説明

導光体形成用組成物及び導光シート

【課題】透明性に優れ、適度な硬度及び柔軟性を有し、ベタツキ性が抑制された導光体の形成に好適な導光体形成用組成物、並びに、この組成物を用いて形成された導光シートを提供する。
【解決手段】(A)ポリエーテルポリオール、(B)ポリカーボネートジオール、(C)脂肪族及び/又は脂環族のポリイソシアネート及び(D)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させてなるプレポリマーを含有することを特徴とする導光体形成用組成物であり、該プレポリマーは、ポリイソシアネート(C)として、少なくとも脂環族ポリイソシアネートが用いてなるものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性に優れ、適度な硬度及び柔軟性を有し、ベタツキ性が抑制された導光体の形成に好適な導光体形成用組成物並びにこの組成物を用いて形成された導光シートに関する。本発明の導光体シートは、携帯電話機等の電子機器における操作部の照明構造を構成する部材等として用いられる。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、電子手帳、電子辞書、カメラ等の電子機器の小型化に伴って、部材の小型化、薄型化等が、一層求められるようになってきた。また、従来、同じ部材を複数必要としたところを、構造の設計変更等により、数を減らして、性能を少なくとも維持し
つつ、軽量化、薄型化、省電力化等を図る工夫もなされている。
例えば、携帯電話機等において、キーボタンが発光する照明構造は、一般に複数のキーボタンに対して複数の発光体(LED等)が、配設されることで輝度が等しくなるような構造が、機器内部に収納される設計となっている。しかしながら、複数の部材(発光体)を要することで、軽量化及び省電力化が十分ではないといった問題がある。そこで、厚みの薄い導光体と、この導光体の周辺部に配され、導光体の端部から内部全体に光を透過させるために設けられた少数の発光体とを備える構造が提案されている(特許文献1参照)。即ち、光源である発光体の数を減らして、更なる軽量化、薄型化及び省電力化を得ようとするものである。
【0003】
上記導光体を形成する材料としては、通常、透明性に優れた重合体又はそれを含む組成物が用いられ、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン等が知られている(特許文献1、2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−55143号公報
【特許文献2】特開2007−291313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子機器等のキーボタンに対して発光機能を付与するために、上記のような薄肉状の導光体を用いる場合、この導光体に対して、高い輝度を長期に渡って維持させるための透明性(経時により、透光性の低下及び着色が顕著でないこと)だけでなく、通常の押圧行為を円滑にするための適度な硬度、柔軟性及び非粘着性を有することが求められている。
以上から、透明性に優れ、適度な硬度及び柔軟性を有し、ベタツキ性が抑制された導光体の形成に好適な導光体形成用組成物、並びに、この組成物を用いて形成された、上記透明性、導光性等に優れる導光シートが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のとおりである。
1.(A)ポリエーテルポリオール、(B)ポリカーボネートジオール、(C)脂肪族及び/又は脂環族のポリイソシアネート及び(D)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させてなるプレポリマーを含有することを特徴とする導光体形成用組成物。
2.上記ポリエーテルポリオール(A)の数平均分子量が1,000〜2,800である上記1に記載の導光体形成用組成物。
3.上記ポリカーボネートジオール(B)の数平均分子量が300〜1,500である上記1又は2に記載の導光体形成用組成物。
4.上記ポリイソシアネート(C)が脂環族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートのうちの少なくとも脂環族ポリイソシアネートである上記1乃至3のいずれかに記載の導光体形成用組成物。
5.上記1乃至4のいずれかに記載の導光体形成用組成物を用いて形成した被膜に活性エネルギー線を照射して硬化させてなることを特徴とする導光シート。
【発明の効果】
【0007】
本発明の導光体形成用組成物によれば、全光線透過率が85%を超え、A硬度が71〜95であり、引張強度が6〜40MPaであり、引張伸びが60〜130%であり、表面にベタツキ性が抑制された、即ち、非粘着性を有する導光体を形成することができる。
上記ポリエーテルポリオール(A)の数平均分子量が1,000〜2,800である場合には、透明性に優れ、適度な硬度及び柔軟性を有し、ベタツキ性が抑制された導光体を好適に形成することができる。
上記ポリカーボネートジオール(B)の数平均分子量が300〜1,500である場合には、透明性に優れ、引張強度及び引張伸びのバランスに優れ、適度な硬度及び柔軟性を有し、ベタツキ性が抑制された導光体を好適に形成することができる。
上記ポリイソシアネート(C)が脂環族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートのうちの少なくとも脂環族ポリイソシアネートである場合には、長期間の使用による変色及び退色並びに透明性の低下が抑制される導光体を形成することができる。
【0008】
本発明の導光シートによれば、透明性に優れることから、その端面を含むいずれの表面部位から光を入射しても、優れた導光性を得ることができる。例えば、暗所にてシート内を導光させた場合には、優れた面発光性及び均一な明るさを得ることができる。
また、長期に渡って均一な明るさを維持させるための透明性(経時により、透光性の低下及び着色が顕著でないこと)だけでなく、例えば、携帯電話機等の電子機器における通常の押圧行為を円滑にするための適度な柔軟性(押圧感触性)及び非粘着性を有し、更に、繰り返し歪み耐性を有し、耐久性に優れる。従って、本発明の導光シートは、各種電子機器における操作部の照明構造を構成する部材等として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】導光シートの端面に、光を導入するための光源を配設した照明構造を示す概略斜視図である。
【図2】図1における導光シートの表面に、マスク部を配設した照明構造を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルを意味する。
【0011】
1.導光体形成用組成物
本発明の導光体形成用組成物は、(A)ポリエーテルポリオール(以下、「成分(A)」という。)、(B)ポリカーボネートジオール(以下、「成分(B)」という。)、(C)脂肪族及び/又は脂環族のポリイソシアネート(以下、「成分(C)」という。)及び(D)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(以下、「成分(D)」という。)を反応させてなるプレポリマーを含有する組成物である。
