説明

容器収納米飯の加工方法並びに容器収納米飯ほぐし機

【課題】米飯収納容器内で冷えて塊状となっている容器収納米飯を加熱して食する際に、炊きたてのようにふっくらとして美味しく食することができる容器収納米飯の加工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】炊飯し米飯収納容器1に収納して市販する容器収納米飯2の加工方法であって、前記米飯収納容器1内で冷え固まって塊状となっている前記容器収納米飯2を前記米飯収納容器1から取り出し、容器収納米飯ほぐし機3を用いて粒状にほぐし、この粒状にほぐした前記容器収納米飯2を前記米飯収納容器1若しくは別の容器に再収納する容器収納米飯の加工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯収納容器に収納された容器収納米飯、例えば、無菌化包装米飯を美味しく食することができる容器収納米飯の加工方法並びにこれに用いる容器収納米飯ほぐし機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一食分ずつ容器に入れられ無菌状態で包装し常温で長期保存が可能な無菌化包装米飯が、電子レンジで数分間加熱処理するだけで簡単に食せるという手軽さから広く普及してきている。
【0003】
この無菌化包装米飯は、例えば、無菌室で炊飯し、そのまま容器に収納し密閉包装したり、或いは炊飯して容器に収納した後、殺菌処理や制菌ガスを充填してから密閉包装したりすることで容器内に雑菌などが存在しないため、常温でも長期間の保存が可能となる。
【0004】
また、この無菌化包装米飯は、炊飯後の温かい状態の米飯をそのまま容器内に収納するため、炊飯によって米粒表面に澱粉が溶出し米粒全体を覆い、この表面全体が粘り気のある澱粉で覆われた米粒同士が、この粘り気のある澱粉が接着剤となってくっつき殆ど隙間の無い密着した状態となり、この澱粉が冷えて固まることで容器内のバラバラだった米粒同士が密着した塊状の米飯になる。
【0005】
この塊状となった米飯を電子レンジや蒸し器などで加熱処理する際に、容器内の米飯内部は米粒同士が略密着した状態で隙間が無いため、外部から空気が入り込む空間が無い。そのため、容器内の米飯内部にまで十分に加熱することができず、温められた米飯は加熱状態にムラがあり、せっかく美味しく炊き上げた米飯の風味や食味が損ねられてしまい、更に、塊状の部分があるなどして食感まで損ねられてしまうこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、米飯収納容器内で冷えて固まり塊状となっている容器収納米飯を加熱して食する際に、炊きたてのようにふっくらとして美味しく食することができる容器収納米飯の加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
炊飯し米飯収納容器1に収納して市販する容器収納米飯2の加工方法であって、前記米飯収納容器1内で冷えて塊状となっている前記容器収納米飯2を前記米飯収納容器1から取り出し、容器収納米飯ほぐし機3を用いて粒状にほぐし、この粒状にほぐした前記容器収納米飯2を前記米飯収納容器1若しくは別の容器に再収納することを特徴とする容器収納米飯の加工方法に係るものである。
【0009】
また、前記容器収納米飯2は、無菌室で炊飯し前記米飯収納容器1に収納された、または、殺菌処理若しくは脱酸素処理を施して前記米飯収納容器1に収納された、或いは前記米飯収納容器1に収納した後で殺菌処理を施した、常温で長期保存が可能な無菌化包装米飯2であることを特徴とする請求項1記載の容器収納米飯の加工方法に係るものである。
【0010】
また、複数の前記無菌化包装米飯2を、前記容器収納米飯ほぐし機3を用いて粒状にほぐして一つの容器に再収納することを特徴とする請求項2記載の容器収納米飯に係るものである。
【0011】
