説明

容器キャリアの開放装置

【課題】容器キャリア2の可動把持部材8を固定把持部材6から離隔させ、その状態を維持する。
【解決手段】基台4の一辺に固定把持部材を設け、他方の一辺に可動把持部材を配置し、ばね10によって固定把持部材方向に付勢する。搬送コンベヤ14の両側に一対のスターホイール18A、18Bからなるロータリーストッパ18を配置し、連続的に搬送されてきた容器キャリアを搬送方向に押圧する。ロータリーストッパの設けられている位置付近に、前方の固定把持部材には係合せず、可動把持部材に係合する揺動レバー20Ac、20Bcを有する離隔手段20を設け、揺動レバーをばね20Af、20Bfで後方側へ引き付けておく。容器キャリアをロータリーストッパで後方から押圧すると、揺動レバーが係合した可動把持部材が後方に引かれて開放する。開放した状態の可動把持部材に係合する係合部材30を設け、開放した状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の把持部材によって容器を把持して搬送する容器キャリアに関するものであり、特に、容器キャリアの一方の把持部材を移動させて、両把持部材を開放する容器キャリアの開放装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器を保持した容器キャリアをコンベヤによって搬送し、フィラ、キャッパ等の処理部に順次停止させて、液体の充填、キャッピング等の処理を行う容器処理装置が広く用いられている。このような容器キャリアを外形の異なる複数種類の容器に対応させて各種容器に兼用可能にするために、容器キャリアの本体部に、一対の容器把持部材を互いに接近離隔する方向に進退動可能に配置し、これら両把持部材をスプリング等の付勢手段によって付勢して、容器を把持するようにしたものが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載された発明は、容器キャリアの進行方向前方側に固定把持部材を設け、後方側から渦巻きばねにより可動把持部材を付勢し、このばねの付勢力によってこれら両把持部材間に容器を把持するようになっている。容器を把持する際には、容器供給部で、搬送コンベヤによって搬送されている容器キャリアの移動を、両側の規制用スクリューで規制する。そして、可動把持部材に設けられている係合部材を開放用スクリューに係合させて、規制用スクリューに移動を規制されている容器キャリアよりも遅い速度で移動させることにより、可動把持部材を固定把持部材から離隔させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−81288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載された従来の構成では、スクリューとキャリアが擦れてスクリューが早く摩耗するという問題があった。しかも、スクリューはコストが高いため特に問題であった。また、両把持部材が開放した状態の容器キャリア内に人手で容器を挿入する装置の場合には、スクリューが作業者に近い位置にあるため、作業者を巻き込むおそれがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、基台と、この基台に立設された固定把持部材と、この固定把持部材に向けて付勢され、固定把持部材に接近離隔可能な可動把持部材とを備え、これら一対の把持部材によって容器を把持する容器キャリアを、搬送手段によって搬送しつつ、前記可動把持部材を固定把持部材から離隔させて、その状態を維持する容器キャリアの開放装置において、前記搬送手段による搬送経路の側方に配置され、前記基台に係合して搬送方向へ押圧する押圧手段と、搬送経路の側方に配置され、前記可動把持部材に係合し容器キャリアの搬送方向への移動に伴って可動把持部材を固定把持部材から離隔させる離隔手段と、前記固定把持部材から離隔した状態の可動把持部材に係合し、容器キャリアの搬送方向への移動に伴って移動して、可動把持部材の離隔状態を維持させる離隔維持手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の容器キャリアの開放装置において、前記基台の底部には、容器キャリアの搬送方向