説明

導光板、導光板を有する照明装置及び導光板の製造方法

【課題】複数の凹部が形成された所定領域と凹部が形成されていない領域との境界が明確な導光板、この導光板を有する照明装置及び導光板の製造方法を提供すること
【解決手段】導光板20では、側面から入射された光が、拡散領域30に設けられた屈曲ドット32及び溝部34によって屈曲し、主に主面から導出される。このとき、溝部34は拡散領域30の外縁を囲う位置に設けられているため、拡散領域30に屈曲ドット32のみが設けられている場合と比較して、拡散領域30の外縁を明確にすることができる。加えて、複数の加工ドットがマトリックス状に配置された超音波加工用ホーンを用いてS字形状の拡散領域30を形成するような場合には、拡散領域30の外縁に屈曲ドット32が常に位置するとは限らないため、溝部34を設けることによる効果が大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、導光板を有する照明装置及び導光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主面に複数の凹部を有し、側面側から入射した光をこの凹部で屈折させ、主面側に導出させる導光板が知られている。例えば、特許文献1には、超音波加工用ホーンの矩形状の先端面に配列されたマトリクス状の加工ドットを導光板の主面に押圧し、所定領域に凹部を形成した導光板及びこの導光板を用いた照明装置が記載されている。こうすることにより、この導光板は、比較的大型の導光板であっても、少量多品種の生産における任意の形状や形状に適した光学特性に対応可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―257846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした導光板を用いた照明装置では、複数の凹部がマトリクス状に配置されることになるため、凹部を含む所定領域の外縁に凹部が形成されるとは限らない。このため、所定領域の輪郭で光が屈折するとは限らないため、所定領域の輪郭が明確でないという課題がある。このような課題は、所定領域の外縁が曲線形状等の場合に特に顕著となる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、複数の凹部が形成された所定領域と凹部が形成されていない領域との境界が明確な導光板、この導光板を有する照明装置及び導光板の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の導光板は、
側面から光を入射して、主に主面から該光を導出する導光板であって、
前記導光板の主面の一部の領域であって、複数の屈曲ドットを有する拡散領域と、
前記拡散領域の外縁位置に設けられた溝部と、
を備えたものである。
【0008】
この導光板は、側面から入射された光が、拡散領域に設けられた複数の屈曲ドットによって屈折し、主に主面から導出される。このとき、屈曲ドットが必ずしも拡散領域の外縁に位置するとは限らないが、拡散領域の外縁位置に溝部が設けられているため、拡散領域の外縁には、必ず溝部が位置することになる。こうすることにより、拡散領域の外縁では必ず光が屈曲することになるため、溝部を有しない場合と比較して、より拡散領域の外縁を明確にすることが可能となる。なお、ここで「外縁位置」とは、複数の屈曲ドットによって所望の形状が形成された拡散領域を囲む所定の幅を有する領域を意味し、拡散領域の境界及びその近傍の位置を意味する。
【0009】
本発明の導光板において、前記溝部の幅は、前記屈曲ドットのそれぞれの幅よりも広い幅であってもよい。こうすることにより、溝部の幅がそれぞれの屈曲ドットの幅よりも狭い場合と比較して、拡散領域の外縁で屈折される光の幅を広くすることが可能となる。言い換えると、溝部の幅がそれぞれの屈曲ドットの幅よりも狭い場合と比較して、より拡散領域の外縁部を明確にすることができる。
【0010】
本発明の導光板において、前記溝部の深さは、前記屈曲ドットの深さよりも浅い深さであってもよい。
こうすることにより、側面から入射された光の少なくとも一部は溝部で屈曲されることなく屈曲ドットまで到達することになるため、拡散領域の内側で十分な光量を保ちつつ、拡散領域の外縁を明確にすることができる。
【0011】
本発明の導光板において、前記屈曲ドット及び前記溝部は、前記主面の一面側に設けられていてもよい。こうすることにより、屈曲ドット及び溝部で屈曲された光は主に他面側から導出されることになるため、他面側から視認した場合にはより明るく見え、一面側から視認した場合には拡散領域によって形成されるデザインがより明確に見える。言い換えると、一面側から視認した場合と他面側から視認した場合とで、拡散領域の見え方を変えることができる。
