説明

密封シールのリングキャップ

【課題】 食品容器のオーバーキャップに代えて、樹脂使用量を可及的に減少しつつカップ型容器の密封シールを確実に保護することができるリングキャップを提供する。
【解決手段】 合成樹脂で一体成形して、容器1上面の面内方向に向けた上面フランジ31と、容器1外周端下方に向けた側面フランジ32を断面L字状乃至V字状に交差配置し且つ上面フランジ31の面内に円形径大の透孔33を配置してリング状とし、側面フランジ32の内周面に容器1のリム11に係止する係止部34を配置してリングキャップ3とする。上面フランジ31と側面フランジ32で容器1のリム11を保持することによって密封シール2を保護する。使用樹脂量を減少するとともに透孔33を介して容器1を密封シール2上に積み重ねることができ、また、透孔33によって密封シール2のデザイン21を視認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品充填のカップ型容器においてその密封シールを保護するように用いる密封シールのリングキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ヨーグルト等各種の容器充填食品は、カップ型容器の上面を密封シールでシールした上、該密封シールの破損を防止するように該密封容器の上面をオーバーキャップによって被覆して出荷するものとされるところ、下記特許文献1に示すオーバーキャップは、平面円形のカップ型容器上面の面内方向にその大半を上方に隆起して、上面を平坦な面とした隆起キャップと外周端下方に向けた側面フランジを備え且つ該側面フランジに容器上端縁部に係止自在の係止部を備えて、薄肉の透明フィルムで一体成形したものとされており、このとき係止部は、これを、側面フランジを内側に切り起し配置した断続配置多数の舌状の切り起し片によりものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−186264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、密封シールの保護を確実になし得る上、密封シールを部分的に開放した後に保存する場合で、該密封シールを容器に確実に保持して、密封性を確保することができるし、搬送や店頭展示に際して容器充填食品を積重ね配置することができるというメリットがある。
【0005】
しかし乍ら、上記のように容器上面を完全に覆うオーバーキャップは、使い勝手がよいとしても、その原料、即ち樹脂の使用量が多く、従って、飲食後に生じるごみの量が多いという問題点があり、その改善が求められる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、樹脂使用量を可及的に減少しつつ、密封シールの保護を可及的有効且つ確実になし得るようにした密封シールのリングキャップを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って検討したところ、この種のカップ型容器に用いられる密封シールは、例えば、樹脂フィルム、アルミ箔、ホットメルト層を積層して形成したものとされ、それ自体比較的強度に優れていること、ホットメルト層の熱溶着によって容器の上端に面接着又は線接着してあること、従って、密封シールは、弛み等なく容器と確実に一体化して容器をシールしていることに着目すると、密封シールを容器上で露出しても、該密封シールにこれを破損するような強い外力が作用する可能性は極めて少なく、特に、容器上端の縁部近傍を上面と側面で保持する如くに密封シール上から被覆する措置を施せば、該密封シールの破損の可能性を極小化し得るとともに密封シールを部分的に開放した後に保存する場合にも、該密封シールを容器に確実に保持して密封性を確保し得る上、搬送や店頭展示に際して、上段に食品充填容器を積み重ね配置しても、下段の食品充填容器の密封シールが数百グラム程度の荷重支持を確実に果して、該密封シールが凹陥したり、弛んだりすることも有効に防止し得るとの知見を得るに至った。
【0008】
本発明はかかる知見に基づいてなされたもので、即ち、請求項1に記載の発明を、密封シールで上面をシールしたカップ型容器に被嵌使用する密封シール保護用のキャップであって、容器上面の面内方向及び外周端下方に向けて断面L字状乃至V字状をなすように交差配置した上面フランジと側面フランジを備えるとともに上記上面フランジによって面内に区画配置した上記容器の底面を受入自在の広面積の透孔を備えてリング状とし且つ上記側面フランジの内周に容器上端縁部に係止自在の係止部を備えて合成樹脂で一体成形してなることを特徴とする密封シールのリングキャップとしたものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、カップ型容器として一般的な平面円形の容器の場合における好ましい形態のものとするように、これを、上記容器を平面円形のカップ型容器とし、上記広面積の透孔を、容器底面より径大の円形の透孔としてなることを特徴とする請求項1に記載の密封シールのリングキャップとしたものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記透孔によって密封シールの該部分が容器外に露出することから、該透孔を活用して、該透孔を介して密封シールに施した商品名、図柄等のシールデザインを視認し得るものとするように、これを、上記密封シールに、上記透孔を介して視認自在のシールデザインを備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の密封シールのリングキャップとしたものである。
