説明

容器

【課題】本発明は、新規な容器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の容器は、底部と胴部3により収容空間を形成し、開口部にフランジ部2を形成している。容器はプラスチックからなる。容器の中心軸を通る平面による断面上で、フランジ部2の下辺2aと曲線の始点Pが交わる。胴部3の外辺3cと曲線の終点Pが交わる。下辺2aの延長線と外辺3cの延長線との交点Pから終点Pまでの距離が、交点Pから始点Pまでの距離よりも長い。これにより、新規な容器を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大量のプラスチック容器が市場を流通している。プラスチック容器のうち、開口部にフランジ部を設け、そのフランジ部にふたを熱圧着シールするプラスチック容器は、デザート類及び発酵乳などを収容する容器として使用されている。
【0003】
多くのプラスチック容器は、リサイクルされ再利用されている。しかし、容器1個当たりの重量が大きいと、再利用にかかる費用がかさむとともに、環境に対する影響も大きくなる。そこで、容器1個当たりの重量を小さくする、容器の軽量化の努力がなされている。容器の軽量化の方法の1つとして、容器の構成部分を薄くする、容器の薄肉化がある。
【0004】
一方、プラスチック容器には、優れた耐落下衝撃性が必要である。容器の輸送などにおいて、不注意で落下した場合、容器が簡単に破損したのでは、内容物を確実に収容するという、容器本来の目的が果たせないことになる。
【0005】
また、ふたをシールするタイプのプラスチック容器には、優れたシール特性が必要である。容器の輸送などにおいて、シールが簡単にはがれたのでは、内容物を確実に収容するという、容器本来の目的が果たせないことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プラスチック容器の薄肉化を図ると、耐落下衝撃性が悪くなるおそれがある。プラスチック容器の構成部分の肉厚を薄くすると、曲げ応力などに対する機械的強度が小さくなる。その結果、耐落下衝撃性が悪くなるおそれがある。
【0007】
また、プラスチック容器の薄肉化を図ると、シール特性が悪くなるおそれがある。フランジ部にふたをシールするタイプのプラスチック容器においては、軽量化のためにフランジ部を薄くすると、フランジ部にうねりを生じフランジ部の平面性を保つのが困難になるおそれがある。フランジ部の平面性が保てないと、フランジ部にふたを熱圧着しても均一な熱圧着ができず、開封強度、シール特性が悪くなるおそれがある。
【0008】
プラスチック容器の薄肉化を図ると、耐落下衝撃性が悪くなるおそれがあること、またシール特性が悪くなるおそれがあることに対しては、いまだに技術的な検討がなされていない。これらの技術的課題を解決する、新規な容器の開発が望まれている。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の容器は、底部と胴部により収容空間を形成し、開口部にフランジ部を形成し、プラスチックからなる容器であって、前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、前記フランジ部の下辺と曲線の始点が交わり、前記胴部の外辺と前記曲線の終点が交わる容器において、前記下辺の延長線と前記外辺の延長線との交点から前記終点までの距離が、前記交点から前記始点までの距離よりも長いことを特徴とする。
【0011】
本発明の容器は、底部と胴部により収容空間を形成し、開口部にフランジ部を形成し、プラスチックからなる容器において、前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、前記フランジ部に、1または複数の溝部を形成することを特徴とする。
【0012】
本発明の容器は、底部と胴部により収容空間を形成し、開口部にフランジ部を形成し、プラスチックからなる容器であって、前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、前記フランジ部の下辺と曲線の始点が交わり、前記胴部の外辺と前記曲線の終点が交わる容器において、前記下辺の延長線と前記外辺の延長線との交点から前記終点までの距離が、前記交点から前記始点までの距離よりも長く、前記フランジ部に、1または複数の溝部を形成することを特徴とする。
【0013】
本発明の容器は、底部と胴部により収容空間を形成する容器であって、前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、前記胴部の内辺と曲線の始点が交わり、前記底部の内辺と前記曲線の終点が交わる容器において、前記胴部の内辺の延長線と前記底部の内辺の延長線との交点から前記始点までの距離が、前記交点から前記終点までの距離よりも長いことを特徴とする。
