容器把持装置
【課題】把持部に作用する容器および内容物の自重更にはキャップの巻き締め力や外力に十分に対抗して容器を適正に把持することのできる容器把持装置を提供すること。
【解決手段】容器を把持する把持位置と開放する開放位置とを開閉移動自在な一対のグリッパ3a、3bを有する容器把持装置1であって、各グリッパ3a、3bの対向面部分に、把持位置に移動した際に、容器2の外面に当接して容器を把持するとともに、容器の相対移動による変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させる把持力可変把持手段11a、11bを設けたことを特徴とする。
【解決手段】容器を把持する把持位置と開放する開放位置とを開閉移動自在な一対のグリッパ3a、3bを有する容器把持装置1であって、各グリッパ3a、3bの対向面部分に、把持位置に移動した際に、容器2の外面に当接して容器を把持するとともに、容器の相対移動による変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させる把持力可変把持手段11a、11bを設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器把持装置に係り、特にネック部を把持して容器を搬送したりキャッピングするのに好適な容器把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充填包装業界等においては、樹脂製、ガラス製、金属製等の各種の容器を搬送しながら容器内に内容物を定量充填し、その後にキャップを取り付けること(キャッピング)が行われている。
【0003】
この種の容器には、自立状態で搬送できる容器と自立状態で搬送することが困難である容器とに分けられる。
【0004】
一方の自立状態で搬送できる容器は、硬質な樹脂製の容器や、ガラス製の容器や、金属製の容器のように形状保持能力が高いものである。当該容器を搬送するために、容器を自立させて搬送する搬送装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
他方の自立状態で搬送することが困難である容器は、ケチャップやマヨネーズ等の粘性の高い内容物を入れる樹脂製の容器であって、内容物を押し出して使用できるように材質の軟らかい容器(いわゆるスクイズボトル)とされている。当該容器を搬送するために、袴と称される有底容器状の容器ホルダ内に容器を載置して一緒に搬送する搬送装置が用いられている。
【0006】
また、キャッピングの際にキャップを捻じ込む巻き締め力に対抗して容器を把持するためにゴム板によって容器を把持することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−247530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のキャップを捻じ込む巻き締め力に対抗する把持力をもって容器を把持するゴム板を用いた場合には、種々の理由から当該把持力が小さくなって容器が滑ってしまうおそれがあるという不都合があった。なぜならば、ゴム板の平坦な表面によって容器を把持して、把持部における容器の外面とゴム板の表面との間に生じる摩擦力のみにより前記把持力を付与するものであったために、例えば、ゴム板の表面が湿気で濡れたり、表面に汚れが付着して摩擦力が低下してしまい、著しい場合には前記把持力が不十分となって容器が滑ってしまうおそれがあった。
【0009】
また、従来の容器ホルダを用いて自立状態で搬送することが困難である容器を搬送する場合には、次のような不都合があった。
【0010】
第1に、容器1個に対して容器ホルダ1個が必要であり、少なくとも生産ライン上を流れる容器の数と同数の容器ホルダが必要となり、非常に多くの容器ホルダを用意する必要があり、当該容器ホルダを循環させるコンベアが必要であった。第2に、搬送する容器の大きさや形状が異なる容器の種類毎に合わせた大きさや形状を備えた多種類の容器ホルダを用意する必要があった。第3に、使用しない種類の容器ホルダの保管スペースも必要であった。そのために、ランニングコストが高くなるというコストパフォーマンスの悪いものであった。
【0011】
この容器ホルダに代えて搬送する容器の比較的剛性の高いネック部をフィンガによって把持して宙釣り状態にして容器を搬送することも考えられるが、容器の肉厚が薄くて変形し易い剛性の低い軟質の容器の場合には、把持力によって容器が変形するために採用することができない。なぜならば、容器のネック部とこれを把持するフィンガとの摩擦力によって容器を把持するものであるが、軟質の容器の場合には落下させないために必要な強さの摩擦力を発生させるように必要な強さの力で把持すると容器が変形して内容物が溢れ出たりするために、あまり強く把持することができず、結局内容物の充填やキャッピングのために容器を把持して搬送することができないからである。
【0012】
そこで、容器の把持部に容器および内容物の自重更にはキャップの巻き締め力や外力が作用しても十分に容器を適正に把持することのできる容器把持装置の開発が望まれていた。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、把持部に作用する容器および内容物の自重更にはキャップの巻き締め力や外力に十分に対抗して容器を適正に把持することのできる容器把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る容器把持装置は、容器を把持する把持位置と開放する開放位置とを開閉移動自在な一対のグリッパを有する容器把持装置であって、前記各グリッパの対向面部分に、前記把持位置に移動した際に、前記容器の外面に当接して容器を把持するとともに、前記容器の相対移動による変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させる把持力可変把持手段を設けたことを特徴とする
【0015】
このような構成によれば、一対の把持力可変把持手段が把持位置に移動して容器の外面に当接して容器を把持した状態において、当該把持力可変把持手段は、当該容器および内容物の自重単独更にはキャップの巻き締め力や外力の合力によって容器が把持力可変把持手段に対して相対移動しようとする変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器を把持するので、把持部に作用する変動力に十分に対抗して容器を適正に把持することができる。これにより容器が軟質な自立状態で搬送することが困難である容器であっても、比較的剛性の高いネック部を変形させることなく把持することができ、キャッピングも適正に行うことができる。更に、従来の容器ホルダの使用を省くことができ、コストダウンを図ることができ、容器ホルダを循環させるコンベアや保管スペースを省くことができ、省スペース化も図ることができる。
