説明

容易に結合できる多層軟質チップを持つカテーテル

【課題】容易に結合できる多層軟質チップを持つカテーテルを提供する。
【解決手段】バルーンカテーテル(10)は、軟質の先端チップ部材(15)を有する。先端チップ部材(15)は、非粘着性の内(ライナ)層材料(33)及び軟質で可撓性の外層材料(34)を含む。これらの材料は両方とも、カテーテルバルーンに熱で容易に結合できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体としてカテーテルに関し、更に詳細には経皮経管的冠動脈形成手術(PTCA)又はステントの送出で使用するための脈管内カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
経皮経管的冠動脈形成手術(PTCA)では、案内カテーテルを、その先端が所望の冠動脈の口に着座するまで、患者の脈管構造内で前進させる。先ず最初に、ガイドワイヤを、拡張されるべき病変部位をその先端が横切るまで、案内カテーテルの先端の外に患者の冠動脈内に前進する。膨張可能なバルーンが先端に設けられた拡張カテーテルを、予め導入したガイドワイヤ上で、患者の冠状の解剖学的構造内に、拡張カテーテルのバルーンが病変部位を横切って適正に位置決めされるまで前進する。適正に位置決めされた後、膨張可能なバルーンを膨張流体で、一回又はそれ以上、圧力が比較的高い所定の大きさまで膨張する。その結果、狭窄部が動脈壁に押し付けられ、脈管通路を開放する。一般的には、バルーンの膨張時の直径は、動脈壁の拡張を完了するが過剰に拡張することがないように、拡張される身体内腔の自然の状態の直径とほぼ同じである。最後にバルーンを萎ませた後、拡張した動脈を通る血流を再開し、拡張カテーテル及びガイドワイヤをそこから取り出す。
【0003】
このような血管形成手術では、動脈で再狭窄即ち動脈遮断部の再形成が生じる場合がある。これは、別の血管形成手術又は拡張領域の何らかの他の修復方法又は強化方法のいずれかを必要とする。血管形成手術のみによる再狭窄率を低減するため、及び拡張領域を強化するため、医師は、現在では、通常は、一般的にステントと呼ばれる脈管内プロテーゼを病変部位のところで動脈の内側に埋め込む。ステントは、血管内膜フラップ又は解離部がある血管の修復や、血管の弱くなった区分を全体に強化し、その開存性を維持するのにも使用される。ステントは、一般的には、バルーン血管形成手術カテーテルと多くの点で類似したカテーテルのバルーン上で収縮した状態で冠動脈内の所望の位置に送出され、バルーンを膨張することによって、患者の動脈内で比較的大きな直径にまで拡張される。バルーンを萎ませてカテーテルを取り出し、ステントを拡張させた病変部位のところで動脈内の所定の場所に残す。例えば、米国特許第5、507、768号(ラウ等)及び米国特許第5、458、615号(クレム等)を参照されたい。出典を明示することにより、これらの特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0004】
PTCAを効果的に実施する上での一つの重要な工程は、バルーンカテーテルを冠動脈内の所望の位置に適正に位置決めする工程である。バルーンを狭窄領域に適正に位置決めするため、カテーテルシャフトは、脈管構造を通してカテーテルシャフトを押すことができるように、カテーテルシャフトの長さに沿って力を伝達できなければならない。しかしながらカテーテルシャフトは、更に、カテーテルシャフトを、多くの場合に曲がりくねった脈管構造を通してガイドワイヤ上で移動できるのに十分な可撓性を保持しなければならない。更に、カテーテルは、良好な横断性(crossability)(即ち、カテーテル先端が患者の脈管の解剖学的構造の狭窄部を横切る性能)を備えていなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5、507、768号
【特許文献2】米国特許第5、458、615号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の脈管内カテーテルは、一般的には、脈管内でのカテーテルの前進中に血管に傷が付かないようにし又は傷を最少にする軟質の先端チップを含む。一つの問題点は、軟質チップの材料がガイドワイヤと摩擦係合したりガイドワイヤに粘着したり(一般的には、ガイドワイヤの「ロック」と呼ばれる)し易く、そのため、カテーテルを前進させたり引っ込めたりするのが困難になるということである。更に、軟質チップの設計において、拡張手順中及び即ちステント装着手順中にデバイスを可撓性を以て移動するのを補助し、それにも関わらず、軟質チップ構造の破損/係合状態からの外れ又は軟質チップとカテーテルシャフトとの間の接合部でのキンクが起こらないようにするため、カテーテルの先端の剛性を最小にする必要がある。
【0007】
従って、性能を向上した軟質チップを持つカテーテルを提供することが大きな前進をもたらす。本発明は、これらの及び他の必要を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、非粘着性の内(ライナ)層材料及び軟質で可撓性の外層材料を持つ軟質チップ部材を持つバルーンカテーテルに関する。両材料は、カテーテルのバルーンに熱で容易に結合できる。チップをバルーンの先端に、好ましくは固定的結合を提供するが非粘着性の内面を持つ可撓性で軟質の先端を持つ形体で融着する。
