説明

密閉放射検出器および作製方法

【課題】密閉放射検出器および作製方法を提供する。
【解決手段】X線パネル102およびX線パネル102の第1の表面上に配設されたシンチレータ層104を備えるフラットパネルX線検出器100。フラットパネルX線検出器100は、さらに、シンチレータ層104を覆う密閉カバーを備える。密閉カバーは、上部表面108−1および上部表面108−1から離れて延在する少なくとも1つの側壁108−2を備える。フラットパネルX線検出器100は、さらに、密閉カバーとX線パネル102との間に配設されたはんだシール110を備える。側壁108−2の縁は、縁がX線パネル102に直接接触しないようにはんだシール110内に実質的に埋め込まれる。フラットパネルX線検出器100を作製するための方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に提示される実施形態は、一般に、放射検出器、特に密閉放射検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光、赤外線放射、紫外線放射、X線などを検出するために使用されるような放射検出器は、たとえば電子撮像システムにおいて生産性が高い。こうした放射検出器は、通常、放射検出器に損傷をもたらす可能性がある環境で動作する。たとえば、埃および花粉などの異質粒子は、可視光検出器を損傷する場合がある。一部の放射検出器はまた、水分などの環境条件にさらされると物理的変化を受ける場合がある。
【0003】
たとえば、X線検出器は、X線光子を可視光光子に変換する発光材料を含む。可視光光子は、その後、さらなる処理のための電気信号を生成するために、発光材料に結合されたフォトダイオードアレイによって検出されることができる。発光材料は、ヨウ化セシウム(CsI)などのイオン性材料を含む。CsIは、針状結晶を有する結晶材料である。CsI結晶は吸湿性の特性を示す。CsI結晶は、水分子を引寄せ保持する傾向を有する。CsI結晶の吸湿特性は、結晶の構造を損傷する発光材料内への水分移入をもたらし、それにより、X線検出器の画像品質を低下させる。
【0004】
水分移入を防止しようとする、知られている一部の努力は、X線ガラスパネルの上の密閉または半密閉カバーによって発光材料をシールすることを含む。知られている半密閉シールは、通常、環境から発光層内への水分拡散および移入の低減を実現するためのエポキシ密閉剤などの有機材料で構成される。しかし、有機密閉剤は、発光材料用の完全な密閉を提供せず、したがって、X線検出器の画像品質に依然として損傷をもたらす。
【0005】
有機密閉剤をはんだなどの金属密閉剤で置換することもまた提案されている。しかし、ボイドが、このプロセス中にはんだシール内に形成される場合がある。こうしたボイドは、水分移入用の経路を提供し、したがって、シールを無効にまたは実質的に低下させる。さらに、はんだシール材料は、X線パネルおよびカバーに適合しているべきである。その結果、カバー材料の選択が制限される場合がある。さらに、はんだシールによるX線パネルに対するカバーの適切な付着は、特にX線検出器が機械的応力を受ける用途の場合難しい場合がある。
【0006】
他の知られている一部の努力は、密閉剤の付着、したがってシールの不浸透性を改善するために、密閉カバーか、X線ガラスパネルか、または両方にプライマが塗布されることを必要とする。しかし、こうした解決策は、発光材料の動作寿命全体を通して保護を提供しない場合がある。さらに、プライマの塗布は、作製プロセス内の条件のさらなるコントロールを付加する。
【0007】
同様に、少数の他の努力は、種々の耐湿性層の薄膜堆積を伴うシールを改善する方法を含む。これらの方法は、水分移入および損傷の影響を低減するのに役立つが、通常真空堆積を必要とするため、大幅な処理の複雑さおよびコストを付加する場合がある。
【発明の概要】
【0008】
したがって、これらの問題を克服する放射検出器を密閉するための解決策についての必要性が存在する。
【0009】
上記のまた他の欠点/不足は、本明細書で開示するフラットパネルX線検出器を作製するための方法の実施形態によって克服または軽減される可能性がある。方法は、X線パネル上に検出器アレイを形成することを含む。さらに、密閉カバーは、超音波はんだ付けを使用してX線パネルに接合される。密閉カバーは、上部表面および少なくとも1つの側壁を備える。さらに、側壁の縁は、密閉カバーの縁がX線パネルに直接接触しないようにはんだシール内に埋め込まれる。
