説明

容器内に充填用注ぎ口が挿入される重量測定式容器充填設備

重量測定式容器充填設備であって、少なくとも1つの充填用注ぎ口(3)が固定された基盤台(2)と、前記充填用注ぎ口の鉛直線上に位置していて、重量測定手段(5)と連携する容器支持手段(8)を備える重量測定装置(4)とを具備する重量測定式容器充填設備。この設備は、重量測定装置(4)が、前記支持手段と前記重量測定手段との間にリンク手段を備え、該リンク手段は、前記支持手段を、前記重量測定手段に対して、前記充填用注ぎ口が前記容器の中に挿入している高位置と、前記充填用注ぎ口が前記容器から取り出されている低位置の間を移動させることのできるようにし、さらに、前記重量測定装置が、前記リンク手段を前記支持手段の高位置にロックするロック手段(25)を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に粘性生産物の充填を目的とした、重量測定式容器充填設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
充填設備は、一般に、固定されたフレームを備えており、そのフレームには基盤台が軸回転可能に取り付けられており、その基盤台は、充填用注ぎ口と連動するとともに、その充填用注ぎ口の鉛直線上に位置する容器の支持体と連動している。容器に粘性生産物を充填する場合、その粘性生産物は、流れ始めるとき、充填用注ぎ口の出口に洋梨の形態になってたまる傾向がある。この洋梨の横方向のサイズは、容器の頸部のサイズよりも大きいことがしばしばある。そのため生産物が容器の外に流れる危険性がある。
【0003】
この欠点をなくすため、支持手段が充填用注ぎ口に対して高位置と低位置の間を移動できる体積測定式容器充填設備が知られている。高位置は充填のための位置であり、この位置では容器内に充填用注ぎ口が挿入しており、低位置は容器の装着と脱着のための位置であり、この位置では充填用注ぎ口が容器から引き出されている。支持手段は高位置と低位置の間を移動し、フレームと連動したカムによってこれらの位置に維持される。
【0004】
しかしこのような方法は、支持手段が重量計測装置の一部を形成していて重量計測手段に連結されている重量測定式容器充填設備では不可能である。支持手段は、生産物が充填されているときに、容器がその支持手段に及ぼす力を重量計測手段に伝えねばならない。この機能を実行できるためには、支持手段が、体積測定式容器充填設備におけるように、位置をロックされては不可能である。このような体積測定式容器充填設備では、容器が支持手段に及ぼす力を支えるのはカムとなるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことから、充填する容器内に充填用注ぎ口を挿入することのできる重量測定式容器充填設備を実現することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、重量測定式容器充填設備であって、少なくとも1つの充填用注ぎ口が固定された基盤台と、前記充填用注ぎ口の鉛直線上に位置していて、重量測定手段と連携する容器支持手段を備える重量測定装置とを具備する重量測定式容器充填設備を提供する。そして、本発明は、重量測定装置が、前記支持手段と前記重量測定手段との間にリンク手段を備え、該リンク手段は、前記支持手段を、前記重量測定手段に対して、前記充填用注ぎ口が前記容器の中に挿入している高位置と、前記充填用注ぎ口が前記容器から取り出されている低位置の間を移動させることのできるようにし、さらに、前記重量測定装置が、前記リンク手段を前記支持手段の高位置にロックするロック手段を備えることを特徴とするものである。
【0007】
よって、支持手段は重量測定手段に対して移動できるため、充填用注ぎ口に対しても移動できる。ロック手段により、リンク手段が動かないようにしつつ、支持手段と重量測定手段の間をしっかりと連結できるため、重量測定手段は、支持手段によって支持される容器の重量を受け止める。
【0008】
前記リンク手段が、前記重量測定手段と前記支持手段の間に、突っ張り状態の連結を形成する構成にされていることが望ましい。
【0009】
よって、リンク手段が確実にロックされ、リンク手段は特に簡単な構造を持つことになる。
【0010】
前記基盤台が、不動のフレームに軸回転可能に取り付けられており、前記リンク手段が、前記重量測定手段に連結された第1の端部と、前記支持手段に連結された第2の端部とを有するナックル継手を備えており、前記第1の端部は、クランクピンを備えた軸に固定されており、該クランクピンは、不動に据え付けられたカムと協働し、該カムが、前記クランクピンを、前記支持手段の高位置と低位置にそれぞれ対応する第1の位置と第2の位置の間を上下運動させる構成にされていることが好ましい。
【0011】
その結果、支持手段を移動させる制御は、簡単かつ信頼性よく実現される。
【0012】
クランクピンを第1の位置から第2の位置に向けて移動させるカムは、互いにほぼ平行なガイド用上面とガイド用下面を備えていて、その間にクランクピンを受け入れ、このガイド用上面は、このクランクピンに第2の位置に向かう上下運動を開始させる構成にされており、このガイド用下面は、このクランクピンが第2の位置の近くで徐々に減速される構成にされていることが望ましい。
【0013】
よって、支持手段が低位置へと急に落下することが回避される。もし落下したなら、液体が跳ね返る可能性がある。
【0014】
