説明

容器排除装置

【課題】排出する容器の転倒と後続の容器への接触を防止し、容器を回転させることなく安定して排出することができる容器排除装置を提供する。
【解決手段】容器排除装置は、搬送される容器1の高さ方向に延びる回転シャフト22と、回転シャフト22に取り付けられた回転部材30と、回転部材30の一端部に取り付けられた回転ローラ34と、回転シャフト32を中心に回転部材30を回転させて回転ローラ34を搬送経路上に位置させ、搬送される容器1を回転ローラ34に接触させて搬送経路の外側へ移動させるサーボモータ20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される容器を搬送経路から排除する容器排除装置に係り、特に不良容器を搬送コンベヤから隣接する排出コンベヤに排除する容器排除装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送コンベヤに載置されて搬送される容器のうち、例えば不良容器を搬送コンベヤから隣接する排出コンベヤに排除する装置として容器排除装置がある。容器として、ペットボトル、ガラス壜、缶等があり、容器排除装置として、搬送コンベヤ上にプレートやブラシを移動させ、このプレートやブラシを容器に接触させて排出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、プレートやブラシを用いた容器排除装置の場合、プレートやブラシが容器と接触するときに大きな摩擦抵抗が発生し、排出容器を滑らかに搬送コンベヤから排出コンベヤ側に移動させることができない。また、このように容器接触時の摩擦抵抗が大きいと、搬送コンベヤの搬送速度が変動した場合に大きな影響を受ける。特に、容器の搬送が遅い場合には、容器接触時の摩擦抵抗によるブレーキ作用が大きくなり、後続の容器と接触してしまう。さらに、容器接触時の摩擦抵抗が大きいと、排出容器に対して回転モーメントが作用し、容器が回転しながら排出されることとなり、容器が不安定になり倒れてしまう。
【0004】
【特許文献1】特開2004−115205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、排出する容器の転倒と後続の容器への接触を防止し、容器を回転させることなく安定して排出することができる容器排除装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、排出する容器の転倒と後続の容器への接触を防止し、容器を回転させることなく安定して排出することができる容器排除装置が提供される。この容器排除装置は、搬送される容器を搬送経路から排除することができる。容器排除装置は、上記搬送される容器の高さ方向に延びる回転シャフトと、上記回転シャフトに取り付けられた回転部材と、上記回転部材の一端部に取り付けられた回転ローラとを備えている。また、容器排除装置は、上記回転シャフトを中心に上記回転部材を回転させて上記回転ローラを上記搬送経路上に位置させ、上記搬送される容器を上記回転ローラに接触させて上記搬送経路の外側へ移動させる回転機構を備えている。
【0007】
上記容器の搬送方向と逆の方向に上記回転ローラを付勢する付勢手段(例えばコイルばね)をさらに設けてもよい。また、上記回転ローラの位置を調整する位置調整機構や上記回転ローラの傾斜角度を調整する傾斜角度調整機構をさらに設けてもよい。さらに、容器を直線方向に搬送する搬送コンベヤにより上記搬送経路を構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転ローラを容器に接触させるようにしているので、接触時の摩擦抵抗が小さくなり、接触による搬送方向に沿った容器の速度成分の損失を小さくすることができる。このため、排出する容器が非常に倒れにくくなる。また、搬送方向に沿った容器の速度成分がほとんど失われることなく容器が排出されるので、排出される容器が後続の容器に接触する可能性を極めて低くすることができる。また、回転ローラを容器に接触させるようにしているので、容器に接触した際に容器に対して回転モーメントが作用せず、容器を回転させることなく安定して排出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る容器排除装置の実施形態について図1から図5(b)を参照して詳細に説明する。なお、図1から図5(b)において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態における容器排除装置の基本構成を示す平面図である。図1に示すように、例えばガラス壜からなる複数の容器1が、所定の間隔をおいて直立した状態で搬送コンベヤ2上に載置されており、これらの容器1は搬送コンベヤ2の駆動によって図1の矢印の方向に搬送されている。このように、本実施形態においては、容器を直線方向に搬送する搬送コンベヤ2によって容器の搬送経路が構成されている。
【0011】
搬送コンベヤ2に隣接して不良容器1aを排出する排出コンベヤ3が配設されており、これらの搬送コンベヤ2と排出コンベヤ3と任意の搬送速度比で駆動するように設定されている。また、搬送コンベヤ2に隣接して、不良容器1aを搬送コンベヤ2から排出コンベヤ3に排除する容器排除装置4が設置されている。
【0012】
図2は、図1の縦断面図である。図2に示すように、容器排除装置4は、搬送コンベヤ2を支持する支持フレーム10に上下動自在に取り付けられた第1フレーム12と、水平方向に延びるロッド14を介して第1フレーム12に取り付けられた第2フレーム16とを備えている。第2フレーム16は、上フレーム16aと下フレーム16bとから構成されており、これらの上フレーム16aと下フレーム16bとは支軸18により互いに連結されている。このような構成により、上フレーム16aは下フレーム16bに対して支軸18を中心として回転可能になっている。
