説明

容器漏れ検出方法および装置

【課題】 容器底部のピンホールを高精度かつ短時間で検出することができる方法を提供する。
【解決手段】
台座40を用意する。この台座40には検圧口45が開口するとともに、この検圧口45を囲むようにして環状のシール部41が設けられている。台座40のシール部41に容器100の底部103の周縁部103aまたは胴部101の下部外周を当接させることにより、容器底部103と台座40との間に,封じられた検圧空間70を形成する。次に、負圧源10からのテスト圧を、検圧口45を介して検圧空間70に供給する。次に、負圧源10と検圧空間70との間を遮断した状態で、検圧口45を介して検圧空間70の圧力変化を検出し、この圧力変化の情報に基づき上記容器底部103の漏れを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトル等の容器の底部の漏れを検出する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボトルにピンホール等の欠陥があると、ボトルから内部液体が微小量ずつ漏れたり、不純物や細菌が侵入するおそれがある。そのため、ピンホール等の欠陥があるか否か、すなわちボトルに漏れがあるか否か、1個1個検出する必要がある。
【0003】
特許文献1には、ボトルのピンホール等による漏れをエアリークテスタにより検出する方法が開示されている。簡単に説明すると、エアリークテスタは検出ヘッドを有している。この検出ヘッドはシール部を有し、このシール部をボトルの首部開口縁に押し付けることにより、ボトルを密封する。この状態で、検出ヘッドを介して圧縮エアをボトル内部に供給し、その後で、検出ヘッドに接続された圧力センサによりボトル内の圧力変化を検出し、圧力低下が生じた時にはボトルにピンホール等による漏れがあると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−265833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、樹脂製ボトルを二軸延伸ブロー成形法で成形する場合、最終段階において、成形されたボトルの底部の中央部が延伸ロッド先端と金型底部との間に挟まれた状態になり、その後で、延伸ロッド先端がボトル底部から離れる。この過程において、僅かな条件の相違によりボトル底部にピンホール等の欠陥が発生することがある。なお、この成形方法では、所定の成形条件を満足する限り、底部以外の部位にピンホール等が発生することはない。
【0006】
上記のようにピンホールが発生する箇所が底部に限定されるボトルを、特許文献1の検出方法を用いて漏れ検出を行うと、次の不都合があった。
圧力変化を検出すべき空間(検圧空間)がボトル内部空間となり大容量であるため、この検圧空間の容量に対するピンホールからの漏れ量の比が小さく、漏れが生じた時の検圧空間の圧力変化が小さくなってしまう。その結果、検出時間を長くしなければピンホールを検出できず、また微小のピンホール(例えば径が100ミクロン以下)を検出することが実質的に不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の態様は、容器の底部の漏れを検出する方法において、
検圧口が開口するとともに、この検圧口を囲むようにして環状のシール部が設けられた台座を用意し、
上記台座のシール部に上記容器の底部の周縁部または胴部の下部外周を当接させることにより、容器底部と台座との間に封じられた検圧空間を形成し、
次に、テスト圧源からのテスト圧を、上記検圧口を介して上記検圧空間に供給し、
次に、上記テスト圧源と上記検圧空間との間を遮断した状態で、上記検圧口を介して検圧空間の圧力変化を検出し、この圧力変化の情報に基づき上記容器底部の漏れを検出することを特徴とする。
【0008】
上記第1の態様によれば、検圧空間は小容積となり、検圧空間の容積に対する底部のピンホール等からの漏れ量の比を大幅に増大させることができ、その結果、検出時間を短縮できるとともに、微小なピンホールをも検出することができる。また、小容積の検圧空間にテスト圧を供給するため、その供給時間を短縮することができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、容器の底部の漏れを検出する方法において、
検圧口が開口するとともに、この検圧口を囲むようにして環状のシール部が設けられた台座を用意し、
