説明

容器壁連結構造、および該容器壁連結構造により側壁片が連結された側壁を備える容器

【課題】容器の側壁を形成するために側壁片を連結する際、不測の外力に対しても係合状態が有効に維持され連結部分への不測の負荷のかからない容器壁連結構造を提供すること。
【解決手段】第1の側壁片4と第2の側壁片5とを解除可能に連結して容器の側壁を構成する容器壁連結構造であって、第1の側壁片4は、端辺から壁面方向に開孔される係合孔部11と、係合孔部11内に形成される係合保持部17とを備え、第2の側壁片5は、端辺から壁面の延長方向に突出し、係合保持部17への係合・解除の際、第1の方向に弾性変形する係合基部18と、係合基部18から第2の方向に突出して係合保持部17に係合する係合突起19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の側壁を形成するために側壁片を連結する際の容器壁連結構造、および該容器壁連結構造により側壁片が連結された側壁を備える容器に関するものであり、特に、側壁長、側壁面積の拡大のために側壁片を連結する容器壁連結構造、および該容器壁連結構造により側壁長、側壁面積が拡大された容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、収納物の高さに応じて、容器の側壁にカサ上げフレームを連結して、側壁の高さを所望の高さにカサ上げして調整することが提案されている。例えば、下方に位置する容器に形成された係合孔に向かって、カサ上げフレームの下方部分に突設されてなり可撓性を有する係止爪部材を押し込む。係止爪部材の先端部の係止突起には、係止爪部材の基端部に向かって外方に傾斜するテーパー部が形成されている。このため、係止爪部材間の距離が狭まりつつ係合孔に挿入されていく。テーパー部の終端部を越えて挿入されると、係止爪部材は弾性復帰して開脚しテーパー部の終端部にある係止段部が係止孔に当接して係合する(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2521865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術として提示された構成は、その先端部に基端部に向かって外方に傾斜するテーパー部を有する係止爪部材が、係止爪部材のテーパー部を越えた係止段部において係合孔と係合することにより、容器の側壁とカサ上げフレームとが連結されるものである。
【0005】
しかしながら、この構成は、下記するように幾つかの課題を有している。すなわち、連結された容器に外力が加わると、外力の方向によっては、係合孔が係止爪部材を押圧する方向に力が加わる場合がある。この押圧により係止爪部材は弾性変形するが、その方向は係止爪部材と係合孔との係合を解除する方向となる。外力が加えられることにより容器の側壁とカサ上げフレームとの連結が解除されてしまうという不測の事態を招来する恐れがある。
【0006】
また、不測の事態による連結の解除を防止するために、係止爪部材の剛性を大きくして外力に対する弾性変形を抑制することも考えられる。しかしながら、これにより係止爪部材と係合孔との係合および係合解除の際により大きな力が必要となり、容器側壁とカサ上げフレームとの着脱の操作性が悪化することも考えられ好ましくない。
【0007】
更に、背景技術の構成では、係止爪部材がそれ自体で、容器の自重、容器への収納物の重量、および外力などの様々な力を受け止める。上記したように係止爪部材に対して確保できる剛性にも制限があることも考え合わせると、係止爪部材の強度確保が難しい場合も考えられる。容器の自重、収納可能重量、および取り扱い上の制限など、使用上の制約を受ける場合もあり問題である。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、容器の側壁を形成するために側壁片を連結する際、不測の外力に対しても、係合状態が有効に維持され連結部分への不測の負荷のかからない容器壁連結構造、および該容器壁連結構造により側壁片が連結された側壁を備える容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に係る容器壁連結構造は、第1の側壁片と第2の側壁片とを解除可能に連結して容器の側壁を構成する際に、第1の側壁片と第2の側壁片とを連結するものである。第1の側壁片は、端辺から壁面方向に開孔される係合孔部と、係合孔部内に形成される係合保持部とを備えている。第2の側壁片は、端辺から壁面の延長方向に突出し、係合保持部への係合・解除の際、第1の方向に弾性変形する係合基部と、係合基部から第2の方向に突出して係合保持部に係合する係合突起とを備えている。
