説明

容器押込処理装置

【課題】 容器押込処理装置において、簡素な構成により、容器に予め適度な内圧力を付与するように容器を安定的に押圧保持しつつ、容器の一部を押込んで容器の内圧を高め、容器の強度を高めること。
【解決手段】 容器押込処理装置10であって、容器1を収容して押込作業位置に搬送されて該押込作業位置に位置付けられる容器ホルダ100を用い、容器1の少なくとも側部が容器ホルダ100の外に位置付けられるまで、該容器1を容器ホルダ100の外に持ち上げる持ち上げ手段を有する容器持ち上げ装置20と、該容器持ち上げ装置20により容器ホルダ100の外に持ち上げられた、封止状態の容器1の側部を押圧して保持する押圧保持手段を有する押圧保持装置30と、該押圧保持装置30により押圧されて保持されている容器1の一部を押込んで凹み部3を形成する押込手段を有する押込装置40とを有するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の一部を押込んで容器の内圧を高める容器押込処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CO排出量の削減を目的としたエネルギー消費量の低減、資源の有効活用等の環境に対する意識の高まりとともに、メーカーに対する環境負荷低減の要望が強まっている。液体製品容器はこれまでも、形状の最適設計、成形技術の向上、材質の改善によって、その使用樹脂量を削減し、1つの容器当たりのエネルギー消費量の低減や使用樹脂量の低減を進めてきたが、現在、尚一層のエネルギー消費量の低減や使用樹脂量の低減が求められている。液体製品容器の材質もこれまでのポリプロピレン、PET等の硬質のものから、より薄肉にすることが可能な高密度ポリエチレン等の柔軟なものが出現しつつある。
ところが、薄肉で柔軟な容器は、外圧によって容器の表面が窪んだり、シワを生じ易い。
【0003】
また、薄肉で柔軟な容器では、充填した内容液の容積が充填後の温度低下に伴なって収縮する現象、内容液中の特定成分が容器の上部空間に存在している酸素、窒素等の気体を吸収する現象、又は内容液の泡立ちを防止するために充填前に脱気された液体が容器の上部空間の気体を徐々に吸収する現象等により、容器の内圧が負圧になると、この負圧によって容器の表面が窪んだり、シワを生じ易くなる。
【0004】
しかるに、本願発明者らは、薄肉で柔軟な容器の外圧による窪みやシワの発生を抑制したり、容器の内圧が負圧になることによる窪みやシワの発生を抑制するため、従来からある内容液の充填口をキャップやシール部等により封止した容器の凸部を押込む技術を活用し、容器の内圧を高めることが有効であることを見出した。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、封止状態の容器の胴部の上端部を左右一対の打ち込みガイドにより挟持して位置決めした後、この容器の胴部の上半部を左右一対の容器クランプによって押圧した状態下で、打ち込みヘッドにより容器の充填口のシール部(凸部)を容器の内側に押込む。容器クランプは、容器が打ち込みヘッドの押込み力により座屈したり、不測の変形を生じないように、容器に予め適度の内圧力を付与する。この容器の凸部の押込みによって、封止状態にある容器の内容積を減容し、ひいては容器の内圧を高めることができる。
【0006】
特許文献2に記載の技術は、封止状態の容器の底面、背面、両側面を保持する容器ホルダの移動軌跡に沿う位置に円筒状押圧ローラを配置し、容器ホルダに保持されて移動してくる容器の移動中に、この容器の正面に押圧ローラを押圧かつ転接しつつ、押込み棒部材により容器の充填口のシール部(凸部)を容器の内側に押込む。押圧ローラは、容器が押込み棒部材の押込み力により座屈し、あるいは不測の変形を生じることがないように、容器に適度の内圧力を付与する。この容器の凸部の押込み量によって、封止状態にある容器の内容積を減容し、ひいては容器の内圧を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-159074
