説明

導電性が改善された濾材

濾過効率が向上しそして/または静電荷が逸散するように導電性を改善した濾材およびそれの製造方法を提供する。1つの典型的態様では、本濾材に濾過基質および前記濾過基質の少なくとも一部の上に位置する少なくとも1層の導電性被膜を含有させてもよい。使用時、前記導電性被膜をエネルギー源につなげ、それは、エネルギーをそれに送達した時にイオンを放出するに有効であり、それによって、前記濾過基質の効率が向上しそして/または濾過中に発生する静電荷が逸散または消失する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性が改善された濾材およびそれの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電している粒子の方が中性の粒子よりも濾材により容易に捕捉されることは良く知られている。最も一般的なイオン化エアフィルターの1つは沈澱型のエアフィルターであり、これは、直径が約0.005インチのイオン化ワイヤーが備わっている電子エアフィルターであり、それを約7キロボルトで帯電させ、接地板間に位置させることでコロナを発生させそしてその中を通る塵埃粒子を帯電させる。空気流路の更に下方の交互の帯電板と接地板が帯電している塵埃粒子を集める。沈澱型フィルターの欠点は、細かい塵埃で一杯になった集塵板を定期的に洗浄する必要があることで保守が困難な点にある。洗浄にはしばしば非常に強力な洗剤を用いる必要がある。沈澱型フィルターの別の欠点は、オゾンを多量に発生する点にある。それは放電ワイヤーが接地表面近くに位置することによって起こる。そのような配置によって前記ワイヤーの長さ方向全体に沿ってコロナ(暗所に置くと光を発するので見ることができる)が発生する。その上、ある種の液体濾過用途、例えば油圧油の濾過などでは、フィルター表面に静電荷が蓄積する可能性があり、それによって爆発または火災の危険性が生じる可能性がある。
【0003】
従って、濾過効率および/または静電気逸散が向上するように導電性が改善された濾材およびそれの製造方法が必要とされているままである。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、一般に、濾過効率および/または静電気逸散が向上するように導電性を改善した濾材およびそれの製造方法を提供するものである。1つの典型的態様では、濾過基質(filtration substrate)および前記少なくとも1種の濾過基質の少なくとも一部の上に位置する少なくとも1層の導電性被膜を有する濾材を提供する。前記濾過基質をいろいろな材料で構成させることができ、かつそれにかなり多数の濾過層(filtration layers)[これらが一緒になって基質を構成する]を含めてもよい。非限定例として、そのような濾過基質を天然繊維、有機繊維、無機繊維またはこれらの組み合わせで構成させてもよい。適切な繊維には、例えばガラス繊維、セラミック繊維、重合体繊維、綿繊維、麻繊維、炭素繊維およびこれらの組み合わせが含まれる。また、前記導電性被膜もいろいろな材料で構成可能であり、それを前記濾過基質の全体または一部のみの上に位置させてもよい。非限定例として、そのような導電性被膜を炭素繊維、炭素粒子、金属繊維、導電性重合体、例えばポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)、ポリアニリンなど、ニッケル被覆炭素繊維または他の導電性材料で構成させてもよい。1つの典型的な態様では、そのような導電性被膜を金属繊維から形成させるが、金属繊維には、例えばアルミニウム、銀、銅、ニッケル、金、鉛、錫、亜鉛、鋼およびこれらの組み合わせなどの如き金属が含まれる。別の典型的な態様では、導電性被膜をアルミニウム,銀,銅,ニッケル,金,鉛,錫,亜鉛およびこれらの組み合わせなどの如き金属から形成させることも可能である。
【0005】
また、前記導電性被膜を前記濾過基質の上にいろいろな技術を用いて位置させることも可能である。例えば、1つの態様では、前記濾過基質を前記導電性被膜で飽和状態にしてもよい。別の態様では、前記導電性被膜を前記濾過基質の上に塗装または押出し加工することも可能である。別の態様では、本濾材に前記導電性被膜と前記濾過基質を結合させる結合剤(bonding agent)を含有させることも可能である。そのような結合剤を例えばポリ塩化ビニリデン、アクリルラテックス、ポリウレタン分散液、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせなどの如き重合体で構成させてもよい。また、その結合剤は場合により導電性であってもよい。
