説明

容器移送装置

【課題】胴部支持部材68、76と口部支持部材43を有する容器支持部42を、サイズの異なる容器4に兼用するために調整する。
【解決手段】リング状部材62に容器4の胴部を支持する胴部支持部材68、76が設けられ、リング状部材62の下面側を支持する円盤状部材52は、容器4の口部を支持する口部支持部材43と一体的に回転する。リング状部材62の係合ピン70を円盤状部材52の係合穴82に嵌合させて両部材62、52を回転方向に連結している。円盤状部材52は昇降可能になっており、下降時にリング状部材62を下方に固定配置された載置部材86上に載せることにより両部材を切り離すことができる。移送する容器4のサイズが変更になったときには、両部材を切り離して円盤状部材52を回転させることにより両部材の円周方向の位置を変更し、さらに高さも変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラやキャッパ等の容器処理装置に容器を供給し、または容器処理装置から容器を排出する容器移送装置に係り、特に、異なるサイズ、形状の容器に兼用可能な容器移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィラやキャッパ等の容器処理装置として、各種形状の容器を処理することができる異種容器兼用機が一般に用いられており、従来は、処理する容器を変更するごとに、容器移送装置の容器保持ポケットが形成されている回転円板(スターホイール)や、容器移送装置によって搬送される容器の外周側を案内する外周ガイド部材等の部品を、それぞれの容器の専用部品に交換することにより対応していた。このように各部品の交換を行う場合には、交換に時間がかかるとともに、交換用の多数種類の部品を用意しておかなければならず、コストがかかるとともに、部品の保管用に大きなスペースを必要としていた。
【0003】
そこで、部品の交換を行わずに各種形状の容器に兼用できる容器移送装置が提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1に記載された容器移送装置(スターホイール装置)は、回転可能に支持されている上下2枚の回転円板の外周部にそれぞれ円周方向等間隔で複数の凹部を有しており、一方の回転円板の凹部の回転方向前方側の当接面と、他方の回転円板の凹部の回転方向後方側の当接面とにより、容器を保持するポケットが形成される。2枚の回転円板の中間に半円弧状の調整部材が配置され、この調整部材の両端部に形成された連結用挿入孔に、上下の回転円板にそれぞれ設けた連結用のピンを係合させて、調整部材と2枚の回転円板を連結している。この調整部材を移動させることにより、上下の回転円板を互いに逆方向に回転させて前記ポケットのサイズを変更することができる。前記調整部材は、中央の直立した調整軸に、ベベルギヤ、ねじ軸とネジ筒等の駆動伝達手段を介して連結されており、調整軸の上端に取り付けられたハンドルの操作によって調整軸を回転させ、調整部材を進退動させるようになっている。
【0005】
また、特許文献2に記載されている、扁平状の容器と円形または略正多角形状の容器とに適応し得るように構成した兼用式スターホイールは、回転軸部の頂部に回転板が取り付けられ、この回転板の外周部に固着されるガイドリング板を挟んで、下方に第1スターホイール、上方に第2スターホイールが、相互間の位相を変えてポケットの形状を変更できるように装着されている。この特許文献2の構成では、第2スターホイールの上面に位相調整手段が設置されており、この位相調整手段は、挿入ピンを前記中間のガイドリング板および下方の第1スターホイールに設けた挿通孔に抜き差しすることにより第1および第2スターホイール板のガイドリング板に対する相対的な位相を調整できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−186271号公報
【特許文献2】特許第3703220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載された発明の構成では、ハンドルの操作により回転される調整軸から複雑な構造の伝達手段を介して調整部材を移動させて、スターホイールのポケットのサイズを変更するようになっているのでコスト高であるという問題があった。また、特許文献2の構成では、複数の位相調整手段をそれぞれ操作しなければならず、作業が繁雑であるという問題があった。