【特許文献2】特開平6-127508
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術では、容器を押込む打ち込みヘッド以外に、容器を挟持する打ち込みガイドと、容器を押圧して容器に適度の内圧力を付与する容器クランプを必要とする。容器の挟持(打ち込みガイド)と押圧(容器クランプ)のために2個の異なる手段を用いており、複雑である。また、押圧時の容器クランプと容器の接触部が、狭小の短い線状であるため、接触部が非常に柔軟な容器でなければ内圧力を高めることができない。
【0009】
また、容器クランプが先端凸面によって容器の側部の狭小部を押圧しており、容器の側部にこの押圧による応力集中を生じ、復元のできない窪みやシワを生じ易い。
【0010】
特許文献2に記載の技術は、押圧ローラが移動中の容器の正面に転接する一瞬の間だけ、容器を押圧するに過ぎず、容器が押込み棒部材の押込み力により座屈し、あるいは不測の変形を生じることがないようにするための適度の内圧力を容器に確実に付与することに困難がある。また、押圧ローラと容器との接触部は狭小の線状であることからも、適度の内圧力を容器に確実に付与することに困難がある。
【0011】
また、押圧ローラが円筒面によって容器の正面の狭小部を押圧するものであり、容器の正面にこの押圧による応力集中を生じ、復元のできない窪みやシワを生じ易い。
【0012】
本発明の課題は、容器押込処理装置において、簡素な構成により、容器に予め適度な内圧力を付与するように容器を安定的に保持しつつ、容器の一部を押込んで容器の内圧を高め、容器の強度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、容器を収容して押込作業位置に搬送されて該押込作業位置に位置付けられる容器ホルダを用い、容器の少なくとも側部が容器ホルダの外に位置付けられるまで、該容器を容器ホルダの外に持ち上げる持ち上げ手段を有する容器持ち上げ装置と、該容器持ち上げ装置により容器ホルダの外に持ち上げられた、封止状態の容器の側部を押圧して保持する押圧保持手段を有する押圧保持装置と、該押圧保持装置により押圧されて保持されている容器の一部を押込んで凹み部を形成する押込手段を有する押込装置とを有する容器押込処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡素な構成により、容器を安定的に保持しつつ、容器の一部を押込んで容器の内圧を高め、容器の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は容器充填ラインを示す模式図である。
【図2】図2は容器の一例を示す模式図である。
【図3】図3は実施例1の容器押込処理装置を示す斜視図である。
【図4】図4は容器ホルダを断面にして容器押込処理装置の動作を示す正面図である。
【図5】図5は容器ホルダを示す斜視図である。
【図6】図6は容器ホルダを示し、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図、(C)は(A)のC−C線に沿う断面図である。
【図7】図7は容器を収容した容器ホルダを示し、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図、(C)は(A)のC−C線に沿う断面図である。
【図8】図8は実施例2の容器押込処理装置を示し、容器ホルダを断面にして容器押込処理装置の動作を示す正面図である。
【図9】図9は実施例3の容器押込処理装置を示し、容器ホルダを断面にして容器押込処理装置の動作を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明が適用される容器充填ラインを示す。容器ホルダ100は容器1を収容し、不図示の搬送コンベヤ、旋回テーブル等からなる搬送ラインに沿って搬送され、充填作業位置500A、容器封止作業位置500B、容器押込作業位置500Cに順に位置付けられ、下工程へと搬出される。
【0017】
