説明

導光板及びこの導光板を備える照明装置

【課題】出射エネルギーを効果的に向上させることができるドットパターンに従って反射部が配置された導光板を提供する。
【解決手段】即ち、導光板は、入射面と、出射面と、複数の凹状反射部60と、を備える。入射面は、光源から光が入射する端面である。出射面は、入射面から入射した光が出射する厚み方向を向いた面である。複数の凹状反射部60は、入射面から入射した光を出射面側に反射するために円錐台形状に形成される。また、複数の凹状反射部60は、出射面から見たときに、入射面に直交する方向(Y方向)に対して傾斜する複数の仮想的な直線90上に配置されている。そして、複数の凹状反射部60は、入射面から見たときに、入射面に直交する方向(Y方向)で隣接する凹状反射部60の中心が一致しないように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要には、反射部が複数配置された導光板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LEDを光源として用いる照明装置において、導光板を介して光源の光を目的の方向に照射する構成が知られている。照明装置に用いられる導光板には、微細な形状の複数の反射部を配置し、これらの反射部によって、導光板に照射された光を目的の方向により多く反射するものがある。この種の導光板を備えた照明装置を開示するものとして、例えば特許文献1がある。特許文献1には、反射部が複数形成された導光板を用いた照明装置をバックライトとして採用した液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−149640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者の研究成果によって、微少な円錐台形状の反射部を導光板に配置することで、入射面から入射した光を入射面と直交する向きに位置する出射面側に効率的に反射できることが判っている。このような円錐台形状が複数配置された導光板を備える照明装置の照射光の輝度を向上させる方法として、導光板に形成される反射部の数を増やすことが考えられるが、1枚の導光板に形成できる反射部の数には限界がある。従って、従来の円錐台形状の反射部を配置する導光板において、出射エネルギーの向上という観点から改善の余地があった。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、出射エネルギーを効果的に向上させることができるドットパターンに従って反射部が配置された導光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第1の観点によれば、以下のように構成される導光板が提供される。即ち、導光板は、入射面と、出射面と、反射部と、を備える。この導光板において、前記入射面は、光源から光が入射する端面として構成され、前記出射面は、前記入射面から入射した光が出射する、当該導光板の厚み方向を向いた面として構成される。複数の前記反射部は、前記入射面から入射した光を出射面側に反射するために円錐台形状に形成される。また、複数の前記反射部は、前記出射面から見たときに、前記入射面に直交する方向に対して傾斜する複数の仮想直線上に配置されている。そして、複数の前記反射部は、前記入射面から見たときに、前記入射面に直交する方向で隣接する反射部の中心が一致しないように配置されている。
【0008】
これにより、入射面に直交する直線上に反射部を規則的に配置する場合に比べ、入射面に直交する方向で隣り合う反射部間の隙間を小さくすることができ、導光板1枚あたりに配置できる反射部の数を多くできる。入射面からの光を出射面に効率的に反射できる円錐台形状の反射部を多く配置できるので、光源の光を効率的に活用し、導光板から出射される光の強さを効果的に向上させることができる。
【0009】
前記の導光板においては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記入射面の向きと前記出射面の向きは直交する関係にある。そして、前記出射面に平行な方向であって、前記入射面に平行な方向で見たときに、同一の前記仮想直線上で隣接する反射部が重複するように配置されている。
【0010】
これにより、単位面積あたりに配置できる反射部の数をより多くできるとともに、入射面からみたときの反射部間の隙間が微少なものになるので、入射面側からの光を出射面側により効率的に反射できる。従って、導光板から出射される光の強さを効果的に向上させることができる。
【0011】
前記の導光板においては、前記仮想直線の傾斜角度が30度であることが好ましい。
【0012】
これにより、入射面から見たときの反射部の偏りをなくすことができる。従って、反射部によって出射面側に反射される光の偏りを効果的に抑制し、導光板の均斉度を効果的に向上させることができる。