さらに、近年では、無菌チャンバー内にフィラやキャッパを設置して充填およびキャッピング等を行う無菌充填ラインが広く用いられているが、前記特許文献1の構成や特許文献2の構成では、異なるサイズの容器に兼用するための調整を行う際に、無菌環境を破壊しなければならないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、円周方向等間隔で複数の容器支持部が設けられた回転体を備え、各容器支持部に支持した容器を回転移送する容器移送装置において、前記容器支持部は、容器の口部を支持する口部支持部材と、各口部支持部材に対応して設けられた、容器の胴部を支持する胴部支持部材を有しており、さらに、前記回転体は、胴部支持部材が設けられているリング状部材と、前記口部支持部材と一体的に回転するとともに、前記リング状部材の下面側を支持する円盤状部材と、円盤状部材に対するリング状部材の円周方向の位置を規定する係合位置決め手段と、前記円盤状部材を昇降させる昇降手段と、前記リング状部材の下方に固定配置され、リング状部材を載置可能な載置部材とを備え、前記容器支持部で支持する容器のサイズを変更する際には、円盤状部材を下降させてリング状部材を載置部材上に載せることにより、円盤状部材によるリング状部材の支持を解除し、この状態で回転体を回転させ、変更する容器のサイズに応じて円盤状部材に対するリング状部材の円周方向の位置を変更し、その後、円盤状部材を上昇させて、前記係合位置決め手段によってリング状部材の円周方向の位置を規定するとともに、変更する容器のサイズに応じた高さにリング状部材を位置させて、前記口部支持部材に対する前記胴部支持部材の位置を調節することを特徴とするものである。
【0009】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記リング状部材は、第1胴部支持部材を有する第1リングプレートと、前記第1胴部支持部材と交互に配置される第2胴部支持部材を有する第2リングプレートからなり、第1リングプレートに対する第2リングプレートの回転方向の位置を規定する係合位置決め手段を備え、前記載置部材は、両リングプレートのうち第2リングプレートを載置可能であり、前記容器支持部で支持する容器のサイズを変更する際に、円盤状部材を下降させて第2リングプレートを載置部材上に載せることにより、円盤状部材による第2リングプレートの支持を解除し、この状態で回転体を回転させ、第1リングプレートに対する第2リングプレートの円周方向の位置を変更し、その後、円盤状部材を上昇させて、前記係合位置決め手段によって第2リングプレートの円周方向での位置を規定することによって、前記第1胴部支持部材と前記第2胴部支持部材の間隔を変更することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
容器の胴部を支持する胴部支持部材が設けられているリング状部材と、このリング状部材を下面側から支持するとともに、容器の口部を支持する口部支持部材と一体的に回転する円盤状部材とを、係合位置決め手段によって連結し、円盤状部材を下降させることによりリング状部材を載置部材に載せることにより、リング状部材と円板状部材との連結を外し、円盤状部材を回転させてリング状部材との相対位置を変更した後、この円盤状部材を上昇させて再びリング状部材と連結するとともに、胴部支持部材の高さも変更するという構成にしたので、簡単な操作で、しかも、無菌環境を破壊することなく異なる容器に適用するための型替えをすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る容器移送装置を備えた充填ラインの配置を簡略化して示す図である。
【図2】図2は容器移送装置の縦断面図である。(実施例1)
【図3】図3は第1リングプレートの平面図である。
【図4】図4は第2リングプレートの平面図である。
【図5】図5は円盤状部材の平面図である。
【図6】図6(a)、(b)、(c)は異なる容器を支持した状態をそれぞれ示す平面図である。
【図7】図7(a)、(b)はリング状部材と円盤状部材の連結を外して調整する工程を示す図である。
【図8】図8は大型の容器を支持するために第1リングプレートと第2リングプレートとの連結を外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
