説明

容量付加機能付きケーブル

【課題】高圧配線用の、導体の間に誘電率の高い樹脂を挟み込んだ容量付加機能付きケーブルを提供する。
【解決手段】少なくとも2つの長板状の導体と、対向する長板状の導体の間に挟まれた絶縁体とを備え、長板状の導体と絶縁体によって容量付加機能を備えていることを特徴とする容量付加機能付きケーブルである。3つの長板状の導体と、対向する3つの長板状の導体の間にそれぞれ挟まれた絶縁体とを備え、中央に配置された長板状の導体の幅方向両端が覆われるように絶縁体が配置され、両端に配置された長板状の導体がそれぞれ電気的に接続されるように絶縁部の外表面に接続導体部が形成されている容量付加機能付きケーブルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高圧配線用の、導体の間に誘電率の高い樹脂を挟み込んだ容量付加機能付きケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、工作機械等においては、各種制御機器の電子機器化が押し進められると共に、近年、自動車用のハーネスには、ハイブリッド自動車が使用されるに至り、モータへの給電用として電気ケーブルが必要になってきている。電子機器では、それぞれに接続される配線が電磁波ノイズの影響を受けやすいため、配線の内部導体を外部の電磁波から遮蔽するシールド対策が必要となる。更に、電子機器の電磁波ノイズ対策と共に、ハイブリッド自動車の特性上、電圧昇圧時の電流の大きさや方向を急激に変化させることは、電気機器に損傷を与える、過剰電圧及び過小電圧を発生させることとなる。
【0003】
これらの課題に対応することが要求されるようになってきており、従来は、別途大型のコンデンサを装備して、影響を緩和している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開9−2983822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、別途コンデンサを装備するためには、備品を配置するための大きな場所が必要になり、小型化が難しくなる。
【0006】
従って、この発明の目的は、高圧配線用の、導体の間に誘電率の高い樹脂を挟み込んだ容量付加機能付きケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は従来の問題点を解決するため、鋭意研究を重ねた。その結果、高圧配線用のケーブル自体に容量付加機能を付加することによって、モータなどの回路の接続または遮断時に流れる電流による影響を緩和することができる。即ち、2芯用の場合には、粗化することによって表面積を大きくした2枚の長板状の導体の間に、誘電率の高い薄い樹脂(絶縁体)を挟み込むことによって、ケーブル自体に長板状の導体と絶縁体によって容量付加機能を与えることができることが判明した。
【0008】
更に、3芯の場合には、対向する3つの長板状の導体の間にそれぞれ上述した絶縁体を挟み込み、中央に配置された長板状の導体の幅方向両端が覆われるように絶縁体を配置し、両端に配置された長板状の導体がそれぞれ電気的に接続されるように絶縁部の外表面に接続導体部を形成することによって、シールド機能を備えた、容量付加機能付きケーブルが得られることが判明した。この発明は上述した研究結果に基づいてなされたものである。
【0009】
この発明の容量付加機能付きケーブルの第1の態様は、少なくとも2つの長板状の導体と、対向する前記長板状の導体の間に挟まれた絶縁体とを備え、前記長板状の導体と前記絶縁体によって容量付加機能を備えていることを特徴とする容量付加機能付きケーブルである。
【0010】
この発明の容量付加機能付きケーブルの第2の態様は、前記絶縁体の幅方向両端部が、前記長板状の導体の幅方向端部から外側に突出して、前記長板状の導体の少なくとも一部の端部をそれぞれ覆っていることを特徴とする容量付加機能付きケーブルである。
【0011】
この発明の容量付加機能付きケーブルの第3の態様は、前記長板状の導体のそれぞれの4つの隅部に面取り処理を施していることを特徴とする容量付加機能付きケーブルである。
【0012】
この発明の容量付加機能付きケーブルの第4の態様は、前記長板状の導体の少なくとも対向する表面が粗化されていることを特徴とする容量付加機能付きケーブルである。
【0013】
この発明の容量付加機能付きケーブルの第5の態様は、2つの長板状の導体と、対向する前記2つの長板状の導体の間に挟まれた絶縁体とを備え、前記2つの長板状の導体が対向する面と、前記絶縁体の間に、長手方向の所定間隔でシート状部材が装着され、前記シート状部材にそって前記2つの長板状の導体および前記絶縁体を切断することによって、端部が形成されることを特徴とする、容量付加機能付きケーブルである。
