説明

対称データフレームを用いた電気泳動ディスプレイ駆動

システムは、電気泳動ディスプレイ(10)を駆動するための方法を実施する。最初に、システムは、画像情報(14)を受け取るとともに、受け取った画像情報から複数の対称データフレーム(70)を生成する。対称データフレームは、対称ピクセルデータ(72)と略対称データフレーム時間(74)とを含んでいる。その後、システムは、対称ピクセルデータと略対称データフレーム時間とに基づいて電気泳動ディスプレイ(10)をアドレス指定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、概して電気泳動ディスプレイに関し、特に、電気泳動ピクセルからなるマトリクスの駆動に関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動ディスプレイ媒体は、視認可能なテキスト又は画像の形式でデジタル情報を記憶するために使用される不揮発性システムである。電気泳動ディスプレイは、一般に、分極された又は帯電された粒子の印加電場内での移動を特徴としており、色の明るさや暗さ等の少なくとも一つの光学的特性が異なる第1及び第2の表示状態を表示素子が有する双安定なものである。最近開発された電気泳動ディスプレイにおいて、表示状態は、限られた持続時間の電子パルスによりマイクロカプセルに入れられた電子インク中の粒子が一つの状態又は他の状態へ駆動された後に生じ、駆動状態は、駆動電圧が除去された後においても持続する。そのようなディスプレイは、良好な輝度及びコントラスト、幅広い視角、二つ以上の状態における状態安定性、液晶ディスプレイ(LCD)と比べて低い電力消費量という属性を有することができる。マイクロカプセルがセルロース相又はゲル状相と液相とを収容し又は二つ以上の非混合流体を収容する典型的な電気泳動ディスプレイは、2000年5月23日に発行されたアルバート(Albert)等による米国特許第6,067,185号(特許文献1参照)の「Process for Creating an Encapsulated Electrophoretic Display」及び2000年1月25日に発行されたアルバート(Albert)等による米国特許第6,017,584号(特許文献2参照)の「Multi−Color Electrophoretic Displays and Materials for Making the Same」に記載されている。
【0003】
電気泳動ディスプレイは、画像データを受け取るとともに、ディスプレイの前面又は背面上に配置されたアクティブマトリクスを駆動することによりアドレス指定され得る。アクティブマトリクスディスプレイは、テキスト及びグラフィックスを正確に書き込むために、固有のアドレス指定方式、例えばピクセル×ピクセルグリッド上の所定の座標を有している。典型的な電気泳動ディスプレイユニットは、一方側に透明な共通電極を有する電気泳動インクからなる層と、横列及び縦列に配置されたピクセル電極を有する基板又はバックプレーンとを備えている。横列と縦列との間の交差は、ピクセル電極と共通電極の一部との間に形成される画像ピクセルに関与している。ピクセル電極はトランジスタのドレインに接続され、トランジスタのソースは縦列電極に対して電気的に結合されるとともに、トランジスタのゲートは横列電極に対して電気的に接続されている。ピクセル電極、トランジスタ、横列電極、縦列電極のこのような配置構成は、協働して一つのアクティブマトリクスを形成する。横列ドライバは、縦列電極及びトランジスタを介して、ピクセルの選択された横列に対してデータ信号を供給する。縦列電極のデータ信号は、表示されるデータに対応しているとともに、横列選択信号と共に、電気泳動ディスプレイ内の一つ又は複数のピクセルを駆動するための駆動信号を形成する。
【0004】
電子インク又はe−インクとも称される電気泳動インクは、透明な共通電極とピクセル電極との間に配置されており、一般に約10乃至50ミクロンの直径を有する複数のマイクロカプセルを備えている。白黒ディスプレイの一つの態様において、各マイクロカプセルは、流体中に懸濁されたプラスに帯電した白色粒子及びマイナスに帯電した黒色粒子を含んでいる。透明な共通電極からピクセル電極へとプラスの電場が印加されると、マイナスに帯電した黒色粒子が共通電極へと移動し、ピクセルが観察者に対して更に暗くなる。同時に、プラスに帯電した白色粒子は、バックプレーン上のピクセル電極へと移動し、観察者の視覚から隠れる。
【0005】
特定の時間にわたってピクセル電極と共通電極との間に駆動電圧を印加すると、一般に、アクティブマトリクスモノクロ電気泳動ディスプレイにグレースケールが形成される。従来の技術の特徴的なアクティブマトリクス電気泳動ディスプレイにおいては、フレーム毎を基本としたパルス幅変調を使用して、三つの電圧レベル、即ち、−15ボルト、+15ボルト、0ボルトを形成してもよい。比較的ゆっくりとしたフレームリフレッシュ速度、例えば800以上の縦列を有する600横列ディスプレイにおける20ミリ秒のフレーム時間は、グレーレベルの数及びグレースケール精度を制限する。尚、グレースケールは、通常、駆動電圧とフレーム時間との積として規定される。ブラックからホワイトへの移行又はホワイトからブラックへの移行における500ミリ秒程度の比較的長い切り換え時間では、インクを切り換えるために、最大で25個のデータフレームが必要となる。総てのフレームのそれぞれが同じ固定された持続時間を有しているため、電気泳動ディスプレイユニットの駆動は柔軟性がない。グレーレベル精度及びグレー値の数が限られ、二つのその後のグレー値間の差はむしろ大きい。グレースケール解像度を高めるためには電気泳動ディスプレイにおける高いフレームレートが望ましいため、高いフレームレートを達成するために様々な手法が提案されてきた。
【0006】
一つの提案された解決策は、可変横列選択時間を高いクロック速度と組み合わせることにより高い可変フレームレートを形成することである。これは、駆動波形全体にわたって同じフレーム周期が使用される場合に有益である。
【0007】
限られたグレースケール解像度を克服するための他の提案された解決策は、横列遅延可変フレーム時間モードを含めることである。横列遅延可変フレーム時間モードは、例えば一つの特定のフレームに関して直前のフレームにおけるフレーム時間と比べて短いフレーム時間を有することができる横列遅延を使用してフレーム時間を変更する。第1のフレームは、第2のフレームよりもゆっくりとした速度で走査されるため、第1の横列中のピクセルは、第1のフレームの最中に、最後の横列のピクセルよりも長い時間にわたって駆動電圧を維持する。従って、最後の横列のピクセルは、最初の横列のピクセルとは異なるグレーレベルへと移行し得る。このいわゆるクロストーク、即ち、グレーレベルの緩やかな変化は、横列遅延可変フレーム時間モードを使用して駆動されるディスプレイにおいて目に見える。1998年12月8日に付与された米国特許第5,847,684号(特許文献3参照)のStrikによる「Display Device with Mirror−Symmetrical Pixels」に記載されているように、クロストークは、液晶、電気泳動懸濁又はエレクトロクロミック材料を有する様々なタイプのディスプレイにおいて問題であった。
【特許文献1】米国特許第6,067,185号公報「Process for Creating an Encapsulated Electrophoretic Display」2000年5月23日発行、アルバート(Albert)等
【特許文献2】米国特許第6,017,584号公報「Multi−Color Electrophoretic Displays and Materials for Making the Same」2000年1月25日発行、アルバート(Albert)等
【特許文献3】米国特許第5,847,684号公報「Display Device with Mirror−Symmetrical Pixels」1998年12月8日付与、Strik
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
波形の異なる部分において異なるフレーム周期を使用でき、それにより、マイクロカプセル粒子シェイキング又はプレコンディショニングの短い期間にわたって短いフレーム周期を使用して画像履歴の影響を最小限に抑制することができ、一方、ディスプレイのリセットのために長いフレーム周期を使用して少ない電力消費量でデータパルスを印加できることが好ましい。
【0009】