回転体に円周方向等間隔で複数の容器支持部が形成されている。容器支持部は、容器の胴部を支持する胴部支持部材と容器の口部を支持する口部支持部材を有している。前記回転体は、前記胴部支持部材が設けられたリング状部材と、このリング状部材の下面側を支持するとともに、前記口部支持部材と連結されて一体的に回転する円盤状部材と、これらリング状部材と円盤状部材との回転方向の位置決めをする係合位置決め手段と、円盤状部材を昇降させる昇降手段を備えている。また、前記リング状部材の下方に配置され、円盤状部材を下降させたときにリング状部材が載置される載置部材が設けられている。前記容器支持部が支持する容器のサイズを変更する場合には、円盤状部材を下降させてリング状部材を載置部材上に載せてそれ以上の下降を規制することにより、円盤状部材とリング状部材との係合状態を外し、円盤状部材を回転させて円盤状部材とリング状部材との回転方向の位置を所定の位置に設定(胴部支持部材に支持される容器の中心と口部支持部材の中心とを一致させる)した後、円盤状部材を持ち上げてこの円盤状部材とリング状部材とを、係合位置決め手段によって再び連結するとともに、変更する容器の高さに応じてリング状部材の高さも所定位置に設定するという構成で、例えば、無菌チャンバー内に設置されている場合でも、無菌環境を破壊することなく、異なる容器に変更するための型替えを行うことを可能にするという目的を達成する。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この実施例に係る容器移送装置は、容器を支持して回転移送する装置であり、上流側の装置から受け取った容器を回転移送して下流側の装置に引き渡すものである。図1はこの容器移送装置の使用の一例であり、充填ラインにおけるキャッパの出口ホイールとして使用している。この図1の例では、フィラ2に供給されて液体が充填された容器4(図2参照)を中間ホイール6が受け取って次のキャッパ8に送り、キャッパ8でキャッピングを行った後、出口ホイール10によって取り出してリジェクトホイール12に引き渡す。何らかのトラブル等によって充填ラインから除外すべき容器4は、このリジェクトホイール12からリジェクトされる。また、正常な容器4は、このリジェクトホイール12から出口側の排出ホイール14に受け渡されて回転搬送され、排出コンベヤ16上に排出されて次の工程に送られる。
【0014】
次に、図2により容器移送装置の構成について説明する。無菌チャンバーの底板20に形成された円形孔20a内を、上下に貫通して円筒状の筒体22が固定されている。この円筒状の固定筒体22の内部に、上下のベアリング24、26を介して直立した下部回転筒体28が回転自在に支持されている。この下部回転筒体28の上端に、取付用の環状体30を介して水平な回転円板32が固定されている。また、この回転円板32の中心部に、前記下部回転筒体28と軸線を一致させて上部回転筒体34が固定されている。
【0015】
下部回転筒体28の下端部28aは、前記固定筒体22の下端部から下方へ伸びており、この突出している部分の外周に大径のギヤ36が固定され、図示しない駆動源のギヤに噛み合って駆動力を伝達されるようになっている。この駆動ギヤ36の回転により下部回転筒体28および上部回転筒体34が一体的に回転する。
【0016】
回転円板32の外周部に複数本(この実施例では、図5に示すように6本)の直立した支持ロッド38が固定されている。これら支持ロッド38の上端には、環状の支持プレート40の内周部が固定されている。この環状支持プレート40の外周部に、円周方向等間隔で容器4の口部(この実施例では容器4の口部にキャッピングされたキャップ4a)を支持する口部支持部材43が設けられている。環状支持プレート40は、前記下部回転筒体28、上部回転筒体34および回転円板32と一体的に回転するが、これらの部材28、34、32、40は昇降しないようになっている。
【0017】
上部回転筒体34の上方部分の外周に外側筒体44が嵌合され、キー46により回転方向に連結されるとともに、相対的に昇降できるようになっている。この外側筒体44の上端に、水平な円形プレート48が固定されている。この円形プレート48の外周部に、複数本の垂直な昇降ロッド50が下方を向けて固定されている。これら昇降ロッド50の下端部が環状の円盤状部材52(図5参照)の内周側に固定されている。円形プレート48は、前記回転円板32よりも小径であり、円形プレート48に固定された昇降ロッド50は、回転円板32に固定された前記支持ロッド38よりも内周側に位置している。昇降ロッド50の下端に固定されている円盤状部材52は、支持ロッド38の上端に固定されている環状の支持プレート40よりも下方に位置しているので、各支持ロッド38は円盤状部材52に形成された円形孔52a(図5参照)を貫通してその上方へ伸びている。
【0018】
上部回転筒体34および下部回転筒体28の内部にねじ軸54が挿通されている。このねじ軸54の上端は、前記外側筒体44の上端に固定されている円形プレート48に連結され、一体的に昇降するとともに、相対回転可能になっている。また、ねじ軸54の下端部は、下部回転筒体28の下端から下方へ伸びており、ベース56上に設置されたモータ58によって回転されるナット60に螺合している。従って、モータ58の駆動によりナット60を回転させると、ねじ軸54が昇降し、このねじ軸54に連結されている円形プレート48、昇降ロッド50および円盤状部材52が一体的に昇降する。