【0016】
また、本発明の第2の態様に係る容器把持装置は、第1の態様において、前記把持力可変把持手段が、前記各グリッパの対向面部分に、前記容器に向けて突設されているとともに前記容器の相対移動による変動力を受けて弾性変形自在な複数の弾性変形体によって形成されていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、複数の弾性変形体が弾性変形することによって把持部に作用する変動力に十分に対抗して容器を適正に把持することができる。
【0018】
また、本発明の第3の態様に係る容器把持装置は、第2の態様において、前記弾性変形体の突設方向が、前記容器の相対移動による変動力に対向する方向に指向されていることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、容器の相対移動による変動力に対向する方向に突設方向を指向されている弾性変形体が変動力を受けると、セルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器を把持するように変位するので、変動力に十分に対抗して確実に容器を適正に把持することができる。
【0020】
また、本発明の第4の態様に係る容器把持装置は、第3の態様において、前記弾性変形体が、複数の長尺な立壁状弾性体を等ピッチに並立して形成されていることを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、等ピッチに並立している複数の長尺な立壁状弾性体がそれぞれセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器を把持するように変位するので、変動力に十分に対抗して確実に容器を適正に把持することができる。
【0022】
また、本発明の第5の態様に係る容器把持装置は、第3の態様において、前記弾性変形体は、複数の柱状弾性体を等間隔に立設して形成されていることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、等間隔に立設している複数の柱状弾性体がそれぞれセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器を把持するように変位するので、変動力に十分に対抗して確実に容器を適正に把持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の容器把持装置によれば、容器および内容物の自重単独更にはキャップの巻き締め力や外力の合力によって容器が把持力可変把持手段に対して相対移動しようとする変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器を把持するので、把持部に作用する変動力に十分に対抗して容器を適正に把持することができる。これにより容器が軟質な自立状態で搬送することが困難である容器であっても、比較的剛性の高いネック部を変形させることなく把持することができ、キャッピングも適正に行うことができる。更に、従来の容器ホルダの使用を省くことができ、コストダウンを図ることができ、容器ホルダを循環させるコンベアや保管スペースを省くことができ、省スペース化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る容器把持装置の一実施形態を示す縦断側面図
【図2】図1のグリッパ部を示す平面図
【図3】図2の3−3線に沿った断面図
【図4】本発明に係る把持力可変把持手段としての弾性変形体シートの第1の実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の4−4線に沿った拡大断面図
【図5】本発明に係る把持力可変把持手段としての弾性変形体シートの第2の実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の5−5線に沿った拡大断面図
【図6】図4に示す弾性変形体シートの弾性変形体の長手方向と弾性変形体に作用する重力方向および巻き締め方向との関係を示し、(a)は前記長手方向が前記重力方向と平行で前記巻き締め方向と直行する場合の平面図、(b)は前記長手方向が前記重力方向および前記巻き締め方向と45度に傾斜する場合の平面図、(c)は前記長手方向が前記重力方向と直行し前記巻き締め方向と平行な場合の平面図
【図7】弾性変形体によって巻き締め力に対するセルフロック機能を発揮する状態を示し、(a)は拡大平面図、(b)は(a)の7部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る容器把持装置の実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0027】
本実施形態の容器把持装置1は、図1および図2に示すように、全体が形成されており、通常の容器はいうまでもなく、例えば、いわゆるスクイズボトルのような肉厚の薄い軟質な樹脂製の容器2をも把持できるものである。容器2は、図1に示すように、上方の開口部を有する口部2aと内容物を収容する下方の本体部2cとの間を接続する両者間のネック部2bとによって形成されており、ネック部2bにはフランジ部が形成されていない。この容器2においては、ネック部2bが比較的剛性が高いので、本実施形態の容器把持装置1においてはネック部2bを把持するように形成されている。
【0028】
本実施形態の容器把持装置1は、容器2のネック部2bを把持する一対のグリッパ3a、3bを有しており、当該グリッパ3a、3bは把持位置(図2の実線位置)と開放する開放位置(図2の鎖線位置)とを開閉移動自在に形成されている。一対のグリッパ3a、3bは、回転軸4a、4bをもって装置の回転基板5に鉛直軸回りに回動自在に支承されている。各回転軸4a、4bには互いに噛合する歯車6a、6bが固着されており、両グリッパ3a、3bが同期して把持位置と開放位置とを開閉移動するようにされている。回転基板5より下方に突出している一方の回転軸4bの下端部にはレバー8が固着されている。レバー8の先端部には、装置の固定側に固着されているカム10のカム溝10a内に係合するカムフォロア9が回転自在に取付られている。
