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記容器アダプターは、特開2002−316031号公報の図1,図2及び図4に示されるように、複数個のシリンジ20を、容器30の底部に嵌入した円板状基台3の中央に立設した柱体4の上下方向に設けられた円板状の第1保持体5及び6からなるアダプター本体1の貫通孔9a(第1保持体5の貫通孔)、貫通孔9b(第1保持体6の貫通孔)及び貫通孔7a(基台3の貫通孔)に着脱可能に挿入して固定できるようしたもので、構造が複雑な上に、切削工作のため製作精度が大きく要求され、また、長時間の製作時間が必要で高価につく欠点があった。その上、シリンジは、用途によって極めて多種類の形状があり、これらに対応するためには、多種類の容器アダプターを機械加工して製作する必要があり、このため、今後のシリンジの需要増加に能率よく対応できない問題点があった。
本発明者は、多種類のシリンジ等の形状、大きさ等に即応して短時間に簡単容易に精度よく製作することができるようにした容器アダプターの開発に成功した。
また、本発明者は、前記容器そのものに撹拌又は脱泡する物質を入れた場合、使用後の容器の洗浄が煩雑なため、使いすての合成樹脂製又は紙製容器が使用できるようにした容器アダプターを短時間に簡単容易に精度よく製作することにも成功した。
【特許文献1】特開2002−316031号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、容器に着脱可能に取りつけられると共に、着脱可能にシリンジを保持して、容器の自転運動と公転運動に追従してシリンジに容易に撹拌又は脱泡撹拌を与える短時間に簡単容易に精度よく製作ことができるようにした改良された容器アダプターを提供するものである。
また、本発明は、容器に着脱可能に取りつけられると共に、着脱可能に使いすて容器を保持して、容器の自転運動と公転運動に追従して使いすて容器に容易に撹拌又は脱泡撹拌を与えることができるようにした容器アダプターを短時間に簡単容易に精度よく製作できるようにした改良された容器アダプターを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明容器アダプターは、上記課題を達成するため、図示するように、請求項1の発明は、自転及び公転方式の容器10を備えた撹拌又は脱泡撹拌装置の前記容器10内に収容されるシリンジ20を着脱可能に保持できるようにした容器アダプターであって、前記シリンジ20の先端部21を着脱可能に挿入できるようにすると共に、前記シリンジ20の筒上端部220を支持できるようにした第1貫通孔31を設けて、前記容器10底部11に着脱可能に嵌入できるようにした第1層形成物30と、前記シリンジ20の筒部22を立設できるように、前記シリンジ20の筒上部221を着脱可能に嵌入できるようにした第2貫通孔41を設けて、前記容器10に嵌入した第1層形成物30の上面32に接合して前記容器10に着脱可能に嵌入できるようにした第2層形成物40と、前記シリンジ20の筒上部221を除いた筒部22を着脱可能に嵌入できるようにした第3貫通孔51を設けて、前記容器10に嵌入した第2層形成物40の上面42に接合して前記容器10に着脱可能に嵌入できるようにした第3層形成物50とからなり、前記第3層形成物50が、前記第1層形成物30の第1貫通孔31及び前記第2層形成物40の第2貫通孔41を介して立設したシリンジ20の筒部22まわりと前記容器10の内壁まわりに2液混合常温硬化形のゴム・合成樹脂を注入して硬化させたものから形成されているものである。
また、本発明容器アダプターは、上記課題を達成するため、図示するように、請求項2の発明は、自転及び公転方式の容器10Bを備えた撹拌又は脱泡撹拌装置の前記容器10B内に収容される使いすて容器20Bを保持できるようにした容器アダプターであって、前記容器10B内に立設した使いすて容器20Bより僅かに胴まわりの大きいオス型60Bの胴まわりと前記容器10Bの内壁まわりに2液混合常温硬化形のゴム・合成樹脂を注入して硬化させたものから形成され、前記容器10B内に着脱可能に嵌入できるようにすると共に、前記使いすて容器20Bを着脱可能に嵌入できるようにしたものである。
請求項1の発明において、第1層形成物は、これに穿設される第1貫通孔は、シリンジの先端部径より大きくシリンジの筒部径より小さい範囲内の孔径てあればよいので、第1層形成物は、そのメス型に注入されて硬化させられる主剤と硬化剤とからなる2液常温硬化型のゴム・合成樹脂から簡単容易に形成できる。この種の2液混合形のゴム・合成樹脂は、注入後硬化により僅かに収縮するので、容器に容器アダプタを着脱可能に嵌入するのに都合がよい。