【0009】
本発明のカテーテルは、全体として、細長いカテーテルシャフトと、先端シャフト区分に設けられたバルーンと、カテーテルの先端の先端チップ部材とを含む。このチップ部材は、第1ショアージュロメータ硬度の第1ポリマー材料で形成された内層と、ジュロメータ硬度が第1ポリマー材料よりも低く、第1ポリマー材料に関して融着適合性の第2ポリマー材料で形成された外層とを含む。更に詳細には、一実施例では、バルーンカテーテルの細長いカテーテルシャフトは、基端と、先端と、基端シャフト区分と、先端シャフト区分と、カテーテルシャフトの少なくとも先端部に沿って延びるガイドワイヤ受け入れ内腔と、膨張内腔と、内部がシャフト膨張内腔と流体連通するように先端シャフト区分に密封をなして固定された膨張可能なバルーンと、先端チップ部材(内層が第1ポリマー材料で形成されており、外層が第2ポリマー材料で形成されている)とを含む。先端チップ部材の基端は、細長いカテーテルシャフトの先端から先端方向に長さ方向に間隔が隔てられている。先端チップ部材は、シャフトのガイドワイヤ内腔と連通したガイドワイヤ先端ポートまで延びる内腔を有する。膨張可能なバルーンの先端スカート区分は、チップの基端に融着される。これによりチップの基端区分がバルーンの先端スカート区分及びチップの内層及び外層の融着混合部(fused blend) を形成する。融着混合部は、少なくともチップの基端区分に沿って先端スカート区分の材料に融着されたチップの外層材料及び内層材料の両方を含む。現在の好ましい実施例では、膨張可能なバルーンは、少なくとも部分的に、第1ポリマー材料(即ち、チップの内層と同じポリマー材料)で形成されている。
【0010】
第1及び第2のポリマー材料は、好ましくは、同じ系統のポリマー、例えばポリアミドで形成されており、更に好ましくは、同じ種類のポリマー、例えばポリエーテルブロックアミド(PEBAX)で形成されているが、第1ポリマー材料は第2ポリマー材料とショアージュロメータ硬度が異なり、第1及び第2のポリマー材料が同じポリマー材料ではないということは理解されるべきである。現在の好ましい実施例では、第1及び第2のポリマー材料はポリエーテルブロックアミド(PEBAX)コポリマー又はナイロン等のポリアミドである。
【0011】
第1ポリマー材料は、好ましくは、ショアージュロメータ硬度が比較的高い材料であり、先端チップの少なくとも一区分に沿って非粘着性の内面を提供する。例えば、ジュロメータ硬度が比較的高いポリアミドは、代表的には、非粘着性であるが、ジュロメータ硬度が比較的低いポリアミドは、少なくともカテーテルの組み立て中又は使用中に一般的に遭遇する温度で粘着性(接着剤のような粘着性)である。このような粘着性材料は、カテーテルの組み立て中に加工マンドレルに付着し、チップを引き裂いたり損傷したりする危険が大きい。更に、介入的医療手順でのカテーテルの使用中、このような粘着性材料はガイドワイヤの「ロック」を引き起し、かくして不都合なことに、カテーテルの送出性に悪影響を及ぼす。しかしながら、高密度ポリエチレン(HDPE)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の潤滑性内材料層及びバルーンに融着結合するための結合性材料でできた外層を持つ先端を提供することによってカテーテルの加工性及び送出性を改善しようとする試みとは異なり、本発明の先端チップの内層及び外層は、両方とも、バルーンに対して個々に融着(即ち熱によって結合)できる(バルーンに対して融着結合部を形成する)。その結果、本発明のカテーテルではチップの一体性が向上する。
【0012】
本発明のカテーテルの製造方法は、全体として、先端チップ部材の基端をバルーンの先端スカート区分と接触した(例えば先端スカート区分内にある)状態で位置決めし、先端チップを先端スカート区分に融着する工程を含む。先端チップ部材は、チップの基端から延びる同時押出しした内層及び外層を有し、内層は、第1ショアージュロメータ硬度の第1ポリマー材料で形成されており、外層はショアージュロメータ硬度が第1ポリマー材料よりも低い、第1ポリマー材料と融着適合性の第2ポリマー材料で形成されており、バルーンは少なくとも部分的に先端チップ材料と融着適合性のポリマー材料で形成されている。融着は、代表的には、バルーンの先端スカート区分の先端部分の外面に熱及び力を加えて先端スカート区分の内面を先端チップ部材の基端に融着する工程を含み、融着は、チップの基端区分がバルーンの先端スカート区分及びチップの内層及び外層の融着混合部であるように行われ、融着混合部は、先端スカート区分の材料にチップの基端区分に沿って融着された先端チップの外層及び内層の両方を含む。この方法は、代表的には、融着された先端チップ部分の基端側に配置されたバルーンの先端スカート区分の基端部分の外面に熱及び半径方向内方への力を加え、先端スカート区分を細長いシャフトに、チップの基端が細長いシャフトから、それらの間の間隔によって長さ方向に先端方向に間隔が隔てられるように結合することによって、細長いカテーテルシャフトのバルーン先端スカート区分を結合する工程を含む。
【0013】
本発明のカテーテルは、多層先端チップの形体のため、加工性及び送出操作性が向上する。軟質の先端チップは、内面が非粘着性であり、そのため、介入的手順中にガイドワイヤが「ロック」することがなく、それにも関わらず引っ張り強度が高い、チップの一体性を向上する、可撓性で非外傷性の先端を提供する。本発明のこれらの及び他の利点は、一体化の詳細な説明及び例示の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の特徴を具体化したバルーンカテーテルの部分断面側面図である。
