説明

封止体の作製方法および発光装置の作製方法

【課題】気密性の優れた封止体の作製方法を提供する。また、当該封止体で封止された発光装置の作製方法を提供する。
【解決手段】フリットガラス層で封止した封止体および発光装置を作製する方法に関して、レーザ光の照射により生じる基板とフリットガラス層のひびを防止するため緩衝層を形成する第1の工程と、緩衝層の設けられた基板の面に、緩衝層と重なるようにフリットガラス層を形成する第2の工程と、フリットガラス層または緩衝層にレーザ光を照射して基板を溶着させる第3の工程を、順次行えば、気密性の高い封止体および当該封止体で封止した信頼性のある発光装置を作製することが出来る。当該発光装置の作製方法を、特に有機EL素子に適用した場合、信頼性の高い発光装置が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスを外部より侵入する不純物から保護する封止体の作製方法および発光装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のガラス基板を貼り合わせて、貼り合わせた空間を密閉する技術として、フリットガラス封止が知られている。フリットガラスで封止した封止体は気密性が優れている事が知られており、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと称す。)表示装置、液晶表示装置、プラズマ表示装置等に応用されている。
【0003】
とくにEL表示装置において、EL素子の信頼性向上のためフリットガラス封止を応用する試みがされている。なぜならば、有機EL素子は有機EL層やそれを両側から挟んでいる電極が、水分や酸素に曝されると急速にその信頼性が低下するためである。フリットガラスを用いる封止により有機EL層や両電極を大気に曝さないようにする技術として、例えば、特許文献1に記された技術が知られている。
【0004】
特許文献1に記された技術は、ガラス基板の縁に沿ってフリットガラスペーストをノズルから吐出させ、フリットガラスペーストの隔壁を形成する。そのフリットガラスペーストの隔壁を焼成してフリットガラス層とする。さらに、他のガラス基板に当該フリットガラス層を押し付け、フリットガラス層にレーザ光を照射して加熱溶融し、当該フリットガラス層と他のガラス基板とを溶着することにより、気密性の優れた封止体を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−65895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フリットガラス層にレーザ光を照射して封止体を形成する方法において、フリットガラス層の表面にレーザ光を照射すると、レーザ光が散乱してフリットガラス層の溶融が不完全となり、フリットガラス層とガラス基板が溶着できない問題が生じる場合がある。
【0007】
また、フリットガラス層が形成された基板を介してフリットガラス層にレーザ光を照射すると、レーザ光の入射方向に近い側、特に基板とフリットガラス層の界面近傍のフリットガラス層が優先的に加熱される。その結果フリットガラス層が形成された基板に応力が加わり、基板とフリットガラス層にひび(クラックともいう)が入ってしまう場合がある。
【0008】
基板とフリットガラス層に発生したクラックは、封止体の内部に大気成分が侵入するリークパスとなり、封止性能が低下する原因となる。また、クラックの発生は封止体の接合強度を低下させる原因ともなる。
【0009】
そこで、本発明の一態様は、基板とフリットガラス層におけるクラックの発生を抑制させ、気密性の優れた封止体の作製方法を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様では、フリットガラス層にレーザ光を照射することでガラス基板に生じる応力に着眼した。そして、緩衝層が設けられたガラス基板の一方の面に、緩衝層と重ねてフリットガラス層を形成し、ガラス基板の他方の面から当該フリットガラス層にレーザを照射する方法に想到し、上記課題の解決に至った。
【0011】
ガラス基板の他方の面から当該フリットガラス層にレーザ光を照射すると、フリットガラス層の表面でレーザ光が散乱されないため、フリットガラス層を充分に溶融することができ、ガラス基板とフリットガラス層が溶着しない問題の発生を抑制できる。また、ガラス基板を介してレーザ光を照射して優先的に加熱されたフリットガラス層が、その下地である緩衝層に応力を加えても、該応力が当該緩衝層により緩和されるため、ガラス基板にクラックが生じることがない。
【0012】
すなわち、本発明の一態様は、第1の基板と第2の基板を用いる封止体の作製方法であって、レーザ光を透過する第2の基板の一方の面にレーザ光を透過する緩衝層を形成する第1の工程と、緩衝層の設けられた第2の基板の面に、緩衝層と重なるようにフリットガラス層を形成する第2の工程と、第1の基板と第2の基板の間にフリットガラス層を挟んだ状態で、第2の基板の他方の面からフリットガラス層にレーザ光を照射してフリットガラス層を溶融させ、フリットガラス層と第1の基板と第2の基板とで閉空間を形成する第3の工程と、をこの順で行う封止体の作製方法である。
【0013】
上記作製方法により、フリットガラス層の下地に設けられた緩衝層が、レーザ光の照射によって生じた第2の基板に加わる応力を緩和する。そして、第2の基板とフリットガラス層にクラックが発生する現象を抑制する。その結果、気密性の優れた封止体を作製することができる。
【0014】
また、上記作製方法では、第2の基板を介してレーザ光の照射を行っているため、フリットガラス層の表面でレーザ光が散乱されないので、フリットガラス層を充分に溶融することができる。そのため、フリットガラス層と第1の基板の溶着が不完全になることを防止することが出来るので、気密性の優れた封止体を作製することができる。
【0015】
また、本発明の一態様は、第1の基板と第2の基板を用いる封止体の作製方法であって、レーザ光を透過する第2の基板の一方の面にレーザ光を吸収する緩衝層を形成する第1の工程と、緩衝層の設けられた第2の基板の面に、緩衝層と重なるようにフリットガラス層を形成する第2の工程と、第1の基板と第2の基板の間に前記フリットガラス層を挟んだ状態で、第2の基板の他方の面から、緩衝層にレーザ光を照射してフリットガラス層を溶融させ、フリットガラス層と第1の基板と第2の基板とで閉空間を形成する第3の工程と、をこの順で行う封止体の作製方法である。
【0016】
上記作製方法により、フリットガラス層の下地に設けられた緩衝層が、レーザ光の照射によって生じた第2の基板に加わる応力を緩和する。そして、第2の基板とフリットガラス層にクラックが発生する現象を抑制する。その結果、気密性の優れた封止体を作製することができる。
【0017】
また、上記作製方法では、第2の基板を介して緩衝層にレーザ光の照射を行っているため、フリットガラス層の表面でレーザ光が散乱されないので、フリットガラス層を充分に溶融することができる。そのため、フリットガラス層と第1の基板の溶着が不完全になることを防止することが出来るので、気密性の優れた封止体を作製することができる。
【0018】
また、上記作製方法ではレーザ光を吸収する緩衝層を用いるので、緩衝層にレーザ光を照射してフリットガラス層を溶融することができる。レーザ光を吸収する緩衝層は、第2の基板に平坦な薄膜として形成されているため、レーザ光が散乱されにくい。そのため、フリットガラス層に直接レーザ光を照射する場合より、低いエネルギーのレーザ光で溶着することが出来る。
【0019】
また、フリットガラス層にレーザ光を吸収して熱に変換する材料(以下、レーザ吸収材という)を添加しなくてもよいため、材料費を低減できる。
【0020】
また、本発明の一態様は、レーザ光を吸収する緩衝層にフリットガラス層より融点が高い金属層を用いた封止体である。
【0021】
フリットガラス層より高い融点を有する金属は、レーザ光照射による発熱でフリットガラス層が溶融する前に金属が溶融しないため、フリットガラス層に熱を効率よく伝えることが出来る。
【0022】
また金属は延性があるので、第2の基板に生じた引張り応力を緩和することができるため、第2の基板とフリットガラス層にクラックが発生する現象を抑制できる。
【0023】
また、金属の熱伝導率は絶縁物より高いため、レーザ光を吸収して発熱した熱をフリットガラス層に絶縁物より効率よく熱を伝えることが出来る。そのため、低いレーザ光の照射エネルギーで溶着することが出来る。
【0024】
また、上記作製方法によれば、前記フリットガラス層を閉曲線に形成した後に、第1の基板と第2の基板を封止する作製方法である。そのため、フリットガラス層に切れ目のない気密性の高い封止体を作製することが出来る。
【0025】
また、本発明の一態様は、第1の基板の一方の面に発光素子を形成する第1の工程と、レーザ光を透過する第2の基板の一方の面に、発光素子を囲む大きさでレーザ光を透過する緩衝層を形成する第2の工程と、第2の基板の一方の面の側に、緩衝層に重なるようにフリットガラス層を形成する第3の工程と、第1の基板と第2の基板の間にフリットガラス層を挟持させた状態で、第1の基板と第2の基板をシール材で封止する第4の工程と、第2の基板の他方の面から、フリットガラス層にレーザ光を照射して前記フリットガラス層を溶融させ、フリットガラス層と第1の基板と第2の基板とで閉空間を形成する第5の工程と、をこの順で行う発光装置の作製方法である。
【0026】
上記発光装置の作製方法を用いると、緩衝層がレーザ光の照射によって生じた第2の基板の応力を緩和して、第2の基板においてクラックの発生を抑制することができる。その結果、気密性の高いフリットガラス層で封止した信頼性の高い発光装置を作製することができる。
【0027】
また、上記発光装置の作製方法を用いると、第2の基板を介してレーザ光の照射を行っているため、フリットガラス層の表面でレーザ光が散乱されないので、フリットガラス層を充分に溶融することができる。そのため、フリットガラス層と第1の基板の溶着が不完全になることを防止することが出来るので、信頼性の高い発光装置を作製することができる。
【0028】
また、上記発光装置の作製方法を用いると、第2の基板側にフリットガラス層を形成するため、フリットガラスの仮焼成で加える熱は、発光素子にかからない。そのため、発光素子に損傷を与えることがない。
【0029】
また、本発明の一態様は、第1の基板の一方の面に発光素子を形成する第1の工程と、レーザ光を透過する第2の基板の一方の面に、発光素子を囲む大きさでレーザ光を吸収する緩衝層を形成する第2の工程と、第2の基板の一方の面の側に、緩衝層に重なるようにフリットガラス層を形成する第3の工程と、第1の基板と第2の基板の間にフリットガラス層を挟持させた状態で、第1の基板と第2の基板をシール材で封止する第4の工程と、第2の基板の他方の面から、緩衝層にレーザ光を照射してフリットガラス層を溶融させ、フリットガラス層と第1の基板と第2の基板とで閉空間を形成する第5の工程と、をこの順で行う発光装置の作製方法である。
【0030】
上記発光装置の作製方法を用いると、緩衝層がレーザ光の照射によって生じた第2の基板の応力を緩和して、第2の基板においてクラックの発生を抑制することができる。その結果、気密性の高いフリットガラス層で封止した信頼性の高い発光装置を作製することができる。
