説明

容器充填装置

【課題】チェーンを有さない充填装置のための、制御された状態で加減速させることができる支持要素を提供する。
【解決手段】本発明は、容器に食品を充填する装置であって、上側主要要素、下側主要要素、及び側方主要要素と、連続駆動装置なしに互いに接して配置された複数の支持要素であって、容器のための受容部を備えていて、作動部署を過ぎて主要要素に沿って充填装置内を循環して走行させられる支持要素と、送り方向に支持要素を作動部署に沿って走行させる駆動装置と、支持要素に配置された作動要素であって、作動要素を介して、駆動装置の送り力が支持要素に導入される作動要素とを含み、支持要素に位置する作動要素がラック歯車であり、支持要素に送り力を導入するために、ラック歯車において、駆動側送り部材が相補的な歯と係合する、容器充填装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、特にボトル又はカップ(beakers)に食品、特に液状からペースト状までの乳製品及び脂肪製品、ジュース、水及びこれと類似のものを充填する装置であって、充填装置が、上側主要要素と、下側主要要素と、上側主要要素と下側主要要素とを結合する側方主要要素とを含み、さらに充填装置が、連続駆動装置なしに互いに接して配置された複数の支持要素を含み、支持要素は、容器のための受容部を備えていて、作動部署を過ぎて上側主要要素、下側主要要素及び側方主要要素に沿って容器充填装置内を循環して(endless)走行させられるようになっており、さらに充填装置が駆動装¥置を含み、駆動装置は送り方向に支持要素を、少なくとも上側主要要素又は下側主要要素を通って作動部署に沿って走行させ、さらに充填装置が、支持要素に配置された係合部材を含み、係合部材を介して、駆動装置の送り力が支持要素に導入される、充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充填装置であって、特定の支持要素が駆動チェーンと結合されており、この駆動チェーンを介して支持要素が上側主要要素、下側主要要素及び側方主要要素に沿って充填装置内を連続的に走行させられるような充填装置がこの分野において知られている。
【0003】
このような充填装置は数十年間にわたって使用されている。しかしチェーン駆動装置は多くの欠点を有している。主要な欠点の1つは、作動中のチェーンの伸長が頻繁な再調整を必要とするだけでなく、さらに、容器に作用する作動部署のそれぞれにおける別々の位置決めをも必要とすることである。
【0004】
このような理由から、また他の理由からも、チェーン駆動装置を省くことができる理論上のコンセプトが、かなり長い間開発されてきた。
【0005】
食品充填装置のための、チェーンなしの駆動装置は実際には、市場で人気のあるものではないが、しかし信頼性高く作動するいくつかの機能システムがすでに存在している。
【0006】
このようなタイプの充填装置は、例えば特許文献1から公知である。この文献には、食品充填装置によって支持要素のチェーンレス送り(chainless feed)を実行するための種々のコンセプトが記載されている。これらのコンセプトは全て、送り方向に対して横断方向に配置されて互いに向き合うように方向付けられたそれぞれの面を有する支持要素が、互いに接した状態で配置されており、ひいては充填装置内を押し動かされるという点で共通している。特許文献1における駆動装置は、例えば、線形に作動して支持要素の切欠きに係合するピストンによって提供することができる。或いは、下側主要要素と上側主要要素との間の移行部に駆動ホイールを設けることも提案されている。駆動ホイールは、支持要素の下に配置された駆動要素と係合する。また特許文献1にはウォームギアも示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1495997(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
チェーンレス食品充填装置において、別の駆動コンセプトが特別な重要性を有する。このタイプの充填装置は1分間当たり最大60サイクルまでで操作される。これは、支持要素が1秒間という短さで送り運動を行うことを意味する。従って、それぞれの駆動コンセプトによって、支持要素の制御された加速を提供し、しかも支持要素の制御された減速も提供することが重要である。従って、支持要素自体の構成が重要である。それというのも、特定の支持要素が、例えばチェーンのような駆動装置によって生じる相互接続状態にはもはやならないからである。
【0009】
本発明の目的は、上記のタイプのチェーンを有さない充填装置のための支持要素であって、制御された状態で加減速させることができる支持要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する充填装置、具体的には、支持要素に位置する作動要素がラック歯車(gear rack)であり、送り力を支持要素に導入するために、ラック歯車において、駆動側送り部材が相補的な反対の歯と係合する、支持要素を特徴づける特徴を有する充填装置によって達成される。
【0011】
ラック歯車を有する支持要素の顕著な利点は、駆動装置と支持要素との間にスリップが生じない送りを提供することである。顕著な加速力及び減速力のために、駆動要素と支持要素との間でロックする形が、制御された加速及び減速を提供する。
【0012】