の前方側から後方側に亘って溝が設けられ、前記可動把持部材の離隔維持手段に対する被係合部が前記溝内を進退動可能であって、前記離隔維持手段が容器キャリアの搬送経路の下方に配置されて、下方から前記可動把持部材の被係合部に係合することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る容器キャリアの開放装置は、搬送コンベヤの搬送経路の側方に配置した離隔手段を可動把持部材に係合させた状態で、容器キャリアを押圧手段によって搬送方向へ押圧するという構成によって、スクリューを使用することなく、可動把持部材を固定把持部材から離隔させることができ、しかも、離隔維持手段を可動把持部材に係合させてともに前進させることにより、両把持部材を開放した状態に維持できるので、装置のコストダウンを図ることができ、また、人手による作業を行う場合でも安全性を確保できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る容器キャリアの開放装置を備えた充填ラインの全体を簡略化して示す側面図である。(実施例1)
【図2】図2は容器キャリアの縦断面図である。
【図3】図3は図4のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4は容器キャリアの開放装置の要部を拡大して示す平面図である。
【図5】図5は図4と同様の部分の異なる作動状態を示す平面図である。
【図6】図6は離隔維持手段の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明に係る容器キャリアの開放装置によって取り扱われる容器キャリアは、基台とこの基台に直立して設けられた固定把持部材とこの固定把持部材の方向に向けて付勢された可動把持部材とを備えており、搬送手段によって搬送されている間に、可動把持部材と固定把持部材とを開放させた状態にしてその間に容器を挿入し、これら両把持部材によって容器を把持させるようになっている。搬送手段による前記容器キャリアの搬送経路の側方に、基台に係合して容器キャリアを搬送方向に向けて押圧する押圧手段と、可動把持部材に係合し、容器キャリアの搬送方向への移動に伴って可動把持部材を固定把持部材から離隔させる離隔手段とを設け、さらに、固定把持部材から離隔した状態の可動把持部材に係合し、容器キャリアの搬送方向への移動に伴って移動して、可動把持部材の離隔状態を維持する離隔維持手段を備え、この離隔維持手段を可動把持部材に係合させている間、両把持部材を開放状態に維持するという構成により、スクリューを用いることなく可動把持部材を固定把持部材から離隔させてその状態を維持するという目的を達成する。
【実施例1】
【0011】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この実施例に係る容器キャリアの開放装置によって一対の把持部材が開放される容器キャリア2は、平面形状がほぼ正方形をした基台4と、この正方形の基台4の一辺に直立して固定された固定把持部材6と、この固定把持部材6と、固定把持部材6が設置されている辺と向かい合う辺との間で進退動可能な直立した可動把持部材8と、この可動把持部材8を常時固定把持部材6の方向へ付勢するばね10とを備えている。固定把持部材6と可動把持部材8は、これら両者6、8が向かい合う面6a、8aの間に容器12を把持するようになっており、両者6、8はほぼ同じ高さを有するとともに、その対向する面6a、8aに容器12を安定して保持するためのV字状の凹部が形成されている(図4参照)。また、可動把持部材8の長さ(キャリア搬送コンベヤ14による搬送方向(図1および図4の矢印A参照)と直交する方向の長さ)が、固定把持部材6の長さよりも長くなっており、可動把持部材8の両端部8b、8cが固定把持部材6の両端部6b、6cよりも外方へ突出している。
【0012】
