説明

封緘シール

【課題】開封された状態で封緘されたシール部分が真正なものであることが明確に確認できる封緘シールを提供する。
【解決手段】基材と、基材の片面の少なくとも一部に形成された感圧接着剤層と前記感圧接着剤層を保護する剥離シートとからなる封緘シールであって、前記感圧接着剤層の感圧接着剤は応力発光材料を含有し、前記それぞれの接着強度は、剥離シートと感圧接着剤層との接着強度<感圧接着剤層の層間強度<感圧接着剤層と基材との接着強度となるように設定され、前記封緘シールから剥離シートが剥がされ露出した感圧接着剤層が封緘対象物に貼付されたときに、前記感圧接着剤層と前記封緘対象物との接着強度は感圧接着剤層と基材との接着強度以上となるように設定された封緘シールを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封緘シールに関し、詳しくは、封緘された袋や箱が不正な第三者によって開封された場合にその痕跡が残り、正当な開封者によって開封された場合は開封者が最初の開封者であることが明確に認識できる封緘シールに関する。
【背景技術】
【0002】
封緘シールには、封緘対象物に接着させるための感圧接着剤や再湿糊が形成されていて、感圧接着剤が形成されている場合は、感圧接着剤を保護している剥離シートを剥がして使用する。再湿糊が形成されている場合は、水で糊面を再活性させて使用する。
封緘シールの中には、開封された場合の痕跡を残すための特殊な構造が施されているものも使用されている。例えば、基材の片側に剥離層、金属蒸着層、感圧接着剤層を順次形成し、感圧接着剤層を剥離シートで保護し、使用の際は、剥離シートを剥がし、被着体に貼付し、被着体から封緘シールを剥がすと、剥離層と金属蒸着層の境界で剥離する構造になっている。
【0003】
一度剥離層と金属蒸着層の境界で剥離した封緘シールは、再度貼り付けることができないため、開封された場合の痕跡を残す機能を果たしている。
また、易破壊構造を利用した封緘シールがある(例えば、特許文献1参照)。これは、封緘シールの剥離層をパターン状にし、封緘シールの基材を剥がしたときに、被着体に固有の形状の残留物を残すことで不正が行われたことを知らしめている。
このような封緘シールは、食品,化粧品,パーソナルコンピュータ用ソフト,輸出用純正部品などの封緘に使用されている。
封緘シールは、上述のように不正な第三者によって開封された場合にその痕跡が残り、正当な開封者によって開封された場合は開封者が最初の開封者であることが明確に認識できることも重要な要素である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−226783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の封緘シールや特許文献に開示された封緘シールでは、単に封緘対象物に封緘する機能のみで、遊び心が盛り込まれていない上に、表出した残留物から封緘シールが真正なものか否か容易に判定できないという問題もある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、開封された状態で封緘されたシール部分が真正なものであることが明確に確認できる封緘シールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題の目的を達成するために、本発明の封緘シールの第一の態様は、基材と、基材の片面の少なくとも一部に形成された感圧接着剤層と前記感圧接着剤層を保護する剥離シートとからなる封緘シールであって、前記感圧接着剤層の感圧接着剤は応力発光材料を含有し、前記それぞれの接着強度は、剥離シートと感圧接着剤層との接着強度<感圧接着剤層の層間強度<感圧接着剤層と基材との接着強度となるように設定され、前記封緘シールから剥離シートが剥がされ露出した感圧接着剤層が封緘対象物に貼付されたときに、前記感圧接着剤層と前記封緘対象物との接着強度は感圧接着剤層と基材との接着強度以上となるように設定されたことを特徴とするものである。
【0007】
また、第二の態様は、第一の態様において、基材は透明な材質で構成されたことを特徴とするものである。
【0008】
また、第三の態様は、第一又は第二の態様において、基材には文字および/または図柄が印刷されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