さらに、カムは、これらカムがクランクピンの軌跡上にある動作位置と、これらカムがこのクランクピンの軌跡から外れた非動作位置の間を移動できることが望ましい。
【0015】
よって、支持手段を鉛直方向に移動させることなくこの設備を利用し、充填用注ぎ口を頸部に挿入させずに容器に生産物を充填することもできる。さらに、このようにすると、充填用注ぎ口が挿入できない、頸部が異常な容器を装填することが回避される。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の例示である以下の特別な一実施態様に関する説明を読めば明らかになろう。添付の図面が参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1を参照すると、本発明の設備は、頸部101を有する容器100に充填することを目的としている。
【0018】
図2から図5を参照すると、この設備は、固定されたフレーム1を備えており、このフレーム1には基盤台2が公知のようにして軸回転可能に取り付けられている。
【0019】
基盤台2は、充填する生産物が入ったタンク(図示せず)に接続された充填用注ぎ口3(図1には1つだけ見える)を備えている。それぞれの充填用注ぎ口3には、図示していない手段によって、注入位置と、充填用注ぎ口からの注入が停止される位置の作動位置を有するバルブが、公知のようにして組み込まれている。
【0020】
重量測定装置(その全体を参照番号4で表わす)が、それぞれの充填用注ぎ口3の鉛直線上に位置するようにして基盤台2に取り付けられるとともに、弁の作動手段に接続されているため、この重量測定装置4によって検出された重量に応じて弁を作動させる命令を出すことができる。
【0021】
重量測定装置は、重量測定手段5を支持するケース(ここでは基盤台2の下に固定されている)を備えており、この重量測定手段の上にはベル状体6が鉛直方向のシャフト7を通じて支持されている。支持手段8がリンク手段9によってベル状体6に連結されている。支持手段8は皿10を備えており、この支持手段8には支柱11が交換可能に固定されている。支柱11の上部12は、皿10の上に置かれた容器の頸部を締め付けるクリップの形状である。支持手段8はスライダ13に固着され、スライダ13は、垂直でベル状体6に固定された滑り溝14の中に、鉛直方向にスライドするように、収容されている。
【0022】
リンク手段9は、互いに関節接続された2つのリンクロッドで構成されたナックル継手を備えている。このナックル継手は、水平方向の軸15に固着した第1の端部を備えている。この軸15は軸回転できるようにベル状体6に取り付けられており、他端には、アーム16を備えている。このアーム16の自由端には、ローラー18が軸回転可能に取り付けられたクランクピン17を備えている。ナックル継手は、スライダ13に関節接続された第2の端部を有する。
【0023】
支持手段8は、(図3に示した)低位置と(図1と図2に示した)高位置の間を移動することができる。低位置では、皿10がベル状体6の上に載っていて、充填用注ぎ口3が容器100の頸部101から引き出されている。高位置では、皿10がベル状体6から離れていて、充填用注ぎ口3が容器100の頸部101の中に挿入している。支持手段8の高位置と低位置は、ナックル継手のリンクロッドが一直線に揃った位置に対して、ナックル継手の位置のうちでそれぞれいずれかの位置に対応する。そのため支持手段8が高位置にあるときには、接続手段9のナックル継手は、リンクロッドが一直線に揃った位置を超えた位置で突っ張った状態にあり、アーム16は、ベル状体6に固着されたストッパ25に支持される。
【0024】
この設備は、支持手段8を高位置にする上昇カム19と、支持手段8を低位置にする下降カム20を備えている。カム19、20は、フレーム1に、基盤台2の周辺部でローラー18の軌跡上に固定されており、その状態で基盤台2が回転して(図4参照)ローラー18を移動させ、クランクピン17を、支持手段8の高位置と低位置にそれぞれ対応する(図1と図2に示した)第1の位置と(図3に示した)第2の位置の間を上下運動させる。
【0025】
特に図5を参照すると、下降カム20は、断面がCの形状になった型部材で形成されており、互いにほぼ平行なガイド用上面21とガイド用下面22を備えていて、その間にローラー18を受け入れる。ガイド用上面21は、クランクピン17に第2の位置に向かう上下運動を開始させるように構成されており、ガイド用下面22は、クランクピン17が徐々に減速されて第2の位置に到着するように構成されている。
【0026】
カム19、20は、フレーム1に関節接続された上端19.1、20.1と、ジャッキ23、24を介してフレーム1に接続された下端19.2、20.2を備えていて、カム19、20がローラー18の軌跡上にある(図4に実線で示した)動作位置と、カム19、20がローラー18の軌跡から外れた(図4に二点鎖線で示した)非動作位置の間を移動することができる。
【0027】
この設備の動作を、基盤台2の充填ステイションのうちの1つだけを取り上げてこれから説明する。
【0028】
基盤台2が回転し、支持手段8が低位置にある状態で、支持手段8がカム19、20の2つの下端19.2、20.2の間にあるときに容器100が支持手段8に装着される。
【0029】
