説明

封筒用紙

【課題】封筒Mの郵送中に、封筒Mを構成する封筒用紙P1の接合部が剥離したり、開封用ミシン目67が破れたりすることを防止する。
【解決手段】第3構成紙59の用紙短辺方向SDの両縁部の先端にストッパ用ミシン目69がそれぞれ形成され、各ストッパ用ミシン目69が圧着糊63の塗布部及び開封用ミシン目67よりも用紙短辺方向SD内側に位置し、封筒用紙P1Aは、重ね合わせた状態の第1構成紙73等の用紙短辺方向SDの両縁部が挟持されると、一対のストッパ用ミシン目69を切り離しながら、一対のストッパ片71が形成されるよう構成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を封入した封筒を作製するために用いられる封筒用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダイレクトメール等の封筒の利用拡大に伴い、封筒自動作製システムによって封筒を作製するために用いられる封筒用紙についても種々の開発がなされている(特許文献1参照)。そして、先行技術に係る封筒用紙の構成について説明すると、次のようになる。
【0003】
先行技術に係る封筒用紙は、封筒の表紙又は裏紙になる矩形の第1構成紙を備えており、この第1構成紙には、封筒の裏紙又は表紙なる矩形の第2構成紙が第1折り部を介して連設されている。また、第2構成紙には、封筒の中折り紙になる矩形の第3構成紙が第2折り部を介して連設されており、この第3構成紙には、封筒の中折り紙(別の中折り紙)になる矩形の第4構成紙が第3折り部を介して連設されている。
【0004】
第1構成紙、第2構成紙、第3構成紙、及び第4構成紙の用紙短辺方向の両縁部は、予め塗布した圧着糊の接着力によってそれぞれ接合可能である。また、封筒用紙の用紙短辺方向の両縁部には、開封用ミシン目が第1構成紙から第4構成紙にかけて用紙長辺方向に平行に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−105883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、昨今、封筒自動作製システムによって内容物を封入した封筒を作製する試みがなされている。一方、封入対象である内容物の枚数、折り数等の増加によって内容物の重量、厚み等が増大すると、封筒の郵送中に、封筒に対する内容物の位置ずれによって封筒の内部を押し広げる力が働くことになる。そのため、封筒を構成する封筒用紙の接合部が剥離したり、又は開封用ミシン目が破れたりして、内容物が封筒から飛び出すおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、内容物を封入した封筒を作製する場合に、内容重量、厚み等が増大しても、封筒の郵送状態を安定させることができる、新規な構成の封筒用紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴(請求項1に記載の発明)は、内容物を封入した封筒を作製するために用いられる封筒用紙において、n個(nは3以上の整数)の矩形の構成紙が(n−1)個の折り部を介して連設され、1番目の前記構成紙が前記封筒の表紙又は裏紙に、2番目の前記構成紙が前記封筒の裏紙又は表紙に、3番目以降の前記構成紙が前記封筒の中折り紙にそれぞれなるものであって、n個の前記構成紙のいずれか1つの用紙短辺方向の両縁部がそれぞれ接合可能になっており、n番目の前記構成紙の用紙短辺方向のいずれかの縁部の先端にストッパ用ミシン目が形成され、前記ストッパ用ミシン目が前記接着部よりも用紙短辺方向内側に位置し、重ね合わせた状態(折り合わせた状態)のn個の前記構成紙の用紙短辺方向の両縁部が挟持(押圧)されると、前記ストッパ用ミシン目を切り離しながら、前記封筒に対する前記内容物の位置ずれを規制するストッパ片が形成されるよう構成したことを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴(請求項2に記載の発明)は、内容物を封入した封筒を作製するために用いられる封筒用紙において、j個(jは4以上の整数)の矩形の構成紙が(j−1)個の折り部を介して連設され、1番目の前記構成紙が前記封筒の表紙又は裏紙に、2番目の前記構成紙が前記封筒の裏紙又は表紙に、3番目以降の前記構成紙が前記封筒の中折り紙にそれぞれなるものであって、j個の前記構成紙のいずれか1つの用紙短辺方向の両縁部がそれぞれ接合可能になっており、用紙短辺方向のいずれかの縁部における(j−1)番目の前記構成紙とj番目の前記構成紙との境界部にストッパ用スリット又はストッパ用ミシン目が形成され、前記ストッパ用スリット又は前記ストッパ用ミシン目が前記圧着糊の塗布部よりも用紙短辺方向内側に位置し、重ね合わせた状態(折り合わせた状態)のj個の前記構成紙を挟持(押圧)されると、前記ストッパ用ミシン目が有る場合には前記ストッパ用ミシン目を切り離しながら、前記封筒に対する前記内容物の位置ずれを規制するストッパ片が形成されるよう構成したことを要旨とする。