容器ホルダ100が充填作業位置500Aに位置付けられたとき、充填装置Aが容器ホルダ100内の容器1に液体、粉体等の内容物を充填する。
【0018】
容器ホルダ100が容器封止作業位置500Bに位置付けられたとき、容器封止装置Bが容器ホルダ100内の容器1の充填口にキャップ4を取り付けて密封する。容器1の充填口をヒートシール等したシール部を封止することにより密封しても良い。
【0019】
容器ホルダ100が押込作業位置500Cに位置付けられたとき、容器押込処理装置10が容器ホルダ100内の容器1の一部、本実施例では容器1の後述する底部1Cに設けた凸部2を容器1の内側に押込む。容器押込処理装置10が容器1に施す押込み処理は、容器ホルダ100を停止して行なっても良く、容器ホルダ100を直線移動経路、又は旋回経路等に沿って搬送しながら行なっても良い。容器ホルダ100を搬送しながら容器押込処理装置10による押込み処理を行なう場合には、容器押込処理装置10は容器ホルダ100の搬送に追従して移動しながら容器1に対する押込みを行なう。
【0020】
容器押込処理装置10は、押込作業位置に位置付けられた1個の容器ホルダ100内の1個の容器1のみに押込み処理を施すものでも、押込作業位置に同時に位置付けられた複数個の各容器ホルダ100内の複数個の各容器1に同時に押込み処理を施すものでも良い。複数個の各容器1に同時に押込み処理を施せば、生産性が高くなって好ましい。
【0021】
ここで、本発明が適用される容器1は、図2に示す如く、胴部1Aの上部と下部のそれぞれに首部1Bと底部1Cを設け、首部1Bの先端開口からなる内容物の充填口にはキャップ4が取り付けられて密封される。容器1の底部1Cは当初外側に突き出る凸部2(図2(A))とされ、この凸部2が内側に押込まれて凹み部3(図2(B))が形成される。これにより、封止状態にある容器1の内容積が減らされ(減容され)、ひいては容器1の内圧が高められる。
【0022】
容器1において、凸部2は底部1Cの全部であっても一部であっても良い。凸部2はその輪郭が、その外周側となる胴部1Aの下端部又は底部1Cの外周部に対して環状段差部(角部)、環状溝部又は環状薄肉部等とによる反転境界部2Aとなっている。反転する部分としない部分との境である反転境界部2Aにおいて凸部2が容器1の外側から内側へ容易に屈曲反転することで、上述の凹み部3を容易に形成できる。形成された凹み部3(図2(B))は、反転境界部2Aが鋭角θに折れ曲がっていることから、自重、数個程度の積層、反転屈曲による内圧増加、あるいは人手で押す程度の内圧増加では、反転境界部が戻り、再度、外側に付き出る凸部2(図2(A))となることはない。
【0023】
尚、容器1の材質は、特に限定されないが、柔軟な樹脂、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)等が好ましい。キャップ4は、スクリューキャップ、打ち込みキャップ、トリガーキャップ、スパウトキャップ等何でも良いし、ヒートシール部に変更することもできる。
【0024】
本発明が適用される容器ホルダ100は、図5に示す如く、底板101の四周に、正面板102、背面板103、両側板104を立設し、それらの各板に囲まれる上端開口有底状の容器収容部105を備える。各板は、軽量化のための穴加工がなされていても良い。
【0025】
以下、容器押込処理装置10及び容器ホルダ100について説明する。
(実施例1)(図3〜図7)
実施例1の容器押込処理装置10は、図3、図4に示す如く、容器持ち上げ装置20、押圧保持装置30、押込装置40、上位置規定装置50を有する。本実施例では、容器持ち上げ装置20が押込装置40を兼ねるように構成されており、これらをまとめて容器持ち上げ兼押込装置20とする。
【0026】