また、前記容器収納米飯ほぐし機3は、前記米飯収納容器1から取り出した容器収納米飯2を押圧する押圧部4を備え、この押圧部4で前記容器収納米飯2を押圧して粒状にほぐすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器収納米飯の加工方法に係るものである。
【0012】
また、前記容器収納米飯ほぐし機3は、対向状態に配設した二つのローラー状の前記押圧部4を備え、この対向するローラー状押圧部4間に投入した前記容器収納米飯2を、このローラー状押圧部4で外方から挟み込むように押圧し圧砕して粒状にほぐすように構成したことを特徴とする請求項4記載の容器収納米飯の加工方法に係るものである。
【0013】
また、米飯収納容器1内で冷えて塊状となった容器収納米飯2を粒状にほぐす容器収納米飯ほぐし機であって、前記米飯収納容器1から取り出した前記容器収納米飯2の厚みよりも狭い対向間隔に設定した米粒通過部13を設けた一対のローラー状押圧部4を回転自在に構成して、このローラー状押圧部4を回転駆動させて前記容器収納米飯2を押圧しながら前記米粒通過部13を通過させることで該容器収納米飯2を粒状にほぐすように構成したことを特徴とする容器収納米飯ほぐし機に係るものである。
【0014】
また、前記一対のローラー状押圧部4を水平方向に対向配設し、この一対のローラー状押圧部4の上方の米飯導入部6に投入された前記容器収納米飯2を押動して前記一対のローラー状押圧部4に導入する押動部8を進退移動自在に設けて、前記米飯導入部6に投入された前記容器収納米飯2を前記押動部8で押動して回転する前記一対のローラー状押圧部4で押圧しながら前記米粒通過部13を通過するように構成したことを特徴とする請求項6記載の容器収納米飯ほぐし機に係るものである。
【0015】
また、前記米飯導入部6の側方に米飯投入ガイド部14を設け、この米飯投入ガイド部14に前記容器収納米飯2を載置し、この米飯投入ガイド部14に載置した前記容器収納米飯2の一部が前記米飯導入部6に側方から投入されるように構成し、この米飯導入部6に投入された容器収納米飯2の一部を前記押動部8で截断すると共に下方に押動して前記一対のローラー状押圧部4へ導入して、この一対のローラー状押圧部4で押圧しながら前記米粒通過部13を通過させるように構成したことを特徴とする請求項7記載の容器収納米飯ほぐし機に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のようにしたから、一粒一粒バラバラにほぐれた米粒を容器に再収納することで収納状態の米粒間に隙間が形成され、この隙間に空気が入り込むことによって、この空気が加熱され周囲の米粒を加熱するので、容器内に再収納された容器収納米飯の内側に存在する米粒一粒一粒まで均一に加熱することとなり、米粒の持っている本来の弾力感を取り戻し、食感がよく、食した際の風味も炊きたてのご飯に近い美味しく食すことができる容器収納米飯の加工方法となる。
【0017】
また、請求項2記載の発明においては、手軽に食すことができる無菌化包装米飯をより一層美味しく食することができる画期的な容器収納米飯の加工方法となる。
【0018】
また、請求項3記載の発明においては、効率よく容器収納米飯を処理することができる実用性に優れた容器収納米飯の加工方法となる。
【0019】
また、請求項4,5記載の発明においては、米飯収納容器から取り出した容器収納米飯を均一に、且つ効率的に粒状にほぐすことがでる実用性に優れた容器収納米飯の加工方法となる。
【0020】
また、請求項6〜8記載の発明においては、冷えて塊状となった容器収納米飯を極めて容易にバラバラの粒状にすることができる画期的な容器収納米飯ほぐし機となり、特に押圧部をローラー状に構成することで、容器収納米飯を外方から挟み込むように(巻き込むように)押圧しても米粒が切り裂かれたりキズがついたりしないので、バラバラにほぐした容器収納米飯の見た目や食感が損なわれない作業性に優れた画期的な容器収納米飯ほぐし機となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1の加工手順を示す概略図である。