本発明の導光体形成用組成物は、後述するように、光重合開始剤を含有させて、光硬化性の導光体形成用組成物とすることができる。
【0012】
1−1.プレポリマー及びその製造方法
本発明の導光体形成用組成物に含有されるプレポリマーは、通常、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、成分(D)と、触媒とを用いて、この触媒の存在下、成分(A)〜(D)を反応させて得られた、成分(D)に由来する不飽和結合と、ウレタン結合とを有する化合物である。そして、このプレポリマーは、上記成分(A)、(B)等に由来するヒドロキシル基を有してもよい化合物である。
尚、上記プレポリマーは、上記成分(C)に由来するイソシアネート基を実質的に含まない。ここで、「実質的に含まない」とは、未反応のイソシアネート基を全く含まない(即ち、検出できない)か、あるいは、微量の未反応イソシアネート基を含むが、その量は、本発明の効果、具体的には、長期的な退色劣化、退色、変色等による透明性の低下に悪影響を与えない程度に微量であることを意味する。そして、このプレポリマー中のイソシアネート基の濃度は、上記成分(C)の使用量から算出される残存量として、通常、1%以下と少ない量である。
【0013】
上記プレポリマーにおいて、上記成分(D)に由来する不飽和結合の濃度は、特に限定されない。
また、上記プレポリマーの数平均分子量は、好ましくは500〜4,000、より好ましくは1,000〜3,000、更に好ましくは1,500〜2,500である。この数平均分子量が上記範囲にあると、適度な硬度及び柔軟性を有し、繰り返し圧縮に対する耐久性に優れた導光体を得ることができる。尚、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0014】
1−1−1.ポリエーテルポリオール(A)
この成分(A)は、ヒドロキシル基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。
上記成分(A)としては、多価アルコール、多価フェノール、及び、ヒドロキシル基を2個以上有するアミン化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加(ブロック及び/又はランダム付加)して得られた化合物等を用いることができる。
【0015】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のシクロアルキレングリコール等の脂環族ジオール等の、炭素数2〜20の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール等のアルカントリオール等の脂肪族トリオール等の、炭素数3〜20の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等のアルカンポリオール等の脂肪族ポリオール等の、炭素数5〜20の4〜8価又はそれ以上の多価アルコール等が挙げられる。
【0016】
多価フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノン等の単環多価フェノール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールスルホン等のビスフェノール類;フェノール及びホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック)等が挙げられる。
【0017】
ヒドロキシル基を2個以上有するアミン化合物としては、ジエタノールアミン、エタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノール−2−ヒドロキシブチルアミン、イソプロパノール−2−ヒドロキシブチルアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
尚、ヒドロキシル基を2個以上有するアミン化合物を用いる場合には、必要に応じて、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等の、炭素数2〜20のモノアルカノールアミン、n−ブチルアミン、オクチルアミン等の、炭素数1〜20のモノアミン化合物、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の、炭素数2〜6のジアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の、炭素数4〜20のポリアルキレンポリアミン等の脂肪族アミン化合物;アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン等の、炭素数6〜20の芳香族アミン化合物;イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン等の、炭素数4〜20の脂環式アミン化合物等の他のアミン化合物を併用することができる。
【0018】
上記成分(A)の平均官能基数(ヒドロキシル基の数の平均)は、適度な硬度、柔軟性及び非粘着性の観点から、好ましくは1.5〜3.0、より好ましくは1.8〜2.2である。この平均官能基数が少なすぎると、硬度が低下し、ベタツキが著しくなる場合がある。一方、平均官能基数が多すぎると、ベタツキ性は抑制されるものの、硬度が高くなりすぎて、脆くなり、繰り返し圧縮に対する耐久性が低下する場合がある。
上記成分(A)の水酸基価は、透明性、並びに、適度な硬度及び非粘着性のバランスの観点から、好ましくは28〜170mgKOH/g、より好ましくは38〜90mgKOH/gである。この水酸基価が小さすぎると、硬度が低下し、ベタツキが著しくなる場合がある。一方、水酸基価が大きすぎると、白濁した導光体が得られる場合があり、硬度が高くなりすぎて、脆くなる場合がある。
また、上記成分(A)の数平均分子量は、透明性、並びに、適度な硬度及び非粘着性のバランスの観点から、好ましくは1,000〜2,800、より好ましくは1,400〜2,600である。この数平均分子量が小さすぎると、白濁した導光体が得られる場合があり、硬度が高くなりすぎて、脆くなる場合がある。一方、数平均分子量が大きすぎると、硬度が低下し、ベタツキが著しくなる場合がある。
【0019】
上記成分(A)は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において、好ましい成分(A)は、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールに、プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドを付加させて得られた化合物である。
【0020】
1−1−2.ポリカーボネートジオール(B)
この成分(B)は、ヒドロキシル基を2つ有する化合物であれば、特に限定されないが、通常、下記一般式で表される構造を有する化合物である。
H−(O−R−OCO−)−OH