【0019】
前記円盤状部材52の外周側にリング状部材62が配置されている。このリング状部材62は、半径方向の幅の広い第1リングプレート64(図3参照)と、この第1リングプレート64よりも小径で、半径方向の幅の狭い第2リングプレート66(図4参照)から構成されている。第1リングプレート64は、内周側が前記円盤状部材52の外周部上に支持されるようになっており、第1リングプレート64の内径が円盤状部材52の外径よりもやや小さくなっている。また、第2リングプレート66は、第1リングプレート64の内周部上に重なるようになっており、これら両リングプレート64、66はほぼ同じ内径を有している。
【0020】
第1リングプレート64の上面には、図3に示すように、円周方向等間隔で複数の胴部支持部材68(以下、第1胴部支持部材と呼ぶ)が垂直に取り付けられている。これら胴部支持部材68は、この第1リングプレート64上に載置された容器4の胴部を支持するもので、胴部に係合して安定して支持するために円弧状になっている。また、第1リングプレート64の最も内周寄りに、円周方向等間隔で、3本の係合ピン70(係合位置決め手段)が上面側と下面側に突出して取り付けられている(後に説明する図7(a)、(b)参照)。これら3本の係合ピン70の僅かに半径方向外方側に、それぞれ小径穴72が形成されている。さらに、各小径穴72と同一円周上のややずれた位置に、小径穴72の直径よりも幅(半径方向の幅)の広い長穴74が形成されている。
【0021】
第2リングプレート66の上面には、図4に示すように、円周方向等間隔で複数の胴部支持部材76(以下、第2胴部支持部材と呼ぶ)が垂直に取り付けられている。これらの胴部支持部材76は、基部76a側が第2リングプレート66に固定されており、半径方向外方側に伸びている先端部76b側が容器4の胴部を支持するために、第1リングプレート64の第1胴部支持部材68と同様の円弧状になっている。これら第2胴部支持部材76の円弧状の部分76bは、前記第1リングプレート64の第1胴部支持部材68とほぼ同じ円周上に位置している。この第2リングプレート66には、円周方向等間隔で3組の係合孔78(係合位置決め手段)が形成されている。これら係合孔78は、前記第1リングプレート64の係合ピン70と同一半径の円周上に位置しており、第1リングプレート64上に第2リングプレート66を重ね合わせると、前記係合ピン70が、各組の係合孔78のいずれか一方に嵌合する。さらに、第2リングプレート66の、前記係合孔78よりもやや半径方向外方側の、円周方向に僅かにずれた位置に小径の穴80が形成されている。この小径穴80は、前記第1リングプレート64の長穴74と同一半径の円周上に位置している。
【0022】
円盤状部材52は、図5に示すように、最も外周部寄りに、複数の係合孔82(係合位置決め手段)が形成されている。これら係合孔82は3つの領域に別れており、前記第1リングプレート64の3箇所に設けられている係合ピン70が各領域の一つの係合孔82に嵌合する。なお、前記大径のギヤ36を介して回転される下部回転筒体28、上部回転筒体34、およびこれら上下の回転筒体28、34に連結されている回転円板32、外側筒体44、円形プレート48およびこれらの部材に固定されている容器支持部42(口部支持部材43と胴部支持部材68、76)等により、請求項1に記載した回転体88が構成されている。
【0023】
無菌チャンバーの底板20上に、直立した支柱84を介して、リング状部材62を載置可能な載置部材86が設けられている。この載置部材86は、柱状部86aとその先端(上端)に設けられた小径の短い突起部86bとを備えている(図7(a)、(b)参照)。柱状部86aは前記第1リングプレート64の長穴74の幅(半径方向の幅)よりもやや小径であり、この長穴74内を貫通することができる。また、突起部86bは、第1リングプレート64および第2リングプレート66にそれぞれ形成されている小径孔72、80の径よりもやや小さく、この小径孔72、80内に挿入することができる。この突起部86bの高さは、第1リングプレート64および第2リングプレート66の厚さとほぼ同じかあるいはやや短くなっている。この載置部材86は、容器4のサイズに応じて、リング状部材62の第1リングプレート64と第2リングプレート66との回転方向の位置を変更する場合と、リング状部材62と円盤状部材52との回転方向の位置を変更する場合に使用するもので、この実施例では、円周方向等間隔で3箇所に、前記第1リングプレート64の小径穴72および長穴74と、第2リングプレート66の小径穴80と、前記回転体88の回転軸線を中心とする同一の円周上に設置されている。
【0024】