【0011】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として、上記課題解決の手段とするものである。
【0012】
なお本発明においてカップ型容器とは、裁頭逆円推形乃至裁頭逆角錐形の外観を呈する容器を意味するように、これを用いる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、容器上端の縁部近傍を上面と側面で保持するように密封シール上から被覆して、該密封シールの破損の可能性を極小化し得るとともに密封シールを部分的に開放した後に保存する場合にも該密封シールを容器に確実に密封状態に保持し得る上、搬送や店頭展示に際して、上段に食品充填容器を積み重ね配置しても、下段の食品充填容器の密封シールが数百グラム程度の荷重支持を確実に果して、該密封シールが凹陥したり、弛んだりすることも有効に防止して、樹脂使用量を可及的に減少しつつ、密封シールの保護を可及的有効且つ確実になし得るようにした密封シールのリングキャップを提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、カップ型容器として一般的な平面円形の容器の場合における好ましい形態のものとすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記透孔によって密封シールの該部分が容器外に露出することから、該透孔を活用して、該透孔を介して密封シールに施した商品名、図柄等のシールデザインを視認し得るものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】カップ型容器とリングキャップの関係を示す分解斜視図である。
【図2】リングキャップを用いたカップ型容器の部分切欠側面図である。
【図3】リングキャップを用いたカップ型容器の部分拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、1は、密封シール2で上面をシールした、本例にあって平面円形のカップ型容器であり、本例にあって該カップ型容器1は、例えば400mlのヨーグルトを充填した、外径及び高さをそれぞれ10cm程度、底面を、上記外径の上端より1.5cm程度径小の7cm程度とし、上端に2〜3mm厚のリムを備えた、上記平面円形をなす裁頭逆円錐形にして紙乃至合成樹脂製のものとしてある。
【0018】
密封シール2は、例えば図示省略のアルミ箔と、表面の樹脂フィルム、下面のホットメルト層を積層して形成し、上記樹脂フィルムの裏面に印刷を施すことによって、容器充填食品に応じた商品名、図柄等のシールデザイン21を表出したものとしてあり、容器に充填物、本例にあってはヨーグルトを充填後に、該容器1のリム11に密封シール2を載置加熱することによって該リム11に熱溶着して該容器1開口を閉塞密封するものとしてあり、このとき本例の密封シール2は、上記容器1の外径より幾分径大とするとともにその外周の一部に、シール剥離のための手掛け用のプルタブ22を突出配置したものとしてある。
【0019】
該カップ型容器1は、これに被嵌使用する密封シール2の保護用のキャップ3を備えてあり、該キャップ3は、容器1上面の面内方向及び外周端下方に向けて断面L字状乃至V字状をなすように交差配置した上面フランジ31と側面フランジ32を備えるとともに上記上面フランジ31によって面内に区画配置した上記容器1の底面を受入自在の広面積の透孔33を備えてリング状とし且つ上記側面フランジ32の内周に容器1上端縁部、本例にあっては上記リム11に係止自在の係止部34を備えて合成樹脂で一体成形したリングキャップとしてある。
【0020】
本例にあって該リングキャップ3は、例えば0.5mm程度以下、本例にあっては0.3乃至0.4mm厚さのポリプロピレンを射出成形することによって一体成形したポリプロピレン樹脂製のものとしてある。該リングキャップ3は、上記容器1外径に合わせて外径を10cm程度、高さ幅、即ち側面フランジ32の幅を1cm程度としたものとし、このとき該リングキャップ3は、その上面フランジ31を外周端から、同じく1cm程度、容器1の面内方向に向けて張出突出し、その外周端から上記側面フランジ32を下方、本例にあっては下方外方に向けて緩傾斜するように交差配置して、上記上面フランジ31と該側面フランジ32の角度を、例えば100°弱、本例にあって97乃至98°の鈍角をなすように断面V字状をなすものとしてある。
【0021】
このとき、該リングキャップ3は、上面フランジ31の面内に該上面フランジ31によって区画配置、即ち上面フランジ31が外周を画するように配置した径大の透孔33、本例にあっては円形の透孔を透設具備したものとしてある。該透孔33は、上記外径10cm程度にして上面フランジ31の張出突出幅1cm程度の、本例のリングキャップ3にあって、その直径を8cm程度として、容器1の底面における上記7cm程度の径より、例えば1cm程度その径を拡大した径大のものとしてある。
【0022】
