説明

容器蓋

【課題】開位置状態で成形された外蓋を閉位置に旋回動する際に破断可能薄肉ラインの破断を回避し、外蓋を閉位置に旋回動後に開位置に旋回動すると中栓の破断可能薄肉ラインが破断されて除去される。
【解決手段】中栓の閉塞壁6における除去領域18上面に被係止手段24を配設し、外蓋の天面壁44の内面に係止手段56を配設する。被係止手段は閉塞壁から離隔方向に相互に離隔する方向に傾斜して延びる一対の第一のフラップ26を含み、係止手段は天面壁から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる一対の第二のフラップ60を含む形態、或いは被係止手段は間隔をおいて配設され且つ閉塞壁から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる一対の第一のフラップを含み、係止手段は間隔をおいて配設され且つ天面壁から離隔する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる一対の第二のフラップ160を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口頸部に固着される中栓及び少なくとも一部が中栓の上面を覆う閉位置と中栓の上面を露呈せしめる開位置との間を旋回動自在である外蓋を具備する容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
醤油、食用油及びドレッシングの如き液体調味料のための容器蓋として、中栓及び外蓋を具備する容器蓋が広く実用に供されている。中栓は円形閉塞壁とこの閉塞壁の周縁から垂下する円筒形状の装着壁を有し、装着壁を容器の口頸部に被嵌することによって中栓が口頸部に固着され、閉塞壁が口頸部の上端面に存在する開口を覆う。閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、この除去領域の上面には連結柱を介して引張リングが付設されている。中栓と一体に或いは別個に成形される外蓋は天面壁とこの天面壁の周縁から垂下するスカート壁とを有し、少なくともその一部が、更に詳しくは中栓と一体に形成される場合にはその全体が、中栓と別個に成形される場合には天面壁とスカート壁とを含む旋回動部が、中栓の上面を覆う閉位置と中栓の上面を露呈せしめる開位置との間を旋回動自在である。容器に収容されている内容物を消費する際には、外蓋の少なくとも一部を開位置に旋回動せしめて中蓋の上面を露呈せしめ、次いで引張リングに指を掛けて引っ張って破断可能薄肉ラインを破断せしめて除去領域を中栓から除去し、閉塞壁に排出口を生成する。
【0003】
上述したとおりの容器蓋には、外蓋の少なくとも一部を開位置に旋回動せしめた後に、引張リングを引っ張って破断可能薄肉ラインを破断して除去領域を除去するという操作が必要であり、所謂使用勝手が必ずしも良好でないという問題がある。かような問題を解決するために、下記特許文献1には、中栓に対して全体が旋回動自在である外蓋の天面壁の内面に、下方に延出し外蓋が閉位置にせしめられると中栓の除去領域の上面に当接せしめられる引裂き具を一体に形成し、外蓋を閉位置にせしめた後に引裂き具の先端即ち下端を中栓の除去領域に溶着した容器蓋が開示されている。特許文献1に開示されたかような容器蓋においては、外蓋を開位置に旋回動せしめると、引裂き具を介して破断可能薄肉ラインに力が加えられ、これによって破断可能薄肉ラインが破断されて除去領域が閉塞壁から除去されて閉塞壁に排出口が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4575695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上記特許文献1に開示されている容器蓋も未だ充分に満足し得るものではなく、容器蓋を完成するためには、適宜の合成樹脂から容器蓋を射出成形或いは圧縮成形した後に、開位置にある状態で成形された外蓋を閉位置に旋回動せしめて引裂き具の下端を中栓の閉塞壁における除去領域の上面に当接せしめ、次いで引裂き具の下端を除去領域の上面に溶着するという比較的煩雑な工程を遂行しなければならない、という問題を有する。