【0010】
本発明のフラットパネルX線検出器の実施形態は、X線パネルおよびX線パネルの第1の表面上に配設されたシンチレータ層を備える。フラットパネルX線検出器は、シンチレータ層を覆う密閉カバーをさらに備える。密閉カバーは、上部表面および上部表面から離れて延在する少なくとも1つの側壁を備える。フラットパネルX線検出器は、さらに、密閉カバーとX線パネルとの間に配設されたはんだシールを備える。側壁の縁は、縁がX線パネルに直接接触しないようにはんだシール内に実質的に埋め込まれる。
【0011】
別の実施形態によれば、本発明の装置は、フラットパネル基材およびフラットパネル基材の第1の表面上の放射検知構造を備える。装置は、さらに、放射検知構造を覆う密閉カバーを備える。密閉カバーは、上部表面および上部表面から離れて垂直に延在する少なくとも1つの側壁を備え、放射が放射センサによって検知されるように実質的に透過性である。装置は、さらに、密閉カバーとフラットパネル基材との間に配設されたはんだシールを備える。側壁の縁は、縁がフラットパネル基材に直接接触しないようにはんだシール内に実質的に埋め込まれる。
【0012】
本システムおよび技法のこれらのまた他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明が添付図面を参照して読まれるとよりよく理解される。図面では、同様の符号は図面全体を通して同様の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態による例示的なフラットパネルX線検出器の略図である。
【図2】別の実施形態による例示的なフラットパネルX線検出器の略図である。
【図3】一実施形態によるフラットパネルX線検出器を作製するための例示的な装置を示す図である。
【図4】一実施形態による放射検出器を作製する例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
種々の実施形態が、以下、添付図面を参照してより完全に述べられる。こうした実施形態は、制限的であるとして解釈されるべきでない。たとえば、1つまたは複数の態様は、他の実施形態およびさらに他のタイプのデバイスで利用されうる。図面では、同様の数字は同様の要素を指す。
【0015】
以下の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために、特定の量、サイズなどのような特定の詳細が述べられる。しかし、本明細書で提示される実施形態は、こうした特定の詳細なしでも実施されることができる。多くの場合、こうした考慮事項などに関する詳細は、こうした詳細が種々の実施形態の完全な理解を得るために必要でないため省略されており、関連技術分野の専門家の技量内にある。
【0016】
一般に図面を参照して、例証は、特定の実施形態を述べるためのものであり、制限的であることを意図されない。
【0017】
図1を参照して、ある実施形態に従ってX線画像を採取するための例示的なフラットパネルX線検出器100が示される。一実施形態では、フラットパネルX線検出器100は、X線パネル102、シンチレータ層104、反射層106、および密閉カバー108を備える。密閉カバー108は、さらに、上部表面108−1および上部表面108−1から離れて延在する少なくとも1つの側壁108−2を備える。1つの例示的な実装態様では、少なくとも1つの側壁108−2は、上部表面108−1に垂直であるとすることができる。代替の実装態様では、少なくとも1つの側壁108−2は、適した角度で上部表面108−1から傾斜しているとすることができる。密閉カバー108は、X線パネル102の上に配設されたはんだシール110内に埋め込まれ、それにより、この例では、密閉カバー108はX線パネル102に直接接触しない。密閉カバー108は、はんだシール110と共に、シンチレータ層104を水分移入から保護するための、X線パネル102の上に配設されたカバーアセンブリを形成する。一実施形態によれば、密閉カバー108は、超音波はんだ付け技法を使用してX線パネル102に結合される。本明細書で提示される実施形態はフラットパネルX線検出器に関するが、本開示は、可視光、赤外線放射、紫外線放射などを検出するために使用されるような任意の放射検出器に拡張されることができる。
【0018】
