説明

容器積載装置

【課題】特別な動力を必要とせず、最下部の容器の取り出しが容易であり、設置面積が小さく、かつ積載された容器間に加わる衝撃が低減される先入れ先出し形の容器積載装置を提供する。
【解決手段】容器41〜45は収容空間16において下から上へ順に積載されるため、設置面積が低減される。また、容器41〜45は、下から順に取り出されるので、先入れ先出しが図られる。最下段の容器41を取り出すと、スプリング13によって下方アーム22が引き付けられるため、第一ラッチ20は回転軸部21を中心に回転する。これにより、下から二段目の容器42の鍔52と係合部24との係合が解除され、この容器42は下方アーム22側へ落下する。落下した容器42は下方アーム22を押し広げるため、第一ラッチ20は回転し、係合部24が下から三段目に位置していた容器43の鍔52に係合し、容器43を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱状の容器を積載する容器積載装置に関し、特に天地方向に積載された容器が下方から順に取り出される先入れ先出し形の容器積載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の製品を製造するラインには、各工程で必要となる部品や材料などを蓄えるための容器が必要となる。この場合、部品や材料が枯渇することがないように、部品や材料が入れられた複数の容器を用意する必要がある。また、製品の品質管理の観点から、部品および材料は古いものから順に消費する、すなわち先入れ先出しが可能であることが望ましい。そこで、重力を用いることで特別な駆動力を必要とすることなく、部品や材料を収容する容器、あるいは部品そのものを順に使用可能とする流動棚装置が公知である(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平10−236611号公報
【特許文献2】特開2004−245820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1、2の場合、例えばローラコンベアなどの傾斜しているスライド棚上を容器や部品などが移動する構成となっている。このとき、スライド棚の傾斜が急な場合、スライド棚を滑り落ちる容器の速度は大きくなる。そのため、容器同士の衝突による容器あるいは部品の破損や、衝突によって容器に収容された部品が飛び出しを招くおそれがある。一方、スライド棚の傾斜が緩やかな場合、スライド棚を滑り落ちる容器の速度は低減されるものの、スライド棚の上端側と下端側との間には大きな距離を確保する必要がある。そのため、流動棚装置が大型化し、ラインの周囲には流動棚装置を設置するための多大な面積を必要とする。
【0004】
また、特許文献1、2の場合、複数の容器がスライド棚に置かれているとき、最下部の容器には傾斜面上に積み重ねられた複数の容器から傾斜した面に沿った分力が加わる。そのため、先入れ先出しにしたがって最下部の容器を取り出すとき、次の箱を押し上げて隙間を作る動作が必要になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、特別な動力を必要とせず、最下部の容器の取り出しが容易であり、設置面積が小さく、かつ積載された容器間に加わる衝撃が低減される先入れ先出し形の容器積載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、外側へ突出する鍔を有する箱状の容器を下方から上方へ順に積載して収容し、積載された前記容器が下方から順に取り出される先入れ先出し形の容器積載装置であって、天地方向に伸びる縦フレームを有し、内側に前記容器を収容する収容空間を形成するフレーム部材と、前記収容空間を挟んで対向して設けられ、設置面と概ね平行に前記フレーム部材に支持されている第一回転軸を中心に回転可能であって、最下段の前記容器の鍔の外側に接する下方アーム、前記第一回転軸を挟んで前記下方アームと反対側へ伸びている上方アーム、および前記上方アームの上端部から前記収容空間側へ突出して設けられ下から二段目の前記容器の鍔に係合する第一係合部を有する第一ラッチと、対向する前記下方アームの下端部に設けられ、対向する前記下方アームを互いに引き付ける方向へ力を加える弾性部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