【0010】
本発明の第3の特徴(請求項3に記載の発明)は、第2の特徴に加えて、j番目の前記構成紙の用紙短辺方向のいずれかの縁部の先端に別のストッパ用ミシン目が形成され、前記別のストッパ用ミシン目が前記接着部よりも用紙短辺方向内側に位置し、重ね合わせた状態のn個の前記構成紙の用紙短辺方向の両縁部が挟持されると、前記別のストッパ用ミシン目を切り離しながら、前記封筒に対する前記内容物の位置ずれを規制する別のストッパ片が形成されるよう構成したことを要旨とする。
【0011】
本発明の第4の特徴(請求項4に記載の発明)は、第1の特徴から第3の特徴のうちのいずれかの特徴に加えて、用紙短辺方向のいずれかの縁部に開封用ミシン目が用紙長辺方向に平行に形成され、前記ストッパ用ミシン目が前記開封用ミシン目よりも用紙短辺方向内側に位置していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、前記ストッパ用ミシン目が前記接合部よりも用紙短辺方向内側に位置し、前記封筒用紙は、重ね合わせた状態のn個の前記構成紙の用紙短辺方向の両縁部が挟持されると、前述のように前記ストッパ片が形成されるよう構成したために、前記内容物を封入した前記封筒を(n−1)回の折りによって作製する場合に、前記内容物の重量、厚み等が増大しても、前記封筒の郵送中に、前記封筒の内部に押し広げる力が働くことを十分に抑制することができる。よって、前記封筒の郵送中に、前記封筒を構成する前記封筒用紙の前記接合部が剥離することを防止して、前記封筒の郵送状態を安定させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、前記ストッパ用スリット又は前記ストッパ用ミシン目が前記接合部よりも用紙短辺方向内側に位置し、前記封筒用紙は、重ね合わせた状態のj個の前記構成紙の用紙短辺方向の両縁部が挟持されると、前述のように前記ストッパ片が形成されるよう構成したため、前記内容物を封入した前記封筒を(j−1)回の折りによって作製する場合に、前記内容物の重量、厚み等が増大しても、前記封筒の郵送中に、前記封筒の内部に押し広げる力が働くことを十分に抑制することができる。よって、前記封筒の郵送中に、前記封筒を構成する前記封筒用紙の前記接合部が剥離することを防止して、前記封筒の郵送状態を安定させることができる。特に、前記ストッパ用スリット又は前記ストッパ用ミシン目が用紙短辺方向のいずれかの縁部における(j−1)番目の前記構成紙とj番目の前記構成紙との境界部に形成されているため、j番目の前記構成紙の用紙短辺方向のいずれかの縁部の先端に形成された場合に比べて、前記ストッパ片の剛性を高めて、前記封筒の郵送状態をより安定させることができる。
【0014】
請求項3に記載によれば、前記別のストッパ用ミシン目が前記接着部よりも用紙短辺方向内側に位置し、重ね合わせた状態のn個の前記構成紙の用紙短辺方向の両縁部が挟持されると、前述のように前記ストッパ片の他に前記別のストッパ片が形成されるよう構成したため、前記封筒の郵送中に、前記封筒の内部に押し広げる力が働くことをより十分かつ安定的に抑制して、請求項2に記載の効果を一層高めることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記ストッパ用ミシン目が前記開封用ミシン目よりも用紙短辺方向内側に位置しているため、前記封筒の郵送中に、前記開封用ミシン目が破けることを防止して、前記封筒の郵送状態をより安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る封筒用紙の裏側を示す図である。