[式中、R及びRは、互いに同一又は異なって、2価の炭化水素基であり、nは1以上の整数である。]
【0021】
上記成分(B)としては、脂肪族ポリカーボネートジオール、芳香族ポリカーボネートジオール、脂環族ポリカーボネートジオール、芳香族・脂肪族共重合ポリカーボネートジオール、脂肪族・脂環族共重合ポリカーボネートジオール、脂環族・芳香族共重合ポリカーボネートジオール、芳香族・脂肪族・脂環族共重合ポリカーボネートジオール等が挙げられる。これらのうち、脂肪族ポリカーボネートジオールが好ましい。
【0022】
脂肪族ポリカーボネートジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール(1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール)、ペンタンジオール(1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール)、ヘキサンジオール(1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、ヘプタンジオール(1,7−ヘプタンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール)、オクタンジオール(1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール)、ノナンジオール(1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール)、デカンジオール、ドデカンジオール、エイコサンジオール等の脂肪族ジオールと、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル等の炭酸エステルとを共縮合させて得られたポリカーボネートジオール等が挙げられる。これらのうち、透明性に優れ、ベタツキ性が抑制された導光体が得られることから、炭素数4〜9の脂肪族ジオールの1種又は2種以上と、炭酸エステルとを共縮合させて得られたポリカーボネートジオールが好ましい。
【0023】
上記脂肪族ポリカーボネートジオールの具体例としては、1,4−ブチレンポリカーボネートジオール;1,5−ペンチレンポリカーボネートジオール;1,6−ヘキシレンポリカーボネートジオール;1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール、並びに、炭酸エステルの共縮合物;3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール、並びに、炭酸エステルの共縮合物;2−メチル−1,8−オクタンジオール及び1,9−ノナンジオール、並びに、炭酸エステルの共縮合物等が挙げられる。
【0024】
芳香族ポリカーボネートジオールとしては、ビスフェノールA型ポリカーボネートジオール、ビスフェノールF型ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
脂環族ポリカーボネートジオールとしては、1,4−ジ(メチレン)シクロヘキサンポリカーボネートジオール、デカヒドロナフタレンポリカーボネートジオール、水添ビスフェノールA型ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
芳香族・脂肪族共重合ポリカーボネートジオールとしては、ビスフェノールA及び1,6−ヘキシレングリコールと、炭酸エステルとを共縮合させて得られたポリカーボネートジオール等が挙げられる。
脂肪族・脂環族共重合ポリカーボネートジオールとしては、1,6−ヘキシレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールと、炭酸エステルとを共縮合させて得られたポリカーボネートジオール等が挙げられる。
脂環族・芳香族共重合ポリカーボネートジオールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びビスフェノールAと、炭酸エステルとを共縮合させて得られたポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0025】
上記成分(B)の水酸基価は、透明性、並びに、適度な硬度及び非粘着性のバランスの観点から、好ましくは74〜375mgKOH/g、より好ましくは85〜280mgKOH/gである。この水酸基価が小さすぎると、白濁した導光体が得られ、硬度が低下する場合がある。一方、水酸基価が大きすぎると、硬度が高すぎる場合がある。
また、上記成分(B)の数平均分子量は、透明性、並びに、適度な硬度及び非粘着性のバランスの観点から、好ましくは300〜1,500、より好ましくは400〜1,300である。この数平均分子量が小さすぎると、硬度が高すぎる場合がある。一方、数平均分子量が大きすぎると、白濁した導光体が得られ、硬度が低下する場合がある。
上記成分(B)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
1−1−3.ポリイソシアネート(C)
この成分(C)は、脂肪族ポリイソシアネート及び/又は脂環族ポリイソシアネートであり、好ましくは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物である。即ち、成分(C)は、脂肪族ポリイソシアネートのみであってよいし、脂環族ポリイソシアネートのみであってよいし、両者の組合せであってもよい。各ポリイソシアネートは、好ましくは炭素数50以下の化合物である。
【0027】
脂肪族イソシアネートとしては、メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート(CHDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシレンイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI又は水添化XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI又は水添化MDI)等が挙げられる。これらのうち、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0028】
上記成分(C)は、透明性に優れ、黄変等の着色が抑制された導光体が得られることから、脂環族イソシアネートを含むことが好ましい。尚、この脂環族イソシアネートと、脂肪族イソシアネートとを併用してもよく、その場合、脂環族イソシアネートの含有量の下限は、両者の合計を100質量%とした場合に、好ましくは5質量%、より好ましくは10質量%、更に好ましくは15質量%である。
上記成分(C)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
1−1−4.ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(D)
この成分(D)は、少なくとも1個のヒドロキシル基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートである。
