説明

容器

【課題】容器の内圧を外部に開放することができ、容器本体と蓋体との装着操作が容易で、開封時の内容物のこぼれ出しを防止することができる容器の提供を目的とする。
【解決手段】本体フランジ23を有する容器本体2と蓋体フランジ32を有する蓋体3とを備え、蓋体フランジ32と本体フランジ23とが重ね合わせられた容器1において、本体フランジ23及び蓋体フランジ32を保持する取り外し可能な保持具4が備えられ、保持具4に、本体フランジ23及び蓋体フランジ32の径方向外側に周設された周壁部40と、本体フランジ23の下方に配設された下壁部42と、蓋体フランジ32の上方に配設された上壁部41と、が備えられ、容器の内圧が上昇して蓋体3が上方に変位することで、本体フランジ23と蓋体フランジ32との間に形成された連通路を介して容器内部と外部とが連通される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口部に蓋体が被せられた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液状の食品や調味料等の内容物を容器に収容する場合、経時変化や温度等の環境変化に伴って、内容物から揮発成分が生じたり内容物の体積が膨張したりする等して、容器の内圧が上昇することがある。また、例えば2剤を混合して使用する毛染め液の場合、2剤混合後にガスが発生する場合があり、容器内で混合した混合液を使い切らずに保存した場合等に容器内の内圧が上昇することとなる。
このように容器の内圧が高まってしまった場合には、意図せずに内容物が容器の外部へ飛散したり、キャップ等が外れて容器が開封されたりすることがある。
【0003】
そこで、上述した不具合を防止するための技術として、例えば特許文献1に示されているような、容器本体の口部にキャップ(蓋体)が被着された容器が知られている。この容器は、容器本体の口部に装着されるキャップ本体に透孔を形成し、キャップ本体の裏面において前記透孔に対向する位置に弁部材を嵌着して、容器の内圧が高まった場合に、弁部材とキャップ本体との間に隙間を生じさせると共に、前記隙間に連通する透孔からその圧力を容器の外部に開放するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−182425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の容器では、容器本体の口部と蓋体(キャップ)とが螺合されているので、開封時に容器本体の胴部と蓋体とをそれぞれ強く把持して双方を相対的に回転させる必要がある。このため、開封時に容器本体の胴部が把持力によって変形して内容物がこぼれ出るおそれがある。
また、容器本体の口部と蓋体とが螺着されているため、その装着操作に改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、容器の内圧が高まった場合にその圧力を外部に開放することができ、且つ、容器本体と蓋体との装着操作が容易で、さらに、開封時に内容物がこぼれ出ることを防止することができる容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る容器は、内容物を収容する容器本体と、該容器本体の口部に被せられて該口部を密閉する蓋体と、を備えており、前記容器本体に、径方向外側に向けて突出した本体フランジが全周に亘って設けられ、前記蓋体に、径方向外側に向けて突出した蓋体フランジが全周に亘って設けられ、該蓋体フランジと前記本体フランジとが重ね合わせられた容器において、前記本体フランジ及び前記蓋体フランジを保持する取り外し可能な保持具が備えられ、該保持具には、前記本体フランジ及び前記蓋体フランジの径方向外側に周設された周壁部と、該周壁部から径方向内側に向けて突出して前記本体フランジの下方に配設されていると共に該本体フランジに沿って延設された下壁部と、前記周壁部から径方向内側に向けて突出して前記蓋体フランジの上方に配設されていると共に該蓋体フランジに沿って延設された上壁部と、が備えられ、容器の内圧が上昇して前記蓋体が上方に変位することで、前記本体フランジと前記蓋体フランジとの間に形成された連通路を介して容器内部と外部とが連通されることを特徴としている。
【0008】
上記した構成の容器では、容器の内圧上昇によって蓋体が上方に変位することで、本体フランジと蓋体フランジとの間に形成された連通路を介して容器内部と外部とが連通される。これにより、連通路を介して容器内部の圧力が外部に開放される。
また、上記した構成の容器では、保持具を本体フランジ及び蓋体フランジから取り外した後、蓋体を引き上げることで、蓋体が容器本体の口部から取り外されるので、容器の開封時に容器本体を強く把持する必要がない。