この容器キャリア2は、搬送手段(キャリア搬送コンベヤ14)によって、前記固定把持部材6を搬送方向Aの前方側に向けて搬送される。容器キャリア2の基台4の底部には、搬送方向の前方側(固定把持部材6側)から後方側(可動把持部材8側)に亘って貫通する溝4aが切られている。可動把持部材8の下面には、下方へ延びるプレート16が固定されている。この実施例では、プレート16はほぼL字状に折り曲げられており(図2参照)、下方へ延びている部分(以下垂直部と呼ぶ)16aが可動把持部材8の外面8d(固定把持部材6と向かい合う面8aの裏側)とほぼ同じ平面に位置している。このプレート16の垂直部16aの幅が、図3に示すように、基台4の下面に形成された溝4aの幅よりもやや狭くなっており、この溝4a内を進退動できるようになっている。なお、垂直部16aの長さは、基台4の底面よりも下方へ突出しない長さであることは言うまでもない。この垂直部16aが、請求項2に記載した被係合部を構成している。
【0013】
この実施例に係る容器キャリアの開放装置は、容器12を保持する容器キャリア2を連続的に搬送する搬送コンベヤ14と、この搬送コンベヤ14の容器キャリア搬送経路の両側に配置されたロータリーストッパ18(18A、18B)と、前記搬送コンベヤ14の両側の、容器キャリア搬送経路に接近した位置に配置され、容器キャリア2の可動把持部材8を固定把持部材6から引き離す離隔手段20(20A、20B)と、可動把持部材8が固定把持部材6から離隔した後に、可動把持部材8の被係合部(この実施例では可動把持部材8に固定されているプレート16)に係合するとともに、容器キャリア2と同じ速度で移動して、可動把持部材8と固定把持部材6が開放した状態(可動把持部材8が固定把持部材6から離隔した状態)を維持する離隔維持手段22を備えている。
【0014】
この容器キャリア2の開放装置は、前記搬送コンベヤ14によって搬送されている容器キャリア2の可動把持部材8を固定把持部材6から引き離し、この状態を維持して容器キャリア2が移動している間に、両把持部材6、8間に容器12を挿入し、これら両把持部材6、8によって容器12を把持した状態で搬送しつつ、容器12内に液体を充填するものであり、搬送コンベヤ14の容器キャリアの開放装置が設けられている位置よりも下流側にフィラ24が設置されている。
【0015】
搬送コンベヤ14は、間隔をあけて平行に配置された2本のコンベヤ14A、14Bから構成されている(図4参照)。この搬送コンベヤ14上に載せられて搬送される容器キャリア2の基台4の底面に形成されている溝4aが、これら2本のコンベヤ14A、14Bの間の空間(以下スリット14Cと呼ぶ)の上方を通過するようになっている(図3参照)。
【0016】
搬送コンベヤ14上の容器キャリア搬送経路の両側に、一対のスターホイール18A、18Bからなるロータリーストッパ18が設けられている(図1、図3および図4参照)。これら両スターホイール18A、18Bは、搬送コンベヤ14の搬送面よりもやや上方で、かつ、容器キャリア2の基部4の上面よりも低い高さ、つまり、基部4に係合可能な高さに配置されている。各スターホイール18A、18Bは、それぞれ鉛直方向の回転軸18Aa、18Baに支持されて水平面内で回転する。各スターホイール18A、18Bは、外周面に等間隔で6箇所の突部18Ab、18Bbが形成され、各突部18Ab、18Bbの間に6箇所の凹部18Ac、18Bcが形成されている。両スターホイール18A、18Bは同期回転しており、両者18A、18Bの突部18Ab、18Bbが容器キャリア2の基台4の後端部に同時に係合し、ともに回転することによってこの容器キャリア12を搬送方向前方へ押圧する。このロータリーストッパ18が請求項1に記載した押圧手段を構成する。
【0017】
前述のように搬送コンベヤ14の両側にロータリーストッパ18の一対のスターホイール18A、18Bが配置されており、これら両スターホイール18A、18Bの内側寄り、つまり搬送コンベヤ14の搬送経路に接近した位置に、容器キャリア2の固定把持部材6と可動把持部材8とを離隔させる離隔手段20(20A、20B)が設けられている。この離隔手段20は、図3および図4に示すように、搬送コンベヤ14の両側にブラケット20Aa、20Baを介して固定された一対の支持アーム20Ab、20Bbを有している。これら支持アーム20Ab、20Bbは、搬送コンベヤ14の容器キャリア搬送方向Aと平行に、かつ、水平に配置されている。
【0018】