最下段の容器を引き抜くと、弾性部材は対向する第一ラッチの下方アームを引き付ける。下方アームの下端部が弾性部材によって引き付けられることにより、第一ラッチは第一回転軸を中心に回転し、第一ラッチの上方アームの上端部は相互の間隔が増大する。これにより、上方アームの上端部に設けられている第一係合部と下から二段目の容器の鍔との係合は解除される。その結果、下から二段目の容器は、弾性部材によって引き付けられた第一ラッチの下方アームを押し広げながら重力によって下方に落下する。落下する容器が下方アームを押し広げることにより、第一回転軸を中心に回転する第一ラッチの上方アームは収容空間側へ移動する。これにより、第一係合部は、容器の鍔と係合し、下から二段目の容器を保持する。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成により、本発明によると、重力を用いることによって特別な動力を必要とすることなく容器の先入れ先出しを行うことができる。また、下から二段目の容器は、第一ラッチの上方アームに設けられている第一係合部によって保持されている。そのため、最下段の容器には、上方の容器の重さによって力が加わらない。したがって、最下段の容器の取り出しを容易にすることができるとともに、最下段の容器に加わる衝撃を低減することができる。さらに、容器は天地方向へ積載されるため、設置面積を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明による容器積載装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による容器積載装置を図1および図2に示す。なお、図2では、積載される容器の記載は省略している。
【0010】
容器積載装置10は、図1に示すように縦フレーム11、台座12および第一ラッチ20、弾性部材としてのスプリング13、およびダンパ部30を備えている。縦フレーム11は、設置される地面に対し概ね垂直、すなわち天地方向に伸びて設けられている。本明細書では、図1および図2において上下方向をそのまま天地方向として示している。また、容器積載装置10は、図2に示すように側断面視において一方の端部に取出開口部としての取出口14を有し、他方の端部に投入開口部としての投入口15を有している。本明細書中では、取出口14側を「前」とし、投入口15側を「後」とする。したがって、図2において左右方向は前後方向に一致する。
【0011】
縦フレーム11は、例えば長方形の四隅に対応する部分に配置されている。これにより、縦フレーム11は、内側に積載される容器を収容する収容空間16を形成する。縦フレーム11の相互間は、設置面100と概ね平行に伸びる横フレーム17などによって接続されている。これにより、縦フレーム11は、それぞの位置が横フレーム17によって決められるとともに、強度が高められている。縦フレーム11の下端部すなわち設置面100側には、台座12が設けられている。台座12には、縦フレーム11の端部が固定されている。縦フレーム11および横フレーム17は、特許請求の範囲のフレーム部材を構成している。なお、フレーム部材として、横フレーム17に限らず、縦フレーム11および横フレーム17に対し傾斜する斜めフレームを設けてもよい。また、縦フレーム11を長方形の四隅に配置する例について示したが、各縦フレーム11の相互間に一本以上の縦フレームを追加してもよい。
【0012】
縦フレーム11の内側に形成される収容空間16には、図1に示すように容器41、42、43、44、45が積載される。容器41、42、43、44、45は、例えば直方体状の箱状に形成されている。容器41、42、43、44、45は、上端部が開口した箱状の本体51と、この本体51から外側すなわち外周側へ突出する鍔52を有している。容器41、42、43、44、45は、鍔52を有していればその形状は問わない。また、容器41、42、43、44、45は、本実施形態のように、箱状の本体51の開口側の端部に鍔52を有しているものに限られない。例えば、箱状の本体51の底部に鍔52を有していてもよく、箱状の本体51と底部と開口側の端部までの間に鍔52を有していてもよい。また、鍔52は、箱状の本体51の周方向へ連続して設けても、不連続に設けてもよい。このように、本実施形態に適用される容器41、42、43、44、45は、外周側へ突出する鍔52を有するものであれば、本体51の形状や鍔52の位置など任意に設定することができる。
【0013】
第一ラッチ20は、収容空間16の両端部に収容空間16を挟んでそれぞれ設けられている。収容空間16に容器41、42、43、44、45を積載したとき、第一ラッチ20は収容された最下段の容器41および下から二段目の容器42を挟み込んでいる。このように、本実施形態の場合、第一ラッチ20は、収容空間16に収容された最下段の容器41および下から二段目の容器42を挟んで設けられている。なお、第一ラッチ20は、二対以上設けてもよい。第一ラッチ20は、図1、図2および図3に示すように上下方向の中央部近傍に回転軸部21を有している。回転軸部21は、軸方向の両端部がそれぞれ縦フレーム11に支持される。第一ラッチ20は、この回転軸部21を中心に、縦フレーム11に対して自由に回転可能である。すなわち、回転軸部21は、特許請求の範囲の第一回転軸に対応する。回転軸部21は、縦フレーム11と概ね垂直な前後方向に伸びて設けられている。
