説明

射出装置

【課題】対象物を一定の初速度で射出することが可能であり、しかも簡単な構成で装置全体の小型化を図ることができる射出装置を提供すること。
【解決手段】支持ロッド部材(15)の所定域を巻回する態様で配設されたバネ部材(16)に圧縮力を付与した後、圧縮力を解除してバネ部材の弾性復元力により支持ロッド部材に支持された対象物を所定方向に向けて射出するようにした射出装置であって、モータギア21と、プーリ部材23と一体的に回転可能となる態様で構成されたプーリギア24とを伝達状態と非伝達状態との間で切り替え可能に係合し、伝達状態となる場合にはモータギア21の回転力をプーリギア24に伝達してバネ部材16に圧縮力を作用させる一方、非伝達状態となる場合にはモータギア21の回転力をプーリギア24に伝達しないで該プーリギア24をフリーな状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出装置に関し、より詳細には、親機と子機とから構成される親子人工衛星システムにおいて、親機に配設され、子機を所定方向に向けて射出する射出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、親機と子機とから構成される親子人工衛星システムにおいて、親機に配設され、子機を所定方向に射出する射出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−128097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1において、射出装置の詳細について記載されていないが、射出装置には、射出する子機の初速度を一定に保持できることが求められており、しかも装置の小型化を図る観点より簡単な構成であることが求められている。
【0005】
尚、ここでは親子人工衛星システムに適用される射出装置について説明したが、かかる親子人工衛星システムに限定されるものではなく、対象物を所定方向に向けて射出するような射出装置であっても同様なことが求められていることはいうまでもない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、対象物を一定の初速度で射出することが可能であり、しかも簡単な構成で装置全体の小型化を図ることができる射出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る射出装置は、支持ロッド部材の所定域を巻回する態様で配設されたバネ部材に圧縮力を付与した後、該圧縮力を解除してバネ部材の弾性復元力により前記支持ロッド部材の先端部に支持された対象物を所定方向に向けて射出するようにした射出装置であって、アクチュエータの駆動に応じて回転する態様で構成された第1ギア要素と、前記バネ部材に一端が結合したワイヤー部材が取り付けられたプーリ部材と一体的に回転可能となる態様で構成され、回転することにより該プーリ部材を通じてワイヤー部材の巻き取りおよび繰り出しを可能にする第2ギア要素と、前記第1ギア要素と前記第2ギア要素とを伝達状態と非伝達状態との間で切り替え可能に係合し、伝達状態となる場合には第1ギア要素の回転力を第2ギア要素に伝達して前記ワイヤー部材を巻き取ることにより前記バネ部材に圧縮力を作用させる一方、非伝達状態となる場合には第1ギア要素の回転力を第2ギア要素に伝達しないで該第2ギア要素をフリーな状態にして前記バネ部材の弾性復元力により前記ワイヤー部材の繰り出しを許容する係合手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る射出装置は、上述した請求項1において、前記係合手段は、前記第1ギア要素の周面の所定域に形成された第1噛合歯部と、該第1ギア要素の周面における第1噛合歯部の形成域を除く領域に該第1噛合歯部と連続する態様で形成された平滑部と、前記第2ギア要素の全周面に形成された第2噛合歯部とを備えて成り、所定の係合域で第1噛合歯部と第2噛合歯部とが対向して噛み合うことにより伝達状態となる一方、該係合域で平滑部と第2噛合歯部とが対向することにより非伝達状態となることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る射出装置は、上述した請求項1または請求項2において、先端が前記対象物に結合するテザーの基端が取り付けられ、モータの駆動に応じて回転することによりテザーの巻き取りおよび繰り出しを可能にするリール部材と、前記モータと前記リール部材との間に介在し、モータが駆動する場合にリール部材の回転トルクを一定に保持するトルク保持部材とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の射出装置によれば、バネ部材の弾性復元力により対象物を所定方向に向けて射出するので、対象物を一定の初速度で射出させることができる。