説明

容器搬送装置

【課題】搬送機構が簡便で、且つ、搬送方向の転換も容易に行える容器搬送装置を提供する。
【解決手段】首部2に鍔部3を有する容器の搬送装置であって、容器搬送路の両側に水平面内で周回可能なチェーン30と走行ガイド5をそれぞれ対向配置し、前記チェーン30により前記鍔部3の下面を片側より支持すると共に、前記走行ガイド5により前記鍔部3の下面を他方側より支持し、前記チェーン30の周回に前記鍔部3を従動させて前記容器1を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトル等の軽量容器の首部を支持して搬送する容器搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットボトル等の容器を起立姿勢で搬送する場合、容器自体が軽量であるため安定性に欠け、且つ、搬送中に転倒し易いことから、搬送には特別な考慮が必要とされている。従来、このような軽量容器を搬送する場合は、容器の首部に設けた鍔部を利用(支持)して搬送することが行われており、係る軽量容器の搬送装置として、例えば、特許文献1、特許文献2等が提案されている。
【0003】
特許文献1には、容器の底面を支えて搬送する主搬送装置(チェーンコンベアやベルトコンベア)と、容器の周部に形成された鍔部の下部を、周回する一対の無端状搬送体にて両側より支持する案内搬送装置を備えた搬送装置が開示されており、また、特許文献2には、首部に形成されている樹脂ボトルのフランジの下面を一対の搬送ガイドによって両側より支持し、この樹脂ボトルに推進用のエアを吹き付けてボトルを吊り下げた状態で搬送する樹脂ボトルの搬送装置が開示されている。
【特許文献1】特開2000−289827号公報
【特許文献2】特開2000−289847号公報
【0004】
ところが、上記した特許文献1、2の開示技術は、何れもコンベア搬送やエア搬送等の主搬送機構を備えるため構造が複雑化すると共に、搬送方向の転換が難しいこと、特に、特許文献1では、主搬送装置と搬送体、および、搬送体相互の速度合わせ(同調)が必要である等の問題点を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、係る問題点に鑑み成されたもので、搬送機構が簡便で、且つ、搬送方向の転換も容易に行える容器搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1に記載の本発明は、首部に鍔部を有する容器の搬送装置であって、容器搬送路の片側に水平方向に周回可能なチェーンを配置し、前記容器搬送路の他方側に前記チェーンまたは走行ガイドを配置し、前記チェーンにより前記鍔部の下面を片側より支持すると共に、前記チェーンまたは走行ガイドにより前記鍔部の下面を他方側より支持し、前記チェーンの周回に前記鍔部を従動させて前記容器を搬送することを特徴としている。
ここで、水平方向に周回可能なチェーンを配置するとは、チェーンが水平面内で周回可能に配置される場合だけでなく、搬送方向におけるチェーンの傾きが水平面に対して約±20度以内で傾斜して配置される場合を含むことを意味している。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の容器搬送装置において、前記鍔部の下面に前記チェーンのリンクを連結するピンの頭部を当接させたことを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2の何れかに記載の容器搬送装置において、前記チェーンの下側に当接してチェーンの縦揺れを防止する支持レールを備えることを特徴している。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、容器の鍔部の両側をチェーンにより、またはチェーンと走行ガイドにより支持し、チェーンの周回により容器を搬送するように構成したので、搬送機構を簡略化でき、直進だけでなく、蛇行やUターン、登坂、降坂等、搬路方向の転換も自由、且つ容易に行えるようになる。また、チェーンによる鍔部の従動であるから、従来のような搬送体の同調といった問題は生じ得ず、よって、容器受け渡しの際の容器の位置決めも容易である。
【0010】
また、請求項2に記載の本発明によれば、容器の鍔部にはチェーンのピンの頭部のみが接触するため接触面積は極めて小さいものであり、よって、容器搬送の際に容器がチェーンによって傷付けられる虞はない。