【0014】
第一ラッチ20は、回転軸部21から下方へ伸びる下方アーム22、および回転軸部21から上方へ伸びる上方アーム23を有している。上方アーム23の上端部は、第一係合部としての係合部24を有している。係合部24は、上方アーム23の上端部から内側すなわち収容空間16側へ突出している。図1に示すように、一対の第一ラッチ20の間に容器41、42、43、44、45を積載するとき、最下段の容器41は各下方アーム22の間に位置する。そして、最下段の容器41の鍔52の外周側は、下方アーム22と接する。一方、下から二段目の容器42は、鍔52の下端面が上方アーム23の係合部24に係合する。容器41、42、43、44、45の鍔52は、本体51から外周側へ突出している。そのため、鍔52と本体51との間には段差が形成される。上方アーム23の係合部24は、この鍔52と本体51との間に形成される段差に侵入し、上端面が鍔52の下端面に接する。その結果、下から二段目の容器42は、一対の第一ラッチ20によって最下段の容器41の上方において最下段の容器41と接することなく保持される。
【0015】
第一ラッチ20の下方アーム22および上方アーム23の長さは、例えば容器41、42、43、44、45の落下速度、容器41、42、43、44、45の形状、あるいは容器41、42、43、44、45の鍔52の大きさなどに応じて任意に設定することができる。例えば、上方アーム23を短く設定することにより、下から三段目の容器43が落下してから係合部24に接するまでの距離が大きくなる。その結果、容器41、42、43、44、45の落下速度が大きいときでも、落下する容器43、44、45を第一ラッチ20で受け止めることができる。
【0016】
スプリング13は、下方アーム22の下端部すなわち下方アーム22の上方アーム23とは反対側の端部に設けられている。スプリング13は、各端部がそれぞれ第一ラッチ20に接続されている。すなわち、スプリング13は、一対の第一ラッチ20の相互の間に設けられている。スプリング13は、例えば図4に示すように第一ラッチ20の間に平行に二本設けられている。スプリング13は、図2に示すように第一ラッチ20の下方アーム22に設けられている穴25に係止されている。
【0017】
スプリング13は、収縮する方向の力を有している。これにより、一対の第一ラッチ20は、スプリング13の力によって下方アーム22同士が引き付けられる。すなわち、スプリング13は、一対の第一ラッチ20に下方アーム22同士が引き付けあう方向に力を加える。その結果、第一ラッチ20の下方アーム22間に最下段の容器41が収容されているとき、第一ラッチ20にはさみ付けられている。
【0018】
最下段の容器41は、例えば台座12により直接、または台座12に設けられている図示しない支持部で下方から支持する構成としてもよい。また、最下段の容器41は、横フレーム17によって支持したり、第一ラッチ20によって挟み込むことにより支持してもよい。このように、最下段の容器41は、任意の手段によって所定の位置に支持される構成とすることができる。
【0019】
ダンパ部30は、スプリング13と同様に第一ラッチ20の下端部側において、第一ラッチ20の相互間に設けられている。ダンパ部30は、回転軸部21を中心として回転する第一ラッチ20の回転速度を制御する。ダンパ部30は、図4に示すようにラック部材31、ピニオンギア32、ブラケット33および回転ダンパ34を有している。ラック部材31は、各第一ラッチ20に設けられ、一方の第一ラッチ20から対向する他方の第一ラッチ20側へ伸びている。これにより、本実施形態の場合、ダンパ部30は二本のラック部材31を有している。二本のラック部材31は、それぞれ概ね平行に設けられている。二本のラック部材31は、上下方向および前後方向に対し垂直に設けられている。ラック部材31は、互いに対向する側にラックギア35を有している。ラックギア35は、ピニオンギア32に噛み合っている。
【0020】
ラック部材31は、いずれも第一ラッチ20側の端部が支持部26によって支持されている。支持部26は、図3に示すように第一ラッチ20の下方アーム22に設けられている。支持部26は、上下方向へ伸びる長穴27を有している。図4に示すように、ラック部材31の第一ラッチ20側の端部にはピン36が設けられている。ピン36は、支持部26の長穴27に挿入されている。ピニオンギア32は、二本のラック部材31の間に設けられ、各ラック部材31のラックギア35と噛み合っている。ピニオンギア32は、一対の第一ラッチ20の間において、概ね中間に配置されている。