【0014】
本発明の容器は、底部と糸足を有する容器であって、前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、前記底部の外辺と曲線の始点が交わり、前記糸足の左辺と前記曲線の終点が交わる容器において、前記外辺の延長線と前記左辺の延長線との交点から前記始点までの距離が、前記交点から前記終点までの距離よりも長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
【0016】
本発明は、底部と胴部により収容空間を形成し、開口部にフランジ部を形成し、プラスチックからなる容器であって、前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、前記フランジ部の下辺と曲線の始点が交わり、前記胴部の外辺と前記曲線の終点が交わる容器において、前記下辺の延長線と前記外辺の延長線との交点から前記終点までの距離が、前記交点から前記始点までの距離よりも長いので、新規な容器を提供することができる。
【0017】
本発明は、底部と胴部により収容空間を形成し、開口部にフランジ部を形成し、プラスチックからなる容器において、前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、前記フランジ部に、1または複数の溝部を形成するので、新規な容器を提供することができる。
【0018】
本発明は、底部と胴部により収容空間を形成し、開口部にフランジ部を形成し、プラスチックからなる容器であって、前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、前記フランジ部の下辺と曲線の始点が交わり、前記胴部の外辺と前記曲線の終点が交わる容器において、前記下辺の延長線と前記外辺の延長線との交点から前記終点までの距離が、前記交点から前記始点までの距離よりも長く、前記フランジ部に、1または複数の溝部を形成するので、新規な容器を提供することができる。
【0019】
本発明は、底部と胴部により収容空間を形成する容器であって、前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、前記胴部の内辺と曲線の始点が交わり、前記底部の内辺と前記曲線の終点が交わる容器において、前記胴部の内辺の延長線と前記底部の内辺の延長線との交点から前記始点までの距離が、前記交点から前記終点までの距離よりも長いので、新規な容器を提供することができる。
【0020】
本発明は、底部と糸足を有する容器であって、前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、前記底部の外辺と曲線の始点が交わり、前記糸足の左辺と前記曲線の終点が交わる容器において、前記外辺の延長線と前記左辺の延長線との交点から前記始点までの距離が、前記交点から前記終点までの距離よりも長いので、新規な容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
まず、容器にかかる第1の発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0022】
本発明の容器について、基本的構成について説明する。図1は、容器の1例の平面図(A)、正面図(B)、および底面図(C)である。容器1は、胴部3、フランジ部2、底部4、および糸足5からなっている。
【0023】
胴部3は、容器1の側壁を形成している。
容器1の開口部9には、フランジ部2が形成されている。フランジ部2は、内周円と外周円を有する円板からなり、内周円の内側は空間になっている。フランジ部2の内周円と前記胴部3の上端が一体になっている。
【0024】
フランジ部2の上には、ふた体(図示していない。)が形成されている。ふた体は、フランジ部2にシールされている。シールの方法としては、熱圧着、超音波シール、熱融着などがある。
【0025】
容器1の下の方には、底部4が形成されている。底部4は、中央に緩やかな凸部を有する円板状である。底部4の外周は前記胴部3の下端と一体になっている。底部4と前記胴部3により収容空間8を形成している。
【0026】
容器1の最下端には、糸足5が形成されている。糸足5は、略円筒形をしている。糸足5の上端は、前記底部4の外周に一体になっている。なお、容器1には、糸足5が存在しなくてもよい。
【0027】
図1Bに示すように、容器1の中央には、上下方向に中心軸7が存在する。図1A,Bに示すように、中心軸7は、胴部3、フランジ部2、底部4、および糸足5の回転対称軸となっている。
【0028】
容器1の上端の外径Φは50〜200mmの範囲内にあることが好ましい。
容器1の形状は、図1に示すような略円錐台に限定されない。このほか、略角錐台、異型など種々の形状を採用することができる。