X線管(図1に示さず)は、試験下の物体または患者などのターゲットを通してX線光子ビームを送出することができる。ターゲットによって吸収されないX線光子は、シンチレータ層104に衝当する。シンチレータ層104は、未吸収X線光子を可視光光子に変換することができる。一実施形態では、シンチレータ層104は、ヨウ化セシウム(CsI)などのイオン性材料を含むが、任意の他の適したイオン性材料、たとえばタリウムドープヨウ化セシウム結晶(CsI:TI)、タリウムドープヨウ化ナトリウム(NaI:TI)、ナトリウムドープヨウ化セシウム結晶(CsI:Na)、臭化ランタン(LaBr3)、ヨウ化セリウム(CeI)、および酸硫化ガドリニウムが、シンチレータ層104において使用されることができる。
【0019】
一実施形態では、X線パネル102は、複数の光センサ素子(図1には示さず)を備える。複数の光センサ素子は、多くの配向で、たとえば列および行で配列されることができる。光センサ素子は、シンチレータ層104から可視光を検出し、可視光を対応する電気信号に変換する。電気信号は、X線画像を生成するために使用されることができる。当技術分野で知られている任意の技法が、電気信号からX線画像を生成するために使用されることができる。1つの例示的な実装態様では、フォトダイオードが、光センサ素子として使用される。任意の他のタイプの変換器が、入射可視光を適切な出力信号に変換するために使用されることができる。
【0020】
一実施形態では、反射層106は、シンチレータ層104の上に設置されることができる。反射層106は、シンチレータ層104から出る可視光を光センサ素子に戻るように反射する。
【0021】
一実施形態によれば、密閉カバー108は、所望のエネルギー範囲の放射に対して実質的に透過性の材料からなる。目下の例では、密閉カバー108は、X線に対して実質的に透過性の材料からなる。一例では、密閉カバー108は、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、およびニッケルなどの金属シートで作られることができる。別の例では、密閉カバー108は、ガラス、グラファイト、またはポリエーテルイミドなどのような高温ポリマーで作られることができる。なお別の実施形態では、密閉カバー108は、アルミニウム箔で両側をラミネートされた、炭素繊維複合シートなどの複合材シートで作られることができる。これらの例は、例証に過ぎず、密閉カバーは、任意の他の適した材料で作られることができる。
【0022】
ある例では、はんだシール110は、インジウムスズ合金などの低温合金を含むが、純粋なインジウムまたは鉛ビスマス合金などの任意の他の適したはんだ材料もまた使用されることができる。一実施形態では、側壁108−2の縁は、この例では縁がX線パネル102に直接接触しないようにはんだシール110内に実質的に埋め込まれる。ある実施形態では、密閉カバー108は、超音波はんだ付け技法を使用してX線パネル102にはんだ付けされる。
【0023】
X線パネル102と密閉カバー108との間のギャップは、はんだシール110内のボイド、酸化物、および他の異質粒子が水分移入用の経路を形成する可能性を減らし、それにより、密閉カバー108の密閉品質の劣化の可能性を減らす。
【0024】
図2は、別の実施形態による例示的なフラットパネルX線検出器200を示す。フラットパネルX線検出器200は、密閉カバー208を備える。密閉カバー208は、上部表面208−1および少なくとも1つの側壁208−2を備える。密閉カバー208は、さらに、縁に、ここでは以降で交換可能にフィートと呼ばれるフランジ付き部分208−3を備える。一実施形態では、フィート208−3は、密閉カバー208がX線パネル102に直接接触しないようにはんだシール110内に実質的に完全に埋め込まれる。目下の例では、フィート208−3は、図2に示すように、実質的に水平方向に縁から外に突出する。別の実装態様では、フィート208−3は、縁から内側に突出することができる。なお別の実装態様では、フィート208−3の一部分が縁から外に突出し、フィート208−3の残りの部分が縁から内側に突出することができる。フィート208−3は、X線パネル102に対する密閉カバー208の付着を改善し、それにより、接合箇所の機械的強度を増加させる。
【0025】