【0021】
ブラケット33は、図5に示すようにラック部材31を保持する保持部37を有している。保持部37には、ラック部材31が軸方向へ往復移動可能に収容されている。ブラケット33は、ラック部材31の軸方向への移動を許容しつつ、ラック部材31間の距離を一定に維持する。これにより、二本のラック部材31は、いずれもピニオンギア32との噛み合いが維持される。
【0022】
ラック部材31は、軸方向の一方の端部がブラケット33によって支持され、図6に示すように他方の端部が長穴27が設けられた支持部26で支持されている。そのため、第一ラッチ20の回転にともなって支持部26が上下方向に移動しても、ピン36を案内する長穴27によってラック部材31の上下方向の位置に大きな変化はない。これにより、ブラケット33によって保持されているラック部材31は、常にピニオンギア32との良好な噛み合いを維持することができる。なお、ラック部材31のピン36を支持部26の長穴27で支持するのに代えて、ピニオンギア32の上下方向の全長を拡大し、ピニオンギア32側で第一ラッチ20の回転にともなうラック部材31の上下移動を吸収する構成としてもよい。
【0023】
回転ダンパ34は、ピニオンギア32を回転可能に支持している。回転ダンパ34は、ブラケット33とともに台座12に固定されている。回転ダンパ34から上方へ伸びる軸部材38にピニオンギア32が固定されている。回転ダンパ34は、回転方向によって加わるトルクが変化する。回転ダンパ34は、例えば内部にオイルを充填した空間を形成するとともに、この空間内で回転する翼を備えている。この翼には、一方向へのオイルの流れを許容する弁が設けられている。オイルの流れによって弁が開く方向へ翼が回転するとき、翼はオイルからほとんど力を受けないので、回転ダンパ34に生じるトルクは小さい。一方、オイルの流れによって弁が閉じる方向へ翼が回転するとき、翼はオイルから受ける力が大きくなる。その結果、回転ダンパ34に生じるトルクは大きい。このように回転ダンパ34を用いることにより、第一ラッチ20の回転移動時における速度を回転方向によって変化させることができる。
【0024】
図4に示す本実施形態の場合、下方アーム22が互いに離れるとき、ピニオンギア32および回転ダンパ34は時計方向に回転する。一方、下方アーム22が互いに近づくとき、ピニオンギア32および回転ダンパ34は反時計方向へ回転する。このような本実施形態の場合、回転ダンパ34は、時計方向への回転時に回転トルクを発生する構成とする。スプリング13の弾性力によって下方アーム22同士が近づくとき、ピニオンギア32および回転ダンパ34は反時計方向へ回転する。このとき、回転ダンパ34は、回転トルクをほとんど生じない。その結果、第一ラッチ20は、回転ダンパ34から回転トルクを受けることなく速やかに回転移動する。一方、スプリング13の弾性力に抗して下方アーム22同士が離れるとき、ピニオンギア32および回転ダンパ34は時計方向へ回転する。このとき、回転ダンパ34は、回転トルクを発生する。その結果、第一ラッチ20は、ラック部材31を経由して回転ダンパ34から回転トルクを受け、ゆっくりと回転移動する。
【0025】
上述のように、本実施形態の容器積載装置10は、前側に容器41、42、43、44、45を取り出すための取出口14を有し、後側に容器41、42、43、44、45を投入するための投入口15を有している。このように容器積載装置10の前方に取出口14を設ける場合、図2および図7に示すように縦フレーム11を覆う前方側の壁71に取出口14となる開口を設ける構成とすればよい。また、縦フレーム11を覆う後方側の壁72に投入口15となる開口を設けてもよい。このように、前方側に取出口14、後方側に投入口15を設けることにより、容器積載装置10をライン作業の各工程に配置すると、ライン作業者は取出口14から最下段の容器41を取り出すことができる。一方、容器を供給する作業者は、ライン作業の妨げとならない容器積載装置10の後方から最上段へ容器を投入することができる。
【0026】
また、上述のように取出口14および投入口15を壁71、72の開口によって形成することにより、取出口14および投入口15以外は壁71、72によって塞がれる。そのため、収容空間16に収容された容器41、42、43、44、45は、壁71、72によって移動が制限される。したがって、収容空間16に積載された容器41、42、43、44、45の崩れを防止することができる。
