説明

導電性ウェブ及びその製造方法

導電性不織ウェブを提供する。本発明の不織ウェブは、導電性繊維と組み合わされたパルプ繊維を含む。一実施形態では、前記ウェブは、ウエットレイドティッシュ若しくは紙製造方法によって製造される。前記ウェブに含まれる前記パルプ繊維は針葉樹繊維を含み得、前記導電性繊維は炭素繊維を含み得る。一実施形態では、基体ウェブは、100Ω/sq未満の抵抗率を有するように作製され得る。作製された前記導電性材料は、複数のスリットに切断した後、リールに巻き取られる。前記導電性スリットは、リールから、任意の適切な製品を製造するための工程へ供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ウェブ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつ、トレーニングパンツ、失禁用品、女性用生理用品、水着用下着等の吸収性物品は、通常、液体透過性の身体側ライナと液体不透過性のアウターカバーと、吸収性コアとを含んでいる。吸収性コアは、一般的に、着用者から浸出した液体(例えば尿)を吸収して保持するためにアウターカバーと身体ライナとの間に配置される。
【0003】
吸収性コアは、例えば、超吸収性粒子から作製することができる。多くの吸収性物品、特にキンバリー・クラーク社(Kimberly-Clark Corporation)からHUGGIES(商標)の商標名で販売されている吸収性物品は、液体吸収効率が非常に高いため、該吸収性部品が身体流体(body fluid)に侵襲されたか否かが分かり難い場合がある。
【0004】
そのため、様々なタイプの水分または濡れインジケータを吸収性物品において使用することが提案されてきた。濡れインジケータは、おむつの濡れ状態を親または介護者に対して早期に知らせるように設計された警報装置を含み得る。このような警報装置は、可聴信号を生成することができる。
【0005】
従来、例えば、濡れインジケータは、吸収性物品に組み込まれ、電源及び警報装置に接続された開回路を備えていた。尿等の導電性物質が吸収性物品内で検出されたとき、開回路は閉じた状態となり、警報装置を作動させる。開回路は、例えば、金属ワイヤまたは金属薄片から作製され得る2つの導電性要素を含み得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,514,345号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、濡れインジケータを吸収性物品に該吸収性物品の製造時の作業速度で効率的にかつ信頼性を持って組み込むことにおいて問題があった。そのため、吸収性物品に容易に組み込むことができる改良された濡れセンサが求められている。
【0008】
加えて、非金属材料から作製された濡れインジケータに使用するための導電性要素も求められている。例えば、金属部品を吸収性物品に組み込むと、様々な問題が生じ得る。例えば、パッケージ化された吸収性物品は、通常、パッケージ中に金属不純物が誤って混入されてないことを確認するために金属検知器によって検査される。しかし、濡れインジケータの導電性要素を金属から作製すると、金属検知器が誤って検出するおそれがある。また、金属導電性要素を吸収性物品に組み込むと、着用者が金属検知器を備える防犯ゲートを通ろうとする際に問題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一般的に、様々な用途に使用することができる導電性不織ウェブに関する。例えば、一実施形態では、本発明の導電性不織ウェブは、吸収性物品に組み込まれる濡れ検知装置の導電性要素を形成するのに使用することができる。一実施形態では、本発明の導電性不織ウェブは、導電性繊維と組み合わされた相当量のパルプ繊維を含み、紙製造方法によって作製される。最終的に得られたウェブは、その後、吸収性物品に開回路を形成するために、吸収性物品の製造中に吸収性物品に容易に組み込むことができる。例えば、一実施形態では、開回路を形成するために、導電性不織ウェブの2つのストリップ片または領域を吸収性物品に組み込むことができる。導電性物質が、2つのストリップまたは導電性領域の間に渡って存在する場合、信号通知装置が作動し、前記導電性物質の存在を知らせるための信号を生成する。
【0010】
本発明に従って製造された導電性ウェブは、吸収性物品用の濡れ検知システムに組み込むことに加えて、他の様々な用途に使用することができることを理解されたい。例えば、本発明の導電性ウェブは、導電性要素及び/またはアンテナとして、任意の適切な電子機器に使用することができる。
【0011】
一実施形態では、本発明の導電性不織材料は、パルプ繊維を含有する不織基体ウェブを、少なくとも約50重量%の量で含む。任意の適切なパルプ繊維を使用することができる。例えば、特定の一実施形態では、前記パルプ繊維は、少なくとも約350mLのカナダ標準ろ水度(Canadian Standard Freeness:CSF)を有する針葉樹繊維を含む。前記針葉樹繊維は、前記不織基体ウェブ内に、少なくとも約85重量%の量で含まれ得る。
【0012】
本発明によれば、前記不織基体ウェブは、前記パルプ繊維に混合させることができる導電性繊維(例えば炭素繊維)をさらに含む。例えば、一実施形態では、前記炭素繊維は、前記パルプ繊維と均一に混合される。前記炭素繊維は、前記基体ウェブ中に、約5〜15重量%の量で存在し得る。前記炭素繊維は、約1〜6mmの長さを有することができ、かつ、少なくとも約85%の純度を有することができる。純度は、炭素繊維中に含まれる炭素の量を指す。
【0013】
前記基体ウェブは、約60gsm未満、例えば約15〜40gsmの坪量を有する。また、前記基体ウェブは非捲縮であり、かつ、長さ方向において少なくとも約5900gsfの引張強度を有することができる。前記基体ウェブは、約2cc/g未満、例えば約1cc/g未満の嵩を有することができる。また、前記基体ウェブは、約100Ω/sq未満の抵抗率を有することができる。
【0014】
一実施形態では、前記基体ウェブは、湿潤強度増強剤を含むことができる。前記湿潤強度増強剤は、例えば、ポリアミドアミン−エピクロルヒドリン樹脂を含み得る。
【0015】
一実施形態では、前記不織材料は、約3〜10mmの幅を有する複数のスリットに切断される。前記スリットは、リールに巻き取られる。例えば、一実施形態では、前記スリットは、リールにトラバース巻き取りされ得る。
【0016】
前記基体ウェブは、一般的に、前記基体ウェブ中に含まれる炭素繊維の量に応じて、灰色または黒色であり得る。一実施形態では、前記基体ウェブは、任意の適切な色に染色することができる。例えば、前記基体ウェブは、青色または紫色に染色することができる。
【0017】
また、本発明は、導電性紙ウェブの作製方法に関する。該方法は、湿潤ウェブを形成するために、繊維の水性懸濁液を有孔形成面上に堆積させるステップを含む。前記繊維の水性懸濁液は、炭素繊維と混合させられた針葉樹繊維を含む。前記炭素繊維及び針葉樹繊維は、上述したようなものであり得る。
【0018】
有孔形成面上に形成した湿潤ウェブを平坦化させた後、乾燥させる。前記ウェブは、例えば、カレンダーロールを通すことによって平坦化させることができる。カレンダーロールは、少なくとも約950PLIの圧力を加えることができる。前記ウェブは、任意の適切な乾燥機を使用して乾燥させることができる。例えば、一実施形態では、前記ウェブは、前記ウェブに対して熱を伝える1若しくは複数の乾燥シリンダに隣接して位置させることができる。あるいは、前記ウェブは、通気乾燥させることができる。
【0019】
乾燥させた後、前記ウェブは、約3〜10mmの幅を有する複数のスリットに切断される。各スリットは、別個のリールに巻き取られる。
【0020】
本発明の他の特徴及び態様を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
当業者を対象にしたベストモードを含む本発明の完全なかつ実現可能な開示が、添付図面を参照して本明細書の残りの部分においてより具体的に説明される。
【0022】
【図1】本発明に従って非捲縮通気乾燥ウェブを作製する工程の一実施形態を示す側面図である。
【図2】本発明に従って導電性ウェブを作製する工程の別の実施形態を示す側面図である。
【図3】本発明に従って製造した吸収性物品の一実施形態を示す後方斜視図である。
【図4】図3に示した吸収性物品の前方斜視図である。
【図5】図3に示した吸収性物品の締結されてない、折り畳まれていない、かつ平らに拡げられた状態を示す平面図であり、吸収性物品における着用時に着用者側の反対側に面する面を示している。
【図6】図5と同様の平面図であり、吸収性物品における着用時に着用者側に面する面を示している。下側層の特徴を示すために一部が破断されている。
【図7】図3に示した実施形態の斜視図であり、信号通知装置の一実施形態をさらに含む。
【図8】本発明に従って導電性ウェブを作製する工程のさらなる別の実施形態を示す側面図である。
【図9】本発明に従って作製した不織材料を、別個のリールに巻き取られる複数のスリットに切断する工程の一実施形態を示す側面図である。
【図10】図9に示したスリットを巻き取るのに使用されるリールの一実施形態を示す側面図である。
【0023】
本明細書及び図面において繰り返し使用される参照符号は、本発明の同一または類似の特徴または要素を示すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明は例示的な実施形態の説明にすぎず、本発明のより広範な態様の限定を意図しないことを当業者は理解されたい。
【0025】
一般的に、本発明は、導電性繊維を含む不織ウェブに概ね関する。導電性繊維は、例えば、不織ウェブが少なくとも一方向において導電性を有するように、不織ウェブに組み込むことができる。例えば、不織ウェブは、長さ方向、幅方向または任意の適切な方向に電流を流すことができるように作製することができる。
【0026】
本発明によれば、導電性不織ウェブは、相当量のパルプ繊維を含むことができ、紙製造方法を用いて作製することができる。例えば、一実施形態では、導電性繊維をパルプ繊維及び水と組み合せて繊維の水性懸濁液を作製し、その後、前記繊維の水性懸濁液を有孔表面上に堆積させることによって導電性ティッシュウェブを作製することができる。ティッシュウェブの導電性は、特定の導電性繊維を選択し前記ティッシュウェブ内の特定位置に配置することにより、及び、他の様々な因子及び可変要素を調節することにより制御することができる。一実施形態では、例えば、不織ウェブに組み込まれる導電性繊維は、切断された炭素繊維を含む。
【0027】