図3は、フラットパネルX線検出器を作製するための例示的な装置300の略図である。装置300は、底部分302−1および上部分302−2を有する取付け具302を備える。取付け具302は、さらに、底部分302−1および上部分302−2内に1つまたは複数の加熱要素308−1および308−2をそれぞれ備えることができる。一実装態様では、取付け具302は、温度を制御し、X線検出器の作製のために使用されるX線パネル102および密閉カバーを配置する。シンチレータ層およびシンチレータ層上に形成された反射層を有するX線パネル102などのX線パネルならびにX線パネル102の上に塗布されたはんだシール110は、ベース部分302−1の上に設置される。1つまたは複数の加熱要素は、はんだシール110の融点のすぐ上の温度までX線パネル102を加熱するために使用されることができる。さらに、X線パネル102は、知られている適した方法、たとえば、1つまたは複数のドテピンを使用して位置合わせされることができる。一実施形態では、ベース部分302−1は、一連の穴を備え、X線パネル102を所定場所に固定するために真空ラインに接続されることができる。
【0026】
上部分302−2は、X線パネル102の上に、密閉カバー、たとえば密閉カバー208を懸垂保持する。ある実装態様では、密閉カバー208は、たとえば表面酸化物または他の汚染物質を除去するために、超音波洗浄浴槽内で予め洗浄されることができる。はんだシールの一部分はまた、密閉カバー208の縁および/またはフィートに塗布されることができる。一実装態様では、自動はんだ付けシステムは、良好な付着を維持するために、超音波はんだ付けを使用することによってはんだを塗布するように構成されることができる。超音波はんだ付け技法は、フラックスを使用することなく、密閉カバー208の縁208−3および/またはフィートに対してはんだシールの適切な濡れ性および強い金属間結合を提供する。別の実装態様では、はんだ付けプロセスは、密閉カバー208の酸化を低減するために不活性ガス環境内で実施されることができる。
【0027】
一実装態様では、縁および/またはフィートにはんだシールを有する密閉カバー208は、1つまたは複数の真空ポートを通して取付け具302の上部分302−2の下側に取付けられることができる。例示的な実装態様では、真空ポートは、上部分302−2の下側に存在し、上部分302−2の側面の主真空源に連結されることができる。真空ポートおよび主真空源は、密閉カバー208を上部分302−2の下側に取付けるように構成されることができる。真空が取除かれると、密閉カバー208は、上部分302−2の下側から解除されることができる。
【0028】
上部分302−2は、さらに、密閉カバー208がはんだ予備成形体110に接触するように密閉カバー208を下げるように構成される。一実施形態では、密閉カバー208は、約0.5ミリメートルだけX線パネル102の上で懸垂保持される。取付け具302の加熱要素308−1および308−2は、はんだシール110を溶融させるために、はんだシール110の融点のすぐ上の温度までX線パネル102および/または密閉カバー208を加熱するように構成されることができる。さらに、密閉カバー208は、密閉カバー208の縁および/またはフィートがX線パネル102に触れることなく溶融したはんだシール110内に実質的に完全に懸垂保持されるようにさらに下げられる。一実施形態では、1つまたは複数のマイクロメータ304−1および304−2(以降で総称的にマイクロメータ304と呼ばれる)は、上部分302−2とベース部分302−1との間の距離を調整するように構成される。ある実施形態では、マイクロメータ304は、アセンブリ取付け具の四隅に設置されることができる。
【0029】
装置300は、さらに、はんだシール110を撹拌するための撹拌手段(図3には示さず)を備えることができる。はんだシール110は、X線パネル102および/または密閉カバー208上に塗布されたはんだシールの濡れ性を保証するため、強い金属結合の完全性を保証するため、および/または、はんだシール内に捕捉された任意のボイド、酸化物、および/または粒子をはんだシールの表面に変位させるために撹拌される。一実施形態では、撹拌手段は、はんだシール110を超音波的に撹拌する任意の知られている超音波撹拌器とすることができる。別の実施形態では、はんだシールは、機械的振動を使用して機械的に撹拌されることができる。一実装態様では、装置300は、はんだシール110および/または密閉カバー208を通して超音波振動を通すための超音波手段を備えることができる。密閉カバー208およびX線パネル102は、はんだシール110を介して接合されることができる。
【0030】