【0027】
なお、取出口14および投入口15を確保しつつ積載された容器41、42、43、44、45の崩れを防止する構成は上述の開口を有する壁71、72に限らない。例えば、図7および図8(A)に示すように前方の壁71側に縦フレーム11と平行なフレーム73などを設けてもよい。このフレーム73は、容器積載装置10の前方側において最上部から取出口14となる開口の上方まで伸びている。また、図7および図8(B)に示すように後方の壁72側に縦フレーム11と平行なフレーム74を設けてもよい。図8(A)は図7に示す容器積載装置10の骨格を図7の矢印A方向から見た図であり、図8(B)は図7に示す容器積載装置10の骨格を図7の矢印B方向から見た図である。フレーム74は、容器積載装置10の後方側において投入口15となる開口の下方から最下部まで伸びている。これらのフレーム73、74により、収容空間16に積載された容器41、42、43、44、45の移動が制限され、積載された容器41、42、43、44、45の崩れを防止することができる。また、規制部材73、74は、縦フレーム11および横フレーム17によって構成された容器積載装置10の強度を高めることができる。これらの場合、壁72およびフレーム74は特許請求の範囲の第一制限部材を構成し、壁71およびフレーム73は特許請求の範囲の第二制限部材を構成している。
【0028】
次に、上記の構成による容器積載装置10の作動について説明する。
投入口15から最下段となる容器41を投入すると、図9(A)に示すように投入された容器41は重力により落下する。このとき、落下した容器41は、図示しない支持部や横フレーム17などによって支持されるとともに、図9(B)に示すように容器41の鍔52が下方アーム22を押し広げる。下方アーム22同士が離れることにより、第一ラッチ20は回転軸部21を中心として回転する。これにより、上方アーム23は、互いに接近する方向へ移動する。その結果、上方アーム23から突出する係合部24は、収容空間16の内側に位置する。
【0029】
すなわち、投入口15から下から二段目となる容器42を投入すると、重力によって落下した容器42は、上方アーム23から突出する係合部24に接する。すなわち、容器42の鍔52は、下端面が係合部24の上端面に接する。これにより、落下した下から二段目の容器42は、係合部24によってさらなる落下が制限される。そして、下から二段目の容器42は、係合部24によって落下が制限されたまま保持される。投入口15からさらに投入された容器43、44、45は、図1に示すように順に積み重ねられつつ収容空間16に積載される。
【0030】
ここで、最下段の容器41を取出口14から取り出すと、図9(C)に示すように下方アーム22の間には容器41が存在しない状態となる。そのため、下方アーム22は、スプリング13の弾性力によって引き付けられる。下方アーム22同士が引き付けられることにより、第一ラッチ20は回転軸部21を中心として回転する。これにより、上方アーム23は、互いに離れる方向へ移動する。その結果、上方アーム23から突出する係合部24は、容器42の鍔52よりも外側へ移動する。
【0031】
係合部24が容器42の鍔52よりも外側へ移動することにより、容器42の鍔52と上方アーム23の係合部24との係合が解除される。その結果、下から二段目に位置していた容器42は、重力によって落下する。そして、落下した容器42は、下方アーム22の相互間をスプリング13の力に抗して再び押し広げる。その結果、上方アーム23の係合部24は、再び収容空間16の内部に突出し、上方から落下する下から三段目の容器43を受け止める。
このように、最下段の容器41を取出口14から取り出すことにより、下から二段目の容器42は係合部24との係合が解除され落下する。そして、落下した容器42が下方アーム22の間に侵入することにより、係合部24は下から三段目の容器43を保持する。
【0032】
上述の第1実施形態では、次のような効果が得られる。
縦フレーム11および横フレーム17が形成する収容空間16は、上下方向に伸びている。容器41、42、43、44、45は、収容空間16において下方から順に上方へ積載される。これにより、容器41、42、43、44、45は、上下方向へ積み上げられる。また、取出口14と投入口15とは、収容空間16を挟んで反対側に設けられている。そのため、ライン作業に適用する場合、作業を行う側に取出口14を配置し、部品などが収容された容器41、42、43、44、45を補給する側に投入口15を配置可能である。これにより、容器41、42、43、44、45の取り出しと投入とを同時に異なる方向から実施可能である。したがって、設置面積を低減することができるとともに、容器41、42、43、44、45の供給時にライン作業が妨げられることがない。また、容器41、42、43、44、45は下から順に上方へ積載されるとともに、下から順に取り出される。したがって、容器41、42、43、44、45の先入れ先出しを達成することができる。