【0009】
また、本発明に係る容器は、前記下壁部が全周に亘って前記本体フランジとの間に隙間をあけて配設されており、前記蓋体の前記容器本体に対する相対的な上方移動が許容されていることが好ましい。
これにより、容器の内圧が上昇すると、その内圧によって蓋体が押し上げられ、下壁部と本体フランジとの間の隙間の分だけ蓋体全体が容器本体に対して相対的に上昇すると共に蓋体フランジによって上壁部が押し上げられて保持具が上昇する。その結果、蓋体フランジと本体フランジとの間に全周に亘って隙間(連通路)が形成される。
【0010】
また、本発明に係る容器は、前記蓋体フランジが弾性変形可能であり、容器の内圧上昇に伴う前記蓋体フランジの弾性変形によって前記蓋体フランジが前記本体フランジから離間して前記連通路が形成される構成であってもよい。
これにより、容器の内圧が上昇すると、その内圧によって蓋体フランジが弾性変形して蓋体フランジが本体フランジから離間し、蓋体フランジと本体フランジとの間に隙間(連通路)が形成される。そして、容器の内圧が低下すると、蓋体フランジが弾性によって復元され、蓋体フランジが本体フランジに密接する。
【0011】
また、前記した容器においては、前記上壁部の下面が前記蓋フランジの上面に密接されていると共に前記上壁部の下面に凹部が形成され、容器の内圧上昇に伴う前記蓋体フランジの弾性変形によって前記凹部の位置において前記蓋体フランジが前記本体フランジから離間して前記連通路が形成されることが好ましい。
これにより、容器の内圧が上昇すると、その内圧によって蓋体フランジが弾性変形し、蓋体フランジのうち、凹部に対向する部分が本体フランジから離間し、蓋体フランジと本体フランジとの間に隙間(連通路)が形成される。このとき、蓋体フランジのうち、凹部に対向する部分以外の部分は、上壁部の下面に密接されている。つまり、蓋体フランジのうちの周方向の一部分のみが本体フランジから離間するので、内圧上昇時に形成される連通路が狭くなる。したがって、容器の内圧が上昇して連通路が形成されたときに、連通路から内容物が漏出(噴出)しにくく、また、急激な内圧低下が抑えられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る容器によれば、容器の内圧が高まった場合にその圧力を外部に開放することができる。これにより、容器の内圧が高まった場合でも、不用意に内容物が容器の外部へ飛散したり蓋体が外れて容器が開封されたりすることを防止することができる。
また、容器本体に蓋体を簡単に装着でき、この装着操作性を向上させることができる。
さらに、容器の開封時に容器本体を強く把持する必要がないので、容器本体を変形させずに開封操作を行うことができ、開封時に容器本体内の内容物がこぼれ出ることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための容器の半断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明するための容器の平面図である。
【図3】図1に示すA−A間の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を説明するための容器の半断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を説明するための容器の平面図である。
【図6】図4に示すB−B間の断面図である。
【図7】図4に示すC−C間の断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態を説明するための容器の半断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を説明するための容器の部分断面図である。
【図10】本発明の変形例を説明するための容器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る容器の第1〜第3の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態に係る容器1について図1〜図3に基いて説明する。
なお、図1に示す鎖線Oは容器1の中心軸線を示しており、以下「軸線O」と記す。また、軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする。また、容器本体2からみて蓋体3側(図1における上側)を「上方」とし、その反対側(図1における下側)を「下方」とする。
【0016】
図1、図2に示すように、容器1は、図示せぬ内容物を収容する容器本体2と、その容器本体2の口部20に被せられてその口部20を密閉する蓋体3と、上下に重ね合わされた容器本体2の本体フランジ23と蓋体3の蓋体フランジ32を全周に亘って保持する環状の保持具4と、が備えられている。