【0006】
使用時、本濾材を多様な用途に適した形態にしてもよく、そのような用途には、EMI遮蔽、光遮蔽(optical shielding)または濾過を電気的に向上させることそして/または静電気の逸散が要求される他の用途が含まれる。また、本濾材にひだを付けるか或は他の如何なる形態を持たせることも可能であり、それは意図した使用に応じて多様であり得る。前記導電性被膜を電気的に帯電させる目的で、本濾材に、また、高電圧電力源を前記導電性被膜とつなげる連結手段(coupling mechanism)を含めることも可能である。エネルギーを前記導電性被膜に送達すると、前記被膜がイオンを放出することで本濾材が示す効率が向上する。
【0007】
本発明は、また、濾材を生じさせるに適した典型的な方法も提供する。1つの態様では、本方法に、濾過層を少なくとも1層有する濾過基質を生じさせそして少なくとも1層の導電性被膜を前記濾過基質の少なくとも1つの表面の上に位置させることで導電性濾材を生じさせることを含めてもよい。1つの態様における導電性被膜は例えば導電性重合体であってもよく、そして前記濾過基質を前記導電性重合体で飽和状態にすることを通して前記導電性被膜を前記濾過基質の少なくとも1つの表面の上に位置させることができる。別の態様では、前記導電性被膜を前記濾過基質の少なくとも1つの表面と結合させてもよい。前記導電性被膜を前記濾過基質と結合させる目的で例えば重合体被膜を用いてもよい。本方法に、また、本導電性濾材を空気流れの中に位置させ、そして本導電性濾材が示す捕捉効率を向上させる目的で、前記導電性被膜が前記空気流れの中の塵埃粒子を帯電させるイオンを放出するように、高電圧の電力供給装置を本導電性濾材とつなげる(coupling)ことで電場を作り出すことを含めることも可能である。別の態様では、本方法に、本導電性濾材を流体流れの中に位置させ、そして前記導電性被膜が本導電性濾材を通る流体の流れによって生じる静電荷を逸散するように、高電圧の電力供給装置を本導電性濾材とつなげる(coupling)ことで電場を作り出すことを含めることも可能である。他の態様では、重合体を押出し加工方法で位置させてもよい。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、濾過効率が向上するように導電性を改善した濾材およびそれの製造方法を提供するものである。1つの典型的な態様では、本濾材に濾過基質および前記濾過基質の少なくとも一部の上に位置する少なくとも1層の導電性被膜を含めてもよい。使用時、前記導電性被膜をエネルギー源とつなげ(coupled)そしてエネルギーをそれに送達した時にそれがイオンを有効に放出するようにする。それによって前記濾過基質が示す効率が向上、特に本濾材が示す捕捉効率が向上する。前記導電性被膜はまた静電荷、特に流体濾過中に発生する静電荷を消失または逸散させる能力も有する。
【0009】
本濾材はいろいろな用途で用いるに適合し得、そのような用途には、非限定例として、EMI遮蔽、光遮蔽、または濾過を電気的に向上させることが要求される他の用途、例えばASHRAEフィルター、真空バッグフィルター、真空排気フィルター、室内空気洗浄器用フィルター、エンジン/キャビン空気フィルター、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルター、ULPA(Ultra Efficiency Particulate Air)フィルター、燃料フィルターおよび油圧油フィルターなどが含まれる。本濾材をまたいろいろなフィルター構造物に成形することも可能であり、そのような構造物には、例えばひだ付き濾材が含まれる。本導電性濾材はまた静電荷消失または逸散分野でも使用可能である。
【0010】
