説明

封止用機能性傾斜材料、封止用機能性傾斜材料製造方法および管球

【課題】
少ない層数でもクラックの発生を抑え、製造が容易な封止用機能性傾斜材料を得る。
【解決手段】
封止用機能性傾斜材料FGMは、封着機能を有する絶縁層1と、導通可能な導電層3とを少なくとも含む複層構造を構成しているとともに、隣接する一対の層間において両層を構成する絶縁性物質を溶融させ、両層を繋いでいることによって両層が接合して一体化している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用機能性傾斜材料、この封止用機能性傾斜材料の製造方法および封止用機能性傾斜材料を用いて封止した管球に関する。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン電球や高圧放電ランプなどの石英ガラスからなる気密容器を備えた管球類には、一般にモリブデン箔を封着金属箔として用いて気密容器を封止する箔封止構造が従来から用いられている。しかしながら、封着金属箔における許容電流値の限界などの理由から、封着金属箔に代えて機能性傾斜材料を用いようとする試みがなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−260395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1は、クラックを発生させないために緩衝層の層数を多くする必要があることから、機能性傾斜材料の層数が多くなり、製造が面倒であるばかりか焼結時の良品率が悪いために、高コストで、実用性に乏しいものであった。
【0004】
本発明は、少ない層数でクラックが発生しにくくて、製造が容易な封止用機能性傾斜材料、この封止用機能性傾斜材料を製造する方法およびこの封止用機能性傾斜材料を用いて封止した管球を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために本発明の封止用機能性傾斜材料では、絶縁性の物質で封着機能を有する第1の層と、絶縁性の物質および導電性の物質を有する第2の層とを具備し、前記第1および第2の層内の絶縁物質を溶融させ、前記第1および第2の層を繋いでなる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、層数を少なくしてもクラックが発生しにくく、製造が容易な封止用機能性傾斜材料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0008】
図1は、本発明の封止用機能性傾斜材料を実施するための第1の形態を示す概念的断面図である。本形態において、封止用機能性傾斜材料FGMは、第1の層(以下、絶縁層と記す。)1、中間層(以下、緩衝層と記す。)2および第2の層(以下、導電層と記す。)3を具備した3層構成の焼結部材であり、放電プラズマ焼結法(以下、SPS法と記す。)を用いた焼結によって隣接するそれぞれの層が接合して一体化されている。なお、図中、絶縁層1と緩衝層2および導電層3とのそれぞれの境界は溶融によりクロスオーバーとなるが、境界をイメージ的に破線でしている。
【0009】
また、本発明においては、隣接する一対の層間における導電性金属の含有比率差を約20質量%程度ないし30質量%程度またはそれ以上に拡大させることができる。
【0010】
上記絶縁層1は、封着機能を有している。この封着機能は、封止しようとする適宜の部材の被封止部、例えば管球の気密容器の開口部に上記絶縁層1を封着することで当該被封止部を封止する際に寄与する。上記絶縁層1は、絶縁性物質の粉末を圧縮し、焼結することによって気密な溶融体となっている。
【0011】
また、絶縁層1は、被封止部と同質の絶縁性物質、例えば金属酸化物または金属窒化物を主体として構成することができる。そうすれば、被封止部と絶縁層1の熱膨張率が接近するので、封着を確実に行いやすくなる。被封着部が石英ガラス製であれば、シリカ(SiO2)またはシリカを主体とする材料を用いて絶縁層1を形成するのがよい。また、透光性セラミックス、例えば透光性アルミナセラミックス製であれば、当該透光性セラミックスと同一の材料、例えばアルミナ(Al2O3)またはアルミナを主体とする材料を用いて絶縁層1を形成するのがよい。
【0012】
緩衝層2は、絶縁層1と導電層3との間に介在して両層1、3間の熱膨張率の差を吸収するように機能する。すなわち、緩衝層2は、絶縁層1の熱膨張率と導電層3の熱膨張率との中間の熱膨張率に設定されている。なお、熱膨張率を調整するには、導電性物質を適当な含有比率で混合すればよい。また、本発明において、緩衝層2の数は、従来技術に比較して極端に少なくてよく、0〜2層であることを許容する。なお、本形態において、緩衝層2は、図1に示すように1層である。緩衝層2が複数の場合は、熱膨張率が絶縁層1から導電層3に向かって順次大きくなるように変化させればよい。