【0012】
本発明の導光板において、前記屈曲ドットは、前記主面の一面側に設けられており、前記溝部は、前記主面の他面側に設けられていてもよい。こうすれば、屈曲ドットは主面の一面側に、溝部は主面の他面側に、それぞれ導光板の厚さ方向にずれて設けられることになる。こうすることにより、屈曲ドットで屈曲される光の位置と溝部で屈曲される光の位置とを導光板の厚さ方向にずらすことができる。言い換えると、屈曲ドットと溝部とが主面の同一面側に設けられている場合と比較して、拡散領域が立体的に見える。この態様を採用した本発明の導光板において、前記溝部の少なくとも一部は、前記主面の他面側であって、前記拡散領域の外縁位置に相当する位置よりも拡散領域側に設けられていてもよい。こうすれば、溝部を外周位置に形成する場合と比較して、溝部の位置を合わせるための制御の労力をより低減しつつ、拡散領域の境界を明確にすることができる。
【0013】
本発明の照明装置は、上述したいずれか1つに記載の導光板と、前記導光板の側面から照射光を入射する光源と、を備えたものである。この照明装置では、上述したいずれか一つの導光板を備えるから、これと同様の効果、例えば、溝部を有しない場合と比較して、より拡散領域の外縁を明確にすることができるという効果を得ることができる。
【0014】
本発明の導光板の製造方法は、複数の屈曲ドットを有する拡散領域と、前記拡散領域の外縁位置に設けられた溝部と、を主面に備え、側面から光を入射して、主に主面から該光を導出する導光板の製造方法であって、
(a)超音波加工用ホーンの先端面に配置された加工ドットを押圧することで、該加工ドットの形状を反映した形状で主面に複数の屈曲ドットを形成し、前記拡散領域を形成する拡散領域形成ステップと、
(b)前記拡散領域形成ステップで形成した前記拡散領域の外縁位置にレーザー加工機で前記溝部を形成する溝部形成ステップと、
を含む導光板の製造方法である。
【0015】
この導光板の製造方法では、側面から光を入射して主に主面から該光を導出する導光板に対して、超音波加工用ホーンの先端面に配置された加工ドットを押圧することで該加工ドットの形状を反映した形状で主面に複数の屈曲ドットを形成し、前記拡散領域形成ステップで形成した拡散領域の外縁位置にレーザー加工で溝部を形成する。こうすることにより、拡散領域の外縁には側面から入射した光を屈曲させる溝部が必ず位置することになり、溝部を有しない場合と比較して、より拡散領域の外縁を明確にすることが可能となる。例えば、超音波加工用ホーンの先端面に縦横それぞれ4つの加工ドットを配置することで製造時の労力を低減する場合が想定されるが、このような製造方法で外縁が曲線形状となる拡散領域を有する導光板を製造する場合には、本発明の効果が特に大きい。なお、この導光板の製造方法において、上述した導光板の種々の態様を採用しても良いし、また、上述した導光板の各構成を製造するようなステップを追加しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】導光板20の構成の概略を示す正面図である。
【図2】導光板20の構成の概略を説明するための説明図である。
【図3】導光板20の製造方法を説明するための説明図である。
【図4】溝部34の有無による違いを比較した比較図である。
【図5】導光板20を有するLED照明器具100の構成の概略を示す斜視図である。
【図6】他の実施の形態における導光板120の構成の概略を示す正面図である。
【図7】溝部34のレーザー加工痕36のパターンを説明するための説明図である。
【図8】他の実施の形態における導光板130の構成の概略を示す正面図である。
【図9】他の実施の形態における導光板130の構成の概略を説明するための説明図である。
【図10】他の実施の形態における導光板140の構成の概略を示す正面図である。
【図11】他の実施の形態における導光板140の構成の概略を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、上記簡単に説明した図面に基づいて、本発明を実施するための形態を説明するにあたり、本実施の形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施の形態の導光板20が本発明の導光板に相当し、屈曲ドット32が屈曲ドットに相当し、拡散領域30が拡散領域に相当し、溝部34が溝部に相当し、レーザー加工痕36がレーザー加工痕に相当し、LED112が光源に相当し、照明装置100が照明装置に相当し、超音波加工用ホーン40が超音波加工用ホーンに相当し、加工ドット42が加工ドットに相当し、レーザー加工機50がレーザー加工機にそれぞれ相当する。なお、導光板20の製造方法及び使用方法の一例を示すことにより、本発明の実施方法の一例を明らかにしている。