【図2】図2は、図1のバルーンカテーテルの2−2線に沿った横断面図である。
【図3】図3は、図1のバルーンカテーテルの3−3線に沿った横断面図である。
【図4】図4は、図1のバルーンカテーテルの4−4線に沿った横断面図である。
【図5a】図5aは、カテーテルバルーンの先端スカート区分への先端チップ部材の融着中の、本発明の特徴を具体化したバルーンカテーテルの製造方法を示す図である。
【図5b】図5bは、先端チップ部材の融着後の、シャフトのチューブ状内部材への先端スカート区分の融着中の、図3のバルーンカテーテルを示す図である。
【図6】図6は、先端チップ部材をカテーテルバルーンの先端スカート区分に突き合わせ継ぎした、本発明の特徴を具体化したバルーンカテーテルの変形例の先端を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の特徴を具体化したステント送出バルーンカテーテル10を示す。カテーテル10は、全体として、基端12(応力解放/基端アダプタ内)、先端13、基端シャフト区分、および先端シャフト区分を含む細長いカテーテルシャフト11と、先端シャフト区分に設けられた膨張可能なバルーン14と、カテーテル10の先端に設けられた先端チップ15とを含む。カテーテルシャフト11は、膨張内腔16と、ガイドワイヤ内腔17とを有する。例示の実施例では、カテーテル10は迅速交換型カテーテルであり、ガイドワイヤ内腔17が先端シャフト区分に沿って、カテーテルシャフトの基端12から先端方向に間隔が隔てられたガイドワイヤ基端ポート18まで延びている。シャフトは基端12のところで、応力解放チューブ及び基端アダプタ20に連結されている。基端アダプタ20は、カテーテルシャフト11の膨張内腔16と流体連通したポート21を有し、バルーン14の膨張/収縮を行うための流体源(図示せず)に連通されるように形成されている。バルーン14は、膨張させていない形体で図1に示してあり、半径方向に拡張可能なステント19がバルーン14に取り付けられている。カテーテル10の先端を、患者の身体の内腔の所望の領域まで、従来の方法で、バルーン14が低プロファイルの膨張させていない形体で前進させ、膨張流体をバルーンの内部に差し向けることによってバルーン14を膨張させ、バルーン及びステントを拡張し、再位置決め及び身体内腔からの取り出しを行うためにバルーンを萎ませ、ステント19を身体内腔に埋め込む。バルーン14は、様々な医療手順を実施するように形成できる。
【0016】
例示の実施例では、シャフト11は、膨張内腔16を持つチューブ状外部材22と、ガイドワイヤ24を摺動自在に受け入れるように形成されたガイドワイヤ内腔17を内部に形成するチューブ状内部材23とを含む。詳細には、チューブ状外部材22とチューブ状内部材23とが同軸関係にあるため、図1のカテーテルの2−2線に沿った横断面を示す図2に最もよく示すように、環状膨張内腔16が形成される。膨張可能なバルーン14は、チューブ状外部材22の先端に密封をなして固定された基端スカート区分25と、チューブ状内部材23の先端に密封をなして固定された先端スカート区分26とを有し、バルーンの内部は膨張内腔16と流体連通している。
【0017】
先端チップ15は、細長いカテーテルシャフトのチューブ状内部材23の先端13から、間に隙間を置いて、先端方向に長さ方向で間隔が隔てられた基端30と、チップ15の先端のガイドワイヤ先端ポート32まで延びる内腔31とを有する。先端チップ内腔31及びガイドワイヤ先端ポート32は、チューブ状内部材23のシャフトガイドワイヤ内腔17と連通しており、そのため、ガイドワイヤ24がその中に摺動自在に配置される。
【0018】
先端チップ15は、第1ショアージュロメータ硬度を持つ第1ポリマー材料で形成された、先端チップ15の内腔31の少なくとも一区分を形成する内層33と、第1ポリマー材料よりもショアージュロメータ硬度が低く第1ポリマー材料と融着適合性の第2ポリマー材料で形成された外層34とを有する。好ましくは、バルーン14は、少なくとも一部が第1又は第2のポリマー材料で形成されている。更に詳細には、一つの現在の好ましい実施例では、バルーンは、第1ポリマー材料(即ち、先端チップ15の内層33と種類及びジュロメータ硬度が同じポリマー材料)で形成された少なくとも一つの層を有する。例えば、一実施例では、バルーンは、第1ポリマー材料で形成された単層バルーンである。しかしながら、カテーテルバルーンは、便利には、多数の材料から、例えば多層バルーンとして形成されていてもよい。かくして、変形例では、バルーンは第1ポリマー材料で形成された外層及び異なるポリマー材料で形成された内層を有する。
【0019】