【0029】
容器1は、プラスチックからなっている。プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂を採用することができる。
【0030】
容器1の製造方法としては、射出成形、真空成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形などを採用することができる。
【0031】
容器1を射出成形する場合、L/Tは270以下の範囲内にあることが好ましい。L/Tが270以下であると、成形が容易となり、かつフランジのうねりの発生を防止できるという利点がある。
【0032】
本発明の容器1について、具体的な実施例および比較例を説明する。図2は、容器1の上部における、実施例および比較例を示す断面図である。ここで、断面図は、容器1の中心軸7を通る平面による断面図である。
【0033】
実施例1
【0034】
フランジ部2の厚さTは0.7mmであり、長さLは3.6mmである。胴部3の胴厚肉部3aの厚さTは0.6mmであり、長さLは4.6mmである。 胴部3の胴薄肉部3bの厚さTは0.3mmである。胴部3の傾き角度θは6°である。
【0035】
フランジ部2の下辺2aの延長線と胴部3の外辺3cの延長線は交わり、交点Pを形成している。
【0036】
円弧の半径Rは0.5mmであり、この円弧の始点Pは前記下辺2aと交わっている。始点Pにおける、円弧の接線は前記下辺2aと一致している。
【0037】
円弧の半径Rは1.6mmであり、この円弧の終点Pは前記外辺3cと交わっている。終点Pにおける、円弧の接線は前記外辺3cと一致している。半径Rの円弧と半径Rの円弧は交わって接点を形成している。この接点において、半径Rの円弧の接線と半径Rの円弧の接線は一致している。
【0038】
始点Pと交点Pの距離Lは0.6mmであり、終点Pと交点Pの距離Lは1.28mmである。距離Lは距離Lよりも長い。
【0039】
比較例1
【0040】
円弧の半径Rは0.5mmである。この円弧の始点Pは前記下辺2aと交わっている。始点Pにおける、円弧の接線は前記下辺2aと一致している。この円弧の終点Pは前記外辺3cと交わっている。終点Pにおける、円弧の接線は前記外辺3cと一致している。このほかは、実施例1と同様である。
【0041】
上記実施例1および比較例1の容器について、耐落下衝撃性の試験を行った。耐落下衝撃性の試験は、水を規定量まで充填しシールした容器を80cmの高さよりフランジ部が垂直に当たるように落下させる方法と底面が水平に当たる方法にて実施した。
【0042】
耐落下衝撃性の試験を行った結果、比較例1の容器にはクラック6の発生が認められた。クラック6は、終点Pの位置に発生した。クラック6が発生した理由としてはつぎのことが考えられる。終点Pの位置には加工線が存在している。そのため耐落下衝撃性の試験において、応力集中により衝撃力が加工線に集中する。その結果、加工線からクラック6が発生するためと考えられる。
【0043】
耐落下衝撃性の試験を行った結果、実施例1の容器にはクラックの発生は認められなかった。クラックが発生しなかった理由としては、つぎのことが考えられる。加工線(終点P)の位置が比較例1に比較して、容器の下のほうに移動している。そのため耐落下衝撃性の試験において、衝撃力が分散し緩和されるためと考えられる。
【0044】
フランジ部2および胴部3の寸法は前記実施例の値に限定されない。
フランジ部2の厚さTは0.5〜1.2mmの範囲内にあることが好ましい。厚さTが0.5mm以上であると、シールを剥す際のフランジの剛性が保たれるという利点がある。厚さTが1.2mm以下であると、成形性を保つことができるという利点がある。
【0045】
フランジ部2の長さLは2mm以上であることが好ましい。長さLが2mm以上であると、シールをしやすいという利点がある。
【0046】
胴厚肉部3aの厚さTは0.3〜1.0mmの範囲内にあることが好ましい。
胴厚肉部3aの長さLは2〜10mmの範囲内にあることが好ましい。
【0047】
胴薄肉部3bの厚さTは0.2mm以上、0.6mm未満の範囲内にあることが好ましい。厚さTが0.2mm以上であると、成形が容易であるという利点がある。厚さTが0.6mm未満であると、重量の軽い容器ができるという利点がある。
【0048】
胴部3の傾き角度θは2〜10°の範囲内にあることが好ましい。角度θが2°以上であると,スタックハイトを小さくでき、かつ成形が容易になるという利点がある。
【0049】
円弧の半径Rは0.3〜1.0mmの範囲内にあることが好ましい。半径Rが0.3mm以上であると、応力集中を避けることができるという利点がある。半径Rが1.0mm以下であると、シールがしやすくなるという利点がある。この円弧の始点Pは前記下辺2aと交わっている。始点Pにおける、円弧の接線は前記下辺2aと一致している。