また、該リングキャップ3の上記側面フランジ32は、その上記係止部34として、本例にあって、該側面フランジ32の内周面に内側に膨出した膨出突条を、上記一体成形によって配置してあり、このとき該膨出突条は、上面フランジ31の下面から上記リム11の厚さ分下方の位置に、例えば突出幅を1cm乃至1cm強程度とし、該リングキャップ3を容器1に被嵌配置したとき、該膨出突条がリム11を乗り越えて該リム11の下位に弾発的に係止することによって、該容器1上端縁部に係止自在としてある。
【0023】
このように形成したリングキャップ3は、上記係止部34を、容器1上端の縁部、即ちリム11に係止することによって被嵌配置して、その密封シール2を保護するようにこれを用いるものとしてあり、該被嵌配置によって、上面フランジ31が容器1外周端からその面内方向に張り出して、密封シール2の外周部位を被覆する一方、上面フランジ31に交差配置した一体の側面フランジ32が、密封シール2の容器1外径より径大にして該容器より外側の張出部位を巻き込むように配置した外周端をリム11に圧着して、容器1上端の縁部近傍を上面と側面で保持するように被覆する結果、該密封シール2の破損の可能性を極小化することができ、密封シール2を部分的に開放した後に容器1を保存する場合も、該密封シール2を同様に容器1に確実に保持して容器1の密封状態を確保することができる。また、出荷後の搬送や店頭展示に際して、リングキャップ3の透孔33を介して、密封シール2上に他の容器1を直置き上に載置して、容器1の積み重ねを行っても、下段に位置することになる食品充填容器1の該密封シール2は、上段の上記400ml又はそれ以上の容量の場合を含めて、その荷重支持を確実に行って、該密封シール2が凹陥したり、弛んだりすることも有効に防止することができる。このとき、密封シール2は、上記商品名、図柄等のシールデザイン21を有しているところ、該シールデザイン21は、リングキャップ3の透孔33、本例にあっては円形にして径大の透孔を介して視認自在となるから、該シールデザイン21によって商品の購買意欲を増進することもできる。従って、リングキャップ3として、面内に広面積の透孔33を配置したことにより該面積分の樹脂使用量を減少する一方、密封シール2の保護を有効且つ確実に行うとともに利便性に優れ且つ商品販売上に影響のないものとすることが可能となる。
【0024】
図示した例は以上のとおりとしたが、リングキャップの色調によって容器パッケージのアクセントとするように、該リングキャップを活用すること、容器を、上記リムに変えて外周に張出配置したフランジを有するものとし、係止部を該フランジに係止可能なものとすること、上面フランジを、容器外周端と面内先端間の中間を上方浮し状に突出するように屈曲形成して、該容器外周端と面内先端をそれぞれ所定幅で密封シールに対接することによって該密封シールの保護を行うようにすること、このとき該容器外周端と面内先端をそれぞれ断面倒S字状をなすように屈曲することによってその中間を上方に屈曲形成したものとすること、上面フランジと側面フランジを断面L字状とし、また鋭角の断面V字状とするように配置すること、カップ型容器を他の形状、即ち裁頭逆角錐形の外観を呈するものとし、リングキャップを上記と同様に該容器に被嵌配置するように構成し且つその広面積の透孔を平面矩形乃至方形のものとすること等を含めて、本発明の実施に当って、カップ型容器、密封シール、リングキャップ、上面フランジ、側面フランジ、透孔、係止部等の各具体的形状、構造、材質、寸法、これらの関係、これらに対する付加は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 カップ型容器
11 リム
2 密封シール
21 シールデザイン
22 プルタブ
3 リングキャップ
31 上面フランジ
32 側面フランジ
33 透孔
34 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封シールで上面をシールしたカップ型容器に被嵌使用する密封シール保護用のキャップであって、容器上面の面内方向及び外周端下方に向けて断面L字状乃至V字状をなすように交差配置した上面フランジと側面フランジを備えるとともに上記上面フランジによって面内に区画配置した上記容器の底面を受入自在の広面積の透孔を備えてリング状とし且つ上記側面フランジの内周に容器上端縁部に係止自在の係止部を備えて合成樹脂で一体成形してなることを特徴とする密封シールのリングキャップ。
【請求項2】
上記容器を平面円形のカップ型容器とし、上記広面積の透孔を、容器底面より径大の円形の透孔としてなることを特徴とする請求項1に記載の密封シールのリングキャップ。
【請求項3】
上記密封シールに、上記透孔を介して視認自在のシールデザインを備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の密封シールのリングキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−176789(P2012−176789A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41600(P2011−41600)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(390001270)グリコ乳業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】