この上に示したように、1つの典型的な態様では、本濾材を濾過基質および前記濾過基質の少なくとも一部の上に位置する導電性被膜から形成させる。前記濾過基質に持たせる形態は実質的に本技術分野で公知の如何なる事実上の形態であってもよく、個々の形態は意図した使用に応じて多様であり得る。1つの態様では、前記濾過基質を1層以上の濾過層、例えば不織ウエブなどから形成させてもよく、それらを一緒にすることで前記濾過基質を生じさせる。そのような濾過層1層または2層以上をいろいろな材料から形成させてもよく、そのような材料には、天然繊維,有機繊維,無機繊維およびこれらの組み合わせが含まれる。適切な典型的繊維には、ガラス繊維,セラミック繊維,重合体繊維,綿繊維,麻繊維,炭素繊維およびこれらの組み合わせが含まれる。また、前記濾過層を本技術分野で公知のいろいろな技術を用いて生じさせることも可能であり、そのような技術には、ウエブ成形、例えばウエットレイド(wet laid)、ドライレイド(dry laid)およびダイレクトレイド(direct laid)、カーディング(carding)、スパンボンディング(spun bonding)、メルトブローイング(melt blowing)、フィルムフィブリレーション(film fibrillation)などが含まれる。そのような層を生じさせた後、必要ならば、複数の層を本技術分野で公知のいろいろな技術を用いて一緒にしてもよく、そのような技術には、非限定例として、超音波溶着(welding)、超音波結合(bonding)、接着剤または本分野の通常の技術者に公知の他の方法が含まれる。超音波結合は、縁溶着、全体幅結合、部分幅結合またはこれらの組み合わせを用いて達成可能である。別法として、前記層をカレンダー加工で一緒に圧縮することで各層を物理的に他の層と接着させることも可能である。
【0011】
この上に示したように、本濾材にまた導電性被膜を含めることも可能であり、それを前記濾過基質の少なくとも一部に適用させる。前記被膜の形態を、好適には、エネルギーを前記導電性被膜に送達した時にそれがイオンを放出するような形態にし、前記イオンが空気流れの中の塵埃粒子を帯電させ、それによって、本導電性濾材が示す捕捉効率が向上する。前記導電性被膜を用いてまた特に流体濾過中にいくらか生じる可能性のある静電荷を消失または逸散させることも可能である。典型的な態様では、前記導電性被膜によって表面抵抗が約1x10から1x1012オームの範囲内の濾材がもたらされるようにするが、しかしながら、その表面抵抗は意図した使用ばかりでなく本濾材を生じさせる時に用いる個々の材料および方法に応じて多様であり得る。例えば、本濾材を用いて静電荷を逸散させる必要がある場合には、その表面抵抗が好適には約1x10オーム未満になるようにする。
【0012】
そのような導電性被膜をいろいろな材料から生じさせることができるが、この上に示したように、好適には、エネルギーを送達した時にイオンを放出するような形態の材料を用いてそれを生じさせる。1つの典型的な態様では、そのような導電性被膜を導電性金属もしくは金属繊維から生じさせることができ、それらには、1種以上の金属、例えばアルミニウム,銀,銅,ニッケル,金,鉛,錫,亜鉛およびこれらの組み合わせが含まれる。1つの典型的な態様では、そのような導電性被膜を導電性炭素繊維、例えばニッケル被覆炭素繊維などで構成させてもよい。1つの典型的なニッケル被覆炭素繊維をToho Tenax America,Inc(Rockwood,Tennessee)が製造している。そのような導電性被膜をまた導電性重合体、例えばポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)またはポリアニリンなどを用いて生じさせることも可能である。
【0013】
前記導電性被膜を生じさせる時期は、この被膜を前記濾過基質に適用させる前または間のいずれであってもよく、本技術分野で公知のいろいろな方法を用いて前記被膜を生じさせそして/またはそれを前記基質に適用させることができる。また、前記導電性被膜を前記濾過基質の相対する表面の一方または両方の全体または一部のみにか或は前記濾過層(これらを一緒にして前記濾過基質を生じさせる)の相対する表面の一方または両方の全体または一部のみに適用させることも可能である。1つの態様では、そのような導電性材料を溶液の状態、例えば水か或は重合体に分散させてもよく、そして被膜が濾過基質を構成する繊維の回りに位置するように前記濾過基質を前記溶液で飽和状態にしてもよい。