駆動装置側には別の本質的な利点が達成される。ここでは、支持要素のラック歯車と係合するスプロケットを有する比較的小さなモータを、任意には、これらの間で伝動装置と共に使用することができる。モータ及びラック歯車は素早い反応を提供する。特許文献1に記載されたリニアピストンと比べて、駆動装置の送り部材は、支持要素のこの構成では、駆動装置に対して運動を行う必要がない。
【0013】
側方主要要素の部分に配置された中央駆動スプロケットと比較して、駆動装置のスプロケットの移動質量は非常に小さく、その結果、同一の送り速度及び減速速度を達成するために、駆動装置をより小さく形成することができる。設置サイズ及び移動質量の点で見ると、ラック歯車を備えた支持要素を設けることによって可能になる駆動装置はまた、特許文献1のウォーム駆動装置よりも優れている。
【0014】
別の利点は、容器のための受容部を備えかつセルプレートと呼ばれる、支持要素のプレートのための安定化又は補強要素として、ラック歯車自体を使用できることである。
【0015】
特に好ましい実施態様は、支持要素がローラ上で充填装置内を走行させられることを提供する。この場合、ローラは、充填装置の走行レールに接触する。ローラは、支持要素が最小限の摩擦で充填装置内を走行するのを容易にする。
【0016】
この実施態様との組み合わせとして、ラック歯車はさらに、ローラのための配置要素として有利である。
【0017】
ラック歯車は好ましくは支持要素の上側に配置されているので(支持要素の上側は、作動部署に向けられた側としても定義される)、支持要素は切欠きを含むことができ、これらの切欠きを通って、ラック歯車に配置されたローラが少なくとも部分的に充填装置の走行レールに達すると共にこれに接触する。
【0018】
支持要素の上側にラック歯車を配置することのさらなる利点は、ローラの場合には充填装置に設けられた走行レール、又は支持要素が充填装置内をその上で押し動かされるようなそれぞれの構成部分が、駆動装置を支持する支持体としても使用されることである。従って、ラック歯車は、駆動装置と支持要素のための充填装置の接触要素との間に配置され、その結果、高い加速力及び減速力が発生しても、ラック歯車が駆動装置の下で摺動することはない。
【0019】
しかしながら、支持要素がフレームに配置されることも考えられる。
【0020】
また、少なくとも2つの支持要素が送り方向に互いに前後してフレームに配置されることも考えられる。
【0021】
この場合、ラック歯車はフレームに配置されることになる。
【0022】
或いは、ラック歯車が2つの構成部分に分けられて、ラック歯車構成部分がそれぞれの支持要素に直接に配置されていることも考えられる。
【0023】
支持要素同士の間に位置する相互接続機構であって、隣接する支持要素が、支持要素に位置する配置装置を介して互いに相互接続されている、相互接続機構を提供することが考えられる。
【0024】
従って、支持要素を支持するフレームが配置装置を備えており、そして隣接するフレームが配置装置を介して、相互接続を形成するように接合されることが考えられる。
【0025】
作動部署の下に正確に位置決めするために、支持要素が位置決め補助体を備えていると、充填装置は有用である。
【0026】
ここでは、特に位置決め補助体が位置決めピンとして構成されていると、位置決め補助体がラック歯車に直接に配置されるようにすることもできる。
【0027】
特に好ましい実施態様では、ラック歯車は、作動部署に向けられた支持要素の表面に配置されており、ラック歯車の歯は、作動部署に向けられた表面から離れる方向に向いている。
【0028】
続いて、図面を参照しながら有利な実施態様に基づいて、本発明の利点及び特徴を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による支持要素の、上側からの等角図である。
【図2】図1の支持要素の、下側からの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面では、本発明による充填装置の支持要素は全体を、参照番号10で示されている。
【0031】
まず、支持要素10は、いわゆるセルプレート11を含んでいる。セルプレート11は典型的には矩形のプレートである。このプレートは容器13のための複数の受容部12を備えている。これらの受容部は送り方向Wに対して横断方向に列を成しつつ、送り方向Wに軌道を成すように導入されている。
【0032】
図示していない作動部署に向けられた支持要素10の上側には、送り方向Wに延びるラック歯車14が配置されている。それぞれのラック歯車14は、複数の歯15を含んでいる。これらの歯は、セルプレート11の上側から離れる方向に向けられている。
【0033】
ラック歯車14はローラ16を支持している。ローラ16上で支持要素10は充填装置内を動く。図示されていない装置の走行レールにおけるローラ16の転動を容易にするために、図示したセルプレート11はローラ切欠き17を含んでいる。これらのローラ切欠き17を通って、ローラ16は部分的に延びている。
【0034】
本発明の図示した実施態様におけるラック歯車14はさらに、位置決めピン18を支持している。とりわけ、充填装置の作動部署に対して支持要素10を整列させるために、これらの位置決めピンを使用することができる。
【0035】
この実施態様では、ラック歯車14は、駆動装置と単に相互作用するという機能を上回る機能を有している。支持要素10に配置されたラック歯車14が、小さなモータにより駆動装置側の大きな移動質量を伴わない、本発明による充填装置のための極めて有利な駆動装置コンセプトを可能にするという事実に加え、ラック歯車14はまず、セルプレート11の安定化補強要素である。さらに、ラック歯車は、多くの他の構成部分、具体的にはローラ17及び位置決めピン18のための支持要素である。