【0014】
この発明の容量付加機能付きケーブルの第6の態様は、3つの長板状の導体と、対向する前記3つの長板状の導体の間にそれぞれ挟まれた絶縁体とを備え、中央に配置された前記長板状の導体の幅方向両端が覆われるように前記絶縁体が配置され、両端に配置された前記長板状の導体がそれぞれ電気的に接続されるように前記絶縁部の外表面に接続導体部が形成されていることを特徴とする容量付加機能付きケーブルである。
【0015】
この発明の容量付加機能付きケーブルの第7の態様は、前記接続導体部は溶接により形成されていることを特徴とする容量付加機能付きケーブルである。
【0016】
この発明の容量付加機能付きケーブルの第8の態様は、前記接続導体部は無電解めっきで形成されている第1のめっき層と電解めっきで形成されている第2のめっき層で形成されていることを特徴とする容量付加機能付きケーブルである。
【0017】
この発明の容量付加機能付きケーブルの第9の態様は、前記絶縁体の両端部が、内部導体としての中央の長板状の導体の端部から外側に突出して、前記3つの長板状の導体の少なくとも一部の端部をそれぞれ覆っていることを特徴とする容量付加機能付きケーブルである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、2芯用の場合には、粗化することによって表面積を大きくした2枚の長板状の導体の間に、誘電率の高い薄い樹脂(絶縁体)を挟み込むことによって、ケーブル自体に長板状の導体と絶縁体によって容量付加機能を与えることができる。
【0019】
更に、この発明によると、3芯の場合には、対向する3つの長板状の導体の間にそれぞれ上述した絶縁体を挟み込み、中央に配置された長板状の導体の幅方向両端が覆われるように絶縁体を配置し、両端に配置された長板状の導体がそれぞれ電気的に接続されるように絶縁部の外表面に接続導体部を形成することによって、シールド機能を備えた、容量付加機能付きケーブルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1(a)は長板状の導体と絶縁体とを並列配置した状態を説明する図である。図1(b)は容量付加機能付きケーブルの1つの態様を説明する斜視図である。
【図2】図2(a)は長板状の導体と絶縁体とを並列配置した状態を説明する図である。図2(b)は容量付加機能付きケーブルの他の1つの態様を説明する斜視図である。図2(c)は樹脂によって被覆した容量付加機能付きケーブルの他の1つの態様を説明する斜視図である。
【図3】図3(a)は長手方向に沿って所定の間隔でシート状部材が装着された状態を示す斜視図である。図3(b)はシート状部材に沿って切断し、端部を形成した状態を示す斜視図である。
【図4】図4(a)は長板状の導体と絶縁体とを並列配置した状態を説明する図である。図4(b)は長板状の導体によって絶縁体を挟み込んで形成した状態を説明する斜視図である。図4(c)は、外表面にめっき層を備えたこの発明の容量付加機能付きケーブルの1つの態様を示す斜視図である。図4(d)は、外表面に溶接処理を施したこの発明の容量付加機能付きケーブルの1つの態様を示す斜視図である。
【図5】図5は、容量付加機能付きケーブルの製造方法を説明する模式断面図である。図5(a)は水平方式を示し、図5(b)は垂直方式を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の容量付加機能付きケーブルを、図面を参照しながら説明する。
この発明の容量付加機能付きケーブルの1つの態様は、少なくとも2つの長板状の導体と、対向する長板状の導体の間に挟まれた絶縁体とを備え、長板状の導体と絶縁体によって容量付加機能を備えていることを特徴とする容量付加機能付きケーブルである。
【0022】
図1は、この発明の容量付加機能付きケーブルの1つの態様を説明する斜視図である。図1(a)は長板状の導体と絶縁体とを並列配置した状態を説明する図である。図1(b)は容量付加機能付きケーブルの1つの態様を説明する斜視図である。この態様は、2芯構造の場合を示す。
【0023】
図1(a)に示すように、ケーブルの導体となる2つの長板状の導体2−1、2−2が対向して配置されている。対向する2つの長板状の導体2−1、2−2の間に、薄板状の絶縁体3が挟まれるように配置されている。長板状の導体2−1、2−2の対向する表面4は粗化されて、表面積が大きくなっている。長板状の導体の表面を大きくすることによって、コンデンサー機能を向上させることができる。対向する長板状の導体2−1、2−2に挟まれる絶縁体3は、製造条件により、高い誘電率を有する熱硬化性樹脂、もしくは熱可塑性樹脂を適用することができる。
【0024】