上記台座のシール部に上記容器の底部の周縁部または胴部の下部外周を当接させることにより、容器底部と台座との間に封じられた検圧空間を形成し、
次に、テスト圧源からのテスト圧を、上記容器の首部開口から容器内部に供給し、
次に、上記検圧口を介して上記検圧空間の圧力変化を検出し、この圧力変化の情報に基づき、上記容器底部の漏れを検出することを特徴とする。
【0010】
上記第2の態様によれば、検圧空間は小容積となるので、検出時間を短縮できるとともに、微小なピンホールをも検出することができる。
【0011】
好ましくは、上記第1、第2の態様において、上記容器の底部には凹部が形成され、この底部の周縁部には、容器の中心軸線と直交する平面上において連続する環状部が形成されており、上記台座のシール部に上記容器底部の環状部を当接させることにより、容器底部と台座との間に上記検圧空間を形成する。
これによれば、容器底部の周縁部を台座のシール部材に当てることにより、検圧空間の容積を最小限にすることができる。
【0012】
容器底部の周縁部に上記のような環状部が形成されず、上記容器の胴部の下部に、横断面形状の輪郭が凸曲線または凸曲線と直線からなる環状部が形成される場合には、次の手段を採用することができる。
上記台座は底部と筒部とを有し、この筒部内周に上記シール部が設けられ、底部には上記検圧口が開口しており、上記台座の筒部に容器の胴部の下部を挿入し、この胴部に形成された上記環状部を上記シール部に当接させることにより、容器底部と台座との間に上記検圧空間を形成する。
【0013】
第1の態様において、好ましくは上記テスト圧源が負圧源である。
これによれば、検圧空間内の負圧により、容器を台座に向けて引き付けることができ、検圧空間の密封性を高めることができる。
【0014】
好ましくは、」上記テスト圧供給の工程および上記検圧空間の圧力変化検出の工程において、上記首部の開口縁を上記台座に向けて押圧する。
これによれば、検圧空間の密封性を高めることができる。
【0015】
容器底部の周縁部をシール部に当接する場合、好ましくは、上記台座は、上記容器底部の凹部に入り込む凸部を有し、この凸部の頂面に上記検圧口が開口している。
これによれば、検圧空間の容積をさらに減少させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明方法によれば、容器底部の漏れを短時間で高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる容器底部の漏れ検出方法を一部断面にして示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係わる容器底部の漏れ検出方法を一部断面にして示す図である。
【図3】第1、第2実施形態で用いられる台座の変形例を示す断面図である。
【図4】第1、第2実施形態で用いられる台座の他の変形例を示す断面図である。
【図5】第1、第2実施形態で用いられる台座のさらに他の変形例を示す断面図である。
【図6】図5の台座を用いて漏れ検出される容器の胴部下部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態について図1を参照しながら説明する。図1は、ペットボトル100(容器)と、このボトル100の漏れ検出を行うためのエアリークテスタ1とを示す。
【0019】
検査対象(ワーク)となるボトル100は、例えば2軸延伸ブロー成形法により成形され、胴部101と、この胴部101の上部に連なり胴部101より小径の首部102と、胴部101の下部に連なる底部103とを有している。底部103には凹部103bが形成されており、その周縁部は首部102の反対側に突出している。この周縁部は、胴部101の軸線と直交する平面上において連続した環状部103aを有している。この環状部103aは、幅の狭い面または丸みを帯びたエッジからなる
【0020】
上記ボトル100の胴部101の断面形状および上記底部環状部103aは円形でもよいし、非円形でもよい。検出時には、ボトル100に内容物は収容されておらず、首部102は開口状態にありキャップは装着されていない。
【0021】
上記エアリークテスタ1は差圧型と称されるものであり、基本構成は公知である。簡単に説明すると、エアリークテスタ1は、真空ポンプを含む負圧源10(テスト圧源)と、一端がこの負圧源10に接続された共通通路20と、この共通通路20の他端から分岐したマスタ側分岐通路21およびワーク側分岐通路22とを備えている。これら分岐通路21,22の分岐点を図中符号Pで示す。