【図2】図2(a)は、本発明の第1実施形態に係る封筒を示す図、図2(b)は、図2(a)におけるIIB-IIB線に沿った断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係る封筒用紙を封緘する状態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る封筒自動作製システムを示す概念図である。
【図5】図5(a)は、本発明の実施形態に係る封入封緘装置における封緘部を示す模式的な斜視図、図5(b)は、本発明の実施形態に係る封入封緘装置における封緘部を示す模式的な正面図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る封筒用紙の裏側を示す図である。
【図7】図7(a)は、本発明の第2実施形態に係る封筒を示す図、図7(b)は、図7(a)におけるVIIB-VIIB線に沿った断面図である。
【図8】図8は、本発明の第2実施形態に係る封筒用紙を封緘する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1から図8を参照して、本発明の実施形態に係る封筒自動作製システム、本発明の第1実施形態に係る封筒用紙、及び本発明の第2実施形態に係る封筒用紙等について順次説明する。
【0018】
(本発明の実施形態に係る封筒自動作製システム)
本発明の実施形態に係る封筒自動作製システムについて図4及び図5(a)(b)を参照して説明する。なお、説明中において、「下流」とは、封筒用紙P1及び内容物用紙P2等の搬送方向CDからみて下流のことをいい、「上流」とは、封筒用紙P1及び内容物用紙P2等の搬送方向CDから見て上流のことをいう。また、図4中において、「L」は、左方向、「R」は、右方向をそれぞれ指している。
【0019】
図4に示すように、本発明の実施形態に係る封筒自動作製システム1は、封筒用紙P1(又はP1A)及び複数枚の内容物用紙P2に印刷を行い、印刷済みの複数枚の内容物用紙P2から内容物Bを形成して、印刷済みの封筒用紙P1から内容物Bを封入した封筒M(又はMA)を作製するものである。換言すれば、封筒自動作製システム1は、封筒用紙P1及び複数枚の内容物用紙P2に印刷を行う画像形成装置3と、この画像形成装置3に隣接した位置に設けられた封入封緘装置5との組み合わせからなっている。ここで、封入封緘装置5は、印刷済みの複数枚の内容物用紙P2から内容物Bを形成して、内容物Bを封入した状態で折り畳まれた印刷済みの封筒用紙P1を封緘するものである。
【0020】
封筒自動作製システム1における画像形成装置3は、画像形成装置筐体7(以下、適宜に装置筐体7という)を備えており、この装置筐体7内には、印刷データ(封筒印刷データ及び内容物印刷データ)に基づいて封筒用紙P1及び内容物用紙P2に印刷を行うインクジェット方式の印刷部9が設けられている。また、印刷部9は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクを吐出するライン型の複数のインクヘッド(図示省略)を備えている。
【0021】
装置筐体7の側部には、封筒用紙P1を印刷部9側へ給紙する封筒用紙給紙部11が設けられており、装置筐体7内における封筒用紙給紙部11と印刷部9との間には、封筒用紙P1を印刷部9側へ搬送するための封筒用紙給紙搬送路13が設けられている。また、装置筐体7内における印刷部9の下側には、複数枚の内容物用紙P2を印刷部9側へ順次給紙する内容物用紙給紙部15が設けられており、装置筐体7内における内容物用紙給紙部15と印刷部9との間には、内容物用紙P2を印刷部9側へ搬送するための内容物用紙給紙搬送路17が設けられている。そして、装置筐体7内の右部には、印刷部9から送り出された印刷済みの封筒用紙P1及び内容物用紙P2を封入封緘装置5側(右方向)へ搬送するための連絡搬送路19が設けられている。
【0022】