【0017】
容器本体2は、上端が開口された有底筒状のカップであり、その概略構成としては、軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延設された筒状の胴部21と、胴部21の下端部に設けられた底部22と、胴部21の上端部に連設された口部20と、口部20から径方向外側に向けて突出した本体フランジ23と、を備えている。
【0018】
胴部21は、下方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状の円筒部である。この胴部21の上端部の外周面には、軸方向に沿って延在する凸リブ24が周方向に間欠的に配設されている。なお、この凸リブ24は省略することも可能である。底部22は、胴部21の下端を閉塞する底板であり、上方に向けて膨出した球面形状に形成されている。口部20は、胴部21の上端部に立設された横断面視円形の直筒部であり、軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延設されている。
【0019】
図3(a)に示すように、本体フランジ23は、口部20の外周に全周に亘って周設された円環状のフランジ部である。詳しく説明すると、本体フランジ23は、径方向外側に向かって階段状に下がった段形状に形成された板部であり、その概略構成としては、口部20の上端部から径方向外側に突出した上段部25と、上段部25の外縁から垂下された段差部26と、段差部26の下端から径方向外側に突出した下段部27と、を備えている。上段部25及び下段部27は、それぞれ図1に示す軸線Oに対して垂直に配設された円環状の平板部であり、段差部26は、図1に示す軸線Oを共通軸にして口部20と同軸に配設された円筒部である。
【0020】
図1、図2に示すように、蓋体3は、下端が開口された有頂筒状の上蓋であり、その概略構成としては、軸線Oに対して垂直に配設された天壁部30と、天壁部30の外縁から垂下された筒状の周壁部31と、周壁部31の下端から径方向外側に向けて突出した蓋体フランジ32と、蓋体フランジ32の内周部の下面から垂下されて容器本体2の口部20の内側に嵌入された嵌合筒部33と、を備えている。
天壁部30は、平面視円形の平板部であり、容器本体2の口部20の上方に配設されている。周壁部31は、下方に向かうに従い漸次拡径されたテーパー形状の円筒部である。
【0021】
図3(a)に示すように、蓋体フランジ32は、周壁部31の外周に全周に亘って周設された円環状のフランジ部である。この蓋体フランジ32は、本体フランジ23の上面に沿って形成されて本体フランジ23の上面に重ね合わせられており、蓋体フランジ32と本体フランジ23とは密接されている。詳しく説明すると、蓋体フランジ32は、本体フランジ23と同様に、径方向外側に向かって階段状に下がった段形状に形成された板部であり、その概略構成としては、周壁部31の下端部から径方向外側に突出した上段部35と、上段部35の外縁から垂下された段差部36と、段差部36の下端から径方向外側に突出した下段部37と、を備えている。
【0022】
上段部35及び下段部37は、それぞれ図1に示す軸線Oに対して垂直に配設された円環状の平板部であり、段差部36は、図1に示す軸線Oを共通軸にして嵌合筒部33と同軸に配設された円筒部である。蓋体フランジ32の上段部35は本体フランジ23の上段部25の上面に重ね合わせられており、それら上段部25、35同士は密接されている。また、蓋体フランジ32の段差部36は本体フランジ23の段差部26の外周に周設されている。この蓋体フランジ32の段差部36の内径は本体フランジ23の段差部26の外径よりも大きく、蓋体フランジ32の段差部36の内周面と本体フランジ23の段差部26の外周面との間には隙間10が全周に亘って形成されている。また、蓋体フランジ32の下段部37は、本体フランジ23の下段部27の上面に重ね合わせられており、それら下段部27、37同士は密接されている。
【0023】
嵌合筒部33は、上記した蓋体フランジ32の上段部35の下面から垂下された円筒形状の筒部であり、図1に示す軸線Oを共通軸にして容器本体2の口部20と同軸上に配設されている。この嵌合筒部33の外周面には、軸方向に延在する凹溝34が形成されている。この凹溝34は1つ以上形成されており、複数の凹溝34が形成されていることが好ましい。この凹溝34の下端は容器1の内部に向けて開放されている。
【0024】