本発明に従って導電性不織材料を作製した後、前記材料を、その後リールに巻き取られる複数のスリットに切断することができる。例えば、各スリットは、約1〜15mm、例えば3〜10mmの幅を有し得る。リールに巻き取られた各スリットは、その後、任意の適切な製品に組み込むことができる。
【0028】
本発明に従って作製された不織ウェブは、様々な用途に使用することができる。例えば、一実施形態では、本発明の導電性不織ウェブ材料は、任意の適切な電気デバイスに組み込むことができる。例えば、本発明の不織ウェブは、燃料電池膜として使用したり、バッテリ電極として使用したり、あるいは、印刷電子基板において使用したりすることができる。例えば、特定の一実施形態では、本発明の導電性繊維は、任意の適切な最終用途のために、基体ウェブ内にパターン回路を形成することができる。
【0029】
特定の一実施形態では、本発明に従って作製された導電性不織ウェブは、吸収性物品内に濡れ検知デバイスを形成するのに使用することができる。前記濡れ検知デバイスは、例えば、吸収性物品内で尿または便等の導電性物質が検知されたときに、可聴信号及び/または可視信号等の信号を発するように構成され得る。一実施形態では、例えば、本発明に従って作製された1または複数のウェブを吸収性物品内の導電性要素として使用し、吸収性物品内に導電性物質が存在する場合に閉じるように構成された開回路を形成することができる。
【0030】
吸収性物品は、例えば、おむつ、トレーニングパンツ、失禁用品、女性用生理用品、医療用衣服、包帯等であり得る。一般的に、開回路を有する吸収性物品は、再使用のために洗浄または他の方法によって製品の状態を回復させるのではなく、限られた回数だけ使用した後に廃棄するように設計された使い捨て式である。
【0031】
本発明の不織ウェブから作製され、吸収性物品内に含まれる開回路は、信号装置に接続されるように構成される。前記信号装置は、身体流体の存在をユーザーに通知する或るタイプの可聴信号及び/または可視信号を発することができると共に、前記開回路に対して電力を供給することができる。吸収性物品自体は使い捨て式であるが、前記信号装置は他の物品に再利用することもできる。
【0032】
上述したように、本発明の基体ウェブは、導電性繊維をパルプ繊維に組み合せることによって作製した不織ウェブである。一実施形態では、前記不織ウェブは、ティッシュ製造方法または紙製造方法を用いて作製することができる。
【0033】
本発明に従って使用することができる導電性繊維は、特定の用途及び所望の効果に応じて様々であり得る。不織ウェブを作製するために使用することができる導電性繊維としては、炭素繊維、金属繊維、導電性ポリマーから作製された繊維含む導電性ポリマー繊維または導電性材料を含むポリマー繊維、金属コーティング繊維、及びそれらの混合物がある。使用可能な金属繊維としては、例えば、銅繊維やアルミニウム繊維等がある。導電性材料を含むポリマー繊維としては、導電性材料で被覆された熱可塑性繊維や、導電性材料が含浸または混合された熱可塑性繊維がある。例えば、一実施形態では、銀で被覆された熱可塑性繊維を使用することができる。
【0034】
前記不織材料中に組み込まれる導電性繊維は、任意の適当な長さ及び直径を有することができる。一実施形態では、例えば、前記導電性繊維は、約100:1〜1000:1のアスペクト比を有することができる。
【0035】
前記不織ウェブ中に含まれる導電性繊維の量は、前記不織ウェブ中に組み込まれる導電性繊維の種類や前記不織ウェブの最終的な用途等の様々な因子に応じて異なり得る。前記導電性繊維は、前記不織ウェブ中に、例えば、約1〜90重量%またはそれ以上の量で組み込むことができる。一実施形態では、前記導電性繊維は、前記不織ウェブ中に、約5〜15重量%、例えば約8〜12重量%の量で存在し得る。
【0036】
本発明において使用することができる炭素繊維としては、炭素のみから作製した繊維や、導電性となるのに十分な量の炭素を含んでいる繊維がある。例えば、一実施形態では、ポリアクリロニトリル(PAN)ポリマーから作製した炭素繊維を使用することができる。具体的には、前記炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)ポリマー繊維を加熱、酸化及び炭化させることによって作製される。前記炭素繊維は、一般的に、高純度を有し、かつ比較的高分子量の分子を含む。例えば、前記炭素繊維は、約85重量%以上の量の炭素を含み得る。一実施形態では、例えば、前記炭素繊の純度は、約85〜95重量%以上、例えば約88〜92重量%以上であり得る。高純度の炭素繊維は良好な導電性を有するが、より高価なものとなる。一方、上述した範囲の純度を有する繊維を使用することによって、十分な導電性を得ることができる。
【0037】
ポリアクリロニトリル(PAN)ポリマー繊維から炭素繊維を作製するためには、まず、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維を空気等の酸素雰囲気中で加熱する。加熱中に、ポリアクリロニトリル(PAN)ポリマー内のシアノ部位によって、テトラヒドロピリジン環の繰返し単位が形成される。加熱を続けると、前記ポリマーの酸化が開始される。酸化中、水素が放出され、それにより、炭素によって芳香環が形成される。
【0038】
酸化後、前記繊維を酸素欠乏雰囲気中でさらに加熱する。例えば、前記繊維を、約1300℃以上、例えば1400℃以上、または例えば約1300〜1800℃に加熱する。加熱中に、前記繊維は炭化される。そして、炭化中に、隣接するポリマー鎖同士が互いに結合することによって、ほぼ純粋な炭素の薄板状の基底面構造が形成される。
【0039】
ポリアクリロニトリル系の炭素繊維は、様々な商業的供給源から入手可能である。例えば、前記炭素繊維は、米国テネシー州ロックウッド所在のトーホウ・テナックス・アメリカ社(Toho Tenax America, Inc.)から入手可能である。
【0040】
炭素繊維の作製に使用される他の原材料としては、レーヨンや石油ピッチがある。
【0041】
特に好都合なことに、作製された炭素繊維は任意の適切な長さに切断することができる。本発明の一実施形態では、約1〜6mmの長さ、例えば約2〜5mmの長さに切断された炭素繊維を基体ウェブに組み込むことができる。前記炭素繊維は、約3〜15ミクロン、例えば約5〜10ミクロンの平均径を有し得る。一実施形態では、例えば、前記炭素繊維は、約3mmの長さと約7ミクロンの平均径を有し得る。
【0042】
一実施形態では、不織基体ウェブに組み込まれる炭素繊維は、水溶性サイズ剤を含有する。前記サイズ剤は、0.1〜10重量%の量で含有され得る。前記水溶性サイズ剤は、これらに限定しないが、ポリアミド化合物、エポキシ樹脂エステル、あるいはポリビニルピロリドンであり得る。前記サイズ剤は、不織ウェブの作製前に前記炭素繊維を良好に分散させるために、前記炭素繊維を水と混合させるときに前記水に溶解させられる。また、前記サイズ剤は、前記工程中に添加したときに前記炭素繊維が浮遊するのを制御することによって、前記炭素繊維の取り扱いを助ける。
【0043】
本発明に従って導電性不織ウェブを作製する際に、上記の導電性繊維は、ティッシュ若しくは紙製造方法における使用に適した他の繊維と組み合わされる。前記導電性繊維と組み合わされる繊維には任意の天然若しくは合成セルロース繊維が含まれ、このようなものとしては、これらに限定しないが、例えば、非木質繊維(例えば、綿、アバカ、ケナフ、サバイグラス、亜麻、アフリカハネガヤ、わら、ジュート麻、バガス、トウワタフロス繊維、藻類繊維、パイナップルの葉の繊維)や、針葉樹及び落葉樹から得られる木質繊維またはパルプ繊維(例えば、北方針葉樹クラフトまたは南方針葉樹クラフトから得られる針葉樹繊維や、ユーカリ、カエデ、カバノキ、ポプラ等から得られる広葉樹繊維)がある。パルプ繊維は、高収率または低収率の形態で作製することができ、クラフトパルプ化法、サルファイト法、高収率パルプ化法及び他の既知のパルプ化法等の任意の既知の方法でパルプ化することができる。また、1988年12月27日にLaamanen他に付与された米国特許第4,793,898号、1986年6月10日にChang他に付与された米国特許第4,594,130号、及び1971年6月15日にKleinert他に付与された米国特許第3,585,104号に開示されている繊維及び方法を含む、オルガノソルブパルプ化法によって作製した繊維を使用することもできる。また、1997年1月21日にGordon他に付与された米国特許第5,595,628号に例示されているアントラキノンパルプ化法によって作製した繊維を使用することもできる。
【0044】
一実施形態では、針葉樹繊維が、不織材料を作製するのに使用される。針葉樹繊維はより長い傾向にあり、製造及び加工中の粒子の放出を減らすことができる。また、より長いパルプ繊維も、炭素繊維等の導電性繊維とより良好に交絡する傾向がある。
【0045】
また、不織材料に組み込まれた針葉樹繊維等のパルプ繊維は、各繊維における結合部位の量を増加させるために叩解される。結合部位を増加させると、完成材料における、パルプ繊維及び導電性繊維の物理的な交絡度が増大する。このことにより、加工中の炭素繊維の脱落を少なくする、非常に平坦かつ一様な紙材を作製することができる。また、叩解作業により、前記不織材料の全体強度も増加する。例えば、一実施形態では、パルプ繊維は、約300mL以上、例えば約375mL以上のカナダ標準ろ水度(Canadian Standard Freeness:CSF)を有し得る。例えば、パルプ繊維は、約350〜600mLのカナダ標準ろ水度を有することとなるように叩解される。
【0046】
前記繊維の一部、例えば乾燥重量で50%以下または約5〜30%は、例えば、レーヨン、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、2成分鞘芯型繊維、多成分バインダー繊維等の合成繊維であり得。例示的なポリエチレン繊維は、米国デラウエア州ウィルミントン所在のヘラクレス社(Hercules, Inc.)製のPulpex(登録商標)である。合成セルロース繊維の種類には、あらゆる種類のレーヨン、及び、ビスコースまたは化学修飾セルロースに由来する他の繊維が含まれる。
【0047】
前記不織ウェブに熱可塑性繊維を組み込むと、様々な利点及び恩恵が得られる。例えば、前記不織ウェブに熱可塑性繊維を組み込むと、前記不織ウェブをそれに隣接する構造体に対して、熱結合または超音波結合させることが可能となる。例えば、前記不織ウェブは、おむつのライナ等の他の不織材料(例えばスパンボンドウェブまたはメルトブローンウェブ)に熱結合させることができる。
【0048】