【0018】
次に、図1及び図2を用いて、導光板20の構成を詳しく説明する。ここで、図1は、本発明の実施の形態の一例である導光板20の構成の概略を示す正面図である。また、図2は、導光板20の構成の概略を説明するための説明図であり、図2(A)は、図1中A部の拡大図を、図2(B)は、図2(A)のB−B断面における断面図を、それぞれ表している。本発明の実施の形態の一例である導光板20は、厚さが約4ミリメートルから約12ミリメートルであり、略直方体の板状に形成された透過性を有するメタクリル樹脂製の板である。この導光板20は、複数の屈曲ドット32を有する拡散領域30と、拡散領域30の外縁位置に設けられた溝部34とを主面の一面側に備えている。この導光板20の側面から光が入射されると、屈曲ドット32及び溝部34で光が屈折し、主に主面から光が導光される。なお、主面において、屈曲ドット32が形成されている側を一面側、一面側と反対側を他面側と呼び、特に断りのない限りは、主に光が導出される他面側を視点として説明する。また、図中の屈曲ドット32、レーザー加工痕36及び溝部34の大きさは、作図の都合上、実際よりも大きく描いている。
【0019】
屈曲ドット32は、図1に示すように、略四角錐形状に凹む凹部であり、四角錐の底面に相当する位置が導光板20の一面側に位置するように設けられている。この屈曲ドット32を形成する四角錐の底面の各頂点を結ぶ各対角線は、導光板20の各辺とそれぞれ略平行となるように設けられている。このため、側面から光が入射した場合には、この対角線と光路とが略平行になり、四角錐の各面に対して光が垂直に入射することがない。言い換えると、側面から入射した光が屈曲ドット32で屈曲せずに直進する可能性が無いため、四角錐の底面の各辺が導光板20の各辺と略平行である場合と比較して、より明るく見える。
【0020】
溝部34は、図1に示すように、拡散領域30の外縁位置に設けられており、複数のレーザー加工痕36によって形成されている(図2(B)参照)。このレーザー加工痕36は、溝部34の外周位置をレーザー加工した後に、溝部34の一端側から他端側まで直線状に複数回レーザー光を照射することにより連結し、例えば、はしごのような形状や作図の際に用いられるハッチング形状と似たような形状を形成する。溝部34の一端側と他端側を結ぶハッチング形状を形成するレーザー加工痕36は、導光板20の横方向に対して略平行に形成されているため、例えば、下方から光が入射された場合には、光路とレーザー加工痕36とが必ず交差することになり、光が屈折する。言い換えると、レーザー加工痕36を導光板20の縦方向に対して略平行に形成した場合と比較して、より溝部34が明るく見える。また、拡散領域30の外縁位置に配置された溝部34の外周位置は、レーザー加工痕36によって囲われているため、側面から入射した光が必ず屈曲することになる。例えば、拡散領域30にマトリクス状に屈曲ドット32が配置された場合には、拡散領域30の外縁に屈曲ドット32が位置するとは限らないため、拡散領域30の外縁で光が屈曲しない可能性があるが、このような可能性を未然に低減することができ、拡散領域30が屈曲ドット32のみで構成されている場合と比較して、より拡散領域30の外縁を明確にすることができる。なお、レーザー加工痕36の一例としては、例えば、幅を26マイクロメートルとすることができる。
【0021】
この溝部34の幅は、図2に示すように、屈曲ドット32の幅よりも広くなるように形成されている。このため、側面から入射した光は、屈曲ドット32よりも溝部34で幅広く屈曲することになり、溝部34の幅が屈曲ドット32の幅よりも狭い場合と比較して、拡散領域30の外縁を太く光らせることができる。言い換えると、拡散領域30の外縁をより明確にすることができる。また、溝部34の深さは、屈曲ドット32の深さよりも浅くなるように形成されているため(図2(B)参照)、側面から入射した光の少なくとも一部は、溝部34で屈曲されることなく屈曲ドット32まで到達することになる。このため、溝部34の深さが屈曲ドット32の深さと同等か又は溝部34の深さが屈曲ドット32の深さより深い場合と比較して、屈曲ドット32で屈曲される光量をより多くすることができる。言い換えると、拡散領域30の内側で十分な光量を保ちつつ、拡散領域30の外縁を明確にすることができる。なお、屈曲ドット32の一例としては、例えば、各辺の長さが約0.6ミリメートル、深さが約0.4ミリメートルであり、隣あう屈曲ドット32間のピッチが約1.2ミリメートルとすることができる。