電気泳動ディスプレイにおける高解像度グレースケール画像は、垂直方向のクロストークを排除するが、多数のグレーレベル及び高いグレースケール精度を必要とする。従って、必要なのは、可変フレーム時間を用いて電気泳動ディスプレイを駆動するための方法及びシステムであって、表示の均一性を高め且つ垂直方向のクロストークの存在を回避するとともに、表示全体において最も短い更新時間を形成し、それにより、最小の電力消費量で最も正確な最大数のグレーレベルを有する画像を与えることができる方法及びシステムである。また、電気泳動ディスプレイを駆動するための望ましい方法は、画像の所要の均一性、解像度、精度を与えつつ、全画像更新時間を制限するために必要なフレーム数に関して効率的である必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの形態は、垂直方向のクロストークを減少しつつ電気泳動ディスプレイを駆動させる方法である。画像情報が受け取られ、受け取られた上記画像情報から複数の対称データフレームが生成される。対称データフレームは、画像従属情報又は画像独立情報を含んでいてもよい。対称データフレームは、対称ピクセルデータと略対称データフレーム時間とを含んでいる。電気泳動ディスプレイは、対称ピクセルデータと略対称データフレーム時間とに基づいてアドレス指定される。
【0011】
本発明の他の形態は、電気泳動ディスプレイを駆動するためのシステムであって、バックプレーン上に配置された電気泳動ピクセル配列と、受け取った上記画像情報から、対称ピクセルデータと略対称データフレーム時間とを含む複数の対称データフレームを生成する手段と、対称ピクセルデータと略対称データフレーム時間とに基づいて電気泳動ピクセル配列をアドレス指定する手段とを有するシステムである。
【0012】
本発明の他の形態は、バックプレーン上に配置された電気泳動ピクセル配列と、横列ドライバと、縦列ドライバと、コントローラとを有している。横列ドライバは、電気泳動ピクセル配列の横列に対して電気的に接続されている。縦列ドライバは、電気泳動ピクセル配列の縦列に対して電気的に接続されている。コントローラは、横列ドライバ及び縦列ドライバに対して電気的に接続されている。コントローラは、受け取った画像情報から、対称ピクセルデータと略対称データフレーム時間とを含む複数の対称データフレームを生成する。コントローラは、対称ピクセルデータと略対称データフレーム時間とに基づいて電気泳動ディスプレイをアドレス指定することにより、電気泳動ピクセル配列内の少なくとも一つの電気泳動ピクセルを駆動する。
【0013】
本発明の前述した形態及び他の形態並びに特徴及び機能は、現在好ましい実施の形態の以下の詳細な説明から添付図面を併せて読むと更に明らかになる。詳細な説明及び図面は、本発明の単なる例示であり、本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求項及びその等価物によって規定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
添付図面により本発明の様々な実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の一形態に係る電気泳動ディスプレイ10の一部の例示的な断面図である。電気泳動ディスプレイ10は電気泳動ピクセル配列20を有しており、この電気泳動ピクセル配列20は、電気泳動ピクセル22のアドレス可能な配列又はマトリクスを有している。
【0016】
典型的な実施の形態において、電気泳動ディスプレイ10は、バックプレーン32上に配置された電気泳動インク24からなる層を備えている。電気泳動インク24は、一般に電子インク又はe−インクと称される幾つかの市販の電気泳動インクのうちの一つを含んでいてもよい。電気泳動インク24は、例えば、何百万の極めて小さいマイクロカプセルを有する薄い電気泳動膜を含んでいてもよく、上記マイクロカプセル内では、プラスに帯電した白色粒子及びマイナスに帯電した黒色粒子が透明な流体中に懸濁している。他の変形例も可能である。例えば、プラスに帯電した黒色粒子及びマイナスに帯電した白色粒子、一つの極性を有する着色粒子及び反対の極性を有する黒色若しくは白色粒子、又は、白色流体中の着色粒子、又は、ガスを含む流体中の粒子なども可能である。
【0017】
カプセルに包まれた電気泳動粒子は、所望の方向に電場を印加することにより回転させることができ又は並進させることができる。電気泳動粒子は、印加電場の電気力線に沿って向きを変え又は移動するとともに、電場の方向や強度及び状態を切り換えるために許容される時間に基づいて一つの光学的状態から他の光学的状態へと切り換えることができる。例えば、マイナスの電場がディスプレイに印加されると、白色粒子は、ユーザに見えるようになるマイクロカプセルの上端へと移動する。これにより、上記上端位置において、即ち、マイクロカプセルの外表面において、表面が白く見えるようになる。同時に、電場は、黒色粒子をそれが隠れるマイクロカプセルの下端へと引き寄せる。プロセスを逆にすると、黒色粒子がマイクロカプセルの上端に現れ、それにより、マイクロカプセルの表面においては、表面が暗く見える。駆動電圧が除去されると、所定の画像がディスプレイ表面上に残る。
【0018】
カラー画像の生成及び表示を可能にするため、電気泳動インク24は、着色電気泳動材料からなる配列、例えば、マゼンタ、イエロー、シアン電気泳動材料からなる配列、レッド、グリーン、ブルー、ブラック電気泳動材料からなる配列を含んでいてもよい。又は、電気泳動ディスプレイは、黒色及び白色の電気泳動ピクセルの上側に位置されたレッド、グリーン、ブルー等のカラーフィルタからなる配列を有していてもよい。横列及び縦列からなるマトリクスにより、各電気泳動ピクセル22を個別にアドレス指定してブラック、ホワイト、グレー、又は、他の所定の色等の所望の光学的状態に切り換えることができる。各電気泳動ピクセル22は、ピクセル要素内の含まれる面積及びマイクロカプセルのサイズとある程度関連する一つ又は複数のマイクロカプセルを含んでいてもよい。
【0019】
電気泳動インク24の一方側に位置された透明な共通電極26は、例えば、電気泳動ディスプレイ10の上側観察を可能にするインジウムスズ酸化物の等透明な導電材料を含んでいる。共通電極26をパターン化(パターニング)する必要はない。電気泳動インク24及び共通電極26は、ポリエチレンからなる薄い層等の透明な保護層28により被覆されていてもよい。バックプレーン32に対して取り付けることができるように、電気泳動インク24の他方側に接着物質が配置されてもよい。電気泳動インク24からなる層は、バックプレーン32に対して糊付けされ、接着され、又は、貼り付け(取り付け)られてもよい。バックプレーン32は、アクセス可能なピクセル電極からなる配列を有し且つエレクトロニクスを支持するプラスチック、ガラス、セラミック、又は、金属のバッキング層を備えていてもよい。他の実施の形態においては、ピクセル電極及び共通電極が同じ基板上に配置されてもよく、それにより、粒子を面内方向に移動させる面内電場が生成されてもよい。
【0020】
電気泳動インク24からなる層がバックプレーン32に取り付けられると、バックプレーン32上の個々のピクセル電極36により、所定の電荷34を一つ又は複数の電気泳動ピクセル22上に配置することができる。電荷34に起因する電場により、電気泳動インク24が一方の光学的状態から他方の光学的状態へと移行される。電場は、電気泳動インク24からなる層中の荷電粒子の方向を変え及び/又は移動させるための力を生成し、それにより、テキスト、グラフィックス、画像、写真、他の画像データを示すことができる黒、白、又は、様々な色のカラー表示を行う。例えば、駆動電圧及び関連する電荷34の大きさ、レベル、場所、タイミングを制御することにより、電気泳動インク24のグレーの色調又は特定の色を得ることができる。
【0021】
電気泳動インク24のアドレス指定は、駆動電圧を一つ又は複数のピクセル電極36に対して印加して、このピクセル電極上に所定量の電荷34を配置するとともに、電気泳動インク24を所望の光学的状態へ切り換えることにより行われる。ピクセル電極36に対して電荷34を印加して蓄積することにより、走査プロセスよりもゆっくりとした時間尺度で活性化が生じた場合であっても、駆動電圧が除去された際に電気泳動インク24を活性化し続けることができる。ピクセル電極36に対する電荷の短時間の蓄積作用により、画像がインク内で形成され続けている間、ピクセルの他の横列の走査を行うことができる。印加された駆動電荷34が除去されると、電気泳動インク24は、得られた光学的状態で静められ又は動けなくなる。
【0022】
例えば、電気泳動インク24は、ホワイト(白)からブラック(黒)へと切り換えられてもよい。他の実施の形態においては、最初のブラックの光学的状態がグレー又はホワイトの状態へと制御可能に切り換えられる。他の実施の形態においては、ホワイトの光学的状態がグレーの光学的状態へと切り換えられる。更に他の実施の形態においては、ピクセル電極36に印加される電荷34及び駆動電圧に基づいて、カラー電気泳動インクが一つの色から他の色へと切り換わる。アドレス指定及び切り換えが完了した後、電気泳動インク24を組み込んだ電気泳動ディスプレイは、更なる電力消費を伴うことなく視認可能となり続ける。
【0023】
電気泳動ピクセル22は、例えば、バックプレーン32上の薄膜トランジスタ配列と、所望の光学的状態に達するように所定の電荷34を電気泳動ピクセル22のピクセル電極36上に所定の時間にわたって配置する関連する横列ドライバ及び縦列ドライバとを用いてアドレス可能である。その後、電気泳動ピクセル22を得られた光学的状態に保持するため、電荷が除去される。グレーの中間値は、電気泳動ピクセル22を横切る電場の強度及び活性(駆動)時間量を制御することによって得ることができる。電場が除去されると、粒子は、得られた状態を保持し、また、電力が除去された場合でも電気泳動ディスプレイ10に書き込まれた画像が保持される。