封筒自動作製システム1における封入封緘装置5は、封入封緘装置筐体21(以下、適宜に装置筐体21という)を備えており、この装置筐体21内には、連絡搬送路19(画像形成装置3)から送り出された印刷済みの封筒用紙P1及び内容物用紙P2を導入して搬送するための導入搬送路23が設けられている。また、装置筐体21内には、印刷済みの封筒用紙P1を搬送するための第1封入封緘搬送路25が設けられており、この第1封入封緘搬送路25の上流端部(基端部)は、封入封緘用フラッパ(図示省略)の作動によって導入搬送路23の下流端部(先端部)に接続、遮断可能である。更に、装置筐体21内における第1封入封緘搬送路25の下側には、印刷済みの内容物用紙P2等(内容物Bを含む)を搬送するための第2封入封緘搬送路27が設けられており、この第2封入封緘搬送路27の上流端部(基端部)は、前記封入封緘用フラッパの作動によって導入搬送路23の下流端部に接続、遮断可能である。そして、第1封入封緘搬送路25の下流端側と第2封入封緘搬送路27の下流端側は合流してあり、装置筐体21内における第1封入封緘搬送路25と第2封入封緘搬送路27の合流部の下流側(出口側)には、内容物Bを封入した封筒M等(内容物Bを封入するように折り畳まれた封筒用紙P1を含む)を搬送するための第3封入封緘搬送路29が設けられている。
【0023】
装置筐体21内における第2封入封緘搬送路27の途中には、複数枚の内容物用紙P2を集積して整合する整合部31が設けられており、この整合部31は、複数枚の内容物用紙P2を集積する整合トレイ(図示省略)を備えている。また、装置筐体21内における第2封入封緘搬送路27の途中であって整合部31の下流側(出口側)には、内容物形成部33が設けられており、この内容物形成部33は、整合部31から送り出された整合済みの内容物用紙P2を折り畳んで内容物Bを形成するものであって、複数の内容物形成用折りローラ(図示省略)を備えている。
【0024】
装置筐体21内における第1封入封緘搬送路25と第2封入封緘搬送路27との合流部には、封入部35が設けられており、この封入部35は、印刷済みの封筒用紙P1を折り畳みつつ、内容物形成部33から送り出された内容物Bを封筒用紙P1内に封入するものである。また、封入部35は、複数の封入用折りローラ(図示省略)と、給水可能な給水器(図示省略)と、を備えている。
【0025】
装置筐体21内における第3封入封緘搬送路29の途中には、封緘部37が設けられており、この封緘部37は、封入部35から送り出されかつ折り畳まれた状態の封筒用紙P1の用紙短辺方向SDの両縁部を挟持して、封筒用紙P1を封緘するものである。
【0026】
具体的には、図5(a)(b)に示すように、装置筐体21内には、下ローラ支持部材39がその揺動軸心39s周りに揺動可能に設けられている。また、下ローラ支持部材39の先端部には、折り畳まれた状態の封筒用紙P1の用紙短辺方向SD(図1参照)の両縁部を下方向から支持する一対の封緘下ローラ(圧着下ローラ)41が回転可能に設けられており、一対の封緘下ローラ41は、第3封入封緘搬送路29の搬送幅方向WDに離隔してある。同様に、装置筐体21内には、上ローラ支持部材43がその揺動軸心43s周りに揺動可能に設けられている。また、上ローラ支持部材43の先端部には、折り畳まれた状態の封筒用紙P1の用紙短辺方向SDの両縁部を一対の封緘下ローラ41と協働して挟持(押圧)する一対の封緘上ローラ(圧着上ローラ)45が回転可能に設けられており、一対の封緘上ローラ45は、第3封入封緘搬送路29の搬送幅方向WDに離隔してある。なお、一対の封緘下ローラ41及び一対の封緘上ローラ45は、適宜の封緘モータ(図示省略)の駆動により回転可能であって、適宜のスプリング47,49の付勢力によって挟持する方向(押圧する方向)に付勢されている。
【0027】
図4に示すように、装置筐体21の側部には、封筒受取部51が設けられており、この封筒受取部51は、封緘部37から送り出された封筒M(又はMA)を受け取るものである。また、封筒受取部51は、封筒Mを収容する受取トレイ(図示省略)又は受取ボックス(図示省略)を備えている。
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る封筒用紙について図1から図3を参照して説明する。
【0029】
図1及び図2(a)(b)に示すように、本発明の第1実施形態に係る封筒用紙P1は、前述の封筒自動作製システム1によって内容物Bを封入した封筒Mを作製するために用いられるものであって、封筒Mの裏紙Maなる矩形の第1構成紙(1番目の構成紙)53を備えている。また、第1構成紙53には、封筒Mの表紙Mbなる矩形の第2構成紙(2番目の構成紙)55が第1折り部57を介して連設されている。更に、第2構成紙55には、封筒Mの中折り紙Mcになる矩形の第3構成紙(3番目の構成紙)59が第2折り部61を介して連設されており、第3構成紙59は、第2構成紙55と協働して内容物Bを挟むように保持可能である。なお、第1構成紙53が封筒Mの裏紙Maになりかつ第2構成紙55が封筒Mの表紙Mbになる代わりに、第1構成紙53が封筒Mの表紙Mbになりかつ第2構成紙55が封筒Mの裏紙Maになるようにしても構わない。