【0022】
ここで、こうして構成された本実施の形態の導光板20の製造方法について説明するにあたり、屈曲ドット32の形成に用いられる超音波加工用ホーン40について説明する。超音波加工用ホーン40は、図示しない公知の超音波加工機と接続されており、先端面に加工ドット42が縦横それぞれ4つずつ、マトリクス状に配置されている。この加工ドット42は、略四角錐形状であり、加工ドット42の底面の各頂点をそれぞれ結ぶ対角線と超音波加工用ホーン40の各辺とが、それぞれ略平行となるように超音波加工用ホーン40の先端面に設けられている。
【0023】
次に、導光板20の製造方法について、図3及び図4を用いて詳しく説明する。ここで、図3、導光板20の製造方法の一例を説明する説明図であり、図3(A)は、超音波加工用ホーン40を導光板20に当接する前の状態(加工前の導光板20)を、図3(B)は、導光板20に超音波加工用ホーン40を当接した状態を、図3(C)は、レーザー加工機50を照射した後の状態を、それぞれ示している。また、図4は、溝部34の有無を比較した比較図であり、図4(A)は、導光板20の一面側を超音波加工用ホーン40で加工した状態を、図4(B)は、更にレーザー加工機50を用いて、拡散領域30の外縁位置に溝部34を形成した状態を、それぞれ示している。
【0024】
導光板20の主面に拡散領域30を形成する際には、まず、図3(A)に示すように、超音波加工用ホーン40を所望の位置に移動する。次に、超音波加工用ホーン40に超音波振動を印加し、図3(B)に示すように、導光板20の主面に対して垂直に超音波加工用ホーン40を押圧した後、超音波加工用ホーン40を主面に対して垂直に遠ざける。こうすることにより、加工ドット42の形状が反映された形状で屈曲ドット32を形成し、図4(A)に示すように、拡散領域30内に複数の屈曲ドット32を形成する。
【0025】
次に、図3(C)に示すように、レーザー加工機50を拡散領域30の外縁位置に位置決めし、レーザー照射部52より拡散領域30の外縁位置に沿ってレーザー光を照射し、溝部34を形成する(図4(B)参照)。具体的には、レーザー照射部52よりレーザー光を照射し、溝部34の外周位置をレーザー加工する。次に、溝部34の一端側から他端側まで直線状に複数回レーザー光を照射することにより、溝部34の一端側と他端側とをレーザー加工して連結しレーザー加工痕36を形成し、溝部34を形成する(図2(a)参照)。この状態の溝部34は、例えば、はしごのような形状や作図の際に用いられるハッチング形状と似たような形状のレーザー加工痕36を有することになる。こうすることにより、細いレーザー光を用いて、幅の太い溝部34を形成することができる。言い換えると、高出力のレーザー光を使用して溝部34の幅と同程度の幅のレーザー加工痕36を形成する場合と比較して、省エネルギーに資すると共に、短時間で溝部34を形成することができる。このとき、溝部34の幅は屈曲ドット32の幅よりも太い幅で形成されるため、側面から入射した光は、屈曲ドット32よりも溝部34で幅広く屈曲することになり、溝部34の幅が屈曲ドット32の幅よりも狭い場合と比較して、拡散領域30の外縁を太く光らせることができる。言い換えると、拡散領域30の外縁をより明確にすることができる。同時に、溝部34の深さは、屈曲ドット32の深さよりも浅くなるように形成されている。こうすることにより、溝部34よりも屈曲ドット32の方が屈折させる光量が多くなり、拡散領域30の内側で十分な光量を保ちつつ、拡散領域30の外縁を明確にすることができる。
【0026】
このようにして製造した導光板20を用いた照明装置100について、図5を用いて、詳しく説明する。ここで、図5は、照明装置100の構造の概略を示す斜視図である。照明装置100は、図5に示すように、本体部110の上面に複数のLED112が設けられており、LED112の上方に導光板20の側面が位置するように、導光板20が取り付けられている。この照明装置100は、図示しない電源より供給された電力によって複数のLED112が点灯すると、導光板120の側面に光が入射される。この光は屈曲ドット32及び溝部34で屈曲され、導光板20の主面の他面側から導出されることになる。こうすることにより、溝部34を有しない場合と比較して、拡散領域30に描かれたSの文字の外縁がより明確に表示することができる。また、溝部34の内側を形成するレーザー加工痕36は、LED112から照射された光の光路に対して略垂直方向に形成されているため、光路と略平行に形成されている場合と比較して、より溝部34が明るく見える。
【0027】