【0050】
円弧の半径Rは、半径Rよりも大きく、3mm以下の範囲内にあることが好ましい。半径Rが半径Rよりも大きいと、終点Pの位置を底部の方に下げることができるという利点がある。半径Rが3mm以下であると、クラックの発生を防止できるという利点がある。この円弧の終点Pは前記外辺3cと交わっている。終点Pにおける、円弧の接線は前記外辺3cと一致している。半径Rの円弧と半径Rの円弧は交わって接点を形成している。この接点において、半径Rの円弧の接線と半径Rの円弧の接線は一致している。
【0051】
前記下辺2aと外辺3cの間に存在する曲線は、前記の円に限定されるものではない。このほか曲線としては、2次曲線、3次曲線、サイクロイド曲線などを採用することができる。
曲線の合計数は2〜4個の範囲内にあることが好ましい。
【0052】
最も上方に存在する曲線の始点Pは前記下辺2aと交わっている。始点Pにおける、曲線の接線は前記下辺2aと一致している。互いに隣り合う曲線同士は交わって接点を形成している。この接点において、隣り合う曲線同士の接線は一致している。最も下方に存在する曲線の終点Pは前記外辺3cと交わっている。終点Pにおける、曲線の接線は前記外辺3cと一致している。
【0053】
始点Pと交点Pの距離Lは0.4〜1.0mmの範囲内にあることが好ましい。距離Lが0.4mm以上であると、クラックの発生を防止できるという利点がある。距離Lが1.0mm以下であると、セルプレートにあたる面積を確保できるという利点がある。
【0054】
終点Pと交点Pの距離Lは、距離Lより大きく、3.0mm以下の範囲内にあることが好ましい。距離Lが距離Lより大きいと、終点Pの位置を底部の方に下げることができるという利点がある。距離Lが3.0mm以下であると、クラックの発生を防止できるという利点がある。
距離Lは距離Lよりも長い。
【0055】
以上のことから、本発明を実施するための最良の形態によれば、優れた耐落下衝撃性を有する容器を提供することができる。
【0056】
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0057】
つぎに、容器にかかる第2の発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0058】
本発明の容器について、基本的構成について説明する。図1は、容器の1例の平面図(A)、正面図(B)、および底面図(C)である。容器1は、胴部3、フランジ部2、底部4、および糸足5からなっている。胴部3、フランジ部2、底部4、および糸足5は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。ふた体も、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。
【0059】
容器1の上端の外径Φの好ましい範囲は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。容器1の形状、材質、製造方法、および射出成形する場合のL/Tの値は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。
【0060】
本発明の容器1について、具体的な実施例および比較例を説明する。図3は、容器の上部における、実施例および比較例を示す断面図である。ここで、断面図は、容器1の中心軸7を通る平面による断面図である。
【0061】
実施例2
【0062】
胴部3の厚さTは0.3mmである。実施例2には、実施例1の胴肉厚部3aは存在しない。このほかの条件は、実施例1と同様である。
【0063】
比較例2
【0064】
円弧の半径Rは0.5mmである。この円弧の始点Pは前記下辺2aと交わっている。始点Pにおける、円弧の接線は前記下辺2aと一致している。この円弧の終点Pは前記外辺3cと交わっている。終点Pにおける、円弧の接線は前記外辺3cと一致している。
このほかは、実施例2と同様である。
【0065】
上記実施例2および比較例2の容器について、耐落下衝撃性の試験を行った。耐落下衝撃性の試験方法は、上記実施例1および比較例1の試験方法と同様である。
【0066】
耐落下衝撃性の試験を行った結果、比較例2の容器にはクラック6の発生が認められた。クラック6は、終点Pの位置に発生した。クラック6が発生した理由としてはつぎのことが考えられる。終点Pの位置には加工線が存在している。そのため耐落下衝撃性の試験において、応力集中により衝撃力が加工線に集中する。その結果、加工線からクラック6が発生するためと考えられる。
【0067】
耐落下衝撃性の試験を行った結果、実施例2の容器にはクラックの発生は認められなかった。クラックが発生しなかった理由としては、つぎのことが考えられる。加工線(終点P)の位置が比較例1に比較して、容器の下のほうに移動している。そのため耐落下衝撃性の試験において、衝撃力が分散し緩和されるためと考えられる。