【0022】
上記共通通路20には、2位置3方弁からなる切換弁23が設けられている。この切換弁23はオフ位置で分岐通路21,22側を大気に開放し、オン位置で負圧源10側と分岐通路21,22とを連通させる。
【0023】
上記分岐通路21,22には、それぞれ常開の開閉弁24,25(遮断手段)が設けられている。これら開閉弁24,25および上述した切換弁23は、本実施形態では電磁駆動型であるが、エア駆動型であってもよい。
上記マスタ側分岐通路21の末端にはマスタ容器26が設けられている。なお、マスタ容器26を省いて末端を塞いでもよい。
【0024】
上記共通通路20において切換弁23より分岐点P側にはテスト圧監視用の圧力センサ27が接続されている。
上記ワーク側分岐通路22において開閉弁25より末端側にも圧力センサ28が接続されている。
【0025】
さらに、エアリークテスタ1は、差圧センサ29と、コントローラ30とを備えている。上記差圧センサ29の2つのポートは、上記分岐通路21,22において開閉弁24,25より末端側に接続され、これら分岐通路21,22間の差圧を検出するようになっている。
【0026】
上記コントローラ30は、後述するように上記切換弁23、開閉弁24,25および後述する押圧装置60をシーケンシャルに制御し、圧力センサ27,28および差圧センサ29からの検出信号を受けて、ボトル100に漏れが有るか否か、すなわちボトル100が良品か不良品かを判断し、この判断結果に基づいて、表示器を制御したり、ボトルを搬出する装置を制御する。
上記圧力センサ27,28、差圧センサ29、コントローラ30は検出手段として提供される。
【0027】
本実施形態のエアリークテスタ1は、さらに台座40を備えている。この台座40は、その全体がウレタンゴム等の弾性材料からなる円盤形状の厚肉のシール部材41(環状のシール部)により構成されており、テーブルまたはコンベア等の基台50上に固定されている。
【0028】
上記シール部材41の上面は、水平かつ平坦なワーク側の面となる。
上記シール部材41の中央には、上記ワーク側分岐通路22の末端部を構成する金属製のパイプ22aが垂直に貫通している。このパイプ22aの、上記シール部材41の上面に位置する開口は、検圧口45として提供される。
【0029】
本実施形態では上記シール部材41の上面全域すなわち台座40の上面全域が、シール面領域46として提供される。
【0030】
本実施形態のエアリークテスタ1は、さらに、上記台座40の真上に配置された押圧装置60を備えている。この押圧装置60はエアシリンダからなり、そのロッド61の下端には押圧部62が固定されていて、上下方向に移動するようになっている。
【0031】
上記構成において、成形されたボトル100は、図示しない移送装置により台座40に載せられる。この載置位置では、ボトル100の中心軸線Lが上記台座40の検圧口45と一致し、ボトル100の底部103の環状部103aがシール面領域46に当接する。
【0032】
上記環状部103aがシール部材41に接することにより、台座40の上面と容器100の底部103の凹部103bとの間には、例えばボトル100の内部容積の1/20程度の検圧空間70が形成される。この検圧空間70に上記検圧口45が連なっている。
【0033】
上記ボトル100のセット状態で、コントローラ30のシーケンス制御が開始される。順に説明すると下記の通りである。
上記押圧装置60の押圧部62が下降してボトル100の首部102の開口縁102aを比較的小さな力で押す。これにより、ボトル100が起立状態で安定して支持されるとともに、ボトル100の環状部103aがシール部材41のシール面領域46に上記押圧力で当たり、上記検圧空間70をシールする。
【0034】
次に、切換弁23をオンして、上記分岐通路21,22を真空吸引し、負圧にする。これにより、上記検圧空間70に負のテスト圧が供給される。本実施形態では検圧空間70が負圧になるので、容器100の底部103を台座40側へ引く力が働き、上記環状部103aとシール面領域46との間のシール性を高めることができる。
上記押圧工程、テスト圧供給工程においてシール部材41は弾性変形する。なお、上述した中心軸線Lと直交する平面での上記環状部103aの連続性とは、軸方向位置の変動を若干程度許容するものであり、このシール部材41の弾性変形によって環状部103aとシール部材41との間の密着性が確保できればよい。
【0035】