【0031】
また、上記作製方法ではレーザ光を吸収する緩衝層を用いるので、緩衝層にレーザ光を照射してフリットガラス層を溶融することができる。レーザ光を吸収する緩衝層は、第2の基板に平坦な薄膜として形成されているため、レーザ光が散乱されにくい。そのため、フリットガラス層に直接レーザ光を照射する場合より、低いエネルギーのレーザ光で溶着することが出来る。
【0032】
また、フリットガラス層にレーザ光を吸収して熱に変換する材料(以下、レーザ吸収材という)を添加しなくてもよいため、材料費を低減できる。
【0033】
また、本発明の一態様は、レーザ光を吸収する緩衝層にフリットガラス層より高い融点を有する金属層を用いた封止体である。
【0034】
フリットガラス層より高い融点を有する金属は、レーザ光照射による発熱でフリットガラス層が溶融する前に金属が溶融しないため、フリットガラス層に熱を効率よく伝えることが出来る。
【0035】
また金属は延性があるので、第2の基板に生じた引張り応力を緩和することができるため、第2の基板とフリットガラス層にクラックが発生する現象を抑制できる。
【0036】
また、金属の熱伝導率は絶縁物より高いため、レーザ光を吸収して発熱した熱をフリットガラス層に絶縁物より効率よく熱を伝えることが出来る。そのため、低いレーザ光の照射エネルギーで溶着することが出来る。
【0037】
また、上記発光装置の作製方法では、第1の基板と第2の基板を閉曲線に形成されたフリットガラス層で封止することができる。そのため、発光装置を切れ目のないフリットガラス層で封止することができる。よって、信頼性の高い発光装置を作製することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の一態様によれば、気密性の優れた封止体の作製方法を提供できる。または、信頼性の高い発光装置の作製方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一態様の封止体を示す断面図及び平面図。
【図2】本発明の一態様の封止体の作製工程を示す断面図及び平面図。
【図3】本発明の一態様の封止体の作製工程を示す断面図及び平面図。
【図4】本発明の一態様の封止体を示す断面図及び平面図。
【図5】本発明の一態様の封止体の作製工程を示す断面図及び平面図。
【図6】本発明の一態様の封止体の作製工程を示す断面図及び平面図。
【図7】本発明の一態様の発光装置を示す断面図及び平面図。
【図8】本発明の一態様の発光装置の作製工程を示す断面図及び平面図。
【図9】本発明の一態様の発光装置の作製工程を示す断面図及び平面図。
【図10】本発明の一態様の発光装置を示す断面図及び平面図。
【図11】本発明の一態様の発光装置の作製工程を示す断面図及び平面図。
【図12】本発明の一態様に係る発光素子の概念図。
【図13】本発明の一態様に係る発光装置の例を示す図。
【図14】本発明の一態様に係る発光装置の例を示す図。
【図15】本発明の一態様に係る発光装置の例を示す図。
【図16】本発明の一態様に係る電子機器及び照明装置の例を示す図。
【図17】本発明の一態様に係る照明装置の例を示す図。
【図18】本発明の一態様に係る車載表示装置の例を示す図。
【図19】本発明の一態様に係る照明装置の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では、本明細書に開示する発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本明細書に開示する発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本明細書に開示する発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0041】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の作製方法を用いて図1に示す封止体161を作製する方法を図2、図3を用いて説明する。
【0042】
(緩衝層の形成)
まず、第2の基板300上に緩衝層140を形成する。第2の基板300はガラスを用いる。後述するレーザ光の照射を第2の基板300を介して行うため、第2の基板300はレーザ光を透過する基板であればよい。
【0043】
緩衝層140となる膜は、酸化シリコン、窒化シリコンを用いることが出来る。酸化シリコン、窒化シリコンはプラズマCVD法を用いて成膜すればよい。後述するレーザ光の照射により第2の基板300に生じる引張り応力を緩和するため、緩衝層140は圧縮応力を有する層であればよい。
【0044】
緩衝層140は、フリットガラス層510を形成する領域に形成する(図2(A))。緩衝層140の形態は公知の技術を用いて形成すればよく、例えばフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを用いてエッチングによって形成することができる。
【0045】
(フリットガラスペーストの塗布)
つぎに、フリットガラスペースト500を緩衝層140と重なるように、第2の基板300上に塗布する(図2(B))。フリットガラスペースト500とは、粉末ガラスとバインダを含むものである。粉末ガラスは、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化テルル、酸化アルミニウム、二酸化シリコン、酸化鉛、酸化スズ、酸化リン、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化アンチモン、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸塩ガラスおよびホウケイ酸ガラスよりなる群から選択された1以上の化合物を含むことが望ましい。これに、例えば、有機溶媒で希釈した樹脂バインダを混ぜ、フリットガラスペーストとする。後述するレーザ光の照射でフリットガラス層510を加熱するため、レーザ光吸収材を添加したフリットガラスペーストを用いる。吸収材は使用するレーザ光の波長に合わせて最適なレーザ光吸収材を選択すればよい。
【0046】
フリットガラスペースト500の塗布方法は、ディスペンサ法、スクリーン印刷法またはインクジェット法を用いて形成することができる。この実施の形態では、表示装置などを封止するのに好適な長方形状としたが、閉曲線を成すものであれば、円状、楕円状などいかなる形状としてもよい。
【0047】
(フリットガラスペーストの焼成)
フリットガラスペースト中のバインダを揮発させるため加熱を行う。具体的には温度は300〜450℃で加熱を行えばよい。当該加熱処理は、ランプやヒーターなどを利用して行なえばよい。当該加熱処理で、粉末ガラスを溶融し固化させることにより当該粉末ガラスを融合させ、フリットガラス層510とすることができる。この焼成の段階でフリットガラス層510は、第2の基板300上に切れ目のない閉曲線になるように形成する(図2(C))。気密性の優れた封止体を形成するためである。
【0048】
(レーザ光の照射)
次に、第2の基板300上のフリットガラス層510と第1の基板130を密着させ、フリットガラス層510にレーザ光800を照射する(図3)。その結果、溶融したフリットガラス層510を介して、第2の基板300と第1の基板130が溶着する。レーザ光800の照射は第2の基板300を介してフリットガラス層510に行う。フリットガラス層510の表面でレーザ光は散乱しないので、フリットガラス層510が充分に溶融する。そのため、フリットガラス層510と第1の基板130が溶着して気密性の高い封止体を得ることが出来る。レーザ光の照射に用いるレーザの波長は750〜1200nmを用いることが出来る。800nmの半導体レーザが望ましい。
【0049】
フリットガラス層が直接設けられた基板にレーザ光を照射すると、基板とフリットガラス層が接する部分が、局所的に急速昇温された後、急冷される。そのため基板に局所的に大きな引張応力が発生して、基板とフリットガラス層にクラックが発生する場合がある。しかし、本実施の形態の第2の基板300には緩衝層140が設けられているため、レーザ光800が照射されたフリットガラス層510から生じる引張り応力を緩和して、第2の基板300のクラックの発生を抑制することができる。そのため、気密性の優れた封止体を作製することが出来る。
【0050】
以上の工程により、図1に示す封止体161を作製することができる。
【0051】
以上のように、本実施の形態で示す封止体161の作製方法を用いると、緩衝層140が、レーザ光800の照射によって生じた第2の基板300の応力を緩和して、第2の基板300のクラックの発生を抑制する。その結果、気密性の高い封止体161を作製することができる。
【0052】
また、本実施の形態で示す封止体161の作製方法は、第2の基板300を介してレーザ光800の照射を行っているため、フリットガラス層510の表面でレーザ光800が散乱しないで、フリットガラス層510が充分に溶融する。そのため、気密性の優れた封止体161を作製することができる。
【0053】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の作製方法を用いて図4に示す封止体162を作製する方法を図5、図6を用いて説明する。
【0054】
(緩衝層の形成)
まず、第2の基板300上に緩衝層150を成膜する。第2の基板300はガラスを用いる。後述するレーザ光の照射を第2の基板300を介して行うため、第2の基板300はレーザ光を透過する基板であればよい。
【0055】
緩衝層150は、フリットガラス層510を形成する領域に形成する(図5)。緩衝層150の形態は公知の技術を用いて形成すればよく、例えばフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを用いてエッチングによって形成することができる。
【0056】
緩衝層150となる膜は、レーザ光を吸収して、ガラスの融点より高い融点の物質で形成することが出来る。具体的にはシリコン、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)の絶縁物、タングステン、タンタル、鉄等の金属で形成することが出来る。シリコン、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)はプラズマCVD法、メタルはスパッタリング法で形成することができる。
【0057】
後述するレーザ光の照射により第2の基板300に生じる引張り応力を緩和するため、シリコン、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の絶縁物は、圧縮応力を有することが好ましい。
【0058】
または、シリコン、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)の代わりに、緩衝層150は、タングステン、タンタル、鉄等の金属で延性を有する層であっても良い。フリットガラス層より高い融点をもつ金属は、レーザ光照射による発熱でフリットガラス層が溶融する前に金属が溶融しないため、フリットガラス層に熱を効率よく伝えることが出来る。