また、マーセライズ加工されたパルプ、化学的に補強または架橋された繊維、またはスルホン化された繊維等の、化学的に処理された天然セルロース系繊維も使用することができる。製紙繊維を使用する際の良好な物理的特性に関しては、繊維が比較的無傷であり、繊維の大部分が未叩解かまたは軽く叩解されただけであることが望ましい。マーセライズ加工された繊維、再生セルロース系繊維、微生物により生成されたセルロース、レーヨン、及び他のセルロース系材料またはセルロース誘導体を使用することもできる。また、適切な繊維には、再生繊維、バージン繊維、またはそれらの混合物が含まれ得る。
【0049】
本発明において使用することができる他の製紙繊維としては、損紙繊維、再生繊維及び高収率繊維がある。高収率パルプ繊維は、約65%以上の歩留り、より具体的には約75%以上、さらに具体的には約75〜95%の歩留りを提供するパルプ化方法によって製造された製紙繊維である。歩留りは、最初の木材質量に対するパーセントとして表される、最終的に得られた加工繊維の量である。このようなパルプ化方法としては、漂白ケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、圧力/圧力サーモメカニカルパルプ(PTMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、サーモメカニカルケミカルパルプ(TMCP)、高収率亜硫酸パルプ、または高収率クラフトパルプがあり、これらは全て、最終的に得られた繊維において高レベルのリグニンが残る。高収率繊維は、乾燥及び湿潤の両状態において、一般的な化学的にパルプ化された繊維よりも剛性が高いことがよく知られている。
【0050】
一般的に、本発明の電性ウェブの作製に、ティッシュまたは紙ウェブを作製可能な任意の方法を用いることができる。例えば、本発明の製紙工程に、エンボス加工、湿式加圧、空気加圧、通気乾燥、非捲縮通気乾燥、水流絡合、空気堆積、及び当業者に既知の他の方法を用いることができる。前記ティッシュウェブは、少なくとも50重量%の、例えば、少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも85重量%のパルプ繊維を含有する繊維製品から作製することができる。
【0051】
また、不織ウェブは、次の特許文献に開示されているティッシュシートのような、パターンが高密度化またはインプリント(刻印)されたものであり得る。1985年4月30日にJohnson他に付与された米国特許第4,514,345号(特許文献1)、1985年7月9日にTrakhanに付与された米国特許第4,528,239号、1992年3月24日にSmurkoski他に付与された米国特許第5,098,522号、1993年11月9日にSmurkoski他に付与された米国特許第5,260,171号、1994年1月4日にTrokhanに付与された米国特許第5,275,700号、1994年7月12日にRasch他に付与された米国特許5,328,565号、1994年8月2日にTrokhan他に付与された米国特許第5,334,289号、1995年7月11日にRasch他に付与された米国特許第5,431,786号、1996年3月5日にSteltjes, Jr.他に付与された米国特許第5,496,624号、1996年3月19日にTrokhan他に付与された米国特許第5,500,277号、1996年5月7日にTrokhan他に付与された米国特許第5,514,523号、1996年9月10日にTrokhan他に付与された米国特許第5,554,467号、1996年10月22日にTrokhan他に付与された米国特許第5,566,724号、1997年4月29日にTrokhan他に付与された米国特許第5,624,790号、1997年5月13日にAyers他に付与された米国特許第5,628,876号。これらの特許文献の開示内容は、本明細書と矛盾しない限りにおいて、この参照により本明細書に組み込まれるものとする。このようなインプリント(刻印)されたティッシュシートは、インプリンティング繊維(imprinting fabric)によってドラムドライヤに押し付けられ、インプリントされた高密度の領域と、インプリンティングファブリックのたわみ溝(deflection conduit)に対応する比較的低密度の領域(例えばティッシュシートの「ドーム」状部分)とを有する網状構造を有し得る。前記たわみ溝上に位置するティッシュシートが、たわみ溝を横切る空気圧の差によって撓むことによって、ティッシュシートにより低密度の枕様の領域すなわちドームが作製される。
【0052】
また、乾燥強度増強剤及び湿潤強度増強剤もベースシートに塗布するまたは組み込むことができる。本明細書では、「湿潤強度増強剤」は、湿潤状態において繊維間結合を固定するために使用される材料を意味する。一般的に、紙製品及びティッシュ製品において繊維同士を互いに結合させるための手段としては、水素結合、場合によっては、水素結合と共有結合及び/またはイオン結合との組み合わせがある。本発明においては、繊維間結合点を固定するようにして繊維を結合し、前記繊維が湿潤状態において破壊に対して耐えることができるようにした材料を提供することは有用であり得る。本発明では、湿潤強度増強剤はまた、炭素繊維等の導電性繊維を前記ウェブ中に含まれる他の繊維に対して結合させるのにも役立つ。このようにして、さらなる処理中に、前記導電性繊維が前記ウェブから脱落することを抑止することができる。
【0053】
本発明の目的のために、ティッシュシートに加えたときに、幾何学的な湿潤引張り強度の幾何学的な乾燥引張り強度に対する比の平均が約0.1を超える任意の材料を湿潤強度増強剤と称することとする。一般的に、これらの材料は、恒久的タイプの湿潤強度増強剤、または、「一時的タイプの」紙力増強剤と称される。恒久的タイプの湿潤強度増強剤を一時的タイプの湿潤強度増強剤から区別することを目的として、恒久的タイプの湿潤強度増強剤は、紙またはティッシュ製品に組み込んだときに、少なくとも5分間水に曝した後の湿潤強度が元の湿潤強度の50%を超える値に維持される樹脂と定義される。一時的タイプの湿潤強度増強剤は、5分間水を飽和させた後の湿潤強度が元の湿潤強度の50%以下となるものである。両タイプの湿潤強度増強剤が本発明において使用される。パルプ繊維に加えられる湿潤強度増強剤の量は、パルプ繊維の乾燥重量に基づいて、少なくとも約0.1乾燥重量%、より具体的には約0.2乾燥重量%以上、さらに具体的には約0.1〜3乾燥重量%である。
【0054】
恒久的タイプの湿潤強度増強剤は、一般的に、程度の差はあるが長期間の湿潤耐性をティッシュシート構造体に対して付与する。対照的に、一時的タイプの湿潤強度増強剤は、一般的に、低密度かつ高耐性のティッシュシート構造を提供するが、水または体液の暴露に対しての長期間の耐性を有する構造は提供しない。
【0055】
一時的タイプの湿潤強度増強剤は、カチオン性、非イオン性、またはアニオン性であり得る。このような化合物としては、カチオン性グリオキシル化ポリアクリルアミドの一時的タイプの湿潤紙力増強樹脂である米国ニュージャージー州ウェストパターソン所在のサイテック・インダストリーズ社(Cytec Industries)から入手可能なPAREZ(商標)631NC及びPAREZ(登録商標)725がある。このようなまたは類似の樹脂は、1971年1月19日にCoscia他に付与された米国特許第3,556,932号、及び1971年1月19日にWilliams他に付与された米国特許第3,556,933号に記載されている。米国デラウェア州ウィルミントン所在のヘラクレス社(Hercules)製のHercobond 1366は、本発明に従って使用することができる他の市販のカチオン性グリオキシル化ポリアクリルアミドである。一時的タイプの湿潤強度増強剤のさらなる例としては、ナショナルスターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Company)から市販されているCobond(登録商標)1000等の酸化デンプンや、2001年5月1日にSchroeder他に付与された米国特許第6,224,714号、2001年8月14日にShannon他に付与された米国特許第6,274,667号、2001年9月11日にSchroeder他に付与された米国特許第6,287,418号、及び2002年4月2日にShannon他に付与された米国特許第6,365,667号に記載されているようなアルデヒド含有ポリマーがある。これらの特許文献の開示内容は、本明細書と矛盾しない限りにおいて、この参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0056】
カチオン性のオリゴマー樹脂またはポリマー樹脂を含む恒久的タイプの湿潤強度増強剤も本発明において使用することができる。米国デラウェア州ウィルミントン所在のヘラクレス社(Hercules)から市販されているKYMENE 557H等のポリアミノアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン型樹脂(別名、ポリアミノアミド−エピクロルヒドリンタイプ樹脂)が最も幅広く使用されている恒久的タイプの湿潤強度増強剤であり、本発明での使用に適している。このような材料は、次の米国特許に記載されている。1972年10月24日にKeimに付与された米国特許第3,700,623号、1973年11月13日にKeimに付与された米国特許第3,772,076号、1974年12月17日にPetrovich他に付与された米国特許第3,855,158号、1975年8月12日にPetrovich他に付与された米国特許第3,899,388号、1978年12月12日にPetrovich他に付与された米国特許第4,129,528号、1979年4月3日にPetrovich他に付与された米国特許第4,147,586号、及び1980年9月16日にvan Eenamに付与された米国特許第4,222,921号。他のカチオン性樹脂としては、ポリエチレンイミン樹脂や、ホルムアルデヒドとメラミン若しくは尿素との反応により得られるアミノプラスト樹脂がある。ティッシュ製品の製造においては、一時的タイプの湿潤紙力増強樹脂及び恒久的タイプの湿潤紙力増強樹脂の両方を使用することが好適である。
【0057】
一実施形態では、比較的大量の湿潤強度増強剤が前記不織材料に組み込まれる。湿潤強度増強剤に加えて、乾燥強度増強剤も製品に加えられる。加えて、湿潤強度増強剤は、導電性繊維の保持力を向上させるべく、不織材料中での繊維の化学的交絡を助ける役割を果たす。不織材料に加えられる湿潤強度増強剤の量は、様々な因子に依存し得る。一般的に、湿潤強度増強剤は、約1〜12kg/mton、例えば約5〜10kg/mtonの量で加えられる。特定の実施形態では、湿潤強度増強剤は、できるだけ多い量で加えることが望ましい。これらの実施形態では、例えば、湿潤強度増強剤は、約7kg/mtonを超える量で、例えば約8kg/mtonの量で加えられる。
【0058】