また、第1ギア要素と第2ギア要素とを伝達状態と非伝達状態との間で切り替え可能に係合し、伝達状態となる場合には第1ギア要素の回転力を第2ギア要素に伝達してワイヤー部材を巻き取ることによりバネ部材に圧縮力を作用させる一方、非伝達状態となる場合には第1ギア要素の回転力を第2ギア要素に伝達しないで該第2ギア要素をフリーな状態にしてバネ部材の弾性復元力によりワイヤー部材の繰り出しを許容するようにしたので、第1ギア要素を一方向に向けて回転させるだけでワイヤー部材の巻き取りおよび繰り出しを行うことができ、簡単な構成で対象物を複数回にわたって射出することができる。従って、対象物を一定の初速度で射出することが可能であり、しかも簡単な構成で装置全体の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る射出装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、以下の実施の形態においては、親機と子機とから構成される親子人工衛星システムに適用され、親機に配設された射出装置について説明する。
【0012】
図1は、本発明の射出装置の構成を示す斜視図である。ここに例示する射出装置は、装置本体10を備えている。装置本体10は、例えば軽量形鋼等を加工して形成したフレーム部材11を直方体の各辺を成す態様で結合して骨組みを構成し、上面、底面および側面となる部位に板状体を配設して形成したものである。ここで、フレーム部材11のうち図中において上下方向に延在するものは、上端部が上面より突出している。また、上面、底面および側面となる部位に配設した板状体を、それぞれ天板12、底板13および側板14と称する。尚、図1は、説明の便宜上、装置本体10の内部が見えるように示している。
【0013】
このような装置本体10の天板12には複数(図示の例では4つ)の支持ロッド部材15が上下方向に延在する態様で配設してある。支持ロッド部材15は、それぞれ天板12の各頂点より内方に僅かに移動した個所に配設してある。これら支持ロッド部材15は、それぞれの先端部分が子機1に当接して該子機1を支持している。そして、各支持ロッド部材15の所定域、すなわち先端部から中央部分に至る領域にバネ部材16が巻回する態様で配設してある。バネ部材16は、コイルバネであり、図2に示すように基端部分16aが支持ロッド部材15のフランジ部分15aに係止してある一方、先端部分16bが自由端部分となっている。ここで、図には明示しないが、バネ部材16の先端部分16bには、後述するワイヤーケーブル(ワイヤー部材)WCが結合してある。
【0014】
上記装置本体10の内部には、圧縮機構20と伸展機構30とが配設してある。圧縮機構20は、上記バネ部材16に圧縮力を付与するとともに、該圧縮力を解除させるものであり、モータギア(第1ギア要素)21と、シャフト22と、プーリ部材23と、プーリギア(第2ギア要素)24とを備えて構成してある。
【0015】
モータギア21は、図3に示すように複数(図示の例では2つ)あり、それぞれが装置本体10の底板13に固定配置された圧縮モータ25に連結された出力軸25aに配設してある。より詳細に説明すると、モータギア21は、それぞれが円板状の形態を成し、同一の外径を有している。またモータギア21は、それぞれが出力軸25aに貫通される態様で配設してあり、該出力軸25aの軸心回りに回転可能となっている。これらモータギア21は、図から明らかなように、互いの間に所定の間隔が設けてある。モータギア21の詳細な構造については後述する。
【0016】
シャフト22は、複数(図示の例では2本)あり、圧縮モータ25の両側域、すなわち圧縮モータ25の左方域および右方域に上記出力軸25aと平行に配設してある。これらシャフト22は、その軸心(中心軸)回りに回転可能となる態様で支持部材に支持してある。支持部材は、装置本体10の底板13より上方に突出する態様で設けてある。
【0017】
プーリ部材23は、複数(図示の例では4つ)あり、各シャフト22に2つずつ固定配設してある。より詳細に説明すると、プーリ部材23は、円板状の形態を成し、その中心部分をシャフト22に貫通される態様で該シャフト22に固定配設してあり、シャフト22の軸心回りの回転により回転可能と成っている。これら各プーリ部材23の周面の所定個所にはワイヤーケーブルWCの基端が取り付けてあり、プーリ部材23が一方向に回転することにより、該ワイヤーケーブルWCを周面上に巻き取ることができる一方、他方向に回転することにより、該ワイヤーケーブルWCを周面から繰り出すことができるようになっている。ここで、プーリ部材23に取り付けられたワイヤーケーブルWCの先端は、支持ロッド部材15に巻回する態様で配設されたバネ部材16の先端部分16bにそれぞれ取り付けてある。つまり、一のプーリ部材23に取り付けられたワイヤーケーブルWCの先端は、一の支持ロッド部材15に巻回する態様で配設されたバネ部材16の先端部分16bに取り付けてある(図2参照)。