【0059】
(フリットガラスペーストの塗布)
つぎに、第2の基板300上で緩衝層150と重なるように、フリットガラスペースト500を塗布する(図5)。本実施の形態ではレーザ吸収材を含まないフリットガラスペーストを用いる。その他のフリットガラスペーストの材料構成、塗布方法は、実施の形態1を参酌することが出来る。
【0060】
(フリットガラスペーストの焼成)
フリットガラスペースト500を焼成してフリットガラス層510を形成する工程は、実施の形態1を参酌することが出来る。この焼成の段階でフリットガラス層510は、第2の基板300上に切れ目のない閉曲線になるように形成する(図5)。気密性の優れた封止体を形成するためである。
【0061】
(レーザ光の照射)
次に、第2の基板300上のフリットガラス層510と第1の基板130を密着させ、レーザ光の照射する(図6)。レーザ光800の照射は第2の基板300を介して緩衝層150に行う。緩衝層150がレーザ光800を吸収し、緩衝層150から熱伝導した熱がフリットガラス層510を溶融させ、フリットガラス層510と第1の基板を溶着させ、フリットガラス層510と第1の基板130と第2の基板300とで閉空間を形成する。緩衝層がなくフリットガラス層にレーザ光を吸収させる場合、フリットガラス層は膜厚が一定ではなく表面形状も凹凸を有するので、レーザ光が散乱する場合がある。一方、レーザ光を吸収する緩衝層150は、第2の基板300に膜厚が一定の薄膜として形成され、表面形状も凹凸がないため、レーザ光が散乱されにくくフリットガラス層510より効率よくレーザ光を吸収する。そのため、フリットガラス層に直接レーザ光を照射する場合より、低いエネルギーのレーザ光で溶着することが出来る。特に緩衝層150にタングステン、タンタル、鉄の金属を用いた場合、レーザ光を吸収しやすいため、フリットガラス層510に直接レーザ光を照射する場合より、低いレーザ光の照射エネルギーで溶着することが出来る。レーザ光の照射に用いるレーザ光の波長は750〜1200nmを用いることが出来る。具体的には800nmの半導体レーザが望ましい。
【0062】
フリットガラス層が直接設けられた基板にレーザ光を照射すると、基板にフリットガラス層が接する部分が、局所的に急速昇温・急冷される。そのため基板に局所的に大きな引張応力が発生して、基板とフリットガラス層にクラックが発生する場合がある。しかし、圧縮応力を有する層を緩衝層150に用いれば、第2の基板300に生じた引張り応力を緩和することができるので、第2の基板300のクラックの発生を抑制することができる。
【0063】
また、レーザ光の照射により第2の基板300に生じた引張応力は、延性を有する金属を緩衝層150に用いることより緩和することができるので、第2の基板300のクラックの発生を抑制することができる。
【0064】
レーザ光を吸収する緩衝層150は、第2の基板300に平坦な薄膜として形成されているため、レーザ光が散乱されにくい。そのため、フリットガラス層が直接設けられた基板にレーザ光を照射する場合より、低いエネルギーのレーザ光で溶着することが出来る。
【0065】
また、緩衝層150にフリットガラス層より高い融点を有する金属を用いた場合、金属の熱伝導率は絶縁物より高いため、レーザ光を吸収して発熱した熱をフリットガラス層に絶縁物より効率よく熱を伝えることが出来る。そのため、低いレーザ光の照射エネルギーで溶着することが出来る。
【0066】
レーザ光を吸収する緩衝層150を用いると、フリットガラスペースト500にレーザ吸収材を添加しなくてもよい。よって、フリットガラスペーストの材料費を抑制することができる。
【0067】
なお、本発明の一態様の封止体の作製方法は、フリットガラスペースト500を用いた場合に限られず、極めて薄い帯状のガラス薄膜を用いた場合にも適用することが出来る。例えば、フリットガラス層510に代えて厚さが100nm以上500μm以下、好ましくは100nm以上100μm以下の帯状のガラス薄膜を用い、緩衝層150に対してレーザ光を照射することにより、間接的に加熱して当該ガラス薄膜を溶融させ、当該ガラス薄膜と第1の基板130を溶着させ、当該ガラス薄膜と第1の基板130と第2の基板300とで閉空間を形成する。このような帯状のガラス薄膜を用いると、フリットガラスペースト500の仮焼成が不要であるため、工程を簡略化できる。
【0068】
以上の工程により、図4に示す封止体162を作製することができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態で示す封止体162の作製方法を用いると、圧縮応力を有する層を緩衝層150に用いれば、レーザ光の照射によって生じた第2の基板300の応力を緩和して、第2の基板300のクラックの発生を抑制する。その結果、気密性の高い封止体162を作製することができる。
【0070】
また、延性を有する金属を緩衝層150に用いれば、レーザ光の照射によって生じた第2の基板300の応力を緩和して、第2の基板300のクラックの発生を抑制する。その結果、気密性の高い封止体162を作製することができる。
【0071】
また、本実施の形態で示す封止体162の作製方法は、緩衝層150にレーザ光800を照射してフリットガラス層510を溶融している。緩衝層150が第2の基板300に平坦な薄膜として形成されているため、レーザ光800が散乱されにくい。そのため、フリットガラス層510に直接レーザ光を照射する場合より、低いエネルギーのレーザ光で溶着することが出来る。また、緩衝層150に金属を用いた場合、金属の熱伝導率は絶縁物より高いため、レーザ光800を吸収して発熱した熱をフリットガラス層510に絶縁物より効率よく熱を伝えることが出来る。そのため、低いレーザ光の照射エネルギーで溶着することが出来る。また、フリットガラスペースト500にレーザ吸収材を添加しなくてもよいため、フリットガラスペースト500の材料費を低減できる。
【0072】
(実施の形態3)
本実施の形態では、図7に示す発光装置163の作製方法の一形態を、図8、図9を用いて説明する。本実施の形態では、発光素子の一態様として有機EL素子を用いた場合について説明する。
【0073】
(緩衝層の形成)
まず、第2の基板300上に緩衝層140を成膜する。第2の基板300はガラスを用いる。後述するレーザ光の照射を第2の基板300を介して行うため、第2の基板300はレーザ光を透過する基板であればよい。緩衝層140は、フリットガラス層510を形成する領域に形成する。第2の基板300と第1の基板130を貼り合わせた状態で、緩衝層140は、有機EL素子125を囲むように、形成すればよい。緩衝層140のパターン形成は公知の技術を用いればよく、エッチングによって形成することができる。
【0074】
緩衝層140には、酸化シリコン、窒化シリコンを用いることが出来る。酸化シリコン、窒化シリコンはプラズマCVD法を用いて成膜すればよい。後述するレーザ光の照射により第2の基板300に生じる引張り応力を緩和するため、緩衝層140は圧縮応力を有する層であればよい。
【0075】
(フリットガラスペーストの塗布)
つぎに、第2の基板300上で緩衝層140と重なるように、フリットガラスペースト500を塗布する。本実施の形態では、実施の形態1を参酌することが出来る。
【0076】
(フリットガラスペーストの焼成)
フリットガラスペースト500を焼成してフリットガラス層510を形成する工程は、実施の形態1を参酌することが出来る。この焼成の段階でフリットガラス層510は、第2の基板300上に閉曲線になるように形成する。気密性の高い封止体で有機EL素子125を封止するためである。
【0077】
(有機EL素子の形成)
まず、図8(A)に示すように、第1の基板130上に有機EL素子125を設ける。有機EL素子125は、例えば、第1の基板130に近いほうから陽極、発光層、陰極の順に積まれた積層構造を有する。陽極と陰極を入れ替えてもよい。これらの他に別の層を追加で設けても構わない。陽極からは端子126aが、陰極からは端子126bがそれぞれ出ており、これらを外部電源に接続することで、有機EL素子125に電力を供給できる。
【0078】
(シール材の形成)
次に、図8(B)に示すように、有機EL素子125を囲むように、かつフリットガラス層510と貼り合わせる領域と重ならないように、シール材110を形成する。シール材110で、第1の基板130と第2の基板300を貼り合わせる理由は、フリットガラス層510に粘着性がなく、第1の基板130と第2の基板の位置合わせが困難であるためである。シール材110は、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂などを用い、ディスペンサ法、スクリーン印刷法で塗布すればよい。該シール材110は第1の基板130上で閉曲線に形成する。該シール材110においても外気の侵入を防ぐためである。なお、シール材110の閉曲線は、フリットガラス層510が形成される領域の内側、または外側のどちらでもよい。
【0079】
(シール材の硬化)
次に、シール材110を塗布した有機EL素子125を有する第1の基板130と、フリットガラス層510を形成した第2の基板300を貼り合わせる。紫外線硬化樹脂を用いる場合、有機EL素子125に紫外線が当たらないように遮光マスク600で有機EL素子125を遮光し、紫外線700を照射してシール材110を硬化させ、第1の基板130と第2の基板を接着させる(図9(C))。
【0080】
(レーザ光の照射)
次に、フリットガラス層510にレーザ光を照射して、フリットガラス層510を溶融させ、フリットガラス層510と第1の基板130を溶着する(図9(D))。レーザ光の照射は第2の基板300を介してフリットガラス層510に行う。フリットガラス層510の表面でレーザ光が散乱されないので、フリットガラス層510を充分に溶融することができる。レーザ光の照射に用いるレーザの波長は750〜1200nmを用いることが出来る。具体的には800nmの半導体レーザが望ましい。
【0081】
フリットガラス層が直接設けられた基板にレーザ光を照射すると、基板にフリットガラス層が接する部分が、局所的に急速昇温・急冷される。そのため基板に局所的に大きな引張応力が発生して、基板とフリットガラス層にクラックが発生する場合がある。しかし、緩衝層140が、第2の基板300に生じた引張り応力を緩和して、第2の基板300のクラックの発生を抑制することができる。
【0082】
以上の工程により、図7に示す発光装置163を作製することができる。
【0083】
以上のように、本実施の形態で示す発光装置163の作製方法を用いると、第2の基板300においてクラックの発生を抑制することができる。緩衝層140が、レーザ光の照射によって生じた第2の基板300の応力を緩和して、第2の基板300のクラックの発生を抑制するためである。フリットガラス層510は気密性を有するので、外部から水分、大気成分の侵入を抑制できる。その結果、気密性の高い封止により信頼性の優れた発光装置163を作製することができる。
【0084】
また、本実施の形態で示す発光装置163の作製方法は、第2の基板300を介してレーザ光の照射を行っているため、フリットガラス層510の表面でレーザ光が散乱しないので、フリットガラス層510が充分に溶融する。そのため、フリットガラス層510と第1の基板130の溶着が不完全になることを防止することが出来る。その結果、気密性の高い封止体により信頼性の高い発光装置163を作製することができる。