前記第1リングプレート64、第2リングプレート66および円盤状部材52は、通常の運転時は、昇降ロッド50の下端に固定されている円盤状部材52の外周部に形成されている係合孔82内に、第1リングプレート64の係合ピン70の下部側が嵌入しており、さらに、この第1リングプレート64の内周部上に第2リングプレート6が載り、第1リングプレート64の係合ピン70の上部側が第2リングプレート66の係合孔78のいずれか一方に嵌入している。つまり、第1リングプレート64と第2リングプレート66からなるリング状部材62の内周部が、円盤状部材52の外周部上に支持された状態になっている。
【0025】
第1リングプレート64上に第2リングプレート66を重ね合わせた状態にすると、第2リングプレート66の第2胴部支持部材76は、第1リングプレート64の第1胴部支持部材68の間に位置するようになっている。第1リングプレート64の係合ピン70が、第2リングプレート66の一組の係合穴78の一方に嵌合したときには、第2リングプレート66の第2胴部支持部材76が第1リングプレート64の第1胴部支持部材68のほぼ中間に位置し、各胴部支持部材68、76がそれぞれ1本の容器4を支持する(後に説明する図6(a)、(b)参照)。また、係合ピン70が2個一組の係合穴78の他方側に嵌合したときには、第2リングプレート66の第2胴部支持部材76が、その両側に位置している第1リングプレート64の第1胴部支持部材68の一方に接近するとともに、他方から離隔した状態になり、第1リングプレート64の第1胴部支持部材68が1本の容器4を支持するようになっている(図6(c)参照)。前記第1胴部支持部材68または第2胴部支持部材76と、上方の口部支持部材43によって容器4を支持して回転移送する移送経路の外周側に、移動する容器4の外面を支持する外周ガイド90が配置されている。
【0026】
前記構成の容器移送装置の作動について説明する。移送する容器4のサイズが比較的小さい場合には(図6(a)、(b)の場合)、第1リングプレート64の各胴部支持部材68のほぼ中間に、第2リングプレートの各胴部支持部材76が位置するように、第1リングプレート64と第2リングプレート66を係合させる。つまり、第1リングプレート64の係合ピン70を、第2リングプレート66の2個1組の係合穴78の一方を選択して挿入しておく。この状態で、第1および第2胴部支持部材64、66に支持される容器4の中心と、口部支持部材43の中心の位置が一致するように、リング状部材62と円盤状部材52との位置決めを行う。つまり、第1リングプレート64の係合ピン70を、円盤状部材52の多数の係合穴82のうち、前記のように容器4の中心と口部支持部材43の中心が一致する係合穴82を選択して、第1リングプレート64の係合ピン70を嵌合する。例えば、図6(a)に示すように最も小さい容器4Aの場合には、容器4Aの中心がこの容器4Aを支持する胴部支持部材68、76に接近した位置にあり、上方の口部支持部材43の中心の位置もこの容器4Aの中心の位置に合わせておく。
【0027】
前記のように容器4のサイズに応じて容器移送装置の円盤状部材52とリング状部材62の位置決めをして運転を開始する。上流側のフィラ2に供給されて液体が充填された容器4は、中間ホイール6を介してキャッパ8に供給される。キャッパ8でキャッピングが行われた容器4は、キャッパ8の容器保持手段(図示せず)から出口ホイール10(容器移送手段)のリング状部材62に載せられる。各容器4は、胴部が交互に配置された第1リングプレート64の第1胴部支持部材68と第2リングプレート66の第2胴部支持部材76のいずれかに支持され、ネック部(キャップ4a)が口部支持部材43によって支持される。
【0028】
容器移送装置の回転体88は、図示しない駆動源の駆動により大径ギヤ36が回転され、下部回転筒体28、上部回転筒体34、中間の回転円板32、上方の円形プレート48が回転し、中間の回転円板32に支持ロッド38を介して取り付けられている口部支持部材43と、上方の円形プレート48に昇降ロッド50を介して取り付けられている円盤状部材52およびリング状部材62が一体的に回転し、リング状部材62の第1リングプレート64上に載っている容器4が回転移送される。その後、移送されている容器4がリジェクトホイール12の位置に到達すると、リジェクトホイール12の容器保持手段(図示せず)に引き渡されて回転搬送される。正常な容器4はそのまま排出ホイール14に引き渡され、この排出ホイール14から排出コンベヤ16上に排出されて次の工程に送られる。一方、何らかの問題がある容器4はリジェクトホイール12からリジェクトされる。
【0029】