熱硬化性樹脂は、成形時の高温によって硬化するプラスチックで、架橋反応が高温によって進み、3次元の架橋構造を有し、耐熱性に優れている。主な熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等がある。熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度または、融点まで加熱することによって軟らかくすることで成型する樹脂であり、主な熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂等がある。なお、長板状の導体2−1、2−2に挟まれる絶縁体3の厚さは、できるだけ薄くすることによって、コンデンサー機能を向上させることができる。
【0025】
図1(b)に示すように、対向する2つの長板状の導体に挟まれた樹脂からなる絶縁体の幅方向の両端部は、横方向に広がり、導体の幅方向の端部の一部を覆うように成形される。このようにして、2つの導体によって絶縁体を挟み込み、ケーブル自体がコンデンサー機能である、容量付加機能を備えている。このように形成されたケーブルの一方の導体が接地され、他方の導体に例えば200Vの電流が流される。長板状の導体の厚さは、例えば、200μmであり、樹脂からなる絶縁体の厚さは、例えば、70μmである。これらの値は、最大電流値、耐電圧等などから、適宜設定する必要がある。
【0026】
図2は、この発明の容量付加機能付きケーブルの他の1つの態様を説明する斜視図である。図2(a)は長板状の導体と絶縁体とを並列配置した状態を説明する図である。図2(b)は容量付加機能付きケーブルの他の1つの態様を説明する斜視図である。図2(c)は樹脂によって被覆した容量付加機能付きケーブルの他の1つの態様を説明する斜視図である。この態様は、導体の4つの角部に面取り処理を施している2芯構造の場合を示す。
【0027】
図2(a)に示すように、ケーブルの導体となる2つの長板状の導体2−1、2−2が対向して配置されている。対向する2つの長板状の導体2−1、2−2のそれぞれの4つの角部5には、面取り処理が施されて、断面の形状が多角形または曲線状になっている。面取り処理が施された2つの長板状の導体2−1、2−2の間に、薄板状の絶縁体3が挟まれるように配置されている。図1を参照して説明したように、この態様においても、長板状の導体2−1、2−2の対向する表面4は粗化されて、表面積が大きくなっている。対向する長板状の導体2−1、2−2に挟まれる絶縁体3は、高い誘電率を有する樹脂からなっている。
【0028】
図2(b)に示すように、それぞれの4つの角部に面取り処理が施された対向する2つの長板状の導体2−1、2−2に挟まれた高い誘電率を有する樹脂からなる絶縁体3の幅方向の両端部は、横方向に広がり、導体の幅方向の端部の一部を覆うように成形される。このようにして、2つの導体によって絶縁体を挟み込み、ケーブル自体がコンデンサー機能である、容量付加機能を備えている。導体の4つの角部に面取り処理を施すことによって、導体と樹脂との間の密着性が向上する。
【0029】
図2(c)に示すように、図2(b)を参照して説明した2つの導体によって絶縁体を挟み込んで形成された容量付加機能付きケーブルを、樹脂製の被覆6で全体を覆うようにしてもよい。このように樹脂製の被覆で全体を覆うことによって、2つの導体によって絶縁体を挟み込んで形成された容量付加機能付きケーブルを保護し、信頼性を高めることができる。
【0030】
図3は、この発明の容量付加機能付きケーブルの他の1つの態様を説明する斜視図である。図3(a)は長手方向に沿って所定の間隔でシート状部材が装着された状態を示す斜視図である。図3(b)はシート状部材に沿って切断し、端部を形成した状態を示す斜視図である。
【0031】
図3(a)に示すように、この態様の容量付加機能付きケーブルは、2つの長板状の導体と、対向する2つの長板状の導体の間に挟まれた絶縁体とを備え、2つの長板状の導体が対向する面と、絶縁体の間に、長手方向の所定間隔でシート状部材が装着され、シート状部材に沿って2つの長板状の導体および絶縁体を切断することによって、端部が形成される。
【0032】
即ち、図1を参照して説明した2つの導体2−1、2−2によって絶縁体3を挟み込んで形成されたケーブル1の、2つの長板状の導体2−1、2−2が対向する面と、絶縁体3の間に、長手方向に沿って所定間隔でシート状部材7−1、7−2、・・・が装着されている。図3に示す態様においても、長板状の導体の4つの角部に面取り処理を施してもよい。
【0033】