【0085】
(実施の形態4)
本実施の形態では、図10に示す発光装置164の作製方法の一形態を、図11を用いて説明する。
【0086】
(緩衝層の形成)
まず、第2の基板300上に緩衝層150を成膜する。第2の基板300はガラスを用いる。後述するレーザ光の照射を第2の基板300を介して行うため、第2の基板300はレーザ光を透過する基板であればよい。緩衝層150は、フリットガラス層510を形成する領域に形成する(図11(C))。緩衝層150の形態は公知の技術を用いて形成すればよく、例えばフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを用いてエッチングによって形成することができる。後述するように第2の基板300は、発光素子を形成する第1の基板130とフリットガラス層510を介して貼り合わせる。そのため貼り合わせた状態で発光素子を囲むように、緩衝層150を第2の基板300上に形成する。
【0087】
緩衝層150の構成、形成については、実施の形態2を参酌することが出来る。
【0088】
(フリットガラスペーストの塗布)
つぎに、第2の基板300上で緩衝層150と重なるように、フリットガラスペースト500を塗布する。本実施の形態ではレーザ光吸収材を含まないフリットガラスペーストを用いる。その他のフリットガラスペーストの材料構成、塗布方法は、実施の形態1を参酌することが出来る。
【0089】
(フリットガラスペーストの焼成)
フリットガラスペースト500を焼成してフリットガラス層510を形成する工程は、実施の形態1を参酌することが出来る。この焼成の段階でフリットガラス層510は、第2の基板300上に切れ目のない閉曲線になるように形成する。気密性の高い封止体を形成するためである。
【0090】
(有機EL素子、シール材の形成)
第1の基板130上に有機EL素子125を設ける工程、第1の基板130上にシール材110を形成する工程および、シール材110を硬化させ第1の基板130と第2の基板300を貼り合わせる工程は、実施の形態3を参酌することが出来る。
【0091】
(レーザ光の照射)
次に、第2の基板300上のフリットガラス層510と第1の基板130を密着させ、レーザ光800を照射する(図11(D))。レーザ光800の照射は第2の基板300を介して緩衝層150に行う。緩衝層150がレーザ光800を吸収し、緩衝層150から熱伝導した熱がフリットガラス層510を溶融させ、フリットガラス層510と第1の基板を溶着させ、フリットガラス層510と第1の基板130と第2の基板300とで閉空間を形成する。レーザ光を吸収する緩衝層150は、第2の基板に平坦な薄膜として形成されているため、レーザ光が散乱されにくい。そのためレーザ光が散乱されにくいので、緩衝層150は、フリットガラス層510に比べレーザ光を効率よく吸収する。よって、フリットガラス層510に直接レーザ光を照射する場合より、低いエネルギーのレーザ光で溶着することが出来る。特に緩衝層150にタングステン、タンタル、鉄の金属を用いた場合、レーザ光を吸収しやすいため、フリットガラス層510に直接レーザ光を照射する場合より、低いレーザ光の照射エネルギーで溶着することが出来る。レーザ光の照射に用いるレーザ光の波長は750〜1200nmを用いることが出来る。具体的には800nmの半導体レーザが望ましい。
【0092】
フリットガラス層が直接設けられた基板にレーザ光を照射すると、基板にフリットガラス層が接する部分が、局所的に急速昇温・急冷される。そのため基板に局所的に大きな引張応力が発生して、基板とフリットガラス層にクラックが発生する場合がある。しかし、圧縮応力を有する層を緩衝層150に用いれば、第2の基板300に生じた引張り応力を緩和することができるので、第2の基板300のクラックの発生を抑制することができる。
【0093】
また、レーザ光の照射により第2の基板300に生じた引張応力は、延性を有する金属を緩衝層150に用いると、第2の基板300に生じた引張り応力を緩和することができるので、第2の基板300のクラックの発生を抑制することができる。
【0094】
緩衝層がなくフリットガラス層にレーザ光を吸収させる場合、フリットガラス層は膜厚が一定ではなく表面形状も凹凸を有するので、レーザ光が散乱する場合がある。一方、レーザ光を吸収する緩衝層150は、第2の基板300に膜厚が一定の薄膜として形成され、表面形状も凹凸がないため、レーザ光が散乱されにくくフリットガラス層510より効率よくレーザ光を吸収する。そのため、フリットガラス層に直接レーザ光を照射する場合より、低いエネルギーのレーザ光で溶着することが出来る。
【0095】
また、緩衝層にフリットガラス層より高い融点を有する金属を用いた場合、金属の熱伝導率は絶縁物より高いため、レーザ光を吸収して発熱した熱をフリットガラス層に絶縁物より効率よく熱を伝えることが出来る。そのため、低いレーザ光の照射エネルギーで溶着することが出来る。
【0096】
レーザ光を吸収する緩衝層150を用いると、フリットガラスペーストにレーザ吸収材を添加しなくてもよい。よって、フリットガラスペーストの材料費を抑制することができる。
【0097】
なお、本発明の一態様の封止体の作製方法は、フリットガラスペースト500を用いた場合に限られず、極めて薄い帯状のガラス薄膜を用いた場合にも適用することが出来る。例えば、フリットガラス層510に代えて厚さが100nm以上500μm以下、好ましくは100nm以上100μm以下の帯状のガラス薄膜を用い、緩衝層150に対してレーザ照射することにより、間接的に加熱して当該ガラス薄膜を溶融させ、当該ガラス薄膜と第1の基板130を溶着させ、当該ガラス薄膜と第1の基板130と第2の基板300とで閉空間を形成する。このような帯状のガラス薄膜を用いると、フリットガラスペースト500の仮焼成が不要であるため、工程を簡略化できる。
【0098】
以上の工程により、図10に示す発光装置164を作製することができる。
【0099】
以上のように、本実施の形態で示す発光装置164の作製方法を用いると、圧縮応力を有する層を緩衝層150に用いれば、レーザ光の照射によって生じた第2の基板300の応力を緩和して、第2の基板300のクラックの発生を抑制する。その結果、気密性の高い発光装置164を作製することができる。
【0100】
また、延性を有する金属を緩衝層150に用いれば、レーザ光の照射によって生じた第2の基板300の応力を緩和して、第2の基板300のクラックの発生を抑制する。その結果、気密性の高い発光装置164を作製することができる。
【0101】
また、本実施の形態で示す発光装置164の作製方法は、緩衝層150にレーザ光800を照射してフリットガラス層510を溶融している。緩衝層150が第2の基板に平坦な薄膜として形成されているため、レーザ光が散乱されにくい。そのため、フリットガラス層510にレーザ光を直接照射する場合より、低いエネルギーのレーザ光で溶着することが出来る。また、緩衝層150に金属を用いた場合、金属の熱伝導率は絶縁物より高いため、レーザ光800を吸収して発熱した熱をフリットガラス層510に絶縁物より効率よく熱を伝えることが出来る。そのため、低いレーザ光の照射エネルギーで溶着することが出来る。また、フリットガラスペースト500にレーザ吸収材を添加しなくてもよいため、フリットガラスペースト500の材料費を低減できる。
【0102】
(実施の形態5)
実施の形態3および4において説明した有機EL素子125に適用可能な構成の一態様について、図12(A)を用いて説明する。なお、本実施の形態では第1の電極102と第2の電極104に挟持された有機EL層103を有する発光素子の構成について詳細に説明する。また、第1の電極102には端子126bが接続され、第2の電極104には端子126aが接続される。
【0103】
発光素子は、一対の電極(第1の電極102及び第2の電極104)と、当該一対の電極間に挟まれた有機EL層103を有する。また、本実施の形態で説明する発光素子は、ガラス基板100上に設けられている。
【0104】
ガラス基板100は、発光素子の支持体として用いられる。ガラス基板100としては、長方形の板状のものは勿論、曲面を有するものなど様々な形状のものを用いることができる。
【0105】
第1の電極102及び第2の電極104は、一方が陽極として機能し、他方が陰極として機能する。本実施の形態においては、第1の電極102を陽極として用い、第2の電極104を陰極として用いるものとして説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
【0106】
陽極として用いる材料は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、またはこれらの混合物などが好ましい。具体的には、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、シリコン若しくは酸化シリコンを含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0107】
陰極として用いる材料は、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などが好ましい。具体的には、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、マグネシウム(Mg)が挙げられる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金(例えばMgAg、AlLi)を用いることもできる。また、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)などの希土類金属、または希土類金属を含む合金を用いることもできる。また、有機EL層103の一部として、第2の電極104に接する電子注入層を設ける場合、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITOなどの様々な導電性材料を第2の電極104として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて薄膜とすることが可能である。
【0108】
有機EL層103は、単層構造で構成されることも可能であるが、通常積層構造から構成される。有機EL層103の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質を含む層(電子輸送層)または正孔輸送性の高い物質を含む層(正孔輸送層)、電子注入性の高い物質を含む層(電子注入層)、正孔注入性の高い物質を含む層(正孔注入層)、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質を含む層、発光材料を含む層(発光層)などを適宜組み合わせて構成すればよい。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み合わせて構成することができる。図12(A)においては、第1の電極102の上に形成された有機EL層103として、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114が順に積層された構造を示している。