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、容器蓋の完成のために溶着の如き比較的煩雑な操作を遂行する必要を回避し、そしてまた開位置にある状態で成形された外蓋を閉位置に旋回動せしめる際に破断可能薄肉ラインに過剰な力が作用して破断可能薄肉ラインが破断されてしまうという不測の事態の発生を確実に回避して、外蓋を一旦閉位置に旋回動せしめた後に開位置に旋回動せしめると中栓に形成されている破断可能薄肉ラインが充分容易に且つ確実に破断されて除去領域が閉塞壁から除去される、新規且つ改良された容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討の結果、中栓の閉塞壁における除去領域の上面に被係止手段を配設すると共に外蓋の天面壁の内面に係止手段を配設し、被係止手段は閉塞壁から離隔する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる一対の第一のフラップを含み、係止手段は天面壁から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる一対の第二のフラップを含む形態、或いは被係止手段は間隔をおいて配設され且つ閉塞壁から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる一対の第一のフラップを含み、係止手段は間隔をおいて配設され且つ天面壁から離隔する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる一対の第二のフラップを含む形態にせしめ、一対の第一のフラップと一対の第二のフラップとを外蓋を閉位置に旋回動せしめる際に自動的に或いは外蓋を閉位置に旋回せしめるのに先立って手動で所要とおりに変形させて協働せしめることによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0008】
即ち、本発明の第一の局面によれば、上記主たる技術的課題を達成する容器蓋として、容器の口頸部に固着される中栓、及び少なくとも一部が該中栓の上面を覆う閉位置と該中栓の上面を露呈せしめる開位置との間を旋回動自在な外蓋を具備する容器蓋にして、
該中栓は円形閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する円筒形装着壁とを有し、該装着壁を該口頸部に被嵌せしめて該口頸部に装着されて該閉塞壁が該口頸部の上端面に存在する開口を覆い、
該中栓の該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、該除去領域の上面には被係止手段が配設されており、
該外蓋は天面壁と該天面壁から垂下するスカート壁とを有し、該天面壁の内面には係止手段が配設されており、
該被係止手段は該閉塞壁から離隔する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる一対の第一のフラップを含み、該係止手段は該天面壁から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる一対の第二のフラップを含み、
該外蓋を該開位置から該閉位置に一旦旋回動せしめると、該一対の第一のフラップが該閉塞壁に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめられると共に該一対の第二のフラップが該天面壁に接近する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめられて、該一対の第一のフラップが該一対の第二のフラップの間を通過し、
或いは該一対の第一のフラップを該閉塞壁に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめると共に該一対の第二のフラップを該天面壁に接近する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめた後に、該外蓋を該開位置から該閉位置に旋回動せしめると、該一対の第一のフラップが該一対の第二のフラップの間を通過し、
しかる後に該外蓋を該閉位置から該開位置に旋回動せしめられると、相互係止せしめられた該係止手段及び該被係止手段を介して該破断可能薄肉ラインに加えられる力によって該破断可能薄肉ラインが破断され、該除去領域が該閉塞壁から除去されて該外蓋に付随して移動せしめられる、
ことを特徴とする容器蓋が提供される。
【0009】
本発明の第二の局面によれば、上記主たる技術的課題を達成する容器蓋として、容器の口頸部に固着される中栓、及び少なくとも一部が該中栓の上面を覆う閉位置と該中栓の上面を露呈せしめる開位置との間を旋回動自在な外蓋を具備する容器蓋にして、
該中栓は円形閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する円筒形装着壁とを有し、該装着壁を該口頸部に被嵌せしめて該口頸部に装着されて該閉塞壁が該口頸部の上端面に存在する開口を覆い、
該中栓の該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、該除去領域の上面には被係止手段が配設されており、
該外蓋は天面壁と該天面壁から垂下するスカート壁とを有し、該天面壁の内面には係止手段が配設されており、