次に、開閉弁24,25をオンして、上記分岐通路21,22を負圧源10から遮断するとともにし、所定時間待つ。
所定時間経過後、コントローラ30は差圧センサ29の検出値を読み込む。
【0036】
底部103にピンホールが無い場合には、検圧空間70の圧力は上昇せず、差圧センサ29の検出値が閾値を下回るので、コントローラ30は「漏れ無し」と判断する。
底部103にピンホールが有る場合には、ボトル100内の大気圧の空気が空間70へ漏れ出るので、検圧空間70の圧力が上昇し、その結果、差圧センサ29の検出値が閾値を上回るので、コントローラ30は「漏れ有り」と判断する。
【0037】
上記検圧空間70の圧力変化は、検圧空間70の容積に対する底部103のピンホールからの漏れ量の比に対応するものであり、この検圧空間70の容積がボトル100の容積に比べて非常に小さいので、検出感度が高まり、微小(例えば数十ミクロン以下)のピンホールによる漏れを検出できる。また、上記圧力変化を検出するための待ち時間も短くて済み、所要検査時間も例えば1〜2秒と短い。
なお、ボトル100の底部103はボトルの自立性を確保するために胴部101に比べて硬く、上記テスト圧付与時の変形が少ないので、圧力変化の検出に支障は生じない。
なお、テスト圧を負圧にすると、ボトル100の温度変化によるノイズを抑制することができる。そのため、ボトル100を成形した後に冷却の途中で漏れ検出を行うこともできる。
テスト圧を負圧にした場合、押圧装置60は省くこともできる。
【0038】
本実施形態では、コントローラ30は、上記開閉弁24,25のオン動作後の圧力センサ28の検出圧力を読み込み、閾値と比較する。上記底部103のピンホールの径が大きい場合には、検圧空間70の圧力が急激に上昇し、検出圧力が閾値を上回るので「大漏れ」と判断する。
【0039】
なお、コントローラ30は、上記開閉弁24,25のオン動作前のテスト圧供給時の圧力センサ27の検出圧力を読み込み、閾値と比較してもよい。上記底部103のピンホールの径が大きい場合には、切換弁23のオン動作後にこのテスト圧が設定値に到達しないので、「大漏れ」と判断する。
【0040】
上記漏れ検出工程が終了したら、コントローラ30は弁23〜25をオフにするとともに押圧装置60の押圧部62を上昇させて、エアリークテスタ1を初期状態に戻す。この後、搬出装置によりボトル100を漏れ無しの良品と漏れ有りの不良品に分けて台座40から搬出する。
【0041】
上記第1実施形態において、テスト圧源として負圧源10の代わりに圧縮エア源(正圧源)を用いてもよい。この場合、検圧空間70には正のテスト圧が供給され、底部103にピンホールがあった場合には、検圧空間70の空気がボトル100内へと漏れ、圧力低下が生じる。この圧力低下を、差圧センサ29からの差圧情報、圧力センサ27,28からの圧力情報に基づき検出し、漏れの有無を判断する。なお、この実施形態ではボトル100を検圧空間70の正圧に抗して台座40に押し付けるための押圧手段(例えば図示の押圧装置60)が必要である。
第1実施形態では、広い面積がシール面領域46となっているので、種々のサイズの容器(環状部103aの径が異なる容器)を、シール性を確保しつつセットすることができる。
【0042】
次に、本発明の他の実施形態について図を参照しながら説明する。各実施形態において先行する実施形態に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0043】
図2は本発明の第2実施形態を示す。この実施形態ではテスト圧はボトル100の首部102から供給される。以下、詳述する。
エアリークテスタはテスト圧供給通路80を有しており、その基端に圧縮エア源10A(テスト圧源)が接続され、中途部には2位置3方弁からなる切換弁81が設けられている。
【0044】
第2実施形態の押圧装置60の押圧部62は、基部62aとその下面に取り付けられた弾性材料からなるシール部材62bとを有している。この押圧部62には、テスト圧供給通路80の末端部80aが形成されている。この末端部80aは、シール部材62bの下面中央に開口しており、この開口がテスト圧供給口85として提供される。
【0045】
第2実施形態では、マスタ側通路21とワーク側通路22は、圧縮エア源10Aに接続されておらず、それぞれ開閉弁24、25を介して大気に連なっている。
【0046】
