説明

導光板

【課題】LEDを消灯している場合に、樹脂板の裏面に刻設した模様や文字等の表示部がおもて面から視覚されない導光板を提供する。
【解決手段】各種の表示板や商品展示用の棚等として使用されるものであって、透明または半透明の樹脂製かつ平板状であり、おもて面F及び裏面Bのうち少なくとも一つの平面に、模様や文字などを凹凸状に形成した表示部3を設けた樹脂板2と、前記樹脂板2の端面2aに対向して設けられたLED4と、前記樹脂板2のおもて面Fに貼着されたミラーフィルム6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、商品の宣伝や各種案内を表示する表示板として、また、商品展示用の棚等として使用される導光板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、商品の宣伝や暗所におけるあらゆる案内板、あるいは商品を展示する棚として、導光板が広く使用されている。このうち、導光板を表示板として使用することは、例えば、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2006−71677号公報
【0003】
こうした導光板は、通常、透明で平板状である樹脂板の端面にLED(発光ダイオード)を固定すると共に、樹脂板の裏面に、模様や文字等の表示部を刻設している。そして、LEDから発した光を表示部に照射し、その反射光をおもて面から放射することによって、その表示部をおもて面から現出させるものである。
こうした構成の導光板は、LEDの光を利用するので、表示部を鮮明に現出させることができるといった利点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の導光板は、LEDを消灯した状態において、樹脂板の裏面に刻設している模様や文字等の表示部がおもて面から透けて視覚されてしまうといった問題がある。
このような導光板は見栄えが悪いので、例えば、商品の棚として使用した場合は、その商品価値を低下させてしまう。
【0005】
また、従来の導光板は平板状であるため、例えば、商品の棚として使用する場合、樹脂板の端面が壁面に近接する場合があり、そうした場合、その端面にLEDを後付けで固定することが困難であるといった問題が発生する。また、LEDを交換する必要がある場合にも、不便である。さらに、従来の導光板は平板状であるため立体感に欠け、形状的に面白味がない。
【0006】
そこで、本発明の目的とするところは、LEDを消灯している場合に、樹脂板の裏面に刻設した模様や文字等の表示部がおもて面から視覚されない導光板を提供することにある。また、樹脂板の端面に、LEDを容易に取付け、あるいは交換することができ、さらに、立体感があり、形状に面白味のある導光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の導光板(1)は、各種の表示板や商品展示用の棚等として使用されるものであって、
透明または半透明の樹脂製かつ平板状であり、おもて面(F)及び裏面(B)のうち少なくとも一つの平面に、模様や文字などを凹凸状に形成した表示部(3)を設けた樹脂板(2)と、
前記樹脂板(2)の端面(2a)に対向して設けられたLED(4)と、
前記樹脂板(2)のおもて面(F)に貼着されたミラーフィルム(6)と、を備えてなることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の導光板(1)は、各種の表示板や商品展示用の棚等として使用されるものであって、
透明または半透明の樹脂製かつ板状で少なくとも一つの端面(2a)側部分を略直角に屈曲させた形状であり、おもて面(F)及び裏面(B)のうち少なくとも一つの平面に、模様や文字などを凹凸状に形成した表示部(3)を設けた樹脂板(2)と、
前記樹脂板(2)の前記屈曲させられた端面(2a)に対向して設けられたLED(4)と、を備えてなることを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3に記載の導光板(1)は、前記樹脂板(2)のおもて面(F)に貼着されたミラーフィルム(6)をさらに備えてなることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の導光板(1)は、前記樹脂板(2)を略直角に屈曲させたことによって形成されたコーナー部(2b)の肉厚(T)を、他の部分の肉厚(S)と均一に設定したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の導光板(1)は、前記樹脂板(2)を略直角に屈曲させたことによって形成されたコーナー部(2b)の外側表面に、遮光シート(8)を貼着したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の導光板(1)は、前記樹脂板(2)の裏面(B)に、反射シート(7)を貼着したことを特徴とする。