該被係止手段は該閉塞壁から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる一対の第一のフラップを含み、該係止手段は該天面壁から離隔する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる一対の第二のフラップを含み、
該外蓋を該開位置から該閉位置に一旦旋回動せしめると、該一対の第一のフラップが該閉塞壁に接近する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめられると共に該一対の第二のフラップが該天面壁に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめられて、該一対の第二のフラップが該一対の第一のフラップの間を通過し、
或いは該一対の第一のフラップを該閉塞壁に接近する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめると共に該一対の第二のフラップを該天面壁に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめた後に、該外蓋を該開位置から該閉位置に旋回動せしめると、該一対の第二のフラップが該一対の第一のフラップの間を通過し、
しかる後に該外蓋を該閉位置から該開位置に旋回動せしめられると、相互係止せしめられた該係止手段及び該被係止手段を介して該破断可能薄肉ラインに加えられる力によって該破断可能薄肉ラインが破断され、該除去領域が該閉塞壁から除去されて該外蓋に付随して移動せしめられる、
ことを特徴とする容器蓋が提供される。
【0010】
本発明の第一の局面において提供される容器蓋においては、該被係止手段は該除去領域の上面から延出する矩形板状延出片を含み、該一対の第一のフラップは該延出片の先端から延出し、該係止手段は該天面壁の内面から延出する矩形筒片を含み、該一対の第二のフラップは該矩形筒片の両側壁の先端から延出するのが好適である。本発明の第二の局面において提供される容器蓋においては、該被係止手段は該除去領域の上面から延出する矩形筒片を含み、該一対の第一のフラップは該矩形筒片の両側壁の先端から延出し、該係止手段は該天面壁の内面から延出する矩形板状延出片を含み、該一対の第二のフラップは該延出片の先端から延出するのが好適である。該外蓋が該閉位置に位置せしめられている状態において、該一対の第一のフラップは該第二の一対のフラップに対して間隔をおいて上方に位置するのが好適である。該一対の第一のフラップ及び該一対の第二のフラップの基端縁は該外蓋の旋回中心軸線に対して垂直に延びるのが好都合である。該外蓋が該閉位置に位置する状態において、該一対の第一のフラップ及び該一対の第二のフラップの基端縁は該外蓋の該旋回中心軸線から離隔する方向に向かって下方に傾斜して延びるようにせしめることもできる。好適実施形態においては、該除去領域の下面周縁には下方に向かって半径方向外方に延出する環状シールが形成されており、該外蓋を該閉位置から該開位置に旋回動せしめて該破断可能薄肉ラインを破断せしめ該除去領域を該閉塞壁から除去した後に、該外蓋を該閉位置に旋回動せしめると該環状シールが破断された該破断可能薄肉ラインよりも半径方向外側において該閉塞壁の上面に密接せしめられる。特定実施形態においては、該外蓋は該中栓とは別個に形成されており、該中栓の該装着壁に被嵌される円筒形状の静止部とヒンジ手段を介して該静止部に接続された旋回動部とを有し、該天面壁及び該スカート壁を含む該旋回動部が該閉位置と該開位置との間を旋回動せしめられる。他の実施形態においては、該外蓋はヒンジ手段を介して該中栓と一体に成形されており、該外蓋の全体が該閉位置と該開位置との間を旋回動せしめられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の容器蓋においては、適宜の合成樹脂から容器蓋を成形した後に溶着の如き煩雑な工程を遂行する必要がない。被係止手段と係止手段とは、夫々、間隔をおいて配設され且つ閉塞壁から離隔する方向に向かって相互に離隔或いは接近する方向に傾斜して延びる一対の第一のフラップと間隔をおいて配設され且つ天面壁から離隔する方向に向かって相互に接近或いは離隔する方向に傾斜して延びる一対の第二のフラップとを含んでいる故に、外蓋を開位置から閉位置に旋回動せしめる際に、破断可能薄肉ラインに過剰な応力が生成されることはなく、破断可能薄肉ラインが破断されてしまうという不測の事態が発生することはない。外蓋を閉位置に旋回動せしめた後においては、一対の第一のフラップが閉塞壁に接近する方向に向かって相互に離隔或いは接近する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめられていると共に一対の第二のフラップが天面壁に接近する方向に向かって相互に接近或いは離隔する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめられおり、そしてまた第一の一対のフラップが第二の一対のフラップの間を通過或いは一対の第一のフラップ間を一対の第二のフラップが通過し、第一の一対のフラップと第二の一対のフラップとの協働によって被係合手段と係合手段とが離脱不能に相互係止せしめられ、それ故に外蓋を一旦閉位置に旋回動せしめた後に開位置に旋回動せしめると中栓に形成されている破断可能薄肉ラインが充分容易に且つ確実に破断されて除去領域が閉塞壁から除去される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の容器蓋の好適実施形態における中栓の断面図。