【0029】
更に、一対のグリッパ3a、3bの先端部側の対向面部分には、図2および図3に示すように、把持位置に移動した際に、容器2のネック部2bの外面に当接して容器2を把持するとともに、容器2の相対移動による変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させる把持力可変把持手段として、容器2に向けて突設されているとともに容器の相対移動による変動力を受けて弾性変形自在な複数の弾性変形体11a、11bが突設された弾性変形体シート12a、12bを接着等の適宜な方法によって固着している。
【0030】
この弾性変形体シート12a、12bとしては、図4に示す第1の実施形態または図5に示す第2の実施形態を用いるとよい。
【0031】
一方の図4に示す第1の実施形態の弾性変形体シート12a、12bにおいては、基部シート14に対して複数の長尺な立壁状弾性体13を等ピッチに並立して形成されており、各立壁状弾性体13は基部シート14からの突設方向を容器2の相対移動による変動力F(同図(b)において右向き)に対向する方向(同図(b)において左向き)に例えば30度指向されている。容器2から立壁状弾性体13に付与される変動力Fは、容器2および内容物の自重単独の場合と、更にキャップの巻き締め力や外力の合力によって容器2が把持力可変把持手段である立壁状弾性体13に対して相対移動しようとして付与される。各立壁状弾性体13は変動力Fを受けて弾性変形して変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器2を把持する。
【0032】
他方の図5に示す第2の実施形態の弾性変形体シート12a、12bにおいては、基部シート14に対して複数の柱状弾性体15を等間隔に立設して形成されており、各柱状弾性体15は基部シート14からの突設方向を容器2の相対移動による変動力F(同図(b)において右向き)に対向する方向(同図(b)において左向き)に例えば30度指向されている。容器2から柱状弾性体15に付与される変動力Fは、容器2および内容物の自重単独の場合と、更にキャップの巻き締め力や外力の合力によって容器2が把持力可変把持手段である柱状弾性体15に対して相対移動しようとして付与される。各柱状弾性体15は変動力Fを受けて弾性変形して変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器2を把持する。
【0033】
各実施形態における立壁状弾性体13並びに柱状弾性体15については、基部シート14から突設する指向方向を、変動力Fの大きさや方向に対応して適宜調節することにより、把持条件に応じて適正に変更調整することができる。その調整方法を立壁状弾性体13を有する第1の弾性変形体シート12a、12bを示す図6により説明する。図6において、容器2および内容物の重量が作用する重力方向を上から下向きとし、キャップの巻き締め力の作用方向を同図右向きとする。同図(a)においては、立壁状弾性体13の長手方向が重力方向と平行で巻き締め方向と直行する場合を示しており、各立壁状弾性体13の基部シート14からの突設方向が左向きに指向されているので、巻き締め力に対する抗力が(a)〜(c)の中で最大であり、重力方向の力に対する抗力が(a)〜(c)の中で最小となる。同図(b)においては、立壁状弾性体13の長手方向が重力方向および巻き締め方向と45度に傾斜する場合を示しており、各立壁状弾性体13の基部シート14からの突設方向が左斜め上向きに指向されているので、巻き締め力に対する抗力および重力方向の力に対する抗力が(a)〜(c)の中でともに中間である。同図(c)においては、立壁状弾性体13の長手方向が重力方向と直行し巻き締め方向と平行となる場合を示しており、各立壁状弾性体13の基部シート14からの突設方向が上向きに指向されているので、巻き締め力に対する抗力が(a)〜(c)の中で最小であり、重力方向の力に対する抗力が(a)〜(c)の中で最大となる。
【0034】
図1から図3に示す本実施形態の容器把持装置1においては、図6(b)に示す立壁状弾性体13の長手方向が重力方向および巻き締め方向と45度に傾斜し、かつ、立壁状弾性体13の基部シート14からの突設方向が重力方向および巻き締め方向に対向するように指向している弾性変形体シート12a、12bからなる弾性変形体11a、11bを用いた場合を示している。
【0035】
また、図1から図3に示す容器把持装置1は、回転基板5の周方向に所定間隔をもって複数配置されている。
【0036】
次に、本実施形態の容器把持装置1の作用を説明する。
【0037】
回転基板5の回転に伴ってカムフォロア9がカム10のカム溝10a内を転動すると、レバー8によって一方の回転軸4bが正逆回転され、互いに噛合している一対の歯車6a、6bによって両回転軸4a、4bが同期して逆方向に回転し、両グリッパ3a、3bが開閉移動する。なお、両グリッパ3a、3bを開閉させる機構としては、本実施形態の構成の他に公知の構成を利用してもよい。
【0038】
(重力方向の力の支承の説明)
両グリッパ3a、3bが容器2のネック部2bを挟むように把持位置に移動すると、図3に示すように、両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13の内方端部によってネック部2bが把持される。この時、容器2および容器2内に充填されている内容物の自重更には外力が容器2のネック部2bを両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13と相対移動させて両弾性変形体11a、11bの間から下方に引き抜く力(変動力F)として作用する。この引き抜く力Fは両弾性変形体11a、11bとネック部2bとの接触部に作用する。両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13は、重力方向に対して45度に傾斜しているが、基部シート14からの突設方向が重力方向に対しても対抗するように指向しているので、前記自重(変動力F)を受けるとネック部2bに対して食い込む方向(内側向き)に変形しようとする。この時、前記自重(変動力F)は、基部シート14からの突設方向が重力方向に対抗するように指向している両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13を水平方向下向きに反転させるまで変形させるほどの大きさではないので、鉛直下向きに変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させた状態の複数の立壁状弾性体13によって容器2はしっかりと把持して支承された状態に保持される。更に、前記自重(変動力F)が両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13を容器2に対して食い込み勝手の力として作用するので、自然と複数の立壁状弾性体13による容器2の保持状態が確保されることとなる。これにより本実施形態の容器把持装置1は容器2を宙吊り状態にし適正に把持することができる。