両支持アーム20Ab、20Bbの先端には、それぞれ、揺動レバー20Ac、20Bcが回転自在に連結されている。両揺動レバー20Ac、20Bcは、揺動端20Ad、20Bdが搬送コンベヤ14の方向を向いており、その揺動端20Ad、20Bdが、以下に説明する可動把持部材8への係合部を構成している。各揺動レバー20Ac、20Bcの中間部(支持アーム20Ab、20Bbとの連結部と揺動レバー20Ac、20Bcの先端の係合部20Ad、20Bdとの中間)と、前記支持アーム20Ab、20Bbの後端部に取り付けたばね取付部材20Ae、20Beとの間に、引っ張りばね20Af、20Bfが装着されており、揺動レバー20Ac、20Bcを常時搬送方向後方側(図4の右側)へ引き付けている。これら揺動レバー20Ac、20Bcは、通常は支持アーム20Ab、20Bbに対して直角、つまり、搬送コンベヤ14の搬送方向Aと直交する方向を向いて停止している。このように搬送方向Aと直交する方向を向いているときには、揺動アーム20Ac、20Bcの先端係合部20Ad、20Bdは、搬送コンベヤ14の搬送面上に僅かに進入している。この状態では、係合部20Ad、20Bdが、長さの短い固定把持部材6には係合せず、可動把持部材8の両端部8b、8cにだけ係合する。なお、離隔手段20の引っ張りばね20Af、20Bfは、可動把持部材8を固定把持部材6側に付勢するばね10よりも強いばね力に設定されている。
【0019】
搬送コンベヤ14の下方に、容器キャリア2の可動把持部材8が固定把持部材6から離隔しているとき(固定把持部材6と可動把持部材8とが開放しているとき)に、この可動把持部材8の下端に取り付けられているプレート16に係合して、両把持部材6、8を開放した状態のまま維持する離隔維持手段22が配置されている。この離隔維持手段22は、図3および図6に示すように、搬送コンベヤ14の平行した2本のコンベヤ14A、14Bの間に形成されているスリット14Cの下方に配置された上流側および下流側の2つのスプロケット26A、26Bと、これら両スプロケット26A、26Bに掛け回されたチェーン28と、このチェーン28に等間隔で取り付けられている複数の係合部材30とを備えている。これら係合部材30の間隔は、搬送コンベヤ14によって前後に密着した状態で搬送されている容器キャリア2のピッチに一致している。このチェーン28に取り付けられている係合部材30は、搬送コンベヤ14およびロータリーストッパ18によって連続的に搬送されている容器キャリア2と同じ速度で前進している。また、チェーン28がスプロケット26A、26Bの上部側を走行しているときに係合部材30の下面側を支持するように、チェーン28の下方に支持プレート32が配置されている。
【0020】
上流側と下流側のスプロケット26A、26Bに掛け回されたチェーン28は、図3に示すように、上方側を走行しているときには、2本のコンベヤ14A、14Bの間に位置している。また、このチェーン28に取り付けられている係合部材30は、前記可動把持部材8の下端に取り付けられているプレート16の下部側の垂直部(被係合部)16aに係合する高さに位置している。そして、この離隔維持手段22は、ロータリーストッパ18と同期駆動されており、ロータリーストッパ18による容器キャリア2の移送速度と同じ速度で走行している。離隔維持手段22の係合部材30は、離隔手段20によって可動把持部材8が開放された時にタイミングを合わせて、上流側スプロケット26Aの周囲を回転して上面側に現れ(図6中に符号30Aで示す係合部材参照)、プレート16の前面側に係合する。離隔維持手段22の係合部材30は、前後に接触した状態で搬送されている容器キャリア2と同じピッチで配置されており、また、同じ速度で前進しているので、係合部材30が可動把持部材8のプレート16に係合している間は、固定把持部材6と可動把持部材8の間が開放した状態を維持しており、係合部材30が両スプロケット26A、26Bの上部側を走行している間に容器キャリア2内に容器12を供給することができる。なお、搬送コンベヤ14は、これら離隔維持手段22およびロータリーストッパ18による容器キャリア2の移送速度よりも若干速い速度で走行している。容器キャリア2のスプリング10や離隔手段20の引っ張りばね20Af、20Bfに抗して容器キャリア2を前進させる推進力は、前記ロータリーストッパ18の駆動力による。
【0021】