図1、図2に示すように、保持具4は、上述したように重ね合わされた本体フランジ23及び蓋体フランジ32に対して全周に亘って装着された円環状の部材であり、上記本体フランジ23及び蓋体フランジ32を上下及び径方向外側から保持する部材である。詳しく説明すると、保持具4の概略構成としては、本体フランジ23及び蓋体フランジ32の径方向外側に全周に亘って周設された環状の周壁部40と、周壁部40の上端部から径方向内側に向けて突出されていると共に周壁部40の全周に亘って延設された環状の上壁部41と、周壁部40の下端部から径方向内側に向けて突出されていると共に周壁部40の全周に亘って延設された環状の下壁部42と、を備えている。
【0025】
図3(a)に示すように、周壁部40は、図1に示す軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延設された円筒形状の筒部である。この周壁部40の内径は上記した本体フランジ23(下段部27)の外径よりも大きく、周壁部40の内周面と本体フランジ23の外縁面との間には隙間11が全周に亘って形成されている。
【0026】
上壁部41は、図1に示す軸線Oに対して垂直に配設された板部であり、蓋体フランジ32の下段部37の上方に配設されていると共に、蓋体フランジ32に沿って全周に亘って延設されている。この上壁部41は、蓋体フランジ32の下段部37の上面に全周に亘って重ね合わせられており、上壁部41と蓋体フランジ32の下段部37とは密接されている。
【0027】
下壁部42は、図1に示す軸線Oに対して垂直に配設された板部であり、本体フランジ23の下方に配設されていると共に、本体フランジ23に沿って全周に亘って延設されている。また、この下壁部42は、全周に亘って本体フランジ23との間に隙間Dをあけて配設されている。すなわち、下壁部42の上面と上壁部41の下面との間隔L1が、重ね合わされた本体フランジ23及び蓋体フランジ32の重ね厚さ(本体フランジ23の下面から蓋体フランジ32の上面までの寸法)L2よりも大きく、下壁部42が本体フランジ23に対して間隔をあけて配設されている。また、下壁部42の上面には、径方向に延在する凹溝43が周方向に間欠的に形成されている。この凹溝43は下壁部42の内縁(先端)まで延在しており、凹溝43の径方向内側の端部(下壁部42の先端側の端部)は下壁部42の内縁面において外部に向けて開口されている。
【0028】
また、図1、図2に示すように、保持具4は、上記した本体フランジ23及び蓋体フランジ32に対して脱着可能な器具であり、その一部が外周側に向けて回動することで取り外し可能となっている。詳しく説明すると、保持具4は、3つの円弧部材44〜46がヒンジ47、47を介して連結された構成からなる。すなわち、保持具4は、中間の円弧部材44と、その中間の円弧部材44の両端部にそれぞれヒンジ47、47を介して連結された一対の円弧部材45、46と、を備えており、これらの円弧部材44〜46が組み合わせられることで平面視円環状に形成されている。
【0029】
中間の円弧部材44は、円弧角が略180度の半円弧状の部材であり、一対の円弧部材45、46は、それぞれ円弧角が略90度の1/4円弧状の部材である。また、上記したヒンジ47は軸方向に延在されており、一対の円弧部材45、46はそれぞれ軸線Oに垂直な平面に沿って中間の円弧部材44に対して相対的に回動可能となっている。また、保持具4には、一対の円弧部材45、46同士を連結して一対の円弧部材45、46の回動を規制する連結機構48が設けられている。この連結機構48は、一対の円弧部材45、46のうちの一方の円弧部材45の端部(ヒンジ47側の反対側の端部)に突設された係合凸部48aと、他方の円弧部材46の端部(ヒンジ47側の反対側の端部)にヒンジ48c回りに回転可能に付設された操作板48bと、を備えている。この操作板48bには、上記した係合凸部48aが嵌合される係合孔48dが形成されている。
【0030】
次に、上記した構成からなる容器1の作用について説明する。
【0031】
まず、容器1の内圧が上昇する前の状態においては、図3(a)に示すように、本体フランジ23と蓋体フランジ32が重ね合わされて全周に亘って密接されており、しかも、それら本体フランジ23と蓋体フランジ32が保持具4によって全周に亘って保持されているので、本体フランジ23と蓋体フランジ32との間が確実にシールされている。詳しく説明すると、蓋体フランジ32の上段部35が本体フランジ23の上段部25の上面に密接されてシールされていると共に、蓋体フランジ32の下段部37が本体フランジ23の下段部27の上面に密接されてシールされている。
【0032】
一方、容器1の内圧が上昇すると、図3(b)に示すように、容器1の内圧によって蓋体3が容器本体2に対して相対的に押し上げられ、保持具4の下壁部42と本体フランジ23との間の隙間Dの分だけ蓋体3全体が容器本体2に対して相対的に上昇する。その結果、本体フランジ23と蓋体フランジ32との間に全周に亘って隙間12、13が形成され、容器1の内部と外部とを連通する連通路14が形成され、その連通路14を介して容器1の内部の内圧が外部に開放され、容器1の内圧上昇が抑えられる。