【0033】
本実施形態では、下から二段目の容器42は、最下段の容器41から離れた位置において係合部24によって保持されている。これにより、最下段の容器41は下から二段目の容器42と接することなく、距離が確保されている。そのため、最下段の容器41を取出口14から取り出すとき、最下段の容器41には上方に位置する容器42から力が加わらない。したがって、最下段の容器41を取出口14から容易に取り出すことができる。また、最下段の容器41は、下から二段目の容器42と接しない。そのため、積載された容器41と容器42との間には空間が存在し、下方にある容器41は容器42との衝突による衝撃を低減することができる。
【0034】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による容器積載装置を図10および図11に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態による容器積載装置10は、第二ラッチ60を備えている。第二ラッチ60は、第一ラッチ20と同様に収容空間16に積載される容器43を挟んで設けられている。第二ラッチ60は、図10、図11および図12に示すように上下方向の中央部に回転軸部61を有している。回転軸部61は、容器積載装置10の前後方向の両端部が縦フレーム11に支持されている。これにより、回転軸部61は、第一ラッチ20の回転軸部21と概ね平行に設けられている。回転軸部61は、特許請求の範囲の第二回転軸を構成している。
【0035】
第二ラッチ60は、下端部すなわち第一ラッチ20側の上端部に連結部62を有している。連結部62は、第一ラッチ20の係合部24に設けられている係合穴28に挿入されている。第2実施形態の場合、第一ラッチ20は、係合部24に係合穴28を有している。係合穴28は、第一ラッチ20を板厚方向へ貫いている。これにより、連結部62は、第一ラッチ20の係合穴28を貫いて挿入されている。第二ラッチ60は、連結部62とは反対側の端部すなわち上端側に第二係合部としての係合部63を有している。係合部63は、第一ラッチ20の係合部24と同様に内側すなわち収容空間16側に突出している。
【0036】
第二ラッチ60は、図10に示すように第一ラッチ20の下方アーム22が最下段の容器41と接しているとき、回転軸部61を中心として下端部同士が近づくように回転している。そのため、係合部63が設けられている上端側は、下端部に比較して相互間の距離が大きくなっている。第二ラッチ60の回転軸部61から上端部または下端部までの長さは、第一ラッチ20と同様に例えば容器41、42、43、44、45の落下速度、容器41、42、43、44、45の形状、あるいは容器41、42、43、44、45の鍔52の大きさなどに応じて任意に設定することができる。
【0037】
次に、上記の構成による容器積載装置10の作動について説明する。
図10に示すように容器41、42、43、44、45が積載されているとき、最下段の容器41を取り出すと、図11に示すように下方アーム22の間には容器41が存在しない状態となる。そのため、下方アーム22は、スプリング13の弾性力によって引き付けられる。下方アーム22同士が引き付けられることにより、第一ラッチ20は回転軸部21を中心として回転する。これにより、上方アーム23は、互いに離れる方向へ移動する。その結果、上方アーム23から突出する係合部24は、下から二段目の容器42の鍔52よりも外側へ移動する。
【0038】
係合部24が下から二段目の容器42の鍔52よりも外側へ移動することにより、この容器42の鍔52と上方アーム23の係合部24との係合が解除される。その結果、下から二段目に位置していた容器42は、重力によって落下する。このとき、回転軸部21を中心とする第一ラッチ20の回転に連動して、第二ラッチ60も回転している。具体的には、第一ラッチ20の上方アーム23が互いに離れる方向へ回転することにより、第二ラッチ60の下端部も互いに離れる。このように第二ラッチ60の下端部同士が互いに離れると、第二ラッチ60は回転軸部61を中心として回転する。その結果、第二ラッチ60の上端部に位置する係合部63は、互いに近づく。
【0039】
第二ラッチ60の上端部が互いに近づくことにより、係合部63は収容空間16の内側へ侵入する。そして、第二ラッチ60の係合部63の上端面は、下から三段目に位置していた容器43の鍔52の下端面に接する。これにより、下から三段目に位置していた容器43は、第二ラッチ60の係合部63によって受け止められ、落下が規制される。