【0109】
発光素子は、第1の電極102と第2の電極104との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である発光層113において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり発光層113に発光領域が形成されるような構成となっている。
【0110】
発光は、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方は、透光性を有する電極で成る。第1の電極102のみが透光性を有する電極である場合、発光は第1の電極102を通ってガラス基板100側から取り出される。また、第2の電極104のみが透光性を有する電極である場合、発光は第2の電極104を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極104がいずれも透光性を有する電極である場合、発光は第1の電極102および第2の電極104を通って、ガラス基板100側と逆側の両方から取り出される。
【0111】
発光層113に接する正孔輸送層112や電子輸送層114、特に発光層113における発光領域に近い方に接するキャリア(電子または正孔)輸送層は、発光層113で生成した励起子からのエネルギー移動を抑制するため、発光層を構成する発光材料、または発光層に含まれる発光中心物質よりも大きなエネルギーギャップを有する物質で構成することが好ましい。
【0112】
正孔注入層111は、正孔注入性の高い物質を含み、第1の電極102から正孔輸送層112へ正孔の注入を補助する機能を有する。正孔注入層111には、第1の電極102と正孔輸送層112との間のイオン化ポテンシャルの差を緩和し、正孔が注入され易くなるものを選ぶ。正孔注入層111は、イオン化ポテンシャルを正孔輸送層112よりも小さく、第1の電極102よりも大きい物質が好ましい。正孔注入層111には、例えば、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、またはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)等の高分子を用いることができる。
【0113】
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む。正孔輸送性の高い物質とは、正孔の移動度が電子のそれよりも高いものを指し、電子の移動度に対する正孔の移動度の比(=正孔移動度/電子移動度)が100よりも大きいものを利用するのが好ましい。また、正孔輸送層112の正孔移動度は、1×10−6cm/Vs以上とするのが好ましい。具体的には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)などを利用できる。また、正孔輸送層112は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。
【0114】
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む。電子輸送性の高い物質とは、電子の移動度が正孔のそれよりも高いものを指し、正孔の移動度に対する電子の移動度の比(=電子移動度/正孔移動度)が100よりも大きいものを利用するのが好ましい。また、電子輸送層114の電子移動度は、1×10−6cm/Vs以上とするのが好ましい。具体的には、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール系配位子を有する金属錯体、チアゾール系配位子を有する金属錯体を利用できる。キノリン骨格を有する金属錯体の具体例としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)が挙げられる。また、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体の具体例としては、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)が挙げられる。また、オキサゾール系配位子を有する金属錯体の具体例としては、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))が挙げられる。また、チアゾール系配位子を有する金属錯体の具体例としては、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))が挙げられる。また、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ 01)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。具体例を挙げた上述の物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を電子輸送層114として用いてもよい。また、電子輸送層114は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。
【0115】
また、発光層113と電子輸送層114との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けてもよい。電子キャリアの移動を制御する層は、上述したような電子輸送性の高い材料に対して、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層である。電子キャリアの移動を制御する層を設けることにより、電子キャリアの移動を抑制し、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0116】
また、電子輸送層114と第2の電極104との間に、第2の電極104に接して電子注入層を設けてもよい。電子注入層としては、電子輸送性を有する物質からなる層中に、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)などのようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を含有させたものを用いればよい。具体例としては、Alq中にマグネシウム(Mg)を含有させたものを用いることができる。電子注入層を設けることにより、第2の電極104からの電子注入を効率良く行うことができる。
【0117】
また、有機EL層103は、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いて形成できる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法、またはスピンコート法を用いることができる。また、有機EL層103を積層構造とする場合、各層毎に異なる方法を用いて形成してもよいし、各層全てを同一の方法で形成してもよい。
【0118】
また、第1の電極102、第2の電極104は、ゾル−ゲル法や液状の金属材料を用いた湿式法で形成してもよいし、スパッタリング法や真空蒸着法などの乾式法で形成してもよい。このような発光素子と本発明の一態様である封止体の作製方法を組み合わせることにより、信頼性の高い発光装置を作製することができる。
【0119】
以上、本実施の形態に示す方法などは、他の実施の形態に示す方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0120】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の封止体作製方法により封止した、複数の発光ユニットを積層した構成を有する発光素子(以下、「タンデム型の発光素子」という)について、図12(B)を参照しながら説明する。タンデム型の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する。発光ユニットとしては、先に示した有機EL層103と同様な構成を用いることができる。
【0121】
図12(B)において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極502は、実施の形態5と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、各ユニットの構成は、それぞれ実施の形態5に示したものと同様なものを適用することができる。
【0122】
第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512との間には、電荷発生層513が設けられている。電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含み、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を可能にする。
【0123】
正孔輸送性の有機化合物には、正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを用いることが好ましい。具体的には、芳香族アミン化合物、カルバゾール化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物、オリゴマー、デンドリマーなどが利用できる。また、それらと混ぜる金属酸化物には、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いればよく、具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムが挙げられ、これらの金属酸化物は電子受容性が高いため、好ましい。特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、且つ扱いやすいため、特に好ましい。
【0124】
また、電荷発生層513は、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物、及び電子輸送性の高い化合物を含む層とを積層した構造としてもよいし、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを積層した構造としてもよい。
【0125】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。すなわち、タンデム型の発光素子は、3つ以上の発光ユニットを有していてもよい。この場合も、各発光ユニットの間には電荷発生層を設ける。例えば、第1のユニットと、それよりも長波長の発光(例えば、赤色の発光)を呈する第1の発光材料を用いて作製される第2のユニットと、第1のユニットよりも長波長、かつ第1の発光材料よりも短波長の発光(例えば、緑色の発光)を呈する第2の発光材料を用いて作製される第3のユニットとを有する発光素子を構成してもよい。これらの発光ユニットを用いることにより、白色の発光装置を得ることができる。
【0126】