【0024】
例えばパネル又は他の大きな表面上に装着できるほぼ任意の所望サイズの電気泳動ディスプレイを形成するため、様々なサイズの電気泳動ディスプレイ10の部分又はタイルは、一緒に組み立てられてもよく、又は、並べて配置されてもよい。電気泳動ディスプレイ10は、側面のサイズが例えば数センチメートルから1m×1m以上となるように形成されてもよい。例えばモニタ、ラップトップコンピュータ、携帯端末(PDA)、携帯電話、電子ブック、電子新聞、電子雑誌においては、関連する駆動エレクトロニクスを有する電気泳動ディスプレイ10が使用されてもよい。
【0025】
図2は、本発明の実施の一形態に係る電気泳動ディスプレイ10を動作させるためのシステム12の概略図である。このシステムは、電気泳動ピクセル配列20を有する電気泳動ディスプレイ10を備えている。電気泳動ピクセル配列20は、ディスプレイパネル又はバックプレーン32上に配置された個別にアドレス可能な電気泳動ピクセル22と、コントローラ30と、横列ドライバ40と、縦列ドライバ50とを有している。横列ドライバ40は、横列電極42を介して、電気泳動ピクセル配列20の横列44に対して電気的に接続されている。縦列ドライバ50は、縦列電極52を介して、電気泳動ピクセル配列20の縦列54に対して電気的に接続されている。コントローラ30は、横列ドライバ40及び縦列ドライバ50に対して電気的に接続されている。コントローラ30は、電気泳動ピクセル22をアドレス指定するため、横列ドライバ40及び縦列ドライバ50に対してコマンド信号を送る。画像データ、画像独立駆動波形情報、画像従属駆動波形情報、データフレーム時間、ピクセルデータ等の項目を記憶するために、コントローラ30にメモリが結合されていてもよく、又は、コントローラ内にメモリが収容されていてもよい。
【0026】
電気泳動ピクセル22は、共通電極26が0ボルト又は他の適切な電位でバイアスがかけられている間、電気泳動ピクセル22が横列ドライバ40及び縦列ドライバ50によってアドレス指定されるときに、駆動電位を印加し且つ所定の電荷34を電気泳動ピクセル22の一方側に配置することにより活性化される。一方側に共通電極26を有し且つ他方側にピクセル電極36を有する電気泳動ピクセル22は、所望のレベルに充電でき又は放電できるキャパシタを形成する。充電される間、電気泳動ピクセル22は、一つの光学的状態から他の光学的状態へと移行する。電荷蓄積能力を高めるために、各電気泳動ピクセル22と並列に更なるキャパシタンスが加えられてもよい。実施の一形態において、横列ドライバ40及び縦列ドライバ50は、コントローラ30と協働して、プラスの大きさ(振幅)、マイナスの大きさ、又は、ゼロの大きさを有する駆動電圧を、選択された電気泳動ピクセル22に対して供給し、それにより、プラス電荷、マイナス電荷、又は、無電荷を関連するピクセル電極へと移動させる。
【0027】
電気泳動ピクセル配列20の電気泳動ピクセル22は、選択された横列内の各電気泳動ピクセル22に対応する画像データが縦列電極52上に配置される間に次々に連続して横列44の選択を可能にする横列−縦列形態で配置される。電気泳動ピクセル配列20内の各電気泳動ピクセル22の一方側は、例えばグランド又は0ボルトに基準付けられる共通電極26に対して電気的に接続されている。電気泳動ピクセル22を所望の光学的状態へと駆動させるため、所定の電荷34が電気泳動ピクセル22の他方側のピクセル電極36上に配置されてもよい。例えば、電気泳動ピクセル22上にプラス電荷34が配置されると、ピクセルがホワイトになる。これに対し、電気泳動ピクセル22上にマイナス電荷34が配置されると、ピクセルが暗くなる。電荷を放電又は除去すると、電気泳動ピクセルがその得られた光学的状態で固定される(フリーズする)。
【0028】
薄膜トランジスタ38等の活性(駆動)切換素子からなる配列により、電気泳動ピクセル22の一方側に所望の電荷34を配置することができる。横列ドライバ40は、横列電極42を介して、電気泳動ディスプレイ10の横列44に接続されている。各横列電極42は薄膜トランジスタ38の横列のゲートに接続されており、これにより、横列電圧がオン電圧を超えて立ち上げられると、横列のトランジスタ38をオンすることができる。横列ドライバ40は、縦列ドライバ50がデータ信号を縦列電極52に対して供給する間、横列電極42を連続的に選択する。縦列ドライバ50は、電気泳動ディスプレイ10の縦列電極52に対して接続されている。各縦列電極52は、薄膜トランジスタ38の縦列のソースに接続されている。ピクセル、トランジスタ38、横列・縦列電極のこのような配置構成は、協働してアクティブマトリクスを形成する。横列ドライバ40は、電気泳動ピクセル22の横列44を選択するために選択信号を供給し、また、縦列ドライバ50は、縦列電極52及びトランジスタ38を介して、電気泳動ピクセル22の選択された横列44に対してデータ信号を供給する。
【0029】
コントローラ30は、入ってくる画像情報14を最初に処理して、データ信号及び駆動波形を生成することが好ましい。横列ドライバ40と縦列ドライバ50との間の相互の同期は、コントローラ30との電気的接続により行われる。横列ドライバ40からの選択信号は、トランジスタ38を介して、ピクセル電極36の一つ又は複数の横列44を選択する。トランジスタ38は、ピクセル電極36に対して電気的に結合されるドレイン電極と、横列電極42に対して電気的に結合されるゲート電極と、縦列電極52に対して電気的に結合されるソース電極とを有している。縦列電極52に存在するデータ信号は、オンされたトランジスタ38のドレイン電極に結合されたピクセル電極36へと同時に移動される。データ信号及び横列選択信号は共に駆動波形の少なくとも一部を形成する。データ信号は、表示されるデータに対応しているとともに、選択信号と協働して、電気泳動ピクセル配列20内の一つ又は複数の電気泳動ピクセル22を駆動させるための駆動波形を形成する。駆動波形のための合成時間は、新しい画像を書き込んだり又はリフレッシュすることができる画像更新期間を表している。
【0030】
各電気泳動ピクセル22上に配置された電荷34の大きさ及び極性は、ピクセル電極36に印加される駆動電圧によって決まる。実施の一形態においては、マイナス電圧、ゼロ電圧、又は、プラス駆動電圧、例えば−15V,0V,15Vが各縦列上に設定されてもよい。各横列44が選択される際に、縦列電圧に基づいて横列内の各ピクセル電極36に電荷34が配置され又は各ピクセル電極36から電荷34が除去されてもよい。例えば、マイナス電荷、プラス電荷、ゼロ電荷が電気泳動ピクセル22のピクセル電極36上に配置され、それに応じて光学状態が切り換えられてもよい。次の横列44がアドレス指定されると、既にアドレス指定されたピクセル上の電荷34は、その後の駆動波形を用いて更新されるまでピクセル電極36上に存在し続け、又は、そうでなければ放電される。
【0031】
電気泳動ディスプレイ10に対する画像データのグレースケール書き込みは、一連の一つ又は複数のデータフレームにわたって所定の電荷34を電気泳動ピクセル22上に維持することにより行われてもよい。各データフレームは、ディスプレイの各横列44毎に、ピクセルデータ及び対応するピクセルアドレス情報を含んでいる。ディスプレイ情報を用いて1回だけディスプレイの総ての横列44を連続的にアドレス指定するための時間間隔は、データフレーム時間を構成する。フレームの間中に画像独立信号を電気泳動ピクセル22に対して供給するため、コントローラ30は、一つの横列44内の総ての電気泳動ピクセル22が画像独立信号を同時に受け取るように縦列ドライバ50を制御する。これは横列毎に(横列の一つ一つにおいて)行われる。この場合、コントローラ30は、横列が次々に選択され、例えば選択された横列内の総てのトランジスタ38が通電状態となるように横列ドライバ40を制御する。フレームの間中に画像従属信号を電気泳動ピクセル22に対して供給するため、コントローラ30は、各横列が順次選択され、例えば選択された横列内の総てのトランジスタが通電状態となるように横列ドライバ40を制御する。一方、コントローラ30は、選択された各横列44内の電気泳動ピクセル22が関連するトランジスタ38を介して画像従属信号を同時に受け取るように縦列ドライバ50も制御する。コントローラ30は、特定の横列44を選択するために横列ドライバ40に対して横列駆動信号を供給するとともに、選択された横列44内の各電気泳動ピクセル22上に所望の電圧レベル及び対応する電荷34を配置するために縦列ドライバ50に対して縦列駆動信号を供給する。コントローラ30は、電気泳動ディスプレイ10を所定の光学的状態にリセットするようになっているデータフレームを供給してもよい。
【0032】
