説明

対物レンズ駆動装置および光ヘッド装置

【課題】2つの対物レンズを共通のレンズホルダに搭載した対物レンズ駆動装置および光ヘッド装置において、安価かつ簡単な構成で、対物レンズの不均一な温度分布を低減する。
【解決手段】2つの対物レンズ4,5を保持するレンズホルダ3に、複数のフォーカスコイルおよび複数のトラッキングコイルを取り付ける。複数のフォーカスコイルは、各対物レンズの周囲に、当該対物レンズの中心軸を通りトラックに垂直な平面に関して対称で、且つ、当該対物レンズの中心軸を通りトラックに平行な平面に関して対称な位置に配置される。また、複数のトラッキングコイルは、各対物レンズの周囲に、当該対物レンズの中心軸を通りトラックに垂直な平面に関して対称で、且つ、当該対物レンズの中心軸を通りトラックに平行な平面に関して対称な位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズを介して光ディスクの記録面に光を収束させることにより、光ディスクに光学的に情報を記録し、または光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク装置に用いられる光ヘッド装置、および、この光ヘッド装置に用いられる対物レンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ヘッド装置は、光源から出射された光ビームを光ディスクの記録面に合焦させるため、対物レンズをその光軸方向であるフォーカス方向に移動させるフォーカス用アクチュエータと、光ディスクのトラックに光ビームを追随させるため、対物レンズをその光軸と直交するトラッキング方向に移動させるトラッキング用アクチュエータとを有する対物レンズ駆動装置を備えている。アクチュエータとしては、マグネットにより生成される磁場内にコイルを配置し、コイルに通電することにより発生する電磁力を利用するものが多く用いられている。
【0003】
対物レンズ駆動装置は、対物レンズと、これを保持するレンズホルダとを備えている。レンズホルダには、フォーカス方向の駆動力を発生するためのフォーカスコイルと、トラッキング方向の駆動力を発生するためのトラッキングコイルとが取り付けられている。
【0004】
近年の光ヘッド装置では、プラスチックで形成された対物レンズが用いられることが多い。ガラス製の対物レンズと比較して成形が容易であり、コストが低く抑えられるためである。また、対物レンズは、光ヘッド装置の小型化に伴い、発熱源であるフォーカスコイルおよびトラッキングコイルに近接して配置されることが多い。さらに、記録・再生の高速化に伴い、フォーカスコイルおよびトラッキングコイルに通電する駆動電流は増加する傾向にある。
【0005】
このような理由から、近年の光ヘッド装置では、各コイルの発熱によって対物レンズの温度が高くなる傾向があり、特に、対物レンズのコイルに近い側の温度がコイルから遠い側の温度よりも高くなるという温度分布が生じる場合がある。プラスチック製の対物レンズは、温度変化によって変形しやすいため、中心軸(光軸)に対して非対称な温度分布が生じると、熱変形により収差が増加し、集光性能が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、対物レンズの温度分布に起因する収差を低減するため、特許文献1には、対物レンズ駆動装置のレンズホルダに、プラスチック製の対物レンズの下側に接触するように、高熱伝導率の材料(ベリリウム銅合金)からなる円環状部材を配置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−176009号公報(段落0014〜0018および図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された対物レンズ駆動装置では、コイルで発生した熱が高熱伝導率の円環状部材で拡散されるため、対物レンズの温度分布をある程度低減することはできるが、対物レンズのコイルに近い側の温度がコイルから遠い側の温度よりも若干高くなるという傾向は解消しない。
【0009】
また、レンズホルダに、対物レンズと各コイルに加えて環状部材を搭載することになるため、対物レンズ駆動装置の可動部の重量が増加する。可動部の重量の増加分に相当する駆動力を得るためには、駆動電流を増加させなければならず、結果的にコイルの発熱量が増加するという問題がある。また、環状部材を追加することで部品コストが増加すると共に、対物レンズ駆動装置の組立工数が増加するという問題もある。
【0010】
特に、2つの対物レンズを共通のレンズホルダに搭載するタイプの対物レンズ駆動装置では、2つの対物レンズのそれぞれについて環状部材を設けなれればならないため、上記の問題が顕著に表れる。
【0011】