【0013】
請求項1及び請求項3に記載のミラーフィルムには、マジックミラー(ハーフミラー)フィルムも含まれる。
【0014】
なお、カッコ内の記号は、図面および後述する発明を実施するための最良の形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の導光板によれば、樹脂板のおもて面にミラーフィルムを貼着したので、LEDを消灯している状態では、このミラーフィルムが外光を反射し、樹脂板へ侵入するのを阻止する。
これにより、樹脂板のおもて面又は裏面に設けた表示部が、おもて面側から視覚されるのを防止することができるのに加え、ミラーフィルムによりおもて面側に鏡面を形成するので、見栄えに優れた導光板とすることができる。
【0016】
一方、LEDを点灯した状態では、ミラーフィルムは、LEDの光(以下、LED光と記す)をおもて面から放射するので、表示部をおもて面側から外側に良好に視覚させることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の導光板によれば、樹脂板の端面側部分を略直角に屈曲させたので、例えば、この導光板を、商品を展示する棚として使用する場合に、その端面を壁面側ではなく、それ以外の広い空間側に配置することができる。
従って、その端面にLEDを後付けで容易に固定することができ、また、その交換も容易に行うことができる。さらに、樹脂板を屈曲させたことによって、立体的で、面白味のある形状の導光板とすることができる。
【0018】
さらに、請求項3に記載の導光板によれば、樹脂板のおもて面にミラーフィルムを貼着するので、ミラーフィルムのはたらきによって請求項1に記載の発明と同様な作用効果が得られる。
【0019】
また、請求項4に記載の導光板によれば、請求項2又は3に記載の発明の作用効果に加えて、樹脂板を略直角に屈曲させたことによって形成されたコーナー部の肉厚を、他の部分の肉厚と均一に設定したので、LED光を必要以上に外に逃がすことなく、良好に屈曲させて表示部に放射することができる。
ちなみに、コーナー部の肉厚が不均一で、薄肉部分と厚肉部分が形成されていると、LED光が薄肉部分から外に放射されて減衰するので、表示部に達する光の量が減少し、従って、おもて面から視覚される表示部が不鮮明となる。
【0020】
また、請求項5に記載の導光板によれば、請求項2乃至4に記載の発明の作用効果に加えて、コーナー部の外側表面に、遮光シートを貼着したので、LED光を外に逃がすことなく良好に反射させて表示部に送ることができる。
これにより、表示部を、おもて面からより鮮明に視覚させることができる。
【0021】
また、請求項6に記載の導光板によれば、請求項1乃至5に記載の発明の作用効果に加えて、樹脂板の裏面に反射シートを貼着したので、LED光をこの反射シートによって効果的に反射させる。
従って、表示部をおもて面から、より鮮明に視覚させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第一実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第一実施形態に係る導光板1について説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る導光板1を示す側面図であり、図2は、図1に示す導光板1を通過するLED光L1と、導光板1に対して反射する外光L2を示す側面図である。
【0023】
この導光板1は、商品Gを展示するための棚として使用されるものであり、樹脂板2、LED4、ミラーフィルム6および反射シート7を備える。
なお、図面では、わかりやすくするため、樹脂板2に対してミラーフィルム6と反射シート7を間をあけて記載しているが、実際には隙間なく貼着されている。
【0024】
樹脂板2は、透明なアクリル樹脂で形成した平板状であり、裏面Bに、模様と文字をレーザー彫刻によって凹凸状に表した表示部3を有する。なお、表示部3を樹脂板2のおもて面Fに設けることもできる。さらには、樹脂板2のおもて面Fと裏面Bに異なる表示部3を設けることも可能である。
【0025】
LED4は、色の異なる三種類を基板5に固定し、この基板5を所定の取付手段(図示せず)によって樹脂板2に固定することによって、樹脂板2の端面(ここでは右端面)2aに設けている。なお、図面では、樹脂板2とLED4との間が大きいが、実際にはLED4は樹脂板2の端面2aに対して隙間なく接した状態で取付けられる。