また、本願に係る容器は、当該容器壁連結構造により側壁片が連結された側壁を備えている。
【0010】
また、係合保持部の係合面は、第1の方向のうち係合状態の解除の方向への移動を規制する傾斜を有して構成されている。
【0011】
また、係合突起と係合保持部とが当接する係止部は、少なくとも一部が、係合基部の弾性変形の中心線上の位置または該中心線に対して第1の方向のうち解除方向の位置に配置されている。
【0012】
また、第1の側壁片と第2の側壁片との各々には、係合時に、外力を受け止め係合基部への外力の伝達を軽減する保護部材を備えている。
【発明の効果】
【0013】
収納物を入れた状態で容器を持ち上げた場合や、容器の落下に伴う衝撃により側壁が捻られた場合に、連結されている側壁片が互いに引き離される方向に力が働くことがある。本願の容器壁連結構造および容器によれば、この力が加わったとしても、係合基部が係合の解除の方向には弾性変形し難いため、外力に対しても係合状態を維持することができる。また仮に、外力により係合基部が弾性変形したとしても、係合保持部と係合突起との係合状態が解除される係合基部の弾性変形の方向(第1の方向)とは異なる第2の方向に係合突起が備えられているため、係合突起の係合保持部への係合状態は直ちに解除されることはなく係合状態が維持される。これにより、外力に対して頑健な係合状態が維持される。
【0014】
また、係合保持部の係合面が、第1の方向のうち係合状態の解除の方向への移動を規制する傾斜を有している。このため、外力が加わった際に、係合突起が係合状態の解除の方向に移動することを抑制することができる。これにより、外力に対して頑健な係合状態が維持される。
【0015】
また、係合突起と係合保持部とが当接する係止部の少なくとも一部が、係合基部の弾性変形の中心線上の位置または該中心線に対して第1の方向のうち解除方向の位置に配置されている。このため、外力が加わった際に、係合突起と係合保持部とが当接する係止部に加わる力により、係合状態が解除される方向とは反対の方向、すなわち、係合状態が維持される方向に係合基部が弾性変形する力の回転モーメントが働く。これにより、外力に対して頑健な係合状態が維持される。
【0016】
また、第1の側壁片と第2の側壁片との各々には、係合時に、外力を受け止め係合基部への外力の伝達を軽減する保護部材を備えている。このため、伝達される外力のうち保護部材で受け止められる力を除いて係合突起と係合保持部との係合基部に加わる力は限定されたものとなる。係合部分への負荷が軽減され、外力に対して頑健な係合状態が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願の容器壁連結構造を備える物品収納容器1の分解斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る容器壁連結構造の連結前の斜視図であって物品収納容器1の外側からの図である。
【図3】第1実施形態に係る容器壁連結構造の連結前の斜視図であって物品収納容器1の内側からの図である。
【図4】第1実施形態に係る容器壁連結構造の連結された状態を物品収納容器1の外側から見た斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る容器壁連結構造の連結された状態を物品収納容器1の内側から見た斜視図である。
【図6】図4のAA断面を示す斜視図である。
【図7】図4のAA断面において容器壁連結構造の係合前の状態を示す断面図である。
【図8】図4のAA断面において容器壁連結構造の係合後の状態を示す断面図である。
【図9】第2実施形態に係る容器壁連結構造のうち第2の側壁片5に備えられる構造を物品収納容器1の外側からの斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る容器壁連結構造のうち第2の側壁片5に備えられる構造を物品収納容器1の内側からの斜視図である。
【図11】第2実施形態に係る容器壁連結構造のうち第2の側壁片5に備えられる構造の機能を示す説明図である。
【図12】第3実施形態に係る容器壁連結構造の連結前の斜視図であって物品収納容器1の外側からの図である。