【0039】
(巻き締め力の支承の説明)
キャッピング工程においては、両グリッパ3a、3bの両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13の内方端部によって容器2のネック部2bを把持した状態でキャップの巻き締めが行われる。この時、図7に示すように、キャップの巻き締め力が容器2のネック部2bを両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13と相対移動させて滑らせようとする力(変動力F)として作用する。この変動力Fは両弾性変形体11a、11bとネック部2bとの接触部に作用する。両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13は、巻き締め方向に対して45度に傾斜しているが、基部シート14からの突設方向が巻き締め方向に対しても対抗するように指向しているので、滑らせようとする力(変動力F)を受けるとネック部2bに対して食い込む方向(内側向き)に変形しようとする。この時、前記変動力Fは、基部シート14からの突設方向が巻き締め方向に対抗するように指向している両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13を巻き締め方向に反転させるまで変形させるほどの大きさではないので、巻き締め方向に変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させた状態の両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13によって容器2はしっかりと把持して支承された状態に保持される。更に、前記変動力Fが両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13を容器2に対して食い込み勝手の力として作用するので、自然と両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13による容器2の保持状態が確保されることとなる。これにより本実施形態の容器把持装置1は容器2に対するキャッピングを良好に実行できるように容器2を適正に把持することができる。
【0040】
このように各実施形態によれば、容器2および内容物の自重単独更にはキャップの巻き締め力や外力の合力によって容器2が把持力可変把持手段である両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13に対して相対移動しようとする変動力Fを受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器2を把持するので、把持部に作用する変動力Fに十分に対抗して容器2を適正に把持することができる。これにより容器2が軟質な自立状態で搬送することが困難である容器2であっても、比較的剛性の高いネック部2bを変形させることなく把持することができ、容器2を宙吊り状態に把持して搬送したり、容器2に対するキャッピングを適正に行うことができる。更に、従来の容器ホルダの使用を省くことができ、コストダウンを図ることができ、容器ホルダを循環させるコンベアや保管スペースを省くことができ、省スペース化も図ることができる。
【0041】
なお、弾性変形体シート12a、12bとしては図6(b)に示すものに代えて同図(a)(c)および図5に示す弾性変形体シート12a、12bを用いることができる。その場合にも前記と同様に把持部に作用する容器2および内容物の自重更にはキャップの巻き締め力や外力に十分に対抗して容器2を適正に把持することができる。
【0042】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。例えば、容器に関しても、軟質な樹脂製の容器に限定されず、硬質な樹脂製容器、ガラス製容器、金属製容器に対しても本発明を良好に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 容器把持装置
2 容器
2b ネック部
3a、3b グリッパ
11a、11b 弾性変形体
12a、12b 弾性変形体シート
13 立壁状弾性体
15 柱状弾性体
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器把持装置に係り、特にネック部を把持して容器を搬送したりキャッピングするのに好適な容器把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充填包装業界等においては、樹脂製、ガラス製、金属製等の各種の容器を搬送しながら容器内に内容物を定量充填し、その後にキャップを取り付けること(キャッピング)が行われている。
【0003】
この種の容器には、自立状態で搬送できる容器と自立状態で搬送することが困難である容器とに分けられる。
【0004】
一方の自立状態で搬送できる容器は、硬質な樹脂製の容器や、ガラス製の容器や、金属製の容器のように形状保持能力が高いものである。当該容器を搬送するために、容器を自立させて搬送する搬送装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
他方の自立状態で搬送することが困難である容器は、ケチャップやマヨネーズ等の粘性の高い内容物を入れる樹脂製の容器であって、内容物を押し出して使用できるように材質の軟らかい容器(いわゆるスクイズボトル)とされている。当該容器を搬送するために、袴と称される有底容器状の容器ホルダ内に容器を載置して一緒に搬送する搬送装置が用いられている。