【0040】
下から二段目に位置していた容器42が落下して第一ラッチ20の下方アーム22に到達すると、落下した容器42は、下方アーム22の相互間をスプリング13の力に抗して押し広げる。下方アーム22同士が離れることにより、第一ラッチ20は回転軸部21を中心として回転する。これにより、上方アーム23は、互いに接近する方向へ移動する。その結果、上方アーム23から突出する係合部24は、収容空間16の内側に位置する。また、上方アーム23の係合穴28に連結部62が挿入されている第二ラッチ60は、上方アーム23が互いに接近する方向へ移動することにより、連結部62側の下端部が互いに接近し、係合部63側の上端部が互いに離れる方向へ移動する。
【0041】
第二ラッチ60の上端部同士が離れる方向へ移動することにより、下から三段目に位置していた容器43と第二ラッチ60の係合部63との係合が解除される。一方、第一ラッチ20は、係合部24が収容空間16の内部まで侵入している。そのため、下から三段目に位置していた容器43と第二ラッチ60の係合部63との係合が解除されると、容器43は落下するものの、すでに収容空間16の内側に突出している第一ラッチ20の係合部24によって受け止められる。その結果、積載された容器42、43、44、45は、一つずつ順に下方へ移動した状態となる。
【0042】
第2実施形態では、第1実施形態で得られる効果に加えて次のような効果が得られる。
第一ラッチ20の上端部に第二ラッチ60を設けることにより、第二ラッチ60は第一ラッチ20と連動して回転する。最下段の容器41を取り出すと、第一ラッチ20に加え第二ラッチ60が回転する。第二ラッチ60は、第一ラッチ20の下方アーム22が互いに接近すると、これに連動して上端部間の距離が小さくなる。そのため、第二ラッチ60の係合部63は、収容空間16の内側へ突出する。その結果、第二ラッチ60は、下から二段目の容器42が第一ラッチ20の下方アーム22側へ落下する際に下から三段目の容器43を受け止める。そして、下から二段目の容器42が第一ラッチ20の下方アーム22を押し広げることにより、第二ラッチ60は下から三段目の容器43との係合が解除される。これにより、下から二段目の容器42が最下段へ移動するまでの間、下から三段目の容器43は第二ラッチ60の係合部63によって保持される。そして、下から二段目の容器42が最下段に移動すると、第二ラッチ60と下から三段目の容器43との係合が解除され、この容器43は第一ラッチ20の係合部24と係合する。したがって、落下する容器43を途中で第二ラッチ60によって一旦保持することができ、落下する容器同士の衝突をより緩和することができる。
【0043】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態では、弾性部材としてスプリング13を適用する例について説明した。しかし、弾性部材は、伸縮可能であって、一方向へ力を加えることができるものであればスプリング13に限らず適用することができる。また、例えばサスペンションのように、力を加える弾性部材と移動を緩和するダンパ手段とを組み合わせて一つの部品として第一ラッチ20間に設けてもよい。
【0044】
このように、以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態による容器積載装置を示す概略断面図であり、図2のI−I線における断面に相当する図
【図2】図1のII−II線における断面図
【図3】本発明の第1実施形態による容器積載装置の第一ラッチを示す概略斜視図
【図4】図1のIV−IV線における断面図
【図5】本発明の第1実施形態による容器積載装置のホルダを示す概略図
【図6】本発明の第1実施形態による容器積載装置の第一ラッチに設けられている保持部を拡大した概略図
【図7】本発明の第1実施形態による容器積載装置の外観を示す概略図
【図8】本発明の第1実施形態による容器積載装置において他の外観を示す概略図
【図9】本発明の第1実施形態による容器積載装置の作動を示す模式図であって、最下段の容器の近傍を拡大した図
【図10】本発明の第2実施形態による容器積載装置を示す概略断面図であり、図1に相当する図
【図11】本発明の第2実施形態による容器積載装置の作動を示す概略断面図
【図12】本発明の第2実施形態による容器積載装置の第二ラッチを示す概略斜視図
【符号の説明】
【0046】