【0013】
前記導電層3は、封止用機能性傾斜材料FGMが被封止部に封着されて被封止部を気密に封止した状態において、絶縁層1を気密に経由して封止部の内外を導電的に接続するための手段となる。例えば、後述するように絶縁層1を貫通して例えばモリブデンやタングステンなどの耐熱性金属からなる導電性金属部材4を上記導電層3に接続すれば、封止用機能性傾斜材料FGMの絶縁層1と導電層3との間が気密性に保持された状態で封止部の内側と外側を導電的に接続することができる。なお、導電性金属部材4と絶縁層1および緩衝層2との間は、それらの熱膨張率差が相対的に大きいので、焼結の際に融着しないように僅かな隙間を形成するなどの配慮をした方がよい。
【0014】
なお、外部から電流などを導入するために、導電性金属部材5を導電層3に接続することができる。また、導電性金属部材4、5は、本発明において、必須ではなく、所要に応じて同時に焼結することによって接続してもよいし、焼結後に接続してもよい。
【0015】
また、導電層3は、少なくとも導電体として機能できる程度の導電性を有しているものとする。このために、導電性物質と絶縁性物質とを適当な含有比率、一般的には導電性物質が導電層3全体の20質量%以上、好適には30質量%以上の含有比率となるように導電層3を構成するのがよい。導電層3内を流れる電流が比較的小さい場合には、導電性物質粉末が導電層の20質量%以上で含有されていればよい。これに対して、導電層3内を流れる電流が比較的大きい場合には、導電性物質の含有比率を30質量%以上に構成した方がよい。導電性物質の混合比率の上限はなく、要すれば実質的に導電性物質のみによって構成してもよい。しかし、適当な含有比率でバインダーとなる絶縁性物質を添加するのが好ましい。なお、導電性物質としては、焼結可能な耐熱性および比較的良好な導電率を有する金属、好ましくはモリブデン(Mo)やタングステン(W)などの耐熱性金属の粉末を用いるのがよい。これに対して、絶縁性物質としては、絶縁層1の構成物質と同一の物質を用いるのが好ましい。
【0016】
さらに、導電層3は、上述のように絶縁性物質に導電性物質を混合しているので、その熱膨張率が絶縁層1のそれと比較的大きく乖離する。また、導電層3の熱膨張率は、導電性物質の混合比率に応じて変化し、導電率と正の相関がある。すなわち、導電性物質の含有比率が大きければ、導電率は大きくなり、通電時の発熱は低減するが、熱膨張率も相応に大きくなる。反対に、導電性物質の含有比率が小さくなると、導電率および熱膨張率がともに小さくなる。したがって、所望の導電率に応じて緩衝層の数を考慮して設定するのがよい。
【0017】
以下、図2および図3を参照して本発明の封止用機能性傾斜材料を実施するためのその他の形態を説明する。なお、各図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0018】
図2は、本発明の封止用機能性傾斜材料を実施するための第2の形態を示す概念的断面図である。本形態において、封止用機能性傾斜材料FGMは、絶縁層1および導電層3が直接接合した2層構成の焼結部材であり、SPS法を用いた焼結によって形成されている。
【0019】
すなわち、本形態において、導電層3は、絶縁性物質(SiO2)と導電性物質(Mo)が混合しているが、導電性物質を30質量%含有しているので、絶縁性物質(SiO2)100%の絶縁層1との間に導電性金属の含有比率差が30%存在する。しかし、SPS法によって焼結されていることにより、良好な接合が形成される。
【0020】
図3は、本発明の封止用機能性傾斜材料を実施するための第3の形態を示す概念的断面図である。本形態において、封止用機能性傾斜材料FGMは、図2と同様に絶縁層1および導電層3が直接接合した2層構成の焼結部材であり、SPS法を用いた焼結によって形成されているが、棒状の導電性金属部材5に代えて導電層3の外面に巻き付けたリング状の導電性金属部材5´を備えている。
【0021】
図4は、本発明の封止用機能性傾斜材料を実施するための第4の形態を示す概念的断面図である。本形態において、封止用機能性傾斜材料FGMは、図1に示す第1の形態と同様の3層構造であるが、導電性金属部材4、5の導電層3内における先端部に球状の膨出部Aが形成されている。
【0022】
すなわち、本形態においては、導電性金属部材4、5の先端部に球状の膨出部Aが形成されているので、導電性金属部材4、5を封止用機能性傾斜材料FGMと一緒に焼結する際に、導電性金属部材4、5が挿入されているのに伴って導電層3内に発生する歪が集中しにくくなる。そのため、歪の集中によるクラック発生を効果的に抑制することができる。
【0023】