【図2】図1の中栓の平面図。
【図3】本発明の容器蓋の好適実施形態における外蓋の斜面図。
【図4】図3の外蓋の側面図。
【図5】図3の外蓋の底面図。
【図6】図3の外蓋の断面図。
【図7】図1及び図2に図示する中栓に図3乃至図6に図示する外蓋を組み合わせる際の挙動を示す断面図。
【図8】容器の口頸部に装着された、本発明の容器蓋の好適実施形態において、外蓋を閉位置から開位置に旋回動せしめる際の挙動を示す断面図。
【図9】容器の口頸部に装着された、本発明の容器蓋の好適実施形態において、外蓋を閉位置から開位置に旋回動せしめる際の挙動を示す断面図。
【図10】容器の口頸部に装着された、本発明の容器蓋の好適実施形態において、一旦開位置に旋回動した外蓋を再び閉位置に旋回動せしめる際の挙動を示す断面図。
【図11】容器の口頸部に装着された、本発明の容器蓋の好適実施形態において、一旦開位置に旋回動した外蓋を再び閉位置に旋回動せしめる際の挙動を示す断面図。
【図12】本発明に容器蓋の他の実施形態を示す断面図。
【図13】本発明の容器蓋の更に他の実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0014】
本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態は、図1及び図2に図示する中栓2と図3乃至図6に図示する外蓋4とから構成されている。中栓2と外蓋4とはポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形或いは圧縮成形することができる。
【0015】
図1及び図2を参照して説明すると、図示の中栓2は円形閉塞壁6を有し、この閉塞壁6の周縁には下方に垂下する円筒形装着壁8と上方に延出する円筒形拘束壁10とが付設されている。装着壁8の内周面には半径方向内方に突出した環状係止突条12が形成されている。また、拘束壁10の外周面上端部には半径方向外方に突出した環状突条14が形成されている。閉塞壁6の中央部には円環形状でよい破断可能薄肉ライン16によって除去領域18が規定されている。図1から明確に理解されるとおり、閉塞壁6の除去領域18は非除去領域即ち破断可能薄肉ライン16よりも外側の領域に対して下方に変位せしめられており、破断可能薄肉ライン16は除去領域18の上面と非除去領域の下面との間に配設されている。破断可能薄肉ライン16の半径方向外側には上面が半径方向外側に向かって上方に傾斜して延び半径方向外側に向かって厚さが漸次増大する環状領域が存在し、かかる環状領域の下面には下方に延出するシールリング20が形成されている。閉塞壁6の上面には、上記拘束壁10よりも幾分半径方向内側において上方に延出する排出筒22が形成されており、この排出筒22の上端部は上方に向かって半径方向外方にカールされている。
【0016】
中栓2の閉塞壁6における除去領域18の上面には被係止手段24が配設されていることが重要である。図示実施形態においては、被係止手段24は除去領域18の上面中央から上方に延出する矩形板状延出片25とこの延出片25の先端(即ち上端)に図1及び図2において左右方向に若干の間隔をおいて配設され閉塞壁6から離隔する方向(即ち上方)に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる一対のフラップ26から形成されている。延出片25は図1において紙面に垂直な方向、図2において上下方向に細長く延び、同様に一対のフラップ26も図1において紙面に垂直な方向、図2において上下方向に細長く延びている。一対のフラップ26の少なくとも基端部(延出片25に接続された下端部)は薄片から構成されていて充分容易に撓んで変形せしめられることが重要である。一対のフラップ26は、後に言及する如く、外蓋4に配設されている一対のフラップ(かかるフラップは一対の第二のフラップを構成する)と協働する一対の第一のフラップを構成する。図示の中栓2においては、更に、閉塞壁6の除去領域18の下面周縁から下方に向かって半径方向外方に傾斜して延出する環状シール28が配設されている。
【0017】
