説明

密閉器

【課題】食品産業で使用される密閉器に関するものであり、不正開封表示手段を具備した密閉器を提供する。設計が簡易化され、信頼性が高まり、低価格となり、利便性も向上したため、消費者の高い品質要件に応えることができる。
【解決手段】固定要素2とキャップ壁に固定されたグリッパ4とを備えたキャップ5と不正開封表示手段を含有する密閉器1により達成される。別の変形例で、密閉器は固定要素とキャップ壁に固定されたグリッパとを備えたキャップと不正開封表示手段を含有し、グリッパもキャップ壁に固定されているが、2番目の変形例の異なる特徴はスプリッタやディスペンサとしての流量調整分配用の継ぎ手を備えた装置である。一定量の液体を封入するためには液量調整器や分配器が必要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術ソリューションは食品産業で使用される密閉器に関するものであり、不正開封表示手段を具備した密閉器を提供する。
【0002】
飲料メーカーは、末端消費者により開封されるまで製品の不正開封を防止するために万全を期さなければならない。この目的のため、本密閉器は不正開封明示手段を具備しており、販売前に製品が不正に開封されたか否かを知ることができる。
【0003】
現在、多くの不正開封表示手段が広く承認されているが、ユーザの様々な要望すべてに応えることは難しい。ある実施例では、破損しない工夫がなされた密閉器が大型の瓶に取り付けられる。別の実施例では、最終的な密閉器の固定部の下に不正開封表示手段が安定的に取り付けられる。特に瓶製造業者からは、不正開封表示手段を安定的に取り付けることへの要望が高まっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
関連分野の技術ソリューションとしては、以下のロシア連邦発明特許第2161585, B65D41/38号を挙げられる。
【0005】
出願番号:95119426/13
出願日:1995年11月8日
公開日:2001年1月10日
特許権者:GUALA CLOSURES PATENT B.V.(NL)
この特許は、放出要素、放出要素を支持する内部ラグを備えた円筒形スリーブ、キャップ、キャップと放出要素の間にネジを回して取り外しするネジ継手およびリングと緩んだ接続部を備えた防止テープから成る、瓶などに使用する保護ロックに関する。円筒形スリーブは、ネジを回して外したキャップにリング内歯を係合する構造のリング外歯を備えている。リングは、スロットを介して最低2つの物理的に別個の要素に分けられる。前記の外歯は、円筒形スリーブの傾斜端部により形成される内部溝に設けられる。
【0006】
しかし、この設計には保護ロックと瓶の外面に視覚的な不正開封表示手段が設けられておらず、瓶が不正に開封されて異物が液体に混入されるのを防止する対策が講じられていない。
【0007】
別の技術ソリューションとしては、以下のロシア連邦発明特許第63328, MPK B65D 39/06号を挙げられる。
【0008】
出願番号:2006132237/22
出願日:2006年9月7日
公開日:2007年5月27日
特許権者:Zaets Volodymyr Volodymyrovych(ウクライナ)とProskurnya Ivan Mykolaiovych(ウクライナ)
この発明は、注入口と注出口のある本体から成るディスペンサーコルクと、球状ガスケットの外径に納まる円錐挿入部に位置する可動球として作られ軸に沿って移動できる位置にある密閉要素とを含有する、液体入りの瓶用のキャッパーに関する。ディスペンサーコルク本体の上面にはリング溝とネジ山が設けられ、下面には窓が設けられ、窓の下面内側には取付部がある。ディスペンサーコルクは丸溝リングの金属キャップに取り付けられ、ディスペンサーコルクキャップはキャッパー組立の際に連続したリング溝で機械的に折り曲げられた耳を備えている。金属キャップは、独立した部品として作られる。
【0009】
しかし、この設計は、閉じられた際の機密性が十分でなく、製品製造工程における不正開封防止の信頼性が低く、組立や瓶への設置手順もかなり複雑であるという欠点がある。
【0010】
別の技術ソリューションとしては、以下のロシア連邦発明特許第51977, MPK B65D 41/32号を挙げられる。
【0011】
出願番号:2005123103/22
出願日:2005年7月21日
公開日:2006年3月10日
特許権者:Belcaps Beteiligungs GmbH傘下のInnistrannoye unitarnoe proizvodstvennoe predpriyatie Belkeps(ベラルーシ)
この特許は、不正開封表示手段、機械的接合や粘着剤により不正開封表示手段を接続する金属ケース、プラスチックスクリュードライバ、内部空洞と充填孔のある補助スプリッタおよびスリーブネジ山と係合する外部ネジ山を備えた保護ボトルキャップに関する。不正開封表示手段は、スクリュースリーブの下部外形に沿った偏心管継手の形態の表示ベルトである。金属ケースは2つの隣接部から成り、それぞれの端部が表示ベルトに収まっている。キャップが開けられると2つの端部のうちの1つが放たれ、ベルトの一部が目に映ることにより開封がなされたことを表示するという仕組である。ベルトの一部は緩められ、穿孔がある。
【0012】
しかし、この技術ソリューションは複雑で、不正開封表示密閉器としての設計上の信頼性が低く、消費者の品質に関する高い要望に応えられず、妥当な価格での大量生産も不可能で、使用上の利便性も低い。
【0013】
また、閉じられた際の機密性が十分でなく、製品製造工程における不正開封防止の信頼性が低く、組立や瓶への設置手順もかなり複雑であるという欠点がある。