本実施の形態に係るタンデム型の発光素子は、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置するため、電流密度を低く保ったまま高輝度の発光を可能にする。電流密度を低くできるため、高輝度でも長寿命な発光素子とすることができる。このような発光素子と本発明の一態様である封止体の作製方法を組み合わせることにより、信頼性の高い発光装置を作製することができる。
【0127】
以上、本実施の形態に示す方法などは、他の実施の形態に示す方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0128】
(実施の形態7)
(パッシブマトリクス型の発光装置、及びアクティブマトリクス型の発光装置の説明)
本実施の形態では、本発明の一態様である封止体の作製方法で封止したパッシブマトリクス型の発光装置、及びアクティブマトリクス型の発光装置について説明する。
【0129】
図13、図14にパッシブマトリクス型の発光装置の例を示す。
【0130】
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型ともいう)の発光装置は、ストライプ状(帯状)に並列された複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極とが互いに直交するように設けられており、その交差部に発光層が挟まれた構造となっている。従って、選択された(電圧が印加された)陽極と選択された陰極との交点にあたる画素が点灯することになる。
【0131】
図13(A)乃至図13(C)は、封止前における画素部の平面図であり、図13(A)乃至図13(C)中の鎖線A−A’で切断した断面を図13(D)に示す。
【0132】
ガラス基板601上には、下地絶縁層として絶縁層602が形成されている。なお、絶縁層602が必要でなければ特に形成しなくともよい。絶縁層602上には、ストライプ状の複数の第1の電極603が等間隔で配置されている(図13(A))。なお、本実施の形態で示す第1の電極603は、実施の形態5における第1の電極102に相当する。
【0133】
また、第1の電極603上には、各画素に対応する開口部605を有する隔壁604が設けられている。隔壁604は、絶縁材料で形成されている。例えば、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、もしくはベンゾシクロブテン等の感光性または非感光性の有機材料や、アルキル基を含むSiOx膜等のSOG膜を絶縁材料として用いることができる。また、各画素に対応する開口部605は、発光領域となる(図13(B))。
【0134】
開口部を有する隔壁604上には、第1の電極603と交差する複数の隔壁606が設けられている(図13(C))。複数の隔壁606は、それぞれ互いに平行に設けられており、逆テーパ状をなしている。
【0135】
第1の電極603及び隔壁604上には、有機EL層607及び第2の電極608が順次積層されている(図13(D))。なお、本実施の形態で示す有機EL層607は、実施の形態5における有機EL層103に相当し、第2の電極608は、第2の電極104に相当する。隔壁604及び隔壁606を合わせた高さは、有機EL層607及び第2の電極608を合わせた厚さより大きくなるように設定されているため、図13(D)に示すように複数の領域に分離された有機EL層607、及び第2の電極608が形成される。なお、複数に分離された領域は、それぞれ電気的に独立している。
【0136】
第2の電極608は、第1の電極603と交差するストライプを成す。なお、有機EL層607及び第2の電極608を形成すると、逆テーパ状の隔壁606上にも同様の層が形成されるが、有機EL層607、及び第2の電極608とは分断されている。
【0137】
続いて、ガラス基板601を基に実施の形態3で示したようにガラス封止体を形成する。これにより、発光素子の劣化を著しく抑制できる。なお、密閉された空間には、乾燥した充填材や不活性ガスを充填しても良い。さらに、水分などによる発光素子の劣化を防ぐために当該ガラス封止体に乾燥材などを封入してもよい。乾燥剤によって微量な水分が除去され、十分乾燥される。乾燥剤としては、酸化カルシウムや酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物、ゼオライト、またはシリカゲル等を用いることができる。アルカリ土類金属の酸化物は、化学吸着によって水分を吸収する性質を有する。また、ゼオライトやシリカゲルは、物理吸着によって水分を吸着する性質を有する。
【0138】
次に、図13(A)乃至図13(D)に示したパッシブマトリクス型の発光装置にFPC(フレキシブルプリントサーキット)などを実装したものの平面図を図14に示す。
【0139】
図14において、画像表示を構成する画素部では、走査線群とデータ線群が互いに直交している。
【0140】
ここで図14の図13との関係を示すと、第1の電極603が走査線703に相当し、第2の電極608がデータ線708に相当し、逆テーパ状の隔壁606が隔壁706に相当する。データ線708と走査線703の間には、図13に示した有機EL層607が挟まれており、領域705で示される交差部が画素1つ分となる。
【0141】
走査線703は配線端で接続配線709と電気的に接続され、接続配線709が入力端子710を介してFPC711bに接続される。また、データ線708は入力端子712を介してFPC711aに接続される。データ線708と接続配線709は、図7に示した端子126a、端子126bに相当する。これらをまたいでフリットガラス層510を形成する。
【0142】
また、必要に応じて、光の射出面に偏光板、円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板または円偏光板に加えて反射防止膜を設け、外光の反射を抑えてもよい。あるいは、光の射出面に凹凸を設け、反射光を拡散させることにより、外光が光の射出面に映り込むのを抑えることができる。
【0143】
なお、図14では、駆動回路を基板上に設けない例を示したが、基板上に駆動回路を有するICチップを設けてもよい。
【0144】
ICチップを用いる場合には、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをそれぞれ取り付ける。取り付け方式には、COG方式、TCP、ワイヤボンディング方式等を用いることができる。TCPはTABテープにICを設けたものであり、TABテープを素子形成基板上の配線に接続してICを取り付ける。データ線側IC及び走査線側ICは、シリコン基板やSOI(Silicon On Insulator)基板に形成されたものであってもよいし、ガラス基板、石英基板、またはプラスチック基板上に形成されたものであってもよい。
【0145】
次に、アクティブマトリクス型の発光装置の例について、図15を用いて説明する。なお、図15(A)は発光装置を示す平面図であり、図15(B)は図15(A)を鎖線A−A’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、ガラス基板801上に設けられた画素部802と、駆動回路部(ソース側駆動回路)803と、駆動回路部(ゲート側駆動回路)804とを有する。画素部802、駆動回路部803、及び駆動回路部804は、フリットガラス層510とガラス基板801とガラス基板806とで形成された封止体の中に封止されている。
【0146】
ガラス基板801上には、駆動回路部803及び駆動回路部804に外部からの信号(ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、またはリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線807が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC808を設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていてもよい。本明細書における発光装置は、発光装置本体だけでなく、発光装置本体にFPCまたはPWBが取り付けられた状態のものも範疇に含むものとする。
【0147】
次に、アクティブマトリクス型の発光装置の断面構造について図15(B)を用いて説明する。なお、ガラス基板801上には駆動回路部803及び駆動回路部804及び画素部802が形成されているが、図15(B)においては、ソース側駆動回路である駆動回路部803と、画素部802を示している。
【0148】
駆動回路部803は、nチャネル型TFT809とpチャネル型TFT810とを組み合わせたCMOS回路を有する例を示している。なお、駆動回路部は、種々のCMOS回路、PMOS回路、またはNMOS回路で形成することができる。また、本実施の形態では、同一基板上に画素部と駆動回路が形成されたドライバー一体型を示すが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、画素部が形成された基板とは別の基板に駆動回路を形成することもできる。
【0149】
画素部802は、スイッチング用のTFT811と、電流制御用のTFT812と、電流制御用TFT812の配線(ソース電極またはドレイン電極)に電気的に接続された陽極813とを含む複数の画素により形成されている。また、陽極813の端部を覆って絶縁物814が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。なお、スイッチング用のTFT811や電流制御用のTFT812といったTFTの構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型のTFTでもよいし、逆スタガ型のTFTでもよい。また、トップゲート型のTFTでもよいし、ボトムゲート型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の材料についても特に限定されず、シリコンを用いてもよいし、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物等の酸化物半導体を用いてもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。
【0150】
発光素子817は、陽極813、有機EL層815、及び陰極816によって構成されている。発光素子の構造、材料等については先に示した通りである。なお、図15における陽極813、有機EL層815、及び陰極816はそれぞれ実施の形態5における第1の電極102、有機EL層103、第2の電極104に相当する。また、ここでは図示しないが、陰極816は外部入力端子であるFPC808に電気的に接続されている。
【0151】
絶縁物814は、陽極813の端部に設けられている。そして、絶縁物814の上層に形成される陰極816の被覆性を良好なものとするため、絶縁物814の角部に丸みを持たせるとよい。例えば、0.2μm以上3μm以下の曲率半径を有する曲面とするのが好ましい。また、絶縁物814の材料としては、光をあてるとエッチャントに不溶解性となるネガ型の感光性樹脂、或いは光をあてるとエッチャントに溶解性となるポジ型の感光性樹脂などの有機化合物や、酸化シリコン、酸窒化シリコン等の無機化合物を用いることができる。