前記充填ラインで充填やキャッピングが行われる容器4のサイズが変更になった場合には、この容器4のサイズに応じて、2枚のリングプレート64、66からなるリング状部材62と円盤状部材52の連結位置を変更する。例えば、容器4のサイズが大きい場合でも、交互に位置している第1リングプレート64の第1胴部支持部材68と、そのほぼ中間に位置している第2リングプレート66の第2胴部支持部材76の間に載置可能なサイズの場合(図6(b)に符号4Bで示す容器参照)には、第1リングプレート64と第2リングプレート66の係合位置の変更はしない。但し、容器4(4B)のサイズが大きくなったことにより、容器4(4B)のセンターの位置が前記小径の容器4(4A)のセンターの位置からずれるので、リング状部材62と円盤状部材52との回転方向の位置を変更する。
【0030】
前記のように第1リングプレート64と第2リングプレート66とが一体となったリング状部材62と、円盤状部材52との回転方向の位置を変更する場合には、第1リングプレート64に形成されている小径穴72が、載置部材86の上方に位置するように回転移動させて停止する。この位置で、モータ58の駆動によりナット60を回転させてねじ軸54を下降させる。このねじ軸54の上端に、相対回転可能に、かつ一体的に昇降するように連結されている円形プレート48およびこの円形プレート48に昇降ロッド50を介して固定されている円盤状部材52が下降する。この円盤状部材52に連結されて支持されているリング状部材62もともに下降する。
【0031】
図7(a)に示す状態からさらに下降すると、第1リングプレート64の小径穴72内に載置部材86の先端の突起部86bが挿入される。小径穴72の直径は、載置部材86先端の突起部86bの直径よりは大きく柱状部86aの直径よりは小さいので、円盤状部材52の下降に伴ってリング状部材62が相対的に上昇され、第1リングプレート64の係合ピン70が円盤状部材52の係合穴82から抜け出す(図7(b)に示す状態)。このようにリング状部材62と円盤状部材52の連結を切り離した後、回転体88を回転させて円盤状部材52を所定量回転させる。リング状部材62の胴部支持部材68、76によって支持される容器4の中心と容器4のネック部(この実施例ではキャップ4a)の中心が一致するように位置決めをした後、円盤状部材52を上昇させる。すると、第1リングプレート64の係合ピン70が、円盤状部材52の対応する位置の係合穴82に嵌合し再びリング状部材62と円盤状部材52とが連結される。このようにリング状部材62と円盤状部材52とを連結して、図6(b)に示す状態で容器4(4B)を支持して回転移送する。なお、容器4の径が変更になるだけでなく、高さも変更になった場合には、前記円盤状部材52を上昇させる際に、その容器4の高さに対応する位置で停止させる。
【0032】
移送する容器4のサイズがさらに大きく、第1リングプレート64の第1胴部支持部材68と第2リングプレート66の第2胴部支持部材76とがほぼ等間隔で並んでいる状態(図6(a)、(b)に示す状態)では容器4を載置することができない場合(図6(c)に符号4Cで示す容器参照)には、第1リングプレート64と第2リングプレート66との回転方向の位置を変更して、第2リングプレート66の第2胴部支持部材76を、第1リングプレート64の第1胴部支持部材68の一方に接近させるとともに、他方の第1胴部支持部材68との間隔を広げる(図6(c)に示す状態)。このときには、第2リングプレート66の小径穴80が載置部材86の上方に位置するように回転移動させる。この小径穴80は、第1リングプレート64の係合ピン70を第2リングプレート66のいずれの係合穴78に嵌合させているときも、常に第1リングプレート64の長穴74内に位置しており、載置部材86は、第1リングプレート64の長穴74および第2リングプレート66の小径穴80の下方に位置している。
【0033】
この位置で円盤状部材52を下降させると、この円盤状部材52に連結されている第1リングプレート64は、その長穴74内を載置部材86(柱状部86aと突起部86b全体)が貫通するので、円盤状部材52とともに下降する。しかしその上方の第2リングプレート66は、小径孔80内に突起部86bが挿入されるが、柱状部86aは小径穴80よりも大径なので、第2リングプレート66が載置部材86によって円盤状部材52および第1リングプレート64に対して相対的に上昇される。第1リングプレート64に対して第2リングプレート66が上昇することによって、係合ピン70の上部が係合穴78から抜け出して両リングプレート64、66の係合が外れ、相対回転可能な状態になる(図8参照)。
【0034】