上記成分(D)としては、1個のヒドロキシル基を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸と、脂肪族ジオール、脂環族ジオール又は芳香族ジオールとのエステル化物であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ポリ(平均値としてn=2〜10)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(平均値としてn=2〜10)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。尚、上記成分(D)としては、2個以上のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートを用いることもできる。
上記成分(D)は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
1−1−5.他の製造用原料
上記プレポリマーの形成に際して、上記成分(A)及び(B)を除く他のポリオール成分を用いてもよい。
他のポリオール成分としては、(1)多価アルコール、(2)多価フェノール、(3)ヒドロキシル基を2個以上有するアルカノールアミン、(4)ポリエーテルエステルポリオール、(5)ポリエステルポリオール、(6)ポリカーボネートポリオール、(7)ポリジエンポリオール、(8)アクリルポリオール、(9)シリコーンポリオール、(10)ヒマシ油等の天然油脂系ポリオール、(11)上記(1)〜(10)から選ばれた少なくとも1種の化合物(原料ポリオール)の存在下、ビニル系単量体を重合させて得られたポリマーポリオール等が挙げられる。
【0031】
ポリエーテルエステルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのプロピレンオキシド付加物等のポリアルキレンポリオールに、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水フタル酸等のポリカルボン酸無水物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテル基を有する化合物とを反応させて得られた化合物等が挙げられる。
【0032】
ポリエステルポリオールとしては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン−ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル−ヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ3−メチルペンタンアジペートジオール、ポリエチレンテレフタレートジオール、ポリブチレンテレフタレートジオール、ポリヘキサメチレンテレフタレートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオール、ポリエチレン−ブチレンテレフタレートジオール、ポリネオペンチル−ヘキサメチレンテレフタレートジオール、ポリ3−メチルペンタンテレフタレートジオール、ポリエチレンイソフタレートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルイソフタレートジオール、ポリエチレン−ブチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチル−ヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリ3−メチルペンタンイソフタレートジオール等の、
テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸等のようなジカルボン酸等のポリカルボン酸を、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセリン等のポリオール と反応させて得られた縮合系ポリエステルポリオール;ε−カプロラクタムを開環重合して得られたラクトン系ポリエステルポリオール;等が挙げられる。
【0033】
ポリカーボネートポリオールとしては、ヒドロキシル基を3つ以上有する化合物であり、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、ポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0034】
ポリマーポリオールとしては、上記のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等の原料ポリオールの存在下、重合開始剤を用いて、ビニル系単量体を重合させて得られた化合物(グラフト重合体)を用いることができる。この反応において、連鎖移動剤を用いることもできる。
ビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物等を用いることができる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
不飽和ニトリル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、他のビニル系化合物としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和酸;(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド化合物;ジアミノエチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート等のアミノ基含有不飽和化合物;塩化ビニリデン、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート等のハロゲン含有ビニル化合物;ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能ビニル化合物等が挙げられる。
【0036】
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩、過ホウ酸塩等の無機過酸化物等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、ドデカンチオール、エタンチオール、オクタンチオール、トルエンチオール等のメルカプタン化合物;四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
【0037】
1−1−6.プレポリマーの製造方法
上記プレポリマーを製造する場合、上記成分(A)、(B)及び(D)のヒドロキシル基の総数、又は、上記成分(A)、(B)、(D)及び必要に応じて用いられる他のポリオール成分のヒドロキシル基の総数に対して、上記成分(C)のイソシアネート基の総数が、モル比で、好ましくは0.90〜1.15倍、より好ましくは0.95〜1.10倍となるような割合で用いられる。上記好ましい範囲で原料成分を用いることにより、イソシアネート基の残存率の低いプレポリマーを得ることができる。