上記構成の第2実施形態において、ボトル100を台座40にセットし、押圧装置60の押圧部62をボトル100の首部102の開口縁102aに押し付けるまでの工程は、第1実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、シール部材62bによりボトル100内も、検圧空間70と同様に密封状態となる。
【0047】
次に、上記開閉弁24,25を閉じてマスタ側通路21とワーク側通路22を大気から遮断するとともに、上記切換弁81をオンして圧縮エア源10Aからの圧縮エアをテスト圧供給口85からボトル100内に供給し、所定時間経過するのを待つ。
なお、開閉弁24,25のオン動作は切換弁23のオン動作と同時でなく相前後してもよい。開閉弁24,25のオン動作を後にした場合には、底部103の微小変形の影響を排除できる。
所定時間経過後、コントローラ30は差圧センサ29の検出値を読み込む。
【0048】
底部103にピンホールが無い場合には、検圧空間70の圧力は上昇せず、差圧センサ29の検出値は閾値を下回るので、コントローラ30は「漏れ無し」と判断する。
底部103にピンホールが有る場合には、ボトル100内の圧縮空気が空間70へ漏れ出るので、検圧空間70の圧力が上昇し、その結果、差圧センサ29の検出値が閾値を上回るので、コントローラ30は「漏れ有り」と判断する。
【0049】
第1実施形態と同様に、上記検圧空間70の容積がボトル100の容積に比べて非常に小さいので、検出感度が高く、微小のピンホールによる漏れを検出できる。また、上記圧力検出の待ち時間も短くて済む。
【0050】
本実施形態では、コントローラ30は、上記切換弁81および開閉弁24,25のオン動作後の圧力センサ28の検出圧力をも読み込み、閾値と比較する。上記底部103のピンホールの径が大きい場合には、検圧空間70の圧力が急激に上昇し、検出圧力が閾値を上回るので「大漏れ」と判断する。
【0051】
次に、上記第1、第2実施形態で用いられる台座の変形例について図3〜図5を参照しながら説明する。
図3に示す台座40’は、上記実施形態と同様に全体がシール部材41’で形成されており、その上面中央に凸部47が形成されている。この凸部47の頂面中央に検圧口45が位置している。
【0052】
図3の台座40’を用いると、ボトル100をセットした状態で、台座40’の凸部47が容器100の底部103の凹部103bに入り込み、検圧空間70の容積を減少させることができ、より一層高精度かつ短時間での漏れ検出を行うことができる。
【0053】
図4に示す台座40”は、金属製の台座本体42と、この台座本体42の上面に埋め込まれた環状のシール部材43(シール部)とを有している。台座本体42の中央には垂直の穴が形成されており、その上端開口が検圧口45として提供される。本実施形態では、シール部材43の上面のみが、シール面領域46として提供される。本実施形態では、台座本体42に凸部47が形成されるが、この凸部47はなくてもよい。
【0054】
図5は、異なる形状のボトル100’を検査対象とする場合の台座90を示す。このボトル100’の底部103’の周縁部が波形状をなし、ボトル100’の中心軸線と直交する平面上において連続した環状をなしていない。この場合には底部103’を台座90に当接させても、周縁部103a’と台座90との間に隙間109が生じるので凹部103b’をシールすることができない。
しかし、上記ボトル100’は、胴部101’の下部(底部103’の近傍)に、図6に示すような環状部101aを有している。この環状部101aの横断面形状の輪郭(外周輪郭)は凸曲線と直線からなる。この輪郭は、たとえば円形等、凸曲線だけで構成されていてもよい。
【0055】
上記のようなボトル100’の底部103’のピンホールの漏れを検出する場合には、図5に示す台座90が必要となる。この台座90は底部91と筒部92を有し、これら底部91と筒部92により上方に開放された凹部93が形成されている。底部91の中央には検圧口45が形成されている。筒部92の内周には環状の弾性材料からなるシール部材95(シール部)が取り付けられている。なお、筒部92の内周形状およびシール部材95の形状は、上記ボトル100’の環状部101aに対応している。
【0056】
ボトル100’は、その底部103’および胴部101’の下部を台座90の凹部93に収容するようにしてセットする。この状態で、シール部材95がボトル100’の胴部101’の環状部101aに密着することにより、台座90とボトル100’の検圧空間70’を密封する。なお、この検圧空間70’は、シール部材95より下方のボトル100’と台座90との間の空間により構成されている。