容器持ち上げ兼押込装置20は、容器1の少なくとも側部、本実施例では胴部1Aの側部が容器ホルダ100の容器収容部105の上端開口から外に位置付けられるまで、容器1を容器ホルダ100の外に持ち上げる持ち上げ兼押込ヘッド21(持ち上げ兼押込手段)を有し、この持ち上げ兼押込ヘッド21は持ち上げ兼押込駆動部22により待機位置〜持ち上げ位置と押込位置との間で移動するように駆動される。容器持ち上げ兼押込装置20は、押込作業位置に位置付けられた容器ホルダ100の下方に設置され、容器ホルダ100は持ち上げ兼押込ヘッド21が容器1の底部1Cの凸部2を持ち上げるための矩形状(円形状でも可)孔部101Aを底板101の中央の一部に備えている。容器1を容器ホルダ100の外に持ち上げたとき、図2(A)に示す容器1の底側の一部1Eが容器ホルダ100内に残されていることが好ましい。容器1の底側の一部1Eを容器ホルダ内に残すことにより、容器の一部を押込む工程終了後に容器1を容器ホルダ100内に戻す際、容器ホルダ100が挿入ガイドとなり、容器1を安定的に容器ホルダ100内に戻すことが可能となる。容器ホルダ内に残される容器1の底側の一部1Eの大きさ1Fは、容器高さの1/5〜1/10程度とすると、容器1を容器ホルダ100に戻す際の容器の前後左右ぐらつきを抑制できて、好ましい。また、容器ホルダ内に残される容器1の底側の一部1Eは、容器胴部1Aを僅かに含むと、容器1を容器ホルダ100に戻す際の容器の前後左右のぐらつきが殆ど発生しないので、より好ましい。
【0027】
押圧保持装置30は、容器持ち上げ兼押込装置20により容器ホルダ100の外の持ち上げ位置まで持ち上げられた、封止状態にある容器1の側部を押圧して保持する押圧保持ヘッド31(押圧保持手段)を有し、この押圧保持ヘッド31が押圧駆動部32により駆動され待機位置と押圧保持位置との間を移動する。押圧保持装置30は、押込作業位置に位置付けられた容器ホルダ100の上部の両側方に一対になって設置される。
【0028】
押込装置40として機能する容器持ち上げ兼押込装置20は、押圧保持装置30により押圧されて保持されている、容器ホルダ100内の容器1の一部、本実施例では容器1の底部1Cの凸部2を押込んで凹み部3を形成する持ち上げ兼押込ヘッド21を有する。この持ち上げ兼押込ヘッド21は持ち上げ兼押込駆動部22により駆動され持ち上げ位置と押込位置との間を移動する。容器持ち上げ兼押込装置20は、押込作業位置に位置付けられた容器ホルダ100の下方に設置され、容器ホルダ100は前述の底板101の孔部101Aを容器持ち上げ兼押込ヘッド21が容器1の底部1Cの凸部2を押込んで凹み部3を形成するために出入する孔部としている。
【0029】
上位置規定装置50は、押込作業位置に位置付けられた容器ホルダ100の上方に設置され、容器持ち上げ兼押込装置20により持ち上げられて、容器ホルダ100の上端開口から外界に突き出ている容器1のキャップ4を上方から把持し、容器1の上部位置を規定する上位置規定ヘッド51を有する。上方からの把持はキャップ4に限らず、容器の肩部1D(図2(A))、ヒートシールによる封止部(不図示)等であっても良い。上位置規定装置50は、上位置規定ヘッド51を上位置規定駆動部52により駆動し待機位置と上規定位置の間で移動させる。
【0030】
容器持ち上げ兼押込装置20、押圧保持装置30、上位置規定装置50の各駆動部22、32、52は、エアシリンダ、油圧シリンダ、サーボモータやステッピングモータを用いた電動シリンダ等を使用できる。特に、停止位置の調整が容易な電動シリンダが、多様な形状サイズの容器1への対応が容易で好ましい。
【0031】
容器1の形状サイズにより定まる容器持ち上げ兼押込装置20、押圧保持装置30、容器ホルダ100の好適な形状サイズについて説明する。
【0032】
容器持ち上げ兼押込装置20において、持ち上げ兼押込ヘッド21が容器1の底部1Cの凸部2に接する面の形状は、凸部2の形状に合わせることが好ましい。持ち上げ兼押込ヘッド21が容器1の底部1Cに接する面のサイズを凸部2の形状の面積の80%以上95%以下とすることが特に好ましい。
【0033】
押圧保持装置30において、押圧保持ヘッド31が容器1の胴部1Aの側部に接する面は、平面や平面に準ずる面である。面のサイズは、可及的に大きくすることが好ましい。好ましくは、容器1の胴部1Aの幅の60%以上、より好適には70%以上、容器1の首部1Bを除く高さの60%以上、より好適には70%以上とすることで、押込装置40としての容器持ち上げ兼押込装置20の持ち上げ兼押込ヘッド21が容器1の底部1Cの凸部2を押込むときの容器1の表面の窪みやシワの発生を抑制できる。