図1に示す実施例では、先端チップ15は、先端チップ15の基端30が先端スカート区分26によって取り囲まれるように、その基端区分36に沿って先端スカート区分26の先端の内面に融着されている。チップ15の内層33の材料及び外層34の材料は、チップ15の基端区分36が、バルーン先端スカート区分26及びチップ15の内層33及び外層34の融着混合部であるように、チップ15の基端区分36に沿って延びている。先端スカート区分26の内面を先端チップ15の外面に融着することにより、材料を溶融するまで軟化し、内層33の材料が先端スカート区分26の材料と接触してこれに融着するのに十分なだけ流動し、内層33の材料、外層34の材料、及び先端スカート区分26の材料の全ての融着混合部を形成する。かくして融着混合部では、チップ15の外層34の材料及び内層33の材料の両方が、先端スカート区分26の材料に、チップ15の基端区分36に沿って融着される。「内層33の材料」及び「外層34の材料」という用語は、基端区分36(バルーン先端スカート区分26への融着前には、基端区分36に沿って内層33及び外層34が別個の層として延びている)での融着混合材料に関するということは理解されるべきである。融着後、融着混合部内の内層33の材料及び外層34の材料は、元の別個の層の所定の構造を持たずに結合している。
【0020】
内層33の材料及び外層34の材料は、両方とも、先端チップ15の基端30まで延びている。かくして、三つの材料(内層33の材料、外層34の材料、及び先端スカート区分26の材料)全ての融着混合部が、先端チップ15に融着された先端スカート区分26の部分の全長に沿って延びている。
【0021】
先端チップ部分15の先端区分は、融着したチップ15の基端区分36及びバルーン先端スカート区分26の先端側に配置される。かくして、バルーン先端スカート区分26の先端27は、先端チップ15の先端から基端方向に間隔が隔てられている。図3は、図1の3−3線に沿った、融着した基端区分36を通る横断面を示し、図4は、図1の4−4線に沿った、チップ15の先端区分を通る横断面を示す。現在の好ましい実施例では、チップ15の先端区分は、チップの融着された基端区分36よりも長い。例えば、一実施例では、融着された基端区分36は、先端チップ15の全長の約10%乃至約25%である。
【0022】
図1に示す実施例では、先端チップ15の内層33及び外層34は、先端スカート区分26に対して突き合わせ継ぎされるのでなく、先端スカート区分26の内面に対して重ね継ぎを形成する。その結果、バルーン先端スカート区分26の少なくとも基端部分がチップ15を取り囲み、代表的には、先端チップ15の先端区分よりも大きい外径を有する。図1では、先端スカート区分26の先端27を鋭く角張った表面を持つように示してあるが、これは、代表的には、下側の先端チップ15に結合された後、丸味のあるテーパした外面を持つということは理解されるべきである。図6は、先端チップ15の基端を先端スカート区分26の先端に突き合わせ継ぎした変形例を示す。ポリマー材料及び融着部はそれ以外は図1の実施例と同じであり、図6の実施例は、同様に、融着された基端区分36が、バルーン先端スカート区分26及びチップ15の内層33及び外層34の融着混合部で形成されている。
【0023】
第1ポリマー材料(即ち先端チップ15の内層33及びバルーン14)のショアージュロメータ硬度は、一般的には、約63D乃至約75Dであるが、これに対し、第2ポリマー材料(即ち先端チップ15の外層34)のショアージュロメータ硬度は、一般的には、約40D乃至約60Dである。現在の好ましい実施例では、第1及び第2のポリマー材料は、ポリエーテルブロックアミドコポリマー(PEBAX)である。更に詳細には、一実施例では、第1ポリマー材料はPEBAX72Dであり、第2ポリマー材料はPEBAX55Dである。ジュロメータ硬度が比較的高い材料、即ちPEBAX72Dは、先端チップ15の内層33についての現在の好ましい材料である。しかしながら、PEBAX63D等のジュロメータ硬度が低い(軟質の)材料を内層33に代替として使用してもよいが、これは、結果的に形成された先端チップ15の引っ張り強度を少なくとも部分的に低下するため、及び軟質材料の摩擦力(又は粘着力)が一般的に高いため、好ましくない。
【0024】
ジュロメータ硬度が低い第2ポリマー材料は、先端チップ15に柔らかさを提供し、及びかくして先端チップ15の外層34は、代表的には、曲げ弾性率が比較的低く、室温で約3515lkg/cm2(約50000psi)を超えない。先端チップ15は、非外傷性であるのに十分に、及び医療手順中にカテーテルを患者の脈管内でガイドワイヤ上で移動させるのに十分に可撓性であり且つ軟質でなければならない。先端チップ15は、代表的には、先端チップ15と隣接した、先端チップ内腔31と連通したガイドワイヤ内腔17を形成するシャフトの部分(例えばチューブ状内部材23)よりも軟質であり且つ可撓性である。一実施例では、基端方向で隣接したシャフトの部分(例えばチューブ状内部材23)は、曲げ弾性率が先端チップ15の外層34よりも高い外層を有する。先端チップ15でのカテーテルの先端の形体は、好ましくは、可撓性の変化が改良された高度に可撓性の先端を提供し、それにも関わらず、本明細書中で論じたように、非粘着性の内面を持つ引っ張り強度が高い先端チップを提供する。
【0025】
先端チップ15は、代表的には、内層33及び外層34を一緒に同時押出しすることによって形成される。好ましくは、内層は、チップの厚さの最大約50%である。即ち、基端区分に沿ったチップ15の融着後に内層33及び外層34が別個の層のままであるチップ15の先端区分に沿って、チップの厚さの最大約50%である。更に詳細には、内層33の厚さは、代表的には、先端チップ15の外層34とほぼ等しいか或いはこれよりも約20%薄い。その結果、ジュロメータ硬度が比較的高い第1材料が十分な量で存在し、これにより所望の高いチップ引っ張り強度を提供する。一実施例では、チップ引っ張り強度は約0.363kg乃至約1.134kg(約0.8ポンド乃至約2.5ポンド)であり、更に好ましくは、約0.454kg乃至約0.907kg(約1ポンド乃至約2ポンド)である。更に、材料は、チップの融着した基端区分36に沿って混合するが、混合部には、ジュロメータ硬度が比較的高い(非粘着性)第1材料が十分な量で存在するため、内面は、ガイドワイヤ等に対し、不都合な表面の付着を生じない。