【図13】第3実施形態に係る容器壁連結構造の連結前の斜視図であって物品収納容器1の内側からの図である。
【図14】第3実施形態に係る容器壁連結構造の連結された状態を物品収納容器1の外側から見た斜視図である。
【図15】第3実施形態に係る容器壁連結構造の連結された状態を物品収納容器1の内側から見た斜視図である。
【図16】図14のAA断面を示す斜視図である。
【図17】図14のBB断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、物品収納容器1であって、底部2と側部3とが分離された状態を示す分解斜視図である。物品収納容器1とは、工業生産物や当該生産物の組立ての際に必要とされる種々の部品、あるいは農産物や漁獲物など、様々な産業活動における生産物、物流活動における物品などを収納するために使用される容器である。集荷用として、あるいは出荷・搬入等の搬送用として使用される容器である。その材質は、近年の軽量化の要請により、例えば樹脂等で成型されている。
【0019】
底部2と側部3とを連結する構造として本願の容器壁連結構造を利用した例を以下に説明する。
【0020】
底部2は、底板から立ち上る第1の側壁片4が底板と一体に成型されている。第1の側壁片4の側面12には、所定の間隔で所定幅のリブ8が縦横に立設されており強度が確保されている。第1の側壁片4の上端には側壁の高さを追加するための第2の側壁片5が連結される。第2の側壁片5の側面12にも、所定の間隔で所定幅のリブ8が縦横に立設されており強度が確保されている。第1の側壁片4と第2の側壁片5との連結は、第1の側壁片4の上側の端辺に備えられる第1の係合部6と第2の側壁片5の下側の端辺に突出して備えられる第2の係合部7とが係合することにより行なわれる。第1の係合部6と第2の係合部7とは、各々対応する位置に所定の間隔毎に設けられている。
【0021】
図2乃至図8に第1実施形態を説明する。図2、3は、第1の係合部6および第2の係合部7が係合していない状態での斜視図である。図2は、第1の側壁片4および第2の側壁片5の外方から見た場合の斜視図であり、図3は、内方から見た場合の斜視図である。図3に図示される第1の係合部6は、側面12を切り欠いて内部の構造を明示している。
【0022】
第1の係合部6は、第1の側壁片4の上側の端辺から第1の側壁片4の側面12に立設されるリブ8の所定幅内に収まるように形成される。第1の側壁片4の上側の端辺には係合孔部11が開孔される。係合孔部11は、第1の側壁片4の側面12、リブ8、リブ8に対向する面として側面12に立設されるリブ対向面13、および側面12に対向する面として第1の側壁片4の上側の端辺から第1の係合部6の上半部に設けられる内側対向面14に囲まれる孔部である。係合孔部11の下端部は下端面16が設けられている。内側対向面14と下端面16との間は、その両端部に、リブ8およびリブ対向面13に連接する一対の補強部15が設けられている。補強部15は、後述する係合突起19と係合保持部17との係合の際に加わる負荷に対して、係合保持部17が立設されている内側対向面14の強度を確保するものである。内側対向面14の下端から一対の補強部15に挟まれた領域には、窓部23が開孔されている。
【0023】
内側対向面14の内側には、一対の係合保持部17が立設されている。係合保持部17は、第1の係合部6の下方に向かうに従って厚みを増す第1のテーパー面S1(図6〜8、参照)と、係合保持部17の下端で内側対向面14に向かうに従っての上方に戻る第2のテーパー面S2(図6〜8、参照)とを有している。略三角柱を横倒しにした形状を有している。
【0024】
第2の係合部7は、第2の側壁片5の下側の端辺から突出して形成され、係合孔部11に収まる幅で形成される。第2の係合部7は、その中央部から係合基部18が突出して設けられ、その終端部に左右方向に張り出して係合突起19を備える。係合基部18と係合突起19とで、略逆T字状の形状を有している。
【0025】
略逆T字状の係合基部18および係合突起19を、左右および下方で囲むように、保護部材を備えている。保護部材は、第2の係合部7の両端に位置して下方に突出する一対の側端保護部材20と、下端で一対の側端保護部材20を連結する下端保護部材21と、一対の側端保護部材20の各々を係合突起19の上方で補強する一対の側端補強部材22とで構成されている。
【0026】