【0034】
また、押圧保持装置30において、押圧保持ヘッド31が容器1の胴部1Aの側部に接する面の形状は、容器1の胴部1Aの側部の形状に沿うものとすることにより、容器1の胴部1Aの側部を一層確実に押圧して保持できる。例えば円筒状容器1であれば、押圧保持ヘッド31が容器1の胴部1Aの側部に接する面の形状は、容器1の胴部1Aの側部の円筒形状に沿う曲面にする。
【0035】
容器ホルダ100のサイズとして、容器収容部105の容器保持幅A1、A2、容器保持深さH、持ち上げ兼押込孔部101Aの持ち上げ兼押込孔幅B1、B2を、図6、図7に示す如くに定義する。A1とB1は、容器ホルダ100の正面板102と背面板103を含む断面内における容器保持幅と持ち上げ兼押込孔幅をいう。
【0036】
そして、容器保持幅A1、A2は、容器1の胴部1Aのサイズに合わせて、容器ホルダ100の容器収容部105内で容器1がガタ付かないように、かつ容器1の出し入れが容易になるように設定される。
【0037】
持ち上げ兼押込孔幅B1、B2は、容器1の底部1Cの凸部2のサイズ以上で、かつ容器1が容器ホルダ100の持ち上げ兼押込孔部101Aから脱落しないサイズとする。
【0038】
容器保持深さHは、容器1の高さ方向の重心位置が容器収容部105内にあるように設定することで、搬送時の容器1の傾きや転倒を防止できる。
【0039】
以下、容器押込処理装置10の動作について説明する(図4)。
(1)搬送ラインに沿って搬送されてきた容器ホルダ100が不図示のストッパや検出センサの検出結果により押込作業位置に位置付けられると、図4(A)に示す如く、容器ホルダ100及び容器ホルダ100内の容器1が容器押込処理装置10の容器持ち上げ兼押込装置20、押圧保持装置30、上位置規定装置50に対して正確に位置決めされる。
【0040】
(2)容器ホルダ100の下方に設置されている容器持ち上げ兼押込装置20の持ち上げ兼押込ヘッド21が、図4(B)に示す如く、持ち上げ兼押込駆動部22により待機位置から持ち上げ位置に前進し、容器1の胴部1Aの側部を容器ホルダ100の外部即ち上端開口の上方に位置付けるように、容器1を容器ホルダ100の外に持ち上げる。同時に、容器ホルダ100の上方に設置されている上位置規定装置50の上位置規定ヘッド51が、図4(B)に示す如く、上位置規定駆動部52により待機位置から上規定位置に前進し、容器ホルダ100内の容器1の上部位置を規定する。上位置規定装置50は、容器に応じて適切に定められた位置に固定されていても良い。
【0041】
(3)容器ホルダ100の上部の両側方に設置されている両側の押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31が、図4(C)に示す如く、押圧駆動部32により待機位置から押圧保持位置に前進し、容器持ち上げ兼押込装置20により容器ホルダ100の外部に持ち上げられた、封止状態の容器1の胴部1Aの側部を両側から挟んで押圧して保持する。
【0042】
(4)押込装置40として機能する容器持ち上げ兼押込装置20の持ち上げ兼押込ヘッド21が、図4(D)に示す如く、持ち上げ兼押込駆動部22により上述(2)の持ち上げ位置から押込位置に前進し、上述(3)の如くに押圧保持装置30により押圧保持され、上位置規定装置50により上部位置を規定されている容器1の底部1Cの凸部2を容器1の内側に押込み反転し、凹み部3を形成する。その後に、両側の押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31が開放位置に後退し(不図示)、続いて、容器持ち上げ兼押込装置20の持ち上げ兼押込ヘッド21が待機位置へと後退することで(不図示)、容器1は容器ホルダ100内へ戻される(不図示)。
【0043】