この発明は、上記の課題を解消するためになされたもので、2つの対物レンズを共通のレンズホルダに搭載した対物レンズ駆動装置および光ヘッド装置において、安価かつ簡単な構成で、対物レンズの不均一な温度分布を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の対物レンズ駆動装置は、光ディスクに対向するように2つの対物レンズを保持するレンズホルダと、レンズホルダに取り付けられた複数のフォーカスコイルおよび複数のトラッキングコイルと、レンズホルダを移動可能に支持する支持手段と、支持手段を支持するベースと、複数のフォーカスコイルおよび複数のトラッキングコイルに対向するように、ベースに配置された複数のマグネットとを備える。また、複数のフォーカスコイルを、各対物レンズの周囲に、当該対物レンズの中心軸を通りトラックに垂直な平面に関して対称で、且つ、当該対物レンズの中心軸を通りトラックに平行な平面に関して対称な位置に配置する。また、複数のトラッキングコイルを、各対物レンズの周囲に、当該対物レンズの中心軸を通りトラックに垂直な平面に関して対称で、且つ、当該対物レンズの中心軸を通りトラックに平行な平面に関して対称な位置に配置する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、2つの対物レンズを共通のレンズホルダに搭載した対物レンズ駆動装置において、安価かつ簡素な構成で、コイルで発生した熱による対物レンズの温度分布を均一化することができる。これにより、対物レンズの不均一な温度分布に起因する特性劣化(収差の増加等)を抑制し、良好な記録・再生性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置を示す平面図(A)および側面図(B)である。
【図3】本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置を可動部と固定部に分けて示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置の固定部を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置の可動部を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置のレンズホルダに取り付けられたトラッキングコイルの配置を示す平面図(A)とフォーカスコイルの配置を示す底面図(B)である。
【図7】本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置に取り付けられた対物レンズ、アパーチャおよび内ヨークの配置を示す平面図(A)および断面図(B)である。
【図8】本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置を用いた光ヘッド装置を含む光ディスク装置の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置の斜視図である。図2は、実施の形態1における対物レンズ駆動装置の平面図(A)および側面図(B)である。図3は、実施の形態1における対物レンズ駆動装置を可動部と固定部に分けて示す分解斜視図である。図4は、本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置の固定部を示す分解斜視図である。図5は、本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置の可動部を示す分解斜視図である。図6は、本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置のレンズホルダに取り付けられた対物レンズとコイルの配置を示す平面図(A)および底面図(B)である。
【0016】
各図において、対物レンズの光軸と平行な方向をZ方向(フォーカス方向)とし、Z方向に直交する面において光ディスクの半径方向(トラッキング方向、ラジアル方向)をY方向とする。これらZ方向およびY方向と直交するタンジェンシャル方向、すなわち光ディスクのトラックの方向をX方向とする。また、説明の便宜上、Z方向において、対物レンズから光ディスクに向かう方向を「上方向」すなわち+Z方向とし、その反対方向を「下方向」すなわち−Z方向とする。
【0017】
図1および図2に示すように、実施の形態1に係る対物レンズ駆動装置は、ベース1と、ベース1上に設けられた固定ホルダ2と、固定ホルダ2にワイヤ(後述)を介して弾性支持される略直方体形状のレンズホルダ3と、このレンズホルダ3に保持される対物レンズ4,5とを備えている。
【0018】
対物レンズ4,5は、図示しない光源から出射された光束を光ディスクに集光させるものであり、互いに異なる種類の光ディスクに対応している。例えば、対物レンズ4は、波長帯域が400〜410nmの光束を光ディスクに集光させるために用いられ、対物レンズ5は、波長帯域が650〜660nmの光束と、波長帯域が760〜800nmの光束を光ディスクに集光させるために用いられる。これら対物レンズ4,5は、レンズホルダ3に、ラジアル方向(Y方向)に並んで位置決めされ、それぞれ接着により固定されている。
【0019】
図3に示すように、レンズホルダ3は、液晶ポリマー等の軽量で高剛性のプラスチックで形成された部材であり、その光ディスクに対向する面(上面30)に、上記の対物レンズ4,5の外周部を保持する突起部である対物レンズ保持部40,50を有している。対物レンズ4,5は、それぞれの光軸が光ディスク(記録媒体)の記録面に対して直交するように、対物レンズ保持部40,50に保持されている。
【0020】