例えば、当該基質を型(mold)の中に入れてもよく、そして水または重合体溶液および導電性繊維または金属を含有するスラリーを前記基質に通して排出させることで前記基質を飽和状態にしてもよく、それによって、前記導電性繊維または金属を前記基質の上に付着(deposit)させてもよい。他の態様では、当該導電性被膜を表面1つまたは2つ以上の上に塗布、例えば塗料用ブラシなどを用いて塗布するか、真空金属被覆(vacuum metalizing)方法、電極メッキ方法、化学メッキ方法(電極無し)などを用いて塗布するか、濾過基質または濾過層(当該基質を構成する)の上にスパッタリングするか、或は当該基質の上に押出し加工してもよい。例えば、押出し加工方法を用いる場合、導電性重合体または重合体と導電性材料、例えば導電性粉末または粒子などを押出し加工機の中に入れて熱溶融物を生じさせてもよい。その熱溶融物を当該基質の上に直接押出し加工してもよく、それによって、それが当該基質を構成する繊維を取り巻きかつ結合するようにしてもよい。本分野の技術者は、いろいろな技術を用いて導電性被膜をいろいろな材料組み合わせから生じさせことができることを理解するであろう。その上、いろいろな技術を用いて当該被膜を当該濾過基質の全体または個々の部分に適用させることも可能である。
【0014】
また、場合により、前記導電性被膜を前記濾過基質と結合させる目的で結合剤、例えば重合体などを用いることも可能である。本方法のいろいろな段階中に前記結合剤を添加してもよい。例えば、当該導電性材料を水に分散させる場合などでは、当該結合剤を水に添加した後、前記導電性材料と一緒に当該基質を飽和状態にしてもよい。またか或は別法として、当該結合剤を当該被膜に適用させることも可能であり、特に、繊維または粒子の場合に可能である。いろいろな結合剤を用いることができるが、適切な典型的結合剤には、重合体、例えばポリ塩化ビニリデン、アクリルラテックス、ポリウレタン分散液、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルアルコールなどが含まれる。そのような結合剤はまた場合により導電性であってもよく、それをいろいろな導電性材料、例えば本明細書の上に開示した材料などを用いて生じさせることができる。
【0015】
使用時、エネルギーを本濾材、特に導電性被膜に高電圧電力源から送達することで導電性を本濾材に与える。そのような高電圧電力供給装置を連結手段、例えば電極などで本濾材につなげてもよい。その結果として、電場が作り出されることで、前記導電性被膜が、空気流れの中の塵埃粒子を帯電させるイオンを放出し、それによって、本導電性濾材が示す捕捉効率が向上する。前記導電性被膜は、また、濾過中にいくらか発生する静電荷の方向を変える路も与え、それによって、静電荷が低下または消失する。
【0016】
以下の非限定実施例を用いて本発明のいろいろな典型的態様を更に例示する。
【実施例1】
【0017】
直径が約0.3から4.0ミクロンの範囲内のグラスウール繊維および長さが約0.25インチで直径が約7ミクロンの細断ガラス繊維を用いてガラス繊維濾材を生じさせる。次に、前記ガラス繊維濾材を真空チャンバの中に入れて、ポンプで圧力を約10E−04から10E−05トールにまで低下させる。真空金属被覆方法を用いて導電性被膜を前記ガラス繊維濾材に付着させる。詳細には、アルミニウムワイヤーを前記チャンバ内で電気加熱し、それを真空下で蒸発させた後、前記濾材の表面の上に再凝縮させることで、約300オングストロームの導電性アルミニウム被覆層を生じさせる。
【0018】
前記被覆を受けさせたガラス繊維濾材の表面電気抵抗を表面抵抗試験用Vermason H1003正方形探針(square probe)を用いて測定する。その測定装置はEN100015 Part 1:1991に承認されている。前記被覆ガラス繊維濾材の測定電気抵抗は未被覆ガラス繊維濾材(これの電気抵抗は10E13オーム以上である)と対比して50オーム未満であった。
【実施例2】
【0019】
直径が約6から7ミクロンの0.25インチ細断ストランドガラス繊維、0.8ミクロンのミクロガラス繊維、4.5から5.0ミクロンのミクロガラス繊維およびポリビニルアルコール繊維を用いてガラス繊維濾材を生じさせる。ニッケル被覆炭素繊維(Toho Tenax America,Inc.から購入)を水にポリビニルアルコール繊維(前記繊維とガラス繊維濾材の接着を助長する)と一緒に入れて分散させる。前記ガラス繊維濾材を前記分散液で飽和状態にすることを通してニッケル被覆炭素繊維を前記ガラス繊維濾材の上に約21g/m付着させる。