【0018】
プーリギア24は、複数(図示の例では2つ)あり、各シャフト22に別個に配設してある。より詳細に説明すると、プーリギア24は、それぞれが円板状の形態を成し、同一の外径を有している。またプーリギア24は、それぞれがシャフト22に貫通される態様で配設してあり、該シャフト22と一体的に回転可能となっている。つまり、各プーリギア24は、共通のシャフト22に固定配設された2つのプーリ部材23と一体的に回転可能となる態様で構成してある。このようなプーリギア24は、それぞれ別個に上記モータギア21と所定の係合域Lで係合可能となる態様で設けてある。つまり、一のプーリギア24は、一のモータギア21と係合可能となる一方、他のプーリギア24は、他のモータギア21と係合可能となっている。
【0019】
以下に、モータギア21とプーリギア24との係合について説明する。まず、モータギア21の構造について説明する。
【0020】
それぞれのモータギア21の周面には、第1噛合歯部21aと平滑部21bとが連続する態様で形成してある(図6〜図8参照)。第1噛合歯部21aは、通常の歯車と同様に凹凸が形成されたものであり、所定の係合域Lにて対向するギアの歯部と噛合する部位である。平滑部21bは、凹凸が形成されないで平らな周面を形成する部位である。ここに、第1噛合歯部21aの周方向の長さは、後述するようにバネ部材16を十分に圧縮させるのに十分なものとなっている。一方、平滑部21bの周方向に長さは、後述するようにバネ部材16が弾性復元力により復元させるのに十分なものとなっている。
【0021】
次に、プーリギア24の構造について説明する。それぞれのプーリギア24の全周面には、第2噛合歯部24aが形成してある(図6〜図8参照)。第2噛合歯部24aは、通常の歯車と同様に凹凸が形成されたものであり、所定の係合域Lにて対向するギアの歯部と噛合する部位である。
【0022】
このようなモータギア21とプーリギア24とは、所定の係合域Lにて、第1噛合歯部21aと第2噛合歯部24aとが対向する場合には、これら第1噛合歯部21aと第2噛合歯部24aとが噛み合ってモータギア21の回転力がプーリギア24に伝達する伝達状態となる一方、平滑部21bと第2噛合歯部24aとが対向する場合にはモータギア21の回転力がプーリギア24に伝達しない非伝達状態となる。尚、モータギア21およびプーリギア24は、2つずつ設けられており、一のモータギア21と一のプーリギア24とが伝達状態にある場合には、他のモータギア21と他のプーリギア24とも伝達状態にあり、一のモータギア21と一のプーリギア24とが非伝達状態にある場合には、他のモータギア21と他のプーリギア24とも非伝達状態にあるように調整されている。つまり、一のモータギア21と一のプーリギア24とが、係合域Lにて、第1噛合歯部21aと第2噛合歯部24aとが対向して噛み合っている場合には、他のモータギア21と他のプーリギア24とが、係合域Lにて、第1噛合歯部21aと第2噛合歯部24aとが対向して噛み合っており、一のモータギア21と一のプーリギア24とが、係合域Lにて、平滑部21bと第2噛合歯部24aとが対向している場合には、他のモータギア21と他のプーリギア24とが、係合域Lにて平滑部21bと第2噛合歯部24aとが対向するように調整されている。
【0023】
伸展機構30は、図4に示すように、リール部材31と、トルク保持部材32とを備えて構成してある。リール部材31は、装置本体10において回転可能に配設してある。このリール部材31の外周面の所定個所には、子機1に結合するテザーTの基端が取り付けられている。つまり、テザーTは、天板12の貫通孔(図示せず)を貫通する態様で、先端が子機1に結合し、基端がリール部材31に取り付けられている。このリール部材31は、伸展モータ33の一定方向の駆動(この例ではテザーTを巻き取る方向)によりトルク保持部材32を介して回転するものである。ただし、トルク保持部材32で設定したトルク以上の力がテザーTに加わった場合は、テザーTを繰り出す方向に回転するものである。従って、トルク保持部材32で設定したトルク以内であれば伸展モータ33の駆動によりリール部材31がテザーTを巻き取る方向に回転し、テザーTを外周面上に巻き取ることができる。その一方、伸展モータ33が駆動しない場合、あるいは伸展モータ33が一定方向に駆動してトルク保持部材32で設定したトルク以上の力がテザーTに加わった場合には、リール部材31は、他方向にも回転可能となっており、他方向に回転することによりテザーTを外周面から繰り出すことができるようになっている。