レンズホルダ3は、略直方体形状を有しており、YZ面に平行な2側面をなす薄肉の側壁31,32と、XZ面に平行な2側面をなす薄肉の側壁33,34とを有している。側壁31,32は、レンズホルダ3のX方向両端面をなしており、側壁33,34は、レンズホルダ3のY方向両端面をなしている。
【0021】
レンズホルダ3の上面30の対物レンズ保持部40には、シリコンゴム製の緩衝部材12a,12bが取り付けられている。緩衝部材12a,12bは、レンズホルダ3の対物レンズ保持部40に形成された2つの凹みに(図5参照)、適度な粘度を有する室温硬化型シリコンゴム液を塗布し、硬化させることにより形成される。図2(B)に示すように、緩衝部材12a,12bの上端は同じ高さにあり、対物レンズ4,5の最上面より高い位置にあり、且つ、対物レンズ4,5から出射された光束が光ディスクに焦点を結ぶときには光ディスクより低い位置にある。
【0022】
図4に示すように、ベース1は、磁性体(例えば磁性を有する金属)により形成された、例えば板状の部材である。ベース1には、対物レンズ4,5に入射する光を通過させる貫通孔1aが形成されている。
【0023】
ベース1の貫通孔1aの周囲には、+Z方向に延在する内ヨーク1b,1c,1d,1eが設けられている。内ヨーク1b,1c,1d,1eは、内ヨーク1b,1dがX方向に互いに対向し、内ヨーク1c,1eが互いにX方向に互いに対向するように配置されている。内ヨーク1b,1c,1d,1eのX方向外側には、+Z方向に延在するマグネットヨーク1f,1gが、X方向に互いに対向するように設けられている。内ヨーク1b〜1eおよびマグネットヨーク1f,1gは、ベース1の一部をプレスなどの方法でZ方向に屈曲することにより形成される。
【0024】
マグネットヨーク1f,1gの互いに対向する面には、それぞれマグネット11a,11bが固定されている。マグネット11a,11bは、いずれも、Y方向中心の分割ラインを挟んで異なる磁極が隣接するように2極着磁されている。また、マグネット11a,11bは、互いのS極同士、N極同士が対向し合うように配置されている。さらに、マグネット11a,11bは、レンズホルダ3を含む可動部がトラッキング方向の基準位置にあるとき、それぞれの分割ラインのY方向位置が、対物レンズ4,5の両中心の中間点と一致するように配置されている。
【0025】
固定ホルダ2は、ポリフェニレンサルファイド等の軽量で高剛性のプラスチックで成形されている。また、固定ホルダ2は、ベース1の上面でかつX方向の一端側に設けられており、レンズホルダ3の側壁31,32のうち、側壁32に対向している。この固定ホルダ2は、次に説明するワイヤを介してレンズホルダ3を弾性支持するものである。
【0026】
図5に示すように、レンズホルダ3の側壁33,34(Y方向両端面)には、導電性を有する6本のワイヤ(弾性支持体)6a,6b,6c,6d,6e,6fが3本ずつ取り付けられている。ワイヤ6a,6b,6cは、Z方向に並んで配置され、各先端部はレンズホルダ3の側壁33に形成された突部に半田7a,7b,7cにより固定されている。ワイヤ6a,6b,6cの各末端部は、固定ホルダ2に取り付けられた基板8に固定されている。同様に、ワイヤ6d,6e,6fは、Z方向に並んで配置され、各先端部はレンズホルダ3の側壁34に形成された突部に半田7d,7e,7fにより固定されている。ワイヤ6d,6e,6fの各末端部は、基板8に固定されている。
【0027】
上述した固定ホルダ2(図4)には、ワイヤ6a〜6fの各末端部の周囲を囲むように、図示しないゲル状のダンパー剤が充填されている。これらワイヤ(弾性支持体)6a〜6f、固定ホルダ2および基板8は、レンズホルダ3を支持する支持手段を構成している。
【0028】
次に、本実施の形態におけるフォーカスコイル9a,9bおよびトラッキングコイル10a〜10fの配置について説明する。
【0029】
図5および図6(B)に示すように、レンズホルダ3の内側には、フォーカスコイル9a,9bが取り付けられている。フォーカスコイル9a,9bは、YZ面に平行な側壁31,32と、XZ面に平行な側壁33,34とに囲まれるように、これら側壁の内側に固定されている。フォーカスコイル9a,9bは、巻き軸方向がZ方向を向いており、互いに同じ線径と同じ巻数で、Y方向およびX方向に電流が流れるように略矩形状に巻かれている。
【0030】
図6(B)に示すように、フォーカスコイル9aの巻き軸は対物レンズ4の中心軸(光軸)と略一致し、フォーカスコイル9bの巻き軸は対物レンズ5の中心軸(光軸)と略一致するように配置されている。すなわち、フォーカスコイル9aは、対物レンズ4の中心軸を通りトラック(X方向)に垂直な平面(YZ面に平行なAA面)に関して対称で、且つ、対物レンズ4の中心軸を通りトラックに平行な平面(XZ面に平行なCC面)に関して対称な位置に配置されている。
【0031】
同様に、フォーカスコイル9bは、対物レンズ5の中心軸を通りトラックに垂直な平面(YZ面に平行なAA面)に関して対称で、且つ、対物レンズ5の中心軸を通りトラックに平行な平面(XZ面に平行なDD面)に関して対称な位置に配置されている。
【0032】