以上詳述した本実施形態の導光板20によれば、側面から入射された光が、屈曲ドット32及び溝部34で屈曲され、主に主面から導出される。溝部34は拡散領域30の外縁位置に設けられているため、溝部34が設けられていない場合と比較して、拡散領域30の外縁を明確にすることができる。例えば、複数の加工ドット42がマトリックス状に配置された超音波加工用ホーン40を用いてS字形状の拡散領域30を形成するような場合には、拡散領域30の外縁に屈曲ドット32が常に位置するとは限らないため、溝部34を設けることによる効果が大きい。
【0028】
また、溝部34の幅は屈曲ドット32の幅よりも広い幅で形成されているため、溝部34の幅が屈曲ドット32の幅よりも狭い場合と比較して、拡散領域30の外縁で屈折される光の幅を広くすることが可能となる。言い換えると、溝部34の幅が屈曲ドット32の幅よりも狭い場合と比較して、より拡散領域30の外縁を明確にすることができる。
【0029】
更に、溝部34の深さは屈曲ドット32の深さよりも浅い深さで形成されているため、側面から入射した光の少なくとも一部は、溝部34で屈曲されることなく屈曲ドット32まで到達することになり、拡散領域30の内側で十分な光量を保ちつつ、拡散領域30の外縁を明確にすることができる。
【0030】
更にまた、屈曲ドット32及び溝部34は、いずれも主面の一面側に設けられているため、他面側から見た際に、これらがいずれも他面側に設けられている場合と比較して、屈曲ドット32及び溝部34によって屈曲される光量が大きくなり、明るく見える。一方、一面側から見た際には、拡散領域30によって形成されるS字のデザインがより明確に見える。このため、一面側から見た際と他面側から見た際とで、拡散領域30の見え方を変えることができる。
【0031】
そして、照明装置100は、導光板20を備えているため、上述した導光板20の効果、例えば、溝部34を有しない場合と比較して、より拡散領域30の外縁を明確にすることができるという効果を得ることができる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上述した実施の形態では、屈曲ドット32の各辺の長さが0.6ミリメートル、深さが0.4ミリメートルであるとしたが、これに限定されるものではなく、屈曲ドットの各辺の長さは、例えば、0.6ミリメートル〜1.5ミリメートルであっても良い。また、屈曲ドットの深さは、例えば、0.4ミリメートル〜0.8ミリメートルであっても良い。いずれの場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0034】
また、隣あう屈曲ドット32間のピッチが1.2ミリメートルとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、約1.5ミリメートル、約2.0ミリメートル及び約8.0ミリメートルのピッチとしてもよい。いずれの場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0035】
上述した実施の形態では、縦横それぞれ4つずつマトリクス状に加工ドット42が先端面に配置された超音波加工用ホーン40を用いて屈曲ドット32を形成するものとしたが、超音波加工用ホーン40の先端面に配置される加工ドット42の数はこれに限定されるものではなく、例えば、それぞれ5つ配置されたものであってもよいし、10個配置されたものであってもよい。配置される加工ドット42の数が増えれば増えるほど、屈曲ドット32を加工する際の加工労力が低減し、拡散領域30の外縁に屈曲ドット32が配置されないケースが多くなるため、溝部34を形成することによる効果が大きくなる。
【0036】
上述した実施の形態では、溝部34の外周位置と溝部34の一端側と他端側とを結ぶ直線位置とにレーザー加工痕36を形成するものとしたが、図6に示すように、溝部34の一端側と他端側とを結ぶ直線位置にのみレーザー加工痕36を形成し、溝部34の外周位置にはレーザー加工痕36を形成しなくても良い。こうすれば、レーザー加工の際にレーザー照射部52を直線的に動かすことで溝部34を形成することができるため、溝部34の外周位置にレーザー加工痕36を形成する場合と比較して、上述した実施の形態と同様の効果を得ながら、よりレーザー照射部52の制御の労力を低減すると共に、より短時間で溝部34を形成することができる。なお、ここで図6は、本発明の実施の形態の他の一例である導光板120を示す正面図である。
【0037】