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)容器ホルダ100が封止状態の容器1を収容した状態で押込作業位置に位置付けられると、容器持ち上げ兼押込装置20の持ち上げ兼押込ヘッド21が容器1の胴部1Aを容器ホルダ100の外に位置付けるように持ち上げ、押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31が容器1の胴部1Aの側部を押圧して保持する状態下で、容器持ち上げ兼押込装置20の持ち上げ兼押込ヘッド21が容器1の底部1Cの凸部2を押込んで凹み部3を形成する。この押込みよって封止状態にある容器1の内容積が減容され、ひいては容器1の内圧を高めるものになる。
【0044】
(b)容器1を持ち上げ、更には押込む容器持ち上げ兼押込装置20以外に、容器1を押圧して保持するために唯1個の押圧保持装置30を用いるだけで足りる。容器1の保持と押圧のために唯1個の手段を用いるだけで足り、簡素である。
【0045】
(c)容器ホルダ100が押込作業位置に位置付けられて停留している間、押圧保持装置30は容器1を継続して押圧し続けることができ、容器1が容器持ち上げ兼押込装置20の押込力により座屈し、あるいは不測の変形を生じることがない適度の内圧力を安定して確実に付与できる。
【0046】
(d)容器1が、容器持ち上げ兼押圧装置20の持ち上げ兼押込ヘッド21によりその胴部1Aを容器ホルダ100の外部に持ち上げられた状態で、押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31によりその胴部1Aの側部を押圧して保持される。従って、押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31が、容器ホルダ100に干渉することなく、容器1の胴部1Aに必要十分に広い面で接してその胴部1Aの側部を安定的に保持できる。
【0047】
(e)押込作業位置に位置付けられる容器ホルダ100の下方に容器持ち上げ兼押込装置20を設置し、容器持ち上げ兼押込装置20の持ち上げ兼押込ヘッド21が容器1の底部1Cの凸部2を押込んで凹み部3を形成する。凹み部3を、正立状態の容器1において外観に表われない底部1Cに形成することで、容器1の外観を損なうことがない。容器1は、底部1Cにおける凹み部3の周辺を安定な着座面とすることができる。
【0048】
(f)押込作業位置に位置付けられる容器ホルダ100の上方に、容器持ち上げ兼押込装置20により容器ホルダ100の外に持ち上げられた容器1の上部位置を規定する上位置規定装置50を設けた。容器1は、上位置規定装置50により上下方向位置を正しくセットされた状態で、押圧保持装置30により押圧されて保持され、押込装置40として機能する容器持ち上げ兼押込装置20により押込まれる正規位置に位置決めされる。
【0049】
(g)容器持ち上げ兼押込装置20が押込装置40を兼ねることで、容器押込処理装置10の全体構成を簡素化できる。
【0050】
(実施例2)(図8)
実施例2の容器押込処理装置10が、実施例1の容器押込処理装置10と異なる点は、容器持ち上げ装置20が上位置規定装置50を兼ねるように構成され、それらをまとめて容器持ち上げ兼上位置規定装置20Aとしたことにある。従って、容器持ち上げ兼上位置規定装置20Aは、容器1の少なくとも側部、本実施例では胴部1Aの側部が容器ホルダ100の容器収容部105の上端開口の上方即ち容器収容部105の外部に位置付けられるまで、容器1を容器ホルダ100の外に持ち上げる持ち上げ兼上位置規定ヘッド21A(持ち上げ兼上位置規定手段)を有し、この持ち上げ兼上位置規定ヘッド21Aを持ち上げ兼上位置規定駆動部22Aにより待機位置と持ち上げ位置(上規定位置と同じ)の間で駆動する。容器持ち上げ兼上位置規定装置20Aの持ち上げ兼上位置規定ヘッド21Aは容器1の上部たるキャップ4の外周を上から把持する開閉チャック21Bにより構成される。
【0051】