その後のフレームは、同じディスプレイ情報を含んでいてもよく、又は、更なるピクセルデータを有する更新されたディスプレイ情報を含んでいてもよい。特定のピクセルのグレースケールレベルは、同じ内容を有する連続フレームの数、電気泳動ピクセル22がホワイトの光学的状態又はブラックの光学的状態にリセットされた後にプラス又はマイナスの電荷34がピクセル電極36に印加された例えば0乃至15個の隣接フレームの数によって決定される。各フレームは同一のデータフレーム時間を有しており、これにより、ピクセル毎に16レベルのグレースケール解像度が得られる。他の実施の形態において、グレースケール解像度は、一つ又は複数のフレームにおけるフレーム時間の変更に伴って増大する。更に他の実施の形態においては、対称なデータフレーム(対称データフレーム)間の適切な場所に更なるデータフレームを挿入することにより、グレースケール解像度及び精度が向上される。フレーム時間が可変な電気泳動ディスプレイ10の最初の横列と最後の横列との間に書き込まれる画像の均一性を確保するため、対称データフレームを使用することにより、最初の横列内のピクセルが最後の横列内のピクセルと同じ活性時間(駆動時間)を有するようにして、垂直方向のクロストークを最小限に抑制し又は減少させてもよい。対称データフレームは、空ピクセルデータ(ゼロ)又はゼロでないピクセルデータを含んでいてもよい。対称データフレームは、画像従属情報又は画像独立情報を含んでいてもよい。
【0033】
コントローラ30は、入力データ、例えば画像入力16を介して受け取ることができる画像情報14を処理する。コントローラ30は、新しい画像情報14の到達を検出し、それに応じて、受け取った画像情報14の処理を開始する。画像情報14の処理は、新たな画像情報のローディング、新たな画像情報14とコントローラ30に結合されたメモリ内に記憶された先の画像情報との比較、駆動波形のルックアップテーブルを含むメモリのアクセス、温度に伴う切り換え時間変動を補償するための内蔵温度センサ(図示せず)との相互作用を含んでいてもよい。コントローラ30は、画像情報14の処理が整う時期及び電気泳動ピクセル配列20をアドレス指定できる時期を検出する。
【0034】
コントローラ30、例えばマイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は、他のデジタル装置は、所望の画像をアドレス指定してこれを電気泳動ディスプレイ10上に書き込むためのマイクロコード化された命令を受けて実行してもよい。コントローラ30は、横列選択信号を横列ドライバ40に対して供給するとともに、データ信号を縦列ドライバ50に対して供給して、電気泳動ディスプレイ10を動作させる。コントローラ30は、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップコンピュータ、携帯端末(PDA)、電子ブック、若しくは、他のデジタル装置内に収容されていてもよく、また、電気泳動ディスプレイ10に接続されていてもよい。又は、コントローラ30は、バックプレーン32に取り付けられた電気泳動ディスプレイ10内に収容される。
【0035】
コントローラ30は、縦列ドライバ50に対して供給されるデータ信号を生成するとともに、横列ドライバ40に対して供給される横列選択信号を生成する。縦列ドライバ50に供給されるデータ信号は、画像独立部分及び画像従属部分を含んでいてもよい。駆動波形の画像独立部分は、電気泳動ピクセル配列20内の一部又は全部の電気泳動ピクセル22に対して等しく印加される信号、例えばリセットパルス又はプリコンディショニングパルス(前調整パルス)を含んでいる。駆動波形の画像従属部分は、画像情報を含んでいるとともに、個々の電気泳動ピクセル22間で異なっていてもよく又は異なっていなくてもよい。
【0036】
図3,図4,図5に更に詳細に記載された要素を参照すると、コントローラ30は、受け取った画像情報14から、対称なピクセルデータ(対称ピクセルデータ)72及び略対称なデータフレーム時間(対称データフレーム時間)74を含む複数の対称データフレーム70を生成するとともに、対称データフレーム70の対称ピクセルデータ72及び略対称データフレーム時間74に基づいて電気泳動ピクセル配列20をアドレス指定して、垂直方向のクロストークを最小限に抑制し又は減少させる。画像情報14は、入力16を介してコントローラ30に受け取られる。コントローラ30は、画像情報14及び温度入力等の他の入力に基づいて、対称データフレーム70の対称データフレーム時間74を調整して、グレースケール精度を高めてもよい。コントローラ30は、駆動波形の画像独立部分又は画像従属部分の最中に、画像情報14に基づいて対称データフレーム70を決定する。
【0037】
コントローラ30は、対称データフレーム70の対称ピクセルデータ72及び略対称データフレーム時間74に基づいて横列ドライバ40及び縦列ドライバ50をアドレス指定して、電気泳動ピクセル配列20内の一つ又は複数の電気泳動ピクセル22を駆動(活性化)させる。対称データフレーム時間74を含む対称データフレーム70の内容は、関連するコードを操作して実行するコントローラ30により決定されてもよい。コントローラ30は、対称ピクセルデータ72及び対称データフレーム時間74を含む二つ以上の対称データフレーム70を電気泳動ピクセル配列20に対して供給する。コントローラ30は、対称データフレーム70のシリアル又はパラレルの対称ピクセルデータ72及び対称データフレーム時間74を横列ドライバ40及び縦列ドライバ50に対して送って、電気泳動ピクセル配列20を駆動させてもよい。
【0038】
コントローラ30は、一つ又は複数の対称フレームデータ70を使用して、電気泳動ディスプレイを所定の光学的状態にリセットしてもよい。画像が書き込まれた後、コントローラ30は、駆動波形の画像従属部分又は画像独立部分の更なる対称データフレーム70を用いて電気泳動ディスプレイ10をアドレス指定して更新してもよい。画像が書き込まれた場合、コントローラ30は、電気泳動ディスプレイ10及び関連する回路をパワーオフ又はパワーダウンしてもよい。このとき、電気泳動ディスプレイ10は、それに書き込まれた画像を保持している。
【0039】
画像情報14は、デジタルコンピュータ装置、ビデオカメラ、又は、他のディスプレイ情報源とのパラレル接続部若しくはシリアル接続部からコントローラ30に対して供給されてもよい。図3,図4,図5を用いて詳細に説明する番号が付された要素を参照すると、供給される表示データは、各対称データフレーム70に関して、対称ピクセルデータ72及び対称データフレーム時間74を含んでいてもよい。又は、コントローラ30は、任意の適当な表示形式で画像情報14を受け取った後、各対称データフレーム70毎に対称ピクセルデータ72及び対称データフレーム時間74を生成してもよい。
【0040】
高いクロック速度を用いて、コントローラ30は、対称データフレーム70の対称データフレーム時間74を調整して、グレースケール解像度を向上させ且つ精度を高めてもよい。電気泳動ディスプレイ10は、電気泳動ピクセル配列20内の各電気泳動ピクセル22をアドレス指定して切り換えることにより、例えば全ブラック、全ホワイト、又は、予め定められた色若しくはグレーレベル等の所定の光学的状態へとリセットされてもよい。その後に供給される画像情報14を用いて、電気泳動ディスプレイ10は、電気泳動ディスプレイ10内の電気泳動ピクセル22をアドレス指定してこれに書き込むことにより、更なるピクセルデータ72を用いて更新されてもよい。電気泳動ディスプレイ10がアドレス指定されない場合、又は、システム12の一部若しくは全部がパワーダウン若しくはパワーオフされる場合、電気泳動ピクセル10は、既に書き込まれた画像を保持して表示する。
【0041】
図4を用いて更に詳細に説明する実施の一形態において、電気泳動ピクセル10における高いグレースケール解像度、高いグレースケール精度、及び、垂直方向のクロストークの減少又は除去は、対称データフレーム時間74を有する駆動波形であって、対称データフレーム時間74が駆動波形の画像従属部分の中間点66に向かって減少する駆動波形を生成することによって得ることができる。図5を用いて更に詳細に示される他の実施の形態において、対称データフレーム時間74は、駆動波形の画像従属部分の中間点66に向かって増大する。他の実施の形態において、対称データフレーム時間74は、駆動波形の画像従属部分の中間点に対して対称に配置される。他の実施の形態において、複数の対称データフレーム70における最初の対称データフレーム70の対称フレーム時間74及び最後の対称データフレーム70の対称データフレーム時間74は等しい。グレーのレベルの数は増大させることができ、グレースケール精度が高められる一方で、最初の横列から最後の横列までの意図しない不正確なグレースケールのグラデーションが回避される。
【0042】
ディスプレイ内の温度変化をとらえるとともに、温度に伴う切り換え時間の変動を軽減するためには、バックプレーン32上又はその近傍に温度センサ(図示せず)が設けられているものとするとよい。温度の影響は、例えば電気泳動ディスプレイ10の現在の動作温度に従って対称データフレーム時間74をスケーリングすることにより補償されるものとするとよい。