【0033】
詳しく説明すると、容器1の内圧上昇に伴い蓋体3全体が容器本体2に対して相対的に上昇すると、蓋体フランジ32の上段部35が本体フランジ23の上段部25の上面から離間して双方の上段部25、35の間に全周に亘って隙間12が形成され、また、蓋体フランジ32の下段部37が本体フランジ23の下段部27の上面から離間して双方の下段部27、37の間に全周に亘って隙間13が形成される。上記した前者(上段側)の隙間12は、嵌合筒部33の凹溝34に連通されると共に、本体フランジ23の段差部26と蓋体フランジ32の段差部36との間の隙間10に連通される。また、上記した後者(下段側)の隙間13は、本体フランジ23の段差部26と蓋体フランジ32の段差部36との間の隙間10に連通されると共に、周壁部40と本体フランジ23との間の隙間11に連通される。また、容器1の内圧上昇に伴い蓋体3全体が容器本体2に対して相対的に上昇すると、蓋体フランジ32の下段部37によって保持具4の上壁部41が押し上げられて蓋体3と共に保持具4が上昇する。これにより、保持具4の下壁部42が本体フランジ23の下段部27の下面に当接する。このとき、下壁部42に形成された凹溝43の径方向外側の端部(下壁部42の基端側の端部)は、周壁部40と本体フランジ23との間の隙間11に連通される。したがって、上記した凹溝34、43及び隙間10、11、12、13によって容器1の内部と外部を連通させる連通路14が形成される。このとき、蓋体フランジ32の外径を保持具4の周壁部40の内径と等しくすると、前記した連通路14を確実に確保できると共に保持具4の装着状態が安定する。
【0034】
また、上記した容器1を開封する際には、まず、保持具4を本体フランジ23及び蓋体フランジ32から取り外す。詳しく説明すると、まず、操作板48bをヒンジ48c回りに回動させて係合孔48d内から係合凸部48aを外して連結機構48を解除する。続いて、図2に示すように、一対の円弧部材45、46をそれぞれヒンジ47、47回りに回動させて本体フランジ23及び蓋体フランジ32から取り外す。次に、中間の円弧部材44を径方向外側(図2における上側)に向けて離間させて本体フランジ23及び蓋体フランジ32から取り外す。
【0035】
次に、蓋体3を容器本体2から取り外す。詳しく説明すると、蓋体3を容器本体2に対して相対的に上方に移動させる。これにより、蓋体3の嵌合筒部33が容器本体2の口部20から引き抜かれて蓋体3が容器本体2から取り外される。このとき、蓋体3を引き上げるだけの操作なので、容器本体2の胴部21を強く把持する必要がなく、容器本体2が転倒しないように容器本体2の胴部21を軽く把持するだけでよい。
以上により、容器1が開封される。
なお、開封された容器1を再び密封するには、上述した開封操作を反対に行えばよい。すなわち、容器本体2の上端に蓋体3を被せて嵌合筒部33を口部20の内側に嵌入させると共に本体フランジ23の上面に蓋体フランジ32を重ね合わせ、その後、それら本体フランジ23及び蓋体フランジ32に保持具4を装着させればよい。
【0036】
上記した容器1によれば、容器1の内圧が高まった場合にその圧力を外部に開放することができるので、容器1の内圧が高まった場合でも、不用意に内容物が容器1の外部へ飛散したり蓋体3が外れて容器1が開封されたりすることを防止することができる。
【0037】
また、保持具4を装着することによって容器本体2の本体フランジ23と蓋体3の蓋体フランジ32との重ね合わせた状態を保持できるので、装着操作性に優れている。
【0038】
また、容器1の開封時に容器本体2の胴部21を強く把持する必要がないので、容器本体2の胴部21を変形させずに開封操作を行うことができ、開封時に容器本体2内の内容物がこぼれ出ることを防止することができる。
【0039】
また、上記した容器1では、容器1の内圧上昇に伴い蓋体3全体が上昇して本体フランジ23と蓋体フランジ32との間に全周に亘って隙間12、13が形成されるので、容器1の内部と外部とを連通する連通路14が確実に形成され、容器1の内圧を確実に開放させることができる。
【0040】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る容器101について図4〜図7に基いて説明する。
なお、上記した第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図4に示すように、容器本体2には、平板状の本体フランジ123が備えられている。この本体フランジ123は、口部20の上端部から径方向外側に向けて突出していると共に全周に亘って延設された平面視円環状の平板部であり、軸線Oに対して垂直に配設されている。