図4、5は、第2の係合部7が第1の係合部6に挿入されて、係合突起19が係合保持部17に係合した状態を示す斜視図である。図4は、第1の側壁片4および第2の側壁片5の外方から見た場合の斜視図であり、図5は、内方から見た場合の斜視図である。図5の斜視図では側面12を切り欠いて内部の構造を明示している。また、図6は、図4におけるAA断面を示す斜視図である。
【0027】
第2の係合部7が第1の係合部6に挿入されると、係合基部18の左右に突出した一対の係合突起19の上側面が、一対の係合保持部17の第2のテーパー面S2に当接して係合状態とされる。係合状態の解除は、第1の係合部6の下方に開孔されている窓部23を介して、係合突起19の中央部、あるいは係合基部18と係合突起19との連接部を側面12側に向かって押圧することにより行なわれる。
【0028】
互いに係合されている係合突起19と係合保持部17との周囲は、第2の係合部7の保護部材で囲まれている。保護部材は、第1の係合部6の係合孔部11の内側面である側面12、リブ8、リブ対向面13、および内側対向面14に当接あるいは近接対向している。これにより、第1の側壁片4と第2の側壁片5との連結状態で受ける外力の少なくとも一部は、第1の係合部6の係合孔部11の側面12と第2の係合部7の保護部材とで受け止められる。係合突起19と係合保持部17とに加わる負荷が緩和され、外力に抗して係合状態が維持される。
【0029】
図7、8は、第2の係合部7が第1の係合部6に挿入される際の係合突起19と係合保持部17との係合の様子を示したものである。第2の係合部7が第1の係合部6に挿入されると、図7に示すように、係合突起19の下端部が係合保持部17の第1のテーパー面S1に当接する。第2の係合部7の挿入に応じて、係合突起19は、その下端部が係合保持部17の第1のテーパー面S1に押圧される。係合突起19と係合保持部17とは、挿入方向に対して左右に一対備えられているので、係合突起19が第1のテーパー面S1から受ける押圧力により、係合突起19および係合突起19に連接されている係合基部18は、側面12側に力を受ける。これに応じて、係合基部18が弾性変形しながら係合突起19が第1のテーパー面S1を下方に摺動していく。係合突起19が第1のテーパー面S1を越えることに応じて、係合基部18は弾性復帰して、係合保持部17の第2のテーパー面S2に当接して係合状態となる。
【0030】
ここで、第2のテーパー面S2は、内側対向面14に向かうに従って上方に向かう傾斜を有している。第2のテーパー面S2に当接する係合突起19は内側対向面14に向かう方向に付勢される。即ち、係合状態の維持する方向に付勢される。
【0031】
図9乃至図11に第2実施形態を説明する。第2実施形態では、第1実施形態における第2の係合部7に代えて第2の係合部7Aを備える。図9、10は、第2の係合部7Aの斜視図である。図9は、第2の側壁片5の外方から見た場合の斜視図であり、図10は、内方から見た場合の斜視図である。
【0032】
第2の係合部7Aは第2の係合部7の係合基部18および係合突起19に代えて係合基部18Aおよび係合突起19Aを備えている。係合基部18Aと係合突起19Aとで略逆T字状の形状を有している点は第1実施形態の係合基部18および係合突起19と同様であるが、係合基部18Aの形状が係合基部18とは異なっている。
【0033】
係合基部18Aは、リブ8に連接される基端部18A1と、係合突起19Aが左右方向に張り出して連接される終端部18A3との間が、中間部18A2で連絡されている。係合基部18Aは、第2の側壁片5の外方側の面が基端部18A1から終端部18A3まで面一で形成されている。また、その厚みは基端部18A1に比して終端部18A3で厚く構成されている。そのため、基端部18A1と終端部18A3とを接続する中間部18A2は、基端部18A1から終端部18A3に向かうに従い厚みを増すように構成されている。具体的には、連続的に厚みを増すように構成される。また、係合突起19Aは、終端部18A3において、第2の側壁片5の内方側に寄せて配置されている。
【0034】
図11は、係合基部18Aおよび係合突起19Aを第2の側壁片5の壁面に沿った方向から見た図である。係合突起19Aと係合保持部17とが当接する係止部Xは、係合基部18Aの終端部18A3において、第2の側壁片5の内方側にオフセットした位置に配置されている。このため、係止部Xの中心を下方へ延長した延長線CL2は、係合基部18Aの基端部18A1の中心線CL1に対して、第2の側壁片5の内方側に距離Lのオフセットを有している。