乾燥強度増強剤は当該技術分野では公知であり、乾燥強度増強剤としては、これらに限定しないが、修飾されたデンプン及び他の多糖(例えば、カチオン性、両性、アニオン性のデンプン、グアー及びローカストビーンガム)、修飾されたポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、糖類、ポリビニルアルコール、キトサン等がある。このような乾燥強度増強剤は、一般的に、ティッシュシートの作製前に繊維スラリに加えられるか、またはクレーピングパッケージ(creping package)の一部として加えられる。
【0059】
不織ウェブに加えることができる化学薬品のさらなる種類としては、これらに限定しないが、吸収助剤(通常はカチオン性、アニオン性または非イオン性の界面活性剤の形態である)、保湿剤及び可塑剤(例えば、低分子量ポリエチレングリコール)、及びポリヒドロキシ化合物(例えば、グリセリン、プロピレングリコール)がある。また、例えば鉱油、アロエエキス、ビタミンE、シリコーン、ローション全般等の皮膚に対する健康上の効用を提供する物質を最終製品に組み込むこともできる。
【0060】
一般的に、本発明の製品は、その使用目的に反しない任意の既知の物質及び化学薬品と共に用いることができる。このような物質の例としては、これらに限定しないが、ベビーパウダー、重曹、キレート剤、ゼオライト、香料または他の臭気マスキング剤、シクロデキストリン化合物、酸化剤等がある。特に有利なことに、炭素繊維は、導電性繊維として使用した際に、臭気吸収剤としての役割も果たす。また、超吸収性粒子、合成繊維またはフィルムも使用することができる。追加的なオプションとしては、染料、蛍光漂白剤、保湿剤、軟化剤等がある。
【0061】
本発明に従って作製される不織ウェブは、単一の同質的な繊維層か、または、層状の若しくは積層化された構造を含み得る。例えば、不織ウェブ層(プライ)は、2層または3層の繊維層を含み得る。各層は、互いに異なる繊維組成物を有し得る。各層に含まれる特定の繊維の種類は、一般的に、作製する製品及び所望する効果に依存する。一実施形態では、例えば、中間層は、導電性繊維と共にパルプ繊維を含んでいる。一方、外側層は、針葉樹繊維及び/または広葉樹繊維等のパルプ繊維のみを含み得る。
【0062】
一実施形態では、本発明に従って作製される不織ウェブは、一般的に、ウエットレイド法に従って作製することができる。この実施形態では、前記繊維を水と混合させて作製した水性懸濁液を有孔形成面上に堆積させることによって湿潤ウェブを作製する。一実施形態では、まず、パルプ繊維を含む水性懸濁液を作製する。次に、前記水性懸濁液を前記形成面上に堆積させる前に、前記水性懸濁液に炭素繊維等の導電性繊維を混入させる。例えば、導電性繊維は、前記水性懸濁液を前記形成面上に堆積させる直前に、ヘッドボックス内に貯留されたパルプ繊維の水性懸濁液中に混入され得る。パルプ繊維の水性懸濁液は、例えば、99重量%を超える量の水を含み得る。例えば、一実施形態では、パルプ繊維の水性懸濁液は、パルプ繊維を、1重量%未満の量で、例えば約0.5重量%の量で含有する。導電性繊維は、その後、同様の希釈率で水性懸濁液に混入される。例えば、炭素繊維を約0.5重量%の量で含む炭素繊維水性懸濁液が、パルプ繊維の水性懸濁液に混入される。
【0063】
導電性繊維をパルプ繊維の水性懸濁液に混入させることで、導電性繊維のフロック(flock)の形成を低減できることが分かっている。繊維が互いに混合される時間が長くなると、フロックが形成される傾向がより高くなることが分かっている。フロックが形成されると、例えば、最終的に得られる材料に弱い部分が生じ、それにより、前記不織材料をその後処理する際に湿潤破断が発生し得る。
【0064】
繊維の水性懸濁液から作製された不織ウェブは、様々な技術及び方法を用いて処理され得る。例えば、図1を参照して、非捲縮の通気乾燥させられたティッシュシートを製造する方法が示されている。一実施形態では、非捲縮/通気乾燥法を用いて不織ウェブを作製することが望ましい。作製中に不織ウェブをクレーピング(捲縮処理)すると、不織ウェブ中の導電性繊維の網状構造が破壊されて導電性繊維が損傷するおそれがあることが分かっている。導電性繊維が損傷した場合、不織ウェブは、非導電性となる。
【0065】
簡単にするために、いくつかの繊維の走路を画定するために様々なテンションロールを概略的に示すが、符号は付さない。一般的な方法から逸脱しない範囲で、図1に示した装置及び方法から変形形態を作り出すことができることを理解されたい。積層ヘッドボックス等の製紙ヘッドボックス34を有するツインワイヤ式フォーマーが示されており、これは、フォーミングロール39上に位置する形成ファブリック38上に製紙繊維の水性懸濁液のストリーム36を注入または堆積させる。形成ファブリックは、新たに作製された湿潤ウェブを支持し、前記湿潤ウェブが約10乾燥重量パーセントの濃度になるまで部分的に脱水させると共に工程の下流へ搬送する役割を果たす。湿潤ウェブのさらなる脱水は、湿潤ウェブが形成ファブリックによって支持されている間に、例えば真空吸引によって行うことができる。
【0066】
湿潤ウェブは、その後、形成ファブリックから搬送ファブリック40へ移送される。随意的な一実施形態では、前記ウェブの伸縮性を高めるために、搬送ファブリックは形成ファブリックよりも低速で走行する。このことは一般的に「ラッシュ(rush)」搬送と呼ばれている。2つのファブリック間の相対速度差は、0〜15パーセント、より具体的には約0〜8パーセントであり得る。形成ファブリック及び搬送ファブリックが真空スロットの前縁で同時に集中及び分散するように、搬送は真空シュー42に補助されて行われることが好ましい。
【0067】
前記ウェブは、その後、真空搬送ロール46または真空搬送シューの助けを借りて、随意的に前述したような一定間隔搬送手段を再び用いて、搬送ファブリックから通気乾燥ファブリック44へ搬送される。通気乾燥ファブリックは、搬送ファブリックに対して同じ速度または異なる速度で走行させることができる。所望であれば、伸縮性をさらに向上させるために、通気乾燥ファブリックをより低速で走行させることもできる。必要に応じて、搬送を真空補助により行い、前記シートが通気乾燥ファブリックになじむように前記シートを変形させ、それにより所望のバルク及び外見を生じさせることができる。適切な通気乾燥ファブリックは、Kai F. Chiu他に付与された米国特許第5,429,686号及びWendt他に付与された米国特許第5,672,248号に記載されている。これらの特許文献の開示内容は、この参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0068】
一実施形態では、通気乾燥ファブリックは、比較的滑らかな表面を提供する。あるいは、通気乾燥ファブリックは、高くて長い押圧用ナックル(impression knuckle)を有し得る。
【0069】
不織ウェブにおける通気乾燥ファブリックと接する側は、一般的に、不織ウェブの「ファブリックサイド」と呼ばれる。不織ウェブのファブリックサイドは、上述したように、通気ドライヤで乾燥させた後の通気乾燥ファブリックの表面と一致する形状を有し得る。一方、前記ウェブの反対側は、一般的に、「エアサイド」と呼ばれる。前記ウェブのエアサイドは、一般的に、通常の通気乾燥工程中はファブリックサイドよりも滑らかである。
【0070】
ウェブ搬送に用いられる真空のレベルは、約3〜15水銀柱インチ(約75〜380水銀柱ミリメータ)、好ましくは約5水銀柱インチ(125水銀柱ミリメータ)であり得る。真空を用いて前記ウェブを次のファブリック上へ吸引することに加えてまたはその代わりに、真空シュー(負圧)に加えてまたはその代わりに、前記ウェブの反対側の面から正圧を用いて前記ウェブを次のファブリック上へ吹き飛ばすこともできる。また、真空シューの代わりに、1または複数の真空ロールを使用することもできる。
【0071】
通気乾燥ファブリックによって支持されている間に、前記ウェブは、通気乾燥ドライヤ48によって最終的に約94パーセント以上の濃度になるまで乾燥させられた後、キャリヤファブリック50へ搬送される。乾燥させられたベースシート52は、キャリヤファブリック50及び随意的なキャリヤファブリック56を使用してリール54へ搬送される。随意的な加圧回転ロール58を用いて、キャリヤファブリック50からファブリック56への前記ウェブの移送を促進することができる。この目的に適したキャリヤファブリックは、アルバニー・インターナショナル社(Albany International)製の84Mまたは94M及びAsten 959または937であり、これらは全て、微細パターンを有する比較的滑らかなファブリックである。図示していないが、リールカレンダ加工またはその後に続くオフラインカレンダ加工を用いて前記ベースシートの滑らかさ及び柔らかさを向上させることができる。また、前記ウェブをカレンダ加工すると、前記導電性繊維を、ある特定の平面またはある特定の方向に配向させることができる。例えば、一実施形態では、導電性繊維のほぼ全てをX−Y平面に配向させ、かつZ方向には配向させないようにするために、前記ウェブをカレンダ加工することができる。このようにして、前記ウェブの柔らかさを向上させると共に、前記ウェブの導電性を向上させることができる。
【0072】
一実施形態では、不織ウェブ52は、平坦な状態で乾燥させたウェブである。例えば、前記ウェブは、前記ウェブが滑らかな通気乾燥用ファブリック上に位置する間に作製することができる。非捲縮/通気乾燥ファブリックの製造工程は、例えば、Wendt他に付与された米国特許第5,672,248号、Farrington他に付与された米国特許第5,656,132号、Lindsay及びBurazinに付与された米国特許第6,120,642号、Hermans他に付与された米国特許6,096,169号、Chen他に付与された米国特許第6,197,154号、及びHada他に付与された米国特許6,143,135号に開示されている。これらの特許文献の開示内容は、この参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0073】
図1には、非捲縮/通気乾燥ウェブを製造するための工程が示されている。なお、前記導電性不織ウェブを作製するのに、クレーピング(捲縮)加工を行わない任意の適切な方法及または技術が用いることができることを理解されたい。例えば、図2を参照すると、本発明に従って不織ウェブを作製するために用いることができる他の方法が示されている。図2に示す実施形態では、新しく作製されたウェブは、工程中に湿式加圧される。
【0074】