【0042】
蓋体3には、弾性変形可能な平板状の蓋体フランジ132が備えられている。この蓋体フランジ132は、蓋体3の周壁部31の下端部から径方向外側に向けて突出していると共に全周に亘って延設された平面視円環状の平板部であり、軸線Oに対して垂直に配設されている。この蓋体フランジ132は、上記した本体フランジ123の上面に重ね合わせられており、これら蓋体フランジ132と本体フランジ123とは密接されている。
【0043】
図4、図5に示すように、保持具4には、上記した本体フランジ123及び蓋体フランジ132を上下から挟み込む上下一対の壁部(上壁部141、下壁部142)が備えられている。図5、図6(a)、図7(a)に示すように、上壁部141は、上記した蓋体フランジ132に重ね合わせられて蓋体フランジ132の上面に密接された重合部分141Aと上記した蓋体フランジ132の上方に間隔をあけて配設された離間部分141Bとが周方向に並設された構成からなり、上壁部141の下面に凹部141aが周方向に間欠的に形成されている。また、下壁部142は、本体フランジ123に重ね合わされて本体フランジ123の下面に密接されている。また、この下壁部142の上面のうち、上記した凹部141aに対応する位置には、径方向に延在する凹溝43が周方向に間欠的に形成されている。
【0044】
次に、上記した構成からなる容器101の作用について説明する。
【0045】
容器101の内圧が上昇すると、図6(b)、図7(b)に示すように、容器101の内圧によって蓋体3が容器本体2に対して相対的に押し上げられ、図4に示す蓋体3の天壁部30、周壁部31及び嵌合筒部33が容器本体2に対して相対的に上昇する。このとき、図6(b)に示すように、保持具4の上壁部141のうちの重合部分141Aの位置においては、蓋体フランジ132が上壁部141と下壁部142との間に挟持されて蓋体フランジ132の上方変位が規制されており、図7(b)に示すように、離間部分141Bの位置においては、凹部141aによって蓋体フランジ132の上方変位が許容されている。このため、蓋体3の周壁部31等の上昇に伴い蓋体フランジ132が弾性変形し、蓋体フランジ132のうち、凹部141aに対応する部分132aが上方変位して本体フランジ123の上面から離間する。その結果、本体フランジ123と蓋体フランジ132の上方変位部分132aとの間に隙間112が形成される。この隙間112は、嵌合筒部33の凹溝34に連通されると共に、周壁部40と本体フランジ123との間の隙間11に連通される。したがって、上記した凹溝34、43及び隙間11、112によって容器101の内部と外部を連通させる連通路114が形成される。これにより、この連通路114を介して容器101の内部の内圧が外部に開放され、容器101の内圧上昇が抑えられる。
【0046】
また、容器101の内圧が低下すると、蓋体フランジ132の弾性力によって蓋体3が元の位置に復元される。すなわち、図6(a)、図7(a)に示すように、蓋体フランジ132の弾性力によって図4に示す蓋体3の天壁部30、周壁部31及び嵌合筒部33が容器本体2に対して相対的に下降し、蓋体フランジ132が全周に亘って本体フランジ123の上面に密接する。これにより、蓋体フランジ132と本体フランジ123との間がシールされる。
【0047】
上記した容器101によれば、容器101の内圧が低下すると、蓋体フランジ132が弾性によって復元され、蓋体フランジ132が本体フランジ123に密接するため、容器101の内圧が低下したときに安定したシール性を発揮することができる。
【0048】
また、上記した容器101によれば、蓋体フランジ132のうちの凹部141aに対応する部分132aのみが本体フランジ123から離間して隙間112が形成されるので、連通路114が狭くなる。したがって、容器101の内圧が上昇して連通路114が形成されたときに、連通路114から内容物が漏出(噴出)しにくく、内圧上昇時における液漏れを防止することができる。また、内圧上昇時に形成される連通路114が狭いため、急激な内圧低下を抑えることができる。
なお、嵌合筒部33と口部20との嵌合力や、蓋体フランジ132の肉厚などを調整することによって、蓋体3の天壁部30、周壁部31及び嵌合筒部33が実質的に上昇せずに、蓋体フランジ132の弾性変形のみによって連通路114を形成することもできる。
【0049】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係る容器201について図8、図9に基いて説明する。