さらに、フォーカスコイル9a,9bは、対物レンズ4,5の中心軸を通りトラックに垂直な平面(YZ面に平行なAA面)に関して対称で、且つ、対物レンズ4,5の両中心の中間点を通りトラックに平行な平面(XZ面に平行なBB面)に関して対称な位置関係にある。
【0033】
フォーカスコイル9aの両端は、レンズホルダ3のXZ面に平行な側壁33に形成された突部に半田7b,7c(図5)により固定され、ワイヤ6b,6cに電気的に接続されている。これにより、ワイヤ6b,6cおよび基板8を介してフォーカスコイル9aに電流が供給される。同様に、フォーカスコイル9bの両端は、レンズホルダ3のXZ面に平行な側壁34に形成された突部に半田7e,7f(図5)により固定され、ワイヤ6e,6fに電気的に接続されている。これにより、ワイヤ6e,6fおよび基板8を介してフォーカスコイル9bに電流が供給される。
【0034】
なお、フォーカスコイル9aは、Y方向に延在する2辺が、図4に示したマグネット11a,11bの一方の磁極(ここではマグネット11a,11bの各N極)にそれぞれ対向するように配置されている。また、フォーカスコイル9bは、Y方向に延在する2辺が、マグネット11a,11bの他方の磁極(ここではマグネット11a,11bの各S極)に対向するように配置されている。
【0035】
図6(A)に示すように、レンズホルダ3のYZ面に平行な一方の側壁31には、トラッキングコイル10a,10b,10cが固定されている。また、レンズホルダ3のYZ面に平行な他方の側壁32には、トラッキングコイル10d,10e,10fが固定されている。トラッキングコイル10a〜10fは、いずれもX方向の巻き軸を有し、Y方向およびZ方向に電流が流れるように略矩形状に巻き回されており、また、互いに同一の線径で、同一の直流抵抗となるように同一の巻き数で巻き回されている。
【0036】
6つのトラッキングコイル10a〜10fのうち、トラッキングコイル10a,10dがX方向に対向し、トラッキングコイル10b,10eがX方向に対向し、トラッキングコイル10c,10fがX方向に対向している。また、Y方向において、トラッキングコイル10a,10dがレンズホルダ3の一方の側に位置し、トラッキングコイル10c,10fがレンズホルダ3の他方の側に位置し、トラッキングコイル10b,10eが対物レンズ4,5の中間に位置している。
【0037】
図6(A)に示すように、トラッキングコイル10a,10b,10d,10eは、対物レンズ4の中心軸を通りトラックに垂直な平面(YZ面に平行なAA面)に関して対称で、且つ、対物レンズ4の中心軸を通りトラックに平行な平面(XZ面に平行なCC面)に関して対称な位置に配置されている。同様に、トラッキングコイル10b,10c,10e,10fは、対物レンズ5の中心軸を通りトラックに垂直な平面(YZ面に平行なAA面)に関して対称で、且つ、対物レンズ5の中心軸を通りトラックに平行な平面(XZ面に平行なDD面)に関して対称な位置に配置されている。
【0038】
トラッキングコイル10b,10eの巻き軸は、対物レンズ4,5の両中心の中間点を通りトラックに平行な平面(XZ面に平行なBB面)上にある。トラッキングコイル10a,10b,10cとトラッキングコイル10d,10e,10fは、対物レンズ4,5の両中心軸を通りトラックに垂直な平面(YZ面に平行なAA面)に関して対称な位置関係にある。また、トラッキングコイル10a,10dは、対物レンズ4,5の両中心の中間点を通りトラックと平行な平面(XZ面に平行なBB面)に関して、トラッキングコイル10c,10fと対称な位置関係にある。
【0039】
トラッキングコイル10a〜10fは、トラッキングコイル10a,10c,10eに同方向に電流が流れ、トラッキングコイル10b,10d,10fに、トラッキングコイル10a,10c,10eとは反対方向に電流が流れるように、直列に接続されている。直列に接続されたトラッキングコイル10a〜10fの両端は、レンズホルダ3の側壁33,34に形成された突部で半田7a,7d(図5)を介してワイヤ6a,6dに電気的に接続されている。これにより、ワイヤ6a,6dおよび基板8を介してトラッキングコイル10a〜10fに電流が供給される。
【0040】
なお、トラッキングコイル10a,10c,10d,10fは、それぞれのZ方向に延在する1辺がマグネット11a,11bの一方の磁極に対向し、Z方向に延在する他の1辺がマグネット11a,11bと対向しないように配置されている(図2参照)。また、トラッキングコイル10b,10eは、それぞれのZ方向に延在する2辺がマグネット11a,11bの異なる磁極(2極)に対向するように配置されている。
【0041】
図7(A)は、実施の形態1における対物レンズ駆動装置の対物レンズ4,5、アパーチャ3a、ベース1および内ヨーク1b〜1eの位置関係を示す平面図であり、レンズホルダ3は省略されている。図7(B)は、図7(A)における線分E−Eにおける断面図である。図7(B)に示すように、レンズホルダ3の内部には、対物レンズ4に入射する光束を規制する開口部であるアパーチャ3aが設けられている。ここでは、X方向における内ヨーク1bと内ヨーク1dとの内側寸法1bdは、レンズホルダ3のアパーチャ3aの径3adより広く、対物レンズ4の外径4adより狭い。同様に、図示は省略するが、内ヨーク1cと内ヨーク1eとの内側寸法は、対物レンズ5に入射する光束を規制するアパーチャの径より広く、対物レンズ5の外径より狭い。