【0043】
図1及び図2の前述した番号が付された要素を参照しながら、図3について説明する。可変データフレーム時間を使用して電気泳動ディスプレイを駆動する方法を示すタイミング図である。一つ又は複数のデータフレーム70のデータフレーム時間74は、高いグレースケール解像度及び精度が得られるように調整される。
【0044】
図1及び図2に既に示したように、電気泳動ディスプレイ10は、電気泳動ピクセル22をアドレス指定する際にデータフレーム時間74を調整することにより、また、その中の少なくとも二つのデータフレーム時間74が異なるデータフレーム時間を有する一連のデータフレーム70を形成することにより、高いグレースケール解像度及び精度をもって駆動されてもよい。可能なグレースケールレベルの数が増大され、グレースケール値を更に正確に生成することができる。データフレーム時間74は、例えば、次のデータフレーム70の開始を遅らせることにより、又は、電気泳動ディスプレイ10の様々な横列のアドレス指定間の時間間隔を調整することにより、調整される。
【0045】
隣り合うデータフレーム70a,70b,70cによって表される一連のデータフレーム70は、電気泳動ディスプレイ10の横列44a,44b,...44n内の各電気泳動ピクセル22に関連付けられたピクセルデータ72a,72b,72cを含んでいる。各データフレーム70は、データフレーム時間74a,74b,74cによってそれぞれ表される調整可能なデータフレーム時間74を有している。時間が進むにつれて、ピクセルデータ72及びデータフレーム時間74が横列毎(横列一つずつ)を基本としてディスプレイ内の関連する縦列に加えられる。図示の実施の形態において、データフレーム70aのデータフレーム時間74aはデータフレーム70bのデータフレーム時間74bよりも長く、データフレーム70bのデータフレーム時間74bはデータフレーム70cのデータフレーム時間74cよりも長い。その結果、横列44n内の電気泳動ピクセル22の駆動(活性化)時間は、横列44a内の対応する電気泳動ピクセル22よりも短くなり、それにより、最初の横列44と最後の横列との間及び他の横列同士の間の応答時間が非線形となる。調整可能なフレーム時間を許容しつつ、この影響を補償するため、対称データフレームが選択されたフレーム間に挿入されてもよい。このようにして、対称データフレームを駆動波形の枢要な部分、例えば駆動波形の画像従属部分又は画像独立部分の中間点付近に導入して、正確な多数のグレーレベルで均一に表示された画像を与えることにより、垂直方向のクロストークが回避されてもよい。
【0046】
図1及び図2の要素を参照して説明する図4は、本発明の実施の一形態に従って対称データフレーム70を使用して電気泳動ディスプレイ10を駆動する方法を示すタイミング図である。電気泳動ディスプレイ10は、駆動波形の画像従属部分又は画像独立部分の中間点66に向かって減少する対称データフレーム時間74を有する対称データフレーム70を使用してアドレス指定されるものとするとよい。対称データフレーム70は、中間点66に対して対称なデータフレーム時間74を有している。対称ピクセルデータ72は、電気泳動ディスプレイ10の各横列44内の電気泳動ピクセル22のための等しい駆動時間を与える。
【0047】
この実施の形態において、対称データフレーム70は、対応する対称データフレーム時間74a,74b,74c,74d,74e,74f及び対応する対称ピクセルデータ72a,72b,72c,72d,72e,72fをそれぞれ有する対称データフレーム70a,70b,70c,70d,70e,70fによって表される。対称データフレーム70a,70b,70c,70d,70e,70fは、中間点66に対して対称に配置されているとともに、電気泳動ピクセル配列20内の各電気泳動ピクセル22を所望の光学的状態へ駆動するために横列44a,44b,...44nに対して連続的に加えられる。データフレーム時間74aとデータフレーム時間74fとが等しく、データフレーム時間74bとデータフレーム時間74eとが等しく、データフレーム時間74cとデータフレーム時間74dとが等しい。中間点66に対する対称性を与えた状態で、データフレーム時間74b,74eはデータフレーム時間74a,74fよりも短く、データフレーム時間74c,74eはデータフレーム時間74b,74eよりも短い。対称ピクセルデータ72を有する対称データフレーム70は、対応するピクセル要素の光学的状態を変化させることができ且つ電気泳動ピクセル22を移行させるための同じ駆動時間を各横列44a,44b,...44nに与えるピクセルデータを含んでいる。その結果、対称に加えられるデータフレーム時間74の変動により、電気泳動ディスプレイ10の横列44間に不均一性が生じることがなくなる。
【0048】
対称ピクセルデータ72は、一つの横列44におけるフレーム時間の合計が任意の他の横列44の場合と同じになるようにピクセルデータ72を適切なフレームへと配置することにより、電気泳動ピクセル配列20の任意の横列中のピクセルが同じグレーレベルに達することを可能にし、これにより、垂直方向のクロストークが回避される。例えば、同じピクセルデータ72が対称データフレーム70b,70d中に配置され、これにより、最初の横列44a及び最後の横列44nにおいて、また、他の横列間で、駆動時間が同じになる。他の実施の形態においては、横列44とは何等関係なくピクセルデータにおいて一定の駆動時間を得るために、同じピクセルデータ72が対称データフレーム70a,70e中に配置される。垂直方向のクロストークを最小限に抑制しつつ所望数のグレースケールレベル及び精度を得るため、この手続きは、対称ピクセルデータ72の任意の組み合わせに関して中間点66に対し対称に配置された対称データフレーム70の更なる組に対して適用されてもよい。
【0049】
空ピクセルデータがデータフレーム70cのピクセルデータ72c内に挿入されるものとしてもよい。又は、プラス若しくはマイナスの駆動電圧及びピクセル電極36上のプラス若しくはマイナスの電荷34に対応するピクセルデータ72cを使用して、電気泳動インク24を活性化させるとともに、グレースケール解像度及び精度を高めてもよい。
【0050】
携帯型の電気泳動ディスプレイ10を用いる場合、電力消費量は、重要な検討材料である。隣り合うデータフレーム70c,70dが最も短いデータフレーム時間74c,74dを有している場合には、閉じられた矢印68により示される中間点66付近の局所的な電力消費量が比較的高くなる可能性がある。
【0051】
図1及び図2の要素を参照して説明する図5は、本発明の他の実施の形態に従って対称データフレームを使用して電気泳動ディスプレイを駆動する方法を示すタイミング図である。電気泳動ディスプレイ10は、駆動波形の画像従属部分又は画像独立部分の中間点66に向かって増大する対称データフレーム時間74を有する複数の対称データフレーム70を使用してアドレス指定される。
【0052】
この実施の形態において、対称データフレーム70は、対応する対称データフレーム時間74a,74b,74c,74d,74e,74f及び対応する対称ピクセルデータ72a,72b,72c,72d,72e,72fをそれぞれ有する対称データフレーム70a,70b,70c,70d,70e,70fによって表される。対称データフレーム70a,70b,70c,70d,70e,70fは、中間点66に対して対称に配置されているとともに、電気泳動ピクセル配列20内の各電気泳動ピクセル22を所望の光学的状態に駆動するために横列44a,44b,...44nに対して連続的に加えられる。データフレーム時間74aとデータフレーム時間74fとが等しく、データフレーム時間74bとデータフレーム時間74eとが等しく、データフレーム時間74cとデータフレーム時間74dとが等しい。データフレーム時間74b,74eはデータフレーム時間74a,74fよりも長く、データフレーム時間74c,74eはデータフレーム時間74b,74eよりも長い。また、中間点66に対する対称性も与えられている。この実施の形態は、図4に対して、中間点66付近の局所的なワット損を減少させる。対称ピクセルデータ72を有する対称データフレーム70は、対応するピクセル要素の光学的状態を変化させることができ且つ電気泳動ピクセル22を移行させるための同じ駆動時間を各横列44a,44b,...44nに与えるピクセルデータを含んでいる。その結果、対称に加えられるデータフレーム時間74の変動により、電気泳動ディスプレイ10の横列44間に不均一性が生じることがなくなる。
【0053】
他の実施の形態においては、対称データフレーム時間74が中間点66に対して対称に配置され、それにより、中間点66の各側で更に短く又は更に長く変化するデータフレーム時間74が可能になるが、各側は、中間点66の他方側に対称的に配置された対応する同様の長さのデータフレーム時間74を有する。
【0054】
他の実施の形態において、複数の対称データフレーム70における最初の対称データフレーム70の対称フレーム時間74及び最後の対称データフレーム70の対称データフレーム時間74は等しい。
【0055】