上記成分(A)及び(B)の使用量の割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは40〜95質量%及び5〜60質量%、より好ましくは50〜85質量%及び15〜50質量%、更に好ましくは60〜80質量%及び20〜40質量%である。これらの割合が上記範囲にあると、透明性に優れ、ベタツキ性の抑制された導光体を得ることができる。
また、上記成分(D)の使用量は、上記成分(A)及び(B)のモル数の合計、又は、上記成分(A)、(B)及び必要に応じて用いられる他のポリオール成分のモル数の合計に対し、好ましくは1.0〜4.0倍、より好ましくは1.5〜3.0倍、更に好ましくは1.8〜2.5倍である。上記成分(D)の使用量が上記範囲にあると、得られる導光体は、その表面において、その位置によらず、一定且つ均一な硬度及び非粘着性を備えるものとすることができる。また、本発明の目的とした性能を有する導光体の安定製造を図ることもできる。
【0038】
上記プレポリマーの形成に際して、他のポリオール成分を併用する場合、その使用量は、上記成分(A)及び(B)の合計を100質量部とする場合、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは1〜20質量部である。他のポリオール成分の使用量が多すぎると、透明性が十分ではなく、ベタツキが顕著となり、耐変色性が低下する場合がある。
【0039】
上記のように、上記プレポリマーは、触媒の存在下に形成される。この触媒は、上記成分(A)、(B)及び(D)のヒドロキシル基と、上記成分(C)のイソシアネート基との反応、即ち、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば、特に限定されない。
【0040】
上記触媒としては、アミン系化合物、有機金属化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
アミン系化合物としては、モノアミン化合物、ジアミン化合物、トリアミン化合物、ポリアミン化合物、環状アミン化合物、アルコールアミン化合物、エーテルアミン化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アミン系化合物は、上記成分(C)等のイソシアネート基を有する化合物に対して反応性を有する化合物であってよいし、この反応性を有さない化合物であってもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0042】
イソシアネート基に対して反応性を有する化合物としては、−OH基及び/又は−NH基を有する化合物を用いることができる。−OH基を有する反応性アミン系化合物としては、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。また、−NH基を有する反応性アミン系化合物としては、N,N,N",N"−テトラメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
上記イソシアネート基に対して反応性を有する化合物を用いると、得られる導光体からのアウトガスがなく好ましい。
【0043】
また、イソシアネート基に対して反応性を有さない化合物としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0044】
有機金属化合物としては、有機錫化合物、有機ビスマス化合物、有機鉛化合物、有機亜鉛化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
有機錫化合物としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫メルカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグリコレート、オクチル酸錫、2−エチルヘキサン酸錫、オレイン酸第一錫等が挙げられる。
有機ビスマス化合物としては、酢酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、ジブチルビスマスジアセテート、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等が挙げられる。
有機鉛化合物としては、酢酸鉛、オクテン酸鉛、ナフテン酸鉛、ジブチル鉛ジアセテート、ジブチル鉛ジラウレート、ジオクチル鉛ジラウレート等が挙げられる。
有機亜鉛化合物としては、ナフテン酸亜鉛、デカン酸亜鉛、4−シクロヘキシル酪酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、イソ酪酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−トルエンスルホン酸亜鉛、亜鉛(II)ビス−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート等が挙げられる。
【0046】
上記プレポリマーの形成に用いられる触媒の使用量は、上記成分(A)、(B)及び(D)の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.001〜5.0質量部、より好ましくは0.005〜2.0質量部、更に好ましくは0.01〜1.0質量部である。触媒の使用量が上記範囲にあると、数平均分子量、粘度及び色相が適切であり、本発明における優れた性能を有する導光体を与えるプレポリマーを得ることができる。
【0047】
上記プレポリマーの製造方法としては、例えば、成分(A)、(B)及び(D)を、撹拌羽根、振とう攪拌機、回転攪拌機等により攪拌した後、成分(C)を添加して、上記と同様にして攪拌しながら、得られる混合物に触媒を添加して、40℃〜120℃で成分(A)〜(D)を反応させる方法(ワンショット法)、逐次法等とすることができる。
逐次法の例としては、以下に示される。
(イ)初めに、成分(A)の全量と、成分(B)の全量と、成分(C)とを反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(P1)を得た後、このプレポリマー(P1)と成分(D)とを反応させる方法。
(ロ)初めに、成分(A)の全量と、成分(C)とを反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(P1)を得た後、このプレポリマー(P1)と、成分(B)と、成分(D)とを反応させる方法。
(ハ)初めに、成分(B)の全量と、成分(C)とを反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(P1)を得た後、このプレポリマー(P1)と、成分(A)と、成分(D)とを反応させる方法。
(ニ)初めに、成分(A)の一部と、成分(B)の一部と、成分(C)とを反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(P1)を得た後、このプレポリマー(P1)と、成分(A)の残部と、成分(B)の残部と、成分(D)とを反応させる方法。