【0042】
次に、本発明の実施の形態1に係る対物レンズ駆動装置の動作について説明する。まず、フォーカス制御について説明する。
【0043】
フォーカス制御では、まず、対物レンズ4または対物レンズ5により光ディスクに形成した集光スポットの焦点方向のずれ量(フォーカスずれ量)を、光ヘッド装置に設けた公知の非点収差法等を用いたフォーカスセンサにより検知する。検知したフォーカスずれ量に応じた電流を、ワイヤ6b,6cおよびワイヤ6e,6fを介してフォーカスコイル9a,9bに流す。フォーカスコイル9a,9bを流れる電流と、マグネット11a,11bの磁場との相互電磁作用により、フォーカスコイル9a,9bに光軸方向(Z方向)の駆動力が発生し、レンズホルダ3が対物レンズ4,5の光軸方向に移動し、フォーカス制御が行われる。
【0044】
レンズホルダ3を含む可動部の重心位置は、図6(B)においてAA面とBB面との交わる線上にある。フォーカス制御を行うときは、フォーカスコイル9a,9bに同じ電流を流すため、フォーカスコイル9a,9bに発生する駆動力は同じであり、また、フォーカスコイル9a,9bはAA面とBB面に関して対称な位置に配置されているため、駆動力の合力は上記の重心位置に作用する。よって、レンズホルダ3は、傾くことなく光軸方向(Z方向)に移動する。
【0045】
フォーカスコイル9aは、その巻き軸が対物レンズ4の中心軸と一致するように巻き回され、当該中心軸に関して対称に配置されているため、フォーカスコイル9aで発生した熱は対物レンズ4の中心軸に関して対称に伝達され、対物レンズ4の中心軸に関して均一な(対称な)温度分布が得られる。従って、不均一な温度分布に起因する対物レンズ4の特性劣化(収差の増加等)が抑制される。同様に、フォーカスコイル9bは、その巻き軸が対物レンズ5の中心軸と一致するように巻き回され、当該中心軸に対して対称に配置されているため、フォーカスコイル9bで発生した熱は、対物レンズ5の中心軸に関して対称に伝達され、対物レンズ5の中心軸に対して均一な(対称な)温度分布が得られる。従って、不均一な温度分布に起因する対物レンズ5の特性劣化(収差の増加等)が抑制される。
【0046】
なお、上述したように、X方向における内ヨーク1bと内ヨーク1dとの内側寸法1bd(図7(B))が、対物レンズ4に入射する光束を規制するアパーチャ3aの径3adより広いため、対物レンズ4に入射する光束が妨げられない。また、上記の内側寸法1bdが、対物レンズ4の外径4adより狭いため、内ヨーク1b,1dの外側に配置されたフォーカスコイル9a,9bのX方向に沿った辺の長さを短くすることができ、フォーカスコイル9a,9bを小形化し、可動部を小形化・軽量化することができる。その結果、フォーカス駆動力およびトラッキング駆動力を向上することができる。また、フォーカスコイル9a,9bの駆動に寄与しない部分の辺(X方向に沿った辺)の長さが短くなるため、フォーカスコイル9a,9bの利用効率を向上することができる。
【0047】
ここで、面ぶれ量が大きい光ディスクに対して情報を記録または再生する場合、光ディスクが誤った状態に保持された場合、あるいは対物レンズ駆動装置に外部から大きな衝撃が加わった場合等に、対物レンズ4,5のフォーカス制御が正常に動作せず、レンズホルダ3が光ディスクに極めて近い位置まで接近する場合がある。
【0048】
そのような場合でも、本実施の形態では、図2(B)に示すように、緩衝部材12a,12bの最上面が対物レンズ4,5の最上面より高い位置にあるため、対物レンズ4,5が光ディスクと接触することはなく、対物レンズが損傷することがない。また、緩衝部材12a,12bは、シリコンゴムで形成されており、5000回衝突しても光ディスクに損傷を与えないことが実験的に明かにされている。また、衝突による緩衝部材12a,12b自身の磨耗量は、5000回の衝突で数10μm以下であることも実験的に明らかにされている。従って、例えば、緩衝部材12a,12bの最上面を対物レンズ4,5の最上面よりも100μm程度高くすれば、緩衝材の摩耗によって対物レンズ4,5が光ディスクに直接衝突することを防止することができる。
【0049】
次に、チルト制御について説明する。
チルト制御では、対物レンズ4または対物レンズ5の光ディスクに対する相対的な傾きを、光ヘッド装置に設けた図示しない手段で検知する。検知した傾き量に応じて、ワイヤ6b,6cおよびワイヤ6e,6fを介してフォーカスコイル9a,9bに互いに異なる電流を流す。フォーカスコイル9a,9bを流れる電流とマグネット11a,11bによる磁場との相互電磁作用より、フォーカスコイル9a,9bには光軸方向(Z方向)の駆動力が発生するが、流れる電流が異なるため、発生する駆動力の大きさが異なり、従って光軸方向(Z方向)の移動量が異なる。この移動量の差に応じて、レンズホルダ3のX方向の軸を中心とした傾斜が変化し、チルト制御が行われる。なお、フォーカス制御とチルト制御を同時に行ってもよく、その場合には、フォーカスコイル9a,9bに、フォーカス制御に必要な電流とチルト制御に必要な電流を加算して通電する。
【0050】
上記のチルト制御においても、フォーカスコイル9a,9bは、対物レンズ4,5の中心軸に対してそれぞれ対称に配置されているため、対物レンズ4,5の温度分布は均一化され、これにより対物レンズ4,5の特性劣化(収差の増加等)が抑制される。