【0026】
ミラーフィルム6は、樹脂板2のおもて面Fに貼着され、図2に示すように、LED光L1を透過して外に放射するとともに、外光L2を反射して遮断し、鏡面を構成する性質を有する。
【0027】
また、反射シート7は、樹脂板2の裏面Bに貼着され、LED光L1を反射させる。
【0028】
このように、本発明の第一実施形態に係る導光板1は、樹脂板2のおもて面Fにミラーフィルム6を貼着しているので、LED4を消灯している状態では、このミラーフィルム6が外光L2を反射し、樹脂板2への侵入を阻止する。
これにより、樹脂板2の裏面Bに設けた表示部3が、おもて面Fから視覚されるのを防止することができるとともに、鏡面が形成されるので導光板1の見栄えを高めることができる。
【0029】
一方、LED4を点灯した状態では、ミラーフィルム6は、LED光L1をおもて面Fから放射するので、表示部3をおもて面Fから鮮明に視覚させることができる。
【0030】
また、この導光板1は、樹脂板2の裏面に反射シート7を貼着しているので、LED光L1をこの反射シート7によって効果的に反射させることができる。
これにより、表示部3をおもて面Fから、より鮮明に視覚させることができる。
【0031】
なお、本実施形態における導光板1は、表示部3をレーザー彫刻で形成しているが、これに代えて、例えば、図3に示すように、裏面Bに表示部3としてカッティングシート9を貼り付けて形成することができる。また、裏面Bに、シルク印刷を施すことによって、形成することもできる。
【0032】
(第二実施形態)
次に、図4および図5を参照して、本発明の第二実施形態に係る導光板1について説明する。図4は、本発明の第二実施形態に係る導光板1を示す分解斜視図であり、図5は、図4に示す導光板1を商品Gの棚として使用している状態を示す側面図である。
【0033】
この導光板1も、商品Gを展示するための棚として使用されるものであり、樹脂板2、LED4、ミラーフィルム6および反射シート7を備える。
【0034】
樹脂板2は、透明なアクリル樹脂製かつ板状で右側の端面2a側部分を裏面Bに向けて略直角に屈曲させた側面略L字状の形状である。樹脂板2の端面2aは、樹脂板2のおもて面F(および裏面B)と平行に配置される。
そして、樹脂板2の裏面Bにレーザー彫刻によって凹凸状に形成した表示部3を備えている。なお、表示部3を樹脂板2のおもて面Fに設けることもできる。さらには、樹脂板2のおもて面Fと裏面Bに異なる表示部3を設けることも可能である。
【0035】
LED4は基板5に固定し、樹脂板2の端面2aに対向させて取付けている。
また、ミラーフィルム6は、樹脂板2のおもて面Fに貼着している。さらに、樹脂板2の裏面Bには反射シート7を貼着している。また、屈曲させた部位の外側にも反射シート7を貼着している。なお、LED光L1の放射は減少するが、反射シート7を省くことも可能である。
【0036】
本実施形態に係る導光板1は、樹脂板2のおもて面Fにミラーフィルム6を貼着しているので、LED4を消灯している状態で、樹脂板2の裏面Bに設けた表示部3が、おもて面Fから視覚されるのを防止することができるのに加え、ミラーフィルム6によりおもて面F側に鏡面が形成されるので、見栄えに優れた導光板とすることができる。また、LED4を点灯した状態では、表示部3をおもて面Fから鮮明に視覚させることができる。
【0037】
また、この導光板1は、樹脂板2の、LED4が設けられる端面2a側部分を略直角に屈曲させているので、図5に示すように、端面2aを壁面Wではなく、広い空間側(図5の場合、下側)に配置することができる。
これにより、LED4を樹脂板2の端面2aに、後付けでも容易に固定することができ、また、その交換も容易に行うことができる。また、樹脂板2を屈曲させたことにより、立体感があり、面白味のある形状の導光板1とすることができる。
【0038】
なお、本実施形態に係る導光板1の樹脂板2は、図6に示すように、両端部を直角に屈曲させた形状とすることもできる。すなわち、右端面2aを裏面B側に向けて屈曲させ、左端面をおもて面F側に向けて屈曲させるように、略S字状の形状にしてもよい。
これにより、より立体感があり、形状に面白味のある導光板1とすることができる。
【0039】
なお、図7に示すように、コーナー部2bの、LED4が設けられる端面2aに対向する外表面に遮光シート8を貼着することによって、LED光L1が外に放散するのを防止することができる。
これにより、表示部3をおもて面Fからより鮮明に視覚させることができる。
【0040】
また、図8に示すように、樹脂板2を直角に屈曲させたことによって形成されるコーナー部2bの肉厚Tを、コーナー部2b以外の他の部分の肉厚Sと均一に設定するようにしてもよい。
【0041】