代替の実施形態では、装置300は、窒素雰囲気内で炉内に収容される。この場合、装置300は、加熱要素308−1および308−2を含まない。代わりに、はんだシール110を溶融させるために、炉自体が、はんだシールの融点のすぐ上まで加熱されることができる。窒素雰囲気は、はんだシール110の酸化を防止するのに役立ち、したがって、密閉プロセス中にシンチレータ層内への水分移入を制限することができる。
【0031】
ここで図4を参照して、一実施形態による、フラットパネルX線検出器を作製するための例示的な方法400を示すフローチャートが示される。ステップ402にて、光センサのアレイがX線パネル上に形成される。一実施形態では、光センサのアレイが任意の配向で配列されることができる。例示的な実施形態では、光センサはフォトダイオードを備えることができる。さらに、シンチレータ層がX線パネルの上に形成される。さらに、反射層が、シンチレータ層の上に設置されることができる。その後、シンチレータ層および反射層を有するX線パネルは、X線パネルを加熱するための加熱要素を有するアセンブリ取付け具の平坦ベースプレート上に設置される。
【0032】
さらに、ステップ404にて、はんだシールがX線パネル上に塗布される。一実施形態では、はんだシールは、X線パネルの周囲に塗布される。はんだシールの例は、インジウムスズ合金などの低温合金を含む。さらなる実装態様では、はんだシールは、純粋のインジウムはんだまたは鉛ビスマス合金を含むことができる。1つの例示的な実施形態では、はんだシールの予備成形リボンが、X線パネル上に設置される。あるいは、はんだシールは、ワイヤまたは任意の他の適した形状とすることができる。
【0033】
ステップ406にて、はんだシールは、密閉カバー上に塗布される。一実施形態では、密閉カバーは、表面酸化物および他の汚染物質を除去するために、超音波浴槽内で予め洗浄されることができる。その後、はんだシールは、密閉カバーの縁および/またはフィートに塗布されることができる。別の実施形態では、はんだシールは、X線パネルおよび密閉カバー上に直接塗布されることができる。
【0034】
その後、ステップ408にて、密閉カバーは、超音波はんだ付け技法を使用してX線パネルに接合される。このために、X線パネルおよび/または密閉カバーは、アセンブリ取付け具を使用して位置合わせされることができる。一実施形態では、密閉カバーおよびX線パネルは、密閉カバーの縁および/フィートが、X線パネル上に設置されたはんだシールの上に直接設置されるように位置合わせされる。その後、密閉カバーおよびX線パネルは、はんだシールの融点のすぐ上の温度まで加熱されることができる。一実施形態では、密閉カバーおよびX線パネルは、アセンブリ取付け具内の1つまたは複数の加熱要素を使用して加熱される。密閉カバーは、その後、X線パネル上の溶融したはんだシール内にさらに下げられることができる。一例では、密閉カバーの側壁(複数可)の縁および/またはフィートは、密閉カバーがX線パネルに直接接触しないようにはんだシール内に実質的に埋め込まれる。一実施形態では、側壁の縁は、側壁から遠くに水平に突出するフランジ付き部分を備えることができ、フランジ付き部分は、はんだシール内に実質的に埋め込まれることができる。一実施形態では、スタンドオフ高さ、すなわち密閉カバーとX線パネルとの間の距離は、アセンブリ取付け具の四隅に設置された1つまたは複数のマイクロメータを使用して維持されることができる。
【0035】
その後、はんだシールは、密閉カバーとX線パネルが共に接合されるように超音波振動を使用して撹拌されることができる。一実施形態では、密閉カバーは、はんだシールを撹拌するために密閉カバーをゆっくりかつ静かに振動させ、それにより、はんだシールを、X線パネルおよび密閉カバーに結合させることによってX線パネルに接合されることができる。別の実施形態では、はんだシールは、超音波振動を使用して撹拌されることができ、それが、密閉カバーとX線パネルのはんだ付けをもたらす。密閉カバーがX線パネルに接合されると、X線パネルおよび密閉カバーは、はんだシールを固化するために冷却されることができる。はんだシールが固化すると、取付け具に結合された真空源が取除かれ、密閉したX線検出器が解放されることができる。
【0036】
本発明は少数の例示的な実施形態だけを参照してかなり詳細に述べられたが、開示される実施形態に対して種々の変更、省略、追加、および置換が本発明の範囲から実質的に逸脱することなく行われることができるため、本発明をこれらの実施形態だけに限定することは意図されないことが認識される。さらに、多くの変更が、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または設置に適合するために行われることができる。そのため、本発明は制限としてではなく例証として述べられたことが理解されなければならない。したがって、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲および趣旨内に含まれる可能性がある全ての変更、省略、追加、置換などを包含することが意図される。