第2層形成物は、これに穿設される第2貫通孔が確実にシリンジを立設するためには、第2貫通孔はその内径の許容範囲は厳しく制限され、第2貫通孔の内径を形成するためのメス型は、ゴム・合成樹脂の収縮率を予め織り込む必要がある。また、第2貫通孔は成形硬化後のゴム・合成樹脂板の第2層形成物から機械加工により精度よく穿孔してもよい。
第3層形成物は、第2層形成物の第2貫通孔によってシリンジを容器内に立設したのち、容器内に直接、2液混合形のゴム・合成樹脂を注入して硬化させるのが簡単容易で、2液混合形のゴム・合成樹脂は、注入成形後、全体が僅かに収縮する物質であるため、容器に着脱可能に嵌入できる。また、注入用のゴム・合成樹脂は、第3貫通孔をシリンジ筒部まわりに注入硬化させて形成するので、シリンジを第3貫通孔に着脱可能に嵌入するためには、孔径の収縮を考慮して注入用のゴム・合成樹脂は、硬化後に硬質よりも半硬質乃至ある程度の弾性が賦与される物質が好ましい。
また、第3層形成物は、シリンジ筒部を第2層形成物の第2貫通孔に立設したのち、前記ゴム・合成樹脂物質を注入するので、第2層形成物に接着されて一体化されるものであることが好ましい。
第1層形成物と第2層形成物との一体化は、通常、接着剤の塗布により行われる。
請求項2の発明において、使いすて容器は、公知の合成樹脂製コップ、紙コップ、薄合成樹脂フィルム製容器等があり、価格も極めて安価である。
使いすて容器より僅かに胴まわりの大きいオス型は、水と混練した石膏、2液混合常温硬化型のゴム・合成樹脂等が使用できる。オス型と自転及び公転方式の容器内との間には、2液混合常温硬化型のゴム・合成樹脂を注入して硬化させ容器アダプターの成形品を得る。2液混合常温硬化型のゴム・合成樹脂には注入硬化後に半硬質体乃至弾性体となるものを使用することができる。
また、前記ゴム・合成樹脂の注入成型品は、前述したように、硬化成形されたとき僅かに収縮するので、自転及び公転方式の容器内に注入すれば、この容器に着脱可能に嵌入できることになる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の容器アダプターは、公知の常温硬化の2液混合型ゴム・合成樹脂のシリコーンゴム、ウレタン樹脂等を使用し、注入するだけで簡単、容易かつ短時間に精度のよい容器アダプターが安価に製作できる。
また、本発明の容器アダプターは、撹拌又は脱泡撹拌物質の充填されるたシリンジ、使いすて容器を何回も着脱して使用でき、多量処理に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の容器アダプターは、自転及び公転方式の容器を備えた撹拌又は脱泡撹拌装置の前記容器内に着脱可能に嵌装でき、シリンジ及び使いすて容器に対応できるものである。
【実施例1】
【0007】
本発明例のシリンジ用容器アダプターは、第1層形成物30と第2層形成物40と第3層形成物50とから形成されている。
第1層形成物30は、自転及び公転方式の容器10の底面11に着脱可能に嵌入できるようにした円板状成形品であって、シリンジ20の先端部21を着脱可能に挿入できるようにした第1貫通孔31を一定間隔で8個穿設している。第1貫通孔31の孔径は、シリンジ先端径より大きく、シリンジ筒径より小さく、かつ、シリンジ筒上端部220を支持してシリンジ先端部21が容器底面11に当接しないように孔長さが形成される。また、第1層形成物30は、そのメス型(図示しない)に注入される2液混合常温硬化型のゴム・合成樹脂によって硬質成形品が得られる。
第2層形成物40は、容器10の底面11に着脱可能に嵌入した第1層形成物30の上面32に接着される円板状成形品であって、シリンジ20を立設できるように、シリンジ20の筒上部221を第2貫通孔41を介して、着脱可能に嵌入させるため、第1貫通孔31の孔中心線と同一線上に孔中心線を設けた第2貫通孔を8個穿設している。第2貫通孔41の孔径は、シリンジ筒径より僅かに大きい一定の許容範囲内に限定する必要がある。
第2層形成物40は、これが形成されるメス型に第1層形成物と同様に注型法により成形される。第2貫通孔41は機械加工により穿設してもよい。
第3層形成物50は、第1層形成物30と第2層形成物40とが一体化されたものに立設した8個の空シリンジ20(撹拌又は脱泡撹拌物質は充填されていない)の筒部22まわりと容器10内壁23まわりに所定高さになるまで注入して硬化させられる。この場合、注入に使用する2液混合常温硬化型のゴム・合成樹脂物質は注入硬化後に半硬質乃至弾性物質を形成するものが好ましい。