【図2】実施例1の開封前の無菌化包装米飯を示す説明断面図である。
【図3】実施例1の容器収納米飯ほぐし機の押動部を上方に移動した状態を示す説明斜視図である。
【図4】実施例1の容器収納米飯ほぐし機の押動部を下方に移動した状態を示す説明斜視図である。
【図5】実施例1の容器収納米飯ほぐし機を示す説明断面図である。
【図6】実施例1の使用状態を示す説明図である。
【図7】実施例1の使用状態を示す説明図である。
【図8】実施例1の使用状態を示す説明図である。
【図9】実施例1の使用状態を示す説明図である。
【図10】実施例1の容器収納米飯ほぐし機でほぐして容器に再収納した状態の無菌化包装米飯を示す説明断面図である。
【図11】実施例2の容器収納米飯ほぐし機を示す説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0023】
米飯収納容器1に収納されこの米飯収納容器1内で冷えて塊状となっている容器収納米飯2を、米飯収納容器1の包装を剥がしてこの米飯収納容器1から取り出す。
【0024】
この米飯収納容器1から取り出した塊状の容器収納米飯2を、容器収納米飯ほぐし機3を用いてバラバラの粒状にほぐす。
【0025】
この米飯収納容器1内に収納されている容器収納米飯2の米粒同士は、接着力の弱い澱粉で接合されて塊状となっているので、容器収納米飯ほぐし機3を用いて外部から力を加えることで容易にバラバラにほぐれ粒状とすることができる。
【0026】
このバラバラにほぐした粒状の容器収納米飯2を、例えば、この容器収納米飯2を収納していた米飯収納容器1若しくは、これとは別の容器に再収納する。
【0027】
この容器内に再収納された粒状の容器収納米飯2は、冷えて硬くなっているので、容器内に再収納された際に、米粒が上から押し潰され密着することなく収納されるので、米粒と米粒との間には多数の隙間5が生じ、この米粒間に隙間5が生ずることによって、この隙間5に空気が入り込み、この隙間5に入り込んだ空気が、容器収納米飯2を食すために加熱する際に温められることによって、容器内に収納された容器収納米飯2の内部に存在する米粒までも略均一に加熱することができ、よって、容器内に再収納した容器収納米飯2はムラ無く加熱され、炊きたての状態に近い風味が良く弾力感のある食感の良い容器収納米飯2となる。
【実施例1】
【0028】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0029】
本実施例は、炊飯し米飯収納容器1に収納して市販する容器収納米飯2、具体的には、無菌室で炊飯し米飯収納容器1に収納された、または、殺菌処理若しくは脱酸素処理を施して米飯収納容器1に収納された、或いは米飯収納容器1に収納した後で殺菌処理を施した常温で長期保存が可能な無菌化包装米飯2(以下、本実施例においては容器収納米飯2を無菌化包装米飯2と称す)を食するために加熱する際、この加熱前の無菌化包装米飯2に施す加工方法であり、図1に示すように、米飯収納容器1内で冷え固まって塊状となっている無菌化包装米飯2を米飯収納容器1から取り出し、容器収納米飯ほぐし機3を用いて粒状にほぐし、この粒状にほぐした無菌化包装米飯2を米飯収納容器1若しくは別の容器に再収納し、この容器に再収納した無菌化包装米飯2を加熱処理する容器収納米飯の加工方法である。
【0030】
具体的には、まず、米飯収納容器1に収納されている無菌化包装米飯2を、米飯収納容器1の包装を剥がしてこの米飯収納容器1内から取り出す。
【0031】
この米飯収納容器1に収納されている無菌化包装米飯2は、米飯収納容器1内で冷え固まって塊状、具体的には、米飯収納容器1と同じ形状で扁平な方形状の塊になっている。
【0032】