図3(a)に示すシート状部材7−1に沿って、2つの長板状の導体および絶縁体を切断すると、シート状部材によって、導体と絶縁体とが密着していない部分が形成される。この部分が端部として使用される。即ち、図3(b)に示すように、シート状部材に沿って切断された2つの長板状の導体の端部8−1、8−2は、シート状部材によって導体と絶縁体とが密着していない部分である。導体の端部8−1、8−2を所定の角度で折り曲げて端部を形成する。このように、2つの長板状の導体2−1、2−2が対向する面と、絶縁体3の間に、長手方向に沿って所定間隔でシート状部材7−1、7−2、・・・を装着することによって、ケーブルを適宜の位置で切断して、容易に端部を形成することができる。
【0034】
図4は、この発明の容量付加機能付きケーブルの他の1つの態様を説明する斜視図である。図4(a)は長板状の導体と絶縁体とを並列配置した状態を説明する図である。図4(b)は長板状の導体によって絶縁体を挟み込んで形成した状態を説明する斜視図である。図4(c)は、外表面にめっき層を備えたこの発明の容量付加機能付きケーブルの1つの態様を示す斜視図である。図4(d)は、外表面に溶接処理を施したこの発明の容量付加機能付きケーブルの1つの態様を示す斜視図である。この態様は、3芯構造の場合を示す。
【0035】
この態様の容量付加機能付きケーブルは、3つの長板状の導体と、対向する3つの長板状の導体の間にそれぞれ挟まれた絶縁体とを備え、中央に配置された長板状の導体の幅方向両端が覆われるように絶縁体が配置され、両端に配置された長板状の導体がそれぞれ電気的に接続されるように絶縁部の外表面に接続導体部が形成されている容量付加機能付きケーブルである。
【0036】
図4(a)に示すように、ケーブルの導体となる3つの長板状の導体2−1、2−2、2−3が並列に対向配置されている。対向配置された3つの長板状の導体2−1、2−2、2−3の間に、薄板状の絶縁体3−1、3−2が挟まれるように配置されている。長板状の導体2−1、2−2の対向する表面、および、中央に配置された長板状の導体2−3の両面は粗化されている。
【0037】
図4(b)に示すように、対向配置された3つの長板状の導体2−1、2−2、2−3に挟まれた高い誘電率を有する樹脂からなる絶縁体3−1、3−2の幅方向の両端部は、それぞれ横方向に広がり、3つの長板状の導体2−1、2−2、2−3の幅方向の端部を覆うように成形される。このように形成されたケーブルの両側の導体2−1、2−2が接地され、中央に配置された導体2−3に例えば200Vの電流が流される。このようにして、3つの導体によって2つ絶縁体を挟み込み、ケーブル自体がコンデンサー機能である、容量付加機能を備えている。
【0038】
このように形成された容量付加機能付きケーブルに、更にシールド機能を付与する。即ち、図4(b)を参照して説明した容量付加機能付きケーブルの両端に配置された長板状の導体がそれぞれ電気的に接続されるように絶縁部の外表面に接続導体部が形成される。図4(c)に示すように、絶縁体3の外表面に、先ず、無電解めっきによって、第1のめっき層9を形成し、次いで、だい1のめっき層9の表面に電解めっきによって第2のめっき層を形成する。第1のめっき層は銅めっきで厚さは概ね5μmであり、第2のめっき層は銅めっきで厚さは少なくとも50μmである。このように、ケーブルの両端に配置された長板状の導体がそれぞれ電気的に接続されるように、絶縁体3の外表面に第1および第2のめっき層が形成されて、シールド機能を備えている。
【0039】
他の態様として、図4(d)に示すように、絶縁体3の外表面に、溶接によって、接続導体部11を形成する。この態様においても、図4(b)に示すように、対向配置された3つの長板状の導体2−1、2−2、2−3に挟まれた高い誘電率を有する樹脂からなる絶縁体3−1、3−2の幅方向の両端部は、それぞれ横方向に広がり、3つの長板状の導体2−1、2−2、2−3の幅方向の端部を覆うように成形される。このように形成された絶縁体3の外表面に、両端に配置された長板状の導体がそれぞれ電気的に接続されるように、溶接によって、接続導体部11を形成する。
【0040】
図5は、容量付加機能付きケーブルの製造方法を説明する模式断面図である。図5(a)は水平方式を示し、図5(b)は垂直方式を示す。図5(a)に示すように、水平方式においては、長板状の導体が巻かれた3つのドラムが所定間隔で垂直方向に配置され、ドラムから長板状の導体2−1、2−2、2−3が加圧式熱ロール12に向かって供給される。同時に、長板状の導体が巻かれた3つのドラムの間に絶縁体用の2つの別のロールが垂直方法に配置され、ドラムから高い誘電率を有する樹脂(ここでは熱硬化性樹脂を使用)3−1、3−2が長板状の導体2−1、2−2、2−3の間に挟まれるように供給される。
【0041】
加圧式熱ロール12によって熱硬化性樹脂が加熱されて硬化し、図4(b)を参照して説明したような、3つの長板状の導体2−1、2−2、2−3に挟まれた熱硬化樹脂からなる絶縁体3−1、3−2を備えた容量付加機能付きケーブルが形成される。同時に、絶縁体3−1、3−2の幅方向の両端部は、それぞれ横方向に広がり、3つの長板状の導体2−1、2−2、2−3の幅方向の端部を覆うように成形される。