【0030】
第1構成紙53、第2構成紙55、及び第3構成紙59の各面は、インクジェット方式の印刷部9によって文書、図形等が印刷されるようになっている。また、第1折り部57及び第2折り部61が封入部35における複数の封入用折りローラによって折られることによって、封筒用紙P1が折り畳まれるようになっており、換言すれば、第1構成紙53、第2構成紙55、及び第3構成紙59が重ね合わされる(折り合わされる)ようになっている。
【0031】
第1構成紙53、第2構成紙55、及び第3構成紙59の用紙短辺方向SDの両縁部は、予め塗布した圧着糊(感圧接着剤)63の接着力によってそれぞれ接合可能である。また、第3構成紙59の表面における折り部61の近傍には、水糊65が塗布されており、水糊65は、封入部35による封筒用紙P1の折り畳み中に、封入部35における給水器によって給水されることにより接着力を発揮するようになっている。
【0032】
封筒用紙P1の用紙短辺方向SDの両縁部には、開封用ミシン目67が第1構成紙53から第3構成紙59にかけて用紙長辺方向TDに平行にそれぞれ形成されており、各開封用ミシン目67は、圧着糊63の塗布部よりも用紙短辺方向SD内側に位置している。なお、封筒用紙P1の用紙短辺方向SDの両縁部に開封用ミシン目67がそれぞれ形成される代わりに、封筒用紙P1の紙短辺方向の一方の縁部のみに開封用ミシン目67が形成されるようにしても構わない。
【0033】
第3構成紙59の用紙短辺方向SDの両縁部の先端には、ストッパ用ミシン目69が用紙長辺方向TDに対して平行にそれぞれ形成されており、各ストッパ用ミシン目69は、封筒用紙P1の接合部である圧着糊63の塗布部、及び開封用ミシン目67よりも用紙短辺方向SD内側に位置している。なお、第3構成紙59の用紙短辺方向SDの両縁部の先端にストッパ用ミシン目69がそれぞれ形成される代わりに、第3構成紙59の用紙短辺方向SDの一方の縁部の先端にストッパ用ミシン目69が形成されるようにしても構わない。
【0034】
そして、図3に示すように、封筒用紙P1は、重ね合わせた状態(折り合わせた状態)の第1構成紙53、第2構成紙55、及び第3構成紙59の用紙短辺方向SDの両縁部を封緘部37における一対の封緘下ローラ41及び一対の封緘上ローラ45の協働によって挟持(押圧)されると、一対のストッパ用ミシン目69を切り離しながら一対のストッパ用ミシン目69の用紙短辺方向SD外側がそれぞれ折り曲げられて、それに伴い、一対のストッパ片71(図2(a)(b)参照)が形成されるよう構成してある。ここで、一対のストッパ片71は、封筒Mに対する内容物Bの封筒長手方向LDの位置ずれを規制するものである。
【0035】
各ストッパ用ミシン目69の長さは、5mm以上に設定されている。この理由は、5mm未満に設定されていると、ストッパ片71によって封筒Mに対する内容物Bの封筒長手方向LDの位置ずれを十分に規制することが困難になるからである。
【0036】
続いて、本発明の第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0037】
各ストッパ用ミシン目69が圧着糊63の塗布部及び開封用ミシン目67よりも用紙短辺方向SD内側に位置し、封筒用紙P1は、重ね合わせた状態の第1構成紙73等の用紙短辺方向SDの両縁部が挟持されると、前述のように一対のストッパ片71が形成されるよう構成したために、内容物Bの重量、厚み等が増大しても、封筒Mの郵送中に、封筒Mの内部に押し広げる力が働くことを十分に抑制することができる。
【0038】
また、ストッパ用スリットでなく、ストッパ用ミシン目69が第3構成紙59の用紙短辺方向SDの両縁部の先端にそれぞれ形成されているため、画像形成装置3によって封筒用紙P1に印刷を行う際に、印刷部9におけるインクヘッドに対する封筒用紙P1の接触、紙折れジャムを回避することができる。
【0039】
従って、本発明の第1実施形態によれば、内容物Bを封入した封筒Mを三つ折り(2回折り)によって作製する場合に、内容物Bの重量、厚み等が増大しても、封筒Mの郵送中に、封筒Mの内部に押し広げる力が働くことを十分に抑制できるため、封筒Mの郵送中に、封筒Mを構成する封筒用紙P1の接合部(圧着糊63の塗布部)が剥離したり、開封用ミシン目67が破れたりすることを防止して、封筒Mの郵送状態を安定させることができる。
