説明

容器

【課題】廃棄物の占有容積低減のために、蓋部と本体部の切り離しを容易にする容器を提供する。
【解決手段】蓋部と本体部とを備えるプラスチック成形品の容器であり、蓋部は天面と天面から連続して下方へ形成される少なくとも1つの蓋側壁面を有し、本体部は底面と底面から連続して上方へ形成される少なくとも1つの本体側壁面を有し、天面、各側壁面、底面で中空部を形成し、蓋側壁面と底面、または本体側壁面と天面がヒンジ部を介して連続して形成され、ヒンジ部はミシン目形状に形成されている容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空部を持つプラスチック容器、特に記録メディア用収納ケースに係り、ケース廃棄時の占有容積低減を目的としたものである。
【背景技術】
【0002】
様々な商品が、プラスチック製の蓋付きの包装容器に入った状態で流通・販売される。例えば、特許文献1のように磁気テープカートリッジなどの記録メディアは、専用の収納ケースに入れられて販売される。この収納ケースは輸送時の衝撃から記録メディアを守る働きは勿論のこと、ユーザーによっては磁気テープへのデータ記録後も保存用ケースとして使用する場合があり、カートリッジを収納する中空部を形成し耐衝撃性、防塵性なども備えた比較的丈夫な造りに仕上がっている。
【0003】
ところで、近年、COによる地球温暖化、廃棄物の処理問題、資源需要増大による価格の高騰などの問題が取りざたされており、製造業においては省エネルギー、省資源化、廃棄物の削減が望まれる。商品における包装容器も例外ではなく、廃棄物の廃棄スペースの縮小のために様々な工夫がされている。
【0004】
特許文献1にあるように蓋部と本体部を備えた収納ケースの場合、廃棄時に蓋部と本体部を切り離すことが考えられ、特許文献2にあるようにヒンジ部にミシン目を入れて、蓋と本体とを切り離すことで廃棄スペースを縮小することが可能である。
【0005】
しかしながら、ただ単にヒンジ部にミシン目を入れても、比較的丈夫な造りの容器では、蓋部と本体部との切り離し時に大きな力が必要だったりして、ユーザーが怪我をしてしまったりして不都合が生じることがある。
【0006】
更に、特許文献2のように蓋体と容器本体との開閉状態を確実に維持するためにミシン目を入れる場合もあり、ユーザーが廃棄物の容積低減のための蓋部と本体部切り離し用ミシン目と気付かないことも予想される。
【0007】
【特許文献1】特開2002‐104568号
【特許文献2】特開2000‐327000号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術からの課題を解決し、廃棄物の占有容積低減のために、蓋部と本体部の切り離しを手作業で容易にできる容器を提供する。更にはユーザーが廃棄時に蓋部と本体部を切り離しすることが容易に認識できる容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、蓋部と本体部とを備えるプラスチック成形品の容器であり、蓋部は天面と天面から連続して下方へ形成される少なくとも1つの蓋側壁面を有し、本体部は底面と底面から連続して上方へ形成される少なくとも1つの本体側壁面を有し、天面、各側壁面、底面で中空部を形成し、蓋側壁面と底面、または本体側壁面と天面がヒンジ部を介して連続して形成され、ヒンジ部はミシン目形状に形成されている容器である。
【0010】
更に、ヒンジ部のミシン目は繋ぎ部と非繋ぎ部とが交互に連続して形成されており、繋ぎ部は1mm以下である容器である。
【0011】
更に蓋部と本体部が切り離し可能であることが認識できる表示がなされている容器である。
【0012】
更に容器は記録メディア用収納ケースである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の容器によれば、蓋部と本体部の切り離しが容易であるため、容器廃棄時の占有容積が低減できる。更に、蓋部と本体部が切り離し可能であることが認識できる表示がなされていることで、廃棄時にユーザーによる蓋部と本体部の切り離しを促すことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面を用いて説明する。図1,2は本発明の一例である磁気テープカートリッジの収納ケースを示す。ケース1は本体部2と蓋部3を備えている。本体部2は底面20と、底面20から連続して上方へ形成される本体側壁面21a,21b,21c、21dを備える。蓋部3は天面30と天面30から連続して下方へ形成される31a,31b,31cを備える。本実施例では本体壁面と、天面とがヒンジ部を介して連続して形成されており、ヒンジ部4はケース1を構成するプラスチック板の厚みよりも薄肉になっている。詳しくは本体側壁面21dの上端辺と天面30の後端辺とでヒンジ部を成しており、蓋部3がヒンジ部を中心に回動自在になることで、ケース1の蓋部3の開け閉めが可能となっている。底面20、天面30の外側に、上下で積み重ね可能なようにそれぞれスタック22、23が形成され、複数のテープカートリッジを収納するときに積み重ねての保管が容易である。