これによれば、この導光板1の肉厚をコーナー部2bも含めて均一に設定し、特に薄肉部を形成していないので、LED光L1がこのコーナー部2bの薄肉部から大量に外に放出されるのを抑えることができる。
【0042】
こうした均一な肉厚は、樹脂板2を型成形することによって形成することができる。
なお、平板状に形成した樹脂板2を、部分的に加熱して折り曲げることによって、コーナー部2bの肉厚Tに薄肉部分と厚肉部分を持たせ、他の部分の肉厚Sと不均一に形成することもできる。
【0043】
なお、第一および第二実施形態に係る導光板1は、共に、商品Gを展示するための棚として使用されるものであるが、こうした使用に限定されるものではなく、例えば、宣伝用の広告板や、暗所における案内板として使用することができる。
【0044】
また、第一および第二実施形態の導光板1は、樹脂板2を、透明のアクリル樹脂で形成しているが、これに限定されるものではなく、半透明のアクリル樹脂や、透明または半透明の他の樹脂材で形成することができる。
また、第一および第二実施形態のミラーフィルム6には、外側からは見えにくいが内側からは見えるようにしたマジックミラー(ハーフミラー)フィルムも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第一実施形態に係る導光板を示す側面図である。
【図2】図1に示す導光板を通過するLED光と、それに反射する外光を示す側面図である。
【図3】図1に示す導光板の他の態様を示す側面図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る導光板を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示す導光板を商品の棚として使用している状態を示す側面図である。
【図6】図4に示す導光板において、その樹脂板の他の態様を示す斜視図である。
【図7】図4に示す導光板の他の態様を示す側面図である。
【図8】図4に示す導光板の他の態様を示す側面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 導光板
2 樹脂板
2a 端面
2b コーナー部
3 表示部
4 LED
5 基板
6 ミラーフィルム
7 反射シート
8 遮光シート
9 カッティングシート
B 裏面
F おもて面
G 商品
S コーナー部以外の肉厚
T コーナー部の肉厚
W 壁面
L1 LED光
L2 外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の表示板や商品展示用の棚等として使用される導光板であって、
透明または半透明の樹脂製かつ平板状であり、おもて面及び裏面のうち少なくとも一つの平面に、模様や文字などを凹凸状に形成した表示部を設けた樹脂板と、
前記樹脂板の端面に対向して設けられたLEDと、
前記樹脂板のおもて面に貼着されたミラーフィルムと、を備えてなることを特徴とする導光板。
【請求項2】
各種の表示板や商品展示用の棚等として使用される導光板であって、
透明または半透明の樹脂製かつ板状で少なくとも一つの端面側部分を略直角に屈曲させた形状であり、おもて面及び裏面のうち少なくとも一つの平面に、模様や文字などを凹凸状に形成した表示部を設けた樹脂板と、
前記樹脂板の前記屈曲させられた端面に対向して設けられたLEDと、を備えてなることを特徴とする導光板。
【請求項3】
前記樹脂板のおもて面に貼着されたミラーフィルムをさらに備えてなることを特徴とする請求項2に記載の導光板。
【請求項4】
前記樹脂板を略直角に屈曲させたことによって形成されたコーナー部の肉厚を、他の部分の肉厚と均一に設定したことを特徴とする請求項2又は3に記載の導光板。
【請求項5】
前記樹脂板を略直角に屈曲させたことによって形成されたコーナー部の外側表面に、遮光シートを貼着したことを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか一つに記載の導光板。
【請求項6】
前記樹脂板の裏面に、反射シートを貼着したことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の導光板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−98442(P2009−98442A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270271(P2007−270271)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(507225540)株式会社カネヒロデンシ (7)
【Fターム(参考)】