【0042】
図5(b)に示すように、垂直方式においては、長板状の導体が巻かれた3つのドラムが所定間隔で水平方向に配置され、ドラムから長板状の導体2−1、2−2、2−3が下方に位置する加圧式熱ロール12に向かって供給される。同時に、長板状の導体が巻かれた3つのドラムの間に液状の絶縁体を供給する絶縁体供給口が水平方向に配置され、絶縁体供給口から熱硬化性樹脂3−1、3−2が長板状の導体2−1、2−2、2−3の間に挟まれるように供給される。この方式においても、加圧式熱ロール12によって熱硬化性樹脂が加熱されて硬化し、図4(b)を参照して説明したような、3つの長板状の導体2−1、2−2、2−3に挟まれた熱硬化樹脂からなる絶縁体3−1、3−2を備えた容量付加機能付きケーブルが形成される。同時に、絶縁体3−1、3−2の幅方向の両端部は、それぞれ横方向に広がり、3つの長板状の導体2−1、2−2、2−3の幅方向の端部を覆うように成形される。
【0043】
上述したように、この発明によると、高圧配線用の、導体の間に誘電率の高い樹脂を挟み込んだ容量付加機能付きケーブルを提供することができる。更に、この発明によると、シールド機能を備えた、高圧配線用の、導体の間に誘電率の高い樹脂を挟み込んだ容量付加機能付きケーブルを提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 容量付加機能付きケーブル
2 長板状の導体
3 絶縁体
4 粗化された表面
5 導体の角部
6 樹脂製の被覆
7 シート状部材
8 導体の端部
9 第1のめっき層
10 第2のめっき層
11 溶接による接続導体部
12 加圧式熱ロール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの長板状の導体と、
対向する前記長板状の導体の間に挟まれた絶縁体とを備え、
前記長板状の導体と前記絶縁体によって容量付加機能を備えていることを特徴とする容量付加機能付きケーブル。
【請求項2】
前記絶縁体の幅方向両端部が、前記長板状の導体の幅方向端部から外側に突出して、前記長板状の導体の少なくとも一部の端部をそれぞれ覆っていることを特徴とする、請求項1に記載の容量付加機能付きケーブル。
【請求項3】
前記長板状の導体のそれぞれの4つの隅部に面取り処理を施していることを特徴とする、請求項1または2に記載の容量付加機能付きケーブル。
【請求項4】
前記長板状の導体の少なくとも対向する表面が粗化されていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載の容量付加機能付きケーブル。
【請求項5】
2つの長板状の導体と、
対向する前記2つの長板状の導体の間に挟まれた絶縁体とを備え、
前記2つの長板状の導体が対向する面と、前記絶縁体の間に、長手方向の所定間隔でシート状部材が装着され、前記シート状部材に沿って前記2つの長板状の導体および前記絶縁体を切断することによって、端部が形成されることを特徴とする、容量付加機能付きケーブル。
【請求項6】
3つの長板状の導体と、
対向する前記3つの長板状の導体の間にそれぞれ挟まれた絶縁体とを備え、
中央に配置された前記長板状の導体の幅方向両端が覆われるように前記絶縁体が配置され、
両端に配置された前記長板状の導体がそれぞれ電気的に接続されるように前記絶縁部の外表面に接続導体部が形成されていることを特徴とする容量付加機能付きケーブル。
【請求項7】
前記接続導体部は溶接により形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の容量付加機能付きケーブル。
【請求項8】
前記接続導体部は無電解めっきで形成されている第1のめっき層と電解めっきで形成されている第2のめっき層で形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の容量付加機能付きケーブル。
【請求項9】
前記絶縁体の両端部が、内部導体としての中央の長板状の導体の端部から外側に突出して、前記3つの長板状の導体の少なくとも一部の端部をそれぞれ覆っていることを特徴とする、請求項7または8に記載の容量付加機能付きケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−113939(P2011−113939A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272224(P2009−272224)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】