次に、図5および図6を参照して封止用機能性傾斜材料FGMをSPS法により製造する方法について説明する。
【0024】
図5は、本発明の封止用機能性傾斜材料製造方法を実施する第1の形態を示す流れ図である。本形態において、封止用機能性傾斜材料FGMは、第1ないし第3の工程により製造される。
【0025】
第1の工程は、各層の粉体材料を絶縁性物質および導電性物質を所定比率で調合し、所要量を採取する。この際、必要に応じてバインダーを加える。
【0026】
第2の工程は、第1の工程の後に所定比率で調合され、かつ、採取された各層の粉体材料を成形型内に順次積層する。なお、成形型は、後述の第3の工程において成形型を介して焼結材料内に通電するのを容易にするためにグラファイト製にするのがよい。
【0027】
第3の工程は、焼結工程である。この焼結工程においては、加圧、加熱および通電を行いながら焼結を行う。すなわち、加圧は成形型内に積層した焼結材料に例えば40MPa程度の圧力を加えて行う。加熱は、順次昇温して目標温度、例えば1400℃程度になってから所定時間、例えば約10分間程度保持する。そして、その後、自然冷却させる。通電は、加熱が目標温度に到達してから開始され、成形型を介してパルス電流を焼結途上の材料に通流させることにより行う。なお、焼結材料は、加圧・加熱によりほぼ溶融状態となるため導電体となる。
【0028】
以上、第3の工程において、加圧開始と同時に加熱を開始し、順次昇温しだして目標温度に到達してから通電を行う。なお、第3の工程中の雰囲気は、アルゴン(Ar)などの不活性ガスや真空などにするのが好適である。
【0029】
そうして、第3の工程により放電プラズマ焼結が完成する。
【0030】
図6は、本発明の封止用機能性傾斜材料製造方法を実施する第2の形態を示す流れ図である。なお、図において、図5と同一符号については同一符号を付して説明を省略する。本形態は、第1の形態と同様に封止用機能性傾斜材料FGMは、第1ないし第3の工程により製造されるが、第3の工程において、加熱後終了後の冷却を所定に制御する点で異なる。
【0031】
すなわち、加熱後の冷却工程は、50℃/分程度のゆっくりした冷却を行う。
【実施例1】
【0032】
封止用機能性傾斜材料は、直径10mm、厚み30mmの円柱状をなしている(厚みは各層10mm)。なお、以下の%は、いずれも質量%を意味する。
層構成:絶縁層(SiO2100%)+緩衝層(SiO285%、Mo15%)+導電層(SiO270%、Mo30%) の3層構造円柱体
製造法:放電プラズマ焼結法(圧力40MPa、焼成温度1400℃、10分間)による。
[比較例1]
封止用機能性傾斜材料は、直径10mm、厚み45mmの円柱状をなしている(厚みは絶縁層および導電層が層10mm、緩衝層が5mm)。なお、%は、いずれも質量%を意味する。
層構成:絶縁層(SiO2100%)+緩衝層1(SiO295%、Mo5%)+緩衝層2(SiO290%、Mo1 0%)+緩衝層3(SiO285%、Mo15%)+緩衝層4(SiO280%、Mo20%)+緩衝層 5(SiO275%、Mo25%)+導電層(SiO270%、Mo30%)の7層構造円柱体
製造法:常圧焼結法(焼成温度1750℃、10分間)による。
[比較例2]
製造法:HIP焼結法(圧力14MPa、焼成温度1200℃、12時間)による。
その他は、比較例1と同じ。

次に、実施例1、比較例1および比較例2のクラック発生状況を図7に基づいて説明する。すなわち、各例ともサンプルを20個製作してクラックの有無を調査した。その結果、実施例1は、全数良品であったが、比較例1および比較例2はいずれも良品を得ることができなかった。なお、表中、常圧焼成法は比較例1、HIP法は比較例2、SPS法は実施例1を意味している。
【0033】
実施例1では、SPS法を用いて、絶縁層と導電層を繋ぐ緩衝層に含有される絶縁粒子が溶融して一体化することにより、従来の常圧焼成法や熱間等方圧加圧(HIP)法に比較して、大幅に層間の結合力が大きくなり強度の大きい封止用機能性傾斜材料FGMが得られる。また、焼成時、加圧、加熱を行いながら、パルス電圧を印加することで絶縁層、導電層、および緩衝層に含有される絶縁性物質および導電性物質の間にパルス電流が流れることで、粒子間の結合力が強まりクッラクのない、封止用機能性傾斜材料FGMが作成できたものと考えられる。
【0034】
実施例1で作成した封止用機能性傾斜材料FGMの導電層の1000倍の電子顕微鏡写真を図8に示す。図8(a)は従来の常圧焼成法により作成し、図8(b)は本発明のSPS法により作成した場合に対応している。また、図8(a)、(b)とも、SiO2とMoの平均粒径は3μmであり、図8(a)の常圧焼成法の焼成温度は1750℃であり、図8(b)のSPS法の焼成温度は1400℃となっている。
【0035】