図3乃至図6を参照して説明を続けると、図示の外蓋4は上記中栓2とは別個に成形されており、全体として円筒形状である静止部30と、ヒンジ手段32を介して静止部30に連結された旋回動部34と、ヒンジ手段32が存在しない部位において静止部30と旋回動部34とを分離自在に接続している円弧形状の接続部36とから構成されている。接続部36の上端縁と下端縁とは破断可能薄肉ライン38及び40によって規定されており、接続部36の周方向両端縁とヒンジ手段32との間には若干の間隙が存在する。接続部36の外周面には摘み片42が付設されている。
【0018】
外蓋4の旋回動部34は、略円形状の天面壁44とこの天面壁44の周縁から垂下する円筒形状のスカート壁46とを有する。スカート壁46の内周面下端部には環状溝48が形成されている。天面壁44の外周縁にはスカート壁46の外周面を超えて半径方向外方に突出する円弧形状の鍔50が形成されている。この鍔50は上記ヒンジ手段32に対して直径方向反対側に位置する。天面壁44の内面外周縁部には下方に延出する環状シール片52が付設されている。上記接続部36に配設されている上記摘み片42は破断可能な薄肉片54を介して旋回動部34のスカート壁46の外周面にも接続されている。
【0019】
上記天面壁44の内面には係止手段56が配設されていることが重要である。図5及び図6を参照することによって明確に理解される如く、図示の実施形態においては、係止手段56は天面壁44の内面中央部から垂下する矩形筒片58とこの矩形筒片58の両側壁の内面下端から、夫々、天面壁44から離隔する方向(即ち下方)に向かって相互に接近する方向に延出する一対のフラップ60とから構成されている。矩形筒片58は図5において左右方向、図6において紙面に垂直な方向に細長く延在せしめられており、同様に一対のフラップ60も図5において左右方向、図6において紙面に垂直な方向に細長く延在せしめられている。一対のフラップ60の少なくとも基端部(矩形筒片58の両側壁内面下端に接続された上端部)は薄片から構成されていて充分容易に撓んで変形せしめられることが重要である。一対のフラップ60は、中栓2に配設されている上記一対のフラップ(即ち一対の第一のフラップ)26と協働する一対の第二のフラップを構成する。
【0020】
図7a乃至dを参照して説明を続けると、上記中栓2と外蓋4とは次のとおりにして組み合わされる。最初に、図7aに図示する如く、中栓2の閉塞壁6上に配設されている被係止手段24と外蓋4の天面壁44の内面に配設されている係止手段56とを相互に整合せしめて、中栓2の上方に外蓋4を位置せしめる。次いで、中栓2に対して外蓋を漸次下降せしめる。かくすると、図7b乃至図7dを参照することによって理解されるとおり、被係止手段24と係止手段56とが相互作用する。更に詳しくは、被係止手段24の延出片25が矩形筒片58内に進入し、被係止手段24の一対のフラップ26は閉塞壁6から離隔する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる状態から閉塞壁6に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる方向に延びる状態に変形され、係止手段56の一対のフラップ60は天面壁44の内面から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる状態から天面壁44の内面に接近する方向に向かって相互に接近する方向に延びる状態に変形せしめられる。そして、一対のフラップ26が一対のフラップ60間を通過せしめられる。中栓2に対して外蓋4が所要位置、即ち図7dに図示する位置、まで下降せしめられると、中栓2の拘束壁10の上端外周面に形成されている環状突状14が外蓋4のスカート壁46の内周面下端部に形成されている環状溝48に係合し、これによって中栓2と外蓋4とが相互に拘束される。図7dに図示する状態において、被係止手段24の一対のフラップ26は係止手段56の一対のフラップ60に対して若干の間隔をおいて上方に位置するのが好都合である。
【0021】
所望ならば、中栓2に外蓋4を組み合わせるのに先立って、被係止手段24の一対のフラップ26を手動で閉塞壁6から離隔する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる状態から閉塞壁6に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる方向に延びる状態に変形し、そしてまた係止手段56の一対のフラップ60を手動で天面壁44の内面から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる状態から天面壁44の内面に接近する方向に向かって相互に接近する方向に延びる状態に変形することもできる。
【0022】