第一の態様のように、基材と、基材の片面の少なくとも一部に形成された感圧接着剤層と前記感圧接着剤層を保護する剥離シートとからなる封緘シールであって、前記感圧接着剤層の感圧接着剤は応力発光材料を含有し、前記それぞれの接着強度は、剥離シートと感圧接着剤層との接着強度<感圧接着剤層の層間強度<感圧接着剤層と基材との接着強度となるように設定され、前記封緘シールから剥離シートが剥がされ露出した感圧接着剤層が封緘対象物に貼付されたときに、前記感圧接着剤層と前記封緘対象物との接着強度は感圧接着剤層と基材との接着強度以上となるように設定されたことによって、開封時に封緘シールの基材をつまんで封緘対象物から剥がす際に、感圧接着剤層の層間で破壊し、この破壊応力によって感圧接着剤層の破壊部分で発光させることができる。
その結果、開封された状態で封緘されたシール部分が真正なものであることが明確に確認でき、開封者に対して意外性を与えることができるという効果を発揮する。
【0010】
また、第二の態様のように、第一の態様において、基材は透明な材質で構成されたことによって、封緘対象物から封緘シールの基材を剥がす瞬間から応力発光材料が発光する状態を開封者に視認させることができる。
【0011】
また、第三の態様のように、第一又は第二の態様において、基材には文字および/または図柄が印刷されたことによって、封緘シールの使用方法や、開封時の確認事項などを開封者に告知することができる。
また、警告文を印刷しておくことによって、不正に開封しようとする第三者を牽制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の封緘シールが貼付された封緘対象物の斜視図の一例である。
【図2】本実施形態の封緘シールの断面の一例について説明するための図である。
【図3】本実施形態の封緘シールの使用方法の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の封緘シールが貼付された封緘対象物の斜視図(図1)を参照して、本実施の形態の封緘シールについて説明する。
封緘シール1は、封緘対象物(以下、被着体ともいう)3の包装紙の閉じ部などに貼付されて使用される。
図示しないが、封緘シールの基材と、基材の片面の少なくとも一部には、感圧接着剤層が形成されており、封緘シールが被着体に接着される前は、感圧接着剤層の表面に剥離シートが貼付されている。また、感圧接着剤には応力発光材料が含有されている。
【0014】
基材、感圧接着剤、被着体、それぞれの接着強度は、剥離シートと感圧接着剤層との接着強度<感圧接着剤層の層間強度<感圧接着剤層と基材との接着強度≦感圧接着剤層と被着体との接着強度となるように設定され、開封時には、感圧接着剤層の層間で剥がれるように設定されている。
【0015】
また、封緘シール1の基材には、透明な基材が使用されることもある。透明な基材が使用された場合は、被着体から封緘シールの基材を剥がす瞬間から応力発光材料が発光する状態を開封者に視認させることができる。
【0016】
また、封緘シール1には図柄2が印刷され、文字なども印刷される。そのことによって、封緘シールの使用方法や、開封時の確認事項などを開封者に告知することができる。
また、警告文を印刷しておくことによって、不正に開封しようとする第三者を牽制することもできる。
【0017】
図2を参照して、本実施形態の封緘シールの断面の一例について説明する。
本実施形態の封緘シール1は、被着体に貼付される前は、図に示すように、基材11、感圧接着剤層12、剥離シート13の順に積層されている。図では、基材11の裏側全面に感圧接着剤層12が形成されているが、部分的に形成される場合もある。
【0018】
基材11の表出面には、印刷による図柄2が形成されている。図柄2は、文字などで構成されている場合もある。
また、基材11が透明な場合は、図柄2や文字は基材11の表出面ではなく感圧接着剤層12の側に印刷されていてもよい。
感圧接着剤層12には、応力発光材料(図示せず)が練り込まれており、発光の強さによって練り込み量が調整されている。
また、感圧接着剤層12には、前述のように、剥離シートと感圧接着剤層との接着強度<感圧接着剤層の層間強度<感圧接着剤層と基材との接着強度≦感圧接着剤層と被着体との接着強度、となるように接着力調整剤が練り込まれている。
【0019】
基材11としては紙、合成紙、透明又は不透明フィルムから適宜選択して使用する。
封緘シールは、封緘シール1から剥離シール13が剥がされて、被着体に貼付されて使用されるが、被着体の表面強度を特定することができないために、少なくとも、基材11として紙などを使用する際には、基材11の層間強度を少なくとも感圧接着剤層12の層間強度より大きく(強く)設定する。