【0013】
本発明の第2の観点によれば、前記導光板を備える照明装置が提供される。
【0014】
これにより、輝度の高い導光板を用いて効率的に光を照射できる照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る導光板を備える照明装置の構成を示した分解斜視図。
【図2】図2(a)は、導光板の内部の様子を模式的に示した側面図。図2(b)は、凹状反射部に光が衝突して反射する様子を示した模式図。
【図3】導光板に形成される凹状反射部のドットパターンを説明するための説明図。
【図4】エネルギー分布及び輝度分布を調べるためのシミュレーション条件を説明するための説明図。
【図5】シミュレーションに設定される凹状反射部のドットパターンを示した模式図。
【図6】図5のドットパターンに従って凹状反射部が配置された場合のエネルギー分布及び輝度分布を模式的に示した図。
【図7】シミュレーションに設定される凹状反射部のドットパターンを示した模式図。
【図8】図7のドットパターンに従って凹状反射部が配置された場合のエネルギー分布及び輝度分布を模式的に示した図。
【図9】図9(a)は、図5(a)及び図7(a)のドットパターンに従って、凹状反射部が配置された導光板のエネルギー分布を模式的に示した図。図9(b)は、本発明の一実施形態に係る導光板のエネルギー分布を模式的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る導光板50を備える照明装置10の構成を示した分解斜視図である。図2(a)は、照明装置10が備える導光板50の内部の様子を模式的に示した側面図である。図2(b)は、凹状反射部60に光が衝突して反射する様子を示した模式図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の照明装置10は、ケーシング21と、LED22と、導光板50と、反射板23と、を備える。
【0018】
ケーシング21は、照明装置10の各部を保持するためのものであり、このケーシング21によって、LED22と、導光板50と、反射板23と、が保持されている。
【0019】
LED22は、照明装置10の光源である。本実施形態の照明装置10は、導光板50を介してLED22の光を目的の方向(導光板50の厚み方向の一側)に照射するように構成されている。図2(a)に示すように、LED22は、導光板50の側面に対面するように前記ケーシング21に固定されている。本実施形態においては、6個のLED22が、導光板50の短手方向に並列配置されている。
【0020】
導光板50は、LED22の光を目的の方向に照射するための導光部材である。本実施形態の導光板50は、LED22の光が透過可能な適宜の樹脂等によって平板状に構成されており、入射面61と、出射面62と、凹状反射部60と、を備えている。
【0021】
入射面61は、LED22からの光が導光板50の内部に入射するときに通過する面である。本実施形態において、入射面61は、導光板50が有する端面のうちの1つとされており、LED22と対面している。出射面62は、導光板50の内部に入射した光が外部に出射するときに通過する面であり、導光板50の厚み方向一側の平面部分に形成されている。本実施形態において、入射面61と出射面62は向きが直交するように配置されている。
【0022】
凹状反射部60は、導光板50の内部に入射した光を出射面62に向けて反射するためのものである。図2(a)に示すように、凹状反射部60は、導光板50において出射面62の反対側の面(底面)に複数形成されている。本実施形態の凹状反射部60は、その底面の直径が52μm、上面の直径が10μm、高さが30μmの円錐台形状となるように形成されている。導光板50に凹状反射部60を形成する方法としては、例えばフォトリソグラフィ等を用いることができる。また、凹状反射部60は、入射面61からの光を出射面62に効率的に導くことができるドットパターン(配置パターン)に従って配置されている。このドットパターンの詳細については後述する。なお、本明細書において、円錐台といった場合には、真円の円錐台だけではなく、楕円の円錐台も含むものとする。
【0023】
反射板23は、導光板50の外側に漏れ出ようとする光を導光板50の内側に戻すためのものである。図1に示すように、反射板23は、導光板50の底面と対面するようにケーシング21に取り付けられる。この反射板23は、アルミニウムを適宜の樹脂に蒸着させて構成されており、導光板50と対面する面が鏡面加工されている。なお、反射板23と同じ材料で構成されたものを入射面61以外の導光板50の端面に形成してもよい。
【0024】