即ち、無菌化包装米飯2は、製造過程において、炊飯後の温かい状態の米飯をそのまま米飯収納容器1内に収納するため、若しくは米飯収納容器1内で炊飯しそのままの状態とするため、米飯収納容器1内に収納されている無菌化包装米飯2は、炊飯時に米粒の表面に溶出した澱粉によって米粒と米粒とがくっつき、このくっついた状態で冷えることで澱粉が固まり、米飯収納容器1形状の塊状の無菌化包装米飯2となる。
【0033】
より詳細には、米は生米の状態ではβ澱粉化しており、消化が悪く、また食しても美味しくないものであるが、これを加熱しα澱粉に変化させることで、やわらかくて消化が良く、また、風味・食味も良くなり、食べて美味しいと感じる状態になるもので、容器収納米飯2は、米飯収納容器1に収納した時点ではα澱粉の状態であるが、容器内で時間の経過と共に冷えα澱粉からβ澱粉に変化し固くなる。
【0034】
また、α澱粉状態では、表面に溶出した澱粉によって米粒表面に粘り気があり、この粘り気のある澱粉によって米粒同士がくっつくことによって、食す際にもぼそぼそ状態にならずに箸で掬える状態となっている。しかし、この米粒同士が表面に溶出した澱粉でくっついた状態で、米飯収納容器1内で冷えてβ澱粉化し固くなることによって、米粒同士が結合した米飯収納容器1形状の塊となった無菌化包装米飯2になる。
【0035】
また、温かい状態の米飯を収納した状態で密閉包装した直後は、米飯収納容器1内は空気若しくは充填ガスが膨張した状態であるが、時間の経過と共に収納した無菌化包装米飯2が冷えて米飯収納容器1内の温度も低下することで米飯収納容器1内の空気若しくは充填ガスの堆積が収縮することによって、まだ冷え固まってない無菌化包装米飯2を圧し、この圧せられ密着状態になった米粒同士の表面の澱粉が冷え固まることで図2に示すような、米粒同士の間に殆ど隙間(空間)の無い扁平な方形状の塊になる。
【0036】
このように、無菌化包装米飯2は、米飯収納容器1に収納した時点では炊きたての状態に近くやわらかいα澱粉状態であるが、時間の経過と共に冷えることによってα澱粉からβ澱粉に変化し風味・食味が低下すると共に固くなり塊状になっている。
【0037】
次に、この米飯収納容器1から取り出した扁平な方形状の塊となった無菌化包装米飯2を、容器収納米飯ほぐし機3を用いてバラバラの粒状にほぐす。
【0038】
この米飯収納容器1内に収納されている無菌化包装米飯2の米粒同士は接着力の弱い澱粉が接着剤の役目となって結合しているので、この米粒同士の結合力は弱く、外部から力を加えることで容易に分離しバラバラにほぐれる状態である。
【0039】
本実施例に用いる容器収納米飯ほぐし機3は、米飯収納容器1から取り出した容器収納米飯2を押圧する押圧部4を備え、この押圧部4で無菌化包装米飯2を押圧することで接着力の弱い澱粉で結合している米粒同士を圧砕し分離させ、バラバラの粒状にほぐすように構成したもので、具体的には、図1(b)に示すように、一対のローラー状押圧部4を所定の間隔を設けて対向状態に配設し、この対向配設した一対のローラー状押圧部4間に無菌化包装米飯2を投入することで、無菌化包装米飯2を外方(両面側)から挟み込むように一対のローラー状押圧部4が押圧し圧砕して粒状にほぐすように構成している。
【0040】
より具体的には、本実施例の容器収納米飯ほぐし機3は、米飯収納容器1から取り出した無菌化包装米飯2の厚みよりも狭い対向間隔に設定した米粒通過部13を設けた一対のローラー状押圧部4を回転自在に構成して、この一対のローラー状押圧部4を回転駆動させて無菌化包装米飯2を押圧しながら米粒通過部13を通過させることでこの無菌化包装米飯2を粒状にほぐすように構成している。
【0041】
更に詳細に説明すると、一対のローラー状押圧部4は、図3〜図5に示すように、箱状に形成した基体部15に米飯収納容器1から取り出した無菌化包装米飯2の厚みよりも狭い対向間隔に設定した米粒通過部13を設けて水平方向に対向配設した構成とし、本実施例では、この一対のローラー状押圧部4間となる米粒通過部13の間隔を5mm程度に設定し、この間隔以上の大きな塊状の無菌化包装米飯2が通過しないことで、ほぼバラバラにほぐした状態の無菌化包装米飯2が得られるように構成している。