【0051】
次に、トラッキング制御について説明する。
トラッキング制御では、光ディスク上の集光スポットの、所望のトラックに対するトラッキング方向のずれ(トラッキングずれ量)を、光ヘッド装置に設けた公知の差動プッシュプル法を用いたトラッキングセンサにより検知する。検知したトラッキングずれ量に応じた電流を、ワイヤ6a,6dを介してトラッキングコイル10a〜10fに流す。トラッキングコイル10a〜10fを流れる電流と、マグネット11a,11bの磁場との相互電磁作用により、トラッキングコイル10a〜10fにはY方向の駆動力が発生する。これにより、レンズホルダ3が、対物レンズ4または対物レンズ5の光軸と直交するトラッキング方向に移動し、トラッキング制御が行われる。
【0052】
トラッキングコイル10a〜10fは、トラッキングコイル10a,10c,10eに互いに同方向に電流が流れ、トラッキングコイル10b,10d,10fに、上記コイル10a,10c,10eとは反対の方向に電流が流れるように直列に接続されているため、全てのトラッキングコイル10a〜10fに同一方向の駆動力が発生する。
【0053】
本発明の実施の形態1に係る対物レンズ駆動装置では、トラッキングコイル10a〜10fが直列に接続されているため、通電時に各コイルに同一の電流が流れる。さらに、トラッキングコイル10a〜10fは、抵抗値が同一になるように巻き回されているので、各コイルに発生する熱量は同一となる。さらに、対物レンズ4に近接して設けられているトラッキングコイル10a,10b,10d,10eは、対物レンズ4の中心軸を通りトラックと垂直な平面(YZ面に平行なAA面)に関して対称で、且つ、対物レンズ4の中心軸を通りトラックに平行な平面(XZ面に平行なCC面)に関して対称な位置に配置されているため、これらトラッキングコイル10a,10b,10d,10eで発生した熱は、対物レンズ4の中心軸に関して対称に伝達される。一方、対物レンズ4からトラッキングコイル10c,10fまでの距離は長いため、これらトラッキングコイル10c,10fから対物レンズ4に伝達される熱量は、トラッキングコイル10a,10b,10d,10eから伝達される熱量に比べて充分に小さい。従って、トラッキングコイル10a〜10fで発生した熱による対物レンズ4の温度分布の不均一は生じにくく、収差の増加等の特性劣化が抑制される。
【0054】
同様に、対物レンズ5に近接して設けられているトラッキングコイル10b,10c,10e,10fは、対物レンズ5の中心軸を通りトラックと垂直な平面(YZ面に平行なAA面)に関して対称で、且つ、対物レンズ5の中心軸を通りトラックに平行な平面(XZ面に平行なDD面)に関して対称な位置に配置されているため、これらトラッキングコイル10b,10c,10e,10fで発生した熱は、対物レンズ5の中心軸に関して対称に伝達される。一方、対物レンズ5からトラッキングコイル10a,10dまでの距離は長いため、これらトラッキングコイル10a,10dから対物レンズ5に伝達される熱量は、トラッキングコイル10b,10c,10e,10fから伝達される熱量に比べて充分に小さい。従って、トラッキングコイル10a〜10fに流れる電流に起因する対物レンズ5の温度分布の不均一は生じにくく、収差の増加等の特性劣化が抑制される。
【0055】
レンズホルダ3を含む可動部の重心位置は、図6(A)においてAA面とBB面の交わる線上にある。トラッキング制御において、トラッキングコイル10a,10c,10d,10fの駆動力の合力は上記の重心位置に作用する。また、トラッキングコイル10b,10eの駆動力の合力も、上記の重心位置に作用する。従って、レンズホルダ3は、傾くことなくトラッキング方向に移動する。
【0056】
レンズホルダ3を含む可動部は、6本のワイヤ6a〜6fにより、Z方向、Y方向およびX方向を回転軸とした回転方向に移動可能に弾性支持されている。そのため、フォーカスコイル9a,9bへの通電を解除すると、ワイヤ6a〜6fの弾性力(復元力)により、フォーカス方向およびチルト方向における動作基準位置に復帰する。また、トラッキングコイル10a〜10fへの通電を解除すると、ワイヤ6a〜6fの弾性力により、トラッキング方向における動作基準位置に復帰する。さらに、ワイヤ6a〜6fの根元近傍がゲル状のダンパー剤で保持されているため、レンズホルダ3を含む可動部に対する振動減衰効果により、良好なフォーカス制御特性、トラッキング制御特性、チルト制御特性が得られると共に、レンズホルダ3を含む可動部への外部からの振動伝達が軽減される。
【0057】
なお、上記の実施の形態1では、フォーカスコイル9a,9bに異なった大きさの電流を流すことによりチルト制御を行う構成について説明したが、フォーカスコイル9a,9bの下方(−Z側)あるいは上側(+Z側)に、対物レンズ4,5の中心軸と同軸の巻き軸を有する2つのチルトコイルをさらに設け、各チルトコイルに、傾き量に応じた電流を流すことでチルト制御を行ってもよく、同様の効果を得ることができる。この場合には、フォーカスコイルとチルトコイルを共にそれぞれを直列に接続し、両端をワイヤに電気的に接続し、固定する。
【0058】