【0011】
また、請求項3に記載の本発明によれば、チェーンの下側に支持レールを設けたので、チェーンの縦揺れが防止され、容器を安定した状態で搬送することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明係る容器搬送装置の実施形態を説明する。
図1は本実施形態による容器搬送装置の側面図、図2は容器搬送装置の平面図、図3は容器搬送装置の要部拡大図、図4はチェーンの構造を示す図である。
【0013】
図1、図2において、符号40は、容器1が搬送台41上を起立姿勢で移送される容器供給部であり、搬送台14は、脚体8により床面9上に所定の高さ位置に支持・固定されている。
容器1は首部2(口部)の周部に鍔部3を有するものが適用可能で、例えば、清涼飲料水や調味料等を収容するペットボトル等が搬送対象となる。
また、容器供給部40の搬送手段は、エア搬送やベルト搬送等、容器1を起立状態で搬送可能であれば良く、これらの搬送手段により容器1は搬送台41の両側部に設けた一対のガイドレール42、42にて両側より支持されながら搬送台41上を一列密接状態で移送され、その下流端の出口部44より後述する本実施形態の容器搬送装置20に逐次供給されていく。また、搬送台41の出口部44付近には、上流側より順次移送される容器1を搬送台41の中央部に誘導・整列させるための一対の導入ガイド43、43が設けられている。
【0014】
この搬送台41の出口部44に配設されている容器搬送装置20は、図1、図2に示すように、搬送台41に続く搬送路4を有し、その高さ位置は、搬送台41上に起立させられた容器1の鍔部3の高さ位置に整合させてある。
この搬送路4の一方側に容器1の鍔部3の下面を支持するチェーン30が配設され、搬送路4の他方側に鍔部3の下面を支持する走行ガイド5が配設されている。そして、容器供給部40から供給される容器1がこれらチェーン30と走行ガイド5の間にその首部2が挟まれることにより、吊り下げ状態に支持されて、所定の間隔を持って矢印方向に一列状態で搬送されるようになっている。尚、本実施形態では、この搬送路4の中途において搬路方向を図面の手前側に90度転換させた例が示されている。
【0015】
また、チェーン30と走行ガイド5は、図2に示すように、搬送路4に沿って搬送路4の両側に対向配置された一対の角形フレーム6、7に設けられており、且つ、これらのフレーム6、7は複数の脚体8により床面9上に所定の高さ位置に支持・固定されている。
一方側のフレーム6の適所には、駆動モータ10が連結されたチェーン駆動用の駆動スプロケット11およびチェーン案内用の従動スプロケット12が設けられ、これらのスプロケット11、12を介してループ状(無端状)のチェーン30が水平面内で周回可能に配設されていると共に、他方側のフレーム7には、上述した走行ガイド5が上記チェーン30に対向するように取り付けられている。
この走行ガイド5は、図3に示めすように、搬送方向に沿って長細い断面L字状に形成されており、その立ち上がり部5aが図示しないボルトにてフレーム7の側部に固定され、水平部5bの上面が容器1の鍔部3の下面に当接し、容器1の鍔部3を下方より支持するようになっている。
【0016】
また、チェーン30は、図4に示すように、外リング32とローラ34を備えた内リング31とを交互に組み合わせてピン33にて連結した公知のものが使用されており、このピン33の一方の頭部33aが容器1の鍔部3の下面に当接するように、上記スプロケット11、12の取り付け位置が設定されている。
また、このフレーム6には、図3に示すように、チェーン30の下側を支持する支持レール13が配設されている。この支持レール13は段状に屈接しており、その上部水平部13aが図示しないボルトにてフレーム6の底部に固定され、下部水平部13bの上面がチェーン30の下側を下方より支持するようになっている。また、この支持レール13には、チェーン30のピン33のもう一方の頭部33aが当接する部位にピン33の頭部33aが没入可能な案内溝14が搬送方向に沿って帯状に形成されている。
【0017】
上記構成では、容器供給部40より移送される容器1は、出口部44の近傍において導入ガイド43に沿って搬送台41の中央に誘導されて出口部44より容器搬送装置20の搬送路4に導入される。そして、搬送路4内において、容器1の鍔部3の下面がチェーン30と走行ガイド5により両側から吊り下げ状態に支持されると共に、駆動モータ10によるチェーン30の周回により、その摩擦抵抗(ピン33の頭部33aと鍔部3との摩擦抵抗)で、鍔部3の一方側がチェーン30に従動させられると共に、他方側が走行ガイド5に支持・摺接された状態で、容器1が回転しながら搬送路4に沿って一列状態にて搬送される。