【0006】
また、キャッピングの際にキャップを捻じ込む巻き締め力に対抗して容器を把持するためにゴム板によって容器を把持することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−247530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のキャップを捻じ込む巻き締め力に対抗する把持力をもって容器を把持するゴム板を用いた場合には、種々の理由から当該把持力が小さくなって容器が滑ってしまうおそれがあるという不都合があった。なぜならば、ゴム板の平坦な表面によって容器を把持して、把持部における容器の外面とゴム板の表面との間に生じる摩擦力のみにより前記把持力を付与するものであったために、例えば、ゴム板の表面が湿気で濡れたり、表面に汚れが付着して摩擦力が低下してしまい、著しい場合には前記把持力が不十分となって容器が滑ってしまうおそれがあった。
【0009】
また、従来の容器ホルダを用いて自立状態で搬送することが困難である容器を搬送する場合には、次のような不都合があった。
【0010】
第1に、容器1個に対して容器ホルダ1個が必要であり、少なくとも生産ライン上を流れる容器の数と同数の容器ホルダが必要となり、非常に多くの容器ホルダを用意する必要があり、当該容器ホルダを循環させるコンベアが必要であった。第2に、搬送する容器の大きさや形状が異なる容器の種類毎に合わせた大きさや形状を備えた多種類の容器ホルダを用意する必要があった。第3に、使用しない種類の容器ホルダの保管スペースも必要であった。そのために、ランニングコストが高くなるというコストパフォーマンスの悪いものであった。
【0011】
この容器ホルダに代えて搬送する容器の比較的剛性の高いネック部をフィンガによって把持して宙釣り状態にして容器を搬送することも考えられるが、容器の肉厚が薄くて変形し易い剛性の低い軟質の容器の場合には、把持力によって容器が変形するために採用することができない。なぜならば、容器のネック部とこれを把持するフィンガとの摩擦力によって容器を把持するものであるが、軟質の容器の場合には落下させないために必要な強さの摩擦力を発生させるように必要な強さの力で把持すると容器が変形して内容物が溢れ出たりするために、あまり強く把持することができず、結局内容物の充填やキャッピングのために容器を把持して搬送することができないからである。
【0012】
そこで、容器の把持部に容器および内容物の自重更にはキャップの巻き締め力や外力が作用しても十分に容器を適正に把持することのできる容器把持装置の開発が望まれていた。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、把持部に作用する容器および内容物の自重更にはキャップの巻き締め力や外力に十分に対抗して容器を適正に把持することのできる容器把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る容器把持装置は、容器を把持する把持位置と開放する開放位置とを開閉移動自在な一対のグリッパを有する容器把持装置であって、前記各グリッパの対向面部分に、前記把持位置に移動した際に、前記容器の外面に当接して容器を把持するとともに、前記容器の相対移動による変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させる把持力可変把持手段を設けたことを特徴とする
【0015】
このような構成によれば、一対の把持力可変把持手段が把持位置に移動して容器の外面に当接して容器を把持した状態において、当該把持力可変把持手段は、当該容器および内容物の自重単独更にはキャップの巻き締め力や外力の合力によって容器が把持力可変把持手段に対して相対移動しようとする変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器を把持するので、把持部に作用する変動力に十分に対抗して容器を適正に把持することができる。これにより容器が軟質な自立状態で搬送することが困難である容器であっても、比較的剛性の高いネック部を変形させることなく把持することができ、キャッピングも適正に行うことができる。更に、従来の容器ホルダの使用を省くことができ、コストダウンを図ることができ、容器ホルダを循環させるコンベアや保管スペースを省くことができ、省スペース化も図ることができる。
【0016】
また、本発明の第2の態様に係る容器把持装置は、第1の態様において、前記把持力可変把持手段が、前記各グリッパの対向面部分に、前記容器に向けて突設されているとともに前記容器の相対移動による変動力を受けて弾性変形自在な複数の弾性変形体によって形成されていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、複数の弾性変形体が弾性変形することによって把持部に作用する変動力に十分に対抗して容器を適正に把持することができる。
【0018】
また、本発明の第3の態様に係る容器把持装置は、第2の態様において、前記弾性変形体の突設方向が、前記容器の相対移動による変動力に対向する方向に指向されていることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、容器の相対移動による変動力に対向する方向に突設方向を指向されている弾性変形体が変動力を受けると、セルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器を把持するように変位するので、変動力に十分に対抗して確実に容器を適正に把持することができる。
【0020】
また、本発明の第4の態様に係る容器把持装置は、第3の態様において、前記弾性変形体が、複数の長尺な立壁状弾性体を等ピッチに並立して形成されていることを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、等ピッチに並立している複数の長尺な立壁状弾性体がそれぞれセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器を把持するように変位するので、変動力に十分に対抗して確実に容器を適正に把持することができる。
【0022】