【0035】
内部に収納物が収納されている状態で物品収納容器1が持ち上げられ、あるいは、物品収納容器1の落下に伴う衝撃により第1の側壁片4および第2の側壁片5で構成されている側壁が捻られて、第1および第2の側壁片4、5が互いに引き離される方向、すなわち、中心線CL1に沿って上方に外力Fが働いたものとする。外力Fは、係合基部18Aと係合保持部17とが当接する係止部Xに加わる。これにより、係合保持部17は係合突起19Aにより延長線CL2に沿って上方に押し上げられて外力Fと同じ力F0が加わる。同時に、係合突起19Aには、力F0の反作用により、延長線CL2に沿って下方に力F0と同じ大きさの力F1が加わる。ここで、力F0、F1は系止部Xの全体に働くものではあるが、係止部Xの中心に集中して働くものと仮定しても等価である。以下の説明では、力F0、F1は系止部Xの中心に働くものとして説明する。
【0036】
係合突起19Aに加わる力F1は、延長線CL2と中心線CL1との間に距離Lのオフセットが存在するため、係合状態の解除の方向とは反対方向である係合状態が維持される方向、即ち、第2の側壁片5の外方側に、力のモーメントMR(=F1×L)で係合基部18Aを弾性変形させる力となる。係合基部18Aは係合状態の解除方向とは反対の方向に力のモーメントMRで付勢される。第1および第2の側壁片4、5を互いに引き離そうとする力F1が働いたとしても、係合状態の不測の解除を防止することができる。内部に収納物が収納されている状態で物品収納容器1が持ち上げられ、あるいは、物品収納容器1の落下に伴う衝撃により第1の側壁片4および第2の側壁片5で構成されている側壁が捻られた場合にも、係合保持部17と係合突起19Aとの係合状態を維持することができる。
【0037】
図12乃至図17に第3実施形態を説明する。図12、13は、第1の係合部6Bおよび第2の係合部7Bが係合していない状態での斜視図である。図12は、第1の側壁片4および第2の側壁片5の外方から見た場合の斜視図であり、図13は、内方から見た場合の斜視図である。図13に図示される第1の係合部6Bは、側面12を切り欠いて内部の構造を明示している。
【0038】
第1の係合部6Bは、第1の側壁片4の上側の端辺から第1の側壁片4の側面12に立設されるリブ8の所定幅内に収まるように形成される点は第1実施形態の第1の係合部6と同様である。第1の側壁片4の上側の端辺には一対の係合孔部11Bが開孔される。係合孔部11Bは、一対の係合孔部11Bを区画する仕切保護部材32と、第1の側壁片4の側面12、リブ8、リブ8に対向する面として側面12に立設されるリブ対向面13、および側面12に対向する面として第1の側壁片4の上側の端辺から第1の係合部6Bの上半部を覆い下半部では一対の窓部31を区画するように設けられる内側対向面14Bに囲まれる孔部である。係合孔部11Bの下端部は下端面16が設けられている。
【0039】
リブ8およびリブ対向面13の内側には、一対の係合保持部17Bが立設されている。係合保持部17Bは係合保持部17と同様の形状を備えている。即ち、第1の係合部6Bの下方に向かうに従って厚みを増す第1のテーパー面S1と、係合保持部17Bの下端でリブ8またはリブ対向面13に向かうに従っての上方に戻る第2のテーパー面S2とを有している。略三角柱を横倒しにした形状を有している。
【0040】
第2の係合部7Bは、第2の側壁片5の下端から突出して形成され、一対の係合孔部11Bに各々が収まる一対の棒状の形状で形成される。棒状形状の係合基部18Bが設けられている。係合基部18Bは終端部33で終端する棒状の形状を有している。その中間部には第2の側壁片5の外方に突出する係合突起19Bを備える。
【0041】
第2の係合部7Bは、一対の係合基部18Bに挟まれた中央部に一対の保護部材34が基端部から下方に向かって突出して形成されている。一対の保護部材34の間隔には、一対の係合孔部11Bを区画する仕切保護部材32が当接あるいは近接対向して挿入される。
【0042】
図14、15は、第2の係合部7Bが第1の係合部6Bに挿入されて、係合突起19Bが係合保持部17Bに係合した状態を示す斜視図である。図14は、第1の側壁片4および第2の側壁片5の外方から見た場合の斜視図であり、図15は、内方から見た場合の斜視図である。図15の斜視図では側面12を切り欠いて内部の構造を明示している。また、図16は図14におけるAA断面を示す斜視図であり、図17は図14におけるBB断面を示す斜視図である。