【0020】
前記被覆を受けさせたガラス繊維濾材の表面電気抵抗を表面抵抗試験用Vermason H1003正方形探針を用いて測定する。その測定装置はEN100015 Part 1:1991に承認されている。前記被覆ガラス繊維濾材の測定電気抵抗は未被覆ガラス繊維濾材(これの電気抵抗は1x1013オーム以上である)と対比して約25.3オームであった。
【実施例3】
【0021】
ガラス繊維濾材の調製を実施例2に示した如く実施する。前記濾材に炭素繊維による被覆を実施例2に示した方法を用いて受けさせる。その被覆を受けさせたガラス繊維濾材の表面電気抵抗を表面抵抗試験用Vermason H1003正方形探針を用いて測定する。その測定装置はEN100015 Part 1:1991に承認されている。前記被覆ガラス繊維濾材の測定電気抵抗は未被覆ガラス繊維濾材(これの電気抵抗は1x1013オーム2以上である)と対比して13.5オームであった。
【実施例4】
【0022】
ガラス繊維濾材の調製を実施例2に示した如く実施する。前記濾材にステンレス鋼繊維による被覆を実施例2に示した方法を用いて受けさせる。その被覆を受けさせたガラス繊維濾材の表面電気抵抗を表面抵抗試験用Vermason H1003正方形探針を用いて測定する。その測定装置はEN100015 Part 1:1991に承認されている。前記被覆ガラス繊維濾材の測定電気抵抗は未被覆ガラス繊維濾材(これの電気抵抗は1x1013オーム2以上である)と対比して27.6オームであった。
【実施例5】
【0023】
0.4ミクロンのミクロガラス繊維、0.6ミクロンのガラス繊維、1ミクロンのガラス繊維、2.6ミクロンのガラス繊維および1.0デニールのポリビニルアルコール繊維を用いてガラス繊維濾材を生じさせる。このような繊維の組成は必要な濾過効率を維持するような組成である。炭素含有インクを前記ガラス繊維濾材に付着させる目的で塗装方法を用いる。
【0024】
前記被覆を受けさせたガラス繊維濾材の表面電気抵抗を表面抵抗試験用Vermason H1003正方形探針を用いて測定する。その測定装置はEN100015 Part 1:1991に承認されている。前記被覆ガラス繊維濾材の測定電気抵抗は未被覆ガラス繊維濾材(これの電気抵抗は1x1013オーム2以上である)と対比して約300から55,000オームの範囲内であった。
【0025】
本分野の技術者は上述した態様を基にして本発明のさらなる特徴および利点を理解するであろう。従って、本発明を添付請求項に示す以外は詳細に示しかつ記述した事項によって限定されるものでない。本明細書に引用した出版物および文献は全部引用することによって全体が明らかに本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾材であって、
濾過基質;および
前記濾過基質の少なくとも一部の上に位置する少なくとも1層の導電性被膜;
を含有して成る濾材。
【請求項2】
該濾材が示す表面抵抗が約1x10から1x1012オームの範囲内である請求項1記載の濾材。
【請求項3】
該濾材が示す表面抵抗が約1x10オーム未満である請求項1記載の濾材。
【請求項4】
前記濾過基質が多数の濾過層から形成されている請求項1記載の濾材。
【請求項5】
前記濾過基質が天然繊維、有機繊維、無機繊維およびこれらの組み合わせから成る群から選択される繊維から形成されている請求項1記載の濾材。
【請求項6】
前記濾過基質がガラス繊維、セラミック繊維、重合体繊維、綿繊維、麻繊維、炭素繊維およびこれらの組み合わせから成る群から選択される繊維から形成されている請求項1記載の濾材。
【請求項7】
前記導電性被膜が金属繊維から形成されている請求項1記載の濾材。
【請求項8】
前記金属繊維がアルミニウム、銀、銅、ニッケル、金、鉛、錫、亜鉛、鋼およびこれらの組み合わせから成る群から選択される金属から形成されている請求項7記載の濾材。
【請求項9】
前記導電性被膜がアルミニウム,銀,銅,ニッケル,金,鉛,錫,亜鉛およびこれらの組み合わせから成る群から選択される金属から形成されている請求項1記載の濾材。
【請求項10】