この構成で、LED22が点灯すると、LED22からの光が導光板50の内部に入射面61を通過して進入する。内部に進入した光は、導光板50の内部で反射を繰り返す。図2(b)に示すように、導光板50の内部で反射を繰り返す過程で、凹状反射部60の傾斜面に衝突した光は、その傾斜によって出射面62側へ導かれる。この反射光は、反射によって進行方向が出射面62に直交する方向に近くなっており、導光板50の内部に留まることなく(出射面62で反射することなく)、当該導光板50の外部へ放射される。
【0025】
次に、凹状反射部60のドットパターンについて説明する。図3(a)は、導光板50に形成される凹状反射部60のドットパターンを示した模式図である。図3(b)は、隣り合う凹状反射部60の位置関係を示した模式図(平面図)である。なお、以下の説明において、入射面61に直交する方向であって出射面62に平行な方向である導光板50の長手方向をY方向とする。また、入射面61に平行な方向であって出射面62に平行な方向である導光板50の短手方向をX方向とする(図1及び図2の矢印参照)。
【0026】
図3(a)の破線に示すように、凹状反射部60は、出射面62から見たときに、Y方向に対して所定の傾斜角度で傾斜する複数の直線(仮想直線)90上に配置される。図3(b)に示すように、本実施形態の直線90は、出射面62から見たときに、Y方向に対して入射面61側に30度傾斜している。また、複数の直線90は、互いに平行であり、等間隔に配置されている。凹状反射部60は、この直線90ごとに所定の間隔(後述するピッチ)で規則的に配置されている。
【0027】
図3(b)に示すように、凹状反射部60は、前記直線90上に等間隔に配置されており、凹状反射部60の中心から直線90上で隣り合う凹状反射部60の中心までの距離が55μmに設定されている。なお、ここでいう凹状反射部60の中心とは、出射面62から見たときの凹状反射部60の中心(円の中心)のことをいう。以下の説明において、凹状反射部60の中心から所定の方向で隣り合う凹状反射部60の中心までの距離を凹状反射部60のピッチと称することがある。
【0028】
また、図3(b)に示すように、凹状反射部60は、X方向に平行な方向にも中心が一致するように配列されている。即ち、凹状反射部60は、Y方向に対して所定の傾斜角度で傾く仮想的な直線90と、X方向に平行な仮想直線と、の交点に配置されていると言うことができる。このX方向に平行な仮想直線は、Y方向に等間隔に並んでいる。図3(b)に示すように、このドットパターンに従って配列される凹状反射部60は、出射面62から見たときに、自身を頂点の1つとする平行四辺形を形成していると言うこともできる。そして、この平行四辺形の対角線の長さは、直線90の方向で隣り合う凹状反射部60のピッチと同じく55μmになる(図3(b)を参照)。
【0029】
また、図3(b)のY方向に平行な破線が示すように、Y方向で隣接する凹状反射部60の中心が一致しないように、直線90における凹状反射部60のピッチ及び配置位置が設定されている。本実施形態では、凹状反射部60のピッチが55μmに設定されている。ここで、凹状反射部60の底面の直径は52μmであり、直線90で隣接する凹状反射部60のピッチ(55μm)が、底面の直径(52μm)に非常に近い値(+3μmの範囲)になっている。これによって、X方向で見たときに、同一の直線90で隣接する凹状反射部60が距離dだけ重複するような位置関係になる(図3(b)を参照)。このように、直線90上の凹状反射部60が非常に近い位置に配置されることによって、X方向で並ぶ凹状反射部60と凹状反射部60の間にできるスペースを活用し、導光板50の限られた面積に配置できる凹状反射部60の数を効率的に増やすことができる。また、入射面61から(Y方向で)見たときに、導光板50の底面において、凹状反射部60が配置されていない箇所が少なくなり、入射面61からY方向に進入した光を効率的に出射面62側へ反射することができる。
【0030】
次に、図4から図6までを参照して、所定の傾斜角度で傾斜する直線上に凹状反射部60を配置することの有利な効果について説明する。図4は、エネルギー分布及び輝度分布を調べるためのシミュレーション条件を説明するための説明図である。図5は、シミュレーションに設定される凹状反射部60のドットパターンを示した模式図である。図6は、エネルギー分布及び輝度分布を模式的に示した図である。
【0031】
シミュレーションプログラムは、所定の条件が設定された導光板71にLED22を照射したときのエネルギー分布及び輝度分布をシミュレーション解析するプログラムである。このシミュレーションでは、導光板71の出射面の面積、導光板71の厚み、凹状反射部60の形状、凹状反射部60が配置される配置エリア72、導光板71の設定厚み、凹状反射部60のドットパターン等がシミュレーション条件として設定される。
【0032】