なお、上記した第1、第2の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
図8、図9に示す容器201は、容器201の内圧上昇に伴う蓋体フランジ232の弾性変形によって蓋体フランジ232全体が本体フランジ223から離間して連通路214が形成される構成である。
【0051】
詳しく説明すると、図8に示すように、容器本体2の口部20の下端部には、径方向外側に向けて突出した平板状の本体フランジ223が全周に亘って設けられている。この本体フランジ223には、図9(a)に示すように、本体フランジ223の外縁面から下面にかけて延在する凹溝228が形成されている。この凹溝228の一端は本体フランジ223の上面の外縁部において開口され、凹溝228の他端は本体フランジ223の下面の内縁部まで延在されており、凹溝228は外部に連通されている。
【0052】
また、図8に示すように、蓋体3の周壁部31の下端部には、径方向外側に向けて突出した湾曲板状の蓋体フランジ232が全周に亘って設けられている。この蓋体フランジ232は、周壁部31の下端から外向きに折り曲げられた内周部232aと、径方向外側に向かって上向きに傾斜された中間部232bと、下向きに折り曲げられた外周部232cと、からなる。上記した内周部232aの下端面は本体フランジ223の上面に全周に亘って密接されており、蓋体フランジ232と本体フランジ223との間がシールされている。また、上記した外周部232cの上端面は保持具4の上壁部141の下面に全周に亘って密接され、外周部232cの下端面(蓋体フランジ232の外縁面)は本体フランジ223の外周部上面に当接されている。また、蓋体3の周壁部31の下端部は容器本体2の口部20の外周に嵌合されて、周壁部31の下端部の内周面は口部20の外周面に全周に亘って密接されており、口部20と周壁部31との間がシールされている。
【0053】
次に、上記した構成からなる容器201の作用について説明する。
【0054】
容器201の内圧が上昇すると、図9(b)に示すように、容器201の内圧によって蓋体3が容器本体2に対して相対的に押し上げられ、図8に示す蓋体3の天壁部30及び周壁部31が容器本体2に対して相対的に上昇する。これにより、図9(b)に示すように、蓋体フランジ232がその外周部(外周部232cの下端面及び上端面)を固定支点にして弾性変形し、蓋体フランジ232の内周部232aが上方に変位して内周部232aの下端面が本体フランジ223の上面から離間する。すなわち、縦断面視において、蓋体フランジ232の中間部232b及び内周部232aが、蓋体3の周壁部31等の上昇に伴い外周部232cの上端部を支点にして上向きに回動する。また、蓋体3の周壁部31がテーパー円筒形状に形成されているため、前記上昇に伴い周壁部31の下端部の内周面が口部20の外周面から離間する。以上により、周壁部31の下端部と口部20との間に、容器201(蓋体3)の内部に連通する隙間210が全周に亘って形成されると共に、本体フランジ223と蓋体フランジ232との間に、前記隙間210及び上記した凹溝228にそれぞれ連通される隙間211が全周に亘って形成される。そして、これらの隙間210、211と凹溝228によって、容器201の内部と外部とを連通する連通路214が形成される。その結果、この連通路214を介して容器201の内部の内圧が外部に開放され、容器201の内圧上昇が抑えられる。
【0055】
また、容器201の内圧が低下すると、図9(a)に示すように、蓋体フランジ232の弾性力によって蓋体3が元の位置に復元され、蓋体フランジ232の内周部232aの下端面が本体フランジ223の上面に密接すると共に、蓋体3の周壁部31の下端部の内周面が口部20の外周面に密接する。
【0056】
上記した容器201によれば、容器201の内圧が低下すると、蓋体フランジ232が弾性によって復元され、蓋体フランジ232の内周部232aが本体フランジ223に密接すると共に、蓋体3の周壁部31の下端部が口部20に密接するため、容器201の内圧が低下したときに安定したシール性を発揮することができる。
【0057】
また、上記した容器201では、容器201の内圧上昇に伴い蓋体フランジ232全体が弾性変形することで、容器201の内部と凹溝228とを連通する隙間210、211が全周に亘って形成されるので、容器201の内圧を確実に開放させることができる。
【0058】
以上、本発明に係る容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図10に示すように、凹溝34の上端が嵌合筒部33の上端まで延在せずに嵌合筒部33の軸方向中間部の位置で止まっており、嵌合筒部33の上端部の外周面と口部20の上端部の内周面とが全周に亘って密接されてシールされた構成であってもよい。この場合、本体フランジ23と蓋体フランジ32との間がシールされていなくてもよく、本体フランジ23の上段部25と蓋体フランジ32の上段部35との間や、本体フランジ23の下段部27と蓋体フランジ32の下段部37との間に、当初から隙間が形成されていてもよい。