(ホ)初めに、成分(A)の一部、及び、成分(C)の一部を反応させて、また、成分(B)の一部、及び、成分(C)の残部を反応させて、2種のモノオールウレタンイソシアネート化合物(U1)及び(U2)を得た後、これらの化合物(U1)及び(U2)と、成分(D)とを反応させる方法。
尚、他のポリオール成分を用いる場合には、上記態様(イ)〜(ホ)における成分(A)及び(B)のいずれか一方又は両方と併用することができる。
【0048】
上記プレポリマーを製造する場合、成分(D)を用いる際には、この成分(D)に由来する不飽和結合に基づく重合によるゲル化を防止するために、重合禁止剤を、予め、反応系に供給しておいてもよいし、成分(D)と同時に使用してもよい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、エチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンメチルエーテル、ハイドロキノンエチルエーテル、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、カテコール、tert−ブチルカテコール等のフェノール化合物;フェノチアジン、ジフェニルアミン等の含窒素化合物等が挙げられる。
【0049】
上記プレポリマーの製造時間は、原料成分の種類、製造方法(ワンショット法、逐次法)、反応温度等に依存するが、通常、20分〜9時間である。
【0050】
プレポリマーの製造後、反応生成物には、既述のように、遊離している成分(C)の含有割合が所定量以下であることが好ましく、全く含有しないことが特に好ましい。その有無は、JIS K1603−1「プラスチック−ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法」に記載された方法、赤外吸収スペクトル法等により確認することができる。
【0051】
1−2.他の構成成分
本発明の導光体形成用組成物は、目的、用途等に応じて、他の成分を含有してもよい。
他の成分としては、光重合開始剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、光増感剤、滑剤、老化防止剤、帯電防止剤、消泡剤、難燃剤、有機溶剤、重合性不飽和結合を有し且つ上記プレポリマーを除く化合物等が挙げられる。
【0052】
光重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、カルバゾール系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
アセトフェノン系化合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等が挙げられる。
【0054】
ベンゾイン系化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール等が挙げられる。
【0055】
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0056】
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等が挙げられる。
【0057】
ケトン系化合物としては、α−アシロキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4"−ジエチルイソフタロフェノン等が挙げられる。
【0058】
イミダゾール系化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−イミダゾール等が挙げられる。
【0059】
アシルホスフィンオキサイド系化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
その他、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄−ヘキサフルオロホスフェート等の、ルイス酸のオニウム塩等を用いることができる。
【0060】
本発明の導光体形成用組成物における上記光重合開始剤の含有量は、上記プレポリマーを100質量部とした場合に、好ましくは0.001〜5.0質量部、より好ましくは0.01〜3.0質量部、更に好ましくは0.05〜2.0質量部である。この光重合開始剤の含有量が上記範囲にあると、硬化反応を効率よく進行させることができる。
【0061】
また、重合禁止剤は、上記のように、プレポリマーの製造中に用いることができるが、製造後に更に添加することもできる。
本発明の導光体形成用組成物における上記重合禁止剤の含有量は、上記プレポリマーに対して、好ましくは400質量ppm以下、より好ましくは200質量ppm以下、更に好ましくは50質量ppm以下である。この重合禁止剤の含有量が上記範囲にあると、プレポリマーの変質を抑制することができる。
【0062】
上記有機溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物;メトキシブチルアセテート等のエーテルエステル化合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール化合物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド化合物;水等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
本発明の導光体形成用組成物は、光重合開始剤を含有させて用い、基材への塗布、鋳型への注入等を行い、必要により乾燥させた後、活性エネルギー線を照射することにより、透明性に優れ、ベタツキ性が抑制された硬化物(導光体)を形成することができる。
活性エネルギー線は、紫外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線を含む。これらのうち、硬化性及び樹脂劣化防止の観点から、紫外線及び電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。紫外線用の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯等を用いることができる。
【0064】
上記のようにして得られた導光体の透明性については、JIS K7361−1に準じて、厚さ2mmの導光体を測定した場合、全光線透過率が、好ましくは85%超え、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上である。
また、上記導光体のA硬度を、JIS K6253に準じて測定した場合、好ましくは71〜95、より好ましくは78〜94、更に好ましくは80〜93である。
また、上記導光体の表面に対し、押圧感を得る(凹部の形成を感じる)程度の指圧等を加えた場合、凹部から元の状態(平滑面)への復元は迅速であり、即ち、適度な柔軟性を有し、繰り返し歪み耐性を有する。そして、ベタツキ性が抑制されており、非粘着性を有する。
【0065】
2.導光シート