前記離隔維持手段22とロータリーストッパ18の位相を異ならせる、すなわち、移動する係合部材30と回転するスターホイール18A、18Bの突部18Ab、18Bbの位置関係を変更することにより、離隔維持手段22による固定把持部材6に対する可動把持部材8の離隔位置を変更して、開放状態に維持される両把持部材6、8の間隔を調節することができる。これにより、把持される容器12の胴径に合わせて両把持部材6、8を開放させることができ、収容させる際に容器12がふらつくことなく、また、人手によっても収容させやすくなる。図4および図5に示す状態は、両把持部材6、8が最も大きく開放した状態を示している。この状態に対して、係合部材30の位置を搬送方向前方側に位置させて可動把持部材8を搬送方向前方側に位置させる、もしくは、両スターホイール18A、18Bの突部18Ab、18Bbを回転方向後方側に位置させ、基台4と固定把持部材6を搬送方向後方側に位置させることで、両把持部材6、8の開放度を前記図4および図5の状態よりも小さくすることができる。
【0022】
以上の構成に係る容器キャリアの開放装置の作動について説明する。容器キャリア2は搬送コンベヤ14の上流側(図1の右側)から連続的に搬送されて、この容器キャリアの開放装置に供給される。容器キャリア2が容器キャリアの開放装置に供給された時点では、この容器キャリア2の搬送方向後方側(図1および図4の右側)に位置している可動把持部材8が、スプリング10に付勢されて搬送方向前方側の固定把持部材6に当接している。搬送コンベヤ14上の容器キャリア2がロータリーストッパ18(一対のスターホイール18A、18B)および離隔手段20(20A、20B)の間に到達すると、図4に示すように、離隔手段20に設けられている両揺動レバー20Ac、20Bcの先端の係合部20Ad、20Bdが、搬送方向前方側の固定把持部材6には係合せず後方側の可動把持部材8の両端8b、8cに係合する。
【0023】
また、ロータリーストッパ18の両スターホイール18A、18Bは、前記両揺動レバー20Ac、20Bcの係合部20Ad、20Bdが可動把持部材8に係合した時点で、突部18Ab、18Bbが容器キャリア2の基台4の後端に係合を開始する(図4の中央の容器キャリア参照)。この状態から両スターホイール18A、18Bがさらに回転を続けていくと、スターホイール18A、18Bの突部18Ab、18Bbが基台4を下流側に押圧する。離隔手段20の引っ張りばね20Af、20Bfは、可動把持部材8を固定把持部材6側に付勢するばね10よりも強いばね力に設定されており、基台4が前進するのに対し、揺動レバー20Ac、20Bcの係合部20Ad、20Bdが係合している可動把持部材8は引っ張りばね20Af、20Bfによって前進することができず、固定把持部材6との間が拡開する。
【0024】
可動把持部材8が揺動レバー20Ac、20Bcに係合し、揺動レバー20Ac、20Bcは引っ張りばね20Af、20Bfによって後方側に引かれているので、容器キャリア2の前進に伴って、可動把持部材8が固定把持部材6から次第に離隔していく。可動把持部材8が容器キャリア2の後端部まで移動すると、それ以上移動できないため、ロータリーストッパ18によって押圧されている基台4が前進するにつれて、引っ張りばね20Af、20Bfが延びて両揺動レバー20Ac、20Bcが次第に開いていく。最終的には、可動把持部材8が両揺動レバー20Ab、20Bbの先端の係合部20Ad、20Bdを押し開いて前進し、揺動レバーb20Ac、20Bcから外れる(図5の中央の容器キャリア2参照)。可動把持部材8から外れた揺動レバー20Ac、20Bcは、引っ張りばね20Af、20Bfに引かれ、元の搬送コンベヤ14と直交する方向に戻って次の容器キャリア2の可動把持部材8が搬送されてくるのを待つ。
【0025】