【0040】
特に、ストッパ用ミシン目69の長さが5mm以上に設定されているため、ストッパ片71によって封筒Mに対する内容物Bの位置ずれを十分に規制して、封筒Mの郵送状態をより安定させることができる。
【0041】
また、画像形成装置3によって封筒用紙P1に印刷を行う際に、印刷部9におけるインクヘッドに対する封筒用紙P1の接触、紙折れジャムを回避できるため、封筒Mの作製の中断を極力なくして、封筒Mの作製性(生産性)の向上を図ることができる。
【0042】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る封筒用紙について図6から図8を参照して説明する。
【0043】
図6及び図7(a)(b)に示すように、本発明の第2実施形態に係る封筒用紙P1Aは、前述の封筒自動作製システム1によって内容物Bを封入した封筒MAを作製するために用いられるものであって、封筒MAの裏紙MAaなる矩形の第1構成紙(1番目の構成紙)73を備えている。また、第1構成紙73には、封筒MAの表紙MAbなる矩形の第2構成紙(2番目の構成紙)75が第1折り部77を介して連設されている。更に、第2構成紙75には、封筒MAの中折り紙MAcになる矩形の第3構成紙(3番目の構成紙)79が第2折り部81を介して連設されており、この第3構成紙79には、封筒MAの別の中折り紙MAdになる矩形の第4構成紙(4番目の構成紙)83が第3折り部85を介して連設されており、この第4構成紙83は、第2構成紙75と協働して内容物Bを挟むように保持可能である。なお、第1構成紙73が封筒MAの裏紙MAaになりかつ第2構成紙75が封筒MAの表紙MAbになる代わりに、第1構成紙73が封筒MAの表紙MAbになりかつ第2構成紙75が封筒MAの裏紙MAaになるようにしても構わない。
【0044】
第1構成紙73、第2構成紙75、第3構成紙79、及び第4構成紙83の各面は、インクジェット方式の印刷部9によって文書、図形等が印刷されるようになっている。また、第1折り部77、第2折り部81、及び第3折り部85が封入部35における複数の封入用折りローラによって折られることによって、封筒用紙P1が折り畳まれるようになっており、換言すれば、第1構成紙73、第2構成紙75、第3構成紙79、及び第4構成紙83が重ね合わされる(折り合わされる)ようになっている。
【0045】
第1構成紙73、第2構成紙75、第3構成紙79、及び第4構成紙83の用紙短辺方向SDの両縁部は、予め塗布した圧着糊(感圧接着剤)87の接着力によってそれぞれ接合可能である。また、第3構成紙79の表面における折り部81の近傍には、水糊89が塗布されており、水糊89は、封入部35による封筒用紙P1Aの折り畳み中に、封入部35における給水器によって給水されることにより接着力を発揮するようになっている。
【0046】
封筒用紙P1Aの用紙短辺方向SDの両縁部には、開封用ミシン目91が第1構成紙73から第4構成紙83にかけて用紙長辺方向TDに平行にそれぞれ形成されており、各開封用ミシン目91は、圧着糊87の塗布部よりも用紙短辺方向SD内側に位置している。なお、封筒用紙P1Aの用紙短辺方向SDの両縁部に開封用ミシン目91がそれぞれ形成される代わりに、封筒用紙P1Aの紙短辺方向の一縁部にのみ開封用ミシン目91が形成されるようにしても構わない。
【0047】
封筒用紙P1Aの用紙短辺方向SDの両縁部における第3構成紙79と第4構成紙83との境界部(境界付近)には、ストッパ用スリット93が用紙長辺方向TDに平行にそれぞれ形成されており、各ストッパ用スリット93は、圧着糊87の塗布部及び開封用ミシン目91よりも用紙短辺方向SD内側に位置している。なお、封筒用紙P1Aの用紙短辺方向SDの両縁部における第3構成紙79と第4構成紙83との境界部にストッパ用スリット93がそれぞれ形成される代わりに、封筒用紙P1Aの用紙短辺方向SDの一縁部における第3構成紙79と第4構成紙83との境界部のみにストッパ用スリット93が形成されるようにしても構わない。
【0048】