図8a乃至d及び図9a乃至cには中栓2及び外蓋4から構成された容器蓋が適用される容器の口頸部62も図示されている。ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂或いはガラスから形成することができる容器の口頸部62は全体として円筒形状であり、その外周面上端部には環状膨出部64が形成されている。中栓2を口頸部62に被嵌し図8a及び図9aに図示する位置まで強制的に下降せしめることによって中栓2及びこれに組み合わされた外蓋4が口頸部62に装着される。図8a及び図9aに図示する状態においては、中栓2の装着壁8の内周面に形成されている環状係止突状12が口頸部62の環状膨出部64を弾性的に乗り越えてこれに係合せしめられる。中栓2のシールリング20が口頸部62内に進入せしめられて口頸部62の内周面に密接せしめられる。口頸部62の上端に存在する開口は中栓2の閉塞壁6によって閉じられる。
【0023】
容器内に収容されている液体調味料の如き内容物を消費する際には、最初に、外蓋4の接続部36に配設されている摘み片42を把持し、破断可能薄肉片54を破断して摘み片42を外蓋4の旋回動部34のスカート壁46から分離する。次いで、摘み片42を所要方向に引っ張って接続部36の上端縁及び下端縁に存在する破断可能薄肉ライン38及び40を破断して、接続部36を外蓋4から離脱せしめる(図8a及び図9aと図8b及び図9bとを比較参照されたい)。かくすると、外蓋4の旋回動部34はヒンジ手段32のみを介して静止部30に接続された状態になり、静止部30に対してヒンジ手段32を旋回中心として旋回動部34が旋回動することが可能になる。
【0024】
しかる後に、図8b乃至d並びに図9b及びcに図示する如く、旋回動部34をヒンジ手段32を旋回中心として開方向(即ち図8b乃至dにおいて時計方向)に旋回動せしめる(図8a乃至dを参照することによって、図示の実施形態においては、一対のフラップ26の基端縁、即ち延出片25に接続された縁、及び一対のフラップ60の基端縁、即ち矩形筒片56に接続された縁、は図8a乃至dにおいて紙面に垂直に延びる旋回中心軸線に対して垂直に且つ図8aに図示する状態においては実質上水平に延在することが理解される)。旋回動部34を旋回動せしめる際には、天面壁44の鍔50に指を掛けることができる。特に図8b及びc並びに図9b及びcを参照することによって理解される如く、旋回動部34を幾分旋回動せしめると被係止手段24の一対のフラップ26が係止手段56の一対のフラップ60に係止し、旋回動部34の旋回を続けると係止手段56及び被係止手段24を介して中栓2の閉塞壁6に形成されている破断可能薄肉ライン16に力が加えられ、これによって破断可能薄肉ライン16が破断されて除去領域18が閉塞壁6から離脱される。閉塞壁6から除去された除去領域18は旋回動部34に付随して移動せしめられる。図示の実施形態においては、図8a及び図9aに図示する状態において一対のフラップ26は一対のフラップ60よりも幾分上方に位置し、一対のフラップ26と一対のフラップ60との相互係止は旋回動部34を幾分旋回動せしめた後に達成されるので、旋回動部34の旋回を開始する際に過剰な力が必要とされることはない。旋回動部34を図8dに図示する位置まで旋回せしめると、閉塞壁6の除去領域18が除去され排出開口が生成された中栓2が露呈され、従って例えば容器全体を傾動せしめることによって排出開口から排出筒22を通して容器から内容物を排出することができる。
【0025】
図10a乃至c並びに図11a乃至cを参照して説明を続けると、内容物の排出を終了した後においては、旋回動部34を閉方向(即ち図10a乃至cにおいて反時計方向)に旋回動せしめて中栓2を覆う状態にせしめる。図10b及びc並びに図11b及びcを参照することによって明確に理解される如く、旋回動部34を元の閉位置まで旋回動せしめると、旋回動部34に付随して移動せしめられる除去領域18の下面周縁に配設されている環状シール28が閉塞壁6の非除去領域の上面内周縁部に当接せしめられ、除去領域18の除去によって生成された排出開口が密封される。
【0026】
図12は本発明に従って構成された容器蓋の他の実施形態を図示している。図12に図示する実施形態においては、被係止手段と係止手段との構成が上述した実施形態と逆になっている。即ち、図12に図示する実施形態においては、中栓102の閉塞壁106に配設されている被係止手段124は矩形筒片125とこの矩形筒片125の両側壁の内面上端から、夫々、閉塞壁106から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に延びる一対のフラップ(一対の第一のフラップ)126から構成され、外蓋104の天面壁144に配設されている係止手段156は矩形板状延出片158とこの延出片158の先端(即ち下端)に若干の間隔をおいて配設され天面壁144から離隔する方向に向かって相互に離隔する方向に延びる一対のフラップ(一対の第二のフラップ)160から構成されている。図12においては、既に中栓102と外蓋104とが所要とおりに組み合わされており、一対のフラップ126は閉塞壁106に接近する方向に向かって相互に接近する状態に変形されており、一対のフラップ160は天面壁144に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に延びる状態に変形されている。図12に図示する容器蓋のその他の構成及び作用効果は図1乃至図11に図示する実施形態と実質上同一である。