【0068】
胴部3の厚さTは0.2mm以上、0.6mm未満の範囲内にあることが好ましい。厚さTが0.2mm以上であると、成形が可能であるという利点がある。厚さTが0.6mm未満であると、重量の軽い容器ができるという利点がある。
【0069】
フランジ部2および胴部3の寸法は前記実施例2の値に限定されない。
フランジ部2の厚さTと長さL、胴部3の傾き角度θ、円弧の半径R、および円弧の半径Rの好ましい範囲は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。
【0070】
円弧の始点Pは前記下辺2aと交わっている。始点Pにおける、円弧の接線は前記下辺2aと一致している。円弧の終点Pは前記外辺3cと交わっている。終点Pにおける、円弧の接線は前記外辺3cと一致している。半径Rの円弧と半径Rの円弧は交わって接点を形成している。この接点において、半径Rの円弧の接線と半径Rの円弧の接線は一致している。
【0071】
前記下辺2aと外辺3cの間に存在する曲線の種類、曲線の合計数は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。
【0072】
最も上方に存在する曲線の始点Pは前記下辺2aと交わっている。始点Pにおける、曲線の接線は前記下辺2aと一致している。互いに隣り合う曲線同士は交わって接点を形成している。この接点において、隣り合う曲線同士の接線は一致している。最も下方に存在する曲線の終点Pは前記外辺3cと交わっている。終点Pにおける、曲線の接線は前記外辺3cと一致している。
【0073】
始点Pと交点Pの距離L、および終点Pと交点Pの距離Lの好ましい範囲は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。距離Lは距離Lよりも長い。
【0074】
以上のことから、本発明を実施するための最良の形態によれば、優れた耐落下衝撃性を有する容器を提供することができる。
【0075】
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0076】
つぎに、容器にかかる第3の発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0077】
本発明の容器について、基本的構成について説明する。図1は、容器の1例の平面図(A)、正面図(B)、および底面図(C)である。容器1は、胴部3、フランジ部2、底部4、および糸足5からなっている。胴部3、フランジ部2、底部4、および糸足5は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。ふた体も、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。
【0078】
容器1の上端の外径Φの好ましい範囲は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。容器1の形状、材質、製造方法、および射出成形する場合のL/Tの値は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。
【0079】
本発明の容器1について、具体的な実施例および比較例を説明する。図4は、容器の下部における、実施例および比較例を示す断面図である。ここで、断面図は、容器1の中心軸7を通る平面による断面図である。
【0080】
実施例3
【0081】
胴部3と底部4は、それぞれの内辺が2つの曲線により接続されている。底部4の内辺は半径Rの円弧に接続している。半径Rの円弧と胴部3の内辺は、半径Rの円弧に接続している。半径Rは半径Rよりも大きい。
【0082】
底部4の外辺と糸足5の左辺(図面上)は、2つの曲線により接続されている。糸足5の左辺は半径Rの円弧に接続している。半径Rの円弧と底部4の外辺は、半径R10の円弧に接続している。半径R10は半径Rよりも大きい。
【0083】
比較例3
【0084】
胴部3と底部4は、それぞれの内辺が半径Rの円弧に接続している。底部4の外辺と糸足5の左辺(図面上)は、半径Rの円弧に接続している。このほかの条件は、実施例3と同様である。
【0085】
実施例3の容器は、比較例3の容器に比べ、耐落下衝撃性に優れている。
胴部3の内辺と円弧との接続点には加工線が存在している。実施例3では、加工線の位置が比較例3に比較して、容器の上の方に移動している。そのため容器の落下により生じる衝撃力が分散し緩和されると考えられる。
【0086】
底部4の外辺と円弧との接続点には加工線が存在している。実施例3では、加工線の位置が比較例3に比較して、容器の中心の方に移動している。そのため容器の落下により生じる衝撃力が分散し緩和されると考えられる。