図4に示すように、導光板71は、15mm×15mmの出射面を有する矩形状の板として設定されている。この導光板71の厚みは、2.6mmに設定されている。また、このシミュレーションでは、導光板71の側面には反射板23が配置される設定となっており、この反射板23の反射率は90%になっている。
【0033】
凹状反射部60の形状は、底面の直径が52μm、上面の直径が10μm、高さが30μmの円錐台形状に設定されている。シミュレーション上の設定では、この凹状反射部60は、導光板71の中央部分に適宜設定された矩形状の配置エリア72にだけ形成される。即ち、このシミュレーションでは、配置エリア72にだけ凹状反射部60が形成されているものとし、その他の部分には凹状反射部60が形成されていないものとする。そして、配置エリア72の面積は、12mm×12mmに設定されている。
【0034】
次に、シミュレーションプログラムに設定するドットパターンについて説明する。図5には、3通りのドットパターンが示されている。図5(a)は、Y方向に平行な直線とX方向に平行な直線との交点に凹状反射部60を配置するドットパターンである。このドットパターンでは、X方向で隣接する凹状反射部60のピッチと、Y方向で隣接する凹状反射部60のピッチと、が同じ距離になるように設定されている。このシミュレーションでは、図5(a)に示すように、出射面62から見たときに、Y方向に対して45度傾いた方向で隣り合う凹状反射部60のピッチが80μmになるようにドットパターンが設定されている。
【0035】
図5(b)は、直線91の傾斜角度が50度になるように設定されている。凹状反射部60は、傾斜角度50度の直線91と、X方向に平行な仮想直線(図中の破線)と、の交点に配置されており、直線91上で隣り合う凹状反射部60のピッチは、55μmに設定されている。図5(c)は、直線90の傾斜角度が30度になるように設定されている。凹状反射部60は、傾斜角度が30度に設定されている直線90と、X方向に平行な仮想直線(図中の破線)と、の交点に配置されており、直線90上で隣り合う凹状反射部60のピッチは80μmになっている。
【0036】
図6は、図5に示されるドットパターンを設定したシミュレーションの解析結果である。図6(a)、図6(b)及び図6(c)は、それぞれ、図面上側がエネルギー分布(W/m2)を示し、図面下側が輝度分布(cd/m2)を示している。
【0037】
図6(a)は、正方形の格子状に凹状反射部60が配置された図5(a)のドットパターンの解析結果である。このシミュレーションでは、ドット総数(配置エリア72に配置される凹状反射部60の合計)が22500個で、出射エネルギーの総和が1.192mWになった。図6(b)は、直線91の傾斜角度が50度に設定された図5(b)のドットパターンであり、このシミュレーションでは、ドット総数が35081個で、出射エネルギーの総和が1.299mWになった。図6(c)は、直線90の傾斜角度が30度に設定された図5(c)のドットパターンであり、このシミュレーションでは、ドット総数が26100個で、出射エネルギーの総和が1.253mWになった。この解析結果から、Y方向に傾斜する直線上に凹状反射部60が配置されるドットパターンの方が、Y方向と平行な直線上に凹状反射部60が並ぶドットパターンよりも、出射エネルギーの総和が向上していることが判った。
【0038】
また、図6(a)の解析結果が示すように、図5(a)のドットパターンに従って凹状反射部60を配置した場合、導光板71の中央部分で輝度が低下している。一方、図6(b)及び図6(c)のように、Y方向に対して所定の傾斜角度で傾く直線上に凹状反射部60を配置した場合、中央部分で輝度が低下しないことが判った。更に、図6(b)の解析結果からは、図5(b)のドットパターンは、中央部分で輝度が低下していないものの、X方向の一側に輝度の偏りが生じていることが判った。この点、図6(c)の解析結果からは、傾斜角度を30度に設定した図5(c)のドットパターンの場合はX方向で輝度に偏りが生じていないことが判った。
【0039】
以上の結果から、出射エネルギーの総和を向上しつつ、輝度の偏りをなくす観点からは、Y方向に傾く直線の傾斜角度を30度にすることが好ましいことが判った。
【0040】
次に、図7及び図8を参照して、凹状反射部60のピッチの違いによるエネルギー分布及び輝度分布の違いについて説明する。図7は、図5と同様に、シミュレーションに設定される凹状反射部60のドットパターンを示した模式図である。図8は、図6と同様に、図7のドットパターンに従って凹状反射部60を配置した場合のエネルギー分布及び輝度分布を模式的に示した図である。図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、それぞれ、図面上側がエネルギー分布(W/m2)を示し、図面下側が輝度分布(cd/m2)を示している。
【0041】