【0026】
第1ポリマー材料は、室温では非粘着性であるけれども、潤滑性ポリマー材料ではない(例えば、非潤滑性第1ポリマー材料の静摩擦係数は約0.35よりも大きい)。しかしながら、先端チップ15はガイドワイヤ内腔17の比較的短い区分を形成し、チップ15の基端側でガイドワイヤ内腔17を形成するチューブ状内部材23の内面は、好ましくは、潤滑性ポリマー材料で形成されている。これにより、ガイドワイヤ内腔17内でのガイドワイヤの摺動を容易にする。先端チップ15の長さは、代表的には、約3mm乃至約7mmであり、又は迅速交換型カテーテルのガイドワイヤ内腔17の全長の約1%乃至約2.5%であり、又はカテーテルの全長の約0.2%乃至約0.4%である。現在の好ましい実施例では、チップ15の内層33及び外層34は長さがほぼ同じである(即ち、通常の製造許容差内で等しい)。
【0027】
図5a及び図5bは、本発明の特徴を具体化した先端チップを持つバルーンカテーテルの製造方法を示す。図5a及び図5bでは、図1の実施例と対応する参照番号を使用するが、参照番号15’及び26’は、夫々、互いに融着する前の先端チップ及びバルーン先端スカート区分を図5aに示す。詳細には、図5aは、重ね継ぎを形成するためにバルーン14の先端スカート区分26内に位置決めした多層先端チップ部材15’を示す。先端チップ部材15’は、同時押出しにより形成した内層33及び外層34を有し、これらは、チップ15’の基端から先端まで延びており、バルーン14の先端スカート区分26によって取り囲まれている。本発明によれば、内層33は、第1ショアージュロメータ硬度を持つ第1ポリマー材料で形成されており、外層34は、第1ポリマー材料よりもショアージュロメータ硬度が低く第1ポリマー材料と融着適合性の第2ポリマー材料で形成されており、バルーン14は第1及び第2のポリマー材料の両方と融着適合性のポリマー材料で形成されている。現在の好ましい実施例では、バルーンは少なくとも部分的に第1ポリマー材料で形成されている。
【0028】
バルーン14の先端スカート区分26への先端チップ15の融着中、先端チップ15の内腔31内のテーパしたマンドレル40が、内腔31を開放状態に保持し、先端チップ15とバルーン14の先端スカート区分26との間に結合部を形成するのを容易にする。現在の好ましい実施例では、先端チップ部材15への先端スカート区分26の融着プロセスは、シャフトのチューブ状内部材23への先端スカート区分26の融着プロセスとは別個に行われる。詳細には、好ましくは、先ず最初に先端スカート区分26を先端チップ部材15に融着し、その後、シャフトのチューブ状内部材23に融着する。別の実施例では、先ず最初に先端スカート区分26をシャフトのチューブ状内部材23に融着してもよいし、先端チップ及びシャフトのチューブ状内部材への融着を同時に行ってもよい。
【0029】
カテーテルの製造方法は、図5aの実施例において、バルーンの先端スカート区分26’の先端部分の外面に熱及び半径方向内方への力を加え、これにより先端スカート区分26の内面を先端チップ部材15’の外面に融着する(図面において矢印で示す)工程を含む。チップ15’への融着中、熱収縮性シース41を先端スカート区分26’の先端部分に装着する。熱収縮性シース41は加熱されると収縮し、内向きの力を加え、先端スカート区分26’を先端チップ15’に押し付ける。融着の完了後、熱収縮性シース41を取り外して廃棄する。上文中に論じたように、結果的に融着されたチップ15の基端区分36は、バルーンの先端スカート区分及びチップの内層及び外層の融着混合部であり、この融着混合部は、チップの基端区分36に沿って先端スカート区分26の材料と融着した、先端チップの外層及び内層の両方を含む。
【0030】
先端チップの融着中に加えられた熱は、第1ポリマー材料のガラス転移温度以上であり、熱及び力は、チップの内層及び外層のポリマー材料を溶融し又はその基端区分に沿って流動させるのに十分である。内層33の外面は、融着前には、バルーンの先端スカート区分の内面から、外層34によって離間されているが、これらの材料は適合性であり、内層の材料が、融着された区分36に沿った、結果的に形成された混合部で先端スカート区分と接触し、融着するように、十分に軟化し、又は溶融し、そして流動する。
【0031】