両リングプレート64、66を切り離した後、回転体88の回転により円盤状部材52および第1リングプレート64を長穴74の範囲で回転させ、第1リングプレート64の係合ピン70を、第2リングプレート66の2つの係合穴78のうちそれまで係合していた穴78と別の穴78の位置に合致させる。この状態で円盤状部材52を上昇させると、第1リングプレート64の係合ピン70が第2リングプレート66の他方の係合穴78に嵌合し、大径の容器4(4C)を支持できるようになる。なお、第1リングプレート64と第2リングプレート66との連結を外して大径の容器4Cを支持できるようにするとともに、この大径の容器4Cの中心と上方の口部保持部材43の中心との位置を調整する必要があるので、第1リングプレート64と第2リングプレート66を一体としたリング状部材62を、円盤状部材52と切り離して相対回転させて調節することはいうまでもない。また、容器4の径が変更になるだけでなく、高さも変更になった場合には、前記円盤状部材52を上昇させる際に、その容器4の高さに対応する位置で停止させる。前記実施例では、第2リングプレート66を第1リングプレート64の上に配置したが、半径方向の内外に配置して、すなわち、それぞれ円盤状部材に載置させて、各々に載置部材を準備し、第1リングプレート64と第2リングプレート66のそれぞれを載置部材上に載置させて円盤状部材による支持を解除して、円盤状部材に対するこれらリング状部材の円周方向の位置を変更可能とするとともに、第1リングプレート64に対する第2リングプレート66の円周方向の位置を変更する場合には、第1リングプレート64に対しては、載置部材を貫通させたり下方へ退避させることにより、両リングプレートのうち第2リングプレート66を載置部材上に載置させて円盤状部材による支持を解除するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
4 容器
42 容器支持部
43 口部支持部材
52 円盤状部材
54 昇降手段(ボールねじ)
60 昇降手段(ナット)
62 リング状部材
64 第1リングプレート
66 第2リングプレート
68 胴部支持部材(第1胴部支持部材)
70 係合位置決め手段(係合ピン)
76 胴部支持部材(第2胴部支持部材)
78 係合位置決め手段(係合穴)
82 係合位置決め手段(係合穴)
86 載置部材
88 回転体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周方向等間隔で複数の容器支持部が設けられた回転体を備え、各容器支持部に支持した容器を回転移送する容器移送装置において、
前記容器支持部は、容器の口部を支持する口部支持部材と、各口部支持部材に対応して設けられた、容器の胴部を支持する胴部支持部材を有しており、さらに、前記回転体は、胴部支持部材が設けられているリング状部材と、前記口部支持部材と一体的に回転するとともに、前記リング状部材の下面側を支持する円盤状部材と、円盤状部材に対するリング状部材の円周方向の位置を規定する係合位置決め手段と、前記円盤状部材を昇降させる昇降手段と、前記リング状部材の下方に固定配置され、リング状部材を載置可能な載置部材とを備え、
前記容器支持部で支持する容器のサイズを変更する際には、円盤状部材を下降させてリング状部材を載置部材上に載せることにより、円盤状部材によるリング状部材の支持を解除し、この状態で回転体を回転させ、変更する容器のサイズに応じて円盤状部材に対するリング状部材の円周方向の位置を変更し、その後、円盤状部材を上昇させて、前記係合位置決め手段によってリング状部材の円周方向の位置を規定するとともに、変更する容器のサイズに応じた高さにリング状部材を位置させて、前記口部支持部材に対する前記胴部支持部材の位置を調節することを特徴とする容器移送装置。
【請求項2】
前記リング状部材は、第1胴部支持部材を有する第1リングプレートと、前記第1胴部支持部材と交互に配置される第2胴部支持部材を有する第2リングプレートからなり、第1リングプレートに対する第2リングプレートの回転方向の位置を規定する係合位置決め手段を備え、前記載置部材は、両リングプレートのうち第2リングプレートを載置可能であり、
前記容器支持部で支持する容器のサイズを変更する際に、円盤状部材を下降させて第2リングプレートを載置部材上に載せることにより、円盤状部材による第2リングプレートの支持を解除し、この状態で回転体を回転させ、第1リングプレートに対する第2リングプレートの円周方向の位置を変更し、その後、円盤状部材を上昇させて、前記係合位置決め手段によって第2リングプレートの円周方向での位置を規定することによって、前記第1胴部支持部材と前記第2胴部支持部材の間隔を変更することを特徴とする請求項1に記載の容器移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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