上述した実施の形態では、溝部34の一端側と他端側を結ぶハッチング形状を形成するレーザー加工痕36は導光板20の横方向に対して略平行に形成されているものとしたが、図7(A)に示すように、導光板20の縦方向に対して略平行に形成されるものとしても良い。こうすれば、導光板20の横方向から光が入射した場合にレーザー加工痕36と光路が交差することになり、より明るく見える。また、図7(B)に示すように、外縁と略等間隔となる位置にレーザー加工痕36を形成されるものとしても良い。こうすれば、光の屈曲位置が外縁と略等間隔になるため、美観に優れる。更にまた、図7(C)に示すように、導光板20の横方向に対して所定の角度を有する斜線形状に形成するものとしてもよい。こうすれば、光が横方向及び縦方向のいずれの方向から入射した場合であっても、必ずレーザー加工痕36と光路とが交差することになり、より明るく見える。そして更に、図7(D)に示すように、レーザー加工痕36が互いに交差するように形成されるものとしても良い。この場合も、光が横方向及び縦方向のいずれの方向から入射しても、必ずレーザー加工痕36と光路とが交差することになり、入射光が必ず主面に屈曲することになる。言い換えると、溝部34がより明るく見える。このとき、レーザー加工痕36が互いに交差する交差角は、任意の角度を選択することができるが、例えば、略90度で交差する格子状やマトリクス状としてもよい。更にまた、図7(E)に示すように、レーザー加工痕36で所望の文字を形成しても良い。こうすれば、屈曲した光にメッセージ性を込めることができる。なお、ここで図7は、溝部34に設けられたレーザー加工痕36を説明するために、溝部34の一部を含む領域を拡大した拡大図である。
【0038】
上述した実施の形態では、屈曲ドット32及び溝部34がいずれも主面の一面側に設けられるものとしたが、図8及び図9に示すように、屈曲ドット32を主面の一面側に設け、溝部34を主面の他面側に設けてもよい。こうすれば、屈曲ドット32で屈曲される光の位置が溝部34で屈曲される光の位置よりも一面側になるため、拡散領域30の外縁を明確にしつつ、S字のデザインがより立体的に見える。なお、図8は、本発明の実施の形態の他の一例である導光板130の構成の概略を示す正面図である。また、図9は、導光板130の構成の概略を説明するための説明図であり、図9(A)は、図8中A部の拡大図を、図9(B)は、図9(A)のB−B断面における断面図を、それぞれ表している。
【0039】
このとき、図10及び図11に示すように、溝部34の一部が、主面の他面側であって拡散領域30の外縁位置に相当する位置よりも拡散領域30側に設けられていても良い。こうすれば、溝部34を外周位置に形成する場合と比較して、溝部34の位置を合わせるための制御の労力をより低減しつつ、拡散領域30の境界を明確にすることができる。なお、図10は、本発明の実施の形態の他の一例である導光板140の構成の概略を説明するための正面図である。また、図11は、導光板140の構成の概略を説明するための説明図であり、図11(A)は、図10中A部の拡大図を、図11(B)は、図11(A)のB−B断面における断面図を、それぞれ表している。
【0040】
上述した実施の形態では、導光板20を照明装置100に備えるものとしたが、導光板120を備えていても良い。こうすれば、導光板20を備える場合と比較して、よりレーザー照射部52の制御の労力を低減すると共に、より短時間で溝部34を形成しながら、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、導光板130を備えるものとしても良い。こうすれば、屈曲ドット32で屈曲される光の位置が溝部34で屈曲される光の位置よりも一面側になるため、拡散領域30の外縁を明確にしつつ、S字のデザインがより立体的に見える。更に、導光板140を備えるものとしても良い。こうすれば、溝部34を外周位置に形成する場合と比較して、溝部34の位置を合わせるための制御の労力をより低減しつつ、拡散領域30の境界を明確にすることができる。
【0041】
上述した実施の形態では、拡散領域30に複数の屈曲ドット32を設けるものとしたが、屈曲ドット32の形状及び大きさは、同一であっても良いし、異なっていても良い。例えば、LED112から遠ざかるにつれて、屈曲ドット32の各辺を徐々に長くしたり、屈曲ドット32の深さを徐々に深くしたりしても良い。こうすれば、LED112から近く光が強い位置では屈曲される光量が小さくなり、LED112から遠ざかるにつれて屈曲される光量が大きくなるため、上述した実施の形態の効果に加えて、拡散領域30を均等に見せることができる。
【0042】
一方、例えば、LED112から遠ざかるにつれて、屈曲ドット32の各辺を徐々に短くしたり、屈曲ドット32の深さを徐々に浅くしたりしても良い。こうすれば、LED112から遠ざかるにつれて屈曲される光量が小さくなるため、上述した実施の形態に加えて、拡散領域30にグラデーションをかけて見せることができる。