中間点66に向かって増大し、中間点66に向かって減少し、又は、中間点66に対して対称な対称データフレーム時間74を有する対称データフレーム70は、駆動波形の画像従属部分又は画像独立部分において使用されてもよい。対称データフレーム70は駆動波形内に一回又は複数回挿入されてもよい。
【0056】
図1乃至図5の要素を参照して説明する図6は、本発明の実施の一形態に従って駆動波形の画像従属部分の対称データフレームを使用して電気泳動ディスプレイ10を駆動するための駆動波形60を示している。駆動波形60は、電気泳動ディスプレイ10における電気泳動ピクセル22の両端間の電圧を時間tの関数として表している。この波形は、横列ドライバ40からの横列選択信号及び縦列ドライバ50により供給されるデータ信号を使用して電気泳動ピクセル22に印加される。駆動波形60は、例えば、プレコンディショニングパルス又は振動パルスを与えるための横列選択信号及び縦列駆動信号と、一つ又は複数のリセット信号と、各光学的状態及びこれらの状態への移行に関連するデータ信号とを含んでいる。データフレーム70は、駆動波形60の画像従属部分において中間点66に対して対称に加えられ、対称データフレーム70a,70b,70c,70d,70e,70fによって表されている。また、対称データフレームは、例えばプレコンディショニング部分62やリセット部分64等の駆動波形60の画像独立部分中に導入されてもよい。
【0057】
駆動波形60は、複数の対称データフレーム70を有する画像従属部分を含む複数のフレームを備えている。また、駆動波形60は、例えば一つ若しくは複数のプレコンディショニング部分62及びリセット部分64又はこれらの組み合わせとを含む画像独立部分も有している。画像従属データフレーム70、プレコンディショニング部分62、リセット部分64におけるタイミングは、単なる例示であり、必ずしも一定の倍率で描かれていない。各横列を順次駆動し且つ横列毎に1回総ての縦列を同時に駆動することにより総ての横列のピクセルを1回アドレス指定するために必要な時間間隔は、図3,図4,図5に示されるデータフレーム時間74である。各データフレーム70の最中に、画像従属データ又は画像独立データが配列内の一つ又は複数の電気泳動ピクセル22に対して供給される。駆動波形60は、電気泳動ピクセルを所望の光学的状態へと駆動させるために、例えば、一連のプレコンディショニング振動パルスと、それに続く一連のリセットパルスと、更なる振動パルスと、駆動パルスの組み合わせとを含んでいる。
【0058】
例えば、四つのグレーレベルを有する電気泳動ディスプレイ10は、コントローラ30又はその部品に電気的に接続されたメモリ内のルックアップテーブルに記憶された16個の異なる駆動波形60を有しているものとするとよい。最初のブラック状態から、四つの異なる駆動波形60は、最初にブラックのピクセルを、ブラック、ダークグレー、ライトグレー、又は、ホワイトへと光学的に切り換えることができる。最初のダークグレーの状態から、四つの異なる駆動波形60は、最初にダークグレーのピクセルを、ブラック、ダークグレー、ライトグレー、又は、ホワイトへと光学的に切り換えることができる。更なる駆動波形60により、ライトグレー又はホワイトのピクセルは、四つのグレーレベルのうちの任意のレベルに切り換え可能である。コントローラ30は、画像入力16を介して受け取られる画像情報14に応じて、一つ又は複数の電気泳動ピクセル22に関してルックアップテーブルから対応する駆動波形60を選択してもよく、また、対応する横列選択信号及び縦列データ信号を横列ドライバ40及び縦列ドライバ50を介して対応するピクセル電極36に接続された対応するトランジスタ38に対して供給してもよい。
【0059】
ピクセルの画像履歴に対する電気泳動ディスプレイ10の光学的応答の依存性を低減させるため、リセット信号又は画像従属信号の前にプレコンディショニング信号が電気泳動ピクセル22に対して印加されてもよい。プレコンディショニングにより、電気泳動ピクセル22は、一つの光学的状態と他の光学的状態との間での移行の均一性を高めつつ高速で切り換え可能となる。駆動波形60のプレコンディショニング部分62の最中に、次の光学的状態移行に備えて、振動パルスと称されることもあるプラス電圧とマイナス電圧との交互のパルスがディスプレイの一つ又は複数の電気泳動ピクセル22に対して印加される。例えば、プラス及びマイナスの交流電圧がピクセルに対して連続的に印加される。これらのプレコンディショニング信号は、一方又は両方の電極で電気泳動粒子を定常状態から解放できるのに十分な交流電圧レベルを電気泳動ピクセルに対して印加することを含んでいてもよいが、合計してゼロとなり又は非常に短いため、電気泳動粒子の現在の位置又はピクセルの光学的状態を大きく変更しない。画像履歴に対する依存性が減少するため、新たな画像データに対するピクセルの光学的応答は、ピクセルが以前にブラック、ホワイト、グレーであったかどうかとはほぼ無関係である。
【0060】
例えば、駆動波形60の最初の部分の間、プレコンディショニング信号のパルスを含むフレームの第1の組がピクセルに対して供給される。交差トレンチ領域の場合、各パルスは1フレーム周期の持続時間を有している。第1の振動パルスがプラスの振幅を有し、第2の振動パルスがマイナスの振幅を有し、第3の振動パルスがプラスの振幅を有しており、プレコンディショニング部分62が終了するまで交互の順序で更なるパルスが続く。これらのパルスの持続時間が比較的短ければ、又は、急速に変化するプラス及びマイナスレベルでパルスが印加されれば、パルスがピクセルによって表示されるグレー値を変えることはない。
【0061】
駆動波形60のリセット部分64の最中に、電気泳動ディスプレイ10は、例えば全ブラック状態、全ホワイト状態、グレースケール状態、又は、これらの組み合わせ等の所定の光学的状態にリセットされる。例えばブラック、ホワイト、又は、画像従属パルスにおける中間レベル等の所定の開始点を規定することにより、電気泳動ディスプレイ10の光学的応答を向上させるため、リセット部分64中のリセットパルスが画像従属パルスよりも先行している。例えば、上記開始点は、先の画像情報又は新しい画像データに最も近いグレーレベルに基づいて選択される。この場合、リセット信号は画像従属データ信号である。一つ又は複数のフレーム周期を含む一組のフレームが、所望の光学的状態に関連付けられたピクセルデータを含めて供給される。駆動電圧及び駆動電荷34は、電気泳動ディスプレイ10のアドレス指定された部分を初期化された光学的状態へと完全に切り換えるために必要な時間よりも長い時間にわたって印加されてもよく、また、その後に除去されてもよい。又は、電気泳動ディスプレイ10は、ピクセル電極36が低い電圧若しくは略グランド電位に維持されている間、共通電極26に印加されるプラス若しくはマイナス電圧を用いてリセットされてもよい。電気泳動ピクセル22を所望の光学的状態に設定するために、対称データフレーム70が使用されてもよい。
【0062】
駆動波形60のリセット部分64が印加された後、観察者には電気泳動ピクセル22が所定の光学状態で見える。ディスプレイに対する画像の書き込み又は更新に備えて、リセット部分64を印加した後に更なるプレコンディショニング部分62が一つ又は複数の電気泳動ピクセル22に対して印加されてもよい。画像従属フレームデータを受け取るのに備えてピクセルを用意するため、画像従属データを用いてディスプレイをアドレス指定する前に、更なるプレコンディショニング部分62がリセット部分64の後に印加されてもよい。
【0063】
駆動波形60の動画像従属部分の最中に、二つ以上の対称なフレーム周期を含む一組のデータフレームが生成されて供給される。画像従属信号は、例えば、0,1,2乃至15フレーム周期以上の持続時間を有している。この場合、ゼロでないデータ信号が16個以上のグレースケールレベルに対応している。ブラックの光学的状態を有するピクセルを用いて開始する場合、空データ又は同等のゼロ持続時間フレーム周期を有する画像従属信号は、ブラックを表示し続けるピクセルに対応する。特定のグレーレベルを表示するピクセルの場合、ゼロ持続時間フレーム周期を有するパルスを用いて又はゼロ振幅を有する一連のパルスを用いて駆動されると、グレーレベルは不変のままである。15フレーム周期の持続時間を有する画像従属信号は、その後に15個のパルスを備えるとともに、例えばホワイトへ移行して表示するピクセルに対応している。1乃至15レーム周期の持続時間を有する画像従属信号は、その後に1乃至15個のパルスを備えるとともに、例えばブラックとホワイトとの間の限られた数のグレー値のうちの一つを表示するピクセルに対応している。データ信号及びデータフレーム時間は、駆動波形60の画像従属部分中の二つ以上のデータフレームの中間点に対して対称に加えられてもよい。
【0064】