【0043】
第2の係合部7Bが第1の係合部6Bに挿入されると、一対の係合基部18Bの中間部から突出した係合突起19Bの上側面が、一対の係合保持部17Bの第2のテーパー面S2に当接して係合状態とされる。係合状態の解除は、第1の係合部6Bの下端から飛び出している一対の終端部33を互いに近づける方向に押圧して係合基部18Bを弾性変形することにより行なわれる。
【0044】
係合状態にあっては、第1の係合部6Bの仕切保護部材32が第2の係合部7の一対の保護部材34の間に挿入され両者が当接あるいは近接対向して、外力の少なくとも一部を受け止める。これにより、係合突起19Bと係合保持部17Bとにかかる負荷が緩和され、外力に抗して係合状態が維持される。
【0045】
以上、詳細に説明したように、本発明の第1実施形態(図2〜図8)によれば、内部に収納物が収納されている状態で物品収納容器1が持ち上げられ、あるいは、物品収納容器1の落下に伴う衝撃により第1の側壁片4および第2の側壁片5で構成されている側壁が捻られて、第1および第2の側壁片4、5が互いに引き離される方向に外力Fが加わったとしても、係合基部18、18A、18Bが係合の解除方向には弾性変形し難い。このため、係合保持部17と係合突起19、係合保持部17と係合突起19A、および係合保持部17Bと係合突起19Bの間の係合状態は、頑健に維持される。
【0046】
係合保持部17と係合突起19との係合状態が解除される係合基部18の弾性変形の方向(第1の方向)は、側面12に向かう方向である。これに対して、係合突起19は、係合基部18の弾性変形の方向(第1の方向)と直交する側面12に沿った方向(第2の方向)に、係合基部18から突出して備えられている。このため、外力により、仮に係合基部18が弾性変形したとしても、係合突起19の係合保持部17への係合状態は直ちに解除されることはなく係合状態が維持される。
【0047】
また、係合保持部17の係合面が、係合突起19と当接する領域を越えて係合基部18の弾性変形の方向のうち係合状態の解除の方向に延面されている。このため、係合突起19の係合保持部17への係合状態が外れるまでの距離を長く確保することができ、外力に対して係合状態が保持される。
【0048】
また、係合突起19には、左右および下方で囲むように保護部材として、一対の側端保護部材20と、下端保護部材21と、一対の側端補強部材22とを備えている。これらの保護部材と、第1の係合部6の係合孔部11内にある側壁(側面12、リブ8、リブ対向面13、および内側対向面14)との間で、外力が受け止められるため、係合状態への外力の伝達を軽減することができる。係合状態に不測の負荷がかかることを防止することができる。
【0049】
また、本発明の第3実施形態(図12〜図17)によれば、係合保持部17Bと係合突起19Bとの係合状態が解除される係合基部18Bの弾性変形の方向(第1の方向)は、側面12に沿った方向である。これに対して、係合突起19Bは、係合基部18Bの弾性変形の方向(第1の方向)と直交する側面12とは反対の外方に向かう方向(第2の方向)に突出して備えられている。このため、外力により、係合基部18Bが弾性変形したとしても、係合突起19Bの係合保持部17Bへの係合状態は直ちに解除されることはなく係合状態が維持される。
【0050】
また、係合保持部17Bの係合面が、係合突起19Bと当接する領域を越えて係合状態が解除される方向に延面されている。このため、係合突起19Bの係合保持部17Bへの係合状態が外れるまでの距離を長く確保することができ、外力に対して頑健な連結を係合状態が維持される。
【0051】
また、仕切保護部材32と保護部材34とが当接配置あるいは近接配置されることにより、外力を受け止め、係合状態への外力の伝達を軽減することができる。このため、係合状態に加わる力は限定されたものとなり、係合部分への負荷が軽減され、外力に対して頑健な係合状態が維持される。
【0052】
また、各実施形態について、共通に以下の効果を有している。すなわち、係合保持部17、17Bの下側の面は第2のテーパー面S2であるので、係合状態にある係合突起19、19Bに外力が加わった場合にも、係合保持部17、17Bから抜けにくく保持される。
【0053】