図7(a)は、図5(a)で説明した正方形の格子状のドットパターンと同じドットパターンである。図7(b)は、図5(c)で説明した傾斜角度が30度に設定された直線90上に凹状反射部60が配置されるドットパターンと同じであり、凹状反射部60のピッチは80μmに設定されたドットパターンである。図7(c)は、傾斜角度が30度に設定された直線90上に凹状反射部60が配置され、当該直線90上の凹状反射部60のピッチが55μmに設定されたドットパターンである。この図7(c)のドットパターンは、上述した照明装置10の導光板50に形成される凹状反射部60のドットパターン(図3(b)を参照)と同じドットパターンである。
【0042】
なお、今回のシミュレーションでは、図5及び図6を参照して説明したシミュレーションの条件と略同じ条件が設定されているが、均斉度を向上させる最適化処理が行われている点が異なる。この最適化処理では、シミュレーションの解析結果に基づいて、導光板71の一部の箇所で凹状反射部60の数を減らす処理が行われる。従って、図5を参照して説明したドットパターンと同じドットパターン(例えば、図5(a)と図7(a))でも、シミュレーションの解析結果(ドット総数、出射エネルギーの総和及び輝度分布)は異なる結果となる。
【0043】
図8(a)は、正方形の格子状に凹状反射部60が配置された図7(a)のドットパターンの解析結果である。このドットパターンに設定した結果、ドット総数は17133個となり、出射エネルギーの総和が1.03mWとなった。図8(b)は、直線90の傾斜角度が30度で、凹状反射部60のピッチが80μmに設定された図7(b)のドットパターンの解析結果であり、ドット総数は19099個になり、出射エネルギーの総和が1.05mWとなった。また、図8(c)は、直線90の傾斜角度が30度で凹状反射部60のピッチが55μmに設定された図7(c)のドットパターンの解析結果であり、ドット総数は、27428個になり、出射エネルギーの総和が1.15mWとなった。
【0044】
以上のシミュレーションの解析結果から、直径が52μmの凹状反射部60のピッチを55μmにすることで、出射エネルギーの総和を効果的に向上させることができることが判った。図7(c)のドットパターンに従って凹状反射部60を配置することで、図7(a)に示されるドットパターンに従って凹状反射部60を配置した場合よりも、出射エネルギーの総和が約12%も向上しているのである。
【0045】
次に、均斉度の観点から、Y方向に対する傾斜角度が30度に設定された直線90と、X方向に平行な直線と、の交点に凹状反射部60が配置された導光板の有利な効果について説明する。図9(a)の導光板は、図5(a)及び図7(a)のドットパターンに従って凹状反射部60が配置された導光板のエネルギー分布を模式的に示した図である。図9(b)の導光板は、本発明の一実施形態に係る導光板(上述した照明装置10で用いられる導光板50と同じ導光板)のエネルギー分布を模式的に示した図である。この導光板には、図7(c)で示したドットパターンに従って凹状反射部60が配置されている。なお、図9は、導光板を出射面側から見た図であり、図面下側が導光板の入射面側になっている。
【0046】
このシミュレーションの解析結果は、以下のようになった。即ち、図9(a)に示す導光板のドット総数は430957個であり、出射エネルギーの総和は12.24mWとなった。一方、図9(b)に示す導光板のドット総数は654444個であり、出射エネルギーの総和は12.91mWとなった。従って、この解析結果からも、傾斜角度が30度の直線上に凹状反射部60を配置することで、出射エネルギーを効率的に向上させることができることが判った。更に、図9(a)と図9(b)を比較すると、図9(a)に比べて図9(b)の方が入射面61の近傍でのエネルギーの集中が改善されている。従って、均斉度を向上させる観点からも本発明が有効であることがこのシミュレーションの解析結果からも証明されたと言える。
【0047】
以上に示したように、本実施形態の照明装置10に用いられる導光板50は、以下のように構成される。即ち、導光板50は、入射面61と、出射面62と、複数の凹状反射部60と、を備える。この導光板50において、入射面61は、光源から光が入射する端面として構成され、出射面62は、入射面61から入射した光が出射する、当該導光板の厚み方向を向いた面として構成される。複数の凹状反射部60は、入射面61から入射した光を出射面62側に反射するために円錐台形状に形成される。また、複数の凹状反射部60は、出射面62から見たときに、入射面61に直交する方向(Y方向)に対して傾斜する複数の仮想的な直線90上に配置されている。そして、複数の凹状反射部60は、入射面61から見たときに、入射面61に直交する方向(Y方向)で隣接する凹状反射部60の中心が一致しないように配置されている。
【0048】