第3層形成物50は、第2層形成物40の上面42に注入されてそのまま接合される。
従って、本発明例の容器アダプターは、第1層形成物30、第2層形成物40及び第3層形成物50の一体化された成形体からなり、容器10に着脱可能に嵌入できると共に、各シリンジ20は溶剤等の充填物質を充填して着脱可能に、容器アダプターに嵌入して撹拌又は脱泡撹拌又は取りはずしができるようになり、多量処理ができる。
【実施例2】
【0008】
本発明例の合成樹脂製使いすてコップ用の容器アダプターは、使いすてコップ20Bの胴22Bまわりより僅かに大きいテーパー状の内径の穴部31Bを有する成形体30Bである。
成形体30Bは、容器10Bに着脱可能に嵌入される。また、成形体30Bの穴部31Bは、使いすてコップ20Bを着脱可能に嵌入する。
成形体30Bは、使いすてコップ20Bに水と混練した石膏を注入して膨張硬化させたオス型60Bを容器10Bの内底11Bに立設固定したのち、オス型60Bの胴まわりと容器10Bの内壁12Bまわりの間に、常温で硬化する2液混合型のゴム・合成樹脂の注入によって成形されたもので、硬化した成形体30Bは、使いすてコップ20Bを穴部31Bに着脱可能に嵌入すると共に、硬化成形時の僅かな収縮によって容器10Bに着脱可能に嵌入される。
【産業上の利用可能性】
【0009】
シリンジは、医薬用、化粧用、接着剤用、半導体ペースト用等の溶剤の充填された容器に使用され、今後産業界で多用されるものであり、使いすて容器は、使用後の容器の洗浄作業を省略できるもので、いずれも自転及び公転方式の撹拌又は脱泡撹拌装置の容器アダプターに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明実施例の平面図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】本発明の別の実施例の断面図である。
【符号の説明】
【0011】
10、10B 容器
11 容器の内底面
20 シリンジ
20B 使いすて容器
21 シリンジ先端部
22 シリンジ筒部
220 シリンジ筒上端部
221 シリンジ筒上部
30 第1層形成物
31 第1貫通孔
32 第1層形成物の上面
30B ゴム・合成樹脂成形体
31B ゴム・合成樹脂成形体の穴部
40 第2層形成物
41 第2貫通孔
42 第2層形成物の上面
50 第3層形成物
51 第3貫通孔
52 第3層形成物の上面
60B オス型


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転及び公転方式の容器を備えた撹拌又は脱泡撹拌装置の前記容器内に収容されるシリンジを着脱可能に保持できるようにした容器アダプターであって、前記シリンジの先端部を着脱可能に挿入できるようにすると共に、前記シリンジの筒上端部を支持できるようにした第1貫通孔を設けて、前記容器底部に着脱可能に嵌入できるようにした第1層形成物と、前記シリンジの筒部を立設できるように、前記シリンジの筒上部を着脱可能に嵌入できるようにした第2貫通孔を設けて、前記容器に嵌入した第1層形成物の上面に接合して前記容器に着脱可能に嵌入できるようにした第2層形成物と、前記シリンジの筒上部を除いた筒部を着脱可能に嵌入できるようにした第3貫通孔を設けて、前記容器に嵌入した第2層成型物の上面に接合して前記容器に着脱可能に嵌入できるようにした第3層形成物とからなり、前記第3層形成物が、前記第1層形成物の第1貫通孔及び前記第2層形成物の第2貫通孔を介して立設したシリンジの筒部まわりと前記容器の内壁まわりに2液混合常温硬化形のゴム・合成樹脂を注入して硬化させたものから形成されていることを特徴とする容器アダプター。
【請求項2】
自転及び公転方式の容器を備えた撹拌又は脱泡撹拌装置の前記容器内に収容される使いすて容器を保持できるようにした容器アダプターであって、前記容器内に立設した使いすて容器より僅かに胴まわりの大きいオス型の胴まわりと前記容器の内壁まわりに2液混合常温硬化形のゴム・合成樹脂を注入して硬化させたものから形成され、前記容器内に着脱可能に嵌入できるようにすると共に、前記使いすて容器を着脱可能に嵌入できるようにしたものである。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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