また、図11において説明したように、係合突起19Aと係合保持部17とが当接する係止部Xは、係合基部18Aの弾性変形の中心線CL1に対して、第1の方向のうち解除方向の位置(すなわち、側面12側)に配置されている。このため、外力が加わった際に、係止部Xに加わる力F1は係合状態が維持される方向に働く。係合基部19Aの弾性変形の中心線CL1と係合突起19Aと係合保持部17とが当接する係止部Xとの位置関係が、力F1に対して係合状態が維持される方向に回転モーメントMRが働く関係になっているからである。尚、係合突起19、19Bに関しても、係合基部18、18Bとの関係が同様な位置関係を有しているため、外力に抗して係合状態が維持される効果を奏することができる。
【0054】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
【0055】
例えば、図1では、容器壁連結構造をなす第1の係合部6、第2の係合部7は、長辺側および短辺側で、それぞれ4箇所ある場合を示しているが、容器壁連結構造の配置位置および配置数はこれに限定されるものではなく、必要とされる係合強度に応じて適宜変更できることは言うまでもない。例えば、側壁の高さが高い場合など、より大きな係合強度が必要とされる場合には、容器壁連結構造の配置位置をより密にして多数の容器壁連結構造により係合することが好ましい場合もある。
【0056】
また、実施形態においては、2分割された側壁片を連結して側壁を形成する場合を例示したが本願はこれに限定されるものではない。例えば、側壁の高さが高い場合などに、側壁片あたりの高さを制限して側壁片を多段に積み上げて連結する構成とすることもできる。これにより、側壁片間の係合に供される容器壁連結構造の配置数を増やすことなく側壁の強度を確保することができる。
【0057】
更に、実施形態に示されている上下に分割される側壁片を連結する場合に代えて、あるいはこれに加えて、左右に分割される側壁片を連結するように容器壁連結構造を備えることもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 物品収納容器
2 底部
3 側部
4 第1の側壁片
5 第2の側壁片
6、6B 第1の係合部
7、7A、7B 第2の係合部
8 リブ
11、11B 係合孔部
12 側面
13 リブ対向面
14、14B 内側対向面
15 補強部
16 下端面
17、17B 係合保持部
18、18A、18B 係合基部
19、19A、19B 係合突起
20 側端保護部材
21 下端保護部材
22 側端補強部材
23 窓部
31 窓部
32 仕切保護部材
33 終端部
34 保護部材
S1 第1のテーパー面
S2 第2のテーパー面



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側壁片と第2の側壁片とを解除可能に連結して容器の側壁を構成する際の、前記第1の側壁片と前記第2の側壁片とを連結する容器壁連結構造であって、
前記第1の側壁片は、
端辺から壁面方向に開孔される係合孔部と、
前記係合孔部内に形成される係合保持部とを備え、
端辺から壁面の延長方向に突出し、前記係合保持部への係合・解除の際、第1の方向に弾性変形する係合基部と、
前記係合基部から第2の方向に突出して前記係合保持部に係合する係合突起とを備えることを特徴とする容器壁連結構造。
【請求項2】
前記係合保持部の係合面は、前記第1の方向のうち解除方向への移動を規制する傾斜を有することを特徴とする請求項1に記載の容器壁連結構造。
【請求項3】
前記係合突起と前記係合保持部とが当接する係止部は、少なくとも一部が、前記係合基部の弾性変形の中心線上の位置または該中心線に対して前記第1の方向のうち解除方向の位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の容器壁連結構造。
【請求項4】
前記第1の側壁片と前記第2の側壁片との各々には、
係合時に、外力を受け止め前記係合基部への外力の伝達を軽減する保護部材を備えることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の容器壁連結構造。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れかに記載の容器壁連結構造により側壁片が連結された側壁を備える容器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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