ロータリーストッパ18と離隔手段20とによって、可動把持部材8を容器キャリア2の搬送方向Aの最も後方側に移動させた位置付近から下流側に向けて、離隔した可動把持部材8をその離隔した状態のまま維持する離隔維持手段22が設けられており、上流側のスプロケット26Aの周りを回転して下方から上昇してきた係合部材30が、容器キャリア2の基台4の底部に設けられた溝4a内の、可動把持部材8の下端に設けられたプレート16の垂直部16aの前面側に入り込む。係合部材30は、離隔手段20の係合部20Ad、20Bdが係合して離隔され、開放状態に維持されている可動把持部材8のプレート16の垂直部16aの前面側に入り込み、その後、係合部20Ad、20Bdによる係合が外れて、プレート16に係合部材30が係合する。ロータリーストッパ18が押圧して容器キャリア2を前進させる速度と、離隔維持手段22の係合部材30の移動速度が一致しているので、この離隔維持手段22が設けられている範囲では、可動把持部材8が固定把持部材6から最も離隔した位置に維持されたまま前進する。この間に容器キャリア2内に容器12を供給する。なお、この実施例では、可動把持部材8が固定把持部材6から最も離隔した状態について説明したが、前述のように両把持部材6、8の間隔は調節可能であり、容器12のサイズ等に応じて両者6、8の間隔を変更することができる。
【0026】
容器12を供給された容器キャリア2が前記離隔維持手段22が設けられている位置を通過すると、係合部材30が下流側スプロケット26Bの周囲を回転しつつ下降するので、係合部材30の、可動把持部材8の下端に固定されているプレート16に対する係合が外れ、可動把持部材8はばね10によって搬送方向前方側の固定把持部材6の方向に付勢され、容器12に当たった時点で停止する。前記ばね10の付勢力によって、可動把持部材8と固定把持部材6との間に容器12を把持する。
【0027】
容器キャリア2内に収容され、前後を固定把持部材6と可動把持部材8とによって把持された容器12は、そのまま搬送され、フィラ24の位置に到達すると液体が充填されて次の工程に送られる。このように簡単な構成で、容器キャリア2の固定把持部材6と可動把持部材8とを開放することができるので、従来の装置のようにスクリューを用いる必要がなく、容器キャリアの開放装置のコストダウンを行うことができる。また、人手で容器12を挿入する場合でも、作業者が巻き込まれるおそれがなく安全である。なお、前記容器キャリア2に容器12を収容して行う処理は、充填の他にキャッピング、ラベリング、ケーシング、クリーニング等があり、本発明の容器キャリアの開放装置の下流側には、実施例のフィラ24以外にこれら各種処理に対応した処理手段が設置される。
【符号の説明】
【0028】
2 容器キャリア
4 容器キャリアの基台
6 固定把持部材
8 可動把持部材
12 容器
18 押圧手段(ロータリーストッパ)
20 離隔手段
22 離隔維持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、この基台に立設された固定把持部材と、この固定把持部材に向けて付勢され、固定把持部材に接近離隔可能な可動把持部材とを備え、これら一対の把持部材によって容器を把持する容器キャリアを、搬送手段によって搬送しつつ、前記可動把持部材を固定把持部材から離隔させて、その状態を維持する容器キャリアの開放装置において、
前記搬送手段による搬送経路の側方に配置され、前記基台に係合して搬送方向へ押圧する押圧手段と、搬送経路の側方に配置され、前記可動把持部材に係合し容器キャリアの搬送方向への移動に伴って可動把持部材を固定把持部材から離隔させる離隔手段と、前記固定把持部材から離隔した状態の可動把持部材に係合し、容器キャリアの搬送方向への移動に伴って移動して、可動把持部材の離隔状態を維持させる離隔維持手段とを備えたことを特徴とする容器キャリアの開放装置。
【請求項2】
前記基台の底部には、容器キャリアの搬送方向の前方側から後方側に亘って溝が設けられ、前記可動把持部材の離隔維持手段に対する被係合部が前記溝内を進退動可能であって、前記離隔維持手段が容器キャリアの搬送経路の下方に配置されて、下方から前記可動把持部材の被係合部に係合することを特徴とする請求項1に記載の容器キャリアの開放装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−111279(P2011−111279A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268857(P2009−268857)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】