また、上記の実施の形態1では、フォーカスコイル9a,9bをZ方向に巻き軸を有する矩形状に構成したが、Z方向に巻き軸を持つ円形状に構成してもよい。このように構成すれば、通電時に発生する熱量が対物レンズ4,5の中心軸に関して軸対称になるため、対物レンズ4,5の温度分布を均一化することができ、収差の増加等の特性劣化をさらに抑制することができる。
【0059】
また、レンズホルダ3の材質に熱伝導性の高い樹脂を使用すると、方向によらず熱伝導量が均一になり易いため、対物レンズ4,5の温度分布をより均一化させることができる。
【0060】
また、上記の実施の形態1では、フォーカスコイル9a,9b、トラッキングコイル10a〜10fおよび6本のワイヤ6a〜6fを用いて、フォーカス制御、トラッキング制御およびチルト制御を行う構成について説明したが、例えば、フォーカスコイル、トラッキングコイルおよび4本のワイヤを用いて、フォーカス制御とトラッキング制御とを行う構成であってもよい。
【0061】
以上説明したように、本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置によれば、フォーカスコイル9a,9bおよびトラッキングコイル10a〜10fを上記のように配置することにより(図6(A)、(B)参照)、安価かつ簡素な構成で、フォーカスコイル9a,9bおよびトラッキングコイル10a〜10fで発生した熱を、対物レンズ4,5のそれぞれの中心軸に対して対称に伝達させることができ、これにより、対物レンズ4,5の温度分布を均一化し、収差の増加等の特性劣化を抑制することができる。
【0062】
また、レンズホルダ3とそれに搭載された各構成部品とからなる可動部の重心位置に、駆動力を作用させることができるため、フォーカス制御およびトラッキング制御を安定した状態で行うことができる。
【0063】
また、トラッキングコイル10a〜10fが直列に接続されているため、通電時にトラッキングコイル10a〜10fに同一の電流が流れる。さらに、トラッキングコイル10a〜10fの抵抗値は同一になるように巻き回されているので、各トラッキングコイル10a〜10fに発生する熱量は同一となり、対物レンズ4,5にほぼ同じ割合で熱が伝達される。そのため、各トラッキングコイルで発生した熱による対物レンズの温度分布の不均一が生じにくく、対物レンズ4,5における収差の増加等が抑制される。
【0064】
また、トラッキングコイル10a,10c,10eに互いに同方向に電流が流れ、トラッキングコイル10b,10d,10fに、トラッキングコイル10a,10c,10eとは反対の方向に電流が流れるように、トラッキングコイル10a〜10fが接続されているため、全てのトラッキングコイル10a〜10fに同一の方向の電磁力が発生し、効率よくトラッキング駆動力を得ることができる。従って、レンズホルダ3およびそれに搭載された各構成部品からなる可動部を、少ない消費電力でトラッキング方向に駆動することができる。
【0065】
また、内ヨーク1bと内ヨーク1dとの内側寸法1bdが、レンズホルダ3のアパーチャ3aの径3adより広く、対物レンズ4の外径4adより狭いため、対物レンズ4への入射光束が遮られず、且つ、内ヨーク1b,1dの外側に配置されたフォーカスコイル9a,9bのX方向に沿った辺の長さを短くすることができる。そのため、フォーカスコイル9a,9bを小形化し、可動部を小形化・軽量化することができ、より少ない消費電力で可動部をフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動することができる。また、フォーカスコイル9a,9bの駆動に寄与しない部分の辺(X方向に沿った辺)の長さを短くすることで、フォーカスコイル9a,9bの利用効率が向上するため、より少ない消費電力で可動部を駆動することが可能になり、また、対物レンズ駆動装置の更なる小形化・軽量化に資することができる。
【0066】
最後に、本発明の実施の形態1における対物レンズ駆動装置を搭載した光ヘッド装置の構成例について、図8を参照して説明する。図8に示すように、光ディスク装置は、光ディスク21を載置するターンテーブル22と、このターンテーブル22を回転させるスピンドルモータ23と、光学ベース24とを有している。光学ベース24には、2つの対物レンズ4,5を駆動する上述した対物レンズ駆動装置(ここでは符号20で示す)と、半導体レーザ等の複数の光源(図示せず)と、光ディスクからの反射光を受光する受光素子等が搭載されている。光学ベース24は、ガイド軸26a,26bにより光ディスク21の半径方向に案内されており、図示しない機構により光ディスク21の半径方向に移動する。光学ベース24に搭載された対物レンズ4,5、対物レンズ駆動装置20、光源および受光素子等により、光ヘッド装置が構成されている。
【0067】