容器100が標準的な形状であることを検出器(公知のものであり、図示していない)があらかじめ検出していると、上昇カム19が動作位置に維持されて支持手段8を高位置に上昇させる(ローラー18の軌跡は図4に一点鎖線で示してある)。したがって充填用注ぎ口3が頸部101の中に挿入し、充填を開始することができる(バルブが流し込み位置にされる)。リンク手段9のナックル継手は突っ張った状態にあり、支持手段8と重量測定手段5をしっかりと連結する。重量測定手段5によって検出された容器100の重量が所定の値に達したとき、充填が終わる(バルブが流し込み停止位置にされる)。ローラー18はガイド用上面21とぶつかり、次いでガイド用下面22とぶつかって両方の面が支持手段8を低位置に移動させるため、充填された容器を外すことができる。
【0030】
検出器が標準的でない形状の容器を検出したときには、カム19は非動作位置になり、ローラー18にこの容器を支えている支持手段8を無視させる。そのとき支持手段8は低位置に留まる(ローラー18の軌跡は図4に二点鎖線で示してある)。容器はその後充填されることがなく、下降カム20は、ローラー18の軌跡上からはずれるように制御される。
【0031】
もちろん本発明がここに説明した実施態様に限定されることはなく、例えば請求項に規定した本発明の範囲を逸脱することなく、さまざまな変形を実現することができる。
【0032】
特に、リンク手段は異なる構造にすることができ、例えば、螺旋状の溝が設けられていて端部区画が平坦になっており、支持手段に固着された突起をそこに収容するスリーブを備えること、または重量測定手段と支持手段の間を延びるジャッキを備えることができる。
【0033】
ジャッキ24は、動作位置にある下降カム21を元の位置に戻す単純な弾性手段で置き換えることができる。
【0034】
この設備は、さまざまな数の充填ステイションを備えることができる。例えば固定された基盤台に取り付けた1つのステイションだけにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による設備の一部の斜視図であり、支持手段が高位置にある。
【図2】この設備を図1の面IIで切断した図である。
【図3】図2と同様の図であり、支持手段が低位置にある。
【図4】この設備の一部の側面図である。
【図5】この設備のうちで図4にVで示した領域に現われる部分の正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量測定式容器充填設備であって、
少なくとも1つの充填用注ぎ口(3)が固定された基盤台(2)と、
前記充填用注ぎ口の鉛直線上に位置していて、重量測定手段(5)と連携する容器支持手段(8)を備える重量測定装置(4)と
を具備する重量測定式容器充填設備において、
重量測定装置(4)が、前記支持手段と前記重量測定手段との間にリンク手段を備え、該リンク手段は、前記支持手段を、前記重量測定手段に対して、前記充填用注ぎ口が前記容器の中に挿入している高位置と、前記充填用注ぎ口が前記容器から取り出されている低位置の間を移動させることのできるようにし、
さらに、前記重量測定装置が、前記リンク手段を前記支持手段の高位置にロックするロック手段(25)を備えることを特徴とする重量測定式容器充填設備。
【請求項2】
前記リンク手段(9)が、前記重量測定手段(5)と前記支持手段(8)の間に、突っ張り状態の連結を形成するような構成にされていることを特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記基盤台(2)が、不動のフレームに軸回転可能に取り付けられており、前記リンク手段(9)が、前記重量測定手段(5)に連結された第1の端部と、前記支持手段(8)に連結された第2の端部とを有するナックル継手を備えており、前記第1の端部は、クランクピン(17)を備えた軸(15)に固定されており、該クランクピンは、据え付けられたカム(19、20)と協働し、該カムが、前記クランクピンを、前記支持手段の高位置と低位置にそれぞれ対応する第1の位置と第2の位置の間を上下運動させる構成にされていることを特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項4】
前記クランクピン(17)を第1の位置から第2の位置に向けて移動させる前記カム(20)が、互いにほぼ平行なガイド用上面(21)とガイド用下面(22)を備えていて、それらの間に前記クランクピンを受け入れ、前記ガイド用上面は、このクランクピンに第2の位置に向かう上下運動を開始させる構成にされており、前記ガイド用下面は、このクランクピンが第2の位置の近くで徐々に減速される構成にされていることを特徴とする請求項3に記載の設備。
【請求項5】
前記カム(19、20)は、前記カムが前記クランクピン(17)の軌跡上にある動作位置と、前記カムがこのクランクピンの軌跡から外れた非動作位置との間を、移動できることを特徴とする請求項3に記載の設備。
【請求項6】
前記クランクピン(17)を第2の位置から第1の位置に移動させる前記カム(19)を非動作位置に向かわせる少なくとも1つの移動手段(23)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−500598(P2009−500598A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518914(P2008−518914)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001490
【国際公開番号】WO2007/006882
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(398036346)
【Fターム(参考)】