【0027】
図13は本発明に従って構成された容器蓋の更に他の実施形態を図示している。図13に図示する実施形態においては、中栓202に配設されている一対のフラップ(一対の第一のフラップ)226の基端縁及び外蓋204に配設されている一対のフラップ(一対の第二のフラップ)260の基端縁は、図13に図示する状態において、実質上水平ではなくて旋回中心軸線から離隔する方向に向かって下方に傾斜して延びている。図13に図示する容器蓋のその他の構成及び作用効果は図1乃至図11に図示する実施形態と実質上同一である。
【0028】
上述した実施形態においては外蓋4、104及び204は中栓2、102及び202とは別個に成形されているが、所望ならば、例えば中栓2、102及び202の装着壁にヒンジ手段を介して外蓋4、104及び204を直接的に接続することによって、外蓋4、104及び204を中栓2、102及び202と一体に成形することもできる。
【符号の説明】
【0029】
2:中栓
4:外蓋
6:閉塞壁
8:装着壁
16:破断可能薄肉ライン
18:除去領域
24:被係止手段
25:延出片
26:一対のフラップ(一対の第一のフラップ)
28:環状シール
30:静止部
32:ヒンジ手段
34:旋回動部
36:接続部
44:天面壁
46:スカート壁
56:係止手段
58:矩形筒片
60:一対のフラップ(一対の第二のフラップ)
102:中栓
104:外蓋
106:閉塞壁
124:被係止手段
125:矩形筒片
126:一対のフラップ(一対の第一のフラップ)
156:係止手段
158:延出片
160:一対のフラップ(一対の第二のフラップ)
202:中栓
204:外蓋
226:一対のフラップ(一対の第一のフラップ)
260:一対のフラップ(一対の第二のフラップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口頸部に固着される中栓、及び少なくとも一部が該中栓の上面を覆う閉位置と該中栓の上面を露呈せしめる開位置との間を旋回動自在な外蓋を具備する容器蓋にして、
該中栓は円形閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する円筒形装着壁とを有し、該装着壁を該口頸部に被嵌せしめて該口頸部に装着されて該閉塞壁が該口頸部の上端面に存在する開口を覆い、
該中栓の該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、該除去領域の上面には被係止手段が配設されており、
該外蓋は天面壁と該天面壁から垂下するスカート壁とを有し、該天面壁の内面には係止手段が配設されており、
該被係止手段は該閉塞壁から離隔する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる一対の第一のフラップを含み、該係止手段は該天面壁から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる一対の第二のフラップを含み、
該外蓋を該開位置から該閉位置に一旦旋回動せしめると、該一対の第一のフラップが該閉塞壁に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめられると共に該一対の第二のフラップが該天面壁に接近する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめられて、該一対の第一のフラップが該一対の第二のフラップの間を通過し、
或いは該一対の第一のフラップを該閉塞壁に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめると共に該一対の第二のフラップを該天面壁に接近する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめた後に、該外蓋を該開位置から該閉位置に旋回動せしめると、該一対の第一のフラップが該一対の第二のフラップの間を通過し、
しかる後に該外蓋を該閉位置から該開位置に旋回動せしめられると、相互係止せしめられた該係止手段及び該被係止手段を介して該破断可能薄肉ラインに加えられる力によって該破断可能薄肉ラインが破断され、該除去領域が該閉塞壁から除去されて該外蓋に付随して移動せしめられる、
ことを特徴とする容器蓋。
【請求項2】
該被係止手段は該除去領域の上面から延出する矩形板状延出片を含み、該一対の第一のフラップは該延出片の先端から延出し、該係止手段は該天面壁の内面から延出する矩形筒片を含み、該一対の第二のフラップは該矩形筒片の両側壁の先端から延出する、請求項1記載の容器蓋。