そして、図8に示すように、封筒用紙P1Aは、重ね合わせた状態の第1構成紙73、第2構成紙75、第3構成紙79、及び第4構成紙83の用紙短辺方向SDの両縁部を封緘部37における一対の封緘下ローラ41及び一対の封緘上ローラ45の協働によって挟持されると、一対のストッパ用スリット93の用紙短辺方向SD外側が折り曲げられ、それに伴い、一対のストッパ片95(図7(a)(b)参照)が形成されるよう構成してある。ここで、一対のストッパ片95は、封筒MAに対する内容物Bの封筒長手方向LDの位置ずれを規制するものである。
【0049】
なお、封筒用紙P1Aの用紙短辺方向SDの縁部における第3構成紙79と第4構成紙83との境界部にストッパ用スリット93が形成される代わりに、封筒用紙P1Aの用紙短辺方向SDの縁部における第3構成紙79と第4構成紙83との境界部にストッパ用ミシン目が形成されるようにしても構わない。
【0050】
第4構成紙83の用紙短辺方向SDの両縁部の先端には、ストッパ用ミシン目93が用紙長辺方向TDに対して平行にそれぞれ形成されており、各ストッパ用ミシン目97は、封筒用紙P1Aの接合部である圧着糊87の塗布部、及び開封用ミシン目91よりも用紙短辺方向SD内側に位置している。なお、第4構成紙83の用紙短辺方向SDの両縁部の先端にストッパ用ミシン目97がそれぞれ形成される代わりに、第4構成紙83の用紙短辺方向SDの一縁部の先端にのみストッパ用ミシン目97が形成されるようにしても構わない。
【0051】
そして、図8に示すように、封筒用紙P1Aは、重ね合わせた状態(折り合わせた状態)の第1構成紙73、第2構成紙75、第3構成紙79、及び第4構成紙83の用紙短辺方向SDの両縁部を封緘部37における一対の封緘下ローラ41及び一対の封緘上ローラ45の協働によって挟持(押圧)されると、一対のストッパ片95が形成される他に、一対のストッパ用ミシン目97を切り離しながら一対のストッパ用ミシン目93の用紙幅方向SD外側がそれぞれ折り曲げられて、それに伴い、一対の短冊状のストッパ片(別のストッパ片)99(図7(b)参照)が形成されるように構成してある。ここで、一対のストッパ片99は、一対の短冊状のストッパ片95と同様に、封筒MAに対する内容物Bの封筒長手方向LDの位置ずれを規制するものである。
【0052】
各ストッパ用ミシン目97の長さは、各ストッパ用ミシン目69の長さを設定した理由と同様の理由により、5mm以上に設定されている。
【0053】
続いて、本発明の第2実施形態の作用及び効果について説明する。
【0054】
各ストッパ用スリット93及び各ストッパ用ミシン目97が圧着糊87の塗布部及び開封用ミシン目91よりも用紙短辺方向SD内側に位置し、封筒用紙P1Aは、重ね合わせた状態の第1構成紙73等の用紙短辺方向SDの両縁部が挟持されると、前述のように一対のストッパ片95及び一対のストッパ片99が形成されるよう構成したために、内容物Bの重量、厚み等が増大しても、封筒MAの郵送中に、封筒MAの内部に押し広げる力が働くことをより十分に抑制することができる。
【0055】
また、ストッパ用スリットでなく、ストッパ用ミシン目97が第4構成紙83の用紙短辺方向SDの両縁部の先端にそれぞれ形成されているため、封筒自動作製システム1における画像形成装置3によって封筒用紙P1Aに印刷を行う際に、印刷部9におけるインクヘッドに対する封筒用紙P1Aの接触、紙折れジャムを回避することができる。
【0056】
従って、本発明の第2実施形態によれば、内容物Bを封入した封筒MAを四つ折り(3回折り)によって作製する場合に、内容物Bの重量、厚み等が増大しても、封筒MAの郵送中に、封筒MAの内部に押し広げる力が働くことをより十分に抑制できるため、封筒MAの郵送中に、封筒MAを構成する封筒用紙P1Aの接合部(圧着糊87の塗布部)が剥離したり、開封用ミシン目91が破れたりすることを防止して、封筒MAの郵送状態を安定させることができる。
【0057】
特に、ストッパ用ミシン目97の長さが5mm以上に設定されているため、ストッパ片99によって封筒MAに対する内容物Bの位置ずれを十分に規制して、封筒MAの郵送状態をより安定させることができる。更に、各ストッパ用スリット93が封筒用紙P1Aの用紙短辺方向SDの縁部における第3構成紙79と第4構成紙83との境界部に形成されているため、第4構成紙83の用紙短辺方向SDの縁部の先端に形成された場合に比べて、一対のストッパ片95の剛性を高めて、封筒MAの郵送状態をより一層安定させることができる。
【0058】
また、画像形成装置3によって封筒用紙P1Aに印刷を行う際に、印刷部9におけるインクヘッドに対する封筒用紙P1Aの接触、紙折れジャムを回避できるため、封筒MAの作製の中断を極力なくして、封筒MAの作製性(生産性)の向上を図ることができる。