カテーテルの製造方法は、バルーンの先端スカート区分を細長いシャフト11(例えばチューブ状内部材23)に結合(例えば接着剤によって及び/又は融着によって)する工程を含む。好ましくは、結合工程は、バルーンの先端スカート区分26の基端部分の外面に熱及び半径方向内方への力を加え、先端スカート区分を細長いシャフトのチューブ状内部材23に熱結合する工程を含む。現在の好ましい実施例では、先端スカート区分は、細長いシャフト11に、これらの間で接着剤を使用することなく、融着により結合されるが、変形例では、チューブ状内部材及び先端スカート区分の取り付けられる表面間に接着剤を適用し、結合部の強度を高めてもよい。図5bでは、シャフトのチューブ状内部材23への結合中、図5aの熱収縮性シース41と同様の熱収縮性シース42により先端スカート区分26の基端部分に半径方向内方への力を加える。その後、シースをマンドレル44とともに取り外し、先端スカート区分26をチューブ状内部材23に結合された状態にする。上述のように、一実施例では、バルーンの先端スカート区分26へのシャフトのチューブ状内部材23の結合は、先端スカート区分26を先端チップ15に融着した後に行われる。そのため、バルーンの先端スカート区分の基端部分は、先端チップ15に(既に)融着された部分の基端側に配置される。先端スカート区分26の基端部分及び先端部分に熱及び半径方向内方への力を加えるが、好ましくは、チューブ状内部材23と先端チップ部材15との間の隙間に亘って延びる部分に集中しないようにする。図1に示す実施例では、結果的に形成されたバルーンカテーテルでは、チューブ状内部材23の先端及び先端チップ15の基端が、その間の隙間によって離間されている。この隙間は、結合プロセス中に軟化し、流動するポリマー材料によって完全には充填されていない。
【0032】
カテーテル10の寸法は、使用されるべきバルーン及びガイドワイヤの大きさ、カテーテルの種類、カテーテルを通さなければならない動脈又は他の身体内腔の大きさ、又は送出されるステントの大きさでほとんど決まる。代表的には、チューブ状外部材22の外径は約0.064cm乃至0.10cm(約0.025インチ乃至約0.04インチ)であり、通常は約0.094cm(約0.037インチ)であり、チューブ状外部材22の壁厚は約0.0051cm乃至0.02cm(約0.002インチ乃至0.008インチ)の範囲で変化してもよく、代表的には、約0.0076cm乃至0.013cm(約0.003インチ乃至0.005インチ)の範囲で変化してもよい。チューブ状内部材23は、内径が、代表的には、0.025cm乃至0.046cm(約0.01インチ乃至約0.018インチ)であり、通常は約0.04cm(約0.016インチ)であり、壁厚が約0.01cm乃至0.02cm(約0.004インチ乃至約0.008インチ)である。カテーテル10の全長は、約100cm乃至150cmであり、代表的には、約143cmである。好ましくは、バルーン14の長さは、約0.8cm乃至約6cmであり、拡張作用直径が約2mm乃至約10mmである。
【0033】
チューブ状内部材23及びチューブ状外部材22は、従来の技術によって、脈管内カテーテルで有用であることが既にわかっている例えばポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、及び複合材料等の材料の押出し及びネッキングによって形成できる。融着や接着剤の使用等の従来の結合技術を使用することによって様々な構成要素を接合できる。チューブ状内部材23及びチューブ状外部材22は、代表的には、バルーンカテーテルシャフトについて従来周知であるように、多層チューブ又は端部と端部とを向き合わせて接合したチューブ状である。チューブ状内部材及びチューブ状外部材を持つものとしてシャフトを示したけれども、側方に並んだ内腔が内部に形成されたデュアル内腔押出しシャフトを含む様々な適当なシャフト形体を使用できる。更に、チューブ状外部材22は、代表的には、ハイポチューブ(hypotube)等の高強度部材が基端シャフト区分に及び/又はガイドワイヤ基端ポート18(図示せず)に亘って設けられた支持部材を含む。同様に、図1に示す実施例は迅速交換型カテーテルであるが、一実施例(図示せず)では、本発明のカテーテルは、ガイドワイヤ内腔がカテーテル先端のガイドワイヤ先端ポートからカテーテル基端のガイドワイヤ基端ポートまで延びるオーバーザワイヤ型バルーンカテーテルである。
【0034】
本明細書中、本発明を特定の好ましい実施例に関して説明したが、本発明に対し、その範囲を逸脱することなく、様々な変形及び改良を行うことができるということは当業者には理解されよう。例えば、先端チップ部材15をバルーン先端スカート区分26に融着した実施例に関して論じたけれども、一実施例では、バルーン先端スカート区分26の代わりに、外シース部材が先端チップ部材の少なくとも基端部分に対して融着部を形成する。この場合、外シース部材がバルーン先端スカート区分26の先端から先端方向に延びており、好ましくは、第1ポリマー材料で形成されている。更に、本発明の一実施例の個々の特徴を本明細書中に論じ、又はこの一実施例の図面に示し、他の実施例の図面には示してないが、一実施例の個々の特徴は、別の実施例の一つ又はそれ以上の特徴又は複数の実施例の特徴と組み合わせてもよいということは明らかであろう。
【符号の説明】
【0035】
10 ステント送出バルーンカテーテル
11 カテーテルシャフト
12 基端
13 先端
14 バルーン
15 先端チップ
16 膨張内腔
17 ガイドワイヤ内腔
18 ガイドワイヤ基端ポート
19 ステント
20 基端アダプタ
22 チューブ状外部材
23 チューブ状内部材
24 ガイドワイヤ
25 基端スカート区分
26 先端スカート区分
30 基端
31 内腔
32 ガイドワイヤ先端ポート
33 内層
34 外層
36 基端区分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンカテーテルにおいて、