図8(a)の常圧焼成法で作成したSiO2とMoの導電層サンプルは、SiO2の粒子とMoの粒子が写っているのが観察できる。これは、SiO2が平均粒径レベルの大きさのまま存在しており、粒子の境界(粒界)が確認できることを表わしている。一方、図8(b)のSPS法で作成したサンプルでは、SiO2の粒界は確認できず、SiO2は溶融して一体化しており、その中にMo粒子が存在することが確認できる。このように焼成温度の低いSPS法で作成しても常圧焼成法に比較して非常に高密度になっていることが特徴的である。
【0036】
上記のようにSPS法では、SiO2同士の結合が強く、SiO2が一体化、高密度化している。これは焼成時の通電による効果と考えられる。また、この結果からSPS法では、絶縁性物質の結合だけでなく、導電性物質間、および絶縁性物質と導電性物質の間の結合も強くなっていることが推測できる。本発明においては、封止用機能性傾斜材料FGMでは、上記のように絶縁性物質間の溶融、一体化により、隣接する両層間の接合強度が極めて強くなる。なお、その様子は電子顕微鏡で確認できる程度である。
【0037】
したがって、隣接する一対の層間において、各層中の導電性金属の含有比率差が20質量%程度ないし30質量%またはそれ以上存在したとしても、接合が強固になり、クラックの発生なしに接合させることができる。このため、本発明の封止用機能性傾斜材料は、その層数を低減することができる。例えば、絶縁層と導電層の間に1層または2層の緩衝層が介在するだけでもクラックが発生しない封止用機能性傾斜材料を得ることができる。もちろん、緩衝層の数が3層以上であっても接合に問題がないことは以上の説明から理解できるであろう。また、所望により、緩衝層を省略して絶縁層と導電層とを直接接合させた基本的に2層構造の封止用機能性傾斜材料を得ることもできる。
【0038】
また、封着機能を有する絶縁層と、導通可能な導電層とを少なくとも含む複層構造を構成している封止用機能性傾斜材料をSPS法により焼結して形成すると、良好な接合が得られ、クラック発生が抑制されることが分かった。
【実施例2】
【0039】
封止用機能性傾斜材料は、直径10mm、厚み20mmの円柱状をなしている(厚みは各層10mm)。なお、以下の%は、いずれも質量%を意味する。
層構成:絶縁層(SiO2100%)+導電層(SiO270%、Mo30%)の2層構造円柱体
製造法:放電プラズマ焼結法(圧力40MPa、焼成温度1400℃、10分間、冷却制御50℃/分)による。
【0040】
実施例2の封止用機能性傾斜材料を用いて直管状の気密容器を封止して管形ハロゲン電球を試作して1500時間点灯結果、クラックの発生発生はなかった。

上記実施例2によれば、封止用機能性傾斜材料が2層構造体であるにもかかわらず十分に実用に供し得る性能を有していることが理解できる。
【0041】
図9は、本発明の管球を実施するための一形態である管形ハロゲン電球の断面図である。図において、管球BP(管形ハロゲン電球)は、気密容器11、管球作動部材12(フィラメント)および封止用機能性傾斜材料FGMを具備している。
【0042】
管球BPは、気密容器11の内部に管球作動部材12が封装されている電気作動手段であり、本発明によれば各種用途に適応する管球を得ることができる。例えば照明用管球としては、ハロゲン電球、高圧放電ランプなどである。また、非照明用管球としては、例えば各種電子管などである。
【0043】
気密容器11は、金属酸化物または金属窒化物を主体として構成されている。金属酸化物としては、例えばシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、イットリウム酸化物(YOX) およびイットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)などを用いることができる。金属窒化物としては、アルミニウム窒化物(AlN)などを用いることができる。以上の各物質は、いずれも透光性および耐熱性を備えた材料であり、多結晶体すなわちセラミックスまたは単結晶として得ることができる。なお、管球の用途に応じて、気密容器11は透光性であってもよいし、非透光性でもよい。
【0044】
また、気密容器11は、封止されるべき開口11aを備えている。そして、開口11aは、封止用機能性傾斜材料FGMにより封止される。本形態の気密容器11は、照明用管球の場合であるから、透光性で、かつ、耐火性の物質、例えば石英ガラスや透光性アルミナセラミックスなどからなるが、石英ガラス製で真っ直ぐな円筒状をなしていて、その両端が一対の開口部11aとなっている。
【0045】