【0042】
即ち、一般的な米粒の大きさは、長さ4mm〜5mm程度、幅2mm〜3mm程度の大きさなので、この5mmという対向間隔に設定することで、米粒同士がくっついた状態で通過できるのは、せいぜい二粒程度で、これ以上の数の塊では、少なくとも塊の長さ若しくは幅が5mm以上になり、ローラー状押圧部4に押圧され澱粉による米粒同士の結合が容易に壊されバラバラにほぐされるように構成している。
【0043】
また、この対向する一対のローラー状押圧部4に、一方を時計回り、他方を反時計回りに回転させる駆動部7を連設して回転駆動自在に設けた構成とし、この一対のローラー状押圧部4間に無菌化包装米飯2を導入し、このローラー状押圧部4の回転により下方側へ送り出すように構成している。
【0044】
具体的には、駆動部7は、歯車10とハンドル部11とからなる構成とし、夫々のローラー状押圧部4に歯車10を付設し、この歯車10同士を係合させ、一方の歯車10(若しくはローラー状押圧部4)にハンドル部11を設けて、このハンドル部11を回転させることで他方の歯車10が一方の歯車10と逆方向に回転し、歯車10の回転に連動してローラー状押圧部4が回転しこの対向配設したローラー状押圧部4間に上方から投入した無菌化包装米飯2を両面側から挟み込むようにして押圧しながら巻き込み、下方へと送り出すように構成している。
【0045】
また、この一対のローラー状押圧部4に無菌化包装米飯2を導入する米飯導入部6は、ローラー状押圧部4の直上に配設した構成とし、具体的には、この米飯導入部6に投入された無菌化包装米飯2が一対のローラー状押圧部4間に設けられた米粒通過部13に導入されるように構成している。
【0046】
より具体的には、この米飯導入部6は、断面方形状の筒状体に形成した構成とし、側方に無菌化包装米飯2を載置する米飯投入ガイド部14を傾斜状態に設けた構成とし、この傾斜状態に設けた米飯投入ガイド部14に載置した無菌化包装米飯2がこの米飯投入ガイド部14に沿って滑り移動しこの米飯導入部6の側面に設けた米飯投入口9から無菌化包装米飯2の一部が米飯導入部6内に自動的に投入されるように構成している。
【0047】
また、本実施例の容器収納米飯ほぐし機3は、この米飯導入部6内に投入された無菌化包装米飯2の一部を截断し下方(ローラー状押圧部4側)へ押動する押動部8を設けた構成としている。
【0048】
具体的には、押動部8は、米飯導入部6に連設するスライドガイド部16に上下方向に進退移動自在に設けた構成とし、本実施例においては、米飯導入部6の長さを上方に延長しこの米飯導入部6の上部側をスライドガイド部16としている。
【0049】
また、このスライドガイド部16にスライド移動自在に設けた押動部8は、連結機構17を介して操作ハンドル部18と連設した構成とし、この操作ハンドル部18を上下方向に操作することで押動部8が上下にスライド移動するように構成している。
【0050】
具体的には、操作ハンドル部18は、上下方向に回動自在に設けた構成とし、この操作ハンドル部18を上下回動操作すると押動部8が鉛直方向に上下動するように構成している。
【0051】
また、この押動部8は、最下部に位置した状態で米飯投入口9の少なくとも一部を閉口するように構成し、この押動部8が最下部に位置した状態では、米飯投入ガイド部14に載置した無菌化包装米飯2がこの押動部8に当接して米飯導入部6内に投入されず、この押動部8が上方に移動し、米飯投入口9が開口状態となった際に、米飯投入ガイド部14の傾斜によって自動的に米飯導入部6に滑りおちて投入されるように構成している。
【0052】