【0059】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば、用紙短辺方向SDの縁部における第3構成紙79と第4構成紙83との境界部に形成されたストッパ用スリット93、第4構成紙83の用紙短辺方向SDの縁部の先端に形成されたストッパ用ミシン目97のうちのいずれかを省略する等、適宜の変更を行うことにより、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0060】
P1 封筒用紙
53 第1構成紙
55 第2構成紙
57 折り部
59 第3構成紙
61 折り部
63 圧着糊
65 水糊
67 開封用ミシン目
69 ストッパ用ミシン目
71 ストッパ片
P1A 封筒用紙
73 第1構成紙
75 第2構成紙
77 折り部
79 第3構成紙
81 折り部
83 第4構成紙
85 折り部
87 圧着糊
89 水糊
91 開封用ミシン目
93 ストッパ用スリット
95 ストッパ片
97 ストッパ用ミシン目
99 ストッパ片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を封入した封筒を作製するために用いられる封筒用紙において、
n個(nは3以上の整数)の矩形の構成紙が(n−1)個の折り部を介して連設され、1番目の前記構成紙が前記封筒の表紙又は裏紙に、2番目の前記構成紙が前記封筒の裏紙又は表紙に、3番目以降の前記構成紙が前記封筒の中折り紙にそれぞれなるものであって、n個の前記構成紙のいずれか1つの用紙短辺方向の両縁部がそれぞれ接合可能になっており、
n番目の前記構成紙の用紙短辺方向のいずれかの縁部の先端にストッパ用ミシン目が形成され、前記ストッパ用ミシン目が前記接着部よりも用紙短辺方向内側に位置し、
重ね合わせた状態のn個の前記構成紙の用紙短辺方向の両縁部が挟持されると、前記ストッパ用ミシン目を切り離しながら、前記封筒に対する前記内容物の位置ずれを規制するストッパ片が形成されるよう構成したことを特徴とする封筒用紙。
【請求項2】
内容物を封入した封筒を作製するために用いられる封筒用紙において、
j個(jは4以上の整数)の矩形の構成紙が(j−1)個の折り部を介して連設され、1番目の前記構成紙が前記封筒の表紙又は裏紙に、2番目の前記構成紙が前記封筒の裏紙又は表紙に、3番目以降の前記構成紙が前記封筒の中折り紙にそれぞれなるものであって、j個の前記構成紙のいずれか1つの用紙短辺方向の両縁部がそれぞれ接合可能になっており、
用紙短辺方向のいずれかの縁部における(j−1)番目の前記構成紙とj番目の前記構成紙との境界部にストッパ用スリット又はストッパ用ミシン目が形成され、前記ストッパ用スリット又は前記ストッパ用ミシン目が前記圧着糊の塗布部よりも用紙短辺方向内側に位置し、
重ね合わせた状態のj個の前記構成紙を挟持されると、前記ストッパ用ミシン目が有る場合には前記ストッパ用ミシン目を切り離しながら、前記封筒に対する前記内容物の位置ずれを規制するストッパ片が形成されるよう構成したことを特徴とする封筒用紙。
【請求項3】
j番目の前記構成紙の用紙短辺方向のいずれかの縁部の先端に別のストッパ用ミシン目が形成され、前記別のストッパ用ミシン目が前記接着部よりも用紙短辺方向内側に位置し、
重ね合わせた状態のn個の前記構成紙の用紙短辺方向の両縁部が挟持されると、前記別のストッパ用ミシン目を切り離しながら、前記封筒に対する前記内容物の位置ずれを規制する別のストッパ片が形成されるよう構成したことを特徴とする請求項2に記載の封筒用紙。
【請求項4】
用紙短辺方向のいずれかの縁部に開封用ミシン目が用紙長辺方向に平行に形成され、前記ストッパ用ミシン目が前記開封用ミシン目よりも用紙短辺方向内側に位置していることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載の封筒用紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−49218(P2013−49218A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189128(P2011−189128)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】