また、被着体のシール部と感圧接着剤層の接着力が極端に弱い場合は、本実施形態の封緘シールを使用しない。
【0020】
前述の感圧接着剤に接着力調整剤を練り込む場合は、アクリルを主成分としたUV硬化型の樹脂等を使用することができる。また、必要に応じてシリコーンやワックスなどの離型成分を、前記アクリルを主成分としたUV硬化型の樹脂等に適量添加して接着強度を調整する。
【0021】
応力発光材料としては、例えば、特開2000−63824号公報、特開2000−119647号公報、特開2001−49251号公報、特開2001−64638号公報等に開示されている材料を使用することができる。
【0022】
また、感圧接着剤層12の形成に際しては、コーティング方式、グラビアコーティング方式、スクリーン印刷方式、他、により形成する。
【0023】
また、基材11に図柄2や文字等を印刷する場合は、市販のオフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷用のインキを使用する。
【0024】
感圧接着剤12としては、市販のゴム系、アクリル系の粘着剤から適宜選択し、ロールコート、グラビアコート、スクリーン印刷方式などによって形成する。
また、感圧接着剤12を保護する剥離シート13には、前述の紙又はプラスチックフィルムに剥離処理を施したものを使用する。
【0025】
図3を参照して、本実施形態の封緘シールの使用方法の一例について説明する。
まず、a図に示すように封緘シール1から剥離シート13が剥がされ、b図に示すよう感圧接着剤層12面で被着体3の封緘部に貼付される。
c図に示すように封緘シール1の基材11をつまんで被着体3から剥がすときに、それぞれ設定された接着強度の関連で、感圧接着剤層12の層間で剥がれる。
感圧接着剤層12の層間で剥がれる場合は、感圧接着剤層12の中間ではなく基材11寄りの部分、または、被着体3寄りの部分、または、凸凹状態で剥がれる。
【0026】
開封時、基材11が除去されると、図3のd図の状態になり、感圧接着剤層12に練り込まれた応力発光材料が発光する。
基材11が透明の場合は、c図の状態で、基材11の表面から発光状態を確認することができる。
【0027】
前述の説明では、言及していないが、被着体の層間強度は感圧接着剤の層間強度を含む感圧接着剤と被着物の接着強度より大であることを前提としている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の封緘シールは、封緘対象物が真正なものであることを証明する必要がある食品、化粧品、および、海賊版などが流通しやすいパソコンソフト、CD、DVDなどに利用可能である。
その他、開封の痕跡を残す必要がある用途にも好適に利用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 封緘シール
2 図柄、文字
3 封緘対象物、被着体
11 基材
12 感圧接着剤層
13 剥離シート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、基材の片面の少なくとも一部に形成された感圧接着剤層と前記感圧接着剤層を保護する剥離シートとからなる封緘シールであって、
前記感圧接着剤層の感圧接着剤は応力発光材料を含有し、
前記それぞれの接着強度は、剥離シートと感圧接着剤層との接着強度<感圧接着剤層の層間強度<感圧接着剤層と基材との接着強度となるように設定され、
前記封緘シールから剥離シートが剥がされ露出した感圧接着剤層が封緘対象物に貼付されたときに、前記感圧接着剤層と前記封緘対象物との接着強度は感圧接着剤層と基材との接着強度以上となるように設定されたことを特徴とする封緘シール。
【請求項2】
請求項1に記載の封緘シールにおいて、
基材は透明な材質で構成されたことを特徴とする封緘シール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の封緘シールにおいて、
基材には文字および/または図柄が印刷されたことを特徴とする封緘シール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−170056(P2011−170056A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33086(P2010−33086)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】