【0036】
支持要素10のラック歯車14における駆動装置側の歯車の形状結合的な係合が、充填装置内の通走時における支持要素10の制御された加速及び特に制御された減速を容易にする。このことは、高いサイクル速度と関連する加速トルク及び減速トルクにとって特に有利である。
【符号の説明】
【0037】
10 支持要素
11 セルプレート
12 受容部
13 容器
14 ラック歯車
15 歯
16 ローラ
17 ローラ切欠き
18 位置決めピン
W 送り方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に食品を充填する装置であって、
上側主要要素、下側主要要素、及び前記上側主要要素と前記下側主要要素とを接続させる側方主要要素と、
連続駆動装置なしに互いに接して配置された複数の支持要素(10)であって、前記容器のための受容部を備えていて、作動部署を過ぎて前記主要要素に沿って前記充填装置内を循環するように走行させられる複数の支持要素(10)と、
駆動装置であって、送り方向に前記支持要素を、少なくとも前記上側主要要素又は前記下側主要要素を通って前記作動部署に沿って走行させる駆動装置と、
前記支持要素に配置された作動要素であって、前記作動要素を介して、前記駆動装置の送り力が前記支持要素(10)に導入される作動要素と、
を含み、
前記支持要素に位置する前記作動要素がラック歯車(14)であり、前記支持要素に前記送り力を導入するために、前記ラック歯車において、駆動側送り部材が相補的な歯と係合する、
容器充填装置。
【請求項2】
前記支持要素(10)が、ローラ(16)上で前記充填装置内を走行させられるようになっており、
前記ローラは、前記充填装置の走行レールに接触している、
請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
前記ラック歯車(14)は、前記支持要素(10)のセルプレート上に直接に配置されている、
請求項1又は2に記載の充填装置。
【請求項4】
前記ローラ(16)が、ラック歯車(14)に直接に配置されている、
請求項2又は3に記載の充填装置。
【請求項5】
前記支持要素(10)が切欠き(17)を含んでおり、前記切欠きを通って、前記ラック歯車(14)に配置された前記ローラ(16)が少なくとも部分的に延びて、前記充填装置の前記走行レールに接触する、
請求項4に記載の充填装置。
【請求項6】
前記支持要素(10)がフレームを含んでおり、前記フレームにセルプレート(11)が配置されている、
請求項1又は2に記載の充填装置。
【請求項7】
少なくとも2つのセルプレート(11)が、送り方向に互いに前後して前記フレームに配置されている、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ラック歯車(14)がフレームに配置されている、
請求項6又は7に記載の充填装置。
【請求項9】
前記ラック歯車は2つの構成部分として提供され、
前記ラック歯車構成部分がそれぞれのセルプレート(11)上に配置されている、
請求項7に記載の充填装置。
【請求項10】
隣接する前記支持要素(10)が、前記支持要素に位置する配置装置を介して互いに相互接続されている、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の充填装置。
【請求項11】
前記支持要素(10)がフレームを含んでおり、前記フレームにセルプレート(11)が配置されており、
前記支持要素(10)の前記フレームが、前記配置装置を備えており、
隣接するフレームが、前記配置装置を介して互いに相互接続される、
請求項10に記載の充填装置。
【請求項12】
前記支持要素(10)は位置決め補助体を備えている、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の充填装置。
【請求項13】
前記位置決め補助体は前記ラック歯車(14)に直接に配置されている、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の充填装置。
【請求項14】
前記位置決め補助体は位置決めピン(18)として構成されている、
請求項12又は13に記載の充填装置。
【請求項15】
前記ラック歯車(14)は、前記作動部署に向けられた前記支持要素(10)の表面上に配置されており、
前記ラック歯車(14)の前記歯(15)は、前記作動部署に向けられた表面から離れる方向に向いている、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の充填装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−246058(P2012−246058A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118671(P2012−118671)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(512136422)ハンバ フィルテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (5)
【Fターム(参考)】