また、本発明の第5の態様に係る容器把持装置は、第3の態様において、前記弾性変形体は、複数の柱状弾性体を等間隔に立設して形成されていることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、等間隔に立設している複数の柱状弾性体がそれぞれセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器を把持するように変位するので、変動力に十分に対抗して確実に容器を適正に把持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の容器把持装置によれば、容器および内容物の自重単独更にはキャップの巻き締め力や外力の合力によって容器が把持力可変把持手段に対して相対移動しようとする変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器を把持するので、把持部に作用する変動力に十分に対抗して容器を適正に把持することができる。これにより容器が軟質な自立状態で搬送することが困難である容器であっても、比較的剛性の高いネック部を変形させることなく把持することができ、キャッピングも適正に行うことができる。更に、従来の容器ホルダの使用を省くことができ、コストダウンを図ることができ、容器ホルダを循環させるコンベアや保管スペースを省くことができ、省スペース化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る容器把持装置の一実施形態を示す縦断側面図
【図2】図1のグリッパ部を示す平面図
【図3】図2の3−3線に沿った断面図
【図4】本発明に係る把持力可変把持手段としての弾性変形体シートの第1の実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の4−4線に沿った拡大断面図
【図5】本発明に係る把持力可変把持手段としての弾性変形体シートの第2の実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の5−5線に沿った拡大断面図
【図6】図4に示す弾性変形体シートの弾性変形体の長手方向と弾性変形体に作用する重力方向および巻き締め方向との関係を示し、(a)は前記長手方向が前記重力方向と平行で前記巻き締め方向と直行する場合の平面図、(b)は前記長手方向が前記重力方向および前記巻き締め方向と45度に傾斜する場合の平面図、(c)は前記長手方向が前記重力方向と直行し前記巻き締め方向と平行な場合の平面図
【図7】弾性変形体によって巻き締め力に対するセルフロック機能を発揮する状態を示し、(a)は拡大平面図、(b)は(a)の7部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る容器把持装置の実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0027】
本実施形態の容器把持装置1は、図1および図2に示すように、全体が形成されており、通常の容器はいうまでもなく、例えば、いわゆるスクイズボトルのような肉厚の薄い軟質な樹脂製の容器2をも把持できるものである。容器2は、図1に示すように、上方の開口部を有する口部2aと内容物を収容する下方の本体部2cとの間を接続する両者間のネック部2bとによって形成されており、ネック部2bにはフランジ部が形成されていない。この容器2においては、ネック部2bが比較的剛性が高いので、本実施形態の容器把持装置1においてはネック部2bを把持するように形成されている。
【0028】
本実施形態の容器把持装置1は、容器2のネック部2bを把持する一対のグリッパ3a、3bを有しており、当該グリッパ3a、3bは把持位置(図2の実線位置)と開放する開放位置(図2の鎖線位置)とを開閉移動自在に形成されている。一対のグリッパ3a、3bは、回転軸4a、4bをもって装置の回転基板5に鉛直軸回りに回動自在に支承されている。各回転軸4a、4bには互いに噛合する歯車6a、6bが固着されており、両グリッパ3a、3bが同期して把持位置と開放位置とを開閉移動するようにされている。回転基板5より下方に突出している一方の回転軸4bの下端部にはレバー8が固着されている。レバー8の先端部には、装置の固定側に固着されているカム10のカム溝10a内に係合するカムフォロア9が回転自在に取付られている。
【0029】
更に、一対のグリッパ3a、3bの先端部側の対向面部分には、図2および図3に示すように、把持位置に移動した際に、容器2のネック部2bの外面に当接して容器2を把持するとともに、容器2の相対移動による変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させる把持力可変把持手段として、容器2に向けて突設されているとともに容器の相対移動による変動力を受けて弾性変形自在な複数の弾性変形体11a、11bが突設された弾性変形体シート12a、12bを接着等の適宜な方法によって固着している。
【0030】
この弾性変形体シート12a、12bとしては、図4に示す第1の実施形態または図5に示す第2の実施形態を用いるとよい。
【0031】
一方の図4に示す第1の実施形態の弾性変形体シート12a、12bにおいては、基部シート14に対して複数の長尺な立壁状弾性体13を等ピッチに並立して形成されており、各立壁状弾性体13は基部シート14からの突設方向を容器2の相対移動による変動力F(同図(b)において右向き)に対向する方向(同図(b)において左向き)に例えば30度指向されている。容器2から立壁状弾性体13に付与される変動力Fは、容器2および内容物の自重単独の場合と、更にキャップの巻き締め力や外力の合力によって容器2が把持力可変把持手段である立壁状弾性体13に対して相対移動しようとして付与される。各立壁状弾性体13は変動力Fを受けて弾性変形して変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器2を把持する。
【0032】
他方の図5に示す第2の実施形態の弾性変形体シート12a、12bにおいては、基部シート14に対して複数の柱状弾性体15を等間隔に立設して形成されており、各柱状弾性体15は基部シート14からの突設方向を容器2の相対移動による変動力F(同図(b)において右向き)に対向する方向(同図(b)において左向き)に例えば30度指向されている。容器2から柱状弾性体15に付与される変動力Fは、容器2および内容物の自重単独の場合と、更にキャップの巻き締め力や外力の合力によって容器2が把持力可変把持手段である柱状弾性体15に対して相対移動しようとして付与される。各柱状弾性体15は変動力Fを受けて弾性変形して変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器2を把持する。