実施例2の容器押込処理装置10では、押込装置40が押込み専用とされる。従って、押込装置40は、押圧保持装置30により押圧されて保持されている、容器ホルダ100内の容器の一部、本実施例では容器1の底部1Cの凸部2を押込んで凹み部3を形成する押込ヘッド41(押込手段)を有し、この押込ヘッド41を押込駆動部42により待機位置と押込位置の間で駆動する。押込装置40は、押込作業位置に位置付けられた容器ホルダ100の下方に設置され、容器ホルダ100は押込ヘッド41が容器1の底部1Cの凸部2を押込んで凹み部を形成するために出入する矩形状(円形状でも可)孔部101Aを底板101の中央の一部に設けている。
【0052】
従って、実施例2の容器押込処理装置10の動作は以下の通りになる。
(1)搬送ラインに沿って搬送されてきた容器ホルダ100が押込作業位置に位置付けられると、図8(A)に示す如く、容器ホルダ100及び容器ホルダ100内の容器1が不図示のストッパや検出センサの検出結果により、容器押込処理装置10の容器持ち上げ兼上位置規定装置20A、押圧保持装置30、押込装置40に対して正確に位置決めされる。
【0053】
(2)容器ホルダ100の上方に設置されている容器持ち上げ兼上位置規定装置20Aの持ち上げ兼上位置規定ヘッド21Aが、図8(B)に示す如く、持ち上げ兼上位置規定駆動部22Aにより待機位置から持ち上げ位置(上規定位置と同じ)に前進し、容器1の胴部1Aの側部を容器ホルダ100の上端開口の外に位置付けるように、容器1を容器ホルダ100の外に持ち上げるとともに、容器1の上部位置を規定する。
【0054】
(3)容器ホルダ100の両側方に設置されている両側の押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31が、図8(C)に示す如く、押圧駆動部32により待機位置から押圧保持位置に前進し、持ち上げ兼上位置規定ヘッド21Aにより容器ホルダ100の外に持ち上げられた、封止状態の容器1の胴部1Aの側部を両側から挟む如くに押圧して保持する。
【0055】
(4)容器ホルダ100の下方に設置されている押込装置40の押込ヘッド41が、図8(D)に示す如く、押込駆動部42により待機位置から押込位置に前進し、上述(3)の如くに押圧保持装置30により押圧保持され、持ち上げ兼上位置規定装置20により上部位置を規定されている容器1の底部1Cの凸部2を容器1の内側に押込み反転し、凹み部3を形成する。その後に、両側の押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31が開放位置に後退し(不図示)、続いて、押込装置40の押込ヘッド41が待機位置へ後退し(不図示)、容器持ち上げ兼上位置規定装置20Aの持ち上げ兼上位置規定ヘッド21Aが待機位置へと後退することで(不図示)、容器1は容器ホルダ100内へ戻される(不図示)。
【0056】
実施例2の容器押込処理装置10にあっては、実施例1の容器押込処理装置10と異なり、容器1を容器ホルダ100の外に持ち上げる容器持ち上げ兼上位置規定装置20Aが上位置規定装置50を兼ねる。そして、容器持ち上げ兼上位置規定装置20Aの持ち上げ兼上位置規定ヘッド21Aのチャック21Bが容器1の上部たるキャップ4の外周を上から把持して持ち上げることにより、持ち上げられた容器1の姿勢が正しく鉛直になる。従って、両側の押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31により容器1の胴部1Aの側部を両側から安定的に挟み、押圧して保持でき、ひいては押込装置40の押込ヘッド41により容器1の底部1Cの凸部2を安定的に押込んで凹み部3を形成できる。尚、押込装置40の動作は途中停止の必要がないため、安価なエアシリンダや油圧シリンダ等を選択することが可能である。
【0057】
実施例2の容器押込処理装置10において、その他の構成、動作は実施例1におけると同様である。
【0058】
(実施例3)(図9)