この実施形態では、ヘッドボックス60が、複数のガイドロール64によって支持されて走行している形成ファブリック62上へ繊維の水性懸濁液を放出する。ヘッドボックス60は、図1に示したヘッドボックス34と同様のものであり得る。加えて、上述したように、繊維の水性懸濁液は導電性繊維を含み得る。ウェブの作製を補助するために繊維完成紙料から水を除去するように構成された真空ボックス66が、形成ファブリック62の真下に配置されている。作製されたウェブ68は、形成ファブリック62から第2のファブリック70へ搬送される。第2のファブリックは、ワイヤまたはフェルトのいずれかであり得る。第2のファブリック70は、連続的な円軌道を描いて走行するように、複数のガイドロール72によって支持されている。また、形成ファブリック62から第2のファブリック70へのウェブ68の移送を容易にするように設計されたピックアップロール74も設けられている。
【0075】
この実施形態では、ウェブ68は、第2のファブリック70から、ヤンキードライヤ等の回転可能な加熱ドライヤドラム76の表面へ搬送される。図示するように、ウェブ68がドライヤ表面の回転経路の一部を通って搬送されるときに、ウェブに対して熱が付与され、ウェブ中に含まれている水分の大部分が蒸発する。ウェブ68は、その後、クレーピング加工されることなく、ドライヤドラム76から除去される。
【0076】
ウェブ68をドライヤドラム76から除去するために、一実施形態では、ドライヤドラムの表面またはウェブにおけるドライヤドラムと接する面に離型剤が塗布される。一般的に、ウェブをクレーピングする必要性を避けるために、ドラムからのウェブの除去を容易にする任意の適切な離型剤が使用され得る。
【0077】
使用可能な離型剤としては、例えば、ヘラクレス・ケミカル社(Hercules Chemical Company)からREZOSOLの商標名で販売されているポリアミドアミンエピクロルヒドリンポリマーがある。本発明において使用することができる特定の離型剤としては、ヘラクレス・ケミカル社(Hercules Chemical Company)から入手可能なRelease Agent 247、Rezosol 1095、Crepetrol 874、Rezosol 974、ProSoft TQ-1003、ブックマン・ラボラトリース社(Buckman Laboratories)から入手可能なBusperse 2032、Busperse 2098、Busperse 2091、Buckman 699、及びナルコ社(Nalco)から入手可能な640Crelease、640D release、64575 release、DVP4V005 release、DVP4V008 releaseがある。
【0078】
図1または図2に示すような不織材料作製工程中に、ウェブを平坦化及び高密度化させることができる。ウェブを平坦化及び高密度化させる技術の1つは、互いに対向配置されたカレンダロールのニップ間にウェブを通すことである。前記シートを平坦化及び高密度化させることにより、その後の工程中において前記シートからの炭素繊維の脱落を減少させることができることが分かっている。また、ウェブを平坦化することにより、前記材料の全体キャリパ(厚さ)を減少させることができると共に、前記導電性繊維の網状構造の密度及び均一性が増加することによって前記材料の導電性を高めることができる。前記材料の厚さを減少させることにより、製造工程中の材料ロールの使用可能時間を長くすることができ、それにより、無駄や遅延を無くし、効率を高めることができる。導電性を高めることにより、完成材料に含まれる導電性繊維の量を減らすことができる。
【0079】
ウェブをカレンダ加工する場合、前記ウェブは、乾燥状態または湿潤状態でカレンダ加工される。例えば、一実施形態では、カレンダロールによって、少なくとも900PLIの圧力、例えば約900〜1100PLIの圧力が加えられる。例えば、特定の一実施形態では、カレンダロールによって加えられる圧力は、約950〜1100PLI、例えば約980PLIである。
【0080】
代替的な実施形態では、図8に示すように、前記ウェブを乾燥させるだけではなく平坦化及び高密度化も行う複数の乾燥シリンダに対して前記ウェブを押圧することができる。例えば、図8を参照すると、複数の連続した乾燥シリンダ80が示されている。この実施形態では、6個の連続した乾燥シリンダが示されている。なお、他の実施形態では、より多くの数のまたはより少ない数の乾燥シリンダも使用できることを理解されたい。例えば、一実施形態では、8〜12個の連続した乾燥シリンダが工程に組み込まれ得る。
【0081】
図示するように、任意の適切な方法に従って作製された湿潤ウェブ82が第1の乾燥シリンダ80に対して押し付けられ係合している。例えば、一実施形態では、ファブリックまたは適切なコンベアを使用して、前記ウェブを乾燥シリンダの表面に押し付けることができる。前記ウェブは、第2の乾燥シリンダに押し付けられ係合するまで、第1の乾燥シリンダの表面に少なくとも約150°、例えば約180°巻回される。工程中に、各乾燥シリンダを、前記ウェブを乾燥させるための最適な温度まで加熱することができる。
【0082】
本発明に従って作製された不織ウェブは、その使用用途及び所望する効果に応じて様々な性質及び特徴を有し得る。例えば、前記不織ウェブは、約15〜60gsmまたはそれ以上の秤量を有し得る。例えば、一実施形態では、本発明の不織ウェブは、約30〜40gsmの秤量を有し得る。
【0083】
高密度化または平坦化させることにより、比較的低い嵩を有する不織ウェブを製造することができる。例えば、上述したように、ある工程では、前記ウェブは、作製後に高密度化させることができる。このようなウェブの嵩は、例えば、約2cc/g未満、例えば約1cc/g未満、例えば0.5cc/g未満であり得る。
【0084】
前記シートの「嵩(バルク)」は、ミクロン単位で表される乾燥ティッシュシートのキャリパ(厚さ)を、平方メートル当たりグラムで表される乾燥秤量で除した商として計算される。求められたシートの嵩は、立方センチメートル/グラムの単位で表される。より具体的には、キャリパは、10枚の代表的なシートの積層体の合計厚さを10で除することにより求められる。この場合、各シートは同じ面が上側(同じ側)になるようにして積層させる。キャリパは、積層させたシートのための注釈3(Note 3)付きのTAPPI試験法T411 om-89「紙、板紙及び合紙の厚さ(キャリパ)(Thickness (caliper) of Paper, Paperboard, and Combined Board)」に従って測定する。T411 om-89を実施するために使用されるマイクロメータは、米国オレゴン州ニューバーグ所在のエンベコ社(Emveco, Inc.)から入手可能なEmveco 200-Aティッシュキャリパ試験機である。このマイクロメータは、2.00キロパスカル(1平方インチ当たり132グラム)の荷重、2500平方ミリメータの圧力脚部面積、56.42ミリメータの圧力脚部直径、3秒間のドウェル時間、0.8ミリメートル/秒の落下速度を有する。
【0085】
本発明に従って作製された不織ウェブは、処理を容易にするのに十分な強度を有することができる。例えば、一実施形態では、前記ウェブは、マシン方向すなわち長さ方向に5000グラム力を超える、例えば5500グラムを超える、例えば6000グラムを超える強度(最大負荷)を有し得る。不織材料の引張試験は、例えば、幅1インチの試料に対して、300mm/分及び75mmゲージ長さで実施することができる。
【0086】
また、不織ウェブの導電率は、ウェブに組み込まれる導電性繊維の種類、ウェブに組み込まれる導電性繊維の量、及びウェブ中における導電性繊維の位置、密度または配向の様態に応じて異なり得る。例えば、一実施形態では、本発明の不織ウェブは、約1500Ω/sq未満、例えば約100Ω/sq未満、または例えば約80Ω/sq未満の抵抗率を有し得る。例えば、一実施形態では、前記不織材料は、約20〜80Ω/sq、例えば約20〜40Ω/sqの抵抗率を有し得る。
【0087】
前記シートの導電率は、オーム単位で表される前記シートの抵抗測定値を、前記シートにおける長さの幅に対する比で除した商として計算される。求められた前記シートの抵抗値は、オーム/スクエア(単位面積当たりの抵抗値)で表される。より具体的には、抵抗値の測定は、ASTM F1896-98「プリント導電材料の電気抵抗率を求めるための試験方法(Test Method for Determining the Electrical Resistivity of a Printed Conductive Material)」に従って行われる。ASTM F1896-98を実施するために使用される抵抗値測定装置(すなわちオームメータ)は、米国ワシントン州エバレット所在のフルーク・コーポレーション社(Fluke Corporation)から入手可能な、Flukeワニ口クリップ(型番AC120)を備えたFlukeマルチメータ(型番189)である。
【0088】
炭素繊維を使用する場合、最終的に得られる不織材料の色は、一般的に、灰色または黒色である。所望に応じて、前記不織材料は、審美性を向上させるために、特定の色に染色される。例えば、一実施形態では、前記不織材料は、紫色または青色に染色される。使用され得る特定の染料は、PANTONE 264U紫色染料またはPANTONE 291U青色染料である。
【0089】
本発明に従って製造された導電性ウェブは、単プライ(層)の製品として単独で使用するか、あるいは、他のウェブまたはフィルムと組み合わせてマルチプライ(多層)の製品を作製することができる。一実施形態では、導電性不織ウェブを他のテイッシュウェブと組み合わせて、2プライの製品または3プライの製品を作製することができる。前記他のテイッシュウェブは、例えば、パルプ繊維のみから製造することができ、かつ上述した方法のうちの任意の方法に従って製造することができる。
【0090】
別の態様では、本発明に従って製造された導電性不織ウェブは、接着剤または別の手段を用いて、他の不織材料またはポリマーフィルム材料に積層させることができる。例えば、一実施形態では、前記導電性不織ウェブは、ポリプロピレン繊維等のポリマー繊維から作製されたメルトブローンウェブ及び/またはスパンボンドウェブに積層させることができる。上述したように、一実施形態では、前記導電性不織ウェブは、合成繊維を含むことができる。この実施形態では、前記不織ウェブは、メルトブローンウェブやスパンボンドウェブ等の合成繊維を含む対向するウェブに対して互いに接合される。
【0091】
本発明の導電性不織材料の作製後、前記材料は親ロールに巻き取られる。作製した材料の幅は、用いるティッシュ若しくは紙製造方法に応じて異なる。例えば、一般的に、前記材料は約1.52〜2.54m(約60〜100インチ)の幅を有し得る。一実施形態では、前記不織材料は、後で様々な用途に使用するために、その後、複数のスリットに切断される。例えば、一実施形態では、前記材料は、約3〜12mm、例えば6〜8mmの幅に切断される。具体的には、前記不織材料は、原材料コストを最小化することができ、かつ、強度及び電気的性質を維持することができる幅に切断される。