【0033】
各実施形態における立壁状弾性体13並びに柱状弾性体15については、基部シート14から突設する指向方向を、変動力Fの大きさや方向に対応して適宜調節することにより、把持条件に応じて適正に変更調整することができる。その調整方法を立壁状弾性体13を有する第1の弾性変形体シート12a、12bを示す図6により説明する。図6において、容器2および内容物の重量が作用する重力方向を上から下向きとし、キャップの巻き締め力の作用方向を同図右向きとする。同図(a)においては、立壁状弾性体13の長手方向が重力方向と平行で巻き締め方向と直行する場合を示しており、各立壁状弾性体13の基部シート14からの突設方向が左向きに指向されているので、巻き締め力に対する抗力が(a)〜(c)の中で最大であり、重力方向の力に対する抗力が(a)〜(c)の中で最小となる。同図(b)においては、立壁状弾性体13の長手方向が重力方向および巻き締め方向と45度に傾斜する場合を示しており、各立壁状弾性体13の基部シート14からの突設方向が左斜め上向きに指向されているので、巻き締め力に対する抗力および重力方向の力に対する抗力が(a)〜(c)の中でともに中間である。同図(c)においては、立壁状弾性体13の長手方向が重力方向と直行し巻き締め方向と平行となる場合を示しており、各立壁状弾性体13の基部シート14からの突設方向が上向きに指向されているので、巻き締め力に対する抗力が(a)〜(c)の中で最小であり、重力方向の力に対する抗力が(a)〜(c)の中で最大となる。
【0034】
図1から図3に示す本実施形態の容器把持装置1においては、図6(b)に示す立壁状弾性体13の長手方向が重力方向および巻き締め方向と45度に傾斜し、かつ、立壁状弾性体13の基部シート14からの突設方向が重力方向および巻き締め方向に対向するように指向している弾性変形体シート12a、12bからなる弾性変形体11a、11bを用いた場合を示している。
【0035】
また、図1から図3に示す容器把持装置1は、回転基板5の周方向に所定間隔をもって複数配置されている。
【0036】
次に、本実施形態の容器把持装置1の作用を説明する。
【0037】
回転基板5の回転に伴ってカムフォロア9がカム10のカム溝10a内を転動すると、レバー8によって一方の回転軸4bが正逆回転され、互いに噛合している一対の歯車6a、6bによって両回転軸4a、4bが同期して逆方向に回転し、両グリッパ3a、3bが開閉移動する。なお、両グリッパ3a、3bを開閉させる機構としては、本実施形態の構成の他に公知の構成を利用してもよい。
【0038】
(重力方向の力の支承の説明)
両グリッパ3a、3bが容器2のネック部2bを挟むように把持位置に移動すると、図3に示すように、両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13の内方端部によってネック部2bが把持される。この時、容器2および容器2内に充填されている内容物の自重更には外力が容器2のネック部2bを両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13と相対移動させて両弾性変形体11a、11bの間から下方に引き抜く力(変動力F)として作用する。この引き抜く力Fは両弾性変形体11a、11bとネック部2bとの接触部に作用する。両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13は、重力方向に対して45度に傾斜しているが、基部シート14からの突設方向が重力方向に対しても対抗するように指向しているので、前記自重(変動力F)を受けるとネック部2bに対して食い込む方向(内側向き)に変形しようとする。この時、前記自重(変動力F)は、基部シート14からの突設方向が重力方向に対抗するように指向している両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13を水平方向下向きに反転させるまで変形させるほどの大きさではないので、鉛直下向きに変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させた状態の複数の立壁状弾性体13によって容器2はしっかりと把持して支承された状態に保持される。更に、前記自重(変動力F)が両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13を容器2に対して食い込み勝手の力として作用するので、自然と複数の立壁状弾性体13による容器2の保持状態が確保されることとなる。これにより本実施形態の容器把持装置1は容器2を宙吊り状態にし適正に把持することができる。
【0039】
(巻き締め力の支承の説明)
キャッピング工程においては、両グリッパ3a、3bの両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13の内方端部によって容器2のネック部2bを把持した状態でキャップの巻き締めが行われる。この時、図7に示すように、キャップの巻き締め力が容器2のネック部2bを両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13と相対移動させて滑らせようとする力(変動力F)として作用する。この変動力Fは両弾性変形体11a、11bとネック部2bとの接触部に作用する。両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13は、巻き締め方向に対して45度に傾斜しているが、基部シート14からの突設方向が巻き締め方向に対しても対抗するように指向しているので、滑らせようとする力(変動力F)を受けるとネック部2bに対して食い込む方向(内側向き)に変形しようとする。この時、前記変動力Fは、基部シート14からの突設方向が巻き締め方向に対抗するように指向している両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13を巻き締め方向に反転させるまで変形させるほどの大きさではないので、巻き締め方向に変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させた状態の両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13によって容器2はしっかりと把持して支承された状態に保持される。更に、前記変動力Fが両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13を容器2に対して食い込み勝手の力として作用するので、自然と両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13による容器2の保持状態が確保されることとなる。これにより本実施形態の容器把持装置1は容器2に対するキャッピングを良好に実行できるように容器2を適正に把持することができる。