【0014】
本発明に最も類似した技術ソリューションは、以下のロシア連邦発明特許第94958号である。
【0015】
出願番号:2010105845
出願日:2010年2月19日
公開日:2010年7月10日
特許権者:貿易会社Alternativa ANA LLC
この製品は、ハンドル、最低1つのキャップ、最低1つの固定スリーブおよび固定スリーブ、ハンドルまたはキャップに接続された取り外しが容易な分離ベルトから成る密閉器である。生産者の意見では、ハンドルの使用により密閉器の密閉力が向上するとされる。また、固定スリーブと瓶の首部に組み合わせるハンドルにより、密閉器を安定的に固定できる。キャップは保護手段であり、密閉器の美観を向上させる。固定スリーブとハンドルまたはキャップとの間の穿孔ラインにより、分離ベルトの取り外しも容易である。
【0016】
この装置は、多くのユーザの要望に応えている。瓶(容器)の首部に安定的に固定され、開封された場合には視覚的な表示で知らせる。残念ながら、この設計には、ハンドルの使用により費用が高くなり組立作業も複雑になるという欠点がある。このため価格面で末端ユーザに影響を与え、製品の市場競争力にも支障を来している。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の技術ソリューションによる不正開封表示手段を備えた密閉器は、設計が簡易化され、信頼性が高まり、低価格となり、利便性も向上したため、消費者の高い品質要件に応えることができる。
【0018】
この技術ソリューションによる1番目の変形例は、キャップ壁に固定されるグリッパと固定要素を備える不正開封表示手段を備えるキャップを有する密閉器の構造により達成される。別の変形例も固定要素とグリッパとを備えた不正開封表示手段付きのキャップから成る密閉器であり、グリッパもキャップ壁に固定されているが(ここまでは1番目の変形例と同じ設計)、2番目の変形例の異なる特徴はスプリッタやディスペンサとしての液流形成及び/又は分配用の継ぎ手を備えた装置であるという点である。一定量の液体を封入するためには液流形成及び/又は分配器が必要であり、このような設計によるソリューションは目標の技術成果を達成するために不可欠である。
【0019】
それ以外にも本発明の技術ソリューションの特徴は、以下の通りである。
−不正開封表示手段が緩い強度の接続によりキャップに固定されている。これは不正開示表示を確実にするために必要であり、また、目標の技術成果を達成するための基本的発想である。
−不正開封表示手段である密閉器の一部が密閉シリンダーまたは開放シリンダーとして製造されている。
−不正開封表示手段である密閉器の一部の固定要素が緩い強度の接続部のある面と反対の面に位置するラグとして作られ、ラグは部分的に均等または不均等の間隔でシリンダーの周囲全体に沿って走っている。
−固定要素のラグが高強度の接続または穿孔による緩い強度の接続で不正開封表示手段である密閉器の一部に固定され、不正開封表示手段である密閉器の一部の壁とラグの壁との間に角度を形成する切頂錐体に作られ、備わった角度は装置の動作条件により5〜175°に変化する。
−縦軸に沿った密閉器の移動を制限するために固定要素のラグを蓋の閉まった瓶(容器)の首部に係合することにより、固定要素は首部と連動できる。
−縦軸に沿った密閉器の移動を制限するために固定要素のラグを蓋の閉まった瓶の首部のフィレット(隅)に係合することにより、固定要素は首部のフィレットの下面と連動できる。
−密閉器のキャップが支持端を閉じられ内部空洞と上壁を形成するシリンダーとして作られ、内部空洞壁面が一条ネジまたは多条ネジ、ネジやラグと係合するヒッチおよび蓋の閉まった瓶の首部のヒッチを含有する。
−リング形の封止ラグが内部空洞の上壁面に埋め込まれている。
−密閉器キャップの外面が全装置に対し波形である。
−キャップが波形であるばかりでなく、不正開封表示手段である密閉器の一部のグリッパも対称または非対称の波形である。
−キャップの支持端にへこみ部がある。
−キャップがグリッパ取付用のスロットを備え、スロットの形状により不正開封表示手段である密閉器の一部のグリッパが作動する。
−不正開封表示手段である密閉器の一部が密閉器キャップの色と対照的な色や異なる色のポリマー材で作られている。
−不正開封表示手段である密閉器の一部のグリッパが密閉器キャップのスロットに位置し、密閉器の縦軸に沿って傾斜している。
−密閉器キャップが補助のポリマーガスケットとスリーブを含有する。
−蓋の閉まった瓶の首部のネジ山と密閉器の分離部が発泡性飲料を開けたときに発せられるガスを移動させるために必要な溝部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】閉じられた装置を示す部分断面図(1番目の変形例)
【図2】装置の断面図(2番目の変形例)
【発明を実施するための形態】
【0021】
不正開封表示手段である密閉器部分1
密閉器の部位1の固定要素2
蓋の閉まった瓶3
密閉器の部位1のグリッパ4
キャップ5
キャップ5のスロット6
蓋の閉まった瓶の首部7
蓋の閉まった瓶の首部7の固定リング8
固定要素2のラグ9
首部7のネジ山10
キャップ5の封止ラグ11
キャップ5の波形パターン12
グリッパ4の波形パターン13
キャップ5のへこみ部14
キャップ5のネジ山15
液流形成及び/又は分配器16
【0022】
密閉器の動作と装置要素の関係
密閉器が閉じるとキャップ5とラグ12により機密性が維持され、装置は首部7と連動する。
【0023】
密閉器が閉じると、グリッパ4が溝部6に収まり、固定要素2のラグ9が首部7のラグ10と連動する。
【0024】