本発明の導光シートは、上記本発明の導光体形成用組成物を用いて形成した被膜に活性エネルギー線を照射して硬化させてなることを特徴とする。この導光体形成用組成物は、通常、光重合開始剤を含有する組成物である。
本発明の導光シートは、導光体形成用組成物を用いて形成した硬化物シート(1層型シート)であってよいし、導光体形成用組成物を用いて薄肉型基材の表面に形成させた積層型シートであってよいし、更には、2葉の薄肉型基材により、導光体形成用組成物を用いて形成した硬化層をその両面側から挟む構造を有する積層型シートであってもよい。
【0066】
本発明の導光シートが、上記すべての態様である場合、導光体形成用組成物を用いて形成された硬化物の部位における厚さは、好ましくは50μm〜1.0mm、より好ましくは100μm〜500μmである。
【0067】
以下、1層型シートの製造方法について、説明する。
本発明の導光体形成用組成物を、平滑表面を有する基材上に塗布し、塗膜を必要により乾燥させた後、乾燥被膜に活性エネルギー線を照射することにより、1層型シートを得ることができる。
塗布用の基材としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、アイオノマー樹脂、ABS樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂等を含むシート状体、板状体、ブロック状体等を用いることができる。
組成物の塗布方法は、特に限定されず、アプリケーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、グラビアコーター、ロールコーター(サイズプレスロールコーター、ゲートロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーター、ブレードコーター等を用いることができる。
また、活性エネルギー線の照射は、乾燥被膜に対して直接行ってよいし、その表面に活性エネルギー線を透過するフィルム等を配置させた状態で行ってもよい。尚、照射エネルギー(積算光量)は、組成物の構成、乾燥被膜の厚さ等により、適宜、選択されるが、通常、200〜2,200mJ/cm程度である。
【0068】
本発明の導光シートの厚さは、通常、30μm〜2.0mm、好ましくは50μm〜1.0mm、より好ましくは100μm〜500μmである。
【0069】
上記本発明の導光体形成用組成物を用いて得られた本発明の導光シートは、上記のような性質を有することから、携帯電話機、電子手帳、電子辞書、カメラ等の電子機器に配設するための、透光性部材等として用いることができる。
例えば、上記のような電子機器において、表面側に数字、文字、記号、イラスト等を表示した又は未表示の、複数のキーボタン等(操作部)に発光機能を付与する場合、キーボタンの輝度を等しくするために、機器の内部に多くの発光体を配設するのではなく、全てのキーボタンの内部下方側に1枚の導光シート(透光性部材)を配設して、導光シート(透光性部材)の端面からより少数の発光体により光を導入し、導光シート(透光性部材)の表面からキーボタンを照らすことができる。
この態様の照明構造は、図1によって、説明される。即ち、この照明構造は、導光シート1と、導光シート1の端面に配され且つ導光シート1の内部方向に発光する光源2(LED等)とを備える。このような照明構造とすることにより、電子機器の軽量化及び省電力化、更には、小型化(薄型化)を図ることができる。
【0070】
尚、キーボタンの輝度をより高くするために、キーボタンに対応する位置における導光シート1の表面に、蛍光部を形成する方法(図示せず)、導光シート1の表面に、キーボタンに対応しない部分にマスク部5を配設又は印刷する方法(図2参照)等がある。
本発明の導光シートは、スクリーン印刷等の印刷性にも優れ、キーボタン等の接触を繰り返した場合であっても、画像の視認性に優れる。
【実施例】
【0071】
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0072】
1.プレポリマーの製造原料
下記の実施例及び比較例において用いるプレポリマーの製造原料を示す。
1−1.成分(A)
1−1−1.ポリエーテルポリオール(A1)
官能基数は2であり、水酸基価は56.1mgKOH/g、数平均分子量は2,000である。
1−1−2.ポリエーテルポリオール(A2)
官能基数は2であり、水酸基価は280.5mgKOH/g、数平均分子量は400である。
1−1−3.ポリエーテルポリオール(A3)
官能基数は2であり、水酸基価は37.4mgKOH/g、数平均分子量は3,000である。
【0073】
1−2.成分(B)
1−2−1.ポリカーボネートジオール(B1)
3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールをモル比で90:10としたジオール成分と、ジエチルカーボネートとを縮合反応させて得られたポリカーボネートポリオールを用いた。官能基数は2であり、水酸基価は224.4mgKOH/g、数平均分子量は500である。
1−2−2.ポリカーボネートジオール(B2)
2−メチル−1,8−オクタンジオール及び1,9−ノナンジオールをモル比で85:15としたジオール成分と、ジエチルカーボネートとを縮合反応させて得られたポリカーボネートポリオールを用いた。官能基数は2であり、水酸基価は112.2mgKOH/g、数平均分子量は1,000である。
1−2−3.ポリカーボネートジオール(B3)
3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールをモル比で90:10としたジオール成分と、ジエチルカーボネートとを縮合反応させて得られたポリカーボネートポリオールを用いた。官能基数は2であり、水酸基価は65.1mgKOH/g、数平均分子量は2,000である。
【0074】
1−3.成分(C)
1−3−1.ポリイソシアネート(C1)
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いた。
1−3−2.ポリイソシアネート(C2)
ヘキサメチレンジイソシアネートを用いた。
1−3−3.ポリイソシアネート(C3)
トルエンジイソシアネートを用いた。
【0075】
1−4.成分(D)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を用いた。
【0076】
1−5.触媒
ジブチルスズジラウレートを用いた。
【0077】
2.導光体形成用組成物の製造及び評価
上記のプレポリマー製造用原料成分を用いて、プレポリマーを合成し、光開始剤を添加して、導光体形成用組成物を製造した。その後、導光体形成用組成物を用いて形成した被膜に紫外線を照射して硬化物を作製した。この硬化物について、各種評価を行った。
【0078】
実施例1
撹拌翼を備える反応器に、ポリエーテルポリオール(A1)485.13g、ポリカーボネートポリオール(B1)121.28g、及び、成分(D)2−ヒドロキシエチルメタクリレート126.27gを入れて、常温で30分間撹拌した。その後、混合物を撹拌しながら、ポリイソシアネート(C1)267.32gを添加し、更に30分間撹拌した。