実施例3の容器押込処理装置10が、実施例2の容器押込処理装置10と異なる点は、容器持ち上げ兼上位置規定装置20Aの持ち上げ兼上位置規定ヘッド21Aのチャック21Bが、容器1の上部たる首部1Bに設けた環状突起からなるネック部Nを把持するようにしたことにある。容器持ち上げ兼上位置規定装置20Aの持ち上げ兼上位置規定ヘッド21Aのチャック21Bにより持ち上げられる容器1の姿勢を正しく鉛直にし、かつその上下方向位置を正しく規定できる。従って、両側の押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31により容器1の胴部1Aの側部を両側から一層安定的に挟み、押圧して保持でき、ひいては押込装置40の押込ヘッド41により容器1の底部1Cの側部2を一層安定的に押し込んで凹み部3を形成できる。
【0059】
実施例3の容器押込処理装置10において、その他の構成、動作は実施例1、2におけると同様である。
【0060】
尚、本発明の実施において、押込装置40の押込ヘッド41が押込んで凹み部3を形成する容器1の一部は、容器1の底部1Cに限らず、容器1の胴部1Aであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、容器押込処理装置において、簡素な構成により、容器に予め適度な内圧力を付与するように容器を安定的に押圧保持しつつ、容器を押込んで容器の内圧を高め、容器の強度を高めることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 容器
1A 胴部
1B 首部
1C 底部
1E 底側の一部
1F 底部の一部の大きさ
2 凸部
3 凹み部
4 キャップ
10 容器押込処理装置
20 容器持ち上げ兼押込装置(容器持ち上げ装置)
20A 容器持ち上げ兼上位置規定装置
21 持ち上げ兼押込ヘッド(持ち上げ兼押込手段)
21A 持ち上げ兼上位置規定ヘッド(持ち上げ兼上位置規定手段)
30 押込保持装置
31 押込保持ヘッド(押込保持手段)
40 押込装置
41 押込ヘッド(押込手段)
50 上位置規定装置
51 上位置規定ヘッド(上位置規定手段)
100 容器ホルダ
101 底板
102 正面板
103 背面板
104 側板
105 容器収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を収容して押込作業位置に搬送されて該押込作業位置に位置付けられる容器ホルダを用い、
容器の少なくとも側部が容器ホルダの外に位置付けられるまで、該容器を容器ホルダの外に持ち上げる持ち上げ手段を有する容器持ち上げ装置と、該容器持ち上げ装置により容器ホルダの外に持ち上げられた、封止状態の容器の側部を押圧して保持する押圧保持手段を有する押圧保持装置と、該押圧保持装置により押圧されて保持されている容器の一部を押込んで凹み部を形成する押込手段を有する押込装置とを有する容器押込処理装置。
【請求項2】
前記押込作業位置に位置付けられる容器ホルダの下方に押込装置を設置し、押込装置の押込手段が容器の底部を押込んで押込部を形成するための孔部を容器ホルダに設けてなる請求項1に記載の容器押込処理装置。
【請求項3】
前記押込作業位置に位置付けられる容器ホルダの上方に、容器持ち上げ装置により容器ホルダの外に持ち上げられた容器の上部位置を規定する上位置規定装置を設けてなる請求項1又は2に記載の容器押込処理装置。
【請求項4】
前記封止状態の容器の側部を押圧して保持する部分が面状である請求項1〜3のいずれかに記載の容器押込処理装置。
【請求項5】
前記容器持ち上げ装置が押込装置を兼ねる請求項1〜4のいずれかに記載の容器押込処理装置。
【請求項6】
前記容器持ち上げ装置が上位置規定装置を兼ねる請求項1〜4のいずれかに記載の容器押込処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−240746(P2012−240746A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116020(P2011−116020)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】