上述した本実施の形態における対物レンズ駆動装置を光ヘッド装置に搭載することにより、対物レンズ4,5の温度分布を均一化して(すなわちレンズの中心軸に対して対称にして)収差の悪化等の特性劣化を抑制することができるため、安価かつ簡素な構成で、光ヘッド装置における良好な記録再生性能を得ることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 ベース、 1b,1c,1d,1e 内ヨーク、 1f,1g マグネットヨーク、 2 固定ホルダ、 3 レンズホルダ、 3a アパーチャ、 31,32,33,34 側壁、 4 対物レンズ、 5 対物レンズ、 6a,6b,6c,6d,6e,6f ワイヤ、 8 基板、 9a,9b フォーカスコイル、 10a,10b,10c,10d,10e,10f トラッキングコイル、 11a,11b マグネット、 12a,12b 緩衝部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対向するように、2つの対物レンズを保持するレンズホルダと、
前記レンズホルダに取り付けられた複数のフォーカスコイルおよび複数のトラッキングコイルと、
前記レンズホルダを移動可能に支持する支持手段と、
前記支持手段を支持するベースと、
前記複数のフォーカスコイルおよび前記複数のトラッキングコイルに対向するように、前記ベースに配置された複数のマグネットと
を備え、
複数のフォーカスコイルを、各対物レンズの周囲に、当該対物レンズの中心軸を通りトラックに垂直な平面に関して対称で、且つ、前記当該対物レンズの中心軸を通りトラックに平行な平面に関して対称な位置に配置し、
複数のトラッキングコイルを、各対物レンズの周囲に、当該対物レンズの中心軸を通りトラックに垂直な平面に関して対称で、且つ、前記当該対物レンズの中心軸を通りトラックに平行な平面に関して対称な位置に配置したこと
を特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項2】
前記複数のフォーカスコイルは、各対物レンズの中心軸と略同軸の巻き軸を有するように巻き回された2つのフォーカスコイルであることを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項3】
前記複数のトラッキングコイルは、前記2つの対物レンズの並び方向において、当該2つの対物レンズの中間および両側の3か所にそれぞれ1組ずつ配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項4】
前記複数のマグネットは、それぞれ、光軸方向およびトラックの両方と垂直な方向に異なる磁極が隣接するように着磁されたものであり、
前記複数のトラッキングコイルは、
それぞれ光軸方向に延在する2辺を有し、当該2辺が各マグネットの異なる磁極に対向するように配置された1組のトラッキングコイルと、
それぞれ光軸方向に延在する2辺を有し、その1辺のみが各マグネットの異なる磁極の一方に対向するように配置された2組のトラッキングコイルと
を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項5】
前記複数のフォーカスコイルは、いずれも、光軸方向およびトラックの両方と垂直な方向に延在する2辺を有し、当該2辺が各マグネットの異なる磁極の一方に対向することを特徴とする請求項4に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項6】
前記複数のトラッキングコイルは、互いに同一の抵抗値を有し、直列に接続されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項7】
前記複数のトラッキングコイルは、トラックの方向に対向するトラッキングコイルに互いに異なる方向に電流が流れ、また、トラックに垂直な方向に並んで配置されるトラッキングコイルに互いに異なる方向に電流が流れるように接続されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項8】
前記ベースは、前記2つの対物レンズの光軸方向に延在する内ヨークを備え、
前記内ヨークの内側寸法は、前記対物レンズの外径寸法より狭いことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項9】
前記レンズホルダの光ディスクに対向する側の面に、前記2つの対物レンズよりも前記光ディスク側に突出する緩衝部材が設けられていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項10】
前記支持手段は、前記レンズホルダに各一端が取り付けられた複数のワイヤと、前記複数のワイヤの各他端が取り付けられた基板と、前記ベースに取り付けられ、前記基板を保持する固定ホルダとを有することを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項11】
光ディスクに対し、情報の記録または再生を行うための光ヘッド装置であって、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置を備えたことを特徴とする光ヘッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−118983(P2011−118983A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275339(P2009−275339)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】