【0092】
前記材料を切断すると導電性繊維の脱落が生じるので、本発明では前記切断は1つのステップで行う。例えば、本発明による切断工程の例が図9に示されている。図9に示したシステムは、前記材料から脱落して自由になった導電性繊維を閉じ込めて収容するように構成されている。
【0093】
図9に示すように、本発明に従って作製された導電性不織材料85は、親ロール84から切断工程へ送り出される。一実施形態では、親ロール84は、前記ウェブの表面に他の機器が接触しないような、中心駆動式の送り出し装置である。一方、表面駆動式の送り出し装置は、がたついて表面粗さを生じさせるおそれがあると共に、供給速度が不安定となり湿潤破断を引き起こすおそれがある。
【0094】
まず、親ロール84から切断装置86へ不織材料85が供給される。切断装置86には、例えば、不織材料を全幅に渡って同時に切断する回転型切断機が含まれる。回転型切断機86には、例えば、最終的なスリットを作製するために所望の距離だけ互いに離間して配置された複数の回転刃が含まれる。
【0095】
図9に示すように、一実施形態では、前記材料の切断後、作製されたスリットは、第1のスリット群87と第2のスリット群88とに互いに分離される。例えば、一実施形態では、前記スリットは、各群に含まれる個々のスリット間の間隔を増大させるために、別の形態で互いに分離させされる。このようにして、前記スリットの半分は、第1のスリット群87を形成するために上側へ搬送され、前記スリットの残り半分は、第2のスリット群88を形成するために下側へ搬送される。
【0096】
その後、第1のスリット群87は第1のリール群89に巻き取られ、第2のスリット群88は第2のリール群90に巻き取られる。第1のリール群89は、例えば、複数のリール91を含む。一方、第2のリール群90は、複数のリール92を含む。図示した実施形態では、各リール群は、4つの別個のリールを含む。なお、前記システムは、作製するスリットの数に応じて、4つよりも多い数または少ない数のリールを含むことができることを理解されたい。
【0097】
スリット群87が下流に搬送されると、個々のスリットはそれに対応するリールに巻き取られる。例えば、1つのスリット95が、最後のスリット91に巻き取られる様子が示されている。
【0098】
リールにへ供給するために、前記スリットは、ガイドロール96を介して、張力制御機93へ供給される。張力制御機93は、巻き取り工程中に前記スリットの張力を一定に維持する。例えば、前記材料の比較的高い引張強度に起因して、変換及びリールに巻き取る際に、前記ウェブの小さい幅方向張力によって前記スリットが破断するおそれがある。そのため、一実施形態では、一定の張力を維持するために、各スリットにつき1つの張力制御機が設けられている。
【0099】
例えば、一実施形態では、張力制御機93は、スリット95の張力を一定かつ均一に維持するために、スリット95に対して力を加えるためのダンサーロールを含み得る。
【0100】
図9に示すように、スリット95は、リール91に巻き取られる。リールに巻き取られたスリットは、特定の物品または製品を製造するために別個の工程に送り出される。一実施形態では、前記スリットは、リール91にトラバース巻き取りされる。トラバース巻き取りは、リールコアの長さに往復させることにより、スリット95の巻き取り及び送り出しを行う。トラバース巻き取りは、後で送り出すときのために、むらのない均一なロールを作成することができる。
【0101】
例えば、図10を参照して、スリット95がリール91に巻き取られる様子が示されている。詳細に示されたように、このシステムは、スリット95をリール91に巻き取るときに、リール91の軸方向に往復移動するトラバースアーム94を備えている。
【0102】
上述したように、本発明に従って作製された不織基体ウェブは様々な用途に使用することができる。例えば、前記基体ウェブは、その導電能力を利用するために使用することができる。
【0103】
例えば、特定の一用途では、前記導電性不織ウェブは、吸収性物品内における身体流体の存在を示すように構成された濡れ検知デバイスに組み込まれ得る。例えば、前記濡れ検知デバイスは、導電性不織材料から作製された開回路を含むことができる。前記開回路は、導電性流体が前記開回路を閉じたときに可聴信号、可視信号または知覚信号を発するように構成された警報装置に接続することができる。
【0104】
対象となる導電性流体または身体流体は、吸収性物品の種類及び所望する用途に応じて異なり得る。例えば、一実施形態では、吸収性物品にはおむつやトレーニングパンツ等が含まれ、濡れ検知デバイスは尿の存在を知らせるように構成される。あるいは、濡れ通知装置を、おむつかぶれの存在を示し得る代謝物の存在を知らせるように構成することができる。一方、成人用失禁用品及び女性用生理用品の場合、濡れ通知装置は、酵母菌、または尿に含まれる特定の成分(例えば多糖)の存在を知らせるように構成され得る。
【0105】
例示的な目的のために、図3及び図4を参照して、本発明に従って作製することができる吸収性物品120が示されている。この吸収性物品120は、使い捨て式であってもよいしそうでなくてもよい。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、これらに限定しないが、おむつ、トレーニングパンツ、水着用下着、女性用生理用品、失禁用品、医療用衣類、外科用パッド、外科用包帯、及びその他のパーソナルケア用若しくはヘルスケア用衣類等のパーソナルウェアを目的とする他の様々な吸収性物品への使用に適していることを理解されたい。
【0106】
説明のみの目的で、本発明の様々な態様のおむつ120等の吸収性物品を構成するための様々な素材及び方法は、2000年6月29日に公開されたA.FletcherらによるPCT特許出願公開第WO 00/37009号、1990年7月10日にVan Gompel他に付与された米国特許第4,940,464号、1998年6月16日にBrandon他に付与された米国特許第5,766,389号、及び2003年11月11日にOlson他に付与された米国特許第6,645,190号に開示されている。これらの特許文件の開示内容は、本明細書と矛盾しない限りにおいて、この参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0107】
部分的に締結した状態のおむつ120が図3に代表的に示されている。また、図3及び図4に示したおむつ120の折り畳まれていない広げられた状態を、図5及び図6に示す。具体的には、図5は、おむつ120の外面を示す平面図であり、図6は、おむつ120の内面を示す平面図である。図5及び図6に示すように、おむつ120は、着用時に前記物品の前側から物品の後側へ延びる縦方向148を画定する。縦方向148と直交する方向が、横方向149となる。
【0108】
おむつ120は、一対の縦方向両側の端部領域(本明細書では前側領域122及び後側領域124と呼ばれる)と、前側領域122及び後側領域124の間で縦方向に延在し前記両領域を相互接続する中央領域(本明細書では股領域126と呼ばれる)とを画定する。また、おむつ120は、使用時に着用者に面して配置される(例えば、物品120の他の構成要素に対して相対的に内側に配置される)内面128と、該内面とは反対側の面である外面130とを含む。前側領域122及び後側領域124は、おむつ120における、着用時に着用者のウエスト(すなわち、胴体の中程から下部にかけての部分)を全体的または部分的に覆うかまたは取り囲む部分である。股部領域126は、一般的には、おむつ120における、着用時に着用者の両脚の間に位置し、着用者の胴体下部及び股部を覆う部分である。吸収性物品120は、一対の横方向両側の側縁部136と、前側腰側縁部138及び後側腰側縁部139としてそれぞれ示される一対の縦方向両側の腰側縁部とを含む。
【0109】
図示したおむつ120は、本実施形態では、前側領域122、後側領域124及び股部領域126を包含するシャーシ132を含む。図3〜6を参照して、シャーシ132は、アウターカバー140及び身体側ライナ142(図3及び図6)を含む。身体側ライナ142は、接着剤、超音波接着、熱接着または他の従来技術によって、該アウターカバー140に積層され接合され得る。図6を参照して、ライナ142は、好適には、前側ウエストシーム162及び後側ウエストシーム164を形成するようにして、シャーシ132の周縁部に沿ってアウターカバー140に結合される。図6に示すように、ライナ142は、好適には、前側領域122及び後側領域124において一対のサイドシーム161を形成するようにして、アウターカバー140に結合される。ライナ142は、一般的に、吸収性物品の着用中に着用者の皮膚に面して配置されるように構成される(すなわち、物品120の他の構成要素に対して相対的に内側に配置される)。シャーシ132は、アウターカバー140と身体側ライナ142との間に配置され着用者から滲出された流体の身体浸出液を吸収する吸収性構造体144(図6参照)と、前記身体浸出液の横方向流れを抑止するために身体側ライナ142に固定された一対の閉じ込めフラップ146とをさらに含む。
【0110】
図6に示したような伸縮性閉じ込めフラップ146は、着用者の身体に対して密閉を形成するために、少なくともおむつ120の股部領域126において垂直構造をなす部分的に未結合の側縁部を画定する。閉じ込めフラップ146は、シャーシ132の全長に沿って縦方向に延在するか、またはシャーシ132の長さ方向に沿って部分的にのみ延在する。閉じ込めフラップ146についての適切な構造及び構成は一般的に当業者に公知であり、例えば、1987年11月3日にEnloeに付与された米国特許第4、704、116号に記載されている(この特許文献の開示内容は、この参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0111】
身体滲出液の閉じ込め及び/または吸収をさらに向上させるために、当業者には公知のように、おむつ120は、好適には、脚弾性部材158(図6)も含む。脚弾性部材158は、吸収性物品120の股領域126に配置され、アウターカバー140及び/または身体側ライナ142に対して機能可能に結合される。
【0112】
脚弾性部材158は、任意の適切な弾性材料から作製可能である。当業者には公知のように、適切な伸縮性材料としては、天然ゴム、合成ゴムまたは熱可塑性弾性ポリマーから作製したシート、ストランドまたはリボンがある。前記弾性材料を引き伸ばしてから基材に接着するか、前記弾性材料をギャザーさせてから(寄せ集めてから)基材に接着するか、あるいは、前記弾性材料を基材に接着した後に加熱して収縮させることにより、前記基材に弾性収縮力を付与することができる。例えば、特定の一態様では、脚弾性部材158は、米国デラウェア州ウィルミントン所在のインビスタ社(Invista)から入手可能のLYCRAの商標名で販売されている、乾式紡糸法により融着された複数の多繊維スパンデックス(弾性糸)を含み得る。