電気泳動ディスプレイは、対称ピクセルデータ72a,72b,72c,72d,72e,72f及び対称データフレーム時間74a,74b,74c,74d,74e,74fをそれぞれ有する対称データフレーム70a,70b,70c,70d,70e,70fとして表される二つ以上の対称データフレーム70を用いて横列毎を基本にディスプレイの各ピクセルに対して対称なピクセルデータとして変換されて加えられる画像情報を使用して更新される。図示の実施の形態において、対称データフレーム70a乃至70fのデータフレーム時間は、駆動波形60の中間点66に向かって経時的に増大する。又は、対称データフレーム時間は、中間点66に向かって経時的に減少してもよく、若しくは、フレーム時間の変動に伴って中間点66に対して対称に配置されてもよい。データフレーム70に関連付けられたデータフレーム時間74は、グレースケール解像度及び精度を高めることができるように調整されてもよい。コントローラ30は、例えば一つの横列選択信号の開始と次の横列選択信号の開始との間のクロックサイクルを調整することにより、又は、横列ドライバ40に印加されるシステム全体のクロック速度を調整することにより、駆動波形60の任意のフレームのデータフレーム時間74を調整して、それにより、グレースケール解像度を高め若しくは特定のグレーレベルを達成してもよい。
【0065】
電気泳動ディスプレイ10は、その後に印加される駆動波形60を用いて供給される更なる対称ピクセルデータを使用して更新されてもよい。例えば、電気泳動ディスプレイ10内の電気泳動ピクセル22を更新するために、ディスプレイの各横列44に対して横列選択信号が連続的に印加される一方、各横列内の電気泳動ピクセル22のためのピクセルデータ72が、ピクセル電極36に接続された縦列に対して印加される。プラス電荷、マイナス電荷、又は、無電荷がフレームデータに従ってピクセル電極36へと移動され、また、それに応じて、電気泳動ピクセル22が更に暗い状態、更に明るい状態、又は、不変状態で応答する。
【0066】
電気泳動ディスプレイ10を駆動するため、コントローラ30は、画像情報を一連の駆動波形60に変換し且つそれに応じてディスプレイをアドレス指定するためのコンピュータプログラムを実行してもよい。コンピュータプログラムは、画像情報を受け取り、対称なピクセルデータと略対称なデータフレーム時間とを含む複数の対称データフレームを生成するとともに、対称なピクセルデータと略対称なデータフレーム時間とに基づいて電気泳動ディスプレイをアドレス指定するためのコンピュータプログラムコードを含んでいる。また、コンピュータプログラムは、対称データフレームの対称データフレーム時間を調整してグレースケール解像度を高め、垂直方向のクロストークを減少させてグレースケール精度を高め、電気泳動ディスプレイを所定の光学的状態へリセットし、更なる対称データフレームを用いて電気泳動ディスプレイを更新し、電気泳動ディスプレイに対して書き込まれた画像を保持しつつ電気泳動ディスプレイをパワーオフ又はパワーダウンするためのコンピュータプログラムコードを含んでいてもよい。
【0067】
図7は、本発明の実施の一形態に従って電気泳動ディスプレイを駆動する方法のためのフローチャートを示している。この駆動方法は、対称データフレームを使用するアクティブマトリクスを用いて電気泳動ディスプレイを駆動して更新するための複数のステップを含んでいる。
【0068】
画像情報は、ブロック80で示されるように受け取られる。画像データは、メモリスティック(登録商標)等のメモリ装置から、又は、電気泳動ディスプレイに対して電気的に結合されたコントローラに光学的に接続されるPC、ラップトップコンピュータ、若しくは、PDAからのアップリンクから受け取られてもよい。画像情報は、ビデオフィード、イメージサーバ、又は、記憶ファイル等の任意の適当なソースから有線若しくは無線リンクを介して受け取られてもよい。コントローラは、情報を送受信して電気泳動ディスプレイへ画像を送るため、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、又は、インターネット等の通信ネットワークに対して接続されていてもよい。画像情報は、画像が電気泳動ディスプレイに書き込まれるように、又は、書き込まれるまでメモリ内に記憶されるように、リアルタイムで供給されてもよい。画像情報が受け取られると、画像データが処理されることにより、対称なピクセルデータと略対称なデータフレーム時間とを含む複数の対称データフレームが生成されて供給され、電気泳動ディスプレイが駆動される。
【0069】
ブロック82に示されるように、電気泳動ディスプレイは、予め調整(プレコンディショニング)されて所定の光学状態にリセットされてもよい。画像が書き込まれる前に、ディスプレイ材料の電気泳動インクが明確な状態にリセットされてもよい。例えばピクセル電極を介して電気泳動ピクセルに印加され又は共通電極に印加される比較的高い駆動電圧の持続的印加を伴う印加電場により、電気泳動インクを初期化された光学的状態又はリセットされた光学的状態へと移行させることができる。電気泳動ディスプレイがリセットされると、一つ又は複数のピクセルが所定の光学的状態にリセットされる。
【0070】
電気泳動インクは、電気泳動インクの種類及び印加駆動電圧に応じて、例えば全ホワイト、全ブラック、グレー、又は、有色の光学的状態にリセットされる。電気泳動インクの初期化は、例えば、透明な共通電極がグランド等の特定の電位に設定され又は保持されている間にプラスの供給電圧を印加して電気泳動インク内の電気泳動粒子を初期化状態に切り換えることにより行われる。この初期化された光学的状態又はリセットされた光学的状態から、電気泳動ピクセルに対して加えられる駆動力に基づいて、電気泳動インクを一つの共通の方向又は他の方向で調整することができる。書き込まれる画像に類似するパターンを用いて電気泳動ディスプレイが初期化され又はリセットされ、それにより、所望のグレースケール解像度及び精度をもって画像を書き込むために電気泳動インクのための全体の切り換え時間の一部だけが必要とされるようになっていてもよい。駆動波形のデータ従属部分と同様に、対称なピクセルデータと略対称なデータフレーム時間とを含む複数の画像独立対称データフレームを用いて電気泳動ディスプレイがリセットされてもよい。電気泳動ディスプレイは、不確定な時間にわたって初期化された状態で記憶されてもよく、又は、直ちに書き込まれてもよい。
【0071】
ディスプレイをリセットする前に、一つ若しくは複数の振動パルス又はプレコンディショニングパルスを印加することによりディスプレイが予め調整(プレコンディショニング)されてもよい。振動パルスは、電気泳動ピクセルのプレコンディショニングを行ってピクセルデータを受け取り又はリセット状態に切り換えるために電気泳動ピクセルに対して印加される。電気泳動インクは、例えば、ディスプレイのピクセル電極に対して加えられる交流駆動電圧の印加により予め調整(プレコンディショニング)されてもよい。ディスプレイをリセットした後で且つ画像を書き込む前に、更なる振動パルスの印加によりディスプレイが再びプレコンディショニングされてもよい。
【0072】
ブロック84に示されるように、対称データフレームの一つ又は複数の組の対称データフレーム時間が調整されてもよく、また、受け取った画像情報から、対称なピクセルデータと略対称なデータフレーム時間とを含む複数の対称データフレームが生成されてもよい。対称データフレームの対称データフレーム時間は、グレースケール精度を高め且つ垂直方向のクロストークを最小限に抑制するように調整されてもよい。所望のグレーレベルを得てグレースケール解像度を向上させるため、対称データフレーム時間が更に短く又は更に長く調整されてもよい。
【0073】
データフレーム時間が調整されると、データフレームは、駆動波形の一部において中間点に対して対称に配置される。一つのデータフレームのデータフレーム時間は、対称に配置されたデータフレームのデータフレーム時間と等しく設定される。実施の一形態において、対称データフレーム時間は、駆動波形の画像従属部分の中間点に向かって減少する。他の実施の形態において、対称データフレーム時間は、駆動波形の画像従属部分の中間点に向かって増大する。他の実施の形態において、対称データフレーム時間は、駆動波形の画像従属部分の中間点に対して対称に位置される。他の実施の形態において、複数の対称データフレーム中における最初の対称データフレームの対称データフレーム時間と最後の対称データフレームの対称データフレーム時間とは等しい。対称データフレームは、駆動波形内に少なくとも1回挿入されてもよい。
【0074】
ブロック86に示されるように、電気泳動ディスプレイは、対称なピクセルデータ及び略対称なデータフレーム時間に基づいてアドレス指定される。電気泳動ディスプレイがアドレス指定され且つ画像が電気泳動ディスプレイへと送られると、対称ピクセルデータ及び対称データフレーム時間に基づいて、一つ又は複数の電気泳動ピクセルに対して駆動電圧が印加されるとともに、所定の電荷が対応するピクセル電極上に配置される。駆動電圧は、電気泳動ディスプレイの選択された部分をリセット状態又は以前の光学的状態から所望の光学的状態へと切り換えるように選択される。電荷がピクセル電極上に配置されると、電気泳動インクが活性化されて所望の光学的状態へ切り換わる。所定の電荷が電気泳動ディスプレイを横切って配置されると、駆動電圧が印加され又は印加された電荷がピクセル電極上に保持されている限り、電気泳動インクが意図する表示状態へ移行し続ける。データフレームの数、長さ、内容に基づいて、電気泳動インクには、指定されたピクセルで光学的状態を切り換えることができる十分な時間が与えられる。電気泳動ディスプレイにおける所望の光学的状態は、ディスプレイのピクセルから駆動電荷及び駆動電圧を除去することによりロックされ又はフリーズ(固定)される。