【0013】
図2に示すように、上フレーム16aの上部には交流サーボモータ20が設置されており、このサーボモータ20の回転軸には回転シャフト22が連結されている。この回転シャフト22は、搬送される容器1の高さ方向(すなわち鉛直方向)に延びている。また、上フレーム16aには、内部に軸受24,26を収容した軸受ケース28が取り付けられており、これらの軸受24,26により回転シャフト22が回転自在に支承される。
【0014】
図3は回転シャフト22の下端部を示す拡大断面図、図4は平面図である。図3および図4に示すように、回転シャフト22の下端には板状の回転部材30が固定されており、この回転部材30の先端には軸32を中心として回転自在の回転ローラ34が取り付けられている。このような構成において、サーボモータ20が駆動されると、回転シャフト22が回転し、回転部材30が回転シャフト22を中心として回転するようになっている。すなわち、サーボモータ20は、回転シャフト22を中心に回転部材30を回転させて回転ローラ34を搬送コンベヤ2上に位置させ、搬送される容器1を回転ローラ34に接触させて搬送コンベヤ2の外側へ移動させる回転機構として機能する。なお、サーボモータ20のパルス間隔を調整することで、回転部材30の回転速度を調整することができるようになっており、パルス量を調整することで回転角度を調整することができる。
【0015】
図3に示すように、回転部材30の上方には、回転シャフト22が内部に挿通された状態でコイルばね36が配置されている。回転部材30の回転ローラ34とは反対側の端部には、上下に延びるピン38が設けられており、このピン38にはコイルばね36の一端が固定されている。コイルばね36の他端は、コイルばね36の上方に配置されたばね固定部40のピン42に固定されている。このコイルばね36により、回転ローラ34は容器1の搬送方向とは逆の方向に付勢される。このように、コイルばね36は、容器1の搬送方向と逆の方向に回転ローラ34を付勢する付勢手段として機能する。
【0016】
第1フレーム12の下端部には、第2フレーム16の上下方向位置を調整する位置調整機構としての位置調整ハンドル44が設けられている。この位置調整ハンドル44を回転させることにより、第2フレーム16を支持フレーム10に対して上下動させ、回転部材30および回転ローラ34の上下方向の位置を調整することができるようになっている。また、第1フレーム12と第2フレーム16とを接続するロッド14の端部には、第2フレーム16の水平方向位置を調整する位置調整機構としての位置調整ハンドル46が設けられている。この位置調整ハンドル46を回転させることにより、第2フレーム16を第1フレーム12に対して水平方向に移動させ、回転部材30および回転ローラ34の水平方向の位置を調整することができるようになっている。
【0017】
また、下フレーム16bには、上フレーム16aのロッド挿通部48に挿通されたロッド50の一端が回転自在に取り付けられている。このロッド50の他端部には、回転部材30の傾斜角度を調整する傾斜角度調整機構としての傾斜角度調整ハンドル52が設けられている。この傾斜角度調整ハンドル52を回転させることにより、支軸18を中心として上フレーム16aを回転させて、回転部材30および回転ローラ34の傾斜角度を調整することができるようになっている。
【0018】
図1に示すように、容器排除装置4の上流側には搬送コンベヤ2を挟んで1対の容器検知センサ5,5が配置されており、この容器検知センサ5,5により搬送される容器の位置が検出される。また、この容器検知センサ5,5の上流側には図示しない容器検査装置が設置されており、この容器検査装置において、搬送される容器が良品か不良品かの検査が行われる。
【0019】
次に、上述のように構成された容器排除装置4の動作を説明する。搬送コンベヤ2の上流側に設置された容器検査装置から不良容器を排除する容器排除信号が容器排除装置4に入力されると、容器検知センサ5,5によりその不良容器の位置を検出し、サーボモータ20を駆動する。サーボモータ20の駆動により回転シャフト22に取り付けられた回転部材30が回転し、回転部材30の回転ローラ34を搬送コンベヤ2上の接触位置(図1に示す位置)に移動させる。回転ローラ34はこの接触位置で静止させておく。そして、搬送コンベヤ2により搬送されてきた不良容器1aは、図5(a)および図5(b)に示すように、回転部材30の回転ローラ34に接触して進行方向が変更され、搬送コンベヤ2に隣接して配置された排出コンベヤ3に移送される。
【0020】
上述したように、本実施形態では、軸32を中心として回転自在な回転ローラ34を不良容器1aに接触させているため、接触時の摩擦抵抗が小さくなるので、接触による搬送方向に沿った容器の速度成分の損失を小さくすることができる。このため、排出する不良容器1aが非常に倒れにくくなる。また、図5(b)に示すように、不良容器1aとの接触時の衝撃がコイルばね36に吸収されるので、上述した容器の転倒防止効果が向上する。また、搬送方向に沿った容器の速度成分がほとんど失われることなく不良容器1aが排出されるので、排出される不良容器1aが後続の容器に接触する可能性を極めて低くすることができる。また、軸32を中心として回転自在な回転ローラ34を用いているので、不良容器1aに接触した際に不良容器1aに対して回転モーメントが作用せず、不良容器1aを回転させることなく安定して排出することが可能となる。
【0021】
不良容器1aが回転部材30の回転ローラ34に接触してから一定時間が経過した後、サーボモータ20を駆動し、回転部材30を回転させて回転ローラ34を搬送コンベヤ2の外方の待避位置に移動する。通常の状態では、回転ローラ34はこの待避位置に位置しているため、不良でない容器は、回転ローラ34に接触することなく、容器排除装置4を通過してそのまま搬送コンベヤ2により搬送される。