【0024】
トルク保持部材32は、例えばパーマトルクのようなものであって、伸展モータ33が駆動している場合には、図5に示すように入力軸32aから入力された伸展モータ33の回転駆動力を、出力軸32bを通じて一定トルクで出力することにより、一方向に回転するリール部材31の回転トルクを一定に保持し、かつ伸展モータ33が駆動していない場合、あるいは伸展モータ33が一定方向に駆動していて設定したトルク以上の力がテザーTに加わった場合にも他方向に回転するリール部材31の回転トルクを一定に保持するものである。
【0025】
以上のような構成を有する射出装置の動作について図6〜図8を適宜利用して説明する。尚、図6〜図8は、一のモータギア21と一のプーリギア24との係合状態しか示していないが、上述したように他のモータギア21と他のプーリギア24との係合状態も一のモータギア21と一のプーリギア24と同じように係合状態が変化するようになっている。
【0026】
まず、図1および図2に示すように子機1が支持ロッド部材15に支持されており、かかる子機1を射出する場合について説明する。かかる説明の前提として、伸展モータ33は駆動していないものとし、図6に示すように、所定の係合域Lにおいてモータギア21の平滑部21bとプーリギア24の第2噛合歯部24aとが対向しており、モータギア21とプーリギア24とは非伝達状態にあるものとする。
【0027】
この場合に圧縮モータ25が駆動することにより、モータギア21は、出力軸25aを介して該出力軸25aの軸心回りに一方向(図示の例では時計回りの方向)に回転する。これにより、該係合域Lにおいては、時計回りの方向に回転するモータギア21の第1噛合歯部21aが係合域Lに進入し、プーリギア24の第2噛合歯部24aと対向する結果、第1噛合歯部21aと第2噛合歯部24aとが噛み合って、モータギア21とプーリギア24とが伝達状態になり(図7参照)、モータギア21の回転力がプーリギア24に伝達されて、プーリギア24が図7中反時計回りの方向に回転する。このようにプーリギア24が反時計回りの方向に回転することは、これと一体的に回転するプーリ部材23も反時計回りの方向に回転することになり、これによりワイヤーケーブルWCが巻き取られる。ワイヤーケーブルWCが巻き取られることにより先端部分16bにワイヤーケーブルWCが結合するバネ部材16は圧縮されて縮むことになる。つまり、圧縮機構20は、バネ部材16に圧縮力を付与していることになる。
【0028】
そして、モータギア21が時計回りに回転する結果、上記係合域Lに平滑部21bが再び進入し、プーリギア24の第2噛合歯部24aと対向する結果、モータギア21とプーリギア24とが非伝達状態になると、プーリギア24はフリーな状態になる。つまり、バネ部材16に付与していた圧縮力が解除されることになる。そのため、バネ部材16は、弾性復元力により自由端部分16bが上方に変位し、支持ロッド部材15に支持された子機1を押圧する結果、子機1は所定方向に射出されることになる。その一方、バネ部材16の弾性復元力がこれに結合するワイヤーケーブルWCにも作用し、プーリ部材23は時計回りの方向に回転して該プーリ部材23からワイヤーケーブルWCが繰り出されることになる。このときプーリ部材23と一体的に回転するプーリギア24も、図8に示すように時計回りの方向に回転することになる。
【0029】
ところで、射出される子機1に結合するテザーTを取り付けたリール部材31は、回転してテザーTを繰り出すことになる。この際、リール部材31の回転トルクは、トルク保持部材32により一定に保持されているため、テザーTに一定の張力が作用している。
【0030】
このようにして射出された子機1を再び親機に戻すためには、伸展モータ33を駆動させて回転するリール部材31にテザーTの巻き取りを行わせることにより子機1を再び支持ロッド部材15の先端部に支持させることができる。尚、このように子機1を親機に戻す場合には、圧縮モータ25の駆動を停止させている。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態における射出装置においては、バネ部材16の弾性復元力のみで子機1を所定方向に向けて射出するので、子機1を一定の初速度で射出させることができる。また、所定の係合域Lで第1噛合歯部21aと第2噛合歯部24aとが噛み合うことによりモータギア21とプーリギア24とが伝達状態となる場合には、ワイヤーケーブルWCを巻き取ってバネ部材16に圧縮力を作用させる一方、該係合域Lで平滑部21bと第2噛合歯部24aとが対向してモータギア21とプーリギア24とが非伝達状態となる場合には、プーリギア24をフリーな状態にしてワイヤーケーブルWCの繰り出しを許容するので、圧縮モータ25を駆動させてモータギア21を一方向に向けて回転させるだけでワイヤーケーブルWCの巻き取りおよび繰り出しを行うことができ、簡単な構成で子機1を複数回にわたって射出することができる。従って、子機1を一定の初速度で射出することが可能であり、しかも簡単な構成で装置全体の小型化を図ることができる。