【0152】
また、図15(B)に示す断面図では発光素子817を1つのみ図示しているが、画素部802においては、複数の発光素子がマトリクス状に配置されている。例えば、画素部802に3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、先の実施の形態に示した白色の発光装置とカラーフィルタを組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。また、当該発光素子は、ボトムエミッション方式、トップエミッション方式、または両面射出方式のいずれも採ることができる。
【0153】
また、発光素子817は、ガラス基板801、ガラス基板806、及びフリットガラス層510で囲まれた封止体818内部に設けられている。封止体818は、希ガスまたは窒素ガスが充填されていてもよいし、固体で充填されていてもよい。
【0154】
以上のようにして、本発明の一態様に係る封止体の作製方法で封止したアクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。このような発光装置は、信頼性の高い発光装置である。
【0155】
以上、本実施の形態に示す方法などは、他の実施の形態に示す方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0156】
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した作製方法で作製した発光装置を用いて作製される電子機器及び、当該発光装置を照明装置として用いる具体例について、図16、図17を用いて説明する。
【0157】
本発明を適用可能な電子機器の一例として、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、遊技機(パチンコ機、スロットマシン等)、ゲーム筐体が挙げられる。これらの電子機器および照明装置の具体例を図16、図17に示す。
【0158】
図16(A)は、テレビジョン装置9100を示している。テレビジョン装置9100は、筐体9101に表示部9103が組み込まれている。本発明の一態様を用いて作製される発光装置は、表示部9103に用いることが可能であり、表示部9103により映像を表示することが可能である。なお、ここではスタンド9105により筐体9101を支持した構成を示している。
【0159】
テレビジョン装置9100の操作は、筐体9101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機9110により行うことができる。リモコン操作機9110が備える操作キー9109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機9110に、当該リモコン操作機9110から出力する情報を表示する表示部9107を設ける構成としてもよい。
【0160】
図16(A)に示すテレビジョン装置9100は、受信機やモデムなどを備えている。テレビジョン装置9100は、受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0161】
先の実施の形態に示したフリットガラス層510で封止された発光装置を利用すれば、発光素子が劣化しにくいため、当該発光装置をテレビジョン装置の表示部9103に用いることで、従来に比べて丈夫で長寿命なテレビジョン装置とすることができる。
【0162】
図16(B)はコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。コンピュータは、本発明の一態様を用いて作製される発光装置をその表示部9203に用いることにより作製される。
【0163】
また、先の実施の形態に示したフリットガラス層510で封止された発光装置を利用すれば、発光素子が劣化しにくいため、当該発光装置をコンピュータの表示部9203に用いることで、従来に比べて丈夫で長寿命な表示部とすることが可能となる。
【0164】
図16(C)は携帯型ゲーム機であり、筐体9301と筐体9302で構成されており、連結部9303により、開閉可能に連結されている。筐体9301には表示部9304が組み込まれ、筐体9302には表示部9305が組み込まれている。また、図16(C)に示す携帯型ゲーム機は、操作キー9309、接続端子9310、センサ9311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9312等の入力手段を備えている。さらに、スピーカ部9306、記録媒体挿入部9307、LEDランプ9308等を備えていてもよい。もちろん、携帯型ゲーム機の構成は上述のものに限定されず、表示部9304および表示部9305の両方、または一方に上記実施の形態を適用して形成される発光装置が少なくとも用いられていればよい。
【0165】
図16(C)に示す携帯型ゲーム機は、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型ゲーム機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図16(C)に示す携帯型ゲーム機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0166】
また、先の実施の形態に示したフリットガラス層510で封止された発光装置を利用すれば、発光素子が劣化しにくいため、当該発光装置を携帯型ゲーム機の表示部(9304、9305)に用いることで、従来に比べて丈夫で長寿命な携帯型ゲーム機とすることが可能となる。
【0167】
図16(E)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機9500は、筐体9501に組み込まれた表示部9502の他、操作ボタン9503、外部接続ポート9504、スピーカ9505、マイク9506などを備えている。携帯電話機9500は、本発明の一態様を用いて作製される発光装置を表示部9502に採用している。
【0168】
図16(E)に示す携帯電話機9500は、表示部9502を指などで触れることで、情報を入力する、電話を掛ける、またはメールを作成するなどの操作を行うことができる。
【0169】
表示部9502の画面は、主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合したものである。
【0170】
例えば、電話を掛ける、またはメールを作成する場合は、表示部9502を文字の入力を主とする入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部9502の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0171】
また、携帯電話機9500内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機9500の向き(縦向きか横向きか)を判断して、表示部9502の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0172】
また、画面モードの切り替えは、表示部9502を触れる、または筐体9501の操作ボタン9503の操作により行われる。また、表示部9502に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0173】
また、入力モードにおいて、表示部9502の光センサで検出される信号を検知し、表示部9502のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0174】
また、表示部9502は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部9502に掌や指を触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0175】
先の実施の形態に示したフリットガラス層510で封止された発光装置を利用すれば、発光素子が劣化しにくいため、当該発光装置を携帯電話機の表示部9502に用いることで、従来に比べて丈夫で長寿命な携帯電話機とすることが可能となる。
【0176】
図16(D)は卓上型の照明装置であり、照明部9401、傘9402、可変アーム9403、支柱9404、台9405、電源スイッチ9406を含む。卓上型の照明装置は、本発明の一態様を用いて作製される発光装置を照明部9401に用いることにより作製される。なお、照明装置の形式は、卓上型に限らず、天井固定型や、壁掛け型、携帯型も含まれる。
【0177】
図17は、本発明の一態様を用いて作製される発光装置を、室内の照明装置1001として用いた例である。本発明の一態様を用いて作製される発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、上記実施の形態で示した発光装置は、薄型化が可能であるため、ロール型の照明装置1002として用いることもできる。このようなデバイスを作製するには、例えば、巻き取ることが可能な極薄ガラス基板をガラス封止体の一部として利用すればよい。巻き取れるほどの極薄ガラス基板であっても、水分や酸素などを極めて通しにくいため、本発明に適用することは好ましい。なお、図17に示すように、室内の照明装置1001を備えた部屋で、図16(D)で説明した卓上型の照明装置1003を併用してもよい。
【0178】
また、先の実施の形態に示した封止体の作製方法で封止された発光装置を利用すれば、発光素子が劣化しにくいため、当該発光装置を照明装置として用いることで、従来に比べて丈夫で長寿命な照明装置とすることができる。
【0179】
図18に本発明の一形態に係る封止体の作製方法で封止された発光装置を自動車のフロントガラスやダッシュボードに用いる一態様を示す。
【0180】
自動車のフロントガラスに設けられた本発明の一形態に係るフリットガラス層510で封止された発光装置を、表示装置5000、表示装置5001に示す。実施の形態5または実施の形態6に記載の発光素子は、第1の電極と第2の電極に透光性を与えることにより、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置とすることができる。シースルー状態の表示であれば、自動車のフロントガラスに設置したとしても、視界の妨げになることなく設置することができる。なお、駆動のためのトランジスタなどを設ける場合には、有機半導体材料による有機トランジスタや、酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いると良い。
【0181】
ピラー部分に設けられた、実施の形態5または実施の形態6に記載の発光素子を、表示装置5002に示す。表示装置5002には、車体に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補完することができる。また、同様に、ダッシュボード部分に設けられた表示装置5003は車体によって遮られた視界を、自動車の外側に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。見えない部分を補完するように映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。