a)基端、先端、基端シャフト区分、及び先端シャフト区分を含む細長いカテーテルシャフトであって、少なくとも前記カテーテルシャフトの先端部分に沿って延びるガイドワイヤ受け入れ内腔と、膨張内腔とを含む、細長いカテーテルシャフトと、
b)前記カテーテルの先端に配置されており、前記細長いカテーテルシャフトの前記先端から先端方向に長さ方向に、間に隙間を置いて間隔が隔てられた基端と、ガイドワイヤ先端ポートまで延びる、前記シャフトガイドワイヤ内腔と連通した内腔とを有し、第1ショアージュロメータ硬度を持つ第1ポリマー材料で形成された、前記先端チップの前記内腔の少なくとも一つの区分を形成する内層と、ショアージュロメータ硬度が前記第1ポリマー材料よりも低い、前記第1ポリマー材料と融着適合性の第2ポリマー材料で形成された外層とを有する先端チップ部材と、
c)前記先端シャフト区分に密封をなして固定された膨張可能なバルーンであって、該バルーンの内部は前記シャフト膨張内腔と流体連通しており、前記チップの第1及び第2のポリマー材料と融着適合性のポリマー材料で少なくとも部分的に形成されており、前記チップの基端区分を取り囲み且つこれに融着された先端スカート区分を有し、前記チップの基端区分に沿って前記チップの前記内層材料及び前記外層材料が延びており、前記チップの前記基端区分は、前記バルーンの前記先端スカート区分及び前記チップの前記内層及び前記外層の融着混合部であり、前記融着混合部は、前記チップの前記基端区分に沿って前記先端スカート区分の材料に融着された前記チップの前記外層材料及び前記内層材料の両方を含む、膨張可能なバルーンとを含む、バルーンカテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記先端チップ部材は、前記チップの融着された基端区分及び前記バルーンの前記先端スカート区分の先端側に配置された先端区分を有し、前記バルーンの前記先端スカート区分は、前記チップの前記先端区分でなく前記基端融着区分を取り囲む、バルーンカテーテル。
【請求項3】
請求項2に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記チップの前記融着された基端区分の先端側に配置された、前記チップの前記先端区分に沿った前記チップの前記内層の厚さは、前記チップの前記先端区分に沿った前記チップの全厚の約30%乃至約50%である、バルーンカテーテル。
【請求項4】
請求項2に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記チップの前記先端区分は、前記チップの前記融着された基端区分よりも長い、バルーンカテーテル。
【請求項5】
請求項1に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記チップの前記内層及び前記外層は、長さがほぼ同じである、バルーンカテーテル。
【請求項6】
請求項1に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記チップは、約0.227kg乃至約1.134kg(約0.5ポンド乃至約2.5ポンド)の引っ張り強度を有する、バルーンカテーテル。
【請求項7】
請求項1に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記バルーンは少なくとも部分的に第1ポリマー材料で形成されている、バルーンカテーテル。
【請求項8】
請求項1に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記バルーンは、第1ポリマー材料で形成された単層バルーンである、バルーンカテーテル。
【請求項9】
請求項1に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記第1及び第2のポリマー材料はポリエーテルブロックアミドコポリマーである、バルーンカテーテル。
【請求項10】
請求項9に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記第1ポリマー材料はPEBAX72Dであり、第2ポリマー材料はPEBAX55Dである、バルーンカテーテル。
【請求項11】
請求項1に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記第1ポリマー材料は潤滑性ポリマー材料ではなく、前記チップの基端側に前記ガイドワイヤ内腔を形成する前記シャフトの内面は潤滑性ポリマー材料で形成されている、バルーンカテーテル。
【請求項12】
請求項1に記載のバルーンカテーテルにおいて、
前記チップの前記第2ポリマー材料は、前記チップの前記第1ポリマー材料よりも粘着性が高い表面を有し、少なくとも前記先端チップの前記先端区分に沿った前記先端チップの前記内面は、室温よりも高い体温で粘着性でない、バルーンカテーテル。
【請求項13】
バルーンカテーテルにおいて、
a)基端、先端、基端シャフト区分、先端シャフト区分、内部に膨張内腔が設けられたチューブ状外部材、及び内部にガイドワイヤ受け入れ内腔が形成されたチューブ状内部材を含む細長いカテーテルシャフトと、