【符号の説明】
【0037】
100 フラットパネルX線検出器
102 X線パネル
104 シンチュレータ層
108 密閉カバー
108−1 上部表面
108−2 側壁
110 はんだシール
200 フラットパネルX線検出器
208 密閉カバー
300 装置
302 取付け具
304 マイクロメータ
308 加熱要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出器であって、
X線パネル(102)と、
前記X線パネル(102)の第1の表面上に配設されたシンチレータ層(104)と、
前記シンチレータ層(104)を覆う密閉カバー(108)であって、上部表面(108−1)および前記上部表面(108−1)から離れて延在する少なくとも1つの側壁(108−2)を備える、密閉カバー(108)と、
前記密閉カバー(108)と前記X線パネル(102)との間に配設されたはんだシール(110)とを備え、前記側壁(108−2)の縁は、前記はんだシール(110)内に実質的に埋め込まれ、それにより、前記縁は、前記X線パネル(102)に直接接触しない検出器。
【請求項2】
前記密閉カバー(108)は、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル、およびポリエーテルイミドの少なくとも1つを含む請求項1記載の検出器。
【請求項3】
前記縁はフランジ付き部分を備え、前記フランジ付き部分は、前記はんだ材料内に実質的に完全に埋め込まれる請求項1記載の検出器。
【請求項4】
前記シンチレータ層(104)は、ヨウ化セシウム(CsI)、タリウムドープヨウ化セシウム結晶(CsI:TI)、タリウムドープヨウ化ナトリウム(NaI:TI)、ナトリウムドープヨウ化セシウム結晶(CsI:Na)、臭化ランタン(LaBr3)、およびヨウ化セリウム(CeI)の少なくとも1つを含む請求項1記載の検出器。
【請求項5】
方法であって、
X線パネル(102)上に検出器素子のアレイを形成すること、および、
超音波はんだ付けを使用して前記X線パネル(102)に密閉カバー(108)を接合することを含み、前記密閉カバー(108)は、上部表面(108−1)および前記上部表面(108−1)から離れて延在する少なくとも1つの側壁(108−2)を備え、前記側壁(108−2)の縁は、前記はんだシール(110)内に実質的に埋め込まれ、それにより、前記縁は、前記X線パネル(102)に直接接触しない方法。
【請求項6】
前記X線パネル(102)上に前記はんだシール(110)の予備成形リボンを配設することをさらに含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
超音波エネルギーを使用して前記密閉カバー(108)の前記側壁(108−2)の前記縁に前記はんだシール(110)を塗布することをさらに含む請求項5記載の方法。
【請求項8】
超音波エネルギーを使用して前記はんだシール(110)を撹拌することをさらに含む請求項5記載の方法。
【請求項9】
装置であって、
フラットパネル基材と、
前記フラットパネル基材の第1の表面上の放射検知構造と、
前記放射検知構造を覆う密閉カバー(108)であって、上部表面(108−1)および前記上部表面(108−1)から離れて垂直に延在する側壁(108−2)を備え、放射に対して実質的に透過性である、密閉カバー(108)と、
前記密閉カバー(108)と前記フラットパネル基材との間に配設されたはんだシール(110)とを備え、前記側壁(108−2)の縁は、前記はんだシール(110)内に実質的に埋め込まれ、それにより、前記縁は、前記フラットパネル基材に直接接触しない装置。
【請求項10】
前記はんだシール(110)は、インジウムスズ合金、純粋なインジウム、および鉛ビスマス合金の少なくとも1つを含む請求項9記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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