【0032】
また、上記射出装置によれば、伸展機構30を構成するトルク保持部材32によりリール部材31の回転トルクを一定に保持するので、テザーTに一定の張力を与えることができ、該テザーTを通じて子機1の姿勢等の制御を容易にすることができる。また、テザーTに一定の張力を与えることからテザーTがたるむ虞れがなく、テザーTの巻き取りや繰り出し時等に絡むことがない。
【0033】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。すなわち、上述の実施の形態では、モータギア21の周面に平滑部21bを形成するようにしたが、本発明では、プーリギアに平滑部を形成し、モータギアの全周面に第1噛合歯部を形成するようにしても良い。これによっても、上述した射出装置と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の射出装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した射出装置を模式的に示した模式図である。
【図3】図1に示した圧縮機構の要部を模式的に示した模式図である。
【図4】図1に示した伸展機構の要部を模式的に示した模式図である。
【図5】図4に示したトルク保持部材を説明するための説明図である。
【図6】モータギアとプーリギアとの係合状態を模式的に示した模式図である。
【図7】モータギアとプーリギアとの係合状態を模式的に示した模式図である。
【図8】モータギアとプーリギアとの係合状態を模式的に示した模式図である。
【符号の説明】
【0035】
1 子機
15 支持ロッド部材
16 バネ部材
21 モータギア
21a 第1噛合歯部
21b 平滑部
23 プーリ部材
24 プーリギア
24a 第2噛合歯部
31 リール部材
32 トルク保持部材
L 係合域
WC ワイヤーケーブル
T テザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持ロッド部材の所定域を巻回する態様で配設されたバネ部材に圧縮力を付与した後、該圧縮力を解除してバネ部材の弾性復元力により前記支持ロッド部材の先端部に支持された対象物を所定方向に向けて射出するようにした射出装置であって、
アクチュエータの駆動に応じて回転する態様で構成された第1ギア要素と、
前記バネ部材に一端が結合したワイヤー部材が取り付けられたプーリ部材と一体的に回転可能となる態様で構成され、回転することにより該プーリ部材を通じてワイヤー部材の巻き取りおよび繰り出しを可能にする第2ギア要素と、
前記第1ギア要素と前記第2ギア要素とを伝達状態と非伝達状態との間で切り替え可能に係合し、伝達状態となる場合には第1ギア要素の回転力を第2ギア要素に伝達して前記ワイヤー部材を巻き取ることにより前記バネ部材に圧縮力を作用させる一方、非伝達状態となる場合には第1ギア要素の回転力を第2ギア要素に伝達しないで該第2ギア要素をフリーな状態にして前記バネ部材の弾性復元力により前記ワイヤー部材の繰り出しを許容する係合手段と
を備えたことを特徴とする射出装置。
【請求項2】
前記係合手段は、
前記第1ギア要素の周面の所定域に形成された第1噛合歯部と、
該第1ギア要素の周面における第1噛合歯部の形成域を除く領域に該第1噛合歯部と連続する態様で形成された平滑部と、
前記第2ギア要素の全周面に形成された第2噛合歯部と
を備えて成り、
所定の係合域で第1噛合歯部と第2噛合歯部とが対向して噛み合うことにより伝達状態となる一方、該係合域で平滑部と第2噛合歯部とが対向することにより非伝達状態となることを特徴とする請求項1に記載の射出装置。
【請求項3】
先端が前記対象物に結合するテザーの基端が取り付けられ、回転することによりテザーの巻き取りおよび繰り出しを可能にするリール部材と、
前記リール部材の回転トルクを一定に保持するトルク保持部材と
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の射出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−56937(P2009−56937A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225874(P2007−225874)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)