密閉器が開くと、密閉器の部位1が部分的に破損する。密閉器は開くと破損する仕組であり、それにより開封がなされたことを視覚的に表示し、これにより開封制御が達成される。
【0025】
本発明(実用新案)は機能性が高く、価格も妥当で、不正開封防止に優れた威力を発揮し、そのうえ使いやすい。
【0026】
本明細書で説明、図示した密閉器の設計は上記技術課題を解決する唯一のものではなく、この発明に含まれる表示のセットを含む他の変形例を含むことを妨げない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップとキャップ壁に固定されるグリッパと固定要素を備える不正開封表示手段とを備えていることを特徴とする密閉器(変形例)。
【請求項2】
キャップとキャップ壁に固定されるグリッパと固定要素を備える不正開封表示手段とを備え、密閉器がスプリッタやディスペンサとしての液流形成及び/又は分配用の継ぎ手を備えていることを特徴とする密閉器(変形例)
【請求項3】
不正開封表示手段が緩い強度の接続によりキャップに固定されていることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項4】
不正開封表示手段である密閉器の一部が密閉シリンダーまたは開放シリンダーとして製造されていることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項5】
不正開封表示手段である密閉器の一部の固定要素が緩い強度の接続部のある面と反対の面に位置するラグとして作られ、前記ラグが部分的に均等または不均等の間隔でシリンダーの周囲全体に沿って走っていることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項6】
固定要素のラグが高強度の接続または穿孔による緩い強度の接続で不正開封表示手段である密閉器の一部に固定され、前記不正開封表示手段である密閉器の一部の壁とラグの壁との間に角度を形成する切頂錐体に作られ、備わった角度は装置の動作条件により5〜175°に変化することを特徴とする密閉器(請求項5)
【請求項7】
縦軸に沿った密閉器の移動を制限するために固定要素のラグを蓋の首部に係合することにより前記固定要素が閉まった瓶の前記首部と連動できることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項8】
縦軸に沿った密閉器の移動を制限するために固定要素のラグを首部のフィレットに係合することにより前記固定要素が蓋の閉まった瓶の前記首部のフィレットの下面と連動できることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項9】
密閉器のキャップが支持端を閉じられ内部空洞と上壁を形成するシリンダーとして作られ、前記内部空洞壁面が一条ネジまたは多条ネジ、前記ネジやラグと係合するヒッチ及び/又は蓋の閉まった瓶の首部のヒッチで覆われていることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項10】
リング形の封止ラグが内部空洞の上壁面に埋め込まれていることを特徴とする密閉器(請求項9)。
【請求項11】
密閉器キャップの外面が全装置に対し波形であることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項12】
不正開封表示手段である密閉器の一部のグリッパがキャップの波形パターンに対して対称または非対称の波形であることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項13】
キャップの支持端にへこみ部があることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項14】
キャップがグリッパ取付用のスロットを備え、前記スロットの形状により不正開封表示手段である密閉器の一部のグリッパが作動することを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項15】
不正開封表示手段である密閉器の一部が密閉器キャップの色と対照的な色や異なる色のポリマー材で作られていることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項16】
不正開封表示手段である密閉器の一部のグリッパが密閉器キャップのスロットに位置し、密閉器の縦軸に沿って傾斜していることを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項17】
密閉器キャップが補助のポリマーガスケットとスリーブを含有することを特徴とする密閉器(請求項1,2)。
【請求項18】
蓋の閉まった瓶の首部のネジ山又は密閉器の分離部が発泡性飲料を開けたときに発せられるガスを除去するために必要な溝部を備えることを特徴とする密閉器(請求項10)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−56632(P2012−56632A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−105736(P2011−105736)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(511113866)
【氏名又は名称原語表記】Andrey Prozumenshchikov
【住所又は居所原語表記】8−4−116, Bozhenko Street, Moscow, 121315
【Fターム(参考)】