【0059】
また、上記した実施の形態では、中間の円弧部材44と、その中間の円弧部材44の両端部にヒンジ47、47を介してそれぞれ連結された一対の円弧部材45、46と、からなる保持具4が備えられており、この保持具4は、一対の円弧部材45、46をヒンジ47、47回りにそれぞれ回動させることで取り外し可能となっているが、本発明における保持具は他の構成であってもよい。例えば、ヒンジを介して連結された一対の円弧部材からなる保持具であってもよく、或いは複数の円弧部材の両端同士がそれぞれ連結機構48を介して連結された分割可能な保持具であってもよい。また、使い捨て容器の場合には、取り外しのみ可能な保持具であってもよく、例えば複数の円弧部材の端部同士が弱化部を介して連結されたバージンシール状の保持具であってもよい。さらに、環状の保持具4に代えてC字形状の保持具や、複数の保持具を周方向に間隔をあけて使用してもよい。
【0060】
また、上記した実施の形態では、容器本体2が有底筒状のカップ形状に形成されており、また、蓋体3が有頂筒状の逆さカップ形状に形成されているが、本発明における容器本体や蓋体の形状は適宜変更可能である。例えば、半球状(椀状)や角筒状の容器本体であってもよく、或いは、ボトル状等の容器本体であってもよい。また、半球状や平板状の蓋体であってもよく、また、容器本体の口部の内側に嵌合された中栓状の蓋体であってもよい。
【0061】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1、101、201 容器
2 容器本体
3 蓋体
4 保持具
14、114、214 連通路
20 口部
23、123、223 本体フランジ
32、132、232 蓋体フランジ
40 周壁部
41、141 上壁部
42、142 下壁部
141a 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体と、該容器本体の口部に被せられて該口部を密閉する蓋体と、を備えており、
前記容器本体に、径方向外側に向けて突出した本体フランジが全周に亘って設けられ、
前記蓋体に、径方向外側に向けて突出した蓋体フランジが全周に亘って設けられ、
該蓋体フランジと前記本体フランジとが重ね合わせられた容器において、
前記本体フランジ及び前記蓋体フランジを保持する取り外し可能な保持具が備えられ、
該保持具には、
前記本体フランジ及び前記蓋体フランジの径方向外側に周設された周壁部と、
該周壁部から径方向内側に向けて突出して前記本体フランジの下方に配設されていると共に該本体フランジに沿って延設された下壁部と、
前記周壁部から径方向内側に向けて突出して前記蓋体フランジの上方に配設されていると共に該蓋体フランジに沿って延設された上壁部と、
が備えられ、
容器の内圧が上昇して前記蓋体が上方に変位することで、前記本体フランジと前記蓋体フランジとの間に形成された連通路を介して容器内部と外部とが連通されることを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器において、
前記下壁部が全周に亘って前記本体フランジとの間に隙間をあけて配設されており、
前記蓋体の前記容器本体に対する相対的な上方移動が許容されていることを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項1に記載の容器において、
前記蓋体フランジが弾性変形可能であり、
容器の内圧上昇に伴う前記蓋体フランジの弾性変形によって前記蓋体フランジが前記本体フランジから離間して前記連通路が形成されることを特徴とする容器。
【請求項4】
請求項3に記載の容器において、
前記上壁部の下面が前記蓋フランジの上面に密接されていると共に前記上壁部の下面に凹部が形成され、
容器の内圧上昇に伴う前記蓋体フランジの弾性変形によって前記凹部の位置において前記蓋体フランジが前記本体フランジから離間して前記連通路が形成されることを特徴とする容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−178426(P2011−178426A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43447(P2010−43447)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】