【0182】
表示装置5004や表示装置5005はナビゲーション情報、スピードメーターやタコメーター、走行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その他様々な情報を提供することができる。表示は使用者の好みに合わせて適宜その表示項目やレイアウトを変更することができる。なお、これら情報は表示装置5000乃至表示装置5003にも設けることができる。また、表示装置5000乃至表示装置5005は照明装置として用いることも可能である。
【0183】
本発明の一形態に係る封止体の作製方法で封止された発光装置は、信頼性が優れているので、車載用に好適に用いることができる。
【0184】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0185】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一形態に係る封止体の作製方法で封止された発光装置を照明装置として用いる例を、図19を参照しながら説明する。図19(B)は照明装置の平面図、図19(A)は図19(B)におけるc−d断面図である。
【0186】
本実施の形態における照明装置は、支持体である透光性を有するガラス基板400上に、第1の電極401が形成されている。ガラス基板400及び第1の電極401は実施の形態5における第1の基板130及び第1の電極102に相当する。
【0187】
第1の電極401上には補助配線402が設けられている。本実施の形態では、第1の電極401側から発光を取り出す例を示したため、第1の電極401は透光性を有する材料により形成する。補助配線402は透光性を有する材料の導電率の低さを補うために設けられており、第1の電極401の抵抗が高いことによる電圧降下を起因とする発光面内の輝度むらを抑制する機能を有する。補助配線402は少なくとも第1の電極401の材料よりも導電率の大きい材料を用いて形成する。例えば、アルミニウムなどを用いると好ましい。なお、補助配線402における第1の電極401と接する部分以外の表面は絶縁層で覆われていることが好ましい。これは、取り出すことができない補助配線402上部からの発光を抑制するためであり、無効電流を低減し、電力効率の低下を抑制するためである。なお、補助配線402の形成と同時に第2の電極404に電圧を供給するためのパッド412を形成しても良い。
【0188】
第1の電極401と補助配線402上には有機EL層403が形成されている。有機EL層403は実施の形態6における有機EL層103の構成、もしくは実施の形態6における発光ユニット511、512及び電荷発生層513を合わせた構成に相当する。なお、有機EL層403は第1の電極401よりも平面的に見て少し大きく形成することが、第1の電極401と第2の電極404とのショートを抑制する絶縁層の役割も担えるため好ましい構成である。
【0189】
有機EL層403を覆って第2の電極404を形成する。第2の電極404は実施の形態5における第2の電極104に相当し、同様の構成を有する。本実施の形態においては、発光は第1の電極401側から取り出されるため、第2の電極404は反射率の高い材料によって形成されることが好ましい。本実施の形態において、第2の電極404はパッド412と接続することによって、電圧が供給されるものとする。
【0190】
以上、第1の電極401、有機EL層403、及び第2の電極404(及び補助配線402)を有する発光素子を、本発明の一形態に係る封止体を作製する方法により封止することによって照明装置が完成する。当該ガラス封止体内部には、先の実施の形態に示したように不活性ガス408などを充填させる。あるいは、水分や酸素などを放出しない固形物を充填させてもよい。
【0191】
また、パッド412、第1の電極401及び補助配線402の一部をフリットガラス層510、シール材110の外に伸張して設けることによって、外部入力端子とすることができる。また、その上にコンバーターなどを搭載したICチップ420などを設けても良い。
【0192】
本発明の一形態に係る封止体の作製方法で封止された照明装置は、信頼性が優れているので、車載用に限らず好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0193】
100 ガラス基板
130 第1の基板
300 第2の基板
140 緩衝層
150 緩衝層
110 シール材
500 フリットガラスペースト
510 フリットガラス層
125 有機EL素子
126a 端子
126b 端子
600 遮光マスク
700 紫外線
800 レーザ光
161 封止体
162 封止体
163 発光装置
164 発光装置
102 電極
103 有機EL層
104 電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
400 ガラス基板
401 電極
402 補助配線
403 有機EL層
404 電極
408 不活性ガス
412 パッド
420 ICチップ
501 電極
502 電極
511 発光ユニット
512 発光ユニット
513 電荷発生層
601 ガラス基板
602 絶縁層
603 電極
604 隔壁
605 開口部
606 隔壁
607 有機EL層
608 電極
703 走査線
705 領域
706 隔壁
708 データ線
709 接続配線
710 入力端子
711a FPC
711b FPC
712 入力端子
801 ガラス基板
802 画素部
803 駆動回路部
804 駆動回路部
806 ガラス基板
807 配線
808 FPC
809 nチャネル型TFT
810 pチャネル型TFT
811 TFT
812 TFT
813 陽極
814 絶縁物
815 有機EL層
816 陰極
817 発光素子
818 封止体
1001 照明装置
1002 照明装置
1003 照明装置
5000 表示装置
5001 表示装置
5002 表示装置
5003 表示装置
5004 表示装置
5005 表示装置
9100 テレビジョン装置
9101 筐体
9103 表示部
9105 スタンド
9107 表示部
9109 操作キー
9110 リモコン操作機
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9301 筐体
9302 筐体
9303 連結部
9304 表示部
9305 表示部
9306 スピーカ部
9307 記録媒体挿入部
9308 LEDランプ
9309 操作キー
9310 接続端子
9311 センサ
9312 マイクロフォン
9401 照明部
9402 傘
9403 可変アーム
9404 支柱
9405 台
9406 電源スイッチ
9500 携帯電話機
9501 筐体
9502 表示部
9503 操作ボタン
9504 外部接続ポート
9505 スピーカ
9506 マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と第2の基板を用いる封止体の作製方法であって、
レーザ光を透過する前記第2の基板の一方の面に前記レーザ光を透過する緩衝層を形成する第1の工程と、
前記緩衝層の設けられた前記第2の基板の面に、前記緩衝層と重なるようにフリットガラス層を形成する第2の工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に前記フリットガラス層を挟んだ状態で、前記第2の基板の他方の面から、前記フリットガラス層に前記レーザ光を照射して前記フリットガラス層を溶融させ、前記フリットガラス層と前記第1の基板と前記第2の基板とで閉空間を形成する第3の工程と、
をこの順で行う封止体の作製方法。
【請求項2】
第1の基板と第2の基板を用いる封止体の作製方法であって、
レーザ光を透過する前記第2の基板の一方の面に前記レーザ光を吸収する緩衝層を形成する第1の工程と、
前記緩衝層の設けられた前記第2の基板の面に、前記緩衝層と重なるようにフリットガラス層を形成する第2の工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に前記フリットガラス層を挟んだ状態で、前記第2の基板の他方の面から、前記緩衝層に前記レーザ光を照射して前記フリットガラス層を溶融させ、前記フリットガラス層と前記第1の基板と前記第2の基板とで閉空間を形成する第3の工程と、
をこの順で行う封止体の作製方法。
【請求項3】
前記フリットガラス層より融点が高い金属層を用いて前記緩衝層を形成する請求項2記載の封止体の作製方法。
【請求項4】
前記第2の工程で前記フリットガラス層を閉曲線に形成する請求項1または請求項2記載の封止体の作製方法。
【請求項5】
第1の基板の一方の面に発光素子を形成する第1の工程と、
レーザ光を透過する第2の基板の一方の面に、前記発光素子を囲む大きさで前記レーザ光を透過する緩衝層を形成する第2の工程と、
前記第2の基板の一方の面の側に、前記緩衝層に重なるようにフリットガラス層を形成する第3の工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に前記フリットガラス層を挟持させた状態で、前記第1の基板と前記第2の基板をシール材で封止する第4の工程と、
前記第2の基板の他方の面から、前記フリットガラス層に前記レーザ光を照射して前記フリットガラス層を溶融させ、前記フリットガラス層と前記第1の基板と前記第2の基板とで閉空間を形成する第5の工程と、
をこの順で行う発光装置の作製方法。
【請求項6】
第1の基板の一方の面に発光素子を形成する第1の工程と、
レーザ光を透過する第2の基板の一方の面に、前記発光素子を囲む大きさで前記レーザ光を吸収する緩衝層を形成する第2の工程と、
前記第2の基板の一方の面の側に、前記緩衝層に重なるようにフリットガラス層を形成する第3の工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に前記フリットガラス層を挟持させた状態で、前記第1の基板と前記第2の基板をシール材で封止する第4の工程と、
前記第2の基板の他方の面から、前記緩衝層に前記レーザ光を照射して前記フリットガラス層を溶融させ、前記フリットガラス層と前記第1の基板と前記第2の基板とで閉空間を形成する第5の工程と、
をこの順で行う発光装置の作製方法。
【請求項7】
前記フリットガラス層より融点が高い金属層を用いて前記緩衝層を形成する請求項6記載の発光装置の作製方法。
【請求項8】
前記第3の工程で前記フリットガラス層を閉曲線に形成する請求項5または請求項6記載の発光装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−20963(P2013−20963A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134016(P2012−134016)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】