即ち、本実施例は、図6〜図9に示すように、米飯収納容器1から取り出し米飯投入ガイド部14に載置した無菌化包装米飯2が、操作ハンドル部18を上方に回動操作して押動部8を上方へ移動させると、それまで押動部8に当接して停止していた無菌化包装米飯2が米飯投入ガイド部14の傾斜によって自動的に米飯導入部6へ向かって滑り移動してこの無菌化包装米飯2の先端側の一部が米飯投入口9から米飯導入部6内に投入され、この米飯導入部6内に投入された無菌化包装米飯2の一部が、上方に移動させた押動部8を、操作ハンドル部18を下方に回動操作して下方に移動させることでこの押動部8で截断されて小片となり、更に操作ハンドル部18を下方に回動操作して押動部8を下方に移動させてこの截断され小片となった無菌化包装米飯2を押動部8で下方に位置するローラー状押圧部4側に押動し、この押動部8で押動した無菌化包装米飯2を、ハンドル部11を操作し回転させた一対のローラー状押圧部4で外方(両面側)から挟み込むように押圧し圧砕して粒状にほぐし、この截断した無菌化包装米飯2の小片がバラバラにほぐれローラー状押圧部4間を通過し米飯導入部6に無くなったら、操作ハンドル部18を上方に回動操作して押動部8を上方に移動させて米飯投入口9を開口させ、再び、無菌化包装米飯2を米飯導入部6に投入し、上述した操作を繰り返して、無菌化包装米飯2をバラバラの粒状にほぐすように構成している。
【0053】
尚、この無菌化包装米飯2を自動的に米飯導入部6内に投入するために傾斜状に設けた米飯投入ガイド部14は、無菌化包装米飯2を載置する載置表面をできるだけ無菌化包装米飯2が滑り移動し易い状態にすることが好ましく、表面にフッ素樹脂などの滑り被膜処理を施したり、表面に複数のローラーを並設したり、また、米飯投入ガイド部14の長さ方向に丸棒を並設して無菌化包装米飯2との接地面積を小さくして抵抗を小さくしたりして滑り移動し易くした構成としても良く、また、米飯投入ガイド部14を傾斜状に設けず水平に設けてこの米飯投入ガイド部14に設けた無菌化包装米飯押し込み機構(例えば、バネ付勢で無菌化包装米飯2を米飯投入口9側に押動するように構成したもの)で押動して自動的に米飯導入部6内に投入するように構成しても良く、また更に、人の手で都度、押動する手動式とする構成としても良い。
【0054】
上述したような容器収納米飯ほぐし機3でバラバラにほぐした無菌化包装米飯2を容器に再収納する。尚、バラバラにほぐした無菌化包装米飯2を再収納する際の容器は、無菌化包装米飯2が収納されていた米飯収納容器1、若しくは他の容器、例えばご飯茶碗や丼、その他の収納容器などでも良いが、加熱手段として電子レンジ12を用いる際は、電子レンジ12に使用可能な容器を用いることが好ましく、このような電子レンジ使用可能容器に再収納することで、わざわざ移し変えすることなく、そのまま加熱でき、作業の効率が向上する。
【0055】
また、容器収納米飯ほぐし機3にほぐした無菌化包装米飯2を複数収納し得る大きさの容器を配置可能な構成とすれば、一々、無菌化包装米飯2を一個ずつほぐしながら再収納しなくとも、容器収納米飯ほぐし機3に無菌化包装米飯2を連続投入し、容器を入れ替えることなく一度に大量のほぐした無菌化包装米飯2を再収納することができ、よって、ほぐした状態の無菌化包装米飯2を一度に大量に加熱することができ、作業効率が向上するので、例えば、ホテルやレストランなどの外食産業といったご飯を大量使用するところでも採用することが可能となる。
【0056】
このバラバラの粒状にほぐされ、容器内に再収納された無菌化包装米飯2は、冷えて硬くなっているので、容器内に再収納された際に、米粒同士がくっついたり押し潰されたりすることなく粒状の状態で収納されるので、図10に示すように、米粒と米粒との間に多数の隙間5が生じた状態で収納される。
【0057】
この米粒間に隙間5が生ずることによってこの隙間5に空気が入り込み、この入り込んだ空気が温められることで、空気の周囲の米粒が略均一に加熱されることで、容器内全体の無菌化包装米飯2がムラ無く加熱されることとなる。