【0113】
一部の実施形態では、吸収性物品120は、随意的に吸収性構造体144に隣接して配置され、接着剤の使用等の当該技術分野では既知の方法によって吸収性構造体144または身体側ライナ142等の物品120の様々な構成要素に取り付けられるサージ制御層(図示せず)をさらに含み得る。サージ制御層は、前記物品の吸収構造体内に急速に導入される液体の勢いのある強い流れを弱めるまたは拡散させる役割を果たす。サージ制御層は、前記液体が吸収構造体の貯蔵部分または保持部分へ放出される前に、前記液体を素早く受容し一時的に保持することが望ましい。適切なサージ制御層の例は、米国特許第5、486、166号及び米国特許第5、490、846号に記載されている。他の適切なサージ制御材料は、米国特許第5、820、973号に記載されている。これらの特許文献の開示内容は、本明細書と一致する(すなわち矛盾しない)限りにおいて、この参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0114】
図3〜図6に示すように、吸収性物品120は、シャーシ132の後側領域に取り付けられた、横方向両側に対向配置された一対の弾性サイドパネル134をさらに含む。図3及び図4に詳しく示すように、サイドパネル134は、前記物品を適切な位置に固定するために、着用者のウエスト(腰部)及び/または臀部の周りに伸張させることができる。図5及び図6に示すように、弾性サイドパネル134は、横方向両側に対向配置された一対の縦方向側縁部137に沿って、シャーシ132に取り付けられる。サイドパネル134は、任意の適切な結合技術を用いて、シャーシ132に取り付けるかまたは接合することができる。例えば、サイドパネル134は、接着剤、超音波接着、熱接着または他の従来技術によって、シャーシに接合させることができる。
【0115】
別の実施形態では、弾性サイドパネルは、シャーシ132と一体的に作製することもできる。例えば、サイドパネル134は、身体側ライナ142の延長部、アウターカバー140の延長部分、または、身体側ライナ142及びアウターカバー140の両方の延長部分から構成することができる。
【0116】
図示した実施形態では、サイドパネル134は吸収性物品120の後側領域に取り付けられており、物品120を着用者の適切な位置に固定する際に、物品120の前側領域に伸ばされる。なお、サイドパネル134を物品120の前側領域に取り付け、物品の着用時に、後側領域に伸ばすようにしてもよいことを理解されたい。
【0117】
図3及び図4に部分的に示したような締結位置において、締結システム180によって弾性サイドパネル134を締結することによって、ウエスト開口部150及び一対の脚開口部152を有する3次元のおむつ構造が画定される。物品120のウエスト開口部150は、着用者のウエストを取り囲む腰側縁部138及び139によって画定される。
【0118】
図示した実施形態では、サイドパネルは、締結システムによって、物品120の前側領域122に着脱自在に結合可能である。なお、他の実施形態では、サイドパネルをシャーシ132の左右両側端に恒久的に結合することも可能なことを理解されたい。例えば、トレーニングパンツまたは吸収性水着を作製するときは、サイドパネルは恒久的に結合される。
【0119】
各弾性サイドパネル134は、縦方向外側縁部168と、おむつ120の縦方向中央に向かって配された脚部端側縁部170と、吸収性物品の縦方向端部に向かって配されたウエスト側縁部172とを有している。着用者の脚部の周りにより良くフィットさせるために、吸収性物品120の脚部端側縁部170は、横方向149に対して適切に湾曲させて及び/または角度付けして形成することができる。なお、本発明の要旨から逸脱しない範囲で、脚部端側縁部170のうち一方だけ(例えば、後側領域124の脚部端側縁部)を湾曲させて及び/または角度付けして形成するか、あるいは、脚部端側縁部のいずれも湾曲させてまたは角度付けして形成しないことも可能であることを理解されたい。図6に示すように、外側縁部168は縦方向148に対して概ね平行であり、ウエスト側縁部172は、横方向軸149に対して概ね平行である。なお、他の実施形態では、外側縁部168及び/またはウエスト側縁部172は、所望に応じて傾斜させてまたは湾曲させて形成してもよいことを理解されたい。最終的に、サイドパネル134は、シャーシのウエスト領域190と概ね整列配置される。
【0120】
締結システム180は、横方向に互いに対向するように設けられた、第1の締結部材182とそれに対応する第2の締結部材184とを備えており、第1の締結部材182は第2の締結部材に対して再締結可能(着脱可能)に結合できるように構成されている。図示した実施形態では、第1の締結部材182は弾性サイドパネル134に配設されており、第2の締結部材184はシャーシ132の前側領域122に配設されている。一態様では、締結部材182、184の各々の前面または外面は、複数の係合要素を備えている。第1の締結部材182の係合要素は、それに対応する第2の締結部材184の係合要素に対して繰返して係脱可能に構成されており、物品120をその3次元構造に解除可能に固定する。
【0121】
締結部材182、184は、接着剤締結具、粘着性締結具、機械的締結具等の、吸収性物品に適した任意の再締結可能な締結具であり得る。特定の態様では、締結部材は、性能向上のための機械的締結要素を含む。適切な機械的締結要素は、フック、ループ、バルブ、きのこ型、矢じり型、ボールオンステム型、オス型及びメス型嵌合部材、バックル、スナップ等の相互結合形状の部材を用いて構成することができる。
【0122】
図示した態様では、第1の締結部材182がフック締結具を有し、第2の締結部材184が前記フック締結具に対して相補的なループ締結具を有する。あるいは、第1の締結部材182がループ締結具を有し、第2の締結部材184が前記ループ締結具に対して相補的なフック締結具を有するようにしてもよい。他の態様では、締結部材182、184は、相互結合する同様の面ファスナか、あるいは、接着性及び粘着性締結要素(例えば、接着性締結具及び接着剤受容結合領域若しくは材料)であり得る。締結部材182、184間の所望するレベルの結合を得るために、前記フック及びループの形状、密度及びポリマー組成が選択され得ることは、当業者であれば理解できるであろう。適切な締結システムは、上記した、2000年6月29日に公開されたA. Fletcher他によるPCT特許出願公開第WO 00/37009号及び2003年11月11日にOlsen他に付与された米国特許第6,645,190号に開示されている。
【0123】
図示した実施形態では、締結部材182は、外側縁部168に沿ってサイドパネル134に取り付けられている。この実施形態では、締結部材182は、弾性すなわち伸縮可能ではない。なお、他の実施形態では、前記締結部材は、サイドパネル134と一体的に構成してもよい。例えば、前記締結部材は、サイドパネル134の表面に直接的に取り付けてもよい。
【0124】
弾性サイドパネルを有する可能性に加えて、吸収性物品120は、前記ウエスト開口部の周囲に弾性を提供するための様々な弾性部材を含み得る。例えば、図示するように、吸収性物品120は、前側ウエスト弾性部材154及び/または後側ウエスト弾性部材156を含むことができる。
【0125】
上述したように、本発明は、特に、濡れ検出装置等の身体流体検知システムを吸収性物品120に組み込むことに関する。これに関して、図3〜図6に示すように、吸収性物品120は、互いに離間配置された第1の導電性要素200及び第2の導電性要素202を含む。この実施形態では、2つの導電性要素は、吸収性物品の前側領域122から後側領域124まで、互いに交差することなく延在している。本発明によれば、導電性要素200及び202は、上述したような導電性不織材料から作製することができる。図4に示した実施形態では、導電性要素200及び202は、互いに離間した別個のストリップあるいはシートから成る。例えば、前記ストリップは、図9に示すような、約3〜12mmの幅を有するスリットを含み得る。
【0126】
第1の導電性要素200は、例えば、導電性流体が両導電性要素間に位置したときに閉じられる開回路を形成するために、第2の導電性要素202とは交差していない。なお、他の実施形態では、第1の導電性要素200及び第2の導電性要素202は、前記シャーシ内に設けられたセンサに接続され得る。前記センサは、温度変化、または、代謝物等の特定の物質の存在を検知するために使用され得る。
【0127】
図3に示した実施形態では、導電性要素200及び202は、吸収性物品120の全長に渡って延在している。なお、他の実施形態では、前記導電性要素は、股領域26までしか延在しないか、または吸収性物品における身体流体の検出を意図する任意の特定位置まで延在するようにしてもよいことを理解されたい。
【0128】
導電性要素200及び202は、吸収性物品120に吸収される身体流体と接触するように配置される限り、シャーシ132の任意の適切な位置に組み込むことができる。これに関して、導電性要素200及び202は、一般的に、アウターカバー140の内側に配置される。実際には、一実施形態では、導電性要素200及び202は、吸収性構造体144に面するアウターカバー140の内面に取り付けられるかまたは積層させられる。あるいは、導電性要素200及び202は、吸収性構造体144上に配置されるかまたは身体側ライナ142上に配置され得る。
【0129】
導電性要素200及び202を信号通知装置に対して容易に接続するために、第1の導電性要素200は第1の導電性パッド部材204に接続され、第2の導電性要素202は第2の導電性パッド部材206に接続される。パッド部材204、206は、導電性要素によって形成された開回路と、消費者によって前記シャーシに設置される信号通知装置との間に信頼性のある接続を形成するために設けられる。
【0130】
吸収性物品120における導電性パッド部材204及び206の位置は、信号通知装置の設置位置によって異なる。例えば、図3、図5及び図6では、導電性パッド部材204及び206は、吸収性物品のウエスト開口部に沿って前側領域122に配置されている。一方、図4では、導電性パッド部材204、206は、吸収性物品のウェスト開口部に沿って後方領域124に配置されている。なお、他の実施形態では、吸収性物品120は、各導電性要素200、202の各端部に配置された導電性パッド部材を有し得ることを理解されたい。このように、使用者は、信号通知装置を吸収性物品の前側または後側に取付けるか否かを決定することができる。さらに別の実施形態では、導電性パッド部材は、吸収性物品の側部に沿ってまたは吸収性物品の股領域に面するように配置することができることを理解されたい。