管球作動部材12は、気密容器11の内部に気密に収納されていて、管球BPとして所要の作動を行うもので、多様な構成であることが許容される。すなわち、管球BPが外部から給電され、気密容器1内で所望の電気的動作を行う部材であり、一例を示せば次のとおりである。すなわち、ハロゲン電球の場合は、白熱フィラメントおよび付随的部材である。また、高圧放電ランプの場合は、放電電極および付随的部材である。
【0046】
また、図示の管球作動部材12は、白熱フィラメントを主体として、その両端からフィラメントレグ部12aが延在し、フィラメントレグ部12aが気密容器11の両端に配置される一対の第2の導電性金属部材4、4に溶接などによって接続されることにより、気密容器11の内部に張架されている。なお、フィラメントは、2重コイルフィラメントからなり、点灯中の下垂を防止するために複数のリングアンカー12bが付設されている。なお、図9において、管球作動部材12は、その輪郭を示している。
【0047】
封止用機能性傾斜材料FGMは、既述の各形態における構成のものを採用することができるが、図示の形態においては、封止用機能性傾斜材料FGMとして図1に示す第1の形態の構成を採用している。
【0048】
なお、図9に示す管球BPは、ハロゲン電球であるので、気密容器11の内部に適量のハロゲンとして、例えばヨウ素または/および臭素などの有機ハロゲン化物とアルゴン(Ar)が適当な圧力で封入されている。また、気密容器11の外面には所望により赤外光反射・可視光透過形のダイクロイック反射膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の封止用機能性傾斜材料を実施するための第1の形態を示す概念的断面図
【図2】本発明の封止用機能性傾斜材料を実施するための第2の形態を示す概念的断面図
【図3】本発明の封止用機能性傾斜材料を実施するための第3の形態を示す概念的断面図
【図4】本発明の封止用機能性傾斜材料を実施するための第4の形態を示す概念的断面図
【図5】本発明の封止用機能性傾斜材料製造方法を実施する第1の形態を示す流れ図
【図6】本発明の封止用機能性傾斜材料製造方法を実施する第2の形態を示す流れ図
【図7】実施例1、比較例1および比較例2のクラック発生状況を説明する表
【図8】導電機能性傾斜材料の導電層断面について示す従来と本発明の電子顕微鏡写真
【図9】本発明の管球を実施するための一形態である管形ハロゲン電球の断面図
【符号の説明】
【0050】
1…絶縁層、2…緩衝層、3…導電層、4、5…導電性金属部材、FGM…機能性傾斜材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の物質で封着機能を有する第1の層と、
絶縁性の物質および導電性の物質を有する第2の層とを具備し、
前記第1および第2の層内の絶縁物質を溶融させ、前記第1および第2の層を繋いでなることを特徴とする封止用機能性傾斜材料。
【請求項2】
絶縁性の物質で封着機能を有する第1の層と、
絶縁性の物質および導電性の物質を有する第2の層と、
前記第1および第2の層の中間に配置し、絶縁性の物質および前記第2の層より導電性物質の混合比率を少なくした中間層とを具備し、
前記第1および第2の層、前記中間層内の前記絶縁性物質をそれぞれ溶融させ、前記中間層を介して前記第1および第2の層を繋いでなることを特徴とする封止用機能性傾斜材料。
【請求項3】
封着機能を有する絶縁層と、導通可能な導電層とを少なくとも含む複層構造がプラズマ焼結法により形成されていることを特徴とする封止用機能性傾斜材料。
【請求項4】
無機質絶縁材料の粉体と導電金属の粉体とを所定割合に調合して、封着機能を有する第1の層と、導通可能な第2の層とを少なくとも含む複層構造を構成するための複数層用の粉体材料を用意する第1の工程と;
第1の工程により用意された複数層用の粉体材料を各層が所定の順に隣接するように成形型内に積層する第2の工程と;
第2の工程により成形型内に積層された各層の粉体材料を所定圧力で加圧し、通電し、かつ、加熱して焼結する第3の工程と;
を具備していることを特徴とする封止用機能性傾斜材料製造方法。
【請求項5】
開口部を備えた気密容器と;
気密容器と同種の材料を主体とする第1の層を備え、当該第1の層の部位で気密容器の開口部を封止している請求項1または2記載の封止用機能性傾斜材料と;
気密容器の内部に封装され、かつ、前記封止用機能性傾斜材料の第2の層を経由して気密容器の外部から給電される管球作動部材と;
を具備していることを特徴とする管球。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−49269(P2006−49269A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3320(P2005−3320)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】