前記導電性被膜が導電性重合体から形成されている請求項1記載の濾材。
【請求項11】
前記導電性重合体がポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)を含んで成る請求項10記載の濾材。
【請求項12】
前記導電性重合体がポリアニリンを含んで成る請求項10記載の濾材。
【請求項13】
前記導電性重合体が炭素粒子を含んで成る請求項10記載の濾材。
【請求項14】
前記導電性重合体がニッケル被覆炭素繊維を含んで成る請求項10記載の濾材。
【請求項15】
更に、前記導電性被膜を前記濾過基質と結合させる結合剤も含有して成る請求項10記載の濾材。
【請求項16】
前記結合剤がポリ塩化ビニリデン、アクリルラテックス、ポリウレタン分散液、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルアルコールから成る群から選択される重合体から形成されている請求項15記載の濾材。
【請求項17】
前記結合剤が導電性である請求項15記載の濾材。
【請求項18】
該濾材にひだが付いている請求項1記載の濾材。
【請求項19】
前記導電性被膜が前記濾過基質の前以て決めておいた部分の上に位置する請求項1記載の濾材。
【請求項20】
更に、高電圧電力源を前記導電性被膜につなげる連結手段も含有して成る請求項1記載の濾材。
【請求項21】
前記導電性被膜が、エネルギーがそれに送達された時に、該濾材の効率を向上させる目的でイオンを放出するに適合している、請求項1記載の濾材。
【請求項22】
前記少なくとも1層の導電性被膜が前記濾過基質を形成している繊維の上に位置する請求項1記載の濾材。
【請求項23】
濾材を生じさせる方法であって、
濾過層を少なくとも1層有する濾過基質を生じさせ、そして
少なくとも1層の導電性被膜を前記濾過基質の少なくとも1つの表面の上に位置させることで導電性濾材を生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項24】
前記導電性被膜が導電性重合体を含んで成り、そして前記濾過基質を前記導電性重合体で飽和状態にすることで前記導電性被膜を前記濾過基質の少なくとも1つの表面の上に位置させる請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記導電性被膜を前記濾過基質の少なくとも1つの表面と結合させる請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記導電性被膜を前記濾過基質の少なくとも1つの表面の一部のみの上に位置させる請求項23記載の方法。
【請求項27】
更に、前記導電性濾材を空気流れの中に位置させ、そして前記導電性濾材が示す捕捉効率を向上させる目的で、前記導電性被膜が前記空気流れの中の塵埃粒子を帯電させるイオンを放出するように、電場を作り出すために、高電圧の電力供給装置を前記導電性濾材とつなげることも含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項28】
更に、前記導電性濾材を流体流れの中に位置させ、そして前記導電性被膜が前記導電性濾材を通る流体の流れによって生じる静電荷を逸散するように、電場を作り出すために、高電圧の電力供給装置を前記導電性濾材とつなげることも含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項29】
濾材を生じさせる方法であって、
多数の繊維を成形し、
前記繊維に導電性被膜による被覆を受けさせ、
前記導電性被膜がその上に位置する前記多数の繊維から導電性濾材を生じさせる、
ことを含んで成る方法。

【公表番号】特表2009−502499(P2009−502499A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525220(P2008−525220)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/030406
【国際公開番号】WO2007/019294
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(501475963)ホリングワース・アンド・ボーズ・カンパニー (5)
【Fターム(参考)】