【0131】
図7を参照すると、例示を目的として、導電性パッド部材204及び206に接続された信号通知装置210が示されている。信号通知装置210は、それに対応する導電性パッド部材に電気的に接続される一対の互いに対向する端子を有している。吸収性物品120内に身体流体が存在するとき、導電性要素200、202によって形成された開回路は閉じ、それにより、信号通知装置210が作動する。
【0132】
信号通知装置210は、前記開回路が閉じたことを使用者に知らせるために、適切な信号を発することができる。
【0133】
実施例
【0134】
例示のみを目的として、本発明に従って作製された基体ウェブの導電性について以下に説明する。
【0135】
本発明に従って、導電性炭素繊維を含有する導電性不織ウェブを作製した。この導電性不織ウェブは、36インチ長網抄紙機で作製した。前記長網抄紙機は、米国ジョージア州サバンナ所在の公的にアクセス可能なハーティ・アドバンスト・マテリアル・デベロップメント・センター(HERTY Advanced Materials Development Center)に展示されている。
【0136】
北方漂白針葉樹クラフト繊維(テラス・ベイ・パルプ社(Terrace Bay Pulp)から市販されているLL19)と、南方針葉樹クラフト繊維(アラクルーズ・セルロース社(Aracruz Celulose)から市販されているユーカリ)と、炭素繊維との均一な混合物を含む単一層ウェブを作製した。炭素繊維は、トーホー・テナックス社(Toho Tenax)から入手した、切断長が3mmのTENAX 150繊維を使用した。94重量%の木材パルプ繊維及び6重量%の炭素繊維を含む繊維完成紙料を使用してウェブを作製した。前記木材パルプ繊維混合物は、75重量%の針葉樹材及び25重量%の広葉樹材を含んでいる。
【0137】
針葉樹材完成紙料を、ファインバータックル(Finebar tackle)を備えた16インチBeloit DD叩解機を使用して、365CSFまで叩解した。広葉樹材完成紙料を、12インチSprout Twin Flow叩解機を使用して、365CSFまで叩解した。米国デラウェア州ウィルミントン所在のハーキュリーズ社(Hercules)から市販されているKymene 6500を、前記完成紙料に、乾燥木材パルプ繊維1メートルトン当たり10キログラムの量で加えた。前記ヘッドボックスに供給する前記ストックの濃度は、約2.43重量%であった。
【0138】
また、後記する表に示すように、作製された導電性不織ウェブの両面を、米国アイオワ州シダーラピッド所在のペンフォード・プロダクツ社(Penford Products)から市販されているデンプンPG280及び米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社(Dow Chemical)から市販されているラテックスCP620NA(カルボキシル化スチレンブタジエンラテックス)で被覆した。
【0139】
サンプルの製造時、前記湿式製造したウェブを、第1のドライヤカン群と接触させた。第1のドライヤカン群に接触させた後、前記ウェブをサイズプレスを通して供給し、そして、第2のドライヤカン群に接触させた。
【0140】
前記サンプルについての工程条件は下記の通りである。
【0141】
【表1】

【0142】
その後、最終的に得られたウェブの抵抗率を試験した。下記の結果が得られた。
【0143】
【表2】

【0144】
前記サンプルの引張強度を、TESTWORKS 3ソフトウェアを備えた、米国ミネソタ州エデンプレイリー所在のMTS社製の引張試験機を使用して試験した。前記試験機は下記の試験条件に設定した。
ゲージ長=75mm
クロスヘッド速度=300mm/分
試験片幅=1インチ(25.4mm)
破断時のピーク負荷を前記材料の引張強度として記録した。
【0145】
本発明の上記の及び他の変更形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲により詳細に記載されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない範囲で、当業者によって実施され得る。加えて、本発明の様々な態様は、全体または一部が相互互換的であることを理解されたい。さらに、上述の説明は例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲にさらに記載されている本発明を限定するものではないことは当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織材料であって、
少なくとも約50重量%の量のパルプ繊維と約5〜15重量%の量の導電性繊維とを含有する不織基体ウェブを含み、
前記パルプ繊維が、少なくとも約350mLのカナダ標準ろ水度を有する針葉樹繊維を含み、
前記導電性繊維が、少なくとも約85%の純度を有しかつ約1〜6mmの長さを有する炭素繊維を含み、
前記パルプ繊維及び前記炭素繊維が互いに混合されており、
前記基体ウェブが、長さ方向及び幅方向を有し、少なくとも約5900gfの長さ方向引張強度を有し、少なくとも約40gsmの坪量を有し、非捲縮であり、約1cc/g未満の嵩を有し、湿潤強度増強剤を含んでおり、かつ、約100Ω/sq未満の抵抗率を有することを特徴とする不織材料。
【請求項2】
請求項1に記載の不織材料であって、
約3〜12mmの幅を有することを特徴とする不織材料。
【請求項3】
請求項1または2に記載の不織材料であって、
前記湿潤強度増強剤がポリアミドアミン−エピクロルヒドリン樹脂を含むことを特徴とする不織材料。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の不織材料であって、
前記基体ウェブが、前記針葉樹繊維を少なくとも約85重量%の量で含有することを特徴とする不織材料。
【請求項5】
請求項2に記載の不織材料であって、
リールに巻き取られることを特徴とする不織材料。
【請求項6】
請求項5に記載の不織材料であって、
リールにトラバース巻き取りされることを特徴とする不織材料。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の不織材料であって、
青色または紫色に染色されることを特徴とする不織材料。
【請求項8】
請求項1ないし7に記載の不織材料であって、
前記不織基体ウェブが少なくとも約15gsmの坪量を有することを特徴とする不織材料。
【請求項9】
導電性紙ウェブの製造方法であって、
約1〜6mmの長さを有しかつ少なくとも約85%の純度を有する炭素繊維を針葉樹繊維に前記両繊維の総重量の約5〜15重量%の量で混合して調製した水性懸濁液を有孔形成面上に堆積させて湿潤ウェブを形成するステップと、
前記ウェブを平坦化するステップと、
前記ウェブを乾燥させるステップと、
前記ウェブを、約3〜10mmの幅を有する複数のスリットの切断し、各スリットを別個のリールにトラバース巻き取りするステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記針葉樹繊維が約350mL以上のカナダ標準ろ水度を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法であって、
前記炭素繊維が、前記ウェブの作製後に前記炭素繊維から除去される水溶性サイズ剤で被覆されていることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9ないし11のいずれかに記載の方法であって、
前記炭素繊維が少なくとも約88%の純度を有することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9ないし12のいずれかに記載の方法であって、
前記スリットが1g/cc未満の最終嵩を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項9ないし13のいずれかに記載の方法であって、
前記ウェブを少なくとも約950PLIの圧力でカレンダ加工によって平坦化するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項9ないし14のいずれかに記載の方法であって、
前記パルプ繊維の水性懸濁液を作製しておき、前記繊維を前記形成面上に堆積させる前に、前記水性懸濁液に炭素繊維を混入するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項9ないし15のいずれかに記載の方法であって、
前記ウェブに湿潤強度増強剤を組み込むステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項9ないし16のいずれかに記載の方法であって、
前記乾燥させたウェブをロールに巻き取っておき、前記ウェブを切断するときに前記ロールから中心駆動式で送り出すようにしたことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記複数のスリットを第1のスリット群と第2のスリット群とに分離し、前記第1のスリット群をそれに対応する第1のリール群へ供給すると共に、前記第2のスリット群をそれに対応する第2のリール群へ供給するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項9ないし18のいずれかに記載の方法であって、
前記各リールが、前記スリットを巻き取るときに該スリットの張力を制御するためのウェブ張力制御機を備えることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記張力制御機が、前記スリットを巻き取るときに前記リールと協働するダンサーロールを含み、
前記スリットを前記リールにトラバース巻き取りするために、トラバースアームによって前記スリットを前記リールへ導くようにしたことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−513542(P2012−513542A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541643(P2011−541643)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054928
【国際公開番号】WO2010/073133
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(310007106)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】