【0075】
対称データフレームは、駆動波形内に一つ又は複数回挿入されてもよい。一つ又は複数の対称データフレームを含む駆動波形は、例えばメモリに記憶され又は電気泳動ディスプレイに与えられたルックアップデーブルから生成され又は選択的に抽出される。
【0076】
所望の画像が電気泳動ディスプレイに対して書き込まれると、画像を見ることができる。新たな画像の更なるリフレッシング又は書き込みは、前の画像を書き込んだ後、望み通りに例えば秒、分、時間、日、週、月の期間内で行われ得る。
【0077】
ブロック88で示されるように、電気泳動ディスプレイは、更なる対称ピクセルデータを用いて更新されてもよい。新しい画像データが受け取られ、それに応じてブロック80乃至86の前述したステップを繰り返すことにより電気泳動ディスプレイが更新されてもよい。又は、ディスプレイがリフレッシングを必要としてもよく、また、前の画像データがディスプレイに対して再び送られてもよい。
【0078】
ブロック90に示されるように、画像のリフレッシング又は更新が必要ない場合には、回路がパワーダウン又はオフされてもよく、電気泳動ディスプレイがパワーオフされ又はパワーダウンモードに置かれてもよい。パワーオフ又はパワーダウン時、電気泳動ディスプレイは、ブラック、ホワイト又は他の所定のスクリーン画像で上書きされなければ、ディスプレイに対して既に書き込まれた画像を保持する。
【0079】
ここに開示された本発明の実施の形態は現在好ましいとされているが、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく様々な変更や改良をなすことができる。例えば、プレコンディショニング電圧及びリセット電圧の極性、データフレーム時間、駆動波形の長さ、駆動波形に含まれる部分の順序、グレーレベルの数、ピクセル電極のサイズ及び数、電気泳動インクの色、様々な層の厚さは、例示的で且つ教示的となるように選択されている。駆動電圧、タイミング、電気泳動インクの色、含まれる層の大きさ及び相対的な厚さ、ピクセルセイズ、配列サイズ、他の材料及び量は、請求項に記載の発明の思想及び範囲から逸脱することなく示されるものとはかなり異なっていてもよい。本発明の範囲は添付の請求項に示されており、均等の意味及び範囲内に入る総ての変更は、本発明の中に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の一形態に係る電気泳動ディスプレイの一部の例示的な断面図である。
【図2】発明の実施の一形態に係る電気泳動ディスプレイを駆動するためのシステムの概略図である。
【図3】可変データフレーム時間を使用して電気泳動ディスプレイを駆動する方法を示すタイミング図である。
【図4】本発明の実施の一形態に従って対称データフレームを使用して電気泳動ディスプレイを駆動する方法を示すタイミング図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に従って対称データフレームを使用して電気泳動ディスプレイを駆動する方法を示すタイミング図である。
【図6】本発明の実施の一形態に従って駆動波形の画像従属部分における対称データフレームを用いて電気泳動ディスプレイを駆動するための駆動波形である。
【図7】本発明の実施の一形態に従って電気泳動ディスプレイを駆動する方法のためのフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向のクロストークを減少しつつ電気泳動ディスプレイを駆動する方法であって、
画像情報を受け取り、
受け取った前記画像情報から複数の対称データフレームを生成し、前記対称データフレームは、対称ピクセルデータと略対称データフレーム時間とを含み、
前記対称ピクセルデータと前記略対称データフレーム時間とに基づいて、前記電気泳動ディスプレイをアドレス指定する、
ことを含む方法。
【請求項2】
生成された前記対称データフレームは、画像従属対称データフレームを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データフレーム時間は、垂直方向のクロストークを最小限に抑制するように対称的であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対称データフレーム時間は、駆動波形の画像従属部分の中間点に向かって減少することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対称データフレーム時間は、駆動波形の画像従属部分の中間点に向かって増大することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対称データフレーム時間は、駆動波形の画像従属部分の中間点に対して対称に配置されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記対称データフレームは、駆動波形内に複数回挿入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
グレースケール精度が高くなるように前記対称データフレームの前記対称データフレーム時間を調整することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電気泳動ディスプレイを所定の光学的状態にリセットすることを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数の画像独立対称データフレームを用いて前記電気泳動ディスプレイがリセットされ、前記対称データフレームが対称ピクセルデータと対称データフレーム時間とを含んでいることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
更なる対称データフレームを用いて前記電気泳動ディスプレイを更新することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
電気泳動ディスプレイを駆動するためのシステムにおいて、
バックプレーン上に配置された電気泳動ピクセル配列と、
受け取った前記画像情報から複数の対称データフレームを生成する手段であって、前記対称データフレームが対称ピクセルデータと略対称データフレーム時間とを含んでいる手段と、
前記対称ピクセルデータと前記略対称データフレーム時間とに基づいて前記電気泳動ピクセル配列をアドレス指定する手段と、
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
グレースケール精度が高くなるように前記対称データフレームの前記対称データフレーム時間を調整するための手段を更に備えていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記電気泳動ディスプレイを所定の光学的状態にリセットするための手段を更に備えていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
更なる対称データフレームを用いて前記電気泳動ディスプレイを更新するための手段を更に備えていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
バックプレーン上に配置された電気泳動ピクセル配列と、
前記電気泳動ピクセル配列の横列に対して電気的に接続された横列ドライバと、
前記電気泳動ピクセル配列の縦列に対して電気的に接続された縦列ドライバと、
前記横列ドライバ及び前記縦列ドライバに対して電気的に接続されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、受け取った画像情報から複数の対称データフレームを生成し、前記対称データフレームは、対称ピクセルデータと略対称データフレーム時間とを含み、
前記コントローラは、前記対称ピクセルデータと前記略対称データフレーム時間とに基づいて電気泳動ディスプレイをアドレス指定することにより、前記電気泳動ピクセル配列内の少なくとも一つの電気泳動ピクセルを駆動する、
ことを特徴とする電気泳動ディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−505348(P2007−505348A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525959(P2006−525959)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051606
【国際公開番号】WO2005/024767
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】