この場合、チェーン30による容器1の移送速度は容器供給部40の移送速度より速目に設定されているため、容器供給部40に容器1が滞留することなく、且つ、搬送路4に導入された容器1は、相互に接触することなく所定の間隔を持って順次スムースに搬送される。
【0018】
また、容器搬送中に搬送速度をアップさせる必要がある場合は、図示しないが、その搬送区間において、走行ガイド5に替えて水平面内で周回可能なチェーン30を設けて、容器1の鍔部3の両側を各チェーン30の周回に従動させるようにすれば良い。尚、この場合、双方のチェーン30は同速、周回方向は逆向きとする。
これにより容器1の搬送速度を倍増することができ、例えば、低速搬送路等への移行が容易、且つ確実に行えるようになる。
【0019】
以上のように、本発明では、搬送路4の一方側に容器1の鍔部3を支持するチェーン30が配設され、搬送路4の他方側に鍔部3を支持する走行ガイド5が配設され、チェーンの周回に鍔部3の片側を従動させるように構成したので、容器搬送装置20の搬送機構が簡略化されると共に、、チェーン駆動であれば、図2のように、搬送路4を90度方向転換させたり、図示しないが、蛇行や180度転換、傾斜角約20度以下の登坂、降坂等、様々な方向転換も比較的簡単な機構で自由に、且つ容易に行えるようになる。
また、チェーン30による鍔部3の片側従動であれば、従来のようにチェーン相互の同調といった問題は生じ得ず、よって、容器1を容器供給部40から容器搬送装置20へ移行する際の容器1の位置決めも容易であり、スムーズな移行が行えると共に、容器搬送中においてもスムーズな搬送が行える。
【0020】
また、容器1の鍔部3にはチェーン30のピン33の頭部33aが接触するため、接触面積は極めて小さく、よって、容器搬送の際に容器1がチェーン30によって傷付けられる虞はない。
【0021】
また、チェーン30の下側に支持レール13を設けることにより、搬送時のチェーン30の縦揺れを防止することができ、容器1を安定した状態で支持して搬送することができる。また、この支持レール13に案内溝14を設け、ピン33の頭部33aを案内溝14内に没入させると、そのガイド作用によりチェーン30の横揺れが抑制されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る容器搬送装置の全体構成を示す側面図。
【図2】同、容器搬送装置の全体構成を示す平面図。
【図3】同、容器搬送装置の要部拡大図。
【図4】チェーンの構造を示す図。
【符号の説明】
【0023】
1 容器
2 首部
3 鍔部
4 容器搬送路(搬送路)
5 走行ガイド
13 支持レール
20 容器搬送装置
30 チェーン
31、32 リンク
33 ピン
33a 頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
首部に鍔部を有する容器の搬送装置であって、
容器搬送路の片側に水平方向に周回可能なチェーンを配置し、前記容器搬送路の他方側に前記チェーンまたは走行ガイドを配置し、前記チェーンにより前記鍔部の下面を片側より支持すると共に、前記チェーンまたは走行ガイドにより前記鍔部の下面を他方側より支持し、
前記チェーンの周回に前記鍔部を従動させて前記容器を搬送することを特徴とする容器搬送装置。
【請求項2】
前記鍔部の下面に前記チェーンのリンクを連結するピンの頭部を当接させたことを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項3】
前記チェーンの下側に当接してチェーンの縦揺れを防止する支持レールを備えることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の容器搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−276974(P2007−276974A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107431(P2006−107431)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】