【0015】
ケース1は全体が一体で成形されており、プラスチック材料で構成されている。本実施例では透明のポリプロピレンで構成されているが、これに限らずあらゆる種類のプラスチック材料が適応できるが、ケース1の強度の面からPPやPETなどが好ましい。
【0016】
ケース1の各面を構成するプラスチックの板厚は、およそ1mm前後と厚い。これは商品の包装体の役割と共に、ユーザーがケース1を保管用の収納ケースとして使用することがあるため、商品輸送時の対衝撃性を高めるためと、磁気テープカートリッジを収納した状態のケース1の複数積み重ね時の耐荷重性を高めるために、頑丈な造りになっている。本発明の目的の一つは、容器廃棄時の占有容積の低減にある。仮にユーザーがケース1を本体部2と蓋部3を閉じ状態で廃棄してしまうと、ケース1自体が頑丈なため、他の廃棄物と衝突しても潰れる事が無く、中空部分が残ったままとなり、廃棄物の占有容積が大きくなる。
【0017】
そこで、本発明は本体部2と蓋部3の切り離し容易となるように、ヒンジ部4について規定した。図3は図2の点線四角部Sの拡大図である。ヒンジ部4は繋ぎ部41と空き部42が交互に連続して形成される。本発明では繋ぎ部41の幅寸法Cは、1mm以下とする。寸法Cを1mm以下とすると、廃棄時に容易に本体部と蓋部の切り離しが可能となるので、廃棄時の占有容積を低減することが出来る。寸法Cが1mm以下であれば本発明の目的は達成されるため、図3のように均等幅の繋ぎ部41と空き部42の連続でなくても良い。
【0018】
更に本実施例では、図2のように本体部2と蓋部3の切り離しが可能であることを示す表示5(本実施例では「SEPARABLE」)を、天面20のヒンジ部4の近傍に設けた。これにより、本体部2と蓋部3とが切り離し可能であることがユーザーが容易に認識することが出来、廃棄時に切り離しを促すことが出来る。表示5に加えて取り扱い説明書などで切り離し可能であることを示す記載やイラストなどを掲載すると、よりわかりやすくて好ましい。
【0019】
本発明は既述した実施例に限定されるものではなく、例えばヒンジ部4の位置や形状などは本発明の趣旨に逸脱しない限り置き換え可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一例である磁気テープカートリッジの収納ケースの斜視図である。
【図2】本発明の一例である磁気テープカートリッジの収納ケースの開状態での(a)側面図と(b)底面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。底面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ケース
2 本体部
3 蓋部
4 ヒンジ部
5 切り離し可能表示
41 繋ぎ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部と本体部とを備えるプラスチック成形品の容器であり、
蓋部は天面と天面から連続して下方へ形成される少なくとも1つの蓋側壁面を有し、
本体部は底面と底面から連続して上方へ形成される少なくとも1つの本体側壁面を有し、
天面、各側壁面、底面で中空部を形成し、
蓋側壁面と底面、または本体側壁面と天面がヒンジ部を介して連続して形成され、
ヒンジ部はミシン目形状に形成されている容器。
【請求項2】
ヒンジ部のミシン目は繋ぎ部と非繋ぎ部とが交互に連続して形成されており、繋ぎ部は1mm以下である請求項1に記載の容器。
【請求項3】
蓋部と本体部が切り離し可能であることが認識できる表示がなされている請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
容器は記録メディア用収納ケースである請求項1から3いずれかに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−89791(P2010−89791A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258749(P2008−258749)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】