【0058】
即ち、この米粒同士の間に形成された多数の隙間5に空気が入り込むことによって、この空気中に含まれる水分子が電子レンジ12のマイクロ波によって振動し発熱するので、米粒自体に含まれる僅かな水分子の発熱以外に、米粒の周囲に存在する空気中の水分子の発熱によって周辺からも温められるので、確実に米飯を加熱することができ、よって、β澱粉化した状態の無菌化包装米飯2を確実にα澱粉化した無菌化包装米飯2とすることができ、食した際に、嫌な臭いや硬い食感がない、炊きたての状態に近い風味が良くふっくらとした弾力感のある食感の良い無菌化包装米飯2となる。
【0059】
本実施例は上述のようにしたから、電子レンジ12で温めるだけの無菌化包装米飯2を、手間を掛けずに炊きたてのように美味しくすることができるので、ホテルやレストランなどの外食産業で使用することも可能となる。
【0060】
即ち、ホテルやレストランなどの外食産業は、ご飯が足りなくなったときでも、一々、ご飯を炊く必要なく、必要な量の無菌化包装米飯2を容器収納米飯ほぐし機3でほぐして電子レンジ12で温めるだけの極めて簡易な作業で、炊きたての様なおいしいご飯を出すことができ、しかも、必要な分だけ作るので余りが生ずることもなく、よって、余ったご飯を廃棄するといった無駄が生ずることがなくなる。
【0061】
従って、この無菌化包装米飯2を安く大量に仕入れることができれば、低コストで美味しいご飯を、手間を掛けずに提供することができる画期的な容器収納米飯の加工方法となる。
【0062】
また、上述したホテルやレストランなどの外食産業以外にも本実施例を採用することができ、具体的には、無菌化包装米飯2を製造している工場で、冷え固まった塊状の無菌化包装米飯2を容器収納米飯ほぐし機3でバラバラにほぐし、米飯収納容器1に再収納(詰め直し)し、バラバラにほぐした状態のまま無菌化包装された無菌化包装米飯2として市販することで、従来品よりも炊きたての状態に近くて美味しいという付加価値をつけて市場に提供することも可能となる。
【実施例2】
【0063】
本発明の具体的な実施例2について図面に基づいて説明する。
【0064】
本実施例は、実施例1で用いた容器収納米飯ほぐし機3の無菌化包装米飯2をローラー状押圧部4に導入する米飯導入部6の構成が異なる(具体的には、押動部8と米飯投入ガイド部14が無い構成)容器収納米飯ほぐし機3を採用した場合である。
【0065】
本実施例に用いる容器収納米飯ほぐし機3は、実施例1と同様に、押圧部4を備えた構成とし、この押圧部4で無菌化包装米飯2を押圧することで接着力の弱い澱粉で結合している米粒同士を圧砕し分離させ、バラバラの粒状にほぐしている。
【0066】
この容器収納米飯ほぐし機3は、具体的には、図11に示すように、無菌化包装米飯2を投入する米飯投入部6と、投入した無菌化包装米飯2を押圧し圧砕するローラー状押圧部4と、このローラー状押圧部4を回転させる駆動部7とで構成し、この米飯投入部6に投入した無菌化包装米飯2を人の手や押動具で下方に押し込みながら一対のローラー状押圧部4で形成される米粒通過部13に送り込み、この一対のローラー状押圧部4で外方から挟み込むように無菌化包装米飯2を巻き込みながら押圧、圧砕してバラバラの粒状にほぐして米粒通過部13を通過させて下方に設置した容器内に再収納する構成としている。
【0067】
より詳細に説明すると、この無菌化包装米飯2を投入する米飯投入部6の上部に設けた米飯投入開口部9の形状は平面視長方形に形成しており、具体的には、無菌化包装米飯2を、長手方向を上下方向(縦方向)にした状態の水平断面形状と略同等の形状で、この長方形の縦横の各長さを無菌化包装米飯2の前記水平断面形状の縦横の長さよりも稍長く設定し、無菌化包装米飯2をスムーズに投入し得る形状に形成している。
【0068】
その余は、実施例1と同様である。
【0069】