【0087】
なお、2つの円弧の接続の仕方は、実施例3に限定されない。半径Rの円弧の両側に半径Rよりも大きな円弧が接続してもよいし、半径Rの円弧に対して実施例3の場合と反対の位置に、半径Rよりも大きな円弧が接続してもよい。これらにより実施例3と同様な効果が得られる。
【0088】
半径Rの円弧の両側に半径Rよりも大きな円弧が接続してもよいし、半径Rの円弧に対して実施例3の場合と反対の位置に、半径Rよりも大きな円弧が接続してもよい。これらにより実施例3と同様な効果が得られる。
【0089】
胴部3内辺と底部4の内辺との間に存在する曲線、ならびに底部4の外辺と糸足5の左辺(図面上)との間に存在する曲は、前記の円に限定されるものではない。このほか曲線としては、2次曲線、3次曲線、サイクロイド曲線などを採用することができる。曲線の合計数は2〜4個の範囲内にあることが好ましい。
【0090】
以上のことから、本発明を実施するための最良の形態によれば、優れた耐落下衝撃性を有する容器を提供することができる。
【0091】
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0092】
つぎに、容器にかかる第4の発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0093】
本発明の容器について、基本的構成について説明する。図1は、容器の1例の平面図(A)、正面図(B)、および底面図(C)である。容器1は、胴部3、フランジ部2、底部4、および糸足5からなっている。胴部3、フランジ部2、底部4、および糸足5は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。ふた体も、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。
【0094】
容器1の上端の外径Φの好ましい範囲は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。容器1の形状、材質、製造方法、および射出成形する場合のL/Tの値は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。
【0095】
本発明の容器1について、具体的な実施例および比較例を説明する。図5は、容器のフランジ部における実施例を示す断面図である。ここで、断面図は、容器1の中心軸7を通る平面による断面図である。
【0096】
実施例4
【0097】
フランジ部2の厚さTは0.7mmであり、長さLは3.6mmである。
フランジ部2の下辺2aには、2個の溝部2bが形成されている。溝部2bの形状は半円である。溝部2bの深さTは0.3mmである。フランジ部2の厚さTに対する溝部2bの深さTの比率T/Tは0.43である。溝部2bの幅Wは0.5mmである。フランジ部2の長さLに対する溝部2bの幅Wの合計値の比率(2×W)/Lは0.29である。
【0098】
実施例5
【0099】
溝部2bの形状は略長方形である。そのほかの条件は実施例4と同様である。
【0100】
比較例4
【0101】
比較例4(図示していない。)では、溝部2bが存在していない。そのほかの条件は実施例4と同様である。
【0102】
上記実施例4,5および比較例4の容器について、フランジ部2の平面性を目視により観察した。また、シール特性の試験を行った。シール特性の試験は、シール後シール材にプッシュプルゲージを取り付け、開封強度を測定することにより行った。
【0103】
フランジ部2の平面性を観察した結果、比較例4の容器のフランジ部2にはうねりの発生が認められた。実施例4,5の容器のフランジ部2にはうねりの発生は認められず、平面性が確保されていた。
【0104】
シール特性の試験を行った結果、実施例4,5の容器のシール特性は、比較例4の容器のシール特性よりも優れていた。この理由は、比較例4の容器のフランジ部2にはうねりの発生が認められたのに対して、実施例4,5の容器のフランジ部2にはうねりの発生が認められず、平面性が確保されていたためと考えられる。
【0105】
実施例4,5の容器は、比較例4の容器に比べ、耐落下衝撃性に優れていた。
実施例4,5の容器のフランジ部2には、比較例4の容器と比べ、溝部2bが存在する。溝部2bの部分はフランジ部2の厚さが薄くなっており、曲げの力に対して柔軟に変形しやすくなっている。そのため耐落下衝撃性の試験において、フランジ部2に接地の際の衝撃力が伝達されても衝撃力の一部はフランジ部2の曲げ変形により吸収され、胴部3への衝撃力は、比較例4に比べて小さくなると考えられる。
【0106】
フランジ部2および溝部2bの寸法は前記実施例の値に限定されない。
フランジ部2の厚さTおよび長さLの好ましい範囲は、第1の発明を実施するための最良の形態と同様である。