漏れ検出については、図1の第1実施形態または図2の第2実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0057】
本発明は、上記実施例に制約されず、種々の態様を採用することができる。例えば、本発明は、底部にピンホール等の欠陥の発生が予想され底部周縁部または胴部下部にシール可能な環状部を有する種々の容器に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、容器の底部の漏れ検出に適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 エアリークテスタ
10 負圧源(テスト圧源)
10A 圧縮エア源(テスト圧源)
40,40’、40” 台座
41、43 シール部材(シール部)
45 検圧口
60 押圧装置
70,70’ 検圧空間
90 台座
91 底部
92 筒部
95 シール部材(シール部)
100,100’ ボトル
101,101’ 胴部
101a 環状部
102 首部
102a 開口縁
103,103’ 底部
103a 環状部
103b 凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の底部の漏れを検出する方法において、
検圧口が開口するとともに、この検圧口を囲むようにして環状のシール部が設けられた台座を用意し、
上記台座のシール部に上記容器の底部の周縁部または胴部の下部外周を当接させることにより、容器底部と台座との間に封じられた検圧空間を形成し、
次に、テスト圧源からのテスト圧を、上記検圧口を介して上記検圧空間に供給し、
次に、上記テスト圧源と上記検圧空間との間を遮断した状態で、上記検圧口を介して検圧空間の圧力変化を検出し、この圧力変化の情報に基づき上記容器底部の漏れを検出することを特徴とする容器漏れ検出方法。
【請求項2】
容器の底部の漏れを検出する方法において、
検圧口が開口するとともに、この検圧口を囲むようにして環状のシール部が設けられた台座を用意し、
上記台座のシール部に上記容器の底部の周縁部または胴部の下部外周を当接させることにより、容器底部と台座との間に封じられた検圧空間を形成し、
次に、テスト圧源からのテスト圧を、上記容器の首部開口から容器内部に供給し、
次に、上記検圧口を介して上記検圧空間の圧力変化を検出し、この圧力変化の情報に基づき、上記容器底部の漏れを検出することを特徴とする容器漏れ検出方法。
【請求項3】
上記容器の底部には凹部が形成され、この底部の周縁部には、容器の中心軸線と直交する平面上において連続する環状部が形成されており、
上記台座のシール部に上記容器底部の環状部を当接させることにより、容器底部と台座との間に上記検圧空間を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の容器漏れ検出方法。
【請求項4】
上記容器の胴部の下部には、横断面形状の輪郭が凸曲線または凸曲線と直線からなる環状部が形成され、
上記台座は底部と筒部とを有し、この筒部内周に上記シール部が設けられ、底部には上記検圧口が開口しており、
上記台座の筒部に容器の胴部の下部を挿入し、この胴部に形成された上記環状部を上記シール部に当接させることにより、容器底部と台座との間に上記検圧空間を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の容器漏れ検出方法。
【請求項5】
上記テスト圧源が負圧源であることを特徴とする請求項1に記載の容器漏れ検出方法。
【請求項6】
上記テスト圧供給の工程および上記検圧空間の圧力変化検出の工程において、上記首部の開口縁を上記台座に向けて押圧することを特徴とする請求項1〜5に記載の容器漏れ検出方法。
【請求項7】
請求項3に記載の容器漏れ検出方法を実行する装置において、上記台座は、上記容器底部の凹部に入り込む凸部を有し、この凸部の頂面に上記検圧口が開口していることを特徴とする容器漏れ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−145517(P2012−145517A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5438(P2011−5438)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(390019035)株式会社フクダ (23)
【Fターム(参考)】