尚、本発明は、本実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0070】
1 米飯収納容器
2 容器収納米飯
3 容器収納米飯ほぐし機
4 押圧部
6 米飯導入部
8 押動部
13 米粒通過部
14 米飯投入ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯し米飯収納容器に収納して市販する容器収納米飯の加工方法であって、前記米飯収納容器内で冷えて塊状となっている前記容器収納米飯を前記米飯収納容器から取り出し、容器収納米飯ほぐし機を用いて粒状にほぐし、この粒状にほぐした前記容器収納米飯を前記米飯収納容器若しくは別の容器に再収納することを特徴とする容器収納米飯の加工方法。
【請求項2】
前記容器収納米飯は、無菌室で炊飯し前記米飯収納容器に収納された、または、殺菌処理若しくは脱酸素処理を施して前記米飯収納容器に収納された、或いは前記米飯収納容器に収納した後で殺菌処理を施した、常温で長期保存が可能な無菌化包装米飯であることを特徴とする請求項1記載の容器収納米飯の加工方法。
【請求項3】
複数の前記無菌化包装米飯を、前記容器収納米飯ほぐし機を用いて粒状にほぐして一つの容器に再収納することを特徴とする請求項2記載の容器収納米飯。
【請求項4】
前記容器収納米飯ほぐし機は、前記米飯収納容器から取り出した容器収納米飯を押圧する押圧部を備え、この押圧部で前記容器収納米飯を押圧して粒状にほぐすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器収納米飯の加工方法。
【請求項5】
前記容器収納米飯ほぐし機は、対向状態に配設した二つのローラー状の前記押圧部を備え、この対向するローラー状押圧部間に投入した前記容器収納米飯を、このローラー状押圧部で外方から挟み込むように押圧し圧砕して粒状にほぐすように構成したことを特徴とする請求項4記載の容器収納米飯の加工方法。
【請求項6】
米飯収納容器内で冷えて塊状となった容器収納米飯を粒状にほぐす容器収納米飯ほぐし機であって、前記米飯収納容器から取り出した前記容器収納米飯の厚みよりも狭い対向間隔に設定した米粒通過部を設けた一対のローラー状押圧部を回転自在に構成して、このローラー状押圧部を回転駆動させて前記容器収納米飯を押圧しながら前記米粒通過部を通過させることで該容器収納米飯を粒状にほぐすように構成したことを特徴とする容器収納米飯ほぐし機。
【請求項7】
前記一対のローラー状押圧部を水平方向に対向配設し、この一対のローラー状押圧部の上方の米飯導入部に投入された前記容器収納米飯を押動して前記一対のローラー状押圧部に導入する押動部を進退移動自在に設けて、前記米飯導入部に投入された前記容器収納米飯を前記押動部で押動して回転する前記一対のローラー状押圧部で押圧しながら前記米粒通過部を通過するように構成したことを特徴とする請求項6記載の容器収納米飯ほぐし機。
【請求項8】
前記米飯導入部の側方に米飯投入ガイド部を設け、この米飯投入ガイド部に前記容器収納米飯を載置し、この米飯投入ガイド部に載置した前記容器収納米飯の一部が前記米飯導入部に側方から投入されるように構成し、この米飯導入部に投入された容器収納米飯の一部を前記押動部で截断すると共に下方に押動して前記一対のローラー状押圧部へ導入して、この一対のローラー状押圧部で押圧しながら前記米粒通過部を通過させるように構成したことを特徴とする請求項7記載の容器収納米飯ほぐし機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−165737(P2012−165737A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212455(P2011−212455)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(592050135)株式会社たかの (4)
【Fターム(参考)】