【0022】
上述したように、位置調整ハンドル44を回転させることにより、回転部材30および回転ローラ34の上下方向の位置を調整することができるため、容器の高さ方向に沿ったいずれの位置にも回転ローラ34を配置することができる。このように、本実施形態における容器排除装置4によれば、容器の高さが変化した場合にも柔軟に対応することができる。
【0023】
また、サーボモータ20の回転角度を変えることにより、回転部材30の搬送経路上の接触位置を変更することができるので、搬送速度に応じて接触位置を適切に設定することができ、容器の搬送速度の変化に柔軟に対応することができる。さらに、コイルばね36のばね定数を適切に設定することにより、搬送方向に垂直な方向における容器の移動量を変更することができるので、容器検査装置における検査の判定に応じて容器の排出先を変えることも可能である。
【0024】
また、本実施形態では、搬送される容器に対して静止した回転ローラ34により容器の進行方向を変えているので、容器を安定的に搬送経路の外側に移動させることができる。すなわち、回転ローラ34を静止させているため、接触時に容器に作用する力が一定となるので、容器が移動される距離および速度を一定にすることができ、容器を安定的に搬送経路の外側に移動させることができる。したがって、小容量の空壜などのように小型で軽量の容器であっても転倒させることなく、容器を安定的に搬送経路の外側に移動させることができる。また、回転ローラ34を静止させているため、容器が高速で搬送される場合であっても容器を安定して搬送経路の外側に移動させることができる。
【0025】
本実施形態の容器排除装置によれば、容器の搬送速度や質量、形状、材質等の変化に柔軟に対応することができる。すなわち、容器の搬送速度の変化に対しては、回転ローラ34を容器に接触させる位置(接触位置)をサーボモータ20により制御し、回転ローラ34と容器との接触角度を調整することで対応することができる。また、これにより容器の移動距離も調整することができる。また、回転ローラ34は交換可能となっており、容器の質量や材質の変化に対しては、回転ローラ34の材質や形状を変えることにより対応することができる。
【0026】
さらに、容器の形状の変化に対しては、上述した位置調整ハンドル44,46や傾斜角度調整ハンドル52を用いて、回転ローラ34の上下方向位置、水平方向位置、および傾斜角度を調整することにより対応することができる。このように、上下の回転ローラ34の容器への接触の度合(容器を押し出す押圧力に相当)および位置を最適な状態に調整することができるので、容器押し出し時の容器の転倒を防止することができる。
【0027】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態における容器排除装置の基本構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す容器排除装置の縦断面図である。
【図3】図1の容器排除装置における回転シャフトの下端部を示す拡大断面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図5(a)および図5(b)は、図1に示す容器排除装置の回転部材を回転させて容器を排出する工程を示す平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 容器
1a 不良容器
2 搬送コンベヤ
3 排出コンベヤ
4 容器排除装置
5 容器検知センサ
10 支持フレーム
12 第1フレーム
14,50 ロッド
16 第2フレーム
18 支軸
20 サーボモータ
22 回転シャフト
24,26 軸受
28 軸受ケース
30 回転部材
32 軸
34 回転ローラ
36 コイルばね
38,42 ピン
40 ばね固定部
44,46,52 ハンドル
48 ロッド挿通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される容器を搬送経路から排除する容器排除装置であって、
前記搬送される容器の高さ方向に延びる回転シャフトと、
前記回転シャフトに取り付けられた回転部材と、
前記回転部材の一端部に取り付けられた回転ローラと、
前記回転シャフトを中心に前記回転部材を回転させて前記回転ローラを前記搬送経路上に位置させ、前記搬送される容器を前記回転ローラに接触させて前記搬送経路の外側へ移動させる回転機構と、
を備えたことを特徴とする容器排除装置。
【請求項2】
前記容器の搬送方向と逆の方向に前記回転ローラを付勢する付勢手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の容器排除装置。
【請求項3】
前記回転ローラの位置を調整する位置調整機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の容器排除装置。
【請求項4】
前記回転ローラの傾斜角度を調整する傾斜角度調整機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の容器排除装置。
【請求項5】
前記搬送経路は、容器を直線方向に搬送する搬送コンベヤにより構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の容器排除装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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