【0043】
上述した実施の形態では、溝部34の外周位置と溝部34の一端側と他端側とを結ぶ直線位置とにレーザー加工痕36を形成するものとしたが、溝部34の幅を広く形成する方法はこの方法に限定されるものではなく、溝部34の領域内に任意の形状でレーザー加工痕36を形成することで溝部34を形成しても良い。また、レーザー加工痕36同士の間隔は任意の間隔で形成することができ、必ずしも等間隔である必要はなく、溝部34の底面が同一の深さである必要もない。拡散領域30の外縁を視認できる形状であれば、いずれの方法であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0044】
上述した実施の形態では、導光板20は透過性を有するメタクリル樹脂製の板であるものとしたが、透過性を有する素材であればメタクリル樹脂製に限定されるものでなく、メチルメタクリレートやエチルメタクリレート等のメタクリル樹脂意外にも、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアクリル製樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン等の種々の素材を用いることができる。いずれの場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
上述した実施の形態で示すように、照明分野、特に照明用の導光板として利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
20…導光板、30…拡散領域、32…屈曲ドット、34…溝部、36…レーザー加工痕、40…超音波加工用ホーン、42…加工ドット、50…レーザー加工機、52…レーザー照射部、100…照明装置、110…本体部、112…LED、120…導光板、130…導光板、140…導光板。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面から光を入射して、主に主面から該光を導出する導光板であって、
前記導光板の主面の一部の領域であって、複数の屈曲ドットを有する拡散領域と、
前記拡散領域の外縁位置に設けられた溝部と、
を備えた、
導光板。
【請求項2】
前記溝部の幅は、前記屈曲ドットの幅よりも広い幅である、
請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記溝部の深さは、前記屈曲ドットの深さよりも浅い深さである、
請求項1又は2に記載の導光板。
【請求項4】
前記屈曲ドット及び前記溝部は、前記主面の一面側に設けられている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項5】
前記屈曲ドットは、前記主面の一面側に設けられており、
前記溝部は、前記主面の他面側に設けられている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項6】
前記溝部の少なくとも一部は、前記主面の他面側であって、前記拡散領域の外縁位置に相当する位置よりも拡散領域側に設けられている、
請求項5に記載の導光板。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の導光板と、
前記導光板の側面から照射光を入射する光源と、
を備えた、
照明装置。
【請求項8】
複数の屈曲ドットを有する拡散領域と、前記拡散領域の外縁位置に設けられた溝部と、を主面に備え、側面から光を入射して、主に主面から該光を導出する導光板の製造方法であって、
(a)超音波加工用ホーンの先端面に配置された加工ドットを押圧することで、該加工ドットの形状を反映した形状で主面に複数の屈曲ドットを形成し、前記拡散領域を形成する拡散領域形成ステップと、
(b)前記拡散領域形成ステップで形成した前記拡散領域の外縁位置にレーザー加工機で前記溝部を形成する溝部形成ステップと、
を含む導光板の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−155973(P2012−155973A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13321(P2011−13321)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000127857)株式会社エス・ケー・ジー (105)
【Fターム(参考)】