次いで、ジブチルスズジラウレート触媒0.03gを添加し、30分かけて内温が85℃になるまで徐々に昇温した。そして、内温を80℃〜90℃に維持させながら、撹拌を行った。4時間経過後、反応液における残留NCO量を、JIS K1603に準じたNCO滴定により測定し、0.5%以下になっていることを確認して、反応を終了し、プレポリマー(P1)を得た。このプレポリマー(P1)の粘度を、BROOKFIELD社製B型粘度計「DV−1+」(型式名)により測定(ロータタイプNo.4)したところ、14,430mPa・sであった(表1参照)。
その後、反応液を放冷し、内温が40℃以下になっていることを確認し、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン)5.0gを添加し、2時間撹拌し、プレポリマー(P1)及び光重合開始剤を含有する導光体形成用組成物を得た。
【0079】
得られた導光体形成用組成物を用いて、評価内容(光の透過率、色相、ベタツキ性、A硬度、引張強度、引張伸び及び引裂強度)に準じた形状及び大きさを有する試験用硬化物を作製し、物性評価を行った。その結果を表1に示す。
尚、硬化物として、例えば、硬化シートの作製方法は、以下の通りである。
90℃で24時間、撹拌しながら加熱した導光体形成用組成物約50gを、康井精機社製単板ナイフコーター「SNC−300」(型式名)のバキュームテーブルに固定した、厚さ75μmのPETフィルム(F1)の上に流した。その後、組成物の上に厚さ75μmのPETフィルム(F2)を載せて組成物を挟んだ状態で2枚のフィルムを固定した。
次に、PETフィルム(F2)上からナイフコーターで組成物を伸ばして、組成物を、2枚のフィルム間で均一厚さとした。そして、組成物を挟んだ状態で速やかにコーターからガラス板上に移動させた。
その後、PETフィルムを残したまま、アイグラフィックス社製UV照射機「グランデージ ECS−401GX」(商品名)を用いて、積算光量1,800mJ/cmの条件でUV照射し、硬化シートを得た。
【0080】
(1)光の透過率
厚さ2mmの硬化シートを試験片として、JIS K7361−1に準じて測定した。測定装置は、日本分光社製紫外可視分光光度計「V−650」(型式名)であり、測定波長は380〜780nmである。
(2)色相
CIE 1976に準じて測定した。
(3)ベタツキ性
常温下、東レ社製白色PETフィルム(厚さ50μm)の上に、100mm×100mm×0.2mmの硬化シートを載置し、ばねばかりを用いて、硬化シートの表面に、荷重2Nを5秒間、引き続き、荷重3Nを5秒間与えた後、負荷を開放し、粘着状態の硬化シート及び白色PETフィルムが剥離するまでの時間を計測した。判定基準は下記の通りである。
○:0〜30秒以内であった
△:30秒を超えて60秒以内であった
×:60秒を超えた
(4)A硬度
JIS K6253に準じて測定した。
(5)引張強度及び引張伸び
JIS K6251(ダンベル3号)に準じて測定した。
(7)引裂強度
JIS K6252(切り込みなしアングル型)に準じて測定した。
【0081】
実施例2〜12及び比較例1〜4
成分(A)〜(D)を、表1、表2及び表3に示す割合で用いた以外は、実施例1と同様にしてプレポリマー(P2)〜(P16)を製造し、その後、導光体形成用組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして硬化物(硬化シート)を作製し、各種評価を行った。その結果を表1、表2及び表3に併記した。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
表1、表2及び表3から明らかなように、比較例1〜3は、成分(B)を用いずに製造したプレポリマーを含有する例であり、得られた硬化シートにおいて、光の透過率は高かったものの、ベタツキ性が高かった。また、比較例4は、芳香族のポリイソシアネートを用いた例であり、得られた硬化シートがやや黄色に着色されていた。この黄色は、経時とともに濃度が高くなった。
一方、実施例1〜12は、本発明にかかるプレポリマーを含む導光体形成用組成物を用いた例であり、透過率が85%を超え、A硬度が71〜93である硬化シートを形成することができた。なかでも、実施例1及び2は、ベタツキ性が顕著に抑制されており、A硬度が80〜93の範囲にあり、光の透過率が90〜92%であり、硬さと透明性とのバランスに優れていた。
【0086】
尚、実施例3及び実施例4並びに比較例1の導光体形成用組成物を用いて、それぞれ、厚さ50mmの硬化物を形成し、耐久試験(温度85℃、湿度85%RH、1,000時間)前後の光の透過率を測定したところ、その維持率[(試験後の透過率/試験前の透過率)×100]は、それぞれ、94%、89%及び42%であった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の導光体形成用組成物を用いて得られる硬化物(導光体)は、透明性、適度な硬度及び柔軟性を有し、ベタツキ性が抑制されており、耐光性に優れ、形状安定性に優れることから、透光性部材等として好適である。そして、シート等所望の形状として、携帯電話機、電子手帳、電子辞書、カメラ等の電子機器における操作部等の照明構造、テレビ、ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、その他家電製品等を構成する部材等に用いることができる。
【符号の説明】
【0088】
1:導光シート
11:導光シートの露出部
2:光源
5:マスク部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリエーテルポリオール、(B)ポリカーボネートジオール、(C)脂肪族及び/又は脂環族のポリイソシアネート及び(D)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させてなるプレポリマーを含有することを特徴とする導光体形成用組成物。
【請求項2】
上記ポリエーテルポリオール(A)の数平均分子量が1,000〜2,800である請求項1に記載の導光体形成用組成物。
【請求項3】
上記ポリカーボネートジオール(B)の数平均分子量が300〜1,500である請求項1又は2に記載の導光体形成用組成物。
【請求項4】
上記ポリイソシアネート(C)が脂環族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートのうちの少なくとも脂環族ポリイソシアネートである請求項1乃至3のいずれかに記載の導光体形成用組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の導光体形成用組成物を用いて形成した被膜に活性エネルギー線を照射して硬化させてなることを特徴とする導光シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−180328(P2010−180328A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25331(P2009−25331)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】