図面中、10は容器積載装置、11は縦フレーム(フレーム部材)、12は台座、13はスプリング(弾性部材)、14は取出口(取出開口部)、15は投入口(投入開口部)、16は収容空間、17は横フレーム(フレーム部材)、20は第一ラッチ、21は回転軸部(第一回転軸)、22は下方アーム、23は上方アーム、24は係合部(第一係合部)、28は係合穴、30はダンパ部(ダンパ手段)、31はラック部材、32はピニオンギア、33はブラケット、34は回転ダンパ、35はラックギア、41、42、43、44、45は容器、52は鍔、60は第二ラッチ、61は回転軸部(第二回転軸)、62は連結部、63は係合部(第二係合部)、71は壁(第二制限部材)、72は壁(第一制限部材)、73はフレーム(第二制限部材)、74はフレーム(第一制限部材)、100は設置面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側へ突出する鍔を有する箱状の容器を下方から上方へ順に積載して収容し、積載された前記容器が下方から順に取り出される先入れ先出し形の容器積載装置であって、
天地方向に伸びる縦フレームを有し、内側に前記容器を収容する収容空間を形成するフレーム部材と、
前記収容空間を挟んで対向して設けられ、設置面と概ね平行に前記フレーム部材に支持されている第一回転軸を中心に回転可能であって、最下段の前記容器の鍔の外側に接する下方アーム、前記第一回転軸を挟んで前記下方アームと反対側へ伸びている上方アーム、および前記上方アームの上端部から前記収容空間側へ突出して設けられ下から二段目の前記容器の鍔に係合する第一係合部を有する第一ラッチと、
対向する前記下方アームの下端部に設けられ、対向する前記下方アームを互いに引き付ける方向へ力を加える弾性部材と、
を備えることを特徴とする容器積載装置。
【請求項2】
前記係合部は、板厚方向へ貫く係合穴を有し、
前記第一回転軸よりも上方において前記収容空間を挟んで対向して設けられ、前記設置面と概ね平行に前記フレーム部材に支持されている第二回転軸を中心に回転可能であって、下端部に設けられ前記係合穴に挿入される連結部、および前記連結部とは反対側の上端部から前記収容空間側へ突出して設けられ下から三段目の前記容器の鍔に係合可能な第二係合部を有し、前記下方アームが前記弾性部材によって引き付けられると、前記第一回転軸を中心とする前記第一ラッチの回転に連動して前記第二回転軸を中心に前記第二係合部を互いに近づける方向へ回転する第二ラッチ、をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の容器積載装置。
【請求項3】
対向する前記下方アームの間に設けられ、前記下方アームが前記弾性部材で引き付けられる方向へ移動するときその移動を妨げる抵抗力が小さく、前記下方アームが前記弾性部材によって引き付けられる方向と反対方向へ移動するときその移動を妨げる抵抗力が大きなダンパ手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の容器積載装置。
【請求項4】
前記フレーム部材の下端部において前記設置面に接する台座をさらに備え、
前記ダンパ手段は、
前記下方アームの下端部にそれぞれ設けられ、前記下方アームの一方から前記下方アームの他方へ向けて平行に伸び、互いに対向する側にラックギアが設けられているラック部材と、
対向する前記下方アームの中間において、対向する二本の前記ラック部材の間に設けられ前記ラック部材の各ラックギアに噛み合うピニオンギアと、
二本の前記ラック部材を、相互の間隔が一定となるように維持するブラケットと、
前記台座に設けられ、前記各ラックギアの間に前記ピニオンギアが設けられ、回転方向によって前記ピニオンギアに加わるトルクが異なる回転ダンパと、
を有することを特徴とする請求項3記載の容器積載装置。
【請求項5】
上端側に前記容器を前記収容空間に投入するための投入開口部を有し、前記容器と接して前記容器の移動を制限する第一制限部材と、
前記収容空間を挟んで前記第一制限部材とは反対側の端部に設けられ、下端側に前記容器を前記収容空間から取り出すための取出開口部を有し、前記容器の前記第一制限部材とは反対側と接して前記容器の移動を制限する第二制限部材と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項記載の容器積載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−40554(P2009−40554A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207916(P2007−207916)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(501278423)野場電工株式会社 (18)
【Fターム(参考)】