【0040】
このように各実施形態によれば、容器2および内容物の自重単独更にはキャップの巻き締め力や外力の合力によって容器2が把持力可変把持手段である両弾性変形体11a、11bの複数の立壁状弾性体13に対して相対移動しようとする変動力Fを受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させて容器2を把持するので、把持部に作用する変動力Fに十分に対抗して容器2を適正に把持することができる。これにより容器2が軟質な自立状態で搬送することが困難である容器2であっても、比較的剛性の高いネック部2bを変形させることなく把持することができ、容器2を宙吊り状態に把持して搬送したり、容器2に対するキャッピングを適正に行うことができる。更に、従来の容器ホルダの使用を省くことができ、コストダウンを図ることができ、容器ホルダを循環させるコンベアや保管スペースを省くことができ、省スペース化も図ることができる。
【0041】
なお、弾性変形体シート12a、12bとしては図6(b)に示すものに代えて同図(a)(c)および図5に示す弾性変形体シート12a、12bを用いることができる。その場合にも前記と同様に把持部に作用する容器2および内容物の自重更にはキャップの巻き締め力や外力に十分に対抗して容器2を適正に把持することができる。
【0042】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。例えば、容器に関しても、軟質な樹脂製の容器に限定されず、硬質な樹脂製容器、ガラス製容器、金属製容器に対しても本発明を良好に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 容器把持装置
2 容器
2b ネック部
3a、3b グリッパ
11a、11b 弾性変形体
12a、12b 弾性変形体シート
13 立壁状弾性体
15 柱状弾性体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を把持する把持位置と開放する開放位置とを開閉移動自在な一対のグリッパを有する容器把持装置であって、
前記各グリッパの対向面部分に、前記把持位置に移動した際に、前記容器の外面に当接して容器を把持するとともに、前記容器の相対移動による変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させる把持力可変把持手段を設けた
ことを特徴とする容器把持装置。
【請求項2】
前記把持力可変把持手段は、前記各グリッパの対向面部分に、前記容器に向けて突設されているとともに前記容器の相対移動による変動力を受けて弾性変形自在な複数の弾性変形体によって形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の容器把持装置。
【請求項3】
前記弾性変形体の突設方向が、前記容器の相対移動による変動力に対向する方向に指向されている
ことを特徴とする請求項2に記載の容器把持装置。
【請求項4】
前記弾性変形体は、複数の長尺な立壁状弾性体を等ピッチに並立して形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の容器把持装置。
【請求項5】
前記弾性変形体は、複数の柱状弾性体を等間隔に立設して形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の容器把持装置。
【請求項1】
容器を把持する把持位置と開放する開放位置とを開閉移動自在な一対のグリッパを有する容器把持装置であって、
前記各グリッパの対向面部分に、前記把持位置に移動した際に、前記容器の外面に当接して容器を把持するとともに、前記容器の相対移動による変動力を受けて変位することによってセルフロック機能を付加して把持力を増大させる把持力可変把持手段を設けた
ことを特徴とする容器把持装置。
【請求項2】
前記把持力可変把持手段は、前記各グリッパの対向面部分に、前記容器に向けて突設されているとともに前記容器の相対移動による変動力を受けて弾性変形自在な複数の弾性変形体によって形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の容器把持装置。
【請求項3】
前記弾性変形体の突設方向が、前記容器の相対移動による変動力に対向する方向に指向されている
ことを特徴とする請求項2に記載の容器把持装置。
【請求項4】
前記弾性変形体は、複数の長尺な立壁状弾性体を等ピッチに並立して形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の容器把持装置。
【請求項5】
前記弾性変形体は、複数の柱状弾性体を等間隔に立設して形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の容器把持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−71757(P2013−71757A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212387(P2011−212387)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(390029090)靜甲株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(390029090)靜甲株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
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