これにより、入射面61に直交する直線上に凹状反射部60を規則的に配置する場合(図5(a)、図7(a)及び図9(a)の例)に比べ、入射面61に直交する方向で隣り合う凹状反射部60間の隙間を小さくすることができる。従って、1枚の導光板50に配置できる凹状反射部60の数を多くできる。入射面61からの光を出射面に効率的に反射できる円錐台形状の凹状反射部60を多く配置できるので、LED22の光を効率的に活用し、導光板50から出射される光の強さを効果的に向上させることができる。このように、輝度の高い導光板50を用いることで、効率的に光を照射できる照明装置10を提供できる。
【0049】
また、本実施形態の導光板50においては、入射面61の向きと出射面62の向きは直交する関係にあるように構成される。そして、出射面62に平行な方向であって、入射面61に平行な方向(X方向で)で見たときに、同一の直線90上で隣接する凹状反射部60が重複するように配置されている(図3(b)の距離d参照)。
【0050】
これにより、単位面積あたりに配置できる凹状反射部60の数をより多くできるとともに、入射面61からみたときの凹状反射部60間の隙間が微少なものになるので、入射面61側からの光を出射面62側により効率的に反射できる。従って、導光板50から出射される光の強さを効果的に向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態の導光板50においては、仮想的な直線90の傾斜角度が30度である。
【0052】
これにより、入射面61から見たときの凹状反射部60の偏りをなくすことができる。従って、凹状反射部60によって出射面62側に反射される光の偏りを効果的に抑制し、導光板50の均斉度を効果的に向上させることができる(図6を参照)。
【0053】
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。
【0054】
上記実施形態の照明装置10で用いられる導光板50の凹状反射部60のピッチは、55μmに設定されているが、この構成は事情に応じて適宜変更することができる。例えば、凹状反射部60のピッチを80μmに設定することもできる。また、凹状反射部60の直径についても事情に応じて適宜変更することができる。
【0055】
また、上記実施形態の照明装置10では、凹状反射部60が出射面62と反対側の面に形成される構成であるが、出射面62側に凹状反射部60を形成する構成としてもよい。また、出射面62と、出射面62の反対側の面と、の両方に凹状反射部60を形成することもできる。
【0056】
また、上記実施形態の照明装置10の構成は、事情に応じて適宜変更することができる。例えば、複数の導光板を重ねて構成される導光板ユニットをLED22の光を目的の方向に導く導光部材として採用することもできる。この場合、導光板ユニットを構成する導光板に上記実施形態で説明したドットパターンに従って凹状反射部60が配置されることになる。
【符号の説明】
【0057】
10 照明装置
22 LED(光源)
50 導光板
60 凹状反射部(反射部)
61 入射面
62 出射面
90,91 直線(仮想直線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から光が入射する端面である入射面と、
前記入射面から入射した光が出射する、厚み方向を向いた面である出射面と、
前記入射面から入射した光を出射面側に反射するために円錐台形状に形成される複数の反射部と、
を備え、
複数の前記反射部は、
前記出射面から見たときに、前記入射面に直交する方向に対して傾斜する複数の仮想直線上に配置されており、
前記入射面から見たときに、前記入射面に直交する方向で隣接する反射部の中心が一致しないように配置されていることを特徴とする導光板。
【請求項2】
請求項1に記載の導光板であって、
前記入射面の向きと前記出射面の向きは直交する関係にあり、
前記出射面に平行な方向であって、前記入射面に平行な方向で見たときに、同一の前記仮想直線上で隣接する反射部が重複するように配置されていることを特徴とする導光板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導光板であって、
前記仮想直線の傾斜角度が30度であることを特徴とする導光板。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の導光板を備える照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−192484(P2011−192484A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56528(P2010−56528)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(505442819)株式会社ナノクリエート (11)
【Fターム(参考)】