【0107】
溝部2bは、フランジ部2の下辺2aに設けることに限定されない。このほか、上辺2cに設けてもよいし、上辺2cおよび下辺2aの双方に設けてもよい。
溝部2bの個数は1〜3個の範囲内にあることが好ましい。
【0108】
溝部2bは、フランジ部2に沿ってリング状に形成することが好ましい。溝部2bをリング状に形成することによりフランジ部2の平面性が改善される。
溝部2bの形状としては、半円、半楕円、略多角形などを採用することができる。
【0109】
フランジ部2の厚さTに対する溝部2bの深さTの比率T/Tは0.2〜0.5の範囲内にあることが好ましい。
【0110】
フランジ部2の長さLに対する溝部2bの幅Wの合計値の比率(個数×W)/Lは0.2〜0.5の範囲内にあることが好ましい。
【0111】
以上のことから、本発明を実施するための最良の形態によれば、優れた平面性およびシール特性を有する容器を提供することができる。
【0112】
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】容器の平面図(A)、正面図(B)、および底面図(C)である。
【図2】容器の上部における、実施例および比較例を示す断面図である。
【図3】容器の上部における、実施例および比較例を示す断面図である。
【図4】容器の下部における、実施例および比較例を示す断面図である。
【図5】容器のフランジ部における実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0114】
1‥‥容器、2‥‥フランジ部、2a‥‥下辺、2b‥‥溝部、2c‥‥上辺、3‥‥胴部、3a‥‥胴厚肉部、3b‥‥胴薄肉部、3c‥‥外辺、4‥‥底部、4a‥‥底平板部、4b‥‥底凸部、5‥‥糸足、6‥‥クラック、7‥‥中心軸、8‥‥収容空間、9‥‥開口部、P‥‥始点、P‥‥終点、P‥‥交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と胴部により収容空間を形成し、
開口部にフランジ部を形成し、
プラスチックからなる容器であって、
前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、
前記フランジ部の下辺と曲線の始点が交わり、
前記胴部の外辺と前記曲線の終点が交わる容器において、
前記下辺の延長線と前記外辺の延長線との交点から前記終点までの距離が、前記交点から前記始点までの距離よりも長い
ことを特徴とする容器。
【請求項2】
底部と胴部により収容空間を形成し、
開口部にフランジ部を形成し、
プラスチックからなる容器において、
前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、
前記フランジ部に、1または複数の溝部を形成する
ことを特徴とする容器。
【請求項3】
底部と胴部により収容空間を形成し、
開口部にフランジ部を形成し、
プラスチックからなる容器であって、
前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、
前記フランジ部の下辺と曲線の始点が交わり、
前記胴部の外辺と前記曲線の終点が交わる容器において、
前記下辺の延長線と前記外辺の延長線との交点から前記終点までの距離が、前記交点から前記始点までの距離よりも長く、
前記フランジ部に、1または複数の溝部を形成する
ことを特徴とする容器。
【請求項4】
底部と胴部により収容空間を形成する容器であって、
前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、
前記胴部の内辺と曲線の始点が交わり、
前記底部の内辺と前記曲線の終点が交わる容器において、
前記胴部の内辺の延長線と前記底部の内辺の延長線との交点から前記始点までの距離が、前記交点から前記終点までの距離よりも長い
ことを特徴とする容器。
【請求項5】
底部と糸足を有する容器であって、
前記容器の中心軸を通る平面による断面上で、
前記底部の外辺と曲線の始点が交わり、
前記糸足の左辺と前記曲線の終点が交わる容器において、
前記外辺の延長線と前記左辺の延長線との交点から前記始点までの距離が、前記交点から前記終点までの距離よりも長い
ことを特徴とする容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−276800(P2007−276800A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102767(P2006−102767)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000222565)東洋科学株式会社 (13)
【出願人】(504194856)有限会社K・Mプランニング (7)
【Fターム(参考)】