【請求項3】
容器の口頸部に固着される中栓、及び少なくとも一部が該中栓の上面を覆う閉位置と該中栓の上面を露呈せしめる開位置との間を旋回動自在な外蓋を具備する容器蓋にして、
該中栓は円形閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する円筒形装着壁とを有し、該装着壁を該口頸部に被嵌せしめて該口頸部に装着されて該閉塞壁が該口頸部の上端面に存在する開口を覆い、
該中栓の該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、該除去領域の上面には被係止手段が配設されており、
該外蓋は天面壁と該天面壁から垂下するスカート壁とを有し、該天面壁の内面には係止手段が配設されており、
該被係止手段は該閉塞壁から離隔する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる一対の第一のフラップを含み、該係止手段は該天面壁から離隔する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる一対の第二のフラップを含み、
該外蓋を該開位置から該閉位置に一旦旋回動せしめると、該一対の第一のフラップが該閉塞壁に接近する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめられると共に該一対の第二のフラップが該天面壁に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめられて、該一対の第二のフラップが該一対の第一のフラップの間を通過し、
或いは該一対の第一のフラップを該閉塞壁に接近する方向に向かって相互に接近する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめると共に該一対の第二のフラップを該天面壁に接近する方向に向かって相互に離隔する方向に傾斜して延びる状態に変形せしめた後に、該外蓋を該開位置から該閉位置に旋回動せしめると、該一対の第二のフラップが該一対の第一のフラップの間を通過し、
しかる後に該外蓋を該閉位置から該開位置に旋回動せしめられると、相互係止せしめられた該係止手段及び該被係止手段を介して該破断可能薄肉ラインに加えられる力によって該破断可能薄肉ラインが破断され、該除去領域が該閉塞壁から除去されて該外蓋に付随して移動せしめられる、
ことを特徴とする容器蓋。
【請求項4】
該被係止手段は該除去領域の上面から延出する矩形筒片を含み、該一対の第一のフラップは該矩形筒片の両側壁の先端から延出し、該係止手段は該天面壁の内面から延出する矩形板状延出片を含み、該一対の第二のフラップは該延出片の先端から延出する、請求項3記載の容器蓋。
【請求項5】
該外蓋が該閉位置に位置せしめられている状態において、該一対の第一のフラップは該一対の第二のフラップに対して間隔をおいて上方に位置する、請求項1から4までのいずれかに記載の容器蓋。
【請求項6】
該一対の第一のフラップ及び該一対の第二のフラップの基端縁は該外蓋の旋回中心軸線に対して垂直に延びる、請求項1から5までのいずれかに記載の容器蓋。
【請求項7】
該外蓋が該閉位置に位置する状態において、該一対の第一のフラップ及び該一対の第二のフラップの基端縁は該外蓋の該旋回中心軸線から離隔する方向に向かって下方に傾斜して延びる、請求項6記載の容器蓋。
【請求項8】
該除去領域の下面周縁には下方に向かって半径方向外方に延出する環状シールが形成されており、該外蓋を該閉位置から該開位置に旋回動せしめて該破断可能薄肉ラインを破断せしめ該除去領域を該閉塞壁から除去した後に、該外蓋を該閉位置に旋回動せしめると該環状シールが破断された該破断可能薄肉ラインよりも半径方向外側において該閉塞壁の上面に密接せしめられる、請求項1から7までのいずれかに記載の容器蓋。
【請求項9】
該外蓋は該中栓とは別個に形成されており、該中栓の該装着壁に被嵌される円筒形状の静止部とヒンジ手段を介して該静止部に接続された旋回動部とを有し、該天面壁及び該スカート壁を含む該旋回動部が該閉位置と該開位置との間を旋回動せしめられる、請求項1から8までのいずれかに記載の容器蓋。
【請求項10】
該外蓋はヒンジ手段を介して該中栓と一体に成形されており、該外蓋の全体が該閉位置と該開位置との間を旋回動せしめられる、請求項1から8までのいずれかに記載の容器蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−71762(P2013−71762A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213178(P2011−213178)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】