b)前記カテーテルの先端に配置されており、前記カテーテルシャフトのチューブ状内部材の前記先端から先端方向に長さ方向に、間に隙間を置いて間隔が隔てられた基端と、ガイドワイヤ先端ポートまで延びる、前記シャフトガイドワイヤ内腔と連通した内腔とを有し、第1ショアージュロメータ硬度を持つ第1ポリマー材料で形成された、前記先端チップの前記内腔の少なくとも一つの区分を形成する内層と、ショアージュロメータ硬度が前記第1ポリマー材料よりも低い、前記第1ポリマー材料と融着適合性の第2ポリマー材料で形成された外層とを有する先端チップ部材と、
c)前記先端シャフト区分に密封をなして固定された膨張可能なバルーンであって、該バルーンの内部は前記シャフト膨張内腔と流体連通しており、前記チップの第1及び第2のポリマー材料と融着適合性のポリマー材料で少なくとも部分的に形成されており、前記チップの基端に融着された先端スカート区分を有し、前記チップの前記基端区分は、前記先端スカート区分及び前記チップの前記内層及び前記外層の融着混合部であり、前記融着混合部は、前記チップの前記基端区分に沿って前記先端スカート区分の材料に融着された前記チップの前記外層材料及び前記内層材料の両方を含む、膨張可能なバルーンとを含む、バルーンカテーテル。
【請求項14】
請求項13に記載のバルーンカテーテルにおいて、
重ね継ぎにより、前記チップが前記バルーンの前記先端スカート区分に固定されている、バルーンカテーテル。
【請求項15】
請求項13に記載のバルーンカテーテルにおいて、
突き合わせ継ぎにより、前記チップが前記バルーンの前記先端スカート区分に固定されている、バルーンカテーテル。
【請求項16】
膨張内腔及びガイドワイヤ内腔を含む細長いシャフトと、先端シャフト区分に密封をなして固定されたバルーンとを備えたバルーンカテーテルの製造方法において、
a)先端チップ部材の基端を前記バルーンの先端スカート区分と接触した状態で位置決めする工程であって、前記先端チップ部材は、前記チップの前記基端から延びる同時押出しした内層及び外層を有し、前記内層は、第1ショアージュロメータ硬度の第1ポリマー材料で形成されており、前記外層はショアージュロメータ硬度が前記第1ポリマー材料よりも低い、前記第1ポリマー材料と融着適合性の第2ポリマー材料で形成されており、前記バルーンは、少なくとも部分的に、前記チップの前記第1及び第2のポリマー材料と融着適合性のポリマー材料で形成されている、工程と、
b)前記バルーンの前記先端スカート区分の先端部分の外面に熱及び半径方向内方への力を加えて前記先端スカート区分を前記先端チップ部材の前記基端に融着する工程であって、これにより結合された前記チップの基端区分が前記バルーンの前記先端スカート区分及び前記チップの前記内層及び前記外層の融着混合部を形成し、前記融着混合部は、前記先端スカート区分の材料に前記チップの前記基端区分に沿って融着された前記チップの前記外層及び前記内層の両方を含む、工程と、
c)前記融着された先端チップ部分の基端側に配置された前記バルーンの前記先端スカート区分の基端部分の外面に熱及び半径方向内方への力を加え、前記先端スカート区分を前記細長いシャフトに結合して、前記チップの前記基端が前記細長いシャフトから、それらの間の間隔によって長さ方向に先端方向に間隔が隔てられるようにする工程とを含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記工程b)で加えられた熱は、前記第1ポリマー材料のガラス転移温度以上であり、前記熱及び力は、前記チップの前記内層及び前記外層をその基端区分に沿って溶融するのに十分である、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、
前記先端チップ部材は、前記工程a)で、前記バルーンの前記先端スカート区分の先端が前記チップの前記第1層の先端及び前記第2層の先端の基端側にあるように位置決めされる、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法において、
接着剤が前記バルーンの前記先端スカート区分の前記基端に沿って延びており、前記先端部分に沿って延びておらず、前記工程c)は、前記バルーンの前記先端スカート区分の前記基端部分と前記シャフトとの間に接着剤結合部を形成する工程を含む、方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法において、
前記工程a)は、先端チップ部材の基端を前記バルーンの前記先端スカート区分内に位置決めする工程を含み、前記工程b)は、前記先端スカート区分の内面を前記チップの外面に融着し、前記チップを前記バルーンの前記先端スカート区分に固定する重ね継ぎを形成する工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−524572(P2010−524572A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504131(P2010−504131)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/057352
【国際公開番号】WO2008/130758
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(591040889)アボット、カーディオバスキュラー、システムズ、インコーポレーテッド